特許第6130906号(P6130906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130906
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】車両アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/52 20060101AFI20170508BHJP
   B62D 25/10 20060101ALI20170508BHJP
   B60R 21/34 20110101ALI20170508BHJP
【FI】
   B60R19/52 D
   B62D25/10 E
   B60R21/34 691
【請求項の数】24
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-503944(P2015-503944)
(86)(22)【出願日】2013年4月5日
(65)【公表番号】特表2015-512356(P2015-512356A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】GB2013050888
(87)【国際公開番号】WO2013150311
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2016年3月29日
(31)【優先権主張番号】1206260.0
(32)【優先日】2012年4月5日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510001939
【氏名又は名称】アストン マーティン ラゴンダ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Aston Martin Lagonda Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ピュー‐ジョーンズ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シヴレット,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】パーケス,マシュー
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/104853(WO,A1)
【文献】 特開2006−335168(JP,A)
【文献】 特開平04−015123(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0178872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/52
B60R 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両グリル、及び1つ以上のフェンダを含み、前記車両グリルが前記フェンダに対して移動可能である車両アセンブリであって、前記グリルの第1位置では前記グリルが前記1つ以上のフェンダの少なくとも一部に支持を付与し、第2位置では前記支持が低減され、前記車両グリルは前記グリルを前記フェンダに取り外し可能に接続するための1つ以上の結合手段を含み、前記結合手段は、使用時、前記結合手段に所定の負荷が加えられる場合に、前記フェンダから前記グリルを外して、移動のために前記フェンダを取り外すように構成される、車両アセンブリ。
【請求項2】
前記グリルの前記第1位置においてバンパ構造が前記グリルに支持を付与し、前記第2位置において前記支持が低減される、請求項1記載の車両アセンブリ。
【請求項3】
前記グリルの前記第1位置において、前記グリルは、前記1つ以上のフェンダに接続される、請求項1又は2に記載の車両アセンブリ。
【請求項4】
前記グリルの第1位置では、バンパ構造が前記グリルに支持を付与し、前記第2位置では、前記支持が低減され、且つ、前記グリルの第1位置において、前記グリルは、前記バンパ構造に接続される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項5】
前記グリルの前記第2位置において、前記グリルは、前記1つ以上のフェンダから外される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項6】
前記グリルの第1位置では、バンパ構造が前記グリルに支持を付与し、前記第2位置では、前記支持が低減され、且つ、前記グリルの前記第2位置において、前記グリルは、前記バンパ構造から外される、請求項3〜5のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項7】
前記アセンブリがボンネットを更に含み、前記グリルの前記第1位置では前記グリルは前記ボンネットに対する支持を提供し、前記グリルの前記第2位置では前記ボンネットに対する低減された支持が前記グリルによって付与される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項8】
