【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、第1のセグメントと、第2のセグメントと、この第1及び第2のセグメントに連結されたエアロゾル発生基材とを含む喫煙物品が提供される。第1及び第2のセグメントの少なくとも一方は蒸気放出部を含
む。第1のセグメント及び第2のセグメントは、香味放出部を組み込んでいない空気流経路を形成するように相互作用し、これにより第1及び第2のセグメントは、喫煙物品が可変長を有するように第1の構成から第2の構成に相対的に可動になり、これにより第1の構成では蒸気放出部が実質的に空気流経路から隔離され、第2の構成では蒸気放出部が空気流経路に曝されるようになる。
【0008】
本明細書で使用する「空気流経路」という用語は、空気が喫煙物品内を、例えばエアロゾル発生基材のロッド側端部からエアロゾル発生基材自体を通って喫煙物品の唇側端部に流れる経路全体を意味する。
【0009】
「隔離される」という用語は、蒸気放出部内の蒸気成分が空気流経路内に放出されることが抑制され、従ってエアロゾルの感覚刺激特性に寄与する蒸気成分の能力が制限されることを意味する。これとは逆に、「曝される」という用語は、蒸気放出部内の蒸気成分が、隔離された構成に比べて空気流経路に開放され、喫煙者の感覚刺激感に寄与することを意味する。
【0010】
本明細書で使用する「長手方向の」という用語は、喫煙物品の中心軸に沿う方向を示し、「横方向の」という用語は、長手方向に対して垂直な方向を示す。「端面」及び「側面」という用語は、喫煙物品の要素の横方向に平行な面又は壁、及び喫煙物品の要素の長手方向に平行な面又は壁をそれぞれ示す。「唇側端部」及び「ロッド側端部」という用語は、喫煙者の口に最も近い喫煙物品の端部、及び喫煙者の口から最も遠い喫煙物品の端部をそれぞれ示す。
【0011】
このような第1及び第2の構成を有する喫煙物品を提供することにより、喫煙者は、オンデマンドによる蒸気放出という利点を有することができる。喫煙者は、蒸気レベルを実質的にゼロから制御するという利点を有することもできる。従って、喫煙者は、感覚刺激をより良く制御することができる。さらに、揮発性蒸気成分が空気流経路から実質的に隔離され、従って保存中に効果的に蒸気放出部内に保持されるようになるので、喫煙物品の保存期間を延ばすことができる。このようにして、第1及び第2のセグメントが第1の構成から第2の構成に動いた時点における所望の蒸気放出よりも前に、蒸気放出部内の蒸気成分をより良く封じ込めることができる。
【0012】
本発明のエアロゾル発生基材は、タバコ又は別のニコチン含有物質を含む。従って、本発明による喫煙物品は、タバコ材料を燃焼させるのではなく加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル発生基材を含むことができる。或いは、燃焼又は加熱を伴わずにタバコ材料、タバコ抽出物又はその他のニコチン源からニコチン含有エアロゾルを発生させることもできる。さらに別の例では、エアロゾル発生基材をタバコロッドなどとすることもできる。この場合、タバコロッドは、シガレット又はその他の可燃性喫煙物品のように、燃焼して煙の形のエアロゾルを生成するようになっているタバコ材料から形成されることが好ましい。
【0013】
「蒸気」という用語は、喫煙中に発生するエアロゾル又は煙に一定の効果を与えるために喫煙物品の要素に組み込むことができるあらゆる化学物質を示す。蒸気は、例えば、エアロゾルの1種類又はそれ以上の成分を減少させることができる物質とすることができる。或いは、蒸気は、喫煙物品内の1又はそれ以上の他の物質と反応して直接的又は間接的にエアロゾルを生成できる物質であってもよい。本発明の好ましい実施形態では、この蒸気が香味組成物であり、蒸気放出部には、この香味組成物が含められるようになっている。蒸気は、後で気化して蒸気をもたらす液体として香味放出部に含めることができる。
【0014】
以下の説明では、香味組成物が含められるようになっている香味放出部を参照しながら本発明を説明する。しかしながら、この教示を別の蒸気放出材料にも適用できることが明らかになるであろう。
【0015】
第1のセグメント及び第2のセグメントは、それぞれ喫煙物品の任意の要素とすることができ、喫煙物品に沿った任意の長手方向位置に位置することができる。第1のセグメント及び第2のセグメントは、喫煙物品のマウスピースの少なくとも一部を形成することが好ましい。第1のセグメント及び第2のセグメントは、喫煙物品の唇側端部に位置する多要素フィルタの少なくとも一部を形成することがより好ましい。
