【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば上記目的は、
錠装置5を解錠キーなしに室内から施解錠操作するために扉4に固定されるサムターン装置であって、
サムターン装着開口1を備えたサムターンケース2内にサムターン軸3を回転自在に保持して扉4に固定され、扉4への固定状態においてサムターン軸3が錠装置5に連結されるサムターン本体6と、
前記サムターン装着開口1からサムターンケース2内に挿入可能な連結突部7を備え、サムターン本体6に着脱自在に装着されるサムターン8とを有し、
前記サムターン軸3の前端部には、該サムターン軸3に対して空転自在で、かつ、前記連結突部7が嵌合可能な嵌合凹部9を備えたカバー部材10が配置されるとともに、
サムターン軸3とカバー部材10とはサムターン8の装着時に回転方向に連結さ
れ、
かつ、前記サムターン軸3とカバー部材10とは、サムターン8が装着されていない状態で所定の相対トルクが発生した際に空転可能に連結されるサムターン装置を提供することにより達成される。
【0010】
本発明において、サムターン8にはカバー部材10の嵌合凹部9に嵌合する連結突部7が突設されており、サムターン本体6に装着されたサムターン8とカバー部材10とは、連結突部7を介して回転方向に連結される。錠装置5を操作するサムターン軸3に対して空転自在なカバー部材10とは、サムターン8の装着により相互に連結され、以後、サムターン8に加えた回転操作力はサムターン軸3に伝達され、錠装置5を操作することができる。
【0011】
また、カバー部材10はサムターン8が装着されていない状態ではサムターン軸3に対して空転自在なために、サムターン8未装着状態でカバー部材10に回転操作力を与えても回転操作力をサムターン軸3に伝達して錠装置5を操作することができない。
【0012】
カバー部材10とサムターン軸3とを相互に空転自在で、かつ、サムターン8を装着した際に連結する構成は、後述するように、適宜のクラッチ機構により容易に実現可能であるが、このほかに、
図9に示すように、サムターン8に形成される連結突部7の一部、あるいは全部をカバー部材10の嵌合凹部9を貫通する長さに形成し、サムターン軸3側に形成した連結孔3aに嵌合させるように構成することもできる。
【0013】
したがって本発明において、サムターン軸3の前端部に空転自在なカバー部材10を配置することにより、サムターン8を取り外した状態でサムターン軸3を直接操作することが不可能になるために、不正操作に対する耐性が向上する。
【0014】
また、サムターン軸3への直接操作が不可能となることによって、サムターン装着開口1が大きくなってもサムターン軸3を指で直接操作される虞がなくなる。この結果、不正操作に対する耐性を低下させることなくサムターン8の連結突部7を回転中心から離隔した位置におくことが可能となる。このため、連結突部7における荷重負担を小さくすることができ、金属等の高価な材料を使用する必要がなくなるため、コスト低減が可能になる。
【0016】
さらに、サムターン軸3とカバー部材10を相対トルクが発生するまで連結関係を保持するように構成する
ことにより、サムターン軸3とカバー部材10との相対位置を通常の使用状態において一定させることが可能になる。この結果、
図9に示すように、サムターン8の連結突部7をカバー部材10とサムターン軸3との連結手段に使用する場合には、カバー部材10を所定回転位置に保持して連結突部7と連結孔3aとを一致させてずれを防止できるために、使い勝手が向上する。このような構成は、
図9に示すように、カバー部材10とサムターン軸3との境界部に圧縮スプリング17により付勢されるボール18を配置し、カバー部材10に凹設された半球状凹部19に嵌合させることにより実現できる。
【0017】
また、サムターン軸3とカバー部材10とを所定の相対トルクが発生するまで連結可能に構成する
ことにより、サムターン軸3側に負荷を加えた場合にはサムターン軸3とカバー部材10との間には相対トルクはほとんど発生しないために、サムターン軸3の回転にカバー部材10を追随させることができる。
【0018】
したがって、
前記カバー部材10には、サムターンケース2に開設された表示窓11に臨む施解錠マーク12が表示されるサムターン装置を構成することによって、構造を複雑にすることなく錠装置5の施解錠状態を室内から知ることが可能になる。
【0019】
サムターン軸3とカバー部材10とを所定の相対トルクが発生するまで連結状態を維持する構成は、種々のクラッチ機構を使用することにより実現可能であり、
前記サムターン軸3とカバー部材10との間には、サムターン軸3とカバー部材10との間に所定のトルク差が発生した際にサムターン軸3とカバー部材10の双方に回転方向に係止する係止位置からいずれか一方との係止状態が解除される係止解除位置に移動するクラッチ部材13が介装されるとともに、
サムターン8には、クラッチ部材13の係止解除位置への移動を規制する移動規制部14が設けられるサムターン装置を構成すると、構造が簡単になる。
【0020】
この場合、
前記クラッチ部材13は適宜の付勢手段15により遠心方向に付勢されるとともに、
前記移動規制部14は、カバー部材10の回転中心位置に設けられたガイド凹部16に嵌合して前記クラッチ部材13の向心方向の移動を規制するサムターン装置を構成することができる。
【0021】
さらに、
前記連結突部7は、カバー部材10に形成される複数種の嵌合凹部9の一に嵌合可能な形状に形成され、異種の嵌合凹部9を有するカバー部材へのサムターン8の装着を禁止するサムターン装置を構成すると、サムターン8は、連結突部7が嵌合可能なカバー部材10にのみ連結することができるために、不正なサムターン8を装着することによる不正解錠操作を防止できる。
なお、本発明によれば、
サムターン装着開口1を備えたサムターンケース2内にサムターン軸3を回転自在に保持して扉4に固定され、扉4への固定状態においてサムターン軸3が錠装置5に連結されるサムターン本体6と、
前記サムターン装着開口1からサムターンケース2内に挿入可能な連結突部7を備え、サムターン本体6に着脱自在に装着されるサムターン8とを有し、
前記サムターン軸3の前端部には、該サムターン軸3に対して空転自在で、かつ、前記連結突部7が嵌合可能な嵌合凹部9を備えたカバー部材10が配置されるとともに、
サムターン軸3とカバー部材10とはサムターン8の装着時に回転方向に連結されるサムターン装置を提供することも可能である。