前記車両のフロントから離れた方向への前記グリルの移動を可能にするために隙間が設けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項9】
前記車両グリルは、前記グリルをバンパ構造に取り外し可能に接続するための1つ以上の結合手段を含み、前記結合手段は、使用時、前記結合手段に所定の負荷が加えられる場合に前記バンパ構造から前記グリルを取り外すように構成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項10】
前記結合手段は、使用時、前記車両の長手方向軸に対して実質的に横軸方向への前記グリルの移動に抵抗するように構成される、請求項9に記載の車両アセンブリ。
【請求項11】
結合手段は前記グリルの移動を案内するためにガイド手段を含む、請求項9〜10のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項12】
前記結合手段は、前記1つ以上の車両ボディ部品からの前記グリルの接続解除に抵抗するためにバイアス手段を含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項13】
前記バイアス手段は、スプリングクリップとして形成される、請求項12記載の車両アセンブリ。
【請求項14】
前記所定の負荷は、350ニュートンを超える、請求項9〜13のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項15】
前記所定の負荷は、385ニュートン以上である、請求項14記載の車両アセンブリ。
【請求項16】
前記グリルは、1つ以上の変形可能な羽根を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項17】
前記グリルは、1つ以上のボンネットバンプストップを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の車両アセンブリ。
【請求項18】
車両ボンネットを更に含み、前記車両ボンネットが局所的に脆弱な領域を含む、請求項1に記載の車両アセンブリ
【請求項19】
前記局所的に脆弱な領域は、前記ボンネットの先端部に沿った領域である、請求項18記載の車両ボンネット。
【請求項20】
前記脆弱な領域は、複数の開口部を含む、請求項18又は19に記載の車両ボンネット。
【請求項21】
前記開口部は、離間された複数のスロットとして形成される、請求項20記載の車両ボンネット。
【請求項22】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の車両アセンブリ用の、車両グリル。
【請求項23】
前記グリルが一連の金属羽根を含、少なくとも1つの前記羽根が前記グリルのボディに関する局所的に追従的な変形的移動のために構成される、請求項1に記載の車両アセンブリ
【請求項24】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の車両アセンブリ、及び/又は請求項1821のいずれか一項に記載の車両ボンネット、及び/又は請求項2223のいずれかに記載の車両グリルを含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用等の車両アセンブリのほか、車両グリル及び車両ボンネット、及び1つ以上のこのような部品を含む車両に関する。
【背景技術】
【0002】
量産型の自動車両は、公道で使用するために十分に安全であることを保証するための様々な安全試験に合格する必要がある。特に、歩行者と自動車両との間の衝突、特に、歩行者と自動車両の前端又は先端との間の衝突時に、歩行者に対する傷害のリスクが最小化されることが望まれる。
【0003】
自動車両には、車両の前端にグリルが配置されていることが多い。グリルは、多くの場合、車両のバンパとボンネット又はフードとの間に配置される。車両グリルは隙間又は開口部を提供するように機能し、エンジンの空気入口に空気を供給すること又は車両ラジエーターに冷却空気を供給することを容易にするために、その隙間又は開口部を通して空気が車両のエンジンコンパートメント内へ流れうる。グリルは、車両のバンパ及び/又はボンネット又はフードに、例えばリベット又は他の固定手段で固定的に連結することにより、車両の前端に構造的剛性を付与するようにも機能しうる。多くの場合、車両の前端におけるグリルの目立つ位置を考慮して、グリルは、美的配慮も考慮して設計される。従って、グリルは見た目が良好である必要がある。多くの場合、グリルは非常に独特であり、グリルのスタイル、形状及び/又は品質はアストンマーチン(商標登録)グリルのように自動車のブランドを緊密に連想させるようになる可能性があるが、その際、アストンマーチングリルの形状は非常に独特であり、その典型的品質の金属構造は、その自動車を一般に連想させる、非常に高い品質及び職人技を例証する。特に高品質に見えるのが困難なプラスチック製のグリルを備える自動車がある。自動車フロント付近に追従性を有する成形品(compilant mouldings)を備える自動車もある。