(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130761
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】タイヤ成型用金型及びタイヤ成型方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/02 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
B29C33/02
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-190855(P2013-190855)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-54506(P2015-54506A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】新山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】古谷 弘幸
【審査官】
辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−166532(JP,A)
【文献】
特開昭59−218831(JP,A)
【文献】
特開平03−297611(JP,A)
【文献】
特開昭52−103479(JP,A)
【文献】
米国特許第04289463(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリーンタイヤの軸心方向に沿って相対的に移動可能で、前記グリーンタイヤの各サイド部にそれぞれ圧接可能な第1金型及び第2金型と、
前記グリーンタイヤの径方向に移動可能で、前記グリーンタイヤのトレッド部に圧接可能な第3金型と、
を備え、
前記第3金型は、
周方向に分割されて、前記グリーンタイヤの径方向に移動可能な複数のセグメントと、
前記各セグメントに対して、前記グリーンタイヤの軸心方向及び径方向に移動可能に弾性支持されて前記グリーンタイヤのトレッド部に圧接可能なセクタと、
を備え、
前記セグメントは、前記セクタを前記グリーンタイヤの軸心方向及び径方向に移動させながら前記グリーンタイヤの位置を修正するものであることを特徴とするタイヤ成型用金型。
【請求項2】
前記セグメントは、内周面に前記グリーンタイヤの周方向に延びる凹部を有し、
前記セクタは、前記凹部に、前記グリーンタイヤの軸心方向及び径方向への移動範囲を制限されてガイドされる凸部を有することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ成型用金型。
【請求項3】
前記金型内にセットするグリーンタイヤの径方向が水平方向と一致するように前記各金型を設置し、
前記セグメントに対して、少なくとも前記セクタの下面を弾性支持する上下用弾性支持体を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ成型用金型。
【請求項4】
前記上下用弾性支持体は、前記セクタの上面を支持する第1弾性支持体と、下面を支持する第2弾性支持体とからなり、
前記第1弾性支持体と前記第2弾性支持体のバネ定数を相違させたことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ成型用金型。
【請求項5】
前記セグメントに対して、前記セクタの外周面を弾性支持する水平用弾性支持体を備えたことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ成型用金型。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか1項に記載のタイヤ成型用金型において、
型締めを、
前記グリーンタイヤの両サイド部に、前記第1金型及び前記第2金型をそれぞれ圧接させる第1工程と、
前記グリーンタイヤのトレッド部に前記第3金型のセクタを当接させる第2工程と、
前記セグメントにより前記セクタを前記グリーンタイヤの軸心方向及び径方向に移動させながら前記グリーンタイヤの位置を修正する第3工程と、
前記セクタを前記トレッド部に圧接させる第4工程と、
で行うことを特徴とするタイヤ成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ成型用金型及びタイヤ成型方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ成型用金型として、ホルダーにより弧状セグメントを圧縮スプリングを介して未加硫タイヤ(グリーンタイヤ)の径方向に弾性支持する構成を備えたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、前記従来のタイヤ成型用金型では、圧縮スプリングの役割が弧状セグメントによる未加硫タイヤのトレッド部への圧接力を徐々に高めるためのものでしかない。弧状セグメントが上下方向に移動することはできない構造であり、型締め時、弧状セグメントと下モールドとの間に未加硫タイヤを噛み込む恐れがある。
