【実施例】
【0010】
<1>基本的構成
本発明の床構造は、コンクリート板1と、コンクリート板1上面に配置する遮音材2、制振マット3および床板材4により構成する(
図1、2)。
【0011】
<2>コンクリート板
コンクリート板1は矩形の平板である。
コンクリート板1の内部には、鉄筋などの補強材(図示せず)を配置する。
コンクリート板1はプレキャストコンクリート板であり、剛性が高く、薄型である。
【0012】
<3>遮音材
遮音材2はケイ酸カルシウム板である。
ケイ酸カルシウム板は軽量であり、遮音性能を有する。また、不燃性である。
遮音材2が遮音性能を有するため、コンクリート板1を薄くしても床構造全体の遮音性能は維持される。
また、ケイ酸カルシウム板は不燃性であるため、コンクリート板1を薄くしても床構造としての耐火性能は維持される。
遮音材2はコンクリート板1の上面に配置する。
【0013】
<4>制振マット
制振マット3は、アスファルトマットである。
アスファルトマットは高比重で可撓性を有し、制振・遮音性能を有する。
制振マット3は、遮音材2の上面に配置する。
【0014】
<5>床板材
床板材4は床仕上材であり、制振マット3の上面に配置する。
【0015】
<6>遮音効果
<6−1>コンクリート板の剛性による遮音効果
コンクリート板1は内部に補強材を設けるため、高剛性となる。
コンクリート板1が高い剛性性能を有することにより、コンクリート板1により衝撃音を低減する。
【0016】
<6−2>遮音材、制振マットによる遮音効果
本発明の床構造は遮音材2や制振マット3を有する。
遮音材2や制振マット3によって、固体伝播音を低減する。
【0017】
<6−3>重合による遮音効果
本発明の床構造を構成するコンクリート板1、遮音材2、制振マット3、床板材4は全て材質が異なる。
本発明の床構造は、これらの異なる材質のものを重合して構成するため、共振を生じにくく、遮音効果が高い。
また、可撓性を有する制振マット3を硬質の遮音材2および床板材4によって挟むように重合することにより、制振マット3の制振効果が大きく発揮される。
【0018】
<7>コンクリート板の軽量化による効果
コンクリート板1を薄くすることによりコンクリート板1が軽量となり、運搬・建方コストが削減できる。また、大型重機の使えない狭小地での施工も可能となる。
また、コンクリート板1が軽量になることにより、建築物躯体の負担を低減できる。
【0019】
[その他実施例]
<1>梁上防振材
本発明の床構造は梁材5によって支持するが、梁材5とコンクリート板1との間に梁上防振材6を配置し、梁上防振材6によってコンクリート板1を支持してもよい(
図3)。
梁上防振材6はポリウレタンや合成ゴム等のエラストマーからなる粘弾性を有する板体である。
粘弾性を有する梁上防振材6によって床構造のコンクリート板1を支持することにより、梁材5や柱に伝わる振動を低減することができる。
【0020】
<2>リブ付きコンクリート板
上記実施例においては、コンクリート板1は平板であったが、コンクリート板1上面に、複数のリブ11を突設した、リブ付きコンクリート板でもよい(
図4、5)。
【0021】
<2−1>リブ
リブ11は、所定の間隔を設けて長手方向に平行に設ける。
リブ11は、断面が台形状に形成する。
コンクリート板1はリブ11によってさらに高剛性となり、衝撃音を低減する。
【0022】
<2−2>リブ上防振材
リブ11の上面にはリブ上防振材7を配置し、リブ上防振材7によって、遮音材2を支持する。
リブ上防振材7はエラストマーからなる板体である。
リブ上防振材7は単一のリブ11上において連続して設けてもよいし、所定の間隔をもって複数配置してもよい。
リブ11上にリブ上防振材7を配置するため、コンクリート板1と遮音材2との接触面積が小さくなり、コンクリート板1に伝わる振動を低減する。
【0023】
<2−3>空隙
コンクリート板1のリブ11上にリブ上防振材7および遮音材2を配置することにより、コンクリート板1、リブ11、リブ上防振材7および遮音材2によって包囲される空隙8が形成される。
空隙8は断面が逆台形状であり、コンクリート板1の長手方向に連続している。
遮音材2の上面には可撓性を有する制振マット3が配置されているが、遮音材2があるため、空隙8内部に制振マット3が垂れ下がることがない。
床板材4上面からの床衝撃音は制振マット3および遮音材2によって低減されて、空隙8に伝播される。
空隙8は逆台形状であるため、空隙8底面やリブ11の斜面で空気伝播音が反射・拡散することにより、共振を防止する。