【0016】
第1のセグメント及び第2のセグメントは、香味放出部を空気流経路から実質的に隔離するように相互作用することができる。
より詳細には、第1のセグメント及び第2のセグメントは、香味放出部を組み込んでいない空気流経路を形成するように相互作用する。従って、第1の構成では、第1のセグメント及び第2のセグメントが、香味放出部を空気流経路から実質的に隔離するようになっている容器などのコンパートメントを形成するように配置されることが好ましい。第2の構成では、香味放出部が空気流経路に曝され、従って喫煙物品を第2の構成に動かすことにより、コンパートメントが空気流経路に開放されるようになる。
【0017】
第2の構成では、第1のセグメント及び第2のセグメントが、キャビティを定めるように配置されることが好ましい。このキャビティは、第1のセグメントの周囲に定められ、香味放出部から放出される香味成分と喫煙物品内を流れる空気流とが混合されるのを支援できることがより好ましい。
【0018】
第1のセグメント及び第2のセグメントは、第3の構成を提供するようにさらに適合させることができる。この第3の構成は、付加的香味放出部を空気流経路に曝すことができる。この付加的香味放出部は、香味放出部と同じ香味を含むことも、又は香味放出部とは異なる香味を含むこともできる。香味が同じものである場合、付加的香味放出部内の香味成分の濃度を、香味放出部内の香味成分の濃度と同じにすることも、或いはこれより低く又は高くすることもできる。第1のセグメント及び第2のセグメントは、第1の相対方向に移動して第1の構成から第2の構成に動くことができ、また第2の相対方向に移動して第3の構成に動くことができる。或いは、第1のセグメント及び第2のセグメントは、さらに第1の相対方向に移動して第3の構成に動くこともできる。第3の構成については、以下でさらに詳述する。
【0019】
第1の構成では、コンパートメントを、香味放出部から空気流経路内への揮発性又は液体香味物質の放出を阻止するように適合させることができる。このように、香味放出部を空気流経路から隔離して、喫煙物品が第2の構成になるまで香味放出部からの香味の放出が制限され又は完全に防がれるようにすることができる。上述したように、これにより喫煙物品の保存期間を延ばすことができる。香味が完全に隔離され、又は空気流経路内への放出が完全に防がれている場合、コンパートメントは、香味放出部を封じ込めるための密封領域を形成することができる。この密封領域は、気密領域とすることができる。
【0020】
好ましい実施形態では、第1の構成から第2の構成に動くために、セグメントが相対的に長手方向に動くだけでよい。この好ましい実施形態では、第1のセグメント及び第2のセグメントを、第1の構成から第2の構成に動くことも、又はコンパートメントを開放することもなく、喫煙物品の中心長手方向軸を中心に相対的に回転できるように構成することができる。或いは、第1のセグメントと第2のセグメントの間の相対的回転運動を防ぐための機構を喫煙物品に設けることもできる。この相対的回転運動を防ぐための機構は、第1のセグメント又は第2のセグメント上に設けられるガイド部と、それぞれの第2のセグメント又は第1のセグメントのガイド部と係合するように構成された対応部分とを含むことができる。このガイド部は、1つの長手方向チャネル又は複数の間隔を置いたチャネルとすることができる。
【0021】
第1のセグメント及び第2のセグメントにより形成されるコンパートメントが容器である場合、この容器の少なくとも1つの壁は第1のセグメントの壁から形成され、容器の少なくとも1つのさらなる壁は第2のセグメントの壁から形成されることが好ましい。いくつかの実施形態では、容器の2つの端壁が第1のセグメントの2つの端壁から形成され、容器の長手方向の1又は複数の壁が第2のセグメントの長手方向の1又は複数の壁から形成される。他の実施形態では、容器の2つの端壁が第2のセグメントの2つの端壁から形成され、容器の長手方向の1又は複数の壁が第1のセグメントの長手方向の1又は複数の壁から形成される。
【0022】
香味放出部内の香味物質が容器壁を通じて容器から自由に外に移動できないように、容器を形成する壁は実質的に不透過性であることが好ましい。第2の構成では、香味放出部内の香味物質をエアロゾル中に放出できるように、空気流経路に曝される香味放出部の壁の1つ又はそれ以上が透過性である。
【0023】
