(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131065
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】クレーン作業機の安全装置
(51)【国際特許分類】
B66C 23/88 20060101AFI20170508BHJP
B66C 15/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
B66C23/88 Q
B66C15/00 G
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-27920(P2013-27920)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-156313(P2014-156313A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】森 憲司
(72)【発明者】
【氏名】郷東 末和
【審査官】
大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−201995(JP,A)
【文献】
特開平09−255286(JP,A)
【文献】
特開昭51−058239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/88
B66C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式の各種アクチュエータで駆動されフックが過巻き状態に達した状態で上記各種アクチュエータを過巻き増進側に作動させるのを禁止する過巻き防止装置と、クレーン作業機が過負荷状態に達した状態で上記各種アクチュエータを負荷増大側に作動させるのを禁止する過負荷防止装置とを備えたクレーン作業機の安全装置であって、
クレーン作業機の油圧回路におけるポンプ回路とタンク回路とを接続しているアンロード回路中にアンロード弁を設け、
上記フックの過巻き状態を検出する過巻き検出手段と、上記クレーン作業機の過負荷状態を検出する過負荷検出手段を備え、
上記アンロード弁の2次側ポートと上記タンク回路間に介装されていて上記アンロード弁を開閉操作するパイロット回路を設け、
上記過巻き防止装置及び上記過負荷防止装置として、上記パイロット回路中に上記過巻き検出手段と上記過負荷検出手段のいずれか一方からの信号を受けて開弁するソレノイド弁と上記各種アクチュエータの操作切換弁に設けられていて該操作切換弁を過巻き増進側又は負荷増大側に操作したときに開弁するパイロット弁とを設け、上記ソレノイド弁と上記パイロット弁が共に開弁しているときに上記パイロット回路が上記タンク回路に連通することで上記アンロード弁が開弁して作動油をアンロードさせるようにしたものを採用している、
ことを特徴とするクレーン作業機の安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、フックの過巻きを防止する過巻き防止装置とクレーン作業機の損傷や転倒を防止する過負荷防止装置とを備えたクレーン作業機の安全装置に関するものである。尚、本願で取り扱うクレーン作業機は、主として車両に搭載して使用するものであるが、地面等に設置したり船舶やトロッコ等に搭載して使用することもある。そして、以下の説明では、本願クレーン作業機の安全装置についてクレーン作業機を車両に搭載したクレーン作業車で説明する。
【背景技術】
【0002】
車両上にクレーン作業機を搭載したクレーン作業車には、フックの過巻きを防止するための過巻き防止装置や、クレーンの損傷及び車両の転倒等を防止するための過負荷防止装置を備えたものがある。
【0003】