このことは、例えば金属製のシングルボンネット部品が車両のフロントに完全に延在することを可能にせず、追加的なパネル構成部品を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これらの問題を少なくともある程度まで軽減し、かつ/又は従来技術に関連する困難に対し、少なくともある程度は対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、車両グリル、及びフェンダなどの1つ以上のボディ構造構成部品を含み、この車両グリルがボディ構造構成部品に対して移動可能である車両アセンブリであって、グリルの第1位置ではグリルが1つ以上のボディ構造構成部品の少なくとも一部に支持を付与し、第2位置では上記支持が低減される、車両アセンブリが提供される。
【0006】
従って、有利には、このグリルは、ボディ構造構成部品に対する支持を低減させ、衝突の間のボディ構造構成部品の移動増加を可能にすることにより歩行者に対する傷害を最小化することができるように、歩行者との衝突中に移動可能である。
【0007】
好ましくは、1つ以上のボディ構造は、車両のフェンダ又はサイドウイングを含むか、又は車両のフェンダ又はサイドウイングである。
【0008】
好ましくは、グリルは車両の前端に設けられる。グリルが移動すると、それによりフェンダなどのボディ構造構成部品に付与される支持の量が低減される。第2位置では、グリルによって付与される支持は完全に取り除かれ、その結果、車両のフロントにおける車両アセンブリの構造的剛性が低下する。ボディ構造構成部品がフェンダである場合、従って、フェンダは、車両アセンブリと歩行者との衝突中に、移動のために解放されうる。
【0009】
好ましくは、グリルの第2位置は、車両の前端からその長手方向に離間された、グリルの位置である。
【0010】
好ましくは、グリルの第1位置では、バンパ構造はグリルに支持を付与し、第2位置では上記支持が低減される。好ましくは、バンパ構造はバンパアーマチュアである。好ましくは、バンパアーマチュアは丸みを帯びた端部を有し、使用時に、その端部上へグリルが移動される。グリルの第1位置において、グリルは、支持的方法でバンパ構造を車両アセンブリのフェンダへ連結しうる。衝突により第2位置に移動した場合、グリルが第1位置にある場合よりもフェンダ及びバンパ構造の互いに対する移動が容易となるように、グリルはバンパ構造をフェンダへ支持的にもはや連結しない。
【0011】
グリルが移動すると、その結果、バンパに付与される支持の量が減少する。第2位置では、グリルによって付与される支持は完全になくなり、その結果、車両のフロントにおける車両アセンブリの構造的剛性が更に低下する。好ましくは、グリルの第2位置において、車両アセンブリは、好ましくは車両の前端で、より良好に追従する。
【0012】
好ましくは、グリルの第1位置では、グリルは、1つ以上のフェンダに接続される。この接続は、取り外し可能な接続によって行なわれてもよい。
【0013】
好ましくは、グリルの第1位置では、グリルは、バンパ構造に接続される。この接続は、取り外し可能な接続によって行なわれてもよい。
【0014】
好ましくは、グリルの第2位置では、グリルは、1つ以上のフェンダから外される。このようにフェンダはグリルによって拘束されない。
【0015】
好ましくは、グリルの第2位置において、グリルは、バンパ構造から外される。このように、グリルはバンパ構造によって拘束されない。
【0016】
好ましくは、グリルの第2位置では、グリルは、第1位置では連結又は接続されている1つ以上のボディ構造、例えばバンパ構造及び/又はフェンダから、完全に外される。
【0017】
好ましくは、アセンブリはボンネットを更に含み、グリルの第1位置ではグリルはボンネットに対する支持を提供し、グリルの第2位置ではボンネットに対する低減された支持がグリルによって付与される。ボンネットを支持するために、グリルは、グリルに取り付けられたバンプストップを備えてもよい。従って、第1位置において、グリルは、ボンネット、バンパ構造及びフェンダの全ての間で支持的連結を提供しうるが、グリルが第2位置に移動すると、この連結の強度は実質的に減少し、その結果、歩行者衝突性能が適切となるように、これらの構成部品は追従的に互いに対しより容易に移動することができる。
【0018】
好ましくは、車両のフロントから離れた方向へのグリルの移動を可能にするために隙間が設けられる。グリルが移動する場合に車両アセンブリの他のいずれの部品にもグリルが接触しないことを保証するために、十分な寸法の隙間が設けられうる。
【0019】
好ましくは、車両グリルは、グリルを1つ以上の車両ボディ部品に取り外し可能に接続するための1つ以上の結合手段を含み、この結合手段は、使用時、結合手段に所定の負荷が加えられる場合に1つ以上のボディ部品からグリルを取り外すように構成される。この負荷は、グリルの前面にかけられる力の結果である負荷であってもよい。
【0020】
好ましくは、結合手段は、グリルの取り外し後にグリルの再接続を可能にするように構成される。つまり、その第1位置でグリルに又はグリルによって他の部品に支持的に連結されていた他の構成部品の著しい変形なしに、グリルがその第2位置へと後方へ押された軽度の衝突では、グリルを容易に再び前へ引き出すことができ、その結果、車両アセンブリはその元の配置を取る。
