特許第6130895号(P6130895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6130895-坪量器用の平行四辺形リンケージ構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130895
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】坪量器用の平行四辺形リンケージ構造
(51)【国際特許分類】
   G01G 21/24 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   G01G21/24 Z
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-221590(P2015-221590)
(22)【出願日】2015年11月11日
(65)【公開番号】特開2016-95304(P2016-95304A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年1月26日
(31)【優先権主張番号】20 2014 105 467.7
(32)【優先日】2014年11月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506186673
【氏名又は名称】ヴィポテック ヴィーゲ−ウント ポジティオニエルシステーメ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WIPOTEC WIEGE−UND POSITIONIER−SYSTEME GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ゴットフリードセン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス シュテルヴァーゲン
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−346697(JP,A)
【文献】 特開2000−131123(JP,A)
【文献】 特開平11−72374(JP,A)
【文献】 西独国特許出願公告第1052708(DE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00− 9/00
G01G21/00−23/48
G01L 1/00− 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース体(G)及び当該ベース体(G)に対して平行案内要素(P1,P2)によってZ方向に案内される荷重受(D)を有する、電磁気力補償原理に従って作動する秤量器用のモノリシック平行四辺形リンケージ構造(K)であって、
a) 少なくとも1つの前記平行案内要素(P1)がその第1端部で前記ベース体(G)に、また当該第1端部からX方向に離間した第2端部で前記荷重受(D)に、いずれの場合もジョイント(L1,L2)を介して結合され、
b) 前記ベース体は、Z方向及び当該Z方向に対して垂直に延びるX方向に延びる平面(E)の両側に構成されたモノリシック平行四辺形リンケージ構造(K)において、
c) 前記平行案内要素(P1)が、前記ジョイント(L1)とジョイント(L2)との間の前記平面(E)から離間する方向に向いた少なくとも1つの外表面上に、前記平行案内要素(P1)をZ方向に貫通する少なくとも1つの凹部(A)を有し、当該凹部を通して前記ベース体(G)のベース体部分(GP)が突出している
ことを特徴とする秤量器用のモノリシック平行四辺形リンケージ構造(K)。
【請求項2】
前記平行案内要素(P1)の第1部分(T)が前記第1ジョイント(L1)から前記凹部(A)に延在し、前記ベース体(G)が前記平面(E)に平行な想像外表面(EP)に沿って前記第1部分(T)を完全に囲むことを特徴とする請求項1の平行四辺形リンケージ構造(K)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記平行案内要素(P1)がその第1端部で前記ベース体(G)に、第1ジョイント(L1)を介して結合され、また当該第1端部からX方向に離間した第2端部で前記荷重受(D)に、第2ジョイント(L2)を介して結合されており、前記凹部(A)が前記第1ジョイント(L1)よりも前記第2ジョイント(L2)により接近して位置することを特徴とする請求項1又は2の平行四辺形リンケージ構造(K)。
【請求項4】
