特許第6131040号(P6131040)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131040
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】ラミネートシュリンクフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/02 20060101AFI20170508BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B32B7/02 106
   B65D65/40 D
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-278506(P2012-278506)
(22)【出願日】2012年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-121821(P2014-121821A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100089222
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 康伸
(72)【発明者】
【氏名】寺元 義純
(72)【発明者】
【氏名】阪内 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】平岡 勇一
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−067330(JP,A)
【文献】 特開2010−162761(JP,A)
【文献】 特開2004−346197(JP,A)
【文献】 特開平08−300547(JP,A)
【文献】 特開昭54−106585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B65D65/00−65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム同士を熱融着して形成する包装体に使用されるフィルムであって、
該フィルムが、
熱収縮性を有する一対のシュリンクフィルムを有し、該一対のシュリンクフィルム同士を接着剤によって貼り合わせて形成されており、
該一方のシュリンクフィルムにおける他方のシュリンクフィルム側の面には印刷層が形成されており、
該印刷層が、
塩素化ポリプロピレン樹脂を含有しており、
包装体を形成する際に熱融着される部分にも形成されている
ことを特徴とするラミネートシュリンクフィルム。
【請求項2】
フィルム同士を熱融着して形成する包装体に使用されるフィルムであって、
該フィルムが、
熱収縮性を有する一対のシュリンクフィルムを有し、該一対のシュリンクフィルム同士を接着剤によって貼り合わせて形成されており、
該一方のシュリンクフィルムにおける他方のシュリンクフィルム側の面には印刷層が形成されており、
該印刷層は、
表面に塩素化ポリプロピレン樹脂を含有するコート層が形成されており、
包装体を形成する際に熱融着される部分にも形成されている
ことを特徴とするラミネートシュリンクフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネートシュリンクフィルムに関する。さらに詳しくは、包装フィルムを包装物品に密着させた状態で包装するために使用されるラミネートシュリンクフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品、菓子、書籍、化粧品、医薬品などの商品を販売する場合、商品の汚れ等を防止するために、プラスチックフィルム等によって包装した状態で商品が提供販売される。かかる包装には種々の包装形態があるが、製造ラインで自動包装する場合、例えば、シュリンク包装(熱収縮包装)が挙げられる。
【0003】
シュリンク包装(熱収縮包装)は、(1)被包装物品の形状などに係わらずフィルムを被包装物品に密着させた包装が可能である、(2)複数の物品でも一纏めに固定保持して包装することができる、(3)包装の自動化が容易である、等のメリットを有している。このため、シュリンク包装は種々の被包装物品の包装への採用が進んでいる。
【0004】
ところで、シュリンク包装された商品でも、見た目の向上や宣伝効果を得るために、包装するフィルム自体にさまざま図柄や文字の印刷が施されている。この印刷は、フィルムが熱収縮した際の外観を考慮してデザインされている。
また、内部の被包装物品が光にあたって劣化することを防止するために、遮光性インキなどが印刷される場合がある。
【0005】
