特許第6130797号(P6130797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130797
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】遮光ルーバー
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/386 20060101AFI20170508BHJP
   E06B 9/28 20060101ALI20170508BHJP
   E06B 7/084 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   E06B9/386
   E06B9/28
   E06B7/084
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-28107(P2014-28107)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-151807(P2015-151807A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391037353
【氏名又は名称】石田 陞治
(74)【代理人】
【識別番号】100115934
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 雅也
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(72)【発明者】
【氏名】石田 陞治
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭61−32046(JP,Y2)
【文献】 特開平9−88448(JP,A)
【文献】 特開2010−95928(JP,A)
【文献】 実開昭60−1887(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24− 9/388
E06B 7/00− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に長く構成された複数のルーバー羽根を上下方向に間隔を空けてそれぞれ水平に設けられた支持軸回りに回動自在に短手方向に並べて配置したルーバー装置であって、
前記ルーバー羽根は、前記ルーバー羽根の主面を構成し、前記ルーバー羽根の長手方向に連続しかつ厚み方向の高さ位置が異なるように配列される複数の板材と、
隣り合う前記板材の間に厚み方向の空隙を形成するように隣り合う前記板材を連結する連結部材と、を有することを特徴とする、ルーバー装置。
【請求項2】
前記板材は、前記支持軸に対し、厚み方向に対称な高さ位置に互いに平行に配列されていることを特徴とする、請求項に記載のルーバー装置。
【請求項3】
前記板材は、前記ルーバー羽根の長手方向及び短手方向に複数枚が配置されるように配列されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のルーバー装置。
【請求項4】
前記板材は、主面が矩形に構成され、格子状に配列されていることを特徴とする、請求項に記載のルーバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外に設けて遮光と採光を行うルーバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窓から室内に射し込む直射日光等の光を遮るため、窓にルーバー装置を設けることが行われている。ルーバー装置は、左右に長い板状のルーバー羽根を上下方向に複数設けることで遮光を行うものであり、ルーバー羽根が所定の角度で固定されている固定式のものや、特許文献1から3に開示されているように各ルーバー羽根を夫々の長手方向の軸を中心に回転可能に支持した可動式のものがある。この可動式のルーバー装置は、ルーバー羽根を回動させることで、ルーバー羽根同志の間に形成される隙間を大小変化せしめて、通風ができる状態でありながら採光量を自由に調整できるように構成されている。
【0003】
このような可動式のルーバー装置では、ルーバー羽根の構成が遮光、通風の状態を決定するものであるため、上記の特許文献1から3に開示されているルーバー装置はそれぞれ、ルーバー羽根の構造に特徴を持たせている。
【0004】
例えば、特開平8−152521号公報(特許文献1)は、ルーバー羽根の表面にホログラムシートを積層したものであり、耐用の入射角を考慮して、太陽光を回折させることで、遮光性を調整するものである。
【0005】