また弧状セグメントはホルダーの内周に形成した周溝に対して半径方向には移動可能であるものの、上下方向には移動できない構成となっており、両者に高い組立精度が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−166532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い組立精度を必要とすることなく、グリーンタイヤを加硫成型する際のゴム噛みを効果的に防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
グリーンタイヤの軸心方向に沿って相対的に移動可能で、前記グリーンタイヤの各サイド部にそれぞれ圧接可能な第1金型及び第2金型と、
前記グリーンタイヤの径方向に移動可能で、前記グリーンタイヤのトレッド部に圧接可能な第3金型と、
を備え、
前記第3金型は、
周方向に分割されて、前記グリーンタイヤの径方向に移動可能な複数のセグメントと、
前記各セグメントに対して、前記グリーンタイヤの軸心方向及び径方向に移動可能に弾性支持され
て前記グリーンタイヤのトレッド部に圧接可能なセクタと、
を備え
、
前記セグメントは、前記セクタを前記グリーンタイヤの軸心方向及び径方向に移動させながら前記グリーンタイヤの位置を修正するものであることを特徴とするタイヤ成型用金型を提供する。
【0007】
この構成により、すなわちセグメントに対してセクタを移動可能に弾性支持する構成により、両部材の組立精度がそれほど必要とされない。型締め時、セクタは移動可能であるので、固定されている場合のように互いに衝突して摩耗する等の不具合を発生させることもない。また型締めでは、グリーンタイヤのトレッド部には、まず、セクタが当接する。この状態では、セクタはグリーンタイヤの軸心方向及び径方向のいずれにも移動可能となっている。したがって、グリーンタイヤが正規の位置からずれていたとしても、セグメントを内径側へと押し込んで行く際、セクタがトレッド部に対して適切な位置関係となるように移動する。さらにセグメントでセクタを押し込んで行くと、セクタからトレッド部に作用する弾性力が徐々に増大する。そして、セクタからトレッド部に作用する弾性力がさらに増大し、グリーンタイヤの位置ずれが矯正(センタリング)される。つまり、グリーンタイヤを正規の位置で加硫成型することができ、タイヤの不良(ゴム噛み)の発生を防止することが可能となる。
【0008】
前記セグメントは、内周面に前記グリーンタイヤの周方向に延びる凹部を有し、
前記セクタは、前記凹部に、前記グリーンタイヤの軸心方向及び径方向への移動範囲を制限されてガイドされる凸部を有するのが好ましい。
【0009】
この構成により、セグメントによるセクタのガイド状態を安定させることができる。すなわち、凹部内にセクタの凸部を位置させるだけで、簡単に、セグメントに対してセクタの移動可能な範囲を制限することができる。
【0010】
前記金型内にセットするグリーンタイヤの径方向が水平方向と一致するように前記各金型を設置し、
前記セグメントに対して、少なくとも前記セクタの下面を弾性支持する上下用弾性支持体を備えるのが好ましい。
【0011】
この構成により、型締め時のセクタの移動状態を安定させることができる。またセクタがグリーンタイヤのトレッド部に当接した後、セグメントによって内径側に押圧される際、上下用弾性支持体の付勢力によってグリーンタイヤの位置ずれを修正することができる。
【0012】
前記上下用弾性支持体は、前記セクタの上面を支持する第1弾性支持体と、下面を支持する第2弾性支持体とからなり、
前記第1弾性支持体と前記第2弾性支持体のバネ定数を相違させるのが好ましい。
【0013】
この構成により、例えば、加硫する際に上方からの加圧力が大きくなるものであれば、第1弾性支持体のバネ定数を大きくして変形しにくくすることができる。一方、セクタの自重が大きいものであれば、第2弾性支持体のバネ定数を大きくしてセクタの支持状態を安定させることができる。
【0014】
さらに、前記セグメントに対して、前記セクタの外周面を弾性支持する水平用弾性支持体を備えるのが好ましい。
【0015】
この構成により、水平用弾性支持体による付勢力がそれ程大きくない段階で、上下用弾性支持体によってグリーンタイヤの位置ずれを修正することができる。位置ずれの修正後は、水平用弾性支持体による付勢力が大きくなり、所望形状のトレッド部を得ることが可能となる。
【0016】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
前記いずれかのタイヤ成型用金型において、
型締めを、
前記グリーンタイヤの両サイド部に、前記第1金型及び前記第2金型をそれぞれ圧接させる第1工程と、
前記グリーンタイヤのトレッド部に前記第3金型のセクタを当接させる第2工程と、
前記セグメントにより前記セクタを前記グリーンタイヤの軸心方向及び径方向に移動させながら前記グリーンタイヤの位置を修正する第3工程と、
前記セクタを前記トレッド部に圧接させる第4工程と、
