特許第6131029号(P6131029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131029
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/58 20060101AFI20170508BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20170508BHJP
   E06B 1/32 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   E06B3/58 B
   E06B5/16
   E06B1/32
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-261685(P2012-261685)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-105557(P2014-105557A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100081569
【弁理士】
【氏名又は名称】若田 勝一
(74)【代理人】
【識別番号】100156018
【弁理士】
【氏名又は名称】若田 充史
(72)【発明者】
【氏名】上田 武司
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−284988(JP,A)
【文献】 特開2010−248837(JP,A)
【文献】 特開平9−184372(JP,A)
【文献】 特開平10−153052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00− 5/20
E06B 3/04− 3/46
3/50− 3/52
E06B 3/54− 3/88
E06B 1/00− 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部の室外側の周囲に凹み部設けられ、前記凹み部に、縦枠および横枠により組まれた枠体の室内側見付け面部の室内側の面、前記凹み部の壁面に当接させて設置されることにより、前記枠体が建物開口部の室内側から見て室内側開口部構成部材により隠蔽された構造を有し
前記ガラスパネルの室内側4辺、前記縦枠および前記横枠のガラスパネル面内方向の内側に延出された室内側見付け面部に対面
前記ガラスパネルの室外側の少なくとも2辺、前記縦枠または前記横枠の室外側に取付けられる押縁によりシール材を介して固定されており
室外側より前記押縁を取付ける前記縦枠または前記横枠のうちの少なくとも1つに取付けられてガラスパネルを外れ止めする外れ止め金具を備え、
前記外れ止め金具は、ガラスパネルの室外側の面に対面する外れ止め部と、前記縦枠または前記横枠の見込み面部に対面する見込み面部と、前記縦枠または前記横枠の室内側見付け面部に取付ける取付け部とを有し
前記外れ止め金具の前記取付け部が、前記縦枠または前記横枠の室内側見付け面部の室外側の面に重ねられ、室外側から取付ける固定具によって固定されることにより、前記縦枠または前記横枠に前記外れ止め金具が取付けられていることを特徴とする窓。
【請求項2】
請求項1に記載の窓において、
前記縦枠および前記横枠の前記ガラスパネルの端面に対面する見込み面部に加熱発泡材設けられると共に、前記外れ止め金具の前記見込み面部におけるガラスパネル対面部に、加熱発泡材設けられていることを特徴とする窓。
【請求項3】
請求項1または2に記載の窓において、
前記ガラスパネルの室内側の面と前記縦枠および前記横枠の前記室内側見付け面部との間に加熱発泡材設けられていることを特徴とする窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物に設置される窓に係わり、特に防火対策を施した窓に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物が密集する防火地域においては、防火性、すなわち延焼防止効果や熱的影響の軽減効果の高い窓を設置する必要がある。このため、例えば特許文献1に開示されているような、網入りガラスパネルや耐熱ガラスパネルを備えた防火窓が従来から使用されている。従来の窓は一般的には1枚ガラスであり、その上、従来は框や枠に燃えやすい樹脂製押出形材を用いることは少なく、網入りガラスにひびが入っても防火性能に影響は少なかった。
【0003】