上記過巻き防止装置は、フックが過巻き状態に達した状態でフックの過巻きに関連する油圧式の各種アクチュエータ(ブームの伸縮シリンダ、ブームの起伏シリンダ、ウインチ等)の操作切換弁を過巻き増進側(危険側)に操作しても、油圧ポンプからの作動油をタンク側にアンロードさせることでそれらのアクチュエータを過巻き増進側に作動できないようにしたものである。他方、上記過負荷防止装置は、クレーン作業機が過負荷状態に達した状態で過負荷に関連する各種アクチュエータ(ブームの伸縮シリンダ、ブームの起伏シリンダ、ウインチ等で、場合によっては旋回台の旋回モータを含むことがある)の操作切換弁を負荷増大側(危険側)に操作しても、油圧ポンプからの作動油をタンク側にアンロードさせることでそれらのアクチュエータを負荷増大側に作動できないようにしたものである。
【0004】
ところで、この種の過巻き防止装置や過負荷防止装置では、各種アクチュエータの操作切換弁に対して危険側に操作したことを検出するのに、一般に電気スイッチ(リミットスイッチ)によりスプールの移動を検出するようにしたものを使用していたが、電気スイッチからなるスプール移動検出手段では、部品コストが高価になるとともに、電気的検出であると断線や接触不良等のおそれがあって信頼性が高いとは言えないものであった。
【0005】
これに対して、図
4には公知例(特許文献1の
図2)のフック過巻き防止装置の油圧回路を示しているが、この公知例のフック過巻き防止装置は、フックの過巻きに関連する各種アクチュエータ(ブームの伸縮シリンダ15、ブームの起伏シリンダ16、ウインチ17)の各操作切換弁(35、36、37)が過巻き増進側に操作されたことを検出するのに、電気スイッチに変えてパイロット弁(45〜47)を使用し、該各パイロット弁(45〜47)の開閉によりパイロット回路4Bを介して作動油をアンロードさせるようにしている。
【0006】
即ち、図
4に示す公知例の過巻き防止装置は、ポンプ回路32とタンク回路33を接続するアンロード回路34中にリリーフ兼用のアンロード弁7を設け、該アンロード弁7の2次側ポート7aとタンク回路33間にアンロード弁7を開閉操作するパイロット回路4Bを設けている一方、該パイロット回路4B中に、フックが過巻き状態になったことを検出する検出手段(例えば
図1の過巻き検出器26)からの信号で開弁するソレノイド弁41Bと、過巻きに関連する各種アクチュエータ(伸縮シリンダ15、起伏シリンダ16、ウインチ17)の各操作切換弁(35、36、37)が過巻き増進側に操作されたときに連動して開弁する各パイロット弁(45、46、47)とをそれぞれ介装している。尚、過巻き増進側操作とは、伸縮シリンダ15の伸長、起伏シリンダ16の起仰、ウインチ17の巻上げ、等の各操作のことであり、それらの過巻き増進側操作を行うことで、当該操作切換弁(35、36、37)の動作に連動してそれぞれのパイロット弁(45、46、47)が開弁するようになっている。
【0007】
そして、この公知(図
4)の過巻き防止装置では、フック過巻き状態を検出する過巻き検出器(例えば
図1の符号26)からの信号でソレノイド弁41Bを開弁し、そのフック過巻き状態(ソレノイド弁41Bの開弁状態)で過巻きに関連する各種アクチュエータ(15、16、17)の各操作切換弁(35、36、37)のいずれか1つでも過巻き増進側に操作される(又は操作を継続している)と、当該操作切換弁の作動に連動して当該操作切換弁に設けたパイロット弁(45〜47)が開弁し、パイロット回路4Bがタンク回路33に連通し(アンロード弁7の2次側ポート7a部分の圧力が開放される)、それによってアンロード弁7が開弁してポンプ回路32中の作動油がアンロードされる(過巻き増進側動作が禁止される)ようになっている。
【0008】
このように、パイロット回路による過巻き防止装置では、過巻きに関連する各種アクチュエータ(15〜17)の各操作切換弁(35〜37)による過巻き増進側操作を検出するのに各操作切換弁(35〜37)に設けたパイロット弁(45〜47)を使用しているので、過巻き増進側操作の検出手段が上記電気スイッチより安価になる一方、電気的検出のように断線や接触不良等のおそれがなくなって信頼性の高いものを提供できるとい
う利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図
4に示す公知例のものは、フックの過巻き防止についてパイロット油圧(パイロット回路4B、ソレノイド弁41B、各パイロット弁45〜47を含む)により過巻き増進側動作を禁止するようにしたものであるが、クレーン作業機の過負荷防止装置(転倒防止装置)については何ら開示がない。