で行うタイヤ成型方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、グリーンタイヤのトレッド部を加硫成型するための第3金型を、セグメントとセクタとに分離し、セグメントに対してセクタをグリーンタイヤの軸心方向及び径方向に移動可能な状態で弾性支持するようにしている。したがって、セグメントとセクタの間には高い組立精度を必要とすることなく、セグメントに対してセクタを取り付けることができる。また、セクタは、グリーンタイヤの径方向のみならず、軸心方向にも移動可能に弾性支持されている。このため、型締めする際、グリーンタイヤが正規の位置からずれていたとしても、弾性支持されてグリーンタイヤの軸心方向及び径方向に移動可能なセクタによって位置を矯正することができる。この結果、グリーンタイヤの加硫成型を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係るタイヤ成型用金型の型締め状態を示す概略部分断面図である。
【
図2】
図1に示すタイヤ成型用金型の型開き状態を示す概略部分断面図である。
【
図3】
図2からセクタをグリーンタイヤのトレッド部に当接させた状態を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0020】
図1は、本実施形態に係るタイヤ成型用金型1の概略断面図である。このタイヤ成型用金型1は、第1金型2、第2金型3、第3金型4及びブラダー5を備える。
【0021】
第1金型2は、ここでは上側サイドプレートで構成されている。上側サイドプレートは、金型内に、軸心方向が鉛直方向に一致するようにして配置されたグリーンタイヤ6の上方側のサイド部(ビード部を含む)に圧接する。
第2金型3は、ここでは下側サイドプレートで構成されている。下側サイドプレートには、前記グリーンタイヤ6の下方側のサイド部(ビード部を含む)が載置される。
【0022】
第3金型4は、セグメント7及びセクタ8を備える。
セグメント7は、周方向に分割された複数個のもので、図示しない駆動手段によってグリーンタイヤ6の径方向に往復移動可能となっている。セグメント7の外周面は、上方から下方に向かって徐々に外径方向に広がる円錐面状に形成されている。
【0023】
またセグメント7の内周面には、上下端部がそれぞれ内径側に突出することにより、上方ガイド壁部9と下方ガイド壁部10とがそれぞれ形成されている。上方ガイド壁部9の下面、下方ガイド壁部10の上面、及び、両壁部の間の内周面によって囲まれた空間が周方向に延びるガイド凹部11である。
【0024】
上方ガイド壁部9及び下方ガイド壁部10には上下用弾性支持体である第1弾性支持体12及び第2弾性支持体13がそれぞれ取り付けられている。これらには共に、コイルスプリングの先端部分に金属製の球体を一体化した構成のものを採用することができる。この構成すなわち球体を備えた構成を採用することで、後述するセクタ8が径方向に移動する際、溝部21の底面との摩擦抵抗を抑えて、セクタ8の動きを妨げることがないようにしている。また、このような上下用弾性支持体であれば、構成が簡単で、メンテナンス性に優れている。
【0025】
ガイド凹部11の内周面の上下方向中央部分には、周方向に延びるガイド溝14が形成されている。ガイド溝14は本発明に係る凹部の一例であり、そこにはセグメント7の外周面からガイドピン15を挿通するための連通孔16が開口している。またガイド凹部11の内周面には、前記ガイド溝14を挟んで上下に水平用弾性支持体17がそれぞれ取り付けられている。これら水平用弾性支持体17には、前記同様、セクタ8の動きを妨げることがなく、メンテナンス性に優れた、前記上下用弾性支持体と同様な構成のものを採用することができる。
【0026】
前記セグメント7は、その外周面を、図示しない駆動手段により、ホルスタープレート18を介して昇降するプレッシャーリング19によって径方向へと往復移動する。
【0027】
セクタ8は、内周面にトレッド部(ショルダー部を含む)を形成するための成型凹部20を形成されている。セクタ8の上下面は、セグメント7の上方ガイド壁部9の下面及び下方ガイド壁部10の上面にそれぞれ対向する平坦面で構成されている。また上下面には、前記第1弾性支持体12及び前記第2弾性支持体13の球体が位置する溝部21がそれぞれ形成されている。
【0028】
セクタ8の外周面はセグメント7のガイド凹部11の内周面に沿って湾曲しており、その上下方向の中央部分には周方向に延びる突条22が形成されている。突条22は、周方向の中央部分にガイド穴23を有し、セグメント7のガイド凹部11に形成したガイド溝14に配置される。突条22のガイド穴23は、前記セグメント7に設けたガイドピン15が所定範囲で移動可能な矩形状に形成されている。これにより、セクタ8は、セグメント7に対して周方向及び径方向に、ガイド穴23とガイドピン15とによって制限される範囲内で移動可能に支持される。
またセクタ8の外周面には、前記突条22を挟んで上下の位置に前記水平用弾性支持体17がそれぞれ圧接する。
【0029】
このように、セクタ8は、セグメント7に対して、グリーンタイヤ6の軸心方向及び径方向に移動可能に支持されている。しかも、セクタ8は、上下方向を第1弾性支持体12及び第2弾性支持体13によって弾性支持され、径方向を水平用弾性支持体17によって弾性支持されている。したがって、セグメント7に対するセクタ8の組立精度がそれほど必要とされない。また型締めを行う場合、第3金型4では、グリーンタイヤ6の位置ずれ如何に拘わらず、セクタ8の成型凹部20がトレッド部に沿うように軸心方向及び径方向に移動し、その後グリーンタイヤの位置を正規の成型位置へと矯正する。