また、特開2002−97869号公報(特許文献2)に開示された従来のルーバー装置は、板状のルーバー羽根全面のうちの一部分に光を拡散させる拡散部を設けると共に拡散部以外の部分を光を透過させない遮光部とし、遮光するため各ルーバー羽根を回動させた際に、各ルーバー羽根の拡散部が隣のルーバー羽根の遮光部と重複してなることを特徴としたものである。
【0006】
さらに、特開2010−77637号公報(特許文献3)には、ルーバー羽根を中空構成とし、斜行部と透光部を区画形成することで、所望の明るさの採光を行うことができ強度的に優れたルーバー装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−152521号公報
【特許文献2】特開2002−97869号公報
【特許文献3】特開2010−77637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の特許文献1に記載のルーバー装置は、いずれも遮光と透光を効率よく行うことを目的とするものであり、通風と遮光との両立を実現することができないという問題があった。すなわち、遮光を行うためにルーバー羽根を閉じた状態にすると、羽根の間の隙間も小さくなるため、通風も制限されるようになっていた。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、上記の問題点を解決し、通風を制限することなく、遮光と透光を任意に切り替えることができる可動式のルーバー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のルーバー装置を提供する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、幅方向に長く構成された複数のルーバー羽根を上下方向に間隔を空けてそれぞれ水平に設けられた支持軸回りに回動自在に短手方向に並べて配置したルーバー装置であって、
前記ルーバー羽根は、前記ルーバー羽根の主面を構成し、前記ルーバー羽根の長手方向に連続しかつ厚み方向の高さ位置が異なるように配列される複数の板材と、
隣り合う前記板材の間に厚み方向の空隙を形成するように隣り合う前記板材を連結する連結部材と、を有することを特徴とする、ルーバー装置を提供する。

【0013】
本発明の第態様によれば、前記ルーバー羽根は、上下方向に間隔を空けてそれぞれ水平に設けられた支持軸回りに回動自在に配置されていることを特徴とする、第態様のルーバー装置を提供する。
【0014】
本発明の第態様によれば、前記板材は、前記ルーバー羽根の長手方向及び短手方向に複数枚が配置されるように配列されていることを特徴とする、第1又は2態様のルーバー装置を提供する。

【0015】
本発明の第態様によれば、前記板材は、主面が矩形に構成され、格子状に配列されていることを特徴とする、第態様のルーバー装置を提供する。

【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ルーバー羽根を、複数枚の板材を組み合わせて、厚み方向の高さ位置が異なるように構成することで、ルーバー羽根ごとに隣り合う板材の間に厚み方向の空隙が形成される。このため、当該空隙を通風のために利用することができる。したがって、遮光及び目隠しを確実に行うことができると共に、通風性がよいルーバー装置とすることができるため、強風などによる破損や壁倒れなどの問題を解消することができる壁材としても使用することができる。
【0017】
本発明の第2態様によれば、また、ルーバー羽根同士の隙間が大きくなるように支持軸周りに回動した場合であっても、板材はルーバー羽根の主面に沿って配列されているため、板材によって透光性が悪くなることがない。
【0018】
本発明の第3態様によれば、支持軸を中心にルーバー羽根の表裏で対称な外観となるため、ルーバー装置を表裏なく使用することができる。
【0019】
本発明の第4態様によれば、ルーバー羽根の長手方向及び短手方向の2軸に沿って複数の板材を設けることで、ルーバー装置の遮光性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態にかかるルーバー装置の外観構成を示す正面図である。
図2図1のルーバー装置のルーバー羽根を閉じた状態を示す部分拡大図である。
図3図1のルーバー装置のルーバー羽根を開いた状態を示す部分拡大図である。
図4図1のルーバー装置に使用されるルーバー羽根の構成を示す分解斜視図である。
図5図4の部分拡大図である。
図6】固定枠とルーバー羽根との取り付け構成を示す部分拡大分解図である。
図7】閉じた状態のルーバー羽根の配置構成を模式的に示す断面図である。
