特許第6130826号(P6130826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130826
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】フィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/08 20060101AFI20170508BHJP
   B01D 46/02 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B01D27/08
   B01D46/02 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-505736(P2014-505736)
(86)(22)【出願日】2012年4月18日
(65)【公表番号】特表2014-514149(P2014-514149A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】IB2012000799
(87)【国際公開番号】WO2012143793
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年2月10日
(31)【優先権主張番号】RE2011A000028
(32)【優先日】2011年4月20日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511015456
【氏名又は名称】ユーエフアイ イノベーション センター ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジオ ジロンディ
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−24720(JP,U)
【文献】 特表2004−533573(JP,A)
【文献】 特表2007−518014(JP,A)
【文献】 特開2009−50816(JP,A)
【文献】 特表2001−512365(JP,A)
【文献】 米国特許第5928513(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 27/00−27/14
B01D 29/00−29/96
B01D 46/00−46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に縦軸線(A)を有する筒状のフィルタ膜(33)と、該フィルタ膜(33)の軸端部に取り付けられた少なくとも1つの支持要素(31)とを備えたフィルタカートリッジ(30)であって、
前記支持要素(31)が、前記縦軸線(A)に平行な軸方向に押圧されることで径方向に撓むことができる少なくとも1つの弾性可撓歯(36)を備え、
該弾性可撓歯(36)が、
前記支持要素(31)に対向し、平坦かつ、前記縦軸線(A)に対して垂直な平面上にある係合面(37)と、
前記縦軸線(A)を含むラジアル平面上に存在しない傾斜部分を有し、前記フィルタカートリッジ(30)を縦軸線(A)回りに摺動回転させることによって前記弾性可撓歯(36)を径方向に撓ませることができる傾斜側面(38)と、
該傾斜側面(38)に対向し、前記縦軸線(A)を含むラジアル平面上にある平坦な形状を呈する第1の側面と、を備えるフィルタカートリッジ(30)。
【請求項2】
請求項に記載のフィルタカートリッジ(30)と、
流体のための少なくとも1つの通路穴と、フランジ(21)と、該フランジ(21)から軸方向に突出するアペンデージ(23)と、を備える支持体本体と、を備え、
該アペンデージ(23)が、少なくとも1つの係合座(24)を有し、
前記アペンデージ(23)が、
前記フランジ(21)に対して平行かつ、前記フィルタカートリッジ(30)の前記フィルタ膜(33)の前記縦軸線(A)に対して垂直な平面であって、平坦な形状を呈する当接面(25)と、
前記弾性可撓歯(36)の前記傾斜側面(38)に対して補完的な形状を有する離脱斜面(28)を画定する第2の側面と、
該離脱斜面(28)に対向し、前記ラジアル平面上にある平坦な形状を呈する第3の側面、を有し、