第1及び第2のセグメントは、喫煙物品が可変長を有するように相対的に可動であることが好ましい。第1のセグメントは、第2の構成にある時よりも第1の構成にある時の方が喫煙物品の長手方向の長さが短くなるように第2のセグメントに対して可動とすることができる。或いは、第2の構成にある時よりも第1の構成にある時の方が喫煙物品の長手方向の長さが長くなるようにしてもよい。
【0024】
香味放出部は、第1のセグメント内に存在しても、又は第2のセグメント内に存在してもよい。
【0025】
第1のセグメントが香味放出部を含む場合、第2のセグメントは、香味放出部の少なくとも一部を受け入れるようにされたキャビティを形成する。第2の構成では、この香味放出部の一部が部分的にキャビティ内に留まることが好ましい。この実施形態では、第2のセグメントを、好ましくは実質的に円形断面の空洞を定める中空円筒とすることができる。或いは、この断面形状を、楕円形、三角形又は矩形などの他のいずれかの好適な形状とすることもできる。この定められたキャビティ内に部分的に留まるセグメントを提供することにより、第2の構成にある喫煙物品の曲げ剛性を高めることができる。
【0026】
従って、好ましい実施形態では、第1のセグメントが、第2のセグメントにより定められるキャビティに挿入されるようにされた対応するロッドである。第2のセグメントが実質的に円形の中空円筒である場合、第1のセグメントは、実質的に対応する円形断面を有する細長いロッドであることが好ましい。この細長いロッドは、キャビティの断面形状に対応する断面形状を有し、第2のセグメントのキャビティ内で締まり嵌めを形成するようになっていることが好ましい。
【0027】
香味放出部は、実質的に不透過性の端面及び透過性の側面を有することができ、上記キャビティは、実質的に不透過性の内面を有し、第1の構成では、この不透過性の面が香味容器を形成して香味放出セグメントを空気流経路から隔離するようになる。
【0028】
別の実施形態では、第2のセグメントが、香味放出部を含むことができるとともに、第1のセグメントの少なくとも一部を受け入れるようにされたキャビティを定める。第1のセグメントは、透過性の端面及び実質的に不透過性の側面を有し、第2のセグメントは、透過性の内面及び実質的に不透過性の端面を有して、第1の構成では、不透過性の面が香味容器を形成して香味放出セグメントを空気流経路から隔離するようになる。
【0029】
喫煙物品は、2又はそれ以上の香味放出部を含むこともできる。各香味放出部は、異なる香味物質を含むことも、又は同じ香味物質を含むこともできる。
【0030】
第1の構成では、香味容器が、香味放出部を空気流経路から実質的に密封するように機能することができる。
【0031】
第1のセグメントは、香味放出部に連結されたフィルタセグメントをさらに含むことができる。この実施形態では、喫煙物品が、第2のセグメントに巻かれた第1のチップペーパー、及びフィルタセグメントに巻かれた第2のチップペーパーを含み、この第1及び第2のチップペーパーは、第1の構成では第1の距離だけ互いに重なり合い、第2の構成では第2の距離だけ重なり合うことがさらに好ましい。喫煙物品を長くして第1の構成から第2の構成に動かした場合、第1の距離よりも第2の距離の方が短い。喫煙物品を短くして第1の構成から第2の構成に動かした場合、第1の距離よりも第2の距離の方が長い。実施形態によって、第1のチップが第2のチップに巻かれる場合もあれば、第2のチップが第1のチップに巻かれる場合もある。外側のチップは外側チップと呼ぶことができ、内側のチップは内側チップと呼ぶことができる。
【0032】
第1及び第2のチップペーパーは、第1のセグメント及び第2のセグメントが長手方向に離れて動いた時に第1のチップペーパー及び第2のチップペーパーを共に保持するようにされた保持手段を含むことが好ましい。この保持手段は、第1及び第2のチップペーパー上に対向する特徴部を含むことができる。これらの特徴部は、チップペーパーの隆起部であることが好ましい。この隆起部は、チップペーパーを折り曲げることにより形成されることが好ましい。内側チップペーパー上の保持手段は、チップペーパーを喫煙物品の外側に向けて折り曲げることにより形成されることが好ましい。外側チップペーパー上の保持手段は、チップペーパーを喫煙物品の内側に向けて折り曲げることにより形成されることが好ましい。
【0033】
