(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130969
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピース
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
A61F7/00 310F
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-515298(P2016-515298)
(86)(22)【出願日】2015年4月15日
(65)【公表番号】特表2016-525380(P2016-525380A)
(43)【公表日】2016年8月25日
(86)【国際出願番号】KR2015003742
(87)【国際公開番号】WO2015163629
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2015年6月10日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0050289
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515157356
【氏名又は名称】ユニオン メディカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】キム,チュン ヨン
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開平2−19149(JP,A)
【文献】
特開平4−212378(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/009826(WO,A2)
【文献】
特表2004−525667(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/115591(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波温熱治療器に設けられて患部に高周波電流を印加するように構成されるハンドピースにおいて、
円板状に形成され、冷却水用の流入口及び流出口が形成され、底面にはリング状の取付溝が形成されるハンドピース本体と、
下端部が前記ハンドピース本体の上面中央に結合されるハンドピース握り手と、
前記ハンドピース本体の下側に結合されるように構成され、内部には前記流入口を介して供給されるとともに前記流出口を通じて流出する冷却水で満たされた内部空間が形成されているボーラスと、
前記ハンドピース本体の下面に結合され、前記ボーラスの内側に設けられ、前記ボーラスの前記内部空間と、前記ハンドピース本体との間に挟まれており、患部の下側に設けられる下部電極部と組み合わさって、高周波発生部で発生する高周波電流を患部に印加するように構成される円板状の高周波電流印加用の電極部と、
前記電極部の上面に取り付けられ、前記リング状の取付溝に収容されて設けられるリング状の熱電素子と、
前記取付溝の壁面と、前記熱電素子との間に形成されたリング状の空隙と、
を含むことを特徴とする冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピース。
【請求項2】
前記ボーラスは、円板状の底板と、前記底板の縁に沿って上側に延びる円筒状の側面板とからなり、前記内部空間を囲むカバー部と、前記側面板の上端から外側に曲げ形成され、その上面には複数の挿入孔が形成される環状のフランジ部とを含み、
前記ハンドピース本体の底面には、その縁に沿って前記フランジ部の上端部が挿入されて結合される環状の上部結合溝が形成され、前記上部結合溝には、前記挿入孔と対応する位置に複数の貫通孔が形成され、
中央には前記カバー部が挿通する通孔が形成され、上面には前記フランジ部の下端部が挿入されて結合される下部結合溝が形成され、前記下部結合溝の底面には、前記貫通孔と対応する位置に複数の締結孔が形成される環状の下部結合板が備えられ、
前記ボーラスのフランジ部が前記ハンドピース本体の上部結合溝と前記下部結合板の下部結合溝とに収容されて結合された後、前記ハンドピース本体の挿入孔に挿入されるネジが上部結合溝の貫通孔を介して下部結合溝の締結孔に締結され、前記ボーラスが前記ハンドピース本体に下部結合板を介して結合されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピース。
【請求項3】
前記ハンドピース本体の上面一側には、前記流入口が形成され、前記ハンドピース本体の上面他側には、前記流出口が形成され、前記の流入口と流出口とを通じてボーラスの内部に冷却水が循環するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピース。
【請求項4】
前記ハンドピース本体の中央には、結合孔が形成され、この嵌合孔の下端には、環状の結合片が形成され、前記ハンドピース握り手が嵌合孔に嵌合した後、前記結合片に結合されるように構成され、