前記係合座(24)が、該通路穴と連通する密閉容積を区切るように前記支持体本体を前記支持要素(31)に案内し、フィルタカートリッジ(30)の前記弾性可撓歯(36)にスナップ係合するフィルタ(10)。
【請求項3】
前記アペンデージ(23)の自由端が、前記係合座(24)に向けて収束し、前記弾性可撓歯(36)の前記係合面(37)を、前記当接面(25)側に導く少なくとも1つの案内面(27)を備える請求項に記載のフィルタ(10)。
【請求項4】
前記係合座(24)に前記弾性可撓歯(36)を入れるために、前記係合座(24)に向けて収束し、それぞれ前記当接面(25)に対して傾斜する平面を画定する2つの案内面(27)を備える請求項に記載のフィルタ(10)。
【請求項5】
前記離脱斜面(28)が、前記アペンデージ(23)の内壁として画定され、前記当接面(25)から前記弾性可撓歯(36)の係合を外すために前記係合座(24)から始まり、径方向の外方から内方に向けて厚さが次第に大きくなる請求項に記載のフィルタ(10)。
【請求項6】
前記離脱斜面(28)は、前記アペンデージ(23)の前記外方と前記内方とを接続する傾斜平面を画定し、前記弾性可撓歯(36)に係合している前記離脱斜面(28)が、前記フィルタカートリッジ(30)を前記縦軸線(A)回りに回転させることによって、前記係合座(24)から遠ざかるように前記弾性可撓歯(36)を前記径方向に撓ませる請求項に記載のフィルタ(10)。
【請求項7】
前記弾性可撓歯(36)の前記傾斜側面(38)が、前記当接面(25)から前記弾性可撓歯(36)の係合を外すために、前記支持体本体に対して前記フィルタカートリッジ(30)を軸回りに回転させることによって、前記係合座(24)の前記離脱斜面(28)に接触する請求項に記載のフィルタ(10)。
【請求項8】
前記フィルタカートリッジ(30)と前記支持体本体との間に挟まれ、前記弾性可撓歯(36)と前記係合座(24)との間のスナップ係合によってその間で圧縮される少なくとも1つのシールリング(40)を備えた請求項に記載のフィルタ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタカートリッジおよび関連するフィルタに関する。本発明は、主に内燃機関内に送られる燃焼空気のためのフィルタに関するが、該フィルタは排気ガス、オイル又は燃料などの他の流体の濾過のために用いられてもよい。
より詳細には、本発明は、特に大流量空気のろ過が必要とされる応用、例えば貨車、バス、商用車および作業機械のような自動車応用、又は産業応用におけるフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、自動車分野又は産業分野において空気のろ過は、概して、ろ過すべき流体のための入口とろ過された流体の出口を有する外部ケーシングと、ろ過すべき流体のための入口に連通する、例えば外側のチャンバを画定するのに適したフィルタカートリッジとを備えるフィルタによって行われる。
【0003】
このようにして、入口から出口に向けて流れる流体は、そこに存し得る不純物を捕捉するフィルタ膜を横切ることになる。
【0004】
典型的なフィルタカートリッジは、筒状フィルタ膜および上側と下側の2つの支持プレートを備え、それら支持プレートは、フィルタ膜の両端に取り付けられる。
【0005】
支持プレートのうちの少なくとも1つには、通常、フィルタ膜の縦軸線に芯合わせされた中央穴が設けられ、フィルタ膜が内部から外部に向けて横切るように構成される場合には、その中央穴を通してフィルタ膜の内部容積がろ過すべき流体の入口に連通して配置され、フィルタ膜が外部から内部に向けて横切るように構成される場合にはその中央穴を通してフィルタ膜の内部容積がろ過された流体の出口に連通して配置される。
【0006】
ケーシングは、このタイプの空気フィルタにおいては概して、支持体本体を備え、支持体本体はフランジ(又はプレート)に一致し、出口を画定する穴を備え、フィルタ膜の内部チャンバと連通するようにセットされる。
【0007】
知られているように、このタイプのフィルタによってろ過される空気の流速を高めるために、例えば低い負荷損値を課すなど、少なくとも空気の通路がこの分野の基準と規格によって設定されるような一定値を超えることないように、フィルタカートリッジは相当な寸法を必然的に呈しなければならない。
【0008】
