特許第6131059号(P6131059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131059
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】水中ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/58 20060101AFI20170508BHJP
   F04D 1/08 20060101ALI20170508BHJP
   F04D 13/08 20060101ALI20170508BHJP
   F04D 13/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   F04D29/58 D
   F04D1/08 Z
   F04D13/08 F
   F04D13/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-15352(P2013-15352)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-145332(P2014-145332A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2016年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】服部 敏也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利造
(72)【発明者】
【氏名】岩田 健二
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭38−007782(JP,Y1)
【文献】 実公昭38−002980(JP,Y1)
【文献】 登録実用新案第3113022(JP,U)
【文献】 特許第5417388(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/58
F04D 1/08
F04D 13/00
F04D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインペラを収納する多段ポンプと、
前記多段ポンプの最上段に接続され、前記多段ポンプで増圧した水を二次側に供給する吐出ケーシングと、
前記多段ポンプの最下段に接続され、前記多段ポンプ内に水を供給する吸込ケーシングと、
前記吸込ケーシングに接続された水中モータと、
前記多段ポンプ、前記吐出ケーシング、前記吸込ケーシング及び前記水中モータを覆うとともに、前記水中モータとその内周面との間の隙間を所定の断面積とする流路部材と、
を備え
前記流路部材は、
前記吐出ケーシングに設けられ、雌ねじ孔を有するフランジ部と、
前記多段ポンプ、前記吸込ケーシング及び前記水中モータの延設方向に沿って設けられ、その端部に前記雌ねじ孔に締結される締結部材が挿通される孔部を有する円筒状の流路管と
を具備することを特徴とする水中ポンプ。
【請求項2】
前記フランジ部は、その外周縁に形成された、前記流路管と係合可能な円環状の係合部を有することを特徴とする請求項1に記載の水中ポンプ。
【請求項3】
前記水中モータは、電源ケーブルに接続され、
前記フランジ部は、切欠部が形成され、前記流路管と接続したときに前記電源ケーブルを挿通可能に前記切欠部の一部が開口することを特徴とする請求項1に記載の水中ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、井戸等に設置される水中ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、井戸等で水や温泉水、海水等の湯水を揚水するポンプとして、井戸用の水中ポンプが知られている(例えば特許文献1)。このような水中ポンプは、回転軸に所定の間隔で複数のインペラを固定し、これらインペラをケーシング内にそれぞれ収納させることで、ポンプが多段に連結される構成である。
【0003】
このような水中ポンプは、水中モータの上部に多段ポンプが配置される構成である。このため、水中ポンプは、水中モータの上部から水を吸込む構成である。しかし、水中モータは、その冷却を周囲の水により冷却を行うため、当該水中モータの周囲を流れる水の最低流速が決められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−8791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した水中ポンプでは、以下の問題があった。即ち、上述した水中ポンプにおいては、水中モータの周囲を流れる水の流速を水中モータを冷却可能な最低流速とするために、水中モータの外面と井戸の内周面との間隔を所定の間隔として、当該水中モータ及び井戸の内周面との間の水の流路を所定の断面積とする必要がある。
【0006】
例えば、流路断面積が所定の断面積以上となると、水中モータの周囲を流れる水の流速が最低流速よりも遅くなり、水中モータの冷却が適切に行えなくなる虞がある。
【0007】