しかしながら近年、断熱性の向上による省エネ効果等を目的として、図10の縦断面図や図11の横断面図に示すようなペアガラス(PG)や、金属製押出形材と樹脂製押出形材とを用いた複合材が窓枠や框に多用されるようになってきた。図10図11において、50,51は建物の開口部の上縁、下縁にそれぞれ設置される額縁、52は建物の開口部の左右の縁に設置される額縁である。53は左右の縦枠、54,55はそれぞれこれらの縦枠53,53間に結合された上枠、下枠として備えられた横枠であり、いずれもアルミニウム合金等の金属製押出形材でなるものである。56,57,58はそれぞれこれらの縦枠53および横枠54,55の室内側にこれらに結合して設けられる合成樹脂製押出形材であり、断熱性を高めて結露を防止すると共に、省エネ効果を持たせるために設けられるものである。
【0004】
59はこれらの押出形材により構成される枠内に収容されたガラスパネルであり、このガラスパネル59は室外側ガラスパネル60と室内側ガラスパネル61とにより構成され、これらのガラスパネル60,61の間に、スペーサとしての金属製押出形材からなるスペーサ62と接着剤を兼ねた合成樹脂製の封止材63とを介在させたものである。
【0005】
64,65はそれぞれ合成樹脂製押出形材56,57に結合して設けられる合成樹脂製押出形材でなる押縁である。66は縦枠53、横枠54,55の室外側部分に設けられ、2重パネル59との間の隙間を封止するゴム等からなる乾式シール材、67は同じ目的を持って合成樹脂製押出形材58や押縁64,65に設けられた乾式シール材である。
【0006】
図10において、70は横枠54にねじ71により取付けられ、火災発生時のガラスパネル59の外れを防止する鉄製の外れ止め金具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−153519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図10図11に示した従来構造によると、金属製押出形材に比較して耐熱性の低い合成樹脂製押出形材でなる押縁65,64がそれぞれ額縁50,52のガラスパネル59の面内方向の内面よりW2,W3に示す幅だけ内側に突出しているので、火災が発生した場合、これらの押縁64,65が熱的影響により変形や崩壊を起こしやすく、このため、ガラスパネル59と縦枠53および横枠54との間に隙間が発生したり、ガラスパネル59の倒れを生じたりして、外部から内部への延焼、あるいは外部から内部への延焼が起こりやすくなるという問題点がある。
【0009】
また、外れ止め金具70はガラスパネル59を枠内に装着した後に取付ける必要があるが、外れ止め金具70とガラスパネル59との掛かり部の幅W1(図10参照)を大きくすると、ねじ71による横枠54(縦枠53に外れ止め金具70を取付けた場合には縦枠53)に対する取付けが困難となる上、押縁64,65も大型化するため、この掛かり部の幅W1を大きくすることができない。このため、外れ止め金具70とガラスパネル59との掛かり部の幅W1を小さくせざるを得ず、その結果、ガラスパネル59が室内側に倒れやすくなり、火災時に窓の部分が開口されて延焼が生じやすくなるという問題点がある。
【0010】
また、外れ止め金具70を取付けるねじ71は、室内外方向(ガラスパネル59の倒れ方向)に対して直交する向きに取付けられるため、ガラスパネル59に倒れ方向の力が加わるとねじ71やその取付け部が損傷しやすいという問題点がある。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、火災発生時にガラスパネルを枠内に確実に保持することが可能となり、延焼防止機能を向上させた窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の窓は、建物開口部の室外側の周囲に凹み部設けられ、前記凹み部に、縦枠および横枠により組まれた枠体の室内側見付け面部の室内側の面、前記凹み部の壁面に当接させて設置されることにより、前記枠体が建物開口部の室内側から見て室内側開口部構成部材により隠蔽された構造を有し
前記ガラスパネルの室内側4辺、前記縦枠および前記横枠のガラスパネル面内方向の内側に延出された室内側見付け面部に対面
前記ガラスパネルの室外側の少なくとも2辺、前記縦枠または前記横枠の室外側に取付けられる押縁によりシール材を介して固定されており
室外側より前記押縁を取付ける前記縦枠または前記横枠のうちの少なくとも1つに取付けられてガラスパネルを外れ止めする外れ止め金具を備え、
前記外れ止め金具は、ガラスパネルの室外側の面に対面する外れ止め部と、前記縦枠または前記横枠の見込み面部に対面する見込み面部と、前記縦枠または前記横枠の室内側見付け面部に取付ける取付け部とを有し