フィルタカートリッジの寸法が重要であるために、これらの応用においてその取付けおよび交換はそれを運転および操作のステップに繋がる問題となる。
【0009】
フィルタカートリッジの取付けを専門とする人員の作業を軽減しようとして、従来技術はケーシングに(例えばビーカー本体又は支持プレートのカバーに)フィルタカートリッジを着脱自在に係合するためのさまざまな解決策を提供する。
【0010】
これらの解決策の第1のタイプは、差込みピンタイプ係合を利用するものであり、このタイプの係合は、フィルタカートリッジに画定された少なくとも2つの異形突起(profiled protrusion)を備え、各突起は、フィルタカートリッジが支持フランジの方に短く軸線方向に移動して結果的にフィルタカートリッジの軸線の周りに少し回転することによって係合が行われるように、フィルタカートリッジに形成される特定の溝に挿入されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これらのバヨネット結合(bayonet coupling)は、主に係合の複雑さを要することに起因するいくつかの欠点を呈する。
【0012】
それは通常、フィルタカートリッジおよび支持フランジ(又はケーシング)との間に相互回転をブロックする手段を備える必要があり、それは例えば可撓性要素、複雑形状又はねじ組織(threaded organ)を有する溝である。
【0013】
それらのブロッキングシステムは、一方では、フィルタカートリッジの交換が繰り返された後は特に、とりわけ信頼できず、時間とともにまったく耐性がなくなり、他方では、それらはフィルタカートリッジを交換するための保守業務のための時間上のコストだけでなく、フィルタカートリッジおよびケーシング(支持フランジ)の生産コストの増大につながる。
【0014】
第2の公知のタイプの係合、すなわち上記バヨネット結合の変形例は、軸線方向のスナップ係合を備えているものの、フィルタカートリッジの重量と大きな寸法により係合手段の正確な位置決めを評価困難にするので、ろ過すべき流体の高流速が存在する空気フィルタに利用されるものではない。
【0015】
さらに、かなりの重量のあるフィルタカートリッジの係合を確保する必要性は、必然的に取り外すのが難しい軸線方向のスナップフィットとなることに繋がってしまう。
【0016】
本発明の目的は、単純で合理的で且つ比較的廉価の解決策の範疇で上記の欠点を解決することにある。
【0017】
これらの目的は、独立請求項に記載される本発明の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の好ましい態様および/または特に好都合な態様を示している。
【課題を解決するための手段】
【0018】
特に、本発明は、フィルタ膜と、少なくともフィルタ膜に取り付けられてフィルタカートリッジと支持体本体との間の近傍の軸線に沿う相互移動によって支持体本体に対してスナップ係合するようになっているスナップ係合要素を有する支持要素と、を備えるフィルタカートリッジを提供する。
【0019】
本発明において、支持要素は、フィルタカートリッジと支持体本体とを軸線について相互に回転することによって、支持体本体からスナップフィット要素を離脱させるようになっている離脱手段を備える。
【0020】
この解決策によれば、フィルタカートリッジの離脱作業が容易になり、十分な剛性と耐性があり相当な重量のフィルタカートリッジを支持するのに適した掛止要素(hooking element)を利用することができる。
【0021】
さらに、この解決策によれば、このフィルタは使用上の信頼性が高く、比較的廉価であり、この分野において通常用いられるバヨネット結合システムを実現し易い。
【0022】
フィルタ膜は有利には、フィルタカートリッジの縦軸線である軸線に沿って延在する長手形状を呈し、さらに例えばフィルタ膜は縦軸線に沿って実質的に一定の横断断面を呈する。
【0023】
本実施形態において、係合手段は、支持体本体とフィルタカートリッジとを互いに着脱自在に拘束するように、例えば支持プレートに対してフィルタカートリッジを軸方向に少し移動することによって、支持体本体にフィルタカートリッジの軸線に対する横断方向におけるスナップ係合による補完的な嵌合を生じさせる弾性可撓歯を備える。
【0024】
この解決策により、フィルタカートリッジの取り付けは明らかに簡単で迅速になる。