【0030】
ブラダー5は、金型内に配置され、径方向に膨らんでグリーンタイヤ6の内周面に圧接し、グリーンタイヤ6を第1金型2,第2金型3及び第3金型4にて加硫成型可能とする。
【0031】
次に、前記構成からなるタイヤ成型用金型1によるグリーンタイヤ6の加硫成型方法について説明する。
【0032】
型を開き、内部にグリーンタイヤ6を配置する。この状態では、第2金型3上にグリーンタイヤ6の上方側のサイド部が載置される。第1金型2はグリーンタイヤ6の上方に位置し、第3金型4はグリーンタイヤ6の外径側に位置する。
【0033】
図2に示すように、第1金型2を降下させ、その下面をグリーンタイヤ6の上方側のサイド部に当接させる。ホルスタープレート18を降下させ、プレッシャーリング19を介してセグメント7を内径方向へと移動させる。これにより、
図3に示すように、まず、セクタ8の成型凹部20がグリーンタイヤ6のトレッド部に当接する。このとき、セクタ8に各弾性支持体から作用する弾性力は弱く、セグメント7に対して周方向、軸心方向及び径方向に自由に移動できる状態にある。したがって、金型内にセットされたグリーンタイヤ6が正規の位置からずれていたとしても、セクタ8がグリーンタイヤ6のトレッド部に沿って位置を変更する。
【0034】
さらにホルスタープレート18を降下させ、セグメント7を内径方向へと移動させると、各弾性支持体によってセクタ8に作用する弾性力が徐々に大きくなる。これにより、たとえグリーンタイヤ6が正規の位置からずれてセットされていたとしても、その位置ずれを矯正される。そして、最終的には、
図1に示すように、分割されたセグメント7及びセクタ8同士が環状に連なり、グリーンタイヤ6は正規の位置で加硫成型可能な状態となる。このため、従来のように、グリーンタイヤ6の一部が金型の間に挟み込まれる、いわゆるゴム噛みが発生することがない。
【0035】
このようにして正規の位置に矯正されたグリーンタイヤ6は、ブラダー5を膨らませ、加熱することにより加硫成型されてタイヤとなる。この結果、得られたタイヤについて、他の金型で得られたタイヤとの間で不良(ゴム噛み)の発生有無を検証した。検証結果を以下の表1に示す。なお、表1中、不良(ゴム噛み)の発生有無は、加硫本数100本のうち、不良タイヤが発生した場合を「有」、発生しなかった場合を「無」とした。
【0037】
比較例1では、セクタ8の外周面を付勢する水平用弾性支持体17のみを設けた。
比較例2では、セクタ8の上下面を付勢する上下用弾性支持体のみを設けた。この場合、第1弾性支持体12と第2弾性支持体13のバネ定数は同じにした。
実施例1では、水平用弾性支持体17及び上下用弾性支持体の両方を設けた。この場合、第1弾性支持体12と第2弾性支持体13のバネ定数は同じにした。
実施例2では、水平用弾性支持体17及び上下用弾性支持体の両方を設けた。この場合、第1弾性支持体12のバネ定数を第2弾性支持体13に比べて大きくした。
実施例3では、水平用弾性支持体17及び上下用弾性支持体の両方を設けた。この場合、第2弾性支持体13のバネ定数を第1弾性支持体12に比べて大きくした。
【0038】
表1から明らかなように、水平用弾性支持体17及び上下用弾性支持体の両方を設けることで、タイヤの不良(ゴム噛み)の発生をなくすことができた。また第1弾性支持体12のバネ定数を大きくした場合、加硫成型する際の第1金型2による加圧力が大きいタイプのタイヤ成型用金型1であっても変形しにくくすることができ有効である。また第2弾性支持体13のバネ定数を大きくする場合、セクタ8の自重が大きいものであっても、その支持状態を安定させることができる点で好ましい。
【0039】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0040】
前記実施形態では、弾性支持体をコイルスプリングと球体とで構成したが、これに限らず、種々の構成を採用することができる。例えば、弾性支持体には、全体を合成樹脂材料で形成したものや、板バネ等を採用することができる。また弾性支持体に代えて、空気圧や油圧を利用した形態を採用することも可能である。
【0041】
前記実施形態では、下方側に配置した第2金型3に対して第1金型2を上方側から接離する構成としたが、第1金型2に対して第2金型3を下方側から接離するようにしたり、両金型を昇降可能として互いに接離するようにしたりするようにしてもよい。
【0042】
前記実施形態では、上下用弾性支持体として、第1弾性支持体12及び第2弾性支持体13の両方を設けるようにしたが、第2弾性支持体13のみを設けただけの構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…タイヤ成型用金型
2…第1金型
3…第2金型
4…第3金型
5…ブラダー
6…グリーンタイヤ
7…セグメント
8…セクタ
9…上方ガイド壁部
10…下方ガイド壁部
11…ガイド凹部
12…第1弾性支持体
13…第2弾性支持体
14…ガイド溝
15…ガイドピン
16…連通孔
17…水平用弾性支持体
18…ホルスタープレート
19…プレッシャーリング
20…成型凹部
21…溝部
22…突条
23…ガイド穴