前記外れ止め金具の前記取付け部が、前記縦枠または前記横枠の室内側見付け面部の室外側の面に重ねられ、室外側から取付ける固定具によって固定されることにより、前記縦枠または前記横枠に前記外れ止め金具が取付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項2の窓は、請求項1に記載の窓において、
前記縦枠および前記横枠の前記ガラスパネルの端面に対面する見込み面部に加熱発泡材設けられると共に、前記外れ止め金具の前記見込み面部におけるガラスパネル対面部に、加熱発泡材設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項3の窓は、請求項1または2に記載の窓において、
前記ガラスパネルの室内側の面と前記縦枠および前記横枠の前記室内側見付け面部との間に加熱発泡材設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、室外側から押縁を取付ける構造にすると共に、押縁を取付ける前に、室外側から室内側に向けて取付ける固定具によって外れ止め金具を室外側から取付ける構造としたので、外れ止め金具の取付けが容易となる。
【0016】
また、従来構造に比較し、外れ止め金具の取付けを容易化するための外れ止め金具の寸法上の制約が少なくなり、ガラスパネルの掛かり部の幅を十分にとることができ、火災時に押縁が脱落したとしても、外れ止め金具によってガラスパネルの外れを防止することができ、ガラスパネルの外れによる開口部発生に伴う延焼を確実に防止することができる。
【0017】
また、外れ止め金具を取付ける固定具は室内側に向けて取付けられるため、固定具はガラスパネルの外れ方向、すなわちガラスパネルが室外側に外れようとする力を軸方向に受けることとなり、固定具に作用するする力に対して大きな取付け強度が得られ、固定具やその取付け部の損傷によるガラスパネルの外れも防止される。
【0018】
請求項2の発明によれば、縦枠および横枠のガラスパネルの端面に対面する見込み面部に加熱発泡材を設けたので、火災時にこの加熱発泡材が膨張することにより、ガラスパネルの端面と枠体との間が閉塞される。このため、熱風や可燃性ガスの室内側への侵入がより確実に防止され、延焼防止効果がさらに向上する。また、火災時にガラスパネルが枠体により確実に保持されるので、外れ止め金具の作用とも相俟って、ガラスパネルの保持が強固、確実に行なわれ、ガラスパネル外れによる延焼もさらに確実に防止される。
【0019】
また、外れ止め金具の部分では加熱発泡材をガラスパネルに対面する側に設けたので、火災時における加熱発泡材の膨張が外れ止め金具によって抑制されることなく、加熱発泡材の機能を十分に発揮することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、ガラスパネルの室内側の面と縦枠および横枠の室内側の見付け面部との間にも加熱発泡材を設けたので、火災時にはこの加熱発泡材が膨張することにより、ガラスパネルの室内側の面と縦枠および横枠の室内側の見付け面部との間に隙間が発生することが防止される。また、加熱発泡材が膨張することにより、ガラスパネルの室外側に押圧され、室外側の面における隙間の発生も防止されるため、ガラスパネルと枠との間の隙間の発生が防止される。
【0021】
このため、ガラスパネルと枠との間から熱風が室内側に侵入したり、シール材の加熱等によって発生する可燃性ガスが室内側に侵入して室内側が延焼しやすい状態となることを防止することができる。また、火災時に加熱発泡材の膨張によりガラスパネルが枠に保持できるので、ガラスパネルの構成を維持することができ、ガラスパネルの崩壊が防止され、外れ止め金具の外れ止め防止効果と相俟って、ガラスパネル外れによる延焼がより確実に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の窓の一実施の形態を示す縦断面図である。
図2】本実施の形態の窓の横断面図である。
図3図1の拡大縦断面図である。
図4図2の拡大横断面図である。
図5図3の上部の拡大縦断面図である。
図6図3の下部の拡大縦断面図である。
図7図4の片側の拡大横断面図である。
図8】(A)は本実施の形態において用いる外れ止め金具の側面図、(B)はその正面図である。
図9】本実施の形態における火災時の形態の変化を示す横断面図である。
図10】従来の窓を示す縦断面図である。
