特許第6131056号(P6131056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 朋和産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6131056-包装材、及び、包装体 図000002
  • 特許6131056-包装材、及び、包装体 図000003
  • 特許6131056-包装材、及び、包装体 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131056
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】包装材、及び、包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/26 20060101AFI20170508BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B65D65/26
   B65D75/62 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-12253(P2013-12253)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2014-141287(P2014-141287A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−166870(JP,A)
【文献】 特開2011−131557(JP,A)
【文献】 特開2011−116061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/26
B65D 75/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状に形成されて一方向に交差するように線状の切り込み部が形成されたシート本体から構成され、線状の切れ込み部の両端を基点に切断可能に構成された包装材であって、
前記シート本体は、一方向に沿って線状に形成された一対の凹部からなる凹部対を前記一方向に直交する他方向に間隔を空けて複数備えており、該複数の凹部対から選択される二つの凹部対のうち、一方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の一端部が位置すると共に、他方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の他端部が位置することを特徴とする包装材。
【請求項2】
面状に形成されて一方向に交差するように線状の切り込み部が形成されたシート本体から構成され、線状の切れ込み部の両端を基点に切断可能に構成された包装材を用いて物品を包装した包装体であって、
前記シート本体は、一方向に沿って線状に形成された一対の凹部からなる凹部対を前記一方向に直交する他方向に間隔を空けて複数備えており、該複数の凹部対から選択される二つの凹部対のうち、一方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の一端部が位置すると共に、他方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の他端部が位置することを特徴とする包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向に沿って切断可能な包装材、及び、該包装材を用いて物品を包装した包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品等の物品を包装する際には、面状に形成されたシート本体からなる包装材が用いられている。例えば、物品を包むように曲折して重なり合う端部同士をシールすることで物品を包装するピロー包装用の包装材や、物品の形状に沿って物品を包むと共に、重なり合う領域をラベルや粘着剤等を用いて貼り合わせて物品をラッピングする包装材等が知られている。
【0003】
また、上述のように物品を包装して包装体が形成された状態であっても、内部から物品を容易に取り出すことができるように構成された包装材も知られている。例えば、包装材を構成するシート本体に、線状の凹部(ハーフカット)を形成した包装材が知られている。斯かる包装材は、ハーフカットを切っ掛けに容易に切断可能となるため、包装体が形成された状態であっても、包装材を切断して物品を容易に取り出すことが可能となる。
【0004】
また、包装材の切断方向に沿って帯状フィルムをシート本体に貼り合わせ、斯かる帯状フィルムの長手方向の一端部における巾方向の両端縁に沿ってシート本体に一対の切り込みを形成した包装材が知られている(特許文献1参照)。斯かる包装材では、一対の切り込みの間の領域のシート本体と帯状フィルムの一端部とを指で摘み、帯状フィルムの長手方向に沿って移動させることで、切り込みを切っ掛けに包装材の切断が開始されると共に、包装材が帯状フィルムの巾方向の端縁に沿って切断される。これにより、包装材の切断方向を帯状フィルムの長手方向に沿って制御することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−207826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、帯状フィルムを用いた包装材は、包装材を切断する際に包装材に加わる力の方向によっては、帯状フィルムの長手方向に沿って包装材の切断方向を制御することができない場合(例えば、帯状フィルムから離れる方向に包装材が切断される場合)がある。このため、物品を包装した状態の包装材が意図した位置で切断されず、包装体を切断した際に物品が包装体の内側からこぼれ落ちてしまう虞がある。