一方、シュリンク包装する場合、被包装物品をフィルムで密封するために、フィルムが熱融着される。熱融着は、通常、溶断シールや合掌シールなどの公知のシール機によってフィルムの切断と同時に実施されるのであるが、印刷をフィルムで被包装物品を包装した際に外側に位置する面に行った場合、シールの際に印刷インキが溶けてシール機に付着して、シール機を汚してしまう可能性がある。逆に、印刷をフィルムで被包装物品を包装した際に内側に位置する面に行った場合、印刷インキが障害となってフィルム同士の熱融着が阻害される。
【0006】
このため、シュリンク包装のフィルムでは、熱融着を行う部分に印刷インキがない状態となるように印刷デザインが調整される。すると、印刷デザインが制限される上、熱融着部分に印刷がないことから、商品の見栄えが良くないという問題がある。
また、フィルムに遮光性を持たせる場合でも、熱融着部分には印刷ができないので、十分な遮光性を付与できないという問題がある。
【0007】
かかる問題を防ぐ方法として、印刷インキが表面に露出しないようにすることが考えられる。例えば、シュリンクラベルなどでは、シュリンクフィルムと熱収縮シートを重ねて貼りあわせ積層シートとして、シュリンクフィルムの裏面(つまり熱収縮シート側の面)に印刷する技術が開発されている(例えば特許文献1〜6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭60−62936号公報
【特許文献2】実開昭63−43722号公報
【特許文献3】特開平3−219952号公報
【特許文献4】特開平4−41233号公報
【特許文献5】特開平5−204312号公報
【特許文献6】特開平8−300547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかるに、特許文献1〜6の技術は、あくまでもシュリンクラベルに使用されるシートに関する技術であり、熱融着によってシールするシュリンク包装に使用されるシートではないため、上述したような熱融着の問題については何ら考慮されていない。
【0010】
現状では、シュリンク包装に使用されるフィルムにおいて、熱融着される部分まで印刷されたフィルムは存在しておらず、かかるフィルムが望まれている。
【0011】
本発明は上記事情に鑑み、熱融着される部分まで印刷を施すことができ、包装された製品の外観や機能を向上させることができるラミネートシュリンクフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1発明のラミネートシュリンクフィルムは、フィルム同士を熱融着して形成する包装体に使用されるフィルムであって、該フィルムが、熱収縮性を有する一対のシュリンクフィルムを有し、該一対のシュリンクフィルム同士を接着剤によって貼り合わせて形成されており、該一方のシュリンクフィルムにおける他方のシュリンクフィルム側の面には印刷層が形成されており、該印刷層が、塩素化ポリプロピレン樹脂を含有しており、包装体を形成する際に熱融着される部分にも形成されていることを特徴とする
第2発明のラミネートシュリンクフィルムは、フィルム同士を熱融着して形成する包装体に使用されるフィルムであって、該フィルムが、熱収縮性を有する一対のシュリンクフィルムを有し、該一対のシュリンクフィルム同士を接着剤によって貼り合わせて形成されており、該一方のシュリンクフィルムにおける他方のシュリンクフィルム側の面には印刷層が形成されており、該印刷層は、表面に塩素化ポリプロピレン樹脂を含有するコート層が形成されており、包装体を形成する際に熱融着される部分にも形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明によれば、印刷層が一対のシュリンクフィルム間に位置しているので、フィルムを熱融着してもシール機などが印刷層の材料によって汚れることを防ぐことができる。しかも、印刷層の材料が塩素化ポリプロピレン樹脂を含有しているので、本発明のラミネートシュリンクフィルム同士を熱融着した際に、その部分に印刷層が形成されていても、強固に熱融着することができる。したがって、オーバーラップ包装の際に、熱融着する部分を印刷のない領域とする必要がないので、印刷層のデザインの自由度が増し、全面印刷することも可能となる。しかも、オーバーラップ包装をしたときに、包装体全面に印刷がある状態となるので、遮光性インキを印刷しておけば、遮光性を向上させることができる。また、印刷のない部分ができないので、包装体の見栄えを良くすることができる。
第2発明によれば、印刷層が一対のシュリンクフィルム間に位置しているので、フィルムを熱融着してもシール機などが印刷層の材料によって汚れることを防ぐことができる。しかも、印刷層の表面に塩素化ポリプロピレン樹脂からなるコート層を含有しているので、本発明のラミネートシュリンクフィルム同士を熱融着した際に、その部分に印刷層が形成されていても、強固に熱融着することができる。したがって、オーバーラップ包装の際に、熱融着する部分を印刷のない領域とする必要がないので、印刷層のデザインの自由度が増し、全面印刷することも可能となる。しかも、オーバーラップ包装をしたときに、フィルムのどの領域でもしっかりと熱融着させることができるので、包装体全面に印刷がある状態となるので、遮光性インキを全面印刷すれば、遮光性を向上させることができる。また、全面印刷すれば、印刷のない部分ができないので、包装体の見栄えを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1の概略断面説明図である。