図11】従来の窓を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の窓の一実施の形態を示す縦断面図、図2はその横断面図である。図1および図2において、1は左右の縦枠、2,3はそれぞれ上枠、下枠として備えた横枠である。この縦枠1および横枠2,3はアルミニウム合金等の金属製押出形材により構成される。4,5,6はそれぞれ後述の構造により縦枠1,横枠2,3の室外側に組み付けられて断熱性を高める合成樹脂製押出形材であり、それぞれ縦枠および横枠の一部をなすものである。縦枠1,横枠2,3および合成樹脂製押出形材4〜6により枠体Fが構成される。
【0024】
図1において、35,36はそれぞれ建物開口部37の基枠を構成する窓台とまぐさである。38は窓台35上にカイ木39を介して設置された額縁、40はまぐさ36の下にカイ木41を介して取付けられた額縁である。図2において、42は窓台35やまぐさ36と共に建物開口部37の基枠を構成する左右の柱、43はこれらの柱42にカイ木44を介して設置された額縁である。これら4周の額縁38,40,43,43により建物開口部37の内周面を構成し、これらの額縁38,40,43,43およびカイ木39,41,44,44と、窓台35、まぐさ36および柱42,42とにより、建物開口部37の室外側に凹み部45を構成する。そしてこの凹み部45の壁面に枠体Fの室内側見付け面を当ててねじ等の固定具46により固定する。そして室内側から見ると、枠体Fは額縁38,40,43,43や内装材47によって隠蔽される構造とする。48は胴縁、49は外装材である。
【0025】
図3図4はそれぞれ図1図2の拡大縦断面図、拡大横断面図である。また、図5図6はそれぞれ図3の上部、下部の縦拡大断面図、図7図4の片側の拡大横断面図である。図5図7に示すように、合成樹脂製押出形材4,5,6は、これらの押出形材4,5,6にそれぞれ設けた係止部4a,5a,6aを、縦枠1,横枠2,3に設けた係止溝1a,2a,3aに嵌合すると共に、押出形材4,5,6にそれぞれ設けた係止爪4b,5b,6bを縦枠1,横枠2,3にそれぞれ設けた係止突起1b,2b,3bに係止させて合成樹脂製押出形材4,5,6を縦枠1、横枠2,3に取付ける。これらの合成樹脂製押出形材4,5,6は、縦枠1および横枠2,3のガラスパネル7より室内側において、ガラスパネル7の面内方向の内側を覆う。
【0026】
本実施の形態においては、枠体F内に収容されるガラスパネル7は、網入りガラスパネルでなる室外側ガラスパネル8と、室内側ガラスパネル9とにより2重パネルとして構成されたものを示す。ただし本発明は単層パネルにも適用可能である。なお、室内側ガラスパネル9としては、熱線の通過を抑制する金属膜を張ったものを用いることが、防火性を高める上で好ましい。図3図6において、10は横枠3のパネル取付け溝3x内に設けられてガラスパネル7を載置するスペーサである。この例のスペーサ10は金属製のもので、室外側に立ち上げ片10aを有することにより、外れ止めの機能を持たせたものである。
【0027】
図5図7に示すように、室外側ガラスパネル8と室内側ガラスパネル9との間は、金属製押出形材でなるスペーサ11が、接着剤12により室外側ガラスパネル8と室内側ガラスパネル9の対向面に接着して設けられる。13はスペーサ11を覆うようにガラスパネル8,9の端部間に充填されてガラスパネル8,9間の空気層14を封止する封止材であり、例えばブチル樹脂やシリコン樹脂等の合成樹脂を充填したものである。
【0028】
図5図7に示すように、ガラスパネル7の室内側4辺を、縦枠1、横枠2,3の室内側の見付け面部1c,2c,3cに対面させる。そして、縦枠1、横枠2,3のこれらの対面部に、加熱発泡材16を接着剤や両面テープにより張り付けてガラスパネル7を当接させる。この加熱発泡材16は、有機系耐火材であり、シート状をなし、例えば200℃前後で発泡して数倍ないし数十倍に膨張し、断熱層を形成するものである。
【0029】
また、縦枠1、横枠2,3の見込み面部1d,2d,3eにも加熱発泡材24を設ける。ただし、縦枠1の見込み面部1dについては、後述の外れ止め金具22が重なる部分については、外れ止め金具22の見込み面部22bにおけるガラスパネル端面に対面する面に加熱発泡材24を設ける。
【0030】
図5図7に示すように、合成樹脂製押出形材4,5,6のガラスパネル対面部には乾式シール材17を取付ける。
【0031】
図3図4に示すように、ガラスパネル7の室外側は金属製押出形材でなる押縁19,20により固定する。図5に示すように、ガラスパネル7の上辺部を固定する押縁19は、横枠2の見込み面部2dに設けた係止溝2eに押縁19の係止片19aを嵌合すると共に、横枠2の見込み面部2dに設けた係止突起2fに押縁19の係止部19bを係止させる。また、押縁19に設けたシール材取付け部19cにゴム等でなる乾式シール材21を取付ける。そしてこの乾式シール材21をガラスパネル7の室外側面に押接することにより、ガラスパネル7の室外側の上部の面が押縁19により固定される。