【0025】
本発明の更なる実施形態では、上記歯が径方向に対して傾斜する側面を備えることであり、例えばフィルタカートリッジの軸線について少し回転することによって、その傾斜側面が支持体本体から歯を離脱するために支持体本体と協働するようになっている離脱手段を画定する。
【0026】
これは、支持体本体からフィルタカートリッジを交換のために取り外す作業に特に好都合で迅速であることを意味する。
【0027】
さらに本発明では、少なくとも流体のための通路穴と、少なくとも通路穴と連通する密閉容積を区切るために支持体本体に関連づけられたフィルタカートリッジにスナップフィットする各係合要素と、を設けた支持体本体を備えるフィルタを提供する。
【0028】
支持体本体の各係合要素は有利には、当接面が設けられた係合座を備え、フィルタカートリッジの係合要素は、当接面に着脱自在に係合するようになっている。
【0029】
特に、フィルタの支持体本体は、少なくとも係合面に関連付けられてフィルタカートリッジの係合要素を当接面に向けて案内するのに適した案内面を備える。
【0030】
この解決策により、フィルタカートリッジは常に係合座の方に導かれるので、その座自体との係合要素の位置合わせが容易にされ、このように、フィルタカートリッジを支持するようになっている本体に対するフィルタカートリッジの移動が含まれることで、係合を達成することができる。
【0031】
さらに、本発明の実施形態では、フィルタの支持体本体は、係合座に係合要素を入れるために、係合座に向けて収束し、当接面はそれぞれ当接面に対する傾斜面を画定する。
【0032】
このようにして、フィルタカートリッジは、単に係合要素を1つの案内座上にスライドさせることで、各係合座に向けて支持プレートに対するその各係合座の位置のそれぞれに導かれる。
【0033】
係合手段は有利には、係合座の当接面からフィルタカートリッジの係合要素を離脱するために、支持体本体に実現される係合座に関連づけられた離脱斜面を備える。
【0034】
このようにして、フィルタカートリッジを支持するようになっている本体からフィルタカートリッジを離脱する作業は、より容易でより早くより信頼性が高い。
【0035】
離脱斜面は、フィルタカートリッジの軸線に対する横断方向に傾斜した平面を画定し、フィルタカートリッジをその軸について少し回転することで、その斜面は係合座から遠ざかるように歯をその方向に撓ませるようになっている。
【0036】
より一層有利には、フィルタカートリッジの歯の傾斜側面と係合座の離脱斜面は、当接面から歯を離脱させるために、支持体本体に対してフィルタカートリッジを軸回転させることによって、ドラッギング接触する状態になるようにした。
【0037】
また、支持体本体は、フィルタカートリッジに関連づけられ、しっかりと密閉するようになっているフランジと、フランジから延出されるアペンデージ(appendage)とを備え、係合座はアペンデージに実現される。
【0038】
また、支持プレートとフィルタカートリッジとの間の密閉性を確保する目的で、フィルタは、例えばフィルタカートリッジに関連づけられ、フィルタカートリッジと支持体本体との間に挟まれて、フィルタカートリッジの係合要素と支持体本体に実現される係合座との間のスナップ係合によってその間で圧縮されるシールリングを少なくとも備える。
【0039】
本発明の更なる特徴および利点は、添付図面の図を用いて非限定的な例によって提示される以下の説明を読むことにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明のフィルタの縦断面を示す不等角投影図である。
図2図1のIIの詳細図である。
図3図1フィルタにおけるフィルタカートリッジの側面図である。
図4図3を上方から見た図である。
図5図3のフィルタカートリッジの上側支持プレートの不等角投影断面図である。
図6図5の側面図である。
図7図4のVIIの拡大詳細図である。
図8図1フィルタの側面の詳細である。
図9図8を上方から見た図である。
図10図8のX−X断面図である。
図11図10の拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1に例示されるフィルタ10は、特に貨車のような大型車、バス、商用車又は自走式作業車のために、自動車分野に適用される空気フィルタである。