図2】本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1の製造設備の概略説明図である。
図3】本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1を使用して包装体MPを製造する作業の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のラミネートシュリンクフィルムは、被包装物品をシュリンク包装するために使用されるフィルムであって、シュリンク包装された商品の外観や、遮光性等の機能を向上させることができるものである。
【0016】
本発明のラミネートシュリンクフィルムによってシュリンク包装される被包装物品はとくに限定されない。例えば、食品、菓子、書籍、化粧品、医薬品等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
なお、本発明のラミネートシュリンクフィルムは、被包装物品と比べて非常に薄く(19.5〜35μm程度)、また、ラミネートシュリンクフィルムを構成するフィルムや各層も非常に薄いので、図面に記載されているフィルムと被包装物品等の相対的な寸法や、ラミネートシュリンクフィルム断面のフィルムの厚さや各層の厚さ等は、実際の相対的な寸法とは必ずしも一致していない。
【0018】
また、本発明のラミネートシュリンクフィルムは、後述するように、少なくとも一対のシュリンクフィルムを有するものであるが、ラミネートシュリンクフィルムを構成するシュリンクフィルムは2枚に限定されない。例えば、シュリンクフィルムを3枚以上積層したものも本発明のラミネートシュリンクフィルムに含まれる。なお、シュリンクフィルムを3枚以上積層した場合には、全てのシュリンクフィルム間に印刷層と接着剤層が設けられている必要はなく、接着剤層だけが設けられている場合があってもよい。
【0019】
(ラミネートシュリンクフィルム)
本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1を説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1は、一対のシュリンクフィルム1a,1bと、この一対のシュリンクフィルム1a,1bの間に形成された印刷層2と接着剤層3とを有している。つまり、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1では、印刷層2が一対のシュリンクフィルム1a,1bによって挟まれている。
【0021】
このため、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1の場合、後述するような包装体MPの製造工程において、フィルム同士を重ねて溶断や熱融着するときに、その位置に印刷されている部分、つまり印刷層2が存在しても、印刷層2の印刷インキ等の材料が、直接、シール機に接触しない。つまり、シール機に印刷インキ等の材料が付着しないので、熱融着される部分に印刷があっても、シール機などが汚れることがないのである。
【0022】
また、熱融着される部分に印刷があると、印刷インキ等が熱融着を阻害する可能性がある。
しかし、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1では、印刷層2の材料に塩素化ポリプロピレン樹脂を含有させたことによって、熱融着される部分に印刷層2が存在しても、しっかりと熱融着をさせることができる。
【0023】
したがって、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1では、シュリンク包装(例えば、オーバーラップ包装)の際に、熱融着する部分を印刷のない領域とする必要がないので、印刷層のデザインの自由度が増し、全面印刷することも可能となる。したがって、オーバーラップ包装等された商品の外観や、遮光性等の機能を向上させることができるものである。
【0024】
そして、オーバーラップ包装をする場合でも、ラミネートシュリンクフィルム1に全面印刷する事が可能となる。すると、オーバーラップ包装された包装体MPの全面に印刷がある状態となるので、遮光性インキを印刷しておけば、遮光性を向上させることができる。また、被包装物品Mにおいて印刷のない部分ができないので、包装体MPの見栄えを良くすることができる。
【0025】
つぎに、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1の各部材を説明する。
