【実施例】
【0023】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【0024】
「実験例1」
硫酸アルミニウムと種々のセルロースエーテルを、表1に示す濃度になるように水に添加し、1時間攪拌することで、種々の液体急結剤を調製した。また、攪拌後、3時間液を静置し、粘度計で粘度を測定した。さらに、1か月間液を静置し、分離度を評価した。結果を表1に併記する。
【0025】
<使用材料>
硫酸アルミニウム:硫酸アルミニウム14水和物、市販品
水溶性セルロースエーテル(CEと表記)
A:メチルセルロース、平均分子量27,000
B:ヒドロキシエチルセルロース、平均分子量34,000
C:ヒドロキシプロピルセルロース、平均分子量26,000
D:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、平均分子量32,000
E1:カルボキシメチルセルロース、平均分子量7,000
E2:カルボキシメチルセルロース、平均分子量10,000
E3:カルボキシメチルセルロース、平均分子量15,000
E4:カルボキシメチルセルロース、平均分子量33,000
E5:カルボキシメチルセルロース、平均分子量50,000
E6:カルボキシメチルセルロース、平均分子量73,000
E7:カルボキシメチルセルロース、平均分子量100,000
E8:カルボキシメチルセルロース、平均分子量160,000
促進剤:六フッ化アルミニウムナトリウム(ア)、ジエタノールアミン(イ)、市販品
【0026】
<測定条件>
粘度:B型粘度計(たとえば、東機産業 TVB−10型)を使用
試験環境温度:20℃に設定
分離度:液全体に対する透明の上澄み液の体積割合をメスシリンダーで評価
○:0〜5%、△:5〜10%、×:10%
超、*:懸濁相なし(溶解)
【0027】
【表1】
【0028】
表1より、硫酸アルミニウム濃度30〜50%、水溶性セルロースエーテル濃度0.01〜5%の配合であることが、液体急結剤の粘度として望ましく、また、分離度が低く、分散性に優れる。水溶性セルロースエーテルの中では、カルボキシメチルセルロースが望ましい。水溶性セルロースエーテルの平均分子量は、10,000〜100,000であることが好ましい。
【0029】
「実験例2」
硫酸アルミニウム濃度が35%、水溶性セルロースエーテル濃度が0.5%、促進剤(フッ化物、またはアルコールアミン)濃度が表2に示す値になるように水に添加し、実験例1と同様に種々の液体急結剤を調製し、粘度を測定し、分離度を評価した。
【0030】
<使用材料>
硫酸アルミニウム:実験例1と同様
水溶性セルロースエーテル:カルボキシメチルセルロース、平均分子量33,000
促進剤(ア):六フッ化アルミニウムナトリウム
促進剤(イ):ジエタノールアミン
【0031】
【表2】
【0032】
表2より、硫酸アルミニウム濃度35%、水溶性セルロースエーテル濃度0.5%、一定の濃度の促進剤(フッ素化合物10%以下、アルコールアミン類5%以下)の配合であることが、液体急結剤の粘度として望ましく、また、分離度が低く、分散性に優れる。
【0033】
「実験例3」
表3に示すように、実験例1、実験例2で示した配合の液体急結剤を調製した。また、調製後の液を、−10、20、40℃の温度で、実験例1と同様の手順で、粘度を測定し、分離度を評価した。結果を表3に併記する。
【0034】
<測定条件>
粘度:実験例1と同様
分離度:液全体に対する透明の上澄み液の体積割合をメスシリンダーで評価
○:0〜5%、△:5〜10%、×:10%
超、*:懸濁相なし(溶解)、**:液が凝固
【0035】
【表3】
【0036】
表3より、液体急結剤の硫酸アルミニウム濃度が30〜50%、水溶性セルロースエーテル濃度が0.01〜5%の液体急結剤は、−10〜40℃において、調整後少なくとも1か月間、分離度が低く、分散性に優れる。さらに、硫酸アルミニウム濃度が35%、水溶性セルロースエーテル濃度が1%、一定の濃度の促進剤(フッ素化合物濃度が0.1〜10%、あるいはアルコールアミン類濃度が0.1〜5%)を含有する液体急結剤も、同様の条件で、貯蔵安定性に優れる。
【0037】
「実験例4」
実験例1と同様に、液体急結剤の濃度が、表4に示す値になるように硫酸アルミニウムと水溶性セルロースエーテルを水に添加し、液体急結剤を調製した。また、砂/セメント比=3、水/セメント比=54%のモルタルを調製し、そのセメント100部に対して、液体急結剤を7部添加し、急結性モルタルとし、その凝結時間、さらに圧縮強度を測定した。結果を表5に併記する。
【0038】
<使用材料>
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品、ブレーン比表面積3,600cm
2/g、比重3.16
細骨材:新潟県糸魚川市姫川産川砂、表乾状態、比重2.62
硫酸アルミニウム、水溶性セルロースエーテル:実験例2と同様
【0039】
<測定方法>
凝結試験:急結性モルタルを土木学会基準「吹付けコンクリート用急結剤品質規格(JSCED−102)」に準じて測定
圧縮強度:急結性モルタルをJIS R 5201に準じて測定
試験環境温度:20℃に設定
【0040】
【表4】
【0041】
表4より、硫酸アルミニウム濃度30〜50%、水溶性セルロースエーテル濃度0.01〜5%の配合であることが、急結剤の性状として望ましい。
【0042】
「実験例5」
液体急結剤の濃度が、硫酸アルミニウム35%、水溶性セルロースエーテル0.5%の液体急結剤を調製した。また、実験例4と同様のモルタルを調製し、そのセメント100部に対して、液体急結剤を表5に示す量添加し、急結性モルタルとし、その凝結時間を、さらに、圧縮強度を測定した。結果を表5に併記する。
【0043】
【表5】
【0044】
表4より、急結剤の添加量は、セメント100部に対し、3〜20部であることが、吹付け材料の性状として望ましい。
【0045】
「実験例6」
実験例1と同様に、液体急結剤の硫酸アルミニウムの濃度が35%、水溶性セルロースエーテルの濃度が1%となるように調製し、さらに、実験例2と同様に、表6に示す種類および濃度の促進剤を含有する液体急結剤を調製した。また、実験例4と同様のモルタルを調製し、そのセメント100部に対して、急結剤を7部添加し、急結性モルタルとし、その凝結時間、さらに圧縮強度を測定した。液体急結剤は、製造1週間後のものを使用した。結果を表6に併記する。
【0046】
【表6】
【0047】
表6より、液体急結剤のフッ素化合物の濃度が0.1〜10%、アルコールアミン類の濃度が0.1〜5%であれば、凝結性状が向上し、強度発現性が大きく損なわることがないため、液体急結剤の性状として望ましい。