【0007】
また、帯状フィルムをシート本体に貼り合わせて包装材を形成する必要があるため、包装材を製造する際の工程が煩雑なものとなり、包装材を作製する際の効率が低いものとなっている。
【0008】
そこで、本発明は、シート本体以外の他の部材を用いる必要が無く、効果的に切断方向を制御することができる包装材を提供すると共に、該包装材を用いて物品が包装された包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る包装材は、面状に形成されて一方向に交差するように線状の切り込み部が形成されたシート本体から構成され、線状の切れ込み部の両端を基点に切断可能に構成された包装材であって、前記シート本体は、一方向に沿って線状に形成された一対の凹部からなる凹部対を前記一方向に直交する他方向に間隔を空けて複数備えており、該複数の凹部対から選択される二つの凹部対のうち、一方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の一端部が位置すると共に、他方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の他端部が位置することを特徴とする。
【0010】
斯かる構成によれば、前記シート本体は、一方向に沿って形成された一対の凹部からなる凹部対を前記一方向に直交する他方向に間隔を空けて複数備えており、該複数の凹部対から選択される二つの凹部対のうち、一方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の一端部が位置すると共に、他方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の他端部が位置することで、線状の切り込み部の両端を基点に包装材を切断する際に、切断方向を効果的に制御することができる。
【0011】
具体的には、一対の凹部が形成されることで、シート本体における凹部が形成された領域に他の領域よりも厚みが薄くなった領域が形成される。つまり、包装材における凹部が形成された領域の強度がそれ以外の領域の強度よりも脆弱なものとなる。
【0012】
このため、凹部対を構成する一対の凹部の間の領域(以下、切断領域とも記す)が線状の切り込み部の両端を基点に切断される際に、前記一方向に対して交差する方向に向かって切断が開始されてしまった場合や、切断途中で前記一方向に交差する方向に切断方向がズレてしまった場合、即ち、切断方向が切断領域の外側に向かってしまった場合であっても、一対の凹部で包装材が切断されるため、切断領域よりも外側の領域が切断されてしまうのを防止することができる。また、凹部が一方向に沿って形成されているため、凹部で包装材が切断されることで、一方向に沿って包装材が切断される。
【0013】
以上のように、切断領域の内側から外側の領域に亘って包装材の切断が生じてしまうのを防止することができると共に、凹部で切断が生じることで前記一方向に沿って包装材が切断されるため、シート本体以外の他の部材を用いることなく包装材の切断方向を効果的に制御することができる。これにより、切断方向を効果的に制御できる包装材をシート本体のみからでも作製することができる。
【0014】
更に、線状の切り込み部の両端のそれぞれが二つの切断領域に位置しており、該切断領域同士が他方向に間隔を空けて形成されるため、二つの切断領域が前記一方向に沿って切断されることで、包装材を上述のように切断した際に、包装材における切断領域間の領域(具体的には、凹部対間の領域)が包装材から分離される。これにより、凹部対同士の間隔(即ち、切断領域同士の間隔)を設定することで、物品を包装した状態で包装材を切断した際に形成される開口部の広さを設定することができる。
【0015】
本発明に係る包装体は、面状に形成されて一方向に交差するように線状の切り込み部が形成されたシート本体から構成され、線状の切れ込み部の両端を基点に切断可能に構成された包装材を用いて物品を包装した包装体であって、前記シート本体は、一方向に沿って線状に形成された一対の凹部からなる凹部対を前記一方向に直交する他方向に間隔を空けて複数備えており、該複数の凹部対から選択される二つの凹部対のうち、一方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の一端部が位置すると共に、他方の凹部対を構成する一対の凹部の間に前記線状の切り込み部の他端部が位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、シート本体以外の他の部材を用いる必要が無く、効果的に切断方向を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る包装材の斜視図及びその一部拡大図。
図2】(a)は、同実施形態に係る包装材に用いるシート本体に凹部を形成する装置を用いてシート本体に凹部が形成された状態を示した概略図であって、シート本体の断面形状を示した図、(b)は、同実施形態に係る包装材に凹部を形成する装置を用いてシート本体に凹部が形成された状態をシート本体の下方から見た斜視図。
図3】(a)は、同実施形態に係る包装材を用いて物品が包装されてなる包装体の斜視図、(b)は、同実施形態に係る包装体が開封された状態を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図1〜3を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態に係る包装材1は、図1に示すように、面状に形成されたシート本体2から構成されている。具体的には、包装材1は、一方向が長手となるように帯状に形成されたシート本体2を用いて構成されている。斯かるシート本体2は、曲折自在に構成された樹脂フィルムから構成されている。なお、包装材1の一方向は、シート本体2の一方向(即ち、長手方向)に相当し、包装材1の一方向に直交する他方向は、シート本体2の一方向に直交する他方向(即ち、幅方向)に相当する。また、包装材1の一方の面は、シート本体2の一方の面に相当し、包装材1の他方の面は、シート本体2の他方の面に相当する。