前記平行案内要素(P1)の前記外表面が前記ベース体(G)の外壁部と一致していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項の平行四辺形リンケージ構造(K)。
【請求項5】
レバーを補強するための少なくとも1つの支持ジョイント(S)が前記2つの平行案内要素(P1,P2)間で前記Z方向において前記ベース体(G)に接して配設され、当該支持ジョイント(S)の外表面が前記ベース体部分(GP)の外表面と一致していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の平行四辺形リンケージ構造(K)。
【請求項6】
前記平行案内要素(P1,P2)が前記平面(E)に関して対称に形成され、少なくとも1つの前記平行案内要素(P1)が前記ジョイント(L1)とジョイント(L2)との間の前記平面(E)から離間する方向に向いた両外表面において前記平行案内要素(P1)を前記Z方向に突き抜ける少なくとも1つの凹部(A)を有し、当該凹部(A)を通して前記ベース体(G)の前記ベース体部分(GP)が突出していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項の平行四辺形リンケージ構造(K)
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項の平行四辺形リンケージ構造(K)を備えた秤量器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、坪量器のための平行四辺形リンケージ構造、特に請求項1の序文に従った電磁力補償原理に従って作動する坪量器のための平行四辺形リンケージ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような平行四辺形リンケージ構造は、荷重を受ける荷重受を一般に固定のベース体に対して平行に案内するために使用される。荷重受の動作は、荷重受に連結されたレバーアセンブリを介して1又は数分の一に低減され、そして最後に、レバー又は当該レバー上に配置されたマグネット又はコイルの偏位を計量学的に検知するために拡大される。
【0003】
安定性の理由で、荷重受を案内する2つの平行リンケージ(以下「平行案内要素」とも呼称する)は、荷重受の移動方向Zにおいて互いにできるだけ遠く離間されている。前記ベース体は、前述したレバー機構のための支持点を形成するためにこれら平行案内要素間に突出している。このことが、高精度秤量器の場合、ベース体の当該突出部(「秤量受」としても知られている)がわずかな剛性しかないという問題を引き起こしている。2つの平行案内要素がZ方向に互いに近づくほど当該剛性が小さくなるので、秤量受の突出高さをそれに対応して低くせざるを得ないことになる。一方、平行案内要素をZ方向にさらに離間するように広げると、それに対応して頑丈な寸法にした秤量受を平行案内要素間に構成することが可能になるが、平行連結構造の全体的寸法の望ましい実現可能な最高コンパクト性が犠牲になる。
【0004】
平行案内要素間で最大限の安定性を有する高剛性の秤量受を確実にするため、従来技術ではモノリシック構造内に平行案内要素を切り出し、ベース体の一部を当該切り出し部分を通して案内することで当該突出部も補強する対策をしている。
【0005】
DE 32 30 998 C2は、レバー支持先端部を形成するための秤量受突出部の構造を開示し、当該突出部は底部平行四辺形リンケージを通して垂直に突出している。類似の手法がUS 4,100,985 Aで踏襲されているが、当該公報ではベース体部分の代わりに平行四辺形リンケージを介してレバー機構が案内される。
【0006】
DE 20 008 066 U1はモノリシック平行四辺形リンケージを示し、この構造はベース体の突出部を追加的に補強することなく、各平行四辺形リンケージの中心にマシニングツールを挿入するための凹部が形成されている。
【0007】
DE 197 29 623 B4は、細長のベース体が2つのネジを使用して秤量器フレームにどのように結合されているかを示しており、当該2つのネジは底部平行リンケージの開口を貫通している。平行四辺形リンケージの中央を貫通すると取り付け部分が狭くなり、したがって捻り剛性が低減するという欠点を有する。DE 197 29 623 B4の他の実施形態では、ベース体の突出部を横方向から取り付けることが提案されている。横方向から取り付けると全体システムはかなり高剛性になるが、必要となる取り付けスペースの幅も同様に増大する。どちらの場合も、計量論理的に敏感なベース体の突出部は、トルクを締めることにより有利的に影響される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 32 30 998 C2
