特許第6130812号(P6130812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エム・テックの特許一覧 ▶ 大和ハウス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6130812-床構造 図000002
  • 特許6130812-床構造 図000003
  • 特許6130812-床構造 図000004
  • 特許6130812-床構造 図000005
  • 特許6130812-床構造 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130812
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】床構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/20 20060101AFI20170508BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   E04F15/20
   E04B5/43 H
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-96735(P2014-96735)
(22)【出願日】2014年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-214804(P2015-214804A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2014年9月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306003327
【氏名又は名称】株式会社エム・テック
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】松野 浩史
(72)【発明者】
【氏名】土肥 政男
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−047609(JP,A)
【文献】 実開平04−037710(JP,U)
【文献】 特開2002−106099(JP,A)
【文献】 特開2002−201737(JP,A)
【文献】 実開平04−120811(JP,U)
【文献】 特開昭61−053959(JP,A)
【文献】 特開昭61−261047(JP,A)
【文献】 特開平09−221850(JP,A)
【文献】 特開平10−227085(JP,A)
【文献】 特開平11−324295(JP,A)
【文献】 特開2000−120257(JP,A)
【文献】 特開2013−076274(JP,A)
【文献】 特開平11−032495(JP,A)
【文献】 特開平04−297654(JP,A)
【文献】 特開2002−115348(JP,A)
【文献】 特開2014−020067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/20
E04B 5/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート板と床板材とを組み合わせて構成する床構造であって、
コンクリート板上面に遮音材、制振マットおよび床板材を、前記制振マットを前記遮音材および前記床板材によって挟むように重合して配置して構成し、
前記遮音材はケイ酸カルシウム板であり、
前記コンクリート板上面に所定の間隔をもって台形状のリブを複数突設し、
前記リブと前記遮音材との間にリブ上防振材を配置し、
前記リブ上防振材は、単一のリブ上においては所定の間隔をもって複数配置することを特徴とする、
床構造。
【請求項2】
請求項1に記載の床構造において、
前記コンクリート板を梁上に配置し、
前記コンクリート板と前記梁との間に梁上防振材を配置することを特徴とする、
床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音性に優れた床構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、遮音性能や床衝撃音低減性能(以下、合わせて「遮音性」とする)の向上を目的とした床構造として、平板状のコンクリート板上の角材を配置し、その上に床板材を配置する構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−348986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した床構造には、以下のような問題点があった。
(1)遮音性を向上するためには、コンクリート板を厚くする必要があった。
(2)厚いコンクリート板は高重量であるため、運搬・建方コストが大きかった。
【0005】
本発明は、コンクリート板と遮音材、制振材を組み合わせることによって、遮音性を向上するとともに、運搬・建方コストを削減した床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決する本発明の床構造は、コンクリート板と床板材とを組み合わせて構成する床構造であって、コンクリート板上面に遮音材、制振マットおよび床板材を、前記制振マットを前記遮音材および前記床板材によって挟むように重合して配置して構成し、前記遮音材はケイ酸カルシウム板であり、前記コンクリート板上面に所定の間隔をもって台形状のリブを複数突設し、前記リブと前記遮音材との間にリブ上防振材を配置し、前記リブ上防振材は、単一のリブ上においては所定の間隔をもって複数配置することを特徴とするものである。
また、前記コンクリート板を梁上に配置し、前記コンクリート板と前記梁との間に梁上防振材を配置するものである