【0042】
フィルタ10は、ビーカー本体11(図3に示す)と、図中参照符号20によってその全体が示されるプレート形の支持体本体(支持プレート)を有する外部ケーシングを備え、その支持体本体は、ビーカー本体11を(例えばねじ組織などによって、直接的又は間接的にはカバーによって)気密に閉じ、ビーカー本体内に配列されるのに適したフィルタカートリッジ30を支持するのに適している。
【0043】
さらに、ビーカー本体11は、ろ過すべき空気のための入口穴12を画定する。
【0044】
支持プレート20は、例えば環状フランジにより上に位置してろ過される空気の流出路を画定する出口導管22を備える環状フランジ21によって画定される。
【0045】
出口導管22とは反対側において、支持プレート20は、環状フランジの周囲を画定するように、環状フランジ21の下方に突設する中空のアペンデージ(appendage)23を備える。
【0046】
複数の係合座24は、アペンデージ23に設けられ、実質的にフラットで環状フランジ21に平行な各当接面25を画定するようになっている、例えば側面の長穴(slot)である。
【0047】
各当接面25は、アペンデージ23において実現される側面の長穴の下縁によって画定される。
【0048】
アペンデージ23と、特にその下縁26は、各係合座24において2つの案内面27を備え、案内面27は各係合座24に対して反対側に配列され、係合座に向けて収束するように傾斜している(従って、一対の案内面は各係合座に関連付けられ、アペンデージ23に実現される)。
【0049】
各案内面27は、それぞれの係合座に向けて入口ゾーンを実現するように、当接面25によって画定される平面に対して傾斜する平面を呈する。
【0050】
言い換えれば、アペンデージ23の下縁26は、実質的に波状構造を呈し、案内面27によって画定され、縦軸線Aに垂直な方向に対して鋭角の傾斜を呈し、それぞれの一対の案内面27の傾斜は、反対の方向にそれらの中央に向けて収束するようになっている。
【0051】
2つの案内面27の間において、下縁26は、当接面25に平行で実質的にフラット形状を呈し、アペンデージ23の支持リブは実質的に下縁26のフラット形状と当接面25を離隔する。
【0052】
各係合座24の近傍において、アペンデージ23は、そのアペンデージ23の内側の側壁を画定する離脱斜面28(図11の詳細図に見ることができる)を呈し、離脱斜面28は、アペンデージ23の外側面と内側面との間で傾斜した接合面によって実現され、その接合面はアペンデージの外側面と内側面との間に比較的低い傾斜を有する突出形状を画定する。
【0053】
離脱斜面28におけるアペンデージ23の側面線図は、係合座24を画定する側面の長穴から始まって(径方向に)次第に大きくなる厚みを呈する。
【0054】
図において例示される実施形態において、アペンデージ23は、上から見て環状フランジ21に同軸な仮想円周上に等距離で一列に配置された6つの係合座24を呈する。
【0055】
環状フランジ21は、フィルタカートリッジ30に実質的に気密に関連づけられており、環状フランジ21の下面は、フィルタカートリッジ30に対向するようになっていて、シールリング40の静止ゾーンを画定し、シールリング40は、入口導管22とフィルタカートリッジとの間の密閉性を確保するように、環状フランジ21とフィルタカートリッジ30の間で圧縮して用いられるようになっている。
【0056】
フィルタカートリッジ30は、上側支持要素すなわち本実施形態における上側支持プレート31と、下側支持プレート32を備え、これらは筒状フィルタ膜33の両端に取り付けられ、フィルタカートリッジ30の実質的に円筒状の内部容積を区切り画定する。
【0057】
上側支持プレート31は、フィルタ膜33の縦軸線Aに芯合わせされる中央穴34を呈し、フィルタ膜33は環状フランジ21の中央穴によって、ろ過された空気の出口導管22に連通している。
【0058】
上記の構成により、フィルタカートリッジ30は、フィルタ膜33の内容積であるチャンバ35を画定し、ろ過された空気の出口導管22と連通する。
【0059】
複数の係合歯36は、フィルタ膜33と対向する上側支持プレート31の表面に形成され、係合歯36は上側支持プレートから起立して、上側支持プレート31の方に向く係合面37を画定する。係合面37は実質的に平坦で、フィルタ膜33の縦軸線Aに対して実質的に垂直な平面上にある。