図8】開いた状態のルーバー羽根の配置構成を模式的に示す断面図である。
図9】本発明の第2実施形態にかかるルーバー羽根の板部材の配置構成を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態にかかるルーバー羽根の板部材の配置構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るルーバー装置について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態にかかるルーバー装置1は、互いに所要の間隔で複数並列したルーバー羽根2を互いに同期して回動させるようにしたものである。
【0022】
本実施形態においては、上下方向に間隔を空けてそれぞれ水平軸回りに回動自在に配置した複数のルーバー羽根2を備える。ルーバー羽根2は、小さな板部材3をその主面方向に正面視においてほぼ隙間なく格子状に配列した構造であり、図2に示すように、板部材3の表面で照射光を遮断する構成となっている。
【0023】
ルーバー装置1は、互いに所要の間隔をおいて起立した縦枠材4aの上下端間に、横枠材4bを横架してなる固定枠4と、それら縦枠材4a間に上下多段に配列した複数のルーバー羽根2とを主要の構成としたものである。
【0024】
ルーバー羽根2は、上述の通り同期して回動するように構成されており、1つのルーバー羽根2を操作することで全体が回動する。図3に示すように、ルーバー羽根2の回動により、ルーバー羽根2が方向き、その間に形成される隙間10が大きくなることで、これらの隙間から照射光が透光する。
【0025】
ルーバー羽根2は、羽根本体50の両端に、軸受51を配設したものである。軸受51は金属又は合成樹脂で構成されており、図4に示すように、ルーバー本体50の側面に沿う形状に成型された一対の挟持壁52の間に羽根本体50の端部を挿入して固定する。挟持壁52はクランク形状に構成されており、後述するように、羽根本体50を構成し、厚み方向に段差を設けて配置される板部材3の端部を支持する。
【0026】
軸受51の挟持壁52の中間位置には、支持軸53が設けられている。当該支持軸53は、固定枠4との枢着に用いられ、縦枠材4aに設けられている差込穴15に嵌め込むことで、ルーバー羽根2が支持軸53を中心に回動するように構成される。
【0027】
挟持壁52は支持軸53に対して点対称に設けられており、支持軸53に対して板部材3がルーバー羽根2の厚み方向に対称となるように配置される。したがって、ルーバー羽根2は、その厚み方向に表裏に対して、ほぼ同じ外観となり、ルーバー装置1の使用時に表裏の区別をする必要がない。
【0028】
一方の支持軸53には、ピニオン54が取りつけられ、後述する縦枠材4aに設けられるラック14に噛合することにより、すべてのルーバー羽根2が同期して回動するように構成される。
【0029】
羽根本体50は合成樹脂製のものであり、図4図5に示すように矩形の板部材3を正面視でほぼ隙間なく格子状に並べた構成である。板部材3は、短手方向及び長手方向に連続して複数枚が配置されており、隣り合う板部材3は、連結部材5で連結される。また、隣り合う板部材3は、それぞれその厚み方向の位置が異なるように配置される。
【0030】
連結部材5は、ルーバー羽根2の厚み方向に細長い棒状の部材であり、隣り合う2つの板部材3の外縁同士を連結する。板部材3の1辺につき2つの連結部材が設けられており、連結部材5の間には、空隙6x、6yが形成される。空隙6x、6yは、板部材3の厚み方向に主面を有し、ルーバー羽根2を正面視したときには、ほとんど視認することができず、ルーバー羽根2の遮光性にほとんど影響を及ぼさない。一方で、隣り合う板部材3の空隙6x、6yによって、ルーバー羽根2厚み方向に通風性を確保することができる。
【0031】
隣り合う板部材3の厚み方向の配置位置の幅Dは、後述するルーバー羽根2の通風性及び遮光性に考慮し、板部材3のサイズに応じた寸法関係をも満たすように構成することができる。本実施形態では、板部材3の一辺の寸法Aの約1/3となるように設計されており、ルーバー羽根2の斜めからの遮光性及び適度の通風性を確保している。
【0032】
板部材3と連結部材5は一体的に構成されており、例えば、射出成型などの手段により羽根本体50全体として製造される。
【0033】
羽根本体50の両端に軸受51及びピニオン54を嵌め込んでルーバー羽根2を形成し、これを縦枠材4aに設けられている差込穴15に嵌め込んでルーバー装置1を形成する。
【0034】