【0021】
好ましくは、結合手段及びグリルは、車両の後ろ方向へのグリルの移動又は取り外しを可能にするように構成される。
【0022】
好ましくは、1つ以上のボディ部品は、1つ以上のフェンダ及び/又はバンパ構造を含む。結合手段は、グリルの周りに離間して設けられていてよい。グリルを外すための所定の負荷は、結合手段間で変化してよく、又は略等しくてよい。好ましくは、2つの結合手段が、使用時、グリルの上面に設けられうる。好ましくは、4つの離間された結合手段が、グリルの下面に又は使用時グリルの下面に隣接して設けられる。
【0023】
好ましくは、結合手段は、使用時、車両の長手方向軸に対して車両の実質的に横軸方向へのグリルの移動に抵抗するように構成される。このように、車両の長手方向に略平行な方向以外の移動が減少又は阻止される。
【0024】
好ましくは、結合手段はグリルの移動を案内するためのガイド手段を含む。このように、グリルの移動が制御される。
【0025】
好ましくは、結合手段は、1つ以上の車両ボディ部品からのグリルの接続解除に抵抗するためにバイアス手段(biasing means)を含む。
【0026】
好ましくは、バイアス手段は、スプリングクリップとして形成される。好ましくは、スプリングクリップは、好ましくは円形の断面を有するワイヤから形成される。ワイヤは好ましくはオープンループを形成する。好ましくは、ワイヤは一部半円である。好ましくは、ワイヤは、ループの反対側の間に間隙を有して形成される。好ましくは、間隙は、半円部分から離れるのに伴い幅が狭くなる。好ましくは、ワイヤは金属などの弾性材料から形成される。スプリングクリップは、グリルをボディ部品に接続するよう作用しうる。ボディ部品は、スプリングクリップによってグリルの第1位置に保たれ又はつかまれるスペース要素を備えていてよい。スペース要素は、ボディ部品に連結されていてよい。グリルに負荷がかけられた場合に、スペース要素はスプリングクリップのグリップから解除されうる。好ましくは、グリルとスペース要素との間に所定の負荷がかけられた場合に、ボディ部品に対してグリルが移動されるようバイアス手段を付勢するように、スペース要素は構成されている。好ましくは、バイアス手段は、ボディ部品に取り付けられるか、又は接続されている。スプリングクリップは一般にはΩ形状、すなわちクラゲ形であってもよい。
【0027】
好ましくは、所定の負荷は、350ニュートンを超える。更に好ましくは、所定の負荷は、385ニュートン以上である。この負荷は、スプリングクリップを付勢するのに十分な負荷であってもよいであってもよい。スプリングクリップは、所定の負荷に達した場合に、オーバーセンターに配置され、その結果、スプリングクリップは所定の負荷で解除され、もはやその第1位置の方へグリルを付勢する力を付与しない。
【0028】
好ましくは、グリルは、1つ以上の変形可能な羽根を含む。このように、グリルは、結合手段が、それぞれのボディ部品からグリルを外す前に衝撃の一部を吸収することができる。好ましくは、グリル羽根は実質的に平面である。好ましくは、グリル羽根は、その背面でグリルに挿し込まれる。好ましくは、羽根は、負荷の際に局所的変形が可能であるように構成される。このことは、特にグリルが少なくとも部分的に金属から形成され、前方を向いている羽根構成部品がアルミニウム合金などの高品質金属である場合に、歩行者との衝突中に、追従性を提供する。好ましくは、グリルは、成形された基体として形成される。好ましくは、グリル羽根は、成形されたグリル基体内に形成された窪みに挿し込まれる。好ましくは、グリル羽根は、ねじ固定によって保持される。
【0029】
好ましくは、グリルは1つ以上のボンネットバンプストップを含む。このように、グリルが移動される際に、ボンネットのための支持が低減されるか又は取り除かれる。
【0030】
本発明の別の態様によれば、局所的に脆弱な領域を含む車両ボンネットが提供される。このようなボンネットは、第1態様の車両アセンブリに使用されてよい。有利には、局所的に脆弱な領域は、歩行者との衝突中に、車両ボンネットの比較的追従的な変形を可能にしうる。
【0031】
好ましくは、局所的に脆弱な領域は、ボンネットの先端部に沿った領域である。このことは、有利には、ボンネットの前方部分の局所的変形を可能にする。好ましくは、脆弱な領域は、複数の開口部を含む。これらの開口部は、ボンネット構造のシングルスキン内に切り抜かれうる。
【0032】
好ましくは、開口部は、離間され、好ましくは同じ寸法の複数のスロットとして形成される。開口部は列に形成されうる。この場合、開口部は、歩行者との衝突中に、その列の領域でボンネットを予測可能に折畳むことを有利に可能にしうる。
【0033】
本発明の別の態様によれば、第1の態様に係る車両アセンブリ用の車両グリルが提供される。この車両グリルは、本発明の第1の態様で定義したようなグリルのいずれか1つ以上の特徴を備えうる。グリルは、好ましくは少なくとも部分的に金属から形成される。
【0034】
本発明の別の態様によれば、本発明の第1態様に係る車両アセンブリ及び/又は本発明の別の態様に係るグリル及び/又はボンネットを含む車両が提供される。