【0011】
そこで、本願発明は、上記公知例(図
4)の油圧回路中に簡単なパイロット回路(ソレノイド弁、パイロット弁を含む)を付加するだけで、過巻き防止と過負荷防止とをそれぞれ油圧パイロット方式で達成し得るようにすることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
【0013】
[本願請求項
1の発明]
本願請求項
1の発明は、上記請求項1と同様に、油圧式の各種アクチュエータで駆動されフックが過巻き状態に達した状態で上記各種アクチュエータを過巻き増進側に作動させるのを禁止する過巻き防止装置と、クレーン作業機が過負荷状態に達した状態で上記各種アクチュエータを負荷増大側に作動させるのを禁止する過負荷防止装置とを備えたクレーン作業機の安全装置を対象にしたものである。
【0014】
そして、この請求項
1に係るクレーン作業機の安全装置は、クレーン作業機の油圧回路におけるポンプ回路とタンク回路とを接続しているアンロード回路中にアンロード弁を設け、フックの過巻き状態を検出する過巻き検出手段と、クレーン作業機の過負荷状態を検出する過負荷検出手段を備えるとともに、アンロード弁の2次側ポートとタンク回路間に介装されていてアンロード弁を開閉操作するパイロット回路を設けている。
【0015】
さらに、この請求項
1に係るクレーン作業機の安全装置では、上記過巻き防止装置及び上記過負荷防止装置として、パイロット回路中に過巻き検出手段と過負荷検出手段のいずれか一方からの信号を受けて開弁するソレノイド弁と各種アクチュエータの操作切換弁に設けられていて該操作切換弁を過巻き増進側又は負荷増大側に操作したときに開弁するパイロット弁とを設け、上記ソレノイド弁と上記パイロット弁が共に開弁しているときにパイロット回路がタンク回路に連通することでアンロード弁が開弁して作動油をアンロードさせるようにしたものを採用している。
【0016】
この請求項
1のクレーン作業機の安全装置では、ブーム伸縮操作切換弁の伸長操作が過巻き増進側で且つ過負荷増大側の操作となるので、該ブーム伸縮操作切換弁の伸長操作時に開弁するパイロット弁を1つで過巻き防止用と過負荷防止用に共用できる一方、ウインチ巻上・巻下操作切換弁の巻上げ操作が過巻き増進側で且つ過負荷増大側の操作となるので、該ウインチ巻上・巻下操作切換弁の巻上げ操作時に開弁するパイロット弁を1つで過巻き防止用と過負荷防止用に共用できる。又、ブーム起伏操作切換弁については、起仰操作が過巻き増進側(機種によっては倒伏操作が過巻き増進側となるものもある)で倒伏操作が過負荷増大側になるので、1つのスプールに2つのパイロット弁を設けるとよい。尚、ブーム起伏操作切換弁について倒伏操作が過巻き増進側となる機種では、該ブーム起伏操作切換弁の倒伏操作時に開弁する1つのパイロット弁で過巻き防止用と過負荷防止用に共用できる。
【0017】
そして、この請求項
1のクレーン作業機の安全装置では、過巻き防止と過負荷防止の各制御を共通のパイロット回路でそれぞれ行えるとともに、ブーム伸縮操作切換弁に設けたパイロット弁とウインチ巻上・巻下操作切換弁に設けたパイロット弁とをそれぞれ過巻き防止用と過負荷防止用に共用することができる。
【発明の効果】
【0018】
[本願請求項
1の発明の効果]
本願請求項
1のクレーン作業機の安全装置では、過巻き防止と過負荷防止をそれぞれパイロット式の油圧回路で制御するようにしているので、各操作切換弁の危険側操作を検出する検出手段(パイロット弁)を
電気スイッチに比して安価に且つ信頼性の高いものにできるという効果がある。
【0019】
又、この請求項
1のクレーン作業機の安全装置では、過巻き防止装置及び過負荷防止装置の各危険側操作を禁止するためのパイロット回路とソレノイド弁とパイロット弁とを過巻き防止用と過負荷防止用とに共用しているので、起伏の作動が制限されるものの、部品点数を少なくできる(構成が簡単で且つ安価に製作できる)という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本願実施例のクレーン作業機の安全装置を装備したクレーン作業車の作業姿勢状態図である。