前記結合片には、複数のネジ孔が形成され、このネジ孔にネジが挿入され、前記ハンドピース本体の下面に密着している電極部に締結されるように構成されることによって、前記ハンドピース本体の下面に電極部が結合するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピース。
【請求項5】
前記電極部と熱電素子との間にはセラミックパッドが設けられ、
前記ハンドピース本体の上面には、前記取付溝の一部の箇所に対応して開口部が設けられ、この開口部に冷却ファンが設けられ、前記リング状の空隙及び前記開口部を通じて、発生する熱をハンドピース本体の外部に放出するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付き高周波温熱治療起用ハンドピース。
【請求項6】
前記セラミックパッドの所定位置に設けられ、セラミックパッドの温度を検出するように構成した温度検出センサと、
前記温度検出センサで検出した温度に基づいて、予め設定した温度範囲でセラミックパッドが恒温状態を維持するように電源の供給と冷却ファンの駆動を制御する制御部と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピース。
【請求項7】
前記熱電素子の上面には、底面に熱電素子が少なくとも部分的に挿設される固定溝が形成された冷却水ジャケットが設けられ、前記冷却水ジャケットに結合されて冷却水を循環させるポンプを備えることを特徴とする請求項1に記載の冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースに関するもので、より詳細には、ハンドピースの内部に設けられる電極部を冷却することができる冷却手段を備えることによって、電極部の過熱を防止すると共に、電極部の温度を容易に調節することができるので、患者別に異なる人体の特性や腫瘍の位置に基づいて必要な量のエネルギーを供給するように効率的に制御することができる冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌を治療するための温熱治療法は、癌組織に熱を加えて、癌細胞の代謝率を増加させながら、癌細胞への酸素の供給を遮断することによって、癌細胞の増殖を抑制し、癌細胞の死滅を誘導して破壊する治療法である。
【0003】
このような温熱治療においては、正常組織を損傷せず、どのように癌組織のみに熱を効率的に伝達するか、繰り返し治療する場合、同一の部位にどのように熱を加えることができるか、伝達された熱エネルギーの量を測定してどのような方法で必要な量を正確に調節することができるか、または個人別に必要とする熱量と治療の際に耐えることができる温度のレベルをどのように決定するかなどの問題が重要視されている。
【0004】
図1は従来技術の温熱治療装置を示す概略図である。
【0005】
図1に示すように、従来技術の温熱治療装置1は、分割型の治療台10−1、10−2、ハンドピース支持装置20、駆動制御装置40、及びクーラー50で構成されている。
【0006】
治療台10−1、10−2は、それぞれの昇降用モータ(図示せず)を備えており、各昇降用モータは、昇降制御部(図示せず)によって制御される。
【0007】
治療台10−1、10−2の上面には、スライドマット12が設けられている。スライドマット12は、それぞれ手動で縦方向に独立して移動可能に治療台10−1、10−2に設けられる。スライドマット12は、このスライドマット12の位置を検出する位置検出センサと、スライドマット12を一定の位置に停止させるストップ機構(図示せず)と、が設けられている。位置検出センサは、スライドマット制御部(図示せず)に接続され、このスライドマット制御部によってストップ機構が制御される。治療台10−1、10−2のそれぞれには、サポートバー14が設けられている。サポートバー14は、治療台10−1、10−2の一側面10aに設けられており、モータ(図示せず)によって駆動され、駆動スライドマット12の長手方向に沿って水平に往復動可能に移動する。
【0008】
ハンドピース支持装置20は、Cアーム型に形成され、レール29上で移動可能に設けられた台車21上でCアーム23を回転可能に支持するように構成される。ここで、Cアーム23は、その背面のレール23aと、台車21のローラ24aと、により支持される。レール23の背面23aに沿って、このレール23より若干長いチェーン25が設けられており、このチェーン25のそれぞれの端部は、レール23の端部に固着されている。また、このチェーン25は、台車21内のスプロケット24b、24cに外嵌されている。スプロケット24cは、チェーン26を介して伝達されるモータ27の回転力をCアーム23に伝達する。結局、Cアーム23はモータ27の回転力により回転駆動される。
【0009】
一方、台車21は、車輪21bを介してレール29上に移動可能に配置されており、車輪21bは、モータ21aによって回転駆動される。
【0010】
Cアーム23の端部には、ハンドピース取付部30−1、30−2がそれぞれ設けられており、ハンドピース取付部30−1,30−2は、モータ31−1、31−2を内蔵している。
【0011】