このため、水中モータの下方の水が多段ポンプの吸込部へと流れるに際し、水中ポンプと井戸との間の流路が最低流速以上となる断面積とするために、水中ポンプは、使用可能な井戸の内径が制限される、という問題があった。このため、井戸の内径に関わらず最低流速を維持し、水中モータを確実に冷却が可能な水中ポンプの要望があった。
【0008】
そこで本発明は、水中モータを確実に冷却可能な水中ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の水中ポンプは、次のように構成されている。
【0010】
本発明の一態様として、複数のインペラを収納する多段ポンプと、前記多段ポンプの最上段に接続され、前記多段ポンプで増圧した水を二次側に供給する吐出ケーシングと、多段ポンプの最下段に接続され、前記多段ポンプ内に水を供給する吸込ケーシングと、前記吸込ケーシングに接続された水中モータと、前記多段ポンプ、前記吐出ケーシング、前記吸込ケーシング及び前記水中モータを覆うとともに、前記水中モータとその内周面との間の隙間を所定の断面積とする流路部材と、を備え、前記流路部材は、前記吐出ケーシングに設けられ、雌ねじ孔を有するフランジ部と、前記多段ポンプ、前記吸込ケーシング及び前記水中モータの延設方向に沿って設けられ、その端部に前記雌ねじ孔に締結される締結部材が挿通される孔部を有する円筒状の流路管とを具備する
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、水中モータを確実に冷却することが可能な水中ポンプを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る水中ポンプの構成を一部断面で示す説明図。
図2】同水中ポンプの要部構成を示す上面図。
図3】同水中ポンプの要部構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係る水中ポンプ1を、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る水中ポンプ1の構成を一部断面で示す説明図、図2は水中ポンプ1に用いられる要部、さらに言えば流路部材17に用いられるフランジ部23の構成を示す上面図、図3は、図2中III−III断面で吐出ケーシング14及び流路部材17の構成を示す断面図である。なお、図1乃至図3中、Bは締結部材を、Fは流体の流れを、Vは井戸を、Wは井戸水を、それぞれ示している。
【0014】
図1に示すように、水中ポンプ1は、例えば、井戸Vに配置される井戸用水中ポンプであり、少なくともその一部が井戸V内の流体、例えば井戸水Wの水面下に位置する。水中ポンプ1は、水中モータ10と、吸込ケーシング11と、多段ポンプ13と、吐出ケーシング14と、固定バンド15と、電源ケーブル16と、流路部材17と、ストレーナ18と、を備えている。
【0015】
水中モータ10は、電源ケーブル16を介して外部電源に接続されている。この水中モータ10は、水中モータ10の駆動軸が、例えば継手等を介して多段ポンプ13の回転軸に接続されている。
【0016】
吸込ケーシング11は、水中モータ10の上部に設けられ、多段ポンプ13の最下段に接続される。吸込ケーシング11は、略円筒状に形成されるとともに、その下部に水中モータ10の外郭部材(モータケーシング)とボルト等により組み付く。吸込ケーシング11は、井戸水を多段ポンプ13に吸込む吸込口を有している。また、吸込ケーシング11は、その吸込口を覆ってストレーナ18が設けられる。
【0017】
多段ポンプ13は、吸込ケーシング11の上部に固定された複数のケーシング13aと、複数のケーシング13aの内部に亘って延設された回転軸と、回転軸に固定されケーシング13aにそれぞれ収納される複数のインペラと、を備えている。
【0018】
吐出ケーシング14は、例えば固定バンド15の他方が固定されるとともに、多段ポンプ13の最上段に接続される下部ケーシング21と、この下部ケーシング21にボルト等の締結部材Bにより結合され、吐出配管等に接続される上部ケーシング22とを備えている。また、吐出ケーシング14は、上部ケーシング22の上面に形成されたフランジ及び吐出管のフランジ間に締結部材Bにより結合される、流路部材17の一部を成すフランジ部23を備えている。
【0019】
図2に示すように、フランジ部23は、円盤状に形成され、少なくとも水中モータ10、吸込ケーシング11、多段ポンプ13、吐出ケーシング14及び固定バンド15の外面よりも径方向に延出するように、大径に形成される。なお、ここで、フランジ部23の外径は、後述する流路部材17の流路管32と略同一径に形成されている。
【0020】
また、フランジ部23は、その外周縁に設けられた円環状に切欠する係合部24と、その外周部からフランジ部23の中心に向かって一部切欠する切欠部25と、係合部24に隣接して複数設けられた突出部26と、を備えている。
【0021】
係合部24は、フランジ部23の一方の主面の外周縁に設けられ、図1及び図3に示すように、水中モータ10側に向かって吐出ケーシング14に配置される。係合部24は、後述する流路部材17の流路管32の内径と略同一の外径に形成され、当該流路管32と係合可能に形成されている。係合部24は、流路管32をフランジ部23に位置合わせ可能に形成されている。
【0022】
切欠部25は、フランジ部23の外周面からその中心に向かって、後述する流路部材17の流路管32の内周面よりも内側まで切欠され、電源ケーブル16を挿通可能に形成されている。なお、図2においては、フランジ部23は、切欠部25を2つ有する構成を用いて説明する。