【0035】
本発明は様々な方法で実施可能であり、ここで本発明の実施形態を添付の図により例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A-1F】車両と歩行者下腿モデルとの前面衝突のシミュレーションの順を追った段階の間の、車両の前端における、車両の縦断面の断面図である。
図2】車両と歩行者下腿モデルとの前面衝突を示す側面図である。
図3A】本発明の態様に係るグリルの背面斜視図である。
図3B図3Aのグリルの正面斜視図である。
図4A図3Aのグリルに取り付けられた下側結合手段を示す下面斜視図である。
図4B図3Aのグリルに取り付けられた下側結合手段を示す上面斜視図である。
図5A】グリルから外れた第2位置で示された、図3Aのグリルの上側結合手段を示す図である。
図5B】グリルと連結された第1位置で示された、図5Aの上側結合手段を示す図である。
図5C】グリルと連結された第1位置での、図5Aの上側結合手段の断面図である。
図6】本発明の別の一態様に係る車両ボンネット又はフードを示す下面側面図である。
図7】グリル、ボンネット、バンパアーマチャ及びウイング又はフェンダを含む車両のフロントの斜視断面図である。
図8A】グリル羽根及びグリル基体の垂直面における断面図である。
図8B図8Aで示したグリル羽根の水平面における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1Aは、バンパスキン3と歩行者下腿モデルとの衝突の時点での、車両の前端を示す。歩行者下腿モデル又は下腿インパクタ33は、脚の脛骨部位を表す下部4と、脚の大腿骨部位を表す上部5を有する。下腿形インパクタは、歩行者の下腿形を再現するよう設計され、EC規制436−2009からの標準モデルである。
【0038】
下腿形インパクタ33の下部4は494mmの長さを有し、上部5は432mmの長さを有する。下腿形インパクタ33の上部4及び下部5は、関節6を介して連結され、この関節6は変形可能な膝を表す。下腿インパクタ33の下部4及び上部5は、発泡体の肉及び合成皮膚で被覆された鋼製円筒体として形成される。上部4及び下部5の外径は132mmである。
【0039】
図1Aに示すように、車両のフロントは、バンパ構造、セクション又はアーマチュア3、グリル1及びボンネット2を含む。ボンネット2は下方へ傾斜し、車両の前端で水平面への角度で終端する。バンパアーマチュア3の前面の後ろに、弾性的に圧縮可能な発泡体7が設けられる。グリル1は、実質的に垂直方向に向けられる。ボンネットをロックする働きをするラッチストライカーは、グリルが車両の長手方向軸に沿って車両のフロントから離れるように移動される場合に、グリルとの衝突をさけるために、グリル1の後ろ側に後方に配置される。実施形態において示された第1ラッチストライカー42は、ボンネット2をバンパアーマチュア3に連結していることを示す。2つの第2ラッチストライカー(図示なし)は、ボンネットと構造上のエアとの間を連結する。
【0040】
図1Bに示すように、バンパが下腿形インパクタ33と衝突する際にバンパアーマチュア3が変形し、バンパアーマチュアの先端部、すなわち脚形インパクタ33の下部4と接触する端部は、車両の長手方向に後方へと移動する。
【0041】
図1Cに示すように、車両が下腿形インパクタ33とさらに衝突する際にインパクタ33の上部5がグリル1と接触するようになる。下腿形インパクタ33との衝突に基づき負荷が増加する際に、ボンネット2の前縁2Aが変形するか又は曲がる。後述するように、ボンネットは、その前縁に沿って脆弱な領域を含み、その脆弱な領域がボンネットの前端部分のこの曲げ又は湾曲作用を可能にする。衝突段階の間、ボンネット2への支持を通常提供するバンプストップ9は、ボンネット又はフード2から一層離れるようになるか、又は間隔を生じるようになる。
【0042】
図1Dに示すように、下腿形インパクタ33が車両の前端と衝突する際に、ボンネット2の前縁2Aの変形が増加する。さらに、グリル1は、車両の長手方向軸と略平行な方向に、車両内の後方に移動する。グリルの移動を容易にするために、隙間がエンジンコンパートメント内に設けられる。後述するように、グリルは結合手段を含み、結合手段に所定の負荷がかけられる際にこの結合手段はバンパ及びフェンダから外す。
【0043】
図1Eに示すように、グリル1が移動される際にグリルはボンネット2への支持をもはや付与せず、下腿形インパクタ33によって力が作用する際にボンネットの前縁2Aが一層変形する。それゆえに、金属であってよいボンネットの前縁2Aが車両のフロントに正しく配置されている場合であっても、良好な歩行者衝突性能を可能にする追従性が存在する。前縁2Aの前に、別個の追従性を有する成形品は不要である。さらに、グリル1が車両の前端から移動した場合、下腿形インパクタ33とグリル1との間の引き続く接触は弱まるか又は避けられる。
【0044】
図1A〜1Fからわかるように、下腿形インパクタ33の下部4及び上部5は、垂直線に対して角度を増加しながら傾斜する傾向にある。図1Fに示すように、下腿インパクタ33がボンネットの頂部上へ徐々に倒れる際に、バンパ3との接触が低減される。バンパ構造はある程度の弾性エネルギー有し、バンパに負荷が加えられなくなると元の形状に戻る。膝関節6は弾性変形によって蝶番式に動く。