なお、以下では、一対のシュリンクフィルム1a,1bのうち、包装体MPの外側にシュリンクフィルム1aが配置され、包装体MPの内側、つまり、被包装物品Mに接触する側にシュリンクフィルム1bが配置される場合を説明する。
【0026】
(シュリンクフィルム)
まず、一対のシュリンクフィルム1a,1bは、熱収縮性を有しかつフィルム同士を重ねた状態で熱融着することができる樹脂で形成されたものである。つまり、一対のシュリンクフィルム1a,1bは、シュリンクフィルム1a同士を重ねた状態、シュリンクフィルム1b同士を重ねた状態、そして、シュリンクフィルム1aとシュリンクフィルム1bとを重ねた状態、のどの状態でも熱融着することができるものである。
【0027】
なお、一対のシュリンクフィルム1a,1bは、上記のごとき性質を有していればよく、とくに限定されない。例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)などの樹脂製のフィルムを一軸もしくは二軸延伸して得られるフィルムを挙げることができる。
【0028】
また、一対のシュリンクフィルム1a,1bの厚さはとくに限定されないが、例えば、9.5〜15μm程度のものが好ましい。一対のシュリンクフィルム1a,1bがかかる厚さに形成されていれば、印刷層2と接着剤層3とを合わせても、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1の厚さはせいぜい19.5〜35μm程度となる。すると、従来のシュリンク包装に使用されている単層フィルムと同等程度の厚さとなるので、単層フィルムと同様に、オーバーラップ包装にも使用できる。また、シュリンクフィルムが2枚重なっているので、従来のシュリンク包装のフィルムよりも強度を強くでき包装が破れにくくなるという利点も得られる。
【0029】
さらに、一対のシュリンクフィルム1a,1bは、同じ樹脂かつ同じ厚さで形成されていれば、熱収縮させた際の両シュリンクフィルム1a,1bの収縮割合をほぼ同等とできるので好ましい。また、ラミネートシュリンクフィルム1が熱収縮した際にカールが発生しないので好ましい。
【0030】
(印刷層2)
印刷層2は、シュリンクフィルム1aの裏面に形成された層である。この印刷層2は、顔料と溶媒、バインダを含有する印刷インキをグラビア印刷やフレキソ印刷などの方法でシュリンクフィルム1aの裏面に塗布して形成されている。
【0031】
上述したように、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1では、印刷層2を形成する印刷インキにバインダとして塩素化ポリプロピレン樹脂を含有させているが、この点を除けば、印刷層2を形成する印刷インキなどは、通常の印刷に使用される公知の原料から構成されている。
なお、バインダは、塩素化ポリプロピレン樹脂と通常使用される樹脂バインダなどを混合したものを使用してもよいし、塩素化ポリプロピレン樹脂だけをバインダとして使用してもよい。
【0032】
また、塩素化ポリプロピレン樹脂や塩素化ポリプロピレン樹脂を含む樹脂バインダを印刷インキに混合する割合は、1.5〜17%程度が好ましい。印刷インキ中の樹脂成分が少なすぎると、印刷インキの粘度が低下し、印刷の剥がれが生じやすくなるという問題が生じる。逆に、印刷インキ中の樹脂成分が多くなりすぎると、粘度が上昇し印刷が行いにくくなるという問題を生じる。
【0033】
(コート層4を設けた例)
また、図1(B)に示すように、通常の印刷インキを使用して図柄や文字を印刷して印刷層2を形成して、その表面に塩素化ポリプロピレン樹脂または塩素化ポリプロピレン樹脂を含む樹脂を塗布してコート層4を形成してもよい。つまり、印刷層2と接着剤層3の間に位置するようにコート層4を設けてもよい。この場合には、図柄や文字を印刷する印刷インキ等の素材に塩素化ポリプロピレン樹脂を含有させなくてもよいので、通常の印刷と同様に図柄や文字などを印刷できるので、印刷が容易になる。
【0034】
とくに、シュリンク包装をしたときに、シュリンクフィルム1a全面にコート層4がある状態となるので、フィルムのどの領域でもしっかりと熱融着させることができる。すると、シュリンクフィルム1aに全面印刷することが可能となるから、遮光性インキを全面印刷すれば、遮光性を向上させることができる。また、全面印刷すれば、印刷のない部分ができないので、包装体MPの見栄えを良くすることができる。
【0035】
(接着剤層3)
接着剤層3は、シュリンクフィルム1bの裏面に形成された層である。この接着剤層3は、例えば、ウレタン系接着剤や塩素化ポリオレフィン系接着剤などの接着剤をグラビアコートなどの方法でシュリンクフィルム1bの裏面に塗布して形成されている。
【0036】
なお、接着剤層3の塗布量はとくに限定されないが、例えば、1g/m以上塗布することが好ましい。
【0037】