【0023】
突出部26は、フランジ部23の一方の主面の外周側であって、係合部24に隣接して設けられる板状の突起である。突出部26は、複数、本実施の形態においては、フランジ部23の4箇所に等間隔に配置されている。突出部26は、その一部に、雌ねじ部27が形成されている。
【0024】
固定バンド15は、帯状のバンド部65と、その両端にナットNにより締結可能に形成されたねじ部66とを有している。この固定バンド15は、吸込ケーシング11、ケーシング13a及び吐出ケーシング14を固定可能、且つ、ねじ部66及びナットNにより、吸込ケーシング11及び吐出ケーシング14に固定可能に形成されている。
【0025】
電源ケーブル16は、水中モータ10に接続されている。電源ケーブル16は、流路部材17内部の水中モータ10からフランジ部23の切欠部25を挿通して外部電源に接続される。電源ケーブル16は、例えば数十メールの長さであって、複数のケーブルが束ねられることで形成される。
【0026】
流路部材17は、フランジ部23と、フランジ部23の係合部24に係合する流路管32と、流路管32の他方の端部に固定された第2フランジ部33と、を備えている。
【0027】
フランジ部23は、流路管32が係合することで、切欠部25の一部が流路管32により閉塞され、他部が流路管32内に対向して開口する。フランジ部23は、当該開口する切欠部25により電源ケーブル16を流路管32内からフランジ部23を介して外部に延出可能に形成されている。
【0028】
流路管32は、円筒状の管状部材であって、多段ポンプ13、吸込ケーシング11及び水中モータ10の延設方向に沿って設けられる。流路管32は、その一端側、具体的には、係合部24と係合する端側に、突出部26の雌ねじ孔27とそれぞれ対向する孔部34を備えている。流路管32は、ボルト等の雌ねじ孔27と螺合する締結部材Bにより、突出部26に固定される。
【0029】
流路管32は、その内部に水中モータ10、吸込ケーシング11、多段ポンプ13、吐出ケーシング14及び固定バンド15を収納可能、且つ、水中モータ10の外径と所定の隙間を形成する内径に形成されている。ここで、所定の隙間とは水中モータ10の側面の水の流れが最低流速を確保できる隙間である。
【0030】
即ち、流路管32は、その内周面と水中モータ10の外周面との隙間の開口により、吸込ケーシング11から吸込まれる水の流路を形成するとともに、当該開口を通過する水の流速が水中モータ10を冷却可能な最低流速となる断面積となるように形成されている。
【0031】
ストレーナ18は、吸込ケーシング11内に吸込まれる水に含有される異物を遮断可能に形成されている。
【0032】
このように構成された水中ポンプ1は、電源ケーブル16を介して水中モータ10に電力が供給されると、水中モータ10内の回転子が回転し、当該回転に追従して回転軸が回転する。この回転軸の回転により、複数のケーシング13a内のインペラが回転し、ケーシング13a内の水を増圧し、吐出ケーシング14から水中ポンプ1の二次側へと送水する。
【0033】
また、多段ポンプ13によりその内部の水が圧送されると、一次側が低圧となることから、吸込ケーシング11に水が流入するため、井戸V内から吸込ケーシング11間での水の流れが発生する。この水の流れとしては、井戸V中から流路管32の他端側の開口を介して流路管32内に進入し、流路管32と水中モータ10との間の流路を通過し、吸込ケーシング11に移動する。この移動の際に、通過する水が水中モータ10の外表面と熱交換を行うことで、水中モータ10が冷却される。
【0034】
このように構成された水中ポンプ1によれば、水中モータ10と流路管32との間の隙間(開口)により、井戸Vから吸込ケーシング11までの流路が形成される。また、水中モータ10と流路管32との流路の面積は、流路管32の内径により管理することが可能となるため、当該流路を流れる水の流速を所定の流速とすることが可能となる。
【0035】
即ち、当該流路の面積によって、水中モータ10が冷却可能な流速とすることで、確実に水中モータ10を冷却することが可能となる。
【0036】
また、水中ポンプ1は、水中モータ10の冷却が確実に行うことが可能となることで、井戸Vの内径によらずに水中ポンプ1を用いることが可能となり、汎用性が向上する。
【0037】
さらに詳しく説明すると、水中ポンプ1に用いられる水中モータ10は、その駆動により発生する熱を、井戸水Wにより熱交換を行い冷却する構成である。このため、水中モータ10は、その据付条件として、水中モータ10の側面を流れる水の最低流速が決められている。従来では、水中モータ10と井戸Vとの隙間を流路としていたことから、水中ポンプは、井戸Vの内径が所定の内径の場合にのみ据付が可能であった。井戸Vの内径が、所定の内径よりも大径の井戸Vに据え付けると、水中モータ10の周囲の流速が所定の流速よりも低くなり、結果、冷却不足による水中モータ10の温度の異常上昇にもなる。
【0038】
しかし、本実施形態の水中ポンプ1は、水中モータ10の周囲の流速を、水中モータ10及び流路管32の隙間により所定の流速が確保できるため、井戸Vの内径によらず水中ポンプ1の据付が可能となる。
【0039】