【0045】
図2は、下腿インパクタ33と接触した車両の前端の側面図を示す。
【0046】
図3Aは、グリル1の背面斜視図を示す。グリル1は一般には楕円形周壁成形品又はボディ34と一体成形される。グリル1は垂直に又はほぼ垂直に支持する複数のリブ11a〜11gを備える。壁成形品又はボディ34とリブ11a〜11gとは一体成形グリル基体として一緒に成形されてもよい。グリル1は、複数の平行グリル羽根12a〜12e(図3Bも参照)も備え、これら複数の平行グリル羽根12a〜121eは、グリル1の上側上面と下側下面との間に互いに離間して設置される。
【0047】
グリル羽根12a〜12eは金属であり、金属又はプラスチック製であってもよい垂直支持リブ11a〜11gと連結される。グリル羽根12a〜12eは、支持リブ11a〜11g内へ挿し込まれる。この配置により、グリル羽根12a〜12eは、歩行者との衝突中に良好な追従性を提供し、局所的慣性効果を低減させるために、衝突時に局所的に変形又は移動するように構成される。従って、羽根12a〜12eが高い剛性及び品質の外観を示す金属合金製であっても、これらは実際に比較的良好に追従する。グリル羽根12a〜12e及び支持リブ11a〜11gは、格子構造を形成するために、互いに略又はほぼ直交方向に延在する。グリル羽根12a〜12e及び支持リブ11a〜11gを貫通して、穴又は開口部が形成される。支持リブ11a〜11gは、ボディ34と一体成形された背面成形部分と、背面成形部分に押し込まれた/固定された、歩行者衝突間にボディに関して局所的に追従して変形可能である、金属のフロント羽根部分とを備えてもよい。
【0048】
図8Aは、成形されたグリル基体の垂直支持リブ11a中の成形された伸張部44内に形成された窪み中に挿し込まれたグリル羽根12aを示す、垂直面における断面図である。伸張部44は、グリル基体の後方に、一般には水平面に延在し、グリル羽根12aを略水平方向に受容するための窪みを備えて形成される。ねじ穴45(図8B参照)がグリル羽根12aの背面側に設けられる。グリル羽根12aを固定するために、ボルト又はスクリューなどのねじ固定部46は、グリル羽根12aの背面側に成形されたグリルの窪みの背面側からねじ止めされる。図8Bは、グリル羽根12aと連結されたねじ固定部46を示す、水平面での断面図である。
【0049】
グリル1の上側上面には、ボンネットバンプストップ9a,9bがいずれの側面の近くに設けられる。車両に取り付けられた場合、このボンネットバンプストップ9a,9bは、ボンネットが閉じた位置にある場合、車両ボンネットに対する支持を付与する。
【0050】
図3A及び3Bに示すように、グリル1の上側上面には一対の結合手段8a,8bも備えられる。結合手段8a,8bは、互いに離間して、グリル1の上側上面の反対側に設けられる。
【0051】
グリル1の下側下面には、複数の固定開口部10a〜10dが設けられる。これらの固定開口部10a〜10dは、グリル1の下側下面に略平行に平面上に延在するループ状の形として形成される。実施形態では、固定開口部は、グリル周囲成形品34と一体に成形される。
【0052】
図3Bは、グリル1のフロントの正面斜視図を示す。この図では、結合手段8a,8bがグリル1の上側上面に配置されていることがわかる。実施形態で見られるグリル羽根12a〜12eは、グリル1の各側面から延在し、略水平面に向いているアルミニウム合金のストリップとして形成される。
【0053】
図4Aは、グリル1の下側下縁又は下面へ配置された、下部又は第2の結合手段35を示す。使用時、第2結合手段35は、グリル1をバンパ部材、例えばバンパアーマチュア(図示なし)に連結又は結合するために使用される。
【0054】
図4Aに示すように、グリル1の固定開口部10は、固定開口部10の平面より下に延在する伸張部又は突出部27の形の戻り止め又は位置決めポイントを含む。突出部27は、共通の回転軸を共有する外側放射状壁36及び内側放射状壁37を有して形成される。突出部の外側放射状壁36には、窪み状溝17が設けられる。窪み状溝17は実質的に半円の断面を有する。
【0055】
外側放射状壁36及び内側放射状壁37は、閉鎖した形を形成するほど完全に延在しているわけではない。代わりに、突出部27の内側放射状壁37は、円筒形のスペース要素15を収容するように形成される。円筒形スペース要素15は、実質的に半円の断面を有するその円周の周りに窪み状溝を備える。
【0056】
貫通穴39は、円筒形スペーサー15内にその中心を通って延在するように設けられ、その貫通穴を通ってボルト16が配置されうる。ボルトは、ヘッド又はエンドキャップ13を備え、このヘッド又はエンドキャップは円筒形スペーサー15の直径よりも大きな直径を有する。このように、円筒形スペーサー15は、ボルト16によって適所に保持される。ボルト16は、六角棒スパナ、又は取り付けを容易にするための他の工具を収容するために、工具コネクタ28(図4Bのように)、例えば窪みも備える。不図示のバンパには、円筒形スペーサー15をバンパと共に保持するように、ボルト16がバンパ内へねじ止めされうるか、又はバンパと接続されうるように、ボルトを収容するための手段が備えられる。