フィルタセグメントは、ロッド側端部セグメント又は唇側端部セグメントとすることができ、セルロースアセテートトウなどのフィルタ材料を含むことができる。或いは、フィルタセグメントはエアロゾルを濾過しなくてもよい。円筒状フィルタセグメントがフィルタである場合、フィルタは香味物質を含むことができる。香味物質は、香味スレッド上に含めることも、又は香味クリスタル、香味カプセルの形で提供することも、又はフィルタ材料上に直接含めることもできる。香味は、香味放出部に含められる香味と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。
【0034】
第1のセグメント及び第2のセグメントは、第2の構成から第1の構成にも可動とすることができ、これにより香味放出セグメントが実質的に隔離されるようになる。第2の構成から第1の構成にも可動である第1のセグメント及び第2のセグメントを提供することにより、香味の放出を元に戻せるという利点が得られる。従って、喫煙者は、喫煙物品の最初の喫煙中に香味を放出させ、その後、喫煙中のある時点で香味の放出を停止させるという選択肢を有することができる。
【0035】
第1のセグメント及び第2のセグメントは、第3の構成に可動とすることもできる。このような実施形態では、香味放出部が、第1の香味部分及び第2の香味部分を含むことが好ましい。上述したように、第1及び第2の部分は、各々が別個のコンパートメント又は容器を形成することができる。第1の構成では、第1及び第2の香味部分がいずれも空気流経路から隔離される。第2の構成では、第1の香味部分は空気流経路に曝されるが、第2の香味部分は空気流経路から隔離された状態を保つ。いくつかの実施形態では、第3の構成において、第1及び第2の香味部分がいずれも空気流経路に曝される。他の実施形態では、第3の構成において、第1の香味放出部分が隔離され、第2の香味放出部分が空気流経路に曝される。
【0036】
香味放出部の第1の部分は第1の香味成分を含むことができ、香味放出部の第2の部分は第2の香味成分を含むことができる。
【0037】
本発明のさらに別の態様によれば、第1のセグメント及び第2のセグメントが多要素フィルタを形成するようになっており、エアロゾル発生基材がタバコロッドである、本明細書で説明したような喫煙物品が提供される。第1の構成では、香味放出部が煙通路から実質的に隔離され、第2の構成では、香味放出部が煙通路に曝される。
【0038】
香味放出部には、香味料の形の少なくとも1種類の香味成分が含められる。香味放出部には、喫煙物品を通じて吸い込まれる主流エアロゾル中に香味を放出できるあらゆる香味料又は香味料の組み合わせを含めることができる。
【0039】
香味放出部には、同じ種類又は異なる種類の2種類又はそれ以上の香味料を含めることができる。例えば、香味放出部には、1種類又はそれ以上の天然香味料、或いは1種類又はそれ以上の合成香味料、或いは1種類又はそれ以上の天然香味料と1種類又はそれ以上の合成香味料の組み合わせを含めることができる。
【0040】
本発明における使用に適した香味料は当業で周知のものであり、以下に限定されるわけではないが、精油(例えば、桂皮精油、ユーカリ精油、ペパーミント精油及びスペアミント精油)、オレオレジン(例えば、ジンジャーオレオレジン及びクローブオレオレジン)、アブソリュート(例えば、ココアアブソリュート)、果実濃縮物、植物抽出物及び果実抽出物(例えば、ブルーベリー抽出物、クランベリー抽出物、ゼラニウム抽出物、緑茶抽出物、オレンジ抽出物及びバニラ抽出物)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
本発明における使用に適した他の香味料も当業では周知であり、以下に限定されるわけではないが、メントール、バニリン及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
本発明の特に好ましい実施形態では、香味放出部にメントールが含められる。
【0043】
香味放出部が複数の香味部分を含む場合、各部分に異なる香味を含めることも、又は濃度の異なる同じ香味を含めることもできる。或いは、各部分に香味の組み合わせを含めるようにして、各部分に異なる組み合わせを含めることも、濃度の異なる同じ組み合わせを含めることもできる。
【0044】