縦枠材4aは、底壁11と外側壁12及び内側壁13とを有する断面コの字状に構成されており、内部にラック14を収容することができるようになっている。内側壁13には、ルーバー羽根2の寸法に応じた一定の間隔ごとに差込穴15が設けられており、この差込穴15に軸受の支持軸53を挿入し、ピニオン54を支持軸に固定する。このとき、それぞれのルーバー羽根2の各ピニオン54とラック14は噛合するように構成されており、1つのルーバー羽根2の回動動作に他のルーバー羽根が同期して回動する。
【0035】
次に、ルーバー羽根2と入射光及び通風との関係について、図7〜8を参照して説明する。図7は、閉じた状態のルーバー羽根の配置構成を模式的に示す断面図である。また、図8は、開いた状態のルーバー羽根の配置構成を模式的に示す断面図である。
【0036】
上記したルーバー羽根2は、例えば四季それぞれに対応した角度に回動させることができ、例えば図7には、例えば照射光の入射を防ぐように閉じた第一の閉姿勢を示している。このとき、ルーバー羽根2の板部材3は、平面視してその主面に沿ってほぼ同じ方向に配列されているため、板部材3の主面により遮光性が確保される。
【0037】
一方、ルーバー羽根2の表面は、板部材の厚み方向の配置位置が異なるようになっているため、当該板部材3の間の空隙6x、6yは開放された状態となっている。すなわち、当該空隙6x、6yを通して矢印91に示すように、通風性を確保することができる。これにより、採風を行いながらも照射光が室内側に差し込むことがない。
【0038】
また、図8に示すように、ルーバー羽根2を回動させて、上側のルーバー羽根2と下側のルーバー羽根2との間の隙間10を大きくした開姿勢においては、隙間10を通じて照射光を室内側に十分に取り込むことができ、所望の明るさの採光を行うことができる。また、通風性も当該隙間10を通して行うほかに、空隙6x、6yもルーバー装置に対して直線的に配列されるため、通風経路の抵抗を小さくすることができ、通風性を向上させることができる。
【0039】
次に、第2〜第3の実施形態に係るルーバー羽根について、簡単に説明する。図9は、本発明の第2実施形態にかかるルーバー羽根の板部材の配置構成を示す図、図10は、本発明の第3実施形態にかかるルーバー羽根の板部材の配置構成を示す図である。これらの実施形態においては、ルーバー羽根20、30をそれぞれ構成する板部材21,31の形状が第1実施形態と異なり、当該板部材21,31の形状に応じて連結部材22,32の取り付け位置等が異なるものである。
【0040】
第2実施形態においては、三角形の板部材21を適宜組み合わせて用い、中央に位置するひし形状の板部材21の間にごく小さい通風口23を設けている。それぞれの板部材21の外縁には、連結部材22が設けられており、板部材21を厚み方向に異なる位置に配列させる。連結部材22の間には、空隙24が設けられており、通風性を確保することができる。
【0041】
第3実施形態においては、六角形の板部材31を適宜組み合わせて用いる。それぞれの板部材31の外縁には、連結部材32が設けられており、板部材31を厚み方向に異なる位置に配列させる。連結部材32の間には、空隙34が設けられており、通風性を確保することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態にかかるルーバー装置は、ルーバー羽根を、複数枚の板材を組み合わせて、厚み方向の高さ位置が異なるように構成することで、隣り合う板材の間に厚み方向の空隙が形成される。このため、当該空隙を通風のために利用することができる。また、ルーバー羽根同士の隙間が大きくなるように支持軸周りに回動した場合であっても、板材はルーバー羽根の主面に沿って配列されているため、板材によって透光性が悪くなることがない。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。たとえば、上記実施形態では、ルーバー羽根が回動する回動式のものを説明しているが、各実施形態におけるルーバー本体と同様の構成のルーバー羽根を短手方向に配列することで、遮光及び目隠しを確実に行うことができると共に通風性がよい目隠し材とすることができる。したがって、強風などによる破損や壁倒れなどの問題を解消することができる壁材としても使用することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ルーバー装置
2,20,30 ルーバー羽根
3,21,31 板部材
4 固定枠
4a 縦枠材
4b 横枠材
5,22,32 連結部材
6x,6y,24,34 空隙
7 固定穴
8 掛止穴
10 隙間
11 底壁
12 外側壁
13 内側壁
14 ラック
15 差込穴
50 羽根本体
51 軸受
52 挟持壁
53 支持軸
54 ピニオン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10