【0057】
図4Aに示すように、Ω、すなわち又はクラゲ状の断面のように形付けられたスプリングクリップ14が、突出部27の外側放射線状面36の周りに延在するように、外側放射線状面36内に形成された窪み状溝17中に少なくとも部分的に噛合うように備えられる。スプリングクリップ14は、円形の断面を有するワイヤから形成される。ワイヤはオープンループを形成し、このオープンループは部分的に半円であり、ループの反対側との間に間隙を有し、この間隙は、半円部分から遠い方向では幅が最初は狭くなっており、引き続く部分では間隙の幅が大きくなる。間隙の最大幅は、円筒形スペーサー15の直径よりも小さくなるように形成される。ワイヤは、金属などの弾性材料から形成される。
【0058】
図4Aで見て取ることができるように、スプリングクリップ14は、単一面で形成される。第2の結合手段35が取り付けられる場合に、スプリングクリップ14の反対側面が、円筒形スペーサー15の窪み状溝38に対して付勢する。この配置は、突出部27の内側放射線状面37とのその噛合いから円筒形スペーサー15が外れることに抵抗する。
【0059】
スプリングクリップ14が突出部27の外側放射線状面36中の窪み状溝17中に噛合う場合にも、スプリングクリップは、ボルト16の長手方向軸に対して略平行な方向にグリル1がバンパ(図示なし)から外れることに抵抗する働きをする。
【0060】
4つの同一の結合手段35は、グリル1の最下縁に沿って離間して設けられる。実施形態において、スプリングクリップ14は、円筒形スペーサー15が、それぞれのスプリングクリップ14内の間隙を通るように、円筒形スペーサー15がそれぞれのスプリングクリップ14を付勢して開き(bias open)、グリル1の下側の範囲に1540ニュートンの負荷がかけられる必要があるように選択される。ブレークアウト負荷と呼ばれるこの負荷は、結合手段当たり385ニュートンの平均負荷に相当する。
【0061】
従って、グリルと歩行者の下腿などの身体との衝突中に、約1540ニュートン以上の負荷がグリル1の下部にかけられる場合、グリル1の下部はバンパから外れるか又は接続解除されると理解することができる。
【0062】
図5Aは、グリル1の上面の上部の又は第1の結合手段8の図を示す。結合手段8は、グリル1の上面の、対応して形成された部分に適合する成形品19を含む。成形品19は、略水平面にあるガイド溝20を備える突出部26と一体成形される。このガイド溝中に、突出部21が収容されうる。この突出部21は、対応して形成されたグリル1の部分内に形成される。成形品19及び対応して形成されたグリル1の部分が噛合う際に、ガイド溝20は突出部21内に設置され、グリル1に関する成形品19の垂直移動に抵抗する。グリルの上面の、対応して形成された部分は、グリル1の先端部でのみ開いている。このように、成形品19が噛合う際に、グリル1に関する成形品19の横軸移動に抵抗する。これにより、これらの部品は、移動の方向を及びフェンダからのグリルの接続解除を案内するためのガイド手段として作用する。
【0063】
連結手段8は、ワッシャ又は支持部分29及び円筒形スペーサー24を介して延在するボルト23を含む。円筒形スペーサー24は、第2結合手段に関して記載した円筒形スペーサー15と同様の形状を有し、同様に、その円周の周りに溝付けられた窪み38を備える。第2結合手段のスプリングクリップと同様に形成されたスプリングクリップ18が設けられる。グリル1の上面は、形が下部固定開口部上の突出部と同様である、突出部40の形の戻り止めを備えて形成される。スプリングクリップ18は、同様に、突出部40の外側放射線状面中に形成された窪み状溝41中に配置される。
【0064】
図5Bは、グリル1と連結した成形品19を示す。この位置で、スプリングクリップ18は、突出部41の内側放射線状面42に対して円筒形スペーサー24を維持又は保持する。
【0065】
図5Cは、結合手段8及びグリル1の上面の断面図を示す。この図において、結合手段8は、車両のフェンダ又はウイング25に連結されて示されている。フェンダは、フェンダ中の穴を貫通するボルト23によって接続される。フェンダは、ボルトヘッドの下部面とワッシャ又は支持部材29との間の間隙22において維持され、成形品19と接続される。
【0066】
円筒形スペーサー24がスプリングクリップ18内に設置される場合、スプリングクリップは円筒形スペーサー24が外れるのに抵抗する。円筒形スペーサーがボルト23によりフェンダに接続される場合、フェンダに関するグリル1の移動に抵抗する。
【0067】
一般に、同一の2つの第2結合手段8が、グリル1の上側上面のいずれの側にも設けられる。実施形態において、スプリングクリップ18は、円筒形スペーサー24がスプリングクリップ18内の間隙を通るように、円筒形スペーサー24がそれぞれのスプリングクリップ18を付勢して開き、グリル1の上側の範囲に770ニュートンの負荷がかけられる必要があるように選択される。ブレークアウト負荷と呼ばれるこの負荷は、結合手段当たり385ニュートンの平均負荷に相当する。
【0068】