従って、本発明の喫煙物品によって様々な香味付け形態を提供することができる。上記で詳述した第1の形態は、喫煙物品が第1の構成にある時にはエアロゾルにさらなる香味を実質的に提供せず、第2の構成にある時にエアロゾルに単一の香味を加えることが好ましい。第2の形態は、喫煙物品が第1の構成にある時にはエアロゾルにさらなる香味を実質的に提供せず、第2の構成にある時に複数の香味を提供することが好ましい。第3の形態は、喫煙物品が第1の構成にある時にはエアロゾルに第1の香味を加え、第2の構成にある時にはエアロゾルに第2の香味を加えることが好ましい。この第3の形態では、第1及び第2の香味は同じものであっても、又は異なるものであってもよい。上記の香味付け形態のあらゆる好適な組み合わせも開示されると理解されたい。
【0045】
第3の構成を含む実施形態では、さらなる香味付け形態が提供される。第4の形態は、喫煙物品が第1の構成にある時にはエアロゾルにさらなる香味を実質的に提供せず又は最初の香味を提供し、第2の構成にある時にはエアロゾルに第1の香味を加え、第3の構成にある時にはエアロゾルに第2の香味を加えることが好ましい。この実施形態では、第1及び第2の香味は同じものであっても、又は異なるものであってもよい。
【0046】
本発明で使用する香味放出部の香味送達レベルは、喫煙物品が第1の構成にある時と第2の構成にある時の両方において喫煙中に香味放出部から放出される香味成分の量を求めることにより実証することができる。例えばISO条件下で好適な試験を設定して、喫煙物品の喫煙時に喫煙物品の空気流経路内に放出される香味成分の総量を(例えば、マイクログラム単位で)測定することができる。例えば、喫煙中に、主流煙の粒子相を好適なトラップ又はフィルタ内に収集し、次にこの収集した煙サンプルを好適な溶媒中で抽出し、ガスクロマトグラフィを用いて分析して煙中の様々な成分のレベルを特定することができる。
【0047】
このような喫煙中に放出されるメントールの量を定量化する方法の1つの例に、煙中メントール(MIS)試験がある。当業者であれば、代わりに同様の試験を使用して、空気流経路内に放出され得る他の蒸気成分の量を定量化することもできると理解するであろう。
【0048】
このような方法を用いて測定すれば、喫煙物品が第1の構成にある間に数多くの喫煙物品を完全に試験することにより、第1の構成にある喫煙物品の喫煙中に放出される香味料のレベルを測定することができる。また、喫煙物品が第2の構成にある間に数多くの喫煙物品を完全に試験することにより、第2の構成にある喫煙物品の喫煙中に放出される香味料のレベルを測定することもできる。第1の構成では、放出される香味料の量が約0.5mg未満であることが好ましく、約0.1mg未満であることがより好ましく、約0.05mg未満であることが最も好ましい。これに加え又はこれとは別に、第1の構成において放出される香味料の量は約0.01mgよりも多い。第1の構成において放出される香味料の量は検出不能であることがより好ましい。第2の構成では、放出される香味料の量が第1の構成において測定される香味料の量よりも多く、約0.5mgよりも多いことが好ましく、約0.8mgよりも多いことがより好ましく、約1.0mgよりも多いことが最も好ましい。これに加え又はこれとは別に、第2の構成において放出される香味料の量は約2.0mg未満である。これに加え又はこれとは別に、第2の構成において放出される香味料の量は、第1の構成において放出される香味料の量の少なくとも約1.5倍であることが好ましく、少なくとも約2.0倍であるであることがより好ましい。これに加え又はこれとは別に、第2の構成において放出される香味料の量は、第1の構成において放出される香味料の量より少なくとも約0.3mg多く、少なくとも約0.5mg多いことがより好ましい。好ましい実施形態では、上述した香味料レベルが全て煙中メントールに関する。
【0049】
使用にあたり、喫煙者は、第1のセグメントを第2のセグメントに対して長手方向に移動させることにより、喫煙物品を第1の構成から第2の構成に動かす。例えば、第1の構成から第2の構成に動かす場合には、第1のセグメントを第2のセグメントから遠ざけて又は第2のセグメントに向けて長手方向に移動させることができる。これにより、香味放出部が空気流経路に曝されるようになる。その後、喫煙者は、当業で既知の従来の方法で喫煙物品を喫煙する。喫煙中、喫煙者は、喫煙物品を第2の構成から第1の構成に動かして香味放出部を煙通路から隔離し、従って香味の放出を実質的に低減又は停止させることができる。
【0050】