ハンドピース取付部30−1、30−2において、ハンドピース33及び電極部33−2は、患者の患部に貼り付けられ、ハンドピース及び電極部33−1、33−2は、電極を有している。駆動制御装置40には、アーム41が付着されている。また、このアーム41の先端には、操作ボード42が付着され、この操作ボード42は、表示部42aとボタン部42bとを有している。
【0012】
しかし、前述のような従来技術の温熱治療装置は、電極からハンドピースに伝達される熱を冷却して、ハンドピースから発生する熱を冷却させたり、制御することができる手段を備えていない。そのため、ハンドピースの温度が高すぎると、施術を中断し、ハンドピースが冷却されるまで待ってから、施術を再開する不便がある。最悪の場合は、電極部が破損したり、施術時、患者が火傷を負う恐れがある問題がある。更に、ハンドピースの温度を調節して、患者別に異なる人体の特性や腫瘍の位置に基づいて、必要な量のエネルギーを供給するように効率的に制御することが難しいという問題点もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前述した問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ハンドピースの内部に設けられる電極部を冷却することができる冷却手段を備えることによって、電極部の過熱を防止すると共に、電極部の温度を容易に調節することができるので、患者別に異なる人体の特性や腫瘍の位置に基づいて、必要な量のエネルギーを供給して効率的に制御することができるように構成した冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の目的を達成するための、本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースは、高周波温熱治療器に設けられて患部に高周波電流を印加するように構成されるハンドピースにおいて、円板状に形成され、底面には取付溝が形成されるハンドピース本体と、前記ハンドピース本体の上面中央に結合されるハンドピース握り手と、前記ハンドピース本体の下側に結合されるように構成され、内部には前記ハンドピース本体を介して供給される冷却水が充満するボーラスと、前記ハンドピース本体の下面に結合され、前記ボーラスの内側に設けられ、前記ボーラスと患部の下側に設けられる下部電極部との間に配置されるように構成され、高周波発生部で発生する高周波電流を患部に印加するように構成される電極部と、前記電極部の上面に付着され、前記ハンドピース本体の取付溝に収容されて設けられる熱電素子とを含むことを特徴とする。
【0015】
ここで、前記ボーラスは、円板状の底板と、前記底板の縁に沿って上側に延びる円筒状の側面とからなり、内部には冷却水が充満するカバー部と、前記側面板の上端から外側に曲げ形成され、その上面には複数の挿入孔が形成される環状のフランジ部とを含み、前記ハンドピース本体の底面には、その縁に沿って前記フランジ部の上端部が挿入されて結合される環状の上部結合溝が形成され、前記上部結合溝には、前記挿入孔と対応する位置に複数の貫通孔が形成され、中央には前記カバー部が挿通する通孔が形成され、上面には前記フランジ部の下端部が挿入されて結合される下部結合溝が形成され、前記下部結合溝の底面には、前記貫通孔と対応する位置に複数の締結孔が形成される環状の下部結合板が備えられ、前記ボーラスのフランジ部が前記ハンドピース本体の上部結合溝と前記下部結合板の下部結合溝とに収容されて結合された後、前記ハンドピース本体の挿入孔に挿入されるネジが上部結合溝の貫通孔を介して下部結合溝の締結孔に締結され、前記ボーラスが前記ハンドピース本体に下部結合板を介して結合されるように構成したことが好ましい。
【0016】
また、前記ハンドピース本体の上面一側には、前記ボーラスの内部に冷却水が流入する流入口が形成され、前記ハンドピース本体の上面他側には、前記ボーラスの内部の冷却水が流出する流出口が形成され、前記入口と流出口とを通じてボーラスの内部に冷却水が循環するように構成したことが好ましい。
【0017】
また、前記ハンドピース本体の中央には、結合孔が形成され、この嵌合孔の下端には、環状の結合片が形成され、前記ハンドピース握り手が嵌合孔に嵌合した後、前記結合片に結合されるように構成され、前記結合片には、複数のネジ孔が形成され、このネジ孔にネジが挿入され、前記ハンドピース本体の下面に密着している電極部に締結されるように構成されることによって、前記ハンドピース本体の下面に電極部が結合するように構成したことが好ましい。
【0018】
また、前記電極部と熱電素子との間にはセラミックパッドが設けられ、前記ハンドピース本体の上面には冷却ファンが設けられ、前記ハンドピース本体の取付溝で発生する熱をハンドピース本体の外部に放出するように構成したことが好ましい。
【0019】
更に、前記セラミックパッドの所定位置に設けられ、セラミックパッドの温度を検出するように構成した温度検出センサと、前記温度検出センサで検出した温度に基づいて、予め設定した温度範囲でセラミックパッドが恒温状態を維持するように電源の供給と冷却ファンの駆動を制御する制御部と、を含むことが好ましい。
【0020】