【0032】
また、ガラスパネル7の左右の側辺部を固定する縦枠1側の押縁20は、図7に示すように、縦枠1の見込み面部1dに設けた係止溝1eに押縁20の係止片20aを嵌合すると共に、縦枠1の見込み面部1dに設けた係止突起1fに押縁20の係止部20bを係止させる。また、押縁20に設けたシール材取付け部20cにゴム等でなる乾式シール材21を取付ける。そしてこの乾式シール材21をガラスパネル7の室外側面に押接することにより、ガラスパネル7の室外側の左右の面が押縁20により固定される。
【0033】
このような構成により、図7に示すように、ガラスパネル7の左右の側部は、縦枠1において、見付け面部1cと押縁20との間で保持され、図5に示すように、ガラスパネル7の上部は、横枠2において、見付け面部2cと押縁19との間で保持され、図6に示すように、ガラスパネル7の下部は、横枠3において、室内側見付け面部3cと室外側見付け面部3dとの間で保持され、いずれも金属製押出形材により囲まれて保持される。
【0034】
図4図7において、22はガラスパネル7の外れ止めのために縦枠1に取付けた鉄等の縦枠1や横枠2,3でなる押出形材より融点の高い金属でなる外れ止め金具である。図8(A)はこの外れ止め金具22をガラスパネルの面内方向の内側から見た側面図、図8(B)は室外側から見た正面図である。この外れ止め金具22は、ガラスパネル7の室外側の面に対面する外れ止め部22aと、縦枠1の見込み面部1dに対面する見込み面部22bと、縦枠1の室内側見付け面部1cに重ねる取付け部22cとを有し、取付け部22cには複数個の貫通孔22dを設ける。これらの貫通孔22dは、室外側から見て外れ止め部22aを欠除させた位置に設ける。図8(B)に示すように、この外れ止め金具22は縦枠1の全長にわたる長さを有する。
【0035】
この外れ止め金具22は、ガラスパネル7を縦枠1や横枠2,3で組まれた枠体Fにセットした後、押縁20を取付ける前に、図7に示すように、縦枠1の室内側見付け面部1cの室外側の面に取付け部22cを重ね、室外側から取付ける固定具(ねじ)23を取付け部22cに設けた複数の貫通孔22dにそれぞれ挿通し、縦枠1の室内側見付け面部1cに設けたねじ孔1gに螺合することにより、縦枠1に取付ける。
【0036】
外れ止め金具22の外れ止め部22aには、この外れ止め部22aを直角に曲成してパネルストッパ22eを形成する。パネルストッパ22eの位置は、ガラスパネル7の左右いずれか一方の端面をこのパネルストッパ22eに当接させた際に、ガラスパネル7の他方の端部が縦枠1の見付け面部1cや外れ止め金具22から外れない位置に設定される。
【0037】
上述のように、本実施の形態においては、ガラスパネル7の室内側4辺を、金属製押出形材でなる縦枠1および横枠2,3の室内側の見付け面部1c,2c,3cに対面させたので、従来のように合成樹脂製押出形材製押縁で室内側を押さえる構造に比較し、火災の際の熱による合成樹脂製押出形材5,6の変形や溶融によってガラスパネル7の室内側支持力の消失の問題が起こりにくく、ガラスパネル7の支持力保持を長時間にわたり維持することができる。また、ガラスパネル7の室外側を金属製押出形材でなる押縁19,20によって固定する構造としたので、ガラスパネル7の掛かり部の幅W4(図7参照)は室内側に設ける合成樹脂製押出形材4による制約をうけず、この掛かり部の幅を大きくとることができるので、ガラスパネル7をしっかり押さえることができ、ガラスパネル7の外れも防止できる。
【0038】
また、室外側から押縁19,20を取付ける構造にすると共に、押縁19,20を取付ける前に、室外側から室内側に向けて取付ける固定具23によって外れ止め金具22を室外側から取付ける構造としたので、外れ止め金具22の取付けが容易となる。
【0039】
また、従来のように室内側に合成樹脂製押出形材を設ける構造に比較し、外れ止め金具22の取付けを容易化するための外れ止め金具の寸法上の制約が少なくなり、ガラスパネル7の掛かり部の幅を十分にとることができ、火災時に押縁19,20が脱落したとしても、外れ止め金具22によってガラスパネル7の外れを防止することができ、ガラスパネル7の外れによる開口部発生に伴う延焼を確実に防止することができる。
【0040】
また、外れ止め金具22を取付ける固定具23は室内側に向けて取付けられるため、固定具23はガラスパネル7の外れ方向、すなわちガラスパネル7が室外側に外れようとする力を軸方向に受けることとなり、固定具23に作用する力に対して大きな取付け強度が得られ、固定具23やその取付け部の損傷によるガラスパネル7の外れも防止される。