喫煙物品がいずれの構成にあるかを喫煙者に表示するために、ラッパー材料上にインジケータを設けることができる。従って、第1のチップペーパー及び第2のチップペーパーの少なくとも一方は、少なくとも1つのインジケータを含み、これによりこれらのインジケータが第1の構成において露出せず、第2の構成において少なくとも1つが露出するようにすることができる。第1のチップペーパー上ではインジケータの色を異ならせて、喫煙物品が第2の構成にある時には異なる色のチップペーパーが露出するようにすることもできる。このインジケータを、喫煙物品の周囲全体に延びる、又は喫煙物品の一部の周囲のみに延びる一連の印刷された帯又は線として、喫煙物品が第1の構成から第2の構成に動くにつれて露出する帯の数が徐々に増えるようにすることもできる。この実施形態では、喫煙者が露出させる帯の数に応じて香味放出のレベルが変化するようにすることができる。或いは、この実施形態では、インジケータを、最大香味放出に対応する最大値まで上昇する一連の昇順数字とすることもできる。
【0051】
第1及び第2のセグメントの少なくとも一方は、濾過材料を含むことができる。第1及び第2のセグメントは、いずれも濾過材料を含むことが好ましく、この濾過材料は繊維状濾過材料であることがより好ましく、セルロースアセテートであることが最も好ましい。
【0052】
本発明によるフィルタの外径は、約4.5mm〜約8.5mmであることが好ましく、約7.7mm〜約8.1mmであることがより好ましく、約7.9mmであることが最も好ましい。
【0053】
本発明によるフィルタの全長は、約17mm〜約36mmであることが好ましく、約24mm〜約30mmであることがより好ましく、約27mmであることが最も好ましい。
【0054】
本発明のさらに別の態様によれば、本明細書で説明するような多要素フィルタの製造方法が提供される。この方法は、材料の連続ロッドから第1のセグメントを形成するステップを含む。香味物質は、第1のセグメントを形成する前に材料の連続ロッド上に含められることが好ましい。材料の連続ロッドは、高多孔性のラッパー材料を含むことができる。次に、この第1のセグメントを形成するために使用する材料の連続ロッドを複数の第1のセグメントに切断し、例えば熱又は可塑剤などの化学物質を用いて第1のセグメント上に不透過性の端面を形成する。材料の連続ロッドは、セルロースアセテートトウ又はランダムに配向された繊維材料などの連続繊維フィルタ材料から加工されることが好ましい。この方法は、第1のセグメントを実質的に不透過性の材料で包んで、第1のセグメントを覆う摺動自在な層を形成するステップをさらに含む。この不透過性材料は、接合線に沿ってこの材料自体に接着され又は別様に恒久的に取り付けられることが好ましい。この不透過性材料を取り囲むようにフィルタ材料を導入して第2のセグメントを形成する。フィルタ材料は、その導入前に不透過性材料に接着層を導入することにより不透過性材料に接着されることが好ましい。次に、高多孔性のラッパー材料などのラッパー材料を導入して第2のセグメントの材料を包み、第2のセグメントのフィルタ材料の外面に接着することが好ましい。次に、組み合わせた第1のセグメント及び第2のセグメントを2倍長のフィルタ要素に切断することが好ましい。最後に、この2倍長のフィルタ要素を2倍長の唇側端部セグメントと交互に組み合わせる。2倍長の唇側端部セグメントの各面を、対応する第1のセグメントの端面に接着する。
【0055】
このフィルタ要素を、オンライン又はオフラインで個々の長さのフィルタ要素に切断し、タバコロッド及びフィルタ要素を包装材料で包むことによりタバコロッドと組み合わせる。最後に、フィルタ要素の唇側端部の周囲にさらなるラッパーを施して第1のセグメントを第2のセグメントに連結する。
【0056】
本発明は、実質的に添付の例示的な図面を参照しながら本明細書で説明するような方法及び/又は装置にまで及ぶ。
【0057】
或いは、本明細書におけるミーンズプラスファンクションの機能をこれらの対応する構造面から表すこともできる。
【0058】
本発明の1つの態様におけるあらゆる特徴を、本発明の他の態様にあらゆる適切な組み合わせで適用することもできる。具体的には、方法の態様を装置の態様に適用することができ、逆もまた同様である。さらに、1つの態様におけるいずれかの、いくつかの及び/又は全ての特徴を、他のいずれかの態様におけるいずれかの、いくつかの及び/又は全ての特徴にあらゆる適切な組み合わせで適用することもできる。
【0059】
また、本発明のいずれかの態様において説明し定義する様々な特徴の特定の組み合わせを単独で実装し、及び/又は供給し、及び/又は使用することもできると理解されたい。
【0060】
以下の例示的な図面を参照しながら本発明をさらに説明する。