従って、グリルと歩行者の下腿などの身体との衝突中に、約770ニュートン以上の負荷がグリル1の上部にかけられる場合、グリル1の上部は接続されるフェンダから外れるか又は接続解除されると理解することができる。
【0069】
グリル1を含む車両アセンブリにおいて、第1及び第2接続手段8,35は、グリルが第1位置にある場合、グリル1と車両ボディ部、ここでは、車両のフェンダ又はウイング25、又車両のバンパアーマチュア3とを連結又は接続する働きをする。従って、グリル1は、車両のフェンダ及びバンパを適所に支持及び保持する働きをする。図1A〜1Fにより上述したような衝突の場合に、所定の負荷を超えると、第1及び第2結合手段8,35は、グリル1をバンパアーマチュア3及びウイング又はフェンダ25から外す。この場合、フェンダ25は、固定された横軸位置にもはや保たれず、車両の前端の剛性は減少する。第1及び第2結合手段8,35は、グリル1が適所に留まる軽度衝撃の間に、所定の負荷に達した場合にのみ接続解除される。
【0070】
結合手段に損傷が生じないと仮定して、グリルが一度フェンダ及びバンパから外されると、その後、グリルは、その元の位置に戻されうるか又は再構成され、スプリングクリップ14,18によって維持されうる。
【0071】
グリル1が車両のバンパ3及びウイング又はフェンダ25から外され、第2位置へと移動される場合、フェンダ及びバンパはもはや拘束されておらず、かつ歩行者衝突の際に、車両のフロントにおける全システム又は構造の強度が減少され、その際、より弾性のアセンブリが提供される。そうすると、このように、いずれの衝撃も、車両ボディの個々の部品の剛性又は強度に反するだけである。グリルの後方への移動も、ボンネット2の前縁2Aのための支持を低減させる。
【0072】
図6に示すように、車両ボンネット2の前縁2aは、一連のスロット30を備える。スロット30は、使用時、車両のボンネット2の最下スキンに形成された複数の離間方形開口部として形成される。ボンネットのスキンにおける開口部30は、衝突中にボンネットが局所的に変形するか又は曲がるのを可能にする。この局所的な変形は、図1A〜1Fに関して記載した。これらの開口部は、ボンネット2の他の領域に比べてボンネットの前縁2aの剛性を減少し、その列の構成は、歩行者との衝突中に、湾曲作用を有する予測可能な曲げを可能にする。
【0073】
車両のボンネット2は、窪み31a,31bも備え、この窪みの中にボンネットバンプストップ9a,9bが収容されうる。
【0074】
衝突中にグリル1はフェンダ25及びバンパ3から外されるようになるので、グリルは車両の長手方向に自由に移動する。図7、又図1A〜1Fに示すように、長手方向へのグリルの移動を容易にするために、車両グリルの背後に、空間又は空洞が設けられる。接続解除される場合、グリルは長手方向に車両の前端から離れて自由に移動する。実施形態において、グリル1及び結合手段は、車両の先端又は前端におけるフェンダ及びボンネットのための配置箇所のみである。もはやボンネット2をそれ程強く支持しないフェンダ25及びバンパ3からのグリル1の接続解除及び後方へのグリル1の移動は、グリル1がフェンダ25及びバンパ3と接続されている場合よりも、より良好に追従する車両の前端を形成する。図7に示すように、バンパアーマチュア3の上端部32は、グリル1が接続解除される際にグリル1の乗り上げを容易にするために丸みを帯びている。
【0075】
本発明の移動可能なグリル1は、建築的キーストーンのような働きをし、その際、1つの位置では、グリルは、モータリングの間の振動及びエアロダイナミック負荷に対して良好に保たれる程度高い構成部品の剛性を提供するが、他の位置に移動した場合には、構成部品は著しくより追従するようになり、それによって歩行者衝突の良好な性能を付与する。軽度の衝突中に、グリル1は、第1の当初位置から後方に移動しうるが、他の構成部品は永久に変形されない。次いで、グリル1は元の位置に前方へと引き出すことができ、スプリングクリップ14,18が中心を超えて、それらの当初の配置へとはじき戻す(snap back)ことができる。
【0076】
上記実施形態及び考察によれば、自動車などの自動車両は、卓越した歩行者衝突性能を提供しつつ、ボンネット前端とグリルとの間に追従性を有する成形品を必要とすることなく、高品質でかつ頑丈そうな金属羽根グリルに加えて車両の前端に絶え間なく完全に延在する金属などの最高品質の材料で形成されたボンネットなどの、極めて高い品質の構成部品の使用も可能にしうる。グリル、ボンネット及びフェンダなどの金属構成部品は、歩行者との衝突時に、追従的に変形させることが困難であると思われがちであるが、特にこれらの構成部品が通常運転状態下で高剛性に保つことが望しい場合に、本発明に係る好ましい構造は、非常に最高レベルのスタイル及び職人技での構造の可能性を依然として提供しつつ、優れた歩行者衝突性能を有利に達成することができる。
【0077】
本発明は、添付する請求の範囲において限定した本発明の範囲を逸脱することなく、様々な方法で実施することができ、記載された実施形態に関する様々な変更形態が想定される。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B