また、水中ポンプ1は、フランジ部23に切欠部25を設けるとともに、第2フランジ部23及び流路管32により、切欠部25の一部を閉塞することで、流路管32内に対向する切欠部25の部位のみが開口することとなり、当該部位から電源ケーブル16を外部に延出させることが可能となる。また、電源ケーブル16は、流路管32をフランジ部23から取り外すことで切欠部25に挿入可能であることから、束ねられた電源ケーブル16自体を解く必要がなく、電源ケーブル16の切欠部25への挿通が容易となる。
【0040】
また、水中ポンプ1は、ストレーナ18を有する構成とすることで、流路管32内及び多段ポンプ13内に異物が進入することを防止可能となる。
【0041】
また、流路管32は、フランジ部23の外周縁に設けられた係合部24に係合されて、締結部材Bにより突出部に固定される構成であるため、水中ポンプ1の外径は、締結部材Bのヘッド部を除けば、実質的に、流路管32の外径と同一となる。このため、最低流速を確保しつつ、水中ポンプ1の外形状を極力小型化とすることが可能となり、据付が可能な井戸Vの形状が増大することから、汎用性が向上する。
【0042】
さらに、水中ポンプ1は、係合部24に流路管32を係合させることで、組立時において、流路管32の径方向の位置合わせ、及び、軸心方向の位置合わせが可能となる。特に、水中ポンプ1は、締結部材Bにより流路管32をフランジ部23に固定する構成であるため、雌ねじ孔27と孔部34との位置合わせが容易となり、組立性が向上する。
【0043】
上述したように本発明の一実施の形態に係る水中ポンプ1によれば、水中モータ10と流路管32とにより水中モータ10の周囲の流速を所定の流速とすることで、井戸Vの内径によらず据付が可能、且つ、確実に水中モータ10を冷却可能となる。また、水中モータ10の大型化を極力防止することが可能となる。
【0044】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、水中ポンプ1は、吸込ケーシング11にストレーナ18を設ける構成を説明したがこれに限定されない。例えば、流路管32の他端側の開口に、別途ストレーナを設ける構成であってもよい。
【0045】
また、上述した例では、流路管32を一つ有する構成を説明したがこれに限定されない。即ち、水中ポンプ1は、流路管32により、水中モータ10との間に所定の断面積の流路を形成可能であればよい。例えば、流路管32の両端部に孔部34を設け、流路管32同士を、孔部34に締結部材を用いて結合する構成であっても良い。
【0046】
さらに、上述した例では、フランジ部23は、上部ケーシング22の上面に形成されたフランジ及び吐出管のフランジ間に締結部材Bにより結合され、その外径が流路管32と略同一径に形成されている構成を説明したがこれに限定されない。例えば、フランジ部23は、複数の口径に対応可能な締結部材Bが挿通するピッチ穴を備えてもよい。即ち、水中ポンプ1を設置する井戸径は、例えば、100mm、150mm、200mm等のように、異なる径が存在する。このため、各井戸径に対応したポンプ口径、例えば、40mm及び50mm等の水中ポンプ1が適宜用いられる。ここで、ポンプ口径に合わせてフランジ部23を形成してもよいが、例えば、締結部材Bが挿通するピッチ穴を長穴とすることで、ポンプ口径が異なる水中ポンプであっても、同一のフランジ部23を用いることが可能となる。フランジ部23を、ポンプ口径が異なる水中ポンプ1で共有可能とすることで、製造コストを低減することが可能となる。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 複数のインペラを収納する多段ポンプと、
前記多段ポンプの最上段に接続され、前記多段ポンプで増圧した水を二次側に供給する吐出ケーシングと、
多段ポンプの最下段に接続され、前記多段ポンプ内に水を供給する吸込ケーシングと、
前記吸込ケーシングに接続された水中モータと、
前記吸込ケーシング及び前記水中モータを覆うとともに、前記水中モータとその内周面との間の隙間を所定の断面積とする流路部材と、
を備えることを特徴とする水中ポンプ。
[2] 前記流路部材は、
前記吐出ケーシングに設けられ、雌ねじ孔を有するフランジ部と、
前記多段ポンプ、前記吸込ケーシング及び前記水中モータの延設方向に沿って設けられ、その端部に前記雌ねじ孔に締結される締結部材が挿通される孔部を有する円筒状の流路管と
を具備することを特徴とする[1]に記載の水中ポンプ。
[3] 前記フランジ部は、その外周縁に形成された、前記流路管と係合可能な円環状の係合部を有することを特徴とする[2]に記載の水中ポンプ。
[4] 前記水中モータは、電源ケーブルに接続され、
記第フランジ部は、切欠部が形成され、前記流路管と接続したときに前記電源ケーブルを挿通可能に切欠部の一部が開口することを特徴とする[2]に記載の水中ポンプ。
【符号の説明】
【0047】
1…水中ポンプ、10…水中モータ、11…吸込ケーシング、13…多段ポンプ、13a…ケーシング、14…吐出ケーシング、15…固定バンド、16…電源ケーブル、17…流路部材、18…ストレーナ、21…下部ケーシング、22…上部ケーシング、23…フランジ部、24…係合部、25…切欠部、26…突出部、27…雌ねじ孔、32…流路管、33…フランジ部、34…孔部、65…バンド部、66…ねじ部、B…締結部材、N…ナット、V…井戸、W…井戸水。
図1
図2
図3