【0020】
前記シート本体2は、一方向(具体的には、長手方向)に沿って線状に凹部2aが形成されている。また、シート本体2は、一方向(具体的には、長手方向)に沿って形成された一対の凹部2a,2aからなる凹部対2bを備えている。該凹部対2bを構成する一対の凹部2a,2aは、シート本体2の一方向(具体的には、長手方向)に直交する他方向(幅方向)に間隔を空けて形成されている。
【0021】
また、シート本体2は、凹部対2bを他方向(幅方向)に間隔を空けて複数備えている。本実施形態では、二つの凹部対2b,2bがシート本体2に備えられている。また、二つの凹部対2b,2bは、シート本体2の幅方向の中心部に対して対称位置となるように形成されている。
【0022】
前記凹部2aは、シート本体2の一方の面側が線状(具体的には、直線状)に切り欠かれたような形状に形成されており、シート本体2における凹部2aが形成された領域は、凹部2aが形成されていない領域よりも厚みが薄くなっている。このような凹部2aの形態は、従来から周知なハーフカットに類似するものであるが、本実施形態に係る凹部2aは、切断方向性や切断容易性が従来のハーフカットよりも格段に向上した特殊なものになっている。
【0023】
具体的には、本実施形態に係る凹部2aは、シート本体2上の線状の領域における厚みを元の厚みよりも薄くするとともに、厚みの薄くなった線状の領域(溝部)の両側に、シート本体2の元の厚みよりも厚くなった領域(隆起部)を溝部に沿って形成したものである。つまり、本実施形態に係る凹部2aは、溝部と該溝部の両脇に形成された一対の隆起部とから構成されている。これにより、凹部2aは、線状の薄肉部分(即ち、溝部)の強度が周囲の強度よりも脆弱になるのに対し、該線状の薄肉部分の両側にある隆起部の強度が周囲の強度よりも高いものとなっている。
【0024】
ここで、本実施形態に係る凹部2aの形成方法について説明する。凹部2aは、図2(a)及び図2(b)に示すように、所定周波数の超音波が付与されるホーンHと、該ホーンHと共にシート本体2を挟み込む受け材Bとを備えた凹部形成装置(図示せず)を用いて形成される。
【0025】
ホーンHは、所定周波数の超音波が付与されることで、シート本体2に振動エネルギーを与えてシート本体2を溶解させるように構成されている。一方、受け材Bは、ホーンHと共にシート本体2を挟み込む先端部の幅が先端に向かうにつれて幅狭になるように形成されている。具体的には、受け材Bは、円盤状の形状を有し、中心よりも外側の領域が外周縁(即ち、シート本体2を挟み込む先端部)に向かって先細りとなるように形成されている。また、受け材Bは、ホーンHとの間にシート本体2を挟み込んだ状態で、シート本体2の一方向(具体的には、長手方向)に沿って回転可能に固定されている。
【0026】
そして、ホーンHと受け材Bとの間にシート本体2を挟み込んだ状態で、ホーンHに超音波を付与してシート本体2を溶解させることで凹部2aが形成される。具体的には、ホーンHと受け材Bとの間にシート本体2を挟み込んだ状態で、シート本体2の一方向(即ち、受け材Bの先端部の幅方向と直交する方向)に沿ってシート本体2に対して張力Tを作用させつつホーンHに超音波を付与する。そして、ホーンH及び受け材Bに対してシート本体2を一方向に沿って直線的に相対移動させる。
【0027】
これにより、ホーンHに超音波を付与することで生じた振動エネルギーがシート本体2に供給され、シート本体2が受け材Bの先端部の形状に対応して溶解し、前記一方向に沿って溝部2cが形成される。更に、溶解した部分が受け材Bの先端部によって溝部2cの両側に押しやられることで、溝部2cの両側に前記一方向に沿って隆起部2d,2dが形成される。このように溝部2cと一対の隆起部2d,2dとが形成されることで、シート本体2に対する張力Tの作用によって一対の隆起部2d,2dが互いに接近するため、図3(a)に示すように、凹部2aが細長く且つ深さの深い溝に形成される。
【0028】
図1に戻り、シート本体2は、一方向(長手方向)に交差するように線状の切り込み部2eを備えている。該切り込み部2eは、二つの凹部対2b,2bのうち、一方の凹部対2bを構成する一対の凹部2a,2aの間に、一端部が位置すると共に、他方の凹部対2bを構成する一対の凹部2a,2aの間に、他端部が位置するように形成されている。
【0029】
また、切り込み部2eは、シート本体2の一方向(長手方向)に交差(略直交する)するように線状に形成された第一領域2fと、第一領域2fの両端部からシート本体2の一方向(長手方向)に沿って線状に形成された第二領域2g,2gとから構成されている。具体的には、切り込み部2eは、第一領域2fと第二領域2g,2gとがU字状となるように形成されている。そして、第一領域2fの両端部と第二領域2g,2gとは、一対の凹部2a,2a間に形成されている。これにより、シート本体2における第一領域2fと第二領域2g,2gとによって囲まれた領域に指等で摘むことが可能な摘み部2hが形成されている。
【0030】
また、切り込み部2eは、シート本体2の他方の面から閉塞フィルム2iによって閉塞されている。具体的には、切り込み部2eをシート本体2の他方の面から覆うように閉塞フィルム2iが配置された状態で、閉塞フィルム2iの外周部がシート本体2にヒートシール等されることで、切り込み部2eが閉塞されている。