【特許文献2】DE 20 008 066 U1
【特許文献3】DE 197 29 623 B4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、測定方向の力と水平な回転軸のトルクに対して特に剛性があり、殆ど取り付けスペースを必要としない改良された平行四辺形リンケージ構造を提供することであった。当該取り付け点は、レバー支持点からできるだけ遠くにさらに離間されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当該目的は請求項1の平行四辺形リンケージ構造によって達成される。
【0011】
他の有利的実施形態は従属請求項から生まれる。
【0012】
本発明は、平行四辺形リンケージの少なくとも1つのリンケージが、その外表面に、平行リンケージ間の領域内でベース体部分が延在可能なくぼみを有すると、平行四辺形リンケージ間に特別に剛性のあるベース体部分を非常に容易に実現することができるという発見に基づいている。この製造法は特に簡単であり、垂直軸回りのトルクに対して平行四辺形リンケージ構造を本質的に弱めるだけであるが、秤量器の作動においては小さい役割を果たすに過ぎない。
【0013】
したがって本発明の実施形態は、ベース体と、当該ベース体に対して平行案内要素によってZ方向に案内される荷重受とを有する。少なくとも1つの平行案内要素が、それ自体は知られているジョイントを介して、例えばモノリシカルに構成された薄い箇所を介して第1端部でベース体に結合されている。Z方向に対して望ましくは垂直に延びるX方向において、平行案内要素が第1ジョイントからその反対側の第2端部に延び、そこで平行案内要素は類似のジョイントを介して荷重受に結合される。
【0014】
ベース体は、Z方向と当該Z方向に対して好ましくは垂直なX方向とに延びる1つの(想像)平面Eの両側において構成されている。望ましくは、必ずしも必須ではないが、ベース体は平面Eに関して対称に構成することができる。
【0015】
本発明によれば、平行案内要素の少なくとも1つが、平面Eから離間する側に向いた外表面上における第1のジョイントと第2のジョイントの間に、平行案内要素をZ方向に突き抜けてそこを通してベース体の一部が突出する少なくとも1つの凹部を有する。ここでは先行技術と異なり、ベース体が、1つの平行案内要素内でZ方向に延びる(そして当該平行案内要素内に全体が位置する)1つの切り出し部分を通して案内されない。その代わりに、1つの凹所という意味の1つの凹部又はくぼみが、平行案内要素が当該地点で幾分低減された全体幅を有するように平行案内要素の側部に配設されている。このようにしてベース体は(上平行案内要素を通して上方から、及び又は、下平行案内要素を通して下方から)、最大幅の区域内にある平行案内要素間で案内される。一体ものの中で、平行案内要素間でX方向に突出したベース体の一部分へ転移があり、当該転移においては前記案内構造のお陰で前記ベース体の一部分が特に安定的に補強され、またベース体は本発明に係る1又は2以上の平行案内要素の少なくとも1つの側方凹部を通して下方及び又は上方に(下平行案内要素の下方又は上平行案内要素の上方にそれぞれ突出したベース体の一部に寄せて)押すことができるので、レバーアセンブリ用に平行案内要素間に配設された支持ジョイントはベース体によって特に効果的に支持される。
【0016】
本発明の凹部は各平行案内要素を第1部分と第2部分に分割する。第1部分はベース体上に配置された第1ジョイントから当該凹部に延びるのに対して、第2部分は当該凹部から荷重受上に配置された第2ジョイントに延びる。平行案内要素はベース体と同様に最大利用可能幅(平面Eに対して直角)を可能な限り生かすようにしているので、平面EPが定義可能な本発明の他の有利的な実施形態によれば、平面EPは平面Eと平行に延び、かつ、当該平面EPに沿った平行案内要素の第1部分をベース体が完全に囲み、さらに平面EPが第1部分の外表面とも一致するように理論上は位置合わせ可能とされている。したがって平行案内要素又は少なくともその第1部分は、凹部Aに至るまでベース体と同じ幅を有し優れたねじり剛性を生ずる。
【0017】
凹部Aを通って突出するベース体部分で達成される平行四辺形リンケージ構造の間に突出するベース体の特に効果的補強の本発明による効果は、凹部Aが第1ジョイントよりも第2ジョイントすなわち荷重受に明白に接近して位置している場合に特に明白な影響を有する。したがって「補強」された坪量受は荷重受に非常に接近して延びることが可能であり、そして一端が荷重受に結合する低減レバーのための支持点がこれにより。