更に、前記熱電素子の上面には、底面に熱電素子が挿設される固定溝が形成された冷却水ジャケットが設けられ、前記冷却水ジャケットに結合されて冷却水を循環させるポンプを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースは、ボーラスの内部に冷却水が循環される構造を有することによって、ボーラスの内部に設けられ、患部に高周波電流を印加する電極部を冷却するようになり、電極部の上側に設けられる熱電素子を介して電極部の上面を冷却することができるようになり、ハンドピースを使用した温熱治療の際、電極部の過熱を防止するように構成される。
【0022】
また、本発明は、電極部の冷却を通じて電極部の温度を容易に調節することができるので、患者別に異なる人体の特性や腫瘍の位置に基づいて、必要な量のエネルギーを供給して効率的に制御することができるように構成され、拡張性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来技術の温熱治療装置を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの分解斜視図である。
【
図3】本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの結合正面図である。
【
図4】本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの分解断面図である。
【
図5】本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの結合断面図である。
【
図6】本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの使用状態を説明するための説明図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースを示す結合断面図である。
【
図8】本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの概略的な回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0025】
本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースは、高周波温熱治療器に設けられて患部に高周波電流を印加するように構成される。本発明のハンドピースが設けられる高周波温熱治療器は、
図1に示す温熱装置とその構成が同一又は類似するので、高周波温熱治療器についての詳細な説明は省略する。また、本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースは、原発腫瘍または転移性腫瘍(例えば肝、脾臓、腎臓、肺など)、腸管腫瘍、婦人科腫瘍及び骨盤部腫瘍、などの治療に使用することができる。以下には、腫瘍や癌の部位を、例えば、患部と総称して説明する。
【0026】
図2は本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの分解斜視図であり、
図3は本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの結合正面図であり、
図4は本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの分解断面図であり、
図5は本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの結合断面図であり、
図6は本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの使用状態を説明するための説明図であり、
図7は本発明の他の実施形態に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースを示す結合断面図であり、
図8は本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースの概略的な回路構成を示すブロック図である。
【0027】
図2〜
図5に示すように、本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースは、ハンドピース本体100、ハンドピースのハンドル200、ボーラス300、電極部400及び熱電素子700を含んで構成されている。
【0028】
ハンドピース本体100は、後述するそれぞれの構成部が設けられる部分であって、ディスクの形状を有する。そして、ハンドピース本体100は、円板状に形成され、底面には後述する熱電素子700が設けられる取付溝101が形成される。
【0029】
ハンドピース握り手200は、ハンドピース本体100の上面中央に結合するように構成される。ここで、ハンドピースのハンドル200は、施術者が把持して施術を容易にすることができるように構成され、その上部には、高周波温熱治療器に結合されるように構成される。また、ハンドピース握り手200の内部には中空に形成され、後述する電極部400に接続される電線が通過できるように構成することが好ましい。
【0030】