【0041】
また本実施の形態においては、縦枠1および横枠2,3のガラスパネル7の端面に対面する見込み面部1d,2d,3eに加熱発泡材24を設けたので、図9に示すように、火災時にこの加熱発泡材24が膨張することにより、ガラスパネル7の端面と縦枠1および横枠2,3との間が閉塞される。このため、熱風や可燃性ガスの室内側への侵入がより確実に防止され、延焼防止効果がさらに向上する。また、火災時にガラスパネルが縦枠1および横枠2,3により加熱発泡材24を介して確実に保持されるので、外れ止め金具22による外れ止め作用とも相俟って、ガラスパネル7の保持が強固、確実に行なわれ、ガラスパネル7の外れによる延焼もさらに確実に防止される。
【0042】
また、外れ止め金具22の部分では加熱発泡材24をガラスパネル7に対面する側に設けたので、火災時における加熱発泡材24の膨張が外れ止め金具22によって抑制されることなく、加熱発泡材24の機能を十分に発揮することができる。
【0043】
また本実施の形態においては、ガラスパネル7の室内側の面と縦枠1および横枠2,3の室内側の見付け面部1c,2c,3cとの間にも加熱発泡材16を設けたので、火災時にはこの加熱発泡材16が膨張することにより、ガラスパネル7の室内側の面と縦枠1および横枠2,3の室内側の見付け面部1c,2c,3cとの間に隙間が発生することが防止される。また、加熱発泡材16が膨張することにより、ガラスパネル7が室外側に押圧され、ガラスパネル7の室外側の面における隙間の発生も防止される。
【0044】
このため、ガラスパネル7と縦枠1および横枠2,3との間から熱風が室内側に侵入したり、シール材21の加熱や封止材13の加熱によって発生する可燃性ガスが室内側に侵入して室内側が延焼しやすい状態となることを防止することができる。また、火災時に加熱発泡材16の膨張によりガラスパネル7が縦枠1および横枠2,3に保持できるので、ガラスパネル7の構成を維持することができ、ガラスパネル7の崩壊が防止され、外れ止め金具22の外れ止め防止効果と相俟って、ガラスパネル7の外れによる延焼が確実に防止される。
【0045】
なお、加熱発泡材16,24はいずれか一方のみを設けた場合であっても、火災時におけるガラスパネル7と枠体Fとの間の隙間発生防止効果や、ガラスパネル7の形態保持効果が得られる。
【0046】
また、枠体Fは開口部の室外側に設けた凹み部45に固定することにより、枠体Fが開口部の室内側構成部材によって隠蔽される構造としたので、室内側から火災が発生した場合、加熱発泡材16への熱的影響が少なくなり、この加熱発泡材16を設ける場合、これを小型化することができる。
【0047】
本発明はガラスパネルが1重のパネルでなる場合にも適用できるが、本実施の形態のように、ガラスパネル7を2重パネルとすることにより断熱性がさらに高い窓を提供することができ、また、室外側パネル8が網入りガラスパネルでなることによって、さらに防火性の高い窓を提供することが可能となる。
【0048】
なお、押縁19,20は窓枠を構成する4辺のうちの2辺以上設ければよく、上記実施の形態に示したような3辺(左右の縦枠1と横枠2)に限定されない。また、外れ止め金具22は窓枠を構成する4辺のうちの1辺以上設けることによって外れ止め効果を発揮することができる。また本発明は、1枚のフィックス窓が複数の横枠や縦枠を備えてガラスパネルを分割した構造にも適用でき、横枠や縦枠に区画された枠内についてそれぞれ押縁や加熱発泡材等を設けた構成とすることができる。
【0049】
以上本発明を実施の形態により説明したが、本発明を実施する場合、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、構成部材やその組み合わせについて、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1:縦枠、1c:見付け面部、1d:見込み面部、2,3:横枠、2c,3c:見付け面部、4,5,6:合成樹脂製押出形材、7:ガラスパネル、8:室外側ガラスパネル、9:室内側ガラスパネル、10:スペーサ、11:スペーサ、12:接着剤、13:封止材、16:加熱発泡材、17:乾式シール材、19,20:押縁、21:乾式シール材、22:外れ止め金具、22a:外れ止め部、22b:見込み面部、22c:取付け部、22d:貫通孔、22e:パネルストッパ、24:加熱発泡材
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