【0031】
上記のように形成された包装材1は、他方の面に物品が載置された状態で、一方向(長手方向)に沿って搬送されつつ、一方向(長手方向)に沿って曲折予定線L1,L2,L3で曲折されて物品を包むと共に、一方向(長手方向)に沿って重なり合う端部同士がシールされて筒状に形成される。そして、他方向(幅方向)に沿ってシールされると共に切断されることで、図3(a)に示すような包装形態の包装体(ピロー包装体)10を得ることができる。
【0032】
そして、斯かる包装体10から物品を取り出す際には、切り込み部2eによって形成された摘み部2hを指で摘み、凹部2aに沿って摘み部2hを移動させる。これにより、二つの凹部対2b,2bのそれぞれを構成する一対の凹部2a,2a間の領域(以下、切断領域とも記す)が凹部2aに沿って切断される。これにより、図3(b)に示すように、包装体10が開封されて物品を取り出すことが可能となる。
【0033】
以上のように、本発明に係る包装材によれば、シート本体以外の他の部材を用いる必要が無く、効果的に切断方向を制御することができる。
【0034】
即ち、前記包装材1は、シート本体2に一対の凹部2a,2aが形成されることで、シート本体2における凹部2aが形成された領域に他の領域よりも厚みが薄くなった領域(溝部2c)が形成される。つまり、包装材1における凹部2aが形成された領域の強度がそれ以外の領域の強度よりも脆弱なものとなっている。
【0035】
このため、線状の切り込み部2eの両端を基点に切断領域が切断される際に、前記一方向に対して交差する方向に向かって切断が開始されてしまった場合や、切断途中で前記一方向に交差する方向に切断方向がズレてしまった場合、即ち、切断方向が切断領域の外側に向かってしまった場合であっても、一対の凹部2a,2aで包装材1が切断されるため、切断領域よりも外側の領域が切断されてしまうのを防止することができる。また、凹部2aが一方向に沿って形成されているため、凹部2aで包装材が切断されることで、一方向に沿って包装材1が切断される。
【0036】
以上のように、切断領域の内側から外側の領域に亘って包装材1の切断が生じてしまうのを防止することができると共に、凹部2aで切断が生じることで前記一方向に沿って包装材1が切断されるため、シート本体2のみからなる包装材1であっても切断方向を効果的に制御することができる。これにより、切断方向の制御された包装材1をシート本体2のみからでも容易に作製することができる。
【0037】
更に、線状の切り込み部2eの両端のそれぞれが二つの切断領域内に位置しており、該切断領域同士が他方向に間隔を空けて形成されていることで、上述のように、二つの切断領域が前記一方向に沿って切断された際に、包装材1における二つの切断領域間の領域(具体的には、二つの凹部対2b,2b間の領域)が包装材1から分離し、開口部が形成される。つまり、二つの凹部対2b,2b間の間隔(即ち、二つの切断領域同士の間隔)を設定することで、包装材1を切断した際に包装体10に形成される開口部の広さを任意に設定することができる。
【0038】
また、凹部2aが溝部2cと一対の隆起部2d,2dから構成されていることで、より確実に包装材1の切断方向を制御することができる。具体的には、切断領域の切断が切断領域の内側から外側に向かって進んだ場合であっても、切断領域の強度よりも隆起部2dの強度が高いため、切断方向が切断領域の内側に(具体的には、切断領域に沿って)矯正される。これにより、切断領域の内側から隆起部2dを越えて切断領域の外側に亘って包装材1が切断されるのを防止することができる。
また、仮に、切断領域の内側から隆起部2dを越えて包装材1の切断が生じるような力が包装材1(包装体10)に加わった場合であっても、溝部2cの強度が隆起部2dの強度よりも脆弱となっているため、溝部2cで包装材1が切断されることとなる。これにより、切断領域の内側から隆起部2d及び溝部2cを越えて切断領域の外側に亘って包装材1が切断されるのを防止することができる。
【0039】
なお、本発明に係る包装材及び包装体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、切り込み部2eが線状に形成されているが、斯かる線状とは、ある程度の幅を持ったものも含むものである。つまり、シート本体2に線状の切り込み部が形成されることで、切り込み部が形成された領域に開口が形成されてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、凹部2aが溝部2cと一対の隆起部2d,2dから構成されているが、これに限定されるものではなく、溝部2cのみからなる凹部であってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、二つの凹部対2b,2bがシート本体2に形成されているが、これに限定されるものではなく、三つ以上の凹部対2b・・・を形成し、形成された複数の凹部対2b・・・から二つを選択して用いてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、切り込み部2eがU字状に形成されているが、これに限定されるものではなく、切り込み部2eがH字状となるように形成されてもよい。具体的には、直線状の第一領域に対して略直交するように直線状の一対の第二領域が形成されており、一対の第二領域の両端部間(例えば、略中心部)に第一領域の両端部が連結されて略H字状の切り込み部が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…包装材、2…シート本体、2a…凹部、2b…凹部対、2c…溝部、2d…隆起部、10…包装体
図1
図2
図3