【発明の効果】
【0007】
本発明の床構造は以上説明したようになるから、次のような効果のいずれかを得ることができる。
(1)コンクリート板の上面に、遮音性能を有する不燃性の遮音材を配置するため、コンクリート板を薄くしても床構造としての遮音性能および耐火性能を維持できる。
(2)コンクリート板が薄く軽量となるため、運搬・建方コストを削減できる。
(3)コンクリート板が薄く軽量となるため、大型重機の使えない狭小地での施工が可能となる。
(4)コンクリート板上面にリブを突設することにより、コンクリート板の剛性をたかめ、衝撃音を低減できる。
(5)リブを台形状にすることにより、リブ間の空隙も台形状となり、空隙内の空気伝播音を拡散して共振を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の床構造の説明図
図2】本発明の床構造の断面図
図3】その他実施例にかかる床構造の断面図(1)
図4】その他実施例にかかる床構造の説明図
図5】その他実施例にかかる床構造の断面図(2)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0010】
<1>基本的構成
本発明の床構造は、コンクリート板1と、コンクリート板1上面に配置する遮音材2、制振マット3および床板材4により構成する(図1、2)。
【0011】
<2>コンクリート板
コンクリート板1は矩形の平板である。
コンクリート板1の内部には、鉄筋などの補強材(図示せず)を配置する。
コンクリート板1はプレキャストコンクリート板であり、剛性が高く、薄型である。
【0012】
<3>遮音材
遮音材2はケイ酸カルシウム板である。
ケイ酸カルシウム板は軽量であり、遮音性能を有する。また、不燃性である。
遮音材2が遮音性能を有するため、コンクリート板1を薄くしても床構造全体の遮音性能は維持される。
また、ケイ酸カルシウム板は不燃性であるため、コンクリート板1を薄くしても床構造としての耐火性能は維持される。
遮音材2はコンクリート板1の上面に配置する。
【0013】
<4>制振マット
制振マット3は、アスファルトマットである。
アスファルトマットは高比重で可撓性を有し、制振・遮音性能を有する。
制振マット3は、遮音材2の上面に配置する。
【0014】
<5>床板材
床板材4は床仕上材であり、制振マット3の上面に配置する。
【0015】
<6>遮音効果
<6−1>コンクリート板の剛性による遮音効果
コンクリート板1は内部に補強材を設けるため、高剛性となる。
コンクリート板1が高い剛性性能を有することにより、コンクリート板1により衝撃音を低減する。
【0016】
<6−2>遮音材、制振マットによる遮音効果
本発明の床構造は遮音材2や制振マット3を有する。
遮音材2や制振マット3によって、固体伝播音を低減する。
【0017】
<6−3>重合による遮音効果
本発明の床構造を構成するコンクリート板1、遮音材2、制振マット3、床板材4は全て材質が異なる。
本発明の床構造は、これらの異なる材質のものを重合して構成するため、共振を生じにくく、遮音効果が高い。
また、可撓性を有する制振マット3を硬質の遮音材2および床板材4によって挟むように重合することにより、制振マット3の制振効果が大きく発揮される。
【0018】
<7>コンクリート板の軽量化による効果
コンクリート板1を薄くすることによりコンクリート板1が軽量となり、運搬・建方コストが削減できる。また、大型重機の使えない狭小地での施工も可能となる。
また、コンクリート板1が軽量になることにより、建築物躯体の負担を低減できる。
【0019】
[その他実施例]
<1>梁上防振材
本発明の床構造は梁材5によって支持するが、梁材5とコンクリート板1との間に梁上防振材6を配置し、梁上防振材6によってコンクリート板1を支持してもよい(図3)。
梁上防振材6はポリウレタンや合成ゴム等のエラストマーからなる粘弾性を有する板体である。
粘弾性を有する梁上防振材6によって床構造のコンクリート板1を支持することにより、梁材5や柱に伝わる振動を低減することができる。
【0020】
<2>リブ付きコンクリート板
上記実施例においては、コンクリート板1は平板であったが、コンクリート板1上面に、複数のリブ11を突設した、リブ付きコンクリート板でもよい(図4、5)。
【0021】
<2−1>リブ
リブ11は、所定の間隔を設けて長手方向に平行に設ける。
リブ11は、断面が台形状に形成する。
コンクリート板1はリブ11によってさらに高剛性となり、衝撃音を低減する。
【0022】
<2−2>リブ上防振材
リブ11の上面にはリブ上防振材7を配置し、リブ上防振材7によって、遮音材2を支持する。
リブ上防振材7はエラストマーからなる板体である。
リブ上防振材7は単一のリブ11上において連続して設けてもよいし、所定の間隔をもって複数配置してもよい。
リブ11上にリブ上防振材7を配置するため、コンクリート板1と遮音材2との接触面積が小さくなり、コンクリート板1に伝わる振動を低減する。
【0023】
<2−3>空隙
コンクリート板1のリブ11上にリブ上防振材7および遮音材2を配置することにより、コンクリート板1、リブ11、リブ上防振材7および遮音材2によって包囲される空隙8が形成される。
空隙8は断面が逆台形状であり、コンクリート板1の長手方向に連続している。
遮音材2の上面には可撓性を有する制振マット3が配置されているが、遮音材2があるため、空隙8内部に制振マット3が垂れ下がることがない。
床板材4上面からの床衝撃音は制振マット3および遮音材2によって低減されて、空隙8に伝播される。
空隙8は逆台形状であるため、空隙8底面やリブ11の斜面で空気伝播音が反射・拡散することにより、共振を防止する。
【符号の説明】
【0024】
1 コンクリート板
11 リブ
2 遮音材
3 制振マット
4 床板材
5 梁材
6 梁上防振材
7 リブ上防振材
8 空隙
図1
図2
図3
図4
図5