ボーラス300は、ハンドピース本体100の下側に結合されるように構成され、内部にはハンドピース本体100を介して供給される冷却水Cが充満するように構成される。つまり、ボーラス300は、後述する電極部400自体から発生する熱によって人体の皮膚接触部位に紅斑や火傷などの損傷を負う恐れがあるので、これを防止するために、ボーラスの内部の冷却水Cを通じて電極部400の温度を低下する役割をする。
【0031】
具体的に、ボーラス300は、円板状の底板311と、底板311の縁に沿って上側に延びる円筒状の側面312とから構成され、内部に冷却水Cが充満するカバー部310と、側面312の上端から外側に曲げ形成され、その上面には複数の挿入孔321が形成される環状のフランジ部320と、から構成されている。ここで、ボーラス300は、その下面である底板310が円板状に形成されているので、より広い面積で患部Aに密着することができる。従って、広い面積の患部をカバーして治療することができ、患部に密着している部分が増加するので、その治療効果が向上する。
【0032】
ここで、ボーラス300は、下部結合板500を介してハンドピース本体100に組立て式に結合される。具体的に、ハンドピース本体100の底面には、その縁に沿ってフランジ部320の上端部が挿入されて結合される環状の上部結合溝110が形成され、上部結合溝110には、挿入孔320と対応する位置に複数の貫通孔111が形成される。そして、下部結合板500は、中央にカバー部310が挿通する通孔510が形成され、上面にはフランジ部320の下端部が挿入されて結合される下部結合溝520が形成され、下部結合溝520の底面には、貫通孔111と対応する位置に複数の締結孔521が形成される。このような構成により、ボーラスのフランジ部320がハンドピース本体100の上部結合溝110と下部結合板500の下部結合溝520とに収容されて結合された後、ハンドピース本体の挿入孔111に挿入されるネジSを上部結合溝の貫通孔111を介して下部結合溝の締結孔521に締結させる。そうすると、ボーラス300は、下部結合板500を介してハンドピース本体100に結合される。
【0033】
一方、ハンドピース本体100の上面の一側にはボーラス300の内部に冷却水Cが流入する流入口120が形成され、ハンドピース本体100の上面他側にはボーラス130の内部の冷却水Cが流出する流出口130が形成される。つまり、ポンプ(図示せず)により流入口120から冷却水Cが流入した後、ボーラス300の内部を流動した冷却水Cは、流出口130を通じて流出するようになる。この時、冷却水Cがボーラス300の内部を循環する過程で熱を吸収するようになる。ここで、冷却水Cは凝固点が非常に低い不凍液を含有することが好ましい。
【0034】
電極部400は、ハンドピース本体100の下面に結合され、ボーラス300の内側に設けられる。すなわち、
図6に示すように、電極部400は、ボーラス300と患部Aの下側に設けられる下部電極部600との間に配置され、高周波発生部410で発生する高周波電流を患部Aに印加する。つまり、ボーラス300と下部電極部600との間に患部Aを配置し、高周波電流を患部Aに印加すると共に、電極部400と下部電極部600とを通電させる。一方、電極部400は陽極であり、下部電極部600は陰極であり得る。しかし、本発明においては、これに限定されず、電極部400と下部電極部600とは、それぞれ陰極及び陽極であり得る。
【0035】
一方、高周波発生部410で発生して電極部400を介して印加される高周波電流は、13.56MHzであることが好ましい。このような高周波電流は、帯電した電極部及び下部電極部400、600との間に位置する人体の患部Aに誘導される。ここで、人体のうち、高周波電流が人体を流れる際、新陳代謝が活発になった部分、すなわち、電離したイオン(ナトリウムイオン、カルシウムイオンなど)の量が多い部位は、電気伝導度が高いので、電流が集中的に流れるようになる。例えば、高周波電流は電離したイオンを有する癌細胞の一つ一つの細胞膜を取り囲んでいる細胞外液に沿って流れる。この時、癌細胞は、高周波電流によって正常細胞とは異なり、摂氏38.5〜42.0度の温度に達すると、自然に破壊されて壊死する。従って、癌組織のような患部にエネルギーを集中して、患者が動いている場合にも、治療の際、CT、MRIなどを用いて位置を確認する必要がなく、患部組織に沿って自動で治療することが可能である。更に、抗癌薬と放射線治療を並行する場合にも治療効果が上昇し、抗癌薬の投与や放射線治療が難しい場合には、温熱治療だけで癌を治療する効果が得られ、癌による重度の痛みを改善することによって、鎮痛剤の使用量を減らすことができる。
【0036】
ここで、ハンドピース本体100の中央には、嵌合孔140が形成され、この嵌合孔140の下端には、環状の結合片141が形成されている。それによって、ハンドピースのハンドル200が嵌合孔140に嵌合した後、その下端は結合片141に結合される。結合片141には、複数のやネジ孔141aが形成され、このネジ孔141aには、ネジSが挿入されてハンドピース本体100の下面に密着している電極部400に締結するように構成されている。それによって、ハンドピース本体100の下面に電極部400が結合される。
【0037】