また、シュリンクフィルム1bには、接着剤との接着性を向上させるための表面処理を行ってから接着剤を塗布することが好ましい。この表面処理は、例えば、コロナ放電処理やプラズマ処理などを挙げることができる。
【0038】
(本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1の製造方法)
つぎに、ラミネートシュリンクフィルム1を製造する方法を説明する。
図2おいて、符号MR1、MR2は、それぞれ上述したシュリンクフィルム1aおよびシュリンクフィルム1bが巻き取られた原反ロールである。また、符号SRは、製造されたラミネートシュリンクフィルム1が巻き取られた製品ロールである。
なお、原反ロールMR1に巻き取られているシュリンクフィルム1aは、すでに表面に印刷層2が形成されたフィルムである。もちろん、シュリンクフィルム1aが図1(B)のラミネートシュリンクフィルム1の場合には、印刷層2の表面にコート層4も形成されているのは、いうまでもない。
【0039】
まず、シュリンクフィルム1aは、原反ロールMR1から繰り出され、ラミネート装置RPに供給される。
【0040】
一方、シュリンクフィルム1bは、原反ロールMR2から繰り出されると、表面処理装置CPによってその裏面(図2では下面)に表面処理が行われる。
【0041】
表面処理装置CPによって表面処理されたシュリンクフィルム1bは、接着剤塗布装置GRに供給されて、接着剤が裏面、つまり、表面処理された面に塗布され、接着剤層3が形成される。
なお、接着剤は、シュリンクフィルム1bに均一に塗布するために、溶媒に溶かした状態で塗布される。この際使用される溶媒は、接着剤に合わせて適切なものを使用すればよい。
【0042】
接着剤層3が形成されたシュリンクフィルム1bは、乾燥装置DPに供給される。この乾燥装置DPでは、シュリンクフィルム1bが加熱されてシュリンクフィルム1bに形成された接着剤層3に含有されている溶媒が除去される。
【0043】
そして、乾燥装置DPを通過したシュリンクフィルム1bは、ラミネート装置RPに供給されて、シュリンクフィルム1aと積層されて接着される。具体的には、ラミネート装置RPでは、シュリンクフィルム1bの接着剤層3が形成された面と、シュリンクフィルム1aの印刷層2が形成された面と、を合わせた状態で加圧される。すると、接着剤層3の接着剤によって両シートが接着されて、ラミネートシュリンクフィルム1が形成される。
【0044】
(包装体MPの製造方法)
つぎに、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1によってシュリンク包装された包装体MPを製造する工程を簡単に説明する。
【0045】
包装体MPを製造する工程では、本実施形態のラミネートシュリンクフィルム1は連続する帯状のウェブとなっており、その搬送工程で、上下のフィルムFa,Fb間に空間ができるように2つに折り曲げられる。そして、上下のフィルムFa,Fb間の空間に、被包装物品Mが供給され、被包装物品Mが上下のフィルムFa,Fbに挟まれた状態となる(図3(A)参照)。
【0046】
被包装物品Mが上下のフィルムFa,Fbに挟まれた状態となると、ラミネートシュリンクフィルム1は、その搬送方向における被包装物品Mの前後に位置する部分が公知の溶断シールによって加熱され切断される。このとき、溶断シールによって切断された部分は、溶断されるとともに上下のフィルムFa,Fb同士が熱融着して熱融着部HSが形成される。同時に、上下のフィルムFa,Fbの開口端縁s同士が熱融着され熱融着部HSが形成される。つまり、ラミネートシュリンクフィルム1が折り曲げられている部分を除く包装物品Mを囲む3方には、上下のフィルムFa,Fb同士が熱融着して熱融着部HSが形成されシールされる。つまり、ラミネートシュリンクフィルム1によって包装物品Mを密封した収縮前包装体BSが形成されるのである(図3(B)参照)。そして、上述したように、ラミネートシュリンクフィルム1は印刷層2が塩素化ポリプロピレン樹脂を含有している、または、塩素化ポリプロピレン樹脂のコート層4が形成されている。このため、熱融着部HSにおいて、上下のフィルムFa,Fb同士は強固に熱融着される。
【0047】
上記のごとく形成された収縮前包装体BSは、コンベアなどによって搬送されて、加熱用のトンネル等に供給される。すると、この加熱用のトンネル等を通過する際に、加熱によってラミネートシュリンクフィルム1が収縮するので、被包装物品Mの表面にラミネートシュリンクフィルム1が密着した包装体MPを形成することができる(図3(C)参照)。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のラミネートシュリンクフィルムは、食品、菓子、書籍、薬などの被包装物品をオーバーラップ包装するフィルムに適している。
【符号の説明】
【0049】
1 ラミネートシュリンクフィルム
1a シュリンクフィルム
1b シュリンクフィルム
2 印刷層
3 接着剤層
4 コート層
図1
図2
図3