【0060】
各係合歯36は、傾斜側面38(すなわち径方向に対して少なくとも傾斜した側面部を呈する)から更に成る。そして、アペンデージ23において実現される離脱斜面28に対して実質的に補完的な形状を有する。
【0061】
傾斜側面38の傾斜部分は、支持プレート20についての、フィルタカートリッジ30の縦軸線Aに対する(図10の波線矢印によって示される離脱方向への)少しの回転に伴って、アペンデージ23の離脱斜面28上又は係合座24の側壁上を係合歯36がすべり易くなるように、係合歯36の側面部上に斜角をつけてなる。
【0062】
係合歯36の傾斜側面38の反対側の側面は実質的にまっすぐであり(「まっすぐ(straight)」とは径方向の平面上にある平坦な形状を呈することを意味するものとする)、離脱方向とは反対方向における縦軸線Aに対するフィルタカートリッジ30と支持プレート20との相互回転をしっかりと止めるために、係合座24はそれぞれまっすぐな側面を呈する。
【0063】
特に、図において説明される実施形態においては、上側支持プレート51に画定される穴と同心の仮想円周上に平面図において一列に配置され、相互に等距離である6つの係合歯36がある。
【0064】
係合歯36のゾーン内には、上側支持プレート31に設けられそこから起立する環状リリーフ39が備えられ、環状リリーフ39は環状突起39と環状フランジ21との間で圧縮して用いられるシールリング40を支持する。
【0065】
上記記載に関して、フィルタ10は以下の通りに機能する。
【0066】
フィルタ10を組み立てるためには、フィルタカートリッジ30を軸線方向に近づけて、支持プレート20の各係合座24にフィルタカートリッジ30の係合歯36を係合すれば足り、フィルタカートリッジ30がどんな角度位置で挿入されても、係合歯36は先ずはアペンデージ23の下縁26と接触する。
【0067】
もし係合歯36が係合座24と位置が合っていなければ、案内面27の1つを有する下縁26の一部と接触し、フィルタカートリッジ30が支持プレート20に向けて軸線方向に押圧(および/または縦軸線Aについて少し回転)されると、各係合座24と位置が合うまで、係合歯36は案内面27上を摺動する。
【0068】
この位置において、係合歯36が、径方向に撓みつつ、係合座24からその下縁26を離隔するアペンデージ23の可撓性リップを通り超すように、フィルタカートリッジ30を軸線方向に更に移動することによって、係合歯36は、アペンデージ23に実現される側面の長穴それぞれに対してスナップ係合し、こうして係合座24に対してもスナップ係合する。
【0069】
特に、各係合座24案内面27は、それぞれの係合座24の各当接面25に安定して静止する。
【0070】
フィルタカートリッジ30を支持プレート20との係合から取り外すためには、係合歯36の傾斜側面38が係合座24の離脱斜面28に接触する方向(図10に示される)に、フィルタカートリッジを少し回転させれば足りる。
【0071】
各係合面37がそれぞれの当接面25から遠ざかるように、フィルタカートリッジ30を同方向に回転し続けることによって、傾斜側面38と離脱斜面28との間で相互にドラッギング(dragging)されることで係合歯36が径方向に撓み、このようにして、係合歯は支持プレート20から軸線方向に遠ざかるように摺動できるようになり、フィルタカートリッジ30は解放されて交換可能となる。
【0072】
実施形態では図面に示し、本明細書で上述したように、係合歯36はフィルタカートリッジ30(特に、その上側支持プレート31)に関連づけられ、係合座24は支持プレート20に実現されているが、係合座は、フィルタカートリッジ(例えばその上側支持プレート)と係合要素、すなわち係合歯に設ける代わりに、支持プレート又はケーシングのカバー又はフィルタカートリッジを支持するようになっている他のものに設けてもよい。
【0073】
さらに、この分野における技術専門家であれば、本願明細書において以下の特許請求の範囲に定められる本発明の範囲から逸脱することなく、上述したフィルタ10に技術的な応用に関する性質の他の多数の変更をすることができるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10-11】