熱電素子700は、電極部400の上面に付着してハンドピース本体100の取付溝101に収容されて設けられる。つまり、熱電素子700は、電極部400の温度が所定温度以上に上昇すると、これを冷却して電極部400の温度を調節に構成されている。ここで、熱電素子(冷熱半導体)を大別すると、電気抵抗の温度変化を用いた素子であるサーミスタ、温度差によって起電力が発生する現象であるゼーベック効果を用いた素子、及び電流によって吸熱または発熱する現象であるペルチェ効果を用いた素子であるペルチェ素子などがある。
【0038】
本発明においては、熱電素子700としてペルチェ効果があるペルチェ素子を使用する。ここで、ペルチェ効果とは、2種類の金属の端部を接続した後、これに電流を印加すると、電流方向に応じて一方の端子は吸熱し、他方の端子は、発熱する現象をいう。2種類の金属の代わりに、電気伝導方式が異なるビスマス(Bi)及びテルル(Te)などの半導体を使用する場合、効率の高い吸熱と発熱作用を行うペルチェ素子が得られる。これは、電流の方向に応じて、吸熱と発熱を切り替えることができ、電流量に基づいて吸熱量と発熱量を調節することができる。本発明においては、ペルチェ素子を熱電素子として活用する。即ち、電流量に基づいて電極部400の温度が所定温度以上に上昇すると、これを冷却して電極部400の温度を調節する。
【0039】
更に、
図7に示すように、電極部400と熱電素子700との間には、セラミックパッド710を設けることが好ましい。ここで、セラミックパッド710は、絶縁性を有する材質であり、電極部400で発生するRFを遮断して熱電素子の誤作動を防止し、半導体からなる熱電素子700の損傷を防止する。そして、ハンドピース本体100の上面には、冷却ファン800を設けることによって、ハンドピース本体100の取付溝101から発生する熱をハンドピース本体100の外部に放出するように構成することが好ましい。
【0040】
また、
図8に示すように、本発明は、セラミックパッド710の所定の位置に設けられ、セラミックパッド710の温度を検出するように構成した温度検出センサ910と、温度検出センサ910で検出した温度に基づいて、予め設定した温度範囲でセラミックパッド710が恒温状態を維持するように電源の供給と冷却ファン800の駆動を制御する制御部920を含んで構成することが好ましい。つまり、熱電素子700に熱を伝導するセラミックパッド710の温度を検出し、検出した温度に基づいて、セラミックパッド710が予め設定した温度を維持できるように、制御部920は、電源の供給と冷却ファン800の駆動を制御する。それによって、セラミックパッド710を恒温状態に維持することができる。従って、セラミックパッド710の下面に取り付けられた電極部700の温度も常に一定の状態を維持する。
【0041】
一方、熱電素子700の上面には、底面に熱電素子700が挿設される固定溝721が形成された冷却水ジャケット720が設けられ、冷却水ジャケット720に結合されて冷却水を循環させるポンプ722を設けることが好ましい。従って、熱電素子700が冷却水ジャケット720によって取り囲まれて設けられるので、熱電素子700に吸収された熱が冷却水ジャケット720を流れる冷却水との熱交換を介して放出されて熱電素子700が冷却される。
【0042】
次は、前述したように構成した本発明に係る冷却機能付き高周波温熱治療用ハンドピースを用いて患者を治療する方法を説明する。まず患者は、温熱装置の治療テーブル上に楽に横になる。次に、腫瘍部位において2つのアクティブ型電極400、600を合わせた状態で、治療を開始する。この時、13.56MHzの高周波が腫瘍部位を通過しながら熱を発生する。従って、癌細胞に特に敏感な13.56MHzの高周波を用いて、非侵襲的なエネルギー制御方式で、癌組織のみに選択的に、腫瘍に敏感な摂氏42度の熱を加える。それによって、直接腫瘍の壊死または死滅を誘導して新陳代謝と免疫システムを活性化することができる。従って、本発明は、膵臓癌などの深部の奥低にある癌にも効果があす。通常、癌は組織に浸潤される特性を有しているので、癌組織を中心に両側から高周波を発射することによって、より高い熱的効果(すなわち、治療効果)を期待することができる。
【0043】
ここで、本発明においては、ボーラスの内部に冷却水が循環する構造を有することによって、ボーラスの内部に設けられ、患部に高周波電流を印加するように構成した電極部を冷却するようになる。また、電極部の上側に設けられる熱電素子を介して電極部の上面を冷却することができるようになり、ハンドピースを用いた温熱治療の際、電極部の過熱を防止するようになる。
【0044】
なお、本発明は、電極部の冷却を通じて電極部の温度を容易に調節することができるので、患者別に異なる人体の特性や腫瘍の位置に基づいて、必要な量のエネルギーを供給して効率的に制御することができるようになり、拡張性が向上する利点がある。
【0045】
以上、本発明は、たとえ限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明はこれらによって限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって、本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、高周波温熱治療器のハンドピースに設けられてハンドピースの過熱を防止することができる。