【0018】
支持ジョイントにZ方向で作用する荷重は、レバレッジ効果が殆どないか又は全くない状態で平行案内要素の上方又は下方にあるベース体にZ方向で導入することができる。平行案内要素間でX方向に延びるベース体部分は、本発明のベース体部分によって補強され、それ故曲げの影響を殆ど又は全く受けず、したがって支持点が荷重を受けて下がる可能性がなく、それに対応して測定精度が向上する。
【0019】
ベース体は本発明の凹部を通してその最大幅の地点で案内されることができるので、平行案内要素間でベース体上に配置される支持ジョイントは、ベース体の最大幅上で非常に効果的に補強されることができ、換言するとベース体の全幅をジョイントを支持するために使用することができる。
【0020】
本発明の有利的な実施形態では、平行案内要素が平面Eに対して対称に構成されるようになっている。したがって少なくとも1つの平行案内要素が平面Eに関して対称な2つの対向する凹部Aを有し、当該凹部を通してベース体が(少なくとも凹部Aに沿って)平行四辺形リンケージ構造の間でZ方向において上方又は下方に同様に対称に延びることができる。
【0021】
従来技術と比べて、本発明の平行四辺形リンケージ構造を有するコンパクトな秤量器は測定方向の力及び水平回転軸によるトルクに対して特別に剛性が高いと同時に、中心から外れた荷重に対しては反応しない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】モノリシック平行四辺形リンケージ構造の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して以下実施形態を説明する。
【0024】
唯一の図1はモノリシック平行四辺形リンケージ構造Kを示している。第1ジョイントL1に接してほぼ静的に配置されたベース体Gは、X方向で第2ジョイントL2へと延びる第1の平行案内要素P1を有し、当該第2ジョイントL2はZ方向で可動な荷重受Dに結合している。
【0025】
他の平行案内要素P2は第1の平行案内要素P1にZ方向で隣接すると共に当該第1の平行案内要素P1に平行に配設され、同様に荷重受Dへと延びている。第2の平行案内要素P2がベース体Gと荷重受Dにそれぞれ結合するジョイントは、図1では特定されていない。
【0026】
荷重受Dは2つの平行案内要素P1、P2によってベース体Gに対しZ方向で実質的に可動である。図1に示された想像面Eによって平行四辺形リンケージ構造Kが前部分と後部分に大なり小なり対称的に縦長に分割される。平面Eは、荷重が導入されるZ方向と、当該Z方向に直角なX方向(平行四辺形リンケージ構造Kの長手方向)によって規定される。前記前部分と後部分のそれぞれにおいて、平面Eから離間する方向に向いている第1の平行案内要素P1の外表面上で、当該案内要素が凹部A(図1では観者に向いた前側のみが特に示されている)を備えている。ベース体Gと一体に形成されたベース体部分GPは、当該凹部Aを通してZ方向に突出している。ここでベース体部分GPは、平行案内要素P1を貫いて突出し、当該平行案内要素P1の幅(「幅」は平面Eに垂直な方向を意味する)はそれ相応に低減されている。
【0027】
上下の平行案内要素P2,P1の間に支持ジョイントSがベース体Gに接して配置され、当該支持ジョイントS上に荷重受Dに結合された(明確には特定されていない)レバーが置かれている。支持ジョイントSは、ベース体Gと同じ幅、さらに厳密に言えばベース体部分GPと同じ幅を有し、3つの構成部分全部が平面Eから離間する側にそれら構成部分の外表面を向けた状態で共通の外表面EPに位置し、当該外表面EPは観者に向いた平面Eの側で平行四辺形リンケージ構造の最大寸法を有する。第1ジョイントL1から凹部Aに向けて延びている第1の平行案内要素P1の部分Tは、その外表面を前記外表面EPに位置させた状態で同様に延びている。
【0028】
本発明によれば、荷重受Dを介して支持ジョイントS内に導入されてZ方向に作用する力を、第1の平行案内要素P1の下方で延びるベース体Gのベース部分GB内に伝達することができる。ベース体部分GPの支持効果によって平行案内要素間に(図1で左から右に)突出したベース体Gの部分GVが安定し、したがって支持ジョイントSの位置がベース体Gに対して固定する。ベース体部分GPが(図1の想像面Eの前側及び後側で)平行四辺形リンケージ構造の最大幅に沿って延びているという事実のお陰で、支持ジョイントSはねじりに対しても特に高剛性となり、すなわちX軸回りの旋回に対して補強される。
図1