【
図2】
図1のクレーン作業車に装備した過巻き防止装置及び過負荷防止装置の制御ブロック図である。
【
図3】本願実施例のクレーン作業機の安全装置の油圧回路図である。
【
図4】公知のクレーン作業機の過巻き防止装置に使用されている油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施例]
図1〜図
3を参照して本願の実施例を説明すると、
図1には本願のクレーン作業機の安全装置をクレーン作業車に適用した場合の実施例を示している。尚、他の実施例では、クレーン作業機を地面等に設置したり船舶やトロッコ等に搭載して使用することも可能である。
【0022】
図1のクレーン作業車は、車体1上に油圧式の各種アクチュエータで駆動させるクレーン作業機2を搭載したものである。クレーン作業機2は、車体1上に旋回ポスト11を設け、該旋回ポスト11上に伸縮及び起伏自在な伸縮ブーム12を取付けているとともに、伸縮ブーム12の先端部からフック13を吊下げて荷物を昇降させ得るように構成されている。
【0023】
伸縮ブーム12は、ブームに内蔵された伸縮シリンダ(図
3の符号15)で伸縮せしめられるとともに、起伏シリンダ16で起伏せしめられる。フック13は、旋回ポスト11に設けたウインチ17によって巻上げ・巻下げ操作される。旋回ポスト11は、図
3に符号18で示す旋回モータによって水平旋回せしめられる。車体1には、左右一対のアウトリガ14、14が設けられている。この各アウトリガ14、14は、内蔵された横向きのスライドシリンダ(図示省略)で左右に張出・格納されるとともに、ジャッキシリンダ19A、19Bで車体1を支持させ得るようになっている。
【0024】
他方、
図1のクレーン作業車には、伸縮ブーム12に加わる負荷を検出するための負荷検出器21と、伸縮ブーム12の長さを検出するブーム長さ検出器22と、伸縮ブーム12の起伏角度を検出するブーム角度検出器23と、旋回台11の旋回角度を検出する旋回角度検出器24(
図2参照)と、アウトリガ14の張出し長さを検出するアウトリガ張出し長さ検出器25(
図2参照)と、フック13がブーム先端部に対して所定距離まで近接したことを検出する過巻き検出器(特許請求範囲中の過巻き検出手段となる)26とをそれぞれ備えている。
【0025】
そして、
図1のクレーン作業車には、フック13が過巻き状態に達した状態で各種アクチュエータを過巻き増進側(危険側)に作動させるのを禁止するための過巻き防止装置と、クレーン作業機2が過負荷状態に達した状態で各種アクチュエータを負荷増大側(危険側)に作動させるのを禁止する過負荷防止装置とを備えている。
【0026】
上記過巻き防止装置は、フック13が過巻き検出器26に衝合するまでブーム先端側に巻上げられたときに該過巻き検出器26から過巻き検出信号が発せられ、その過巻き検出信号により
図2に示すようにコントローラ10の出力手段65からの信号でブーム関連操作制御手段66に対して過巻き危険側作動を禁止する制御を行わせるものである。
【0027】
他方、上記過負荷防止装置は、
図2に示すように、過負荷検出手段60が過負荷状態を検出したときに出力手段64からブーム関連操作制御手段66に対して過負荷危険側作動を禁止する制御が行われるものである。尚、過負荷検出手段60は、ブーム長さ検出器22とブーム角度検出器23と旋回角度検出器24とアウトリガ張出し長さ検出器25からのそれぞれの検出値に基いて限界モーメント演算手段61で演算した限界モーメントと、負荷検出器21(
図1に示すように起伏シリンダ16に受ける伸縮ブーム12の負荷を検出するもの)からの検出値に基いて実際モーメント演算手段62で演算した実際モーメントとを比較手段63で比較するもので、上記実際モーメントが上記限界モーメントに達すると出力手段64からの信号でブーム関連操作制御手段66に対して過負荷危険側作動を禁止する制御を行わせるものである。
【0028】
尚、上記ブーム関連操作制御手段66による制御は、図
3において油圧ポンプ30から供給されるポンプ回路32中の作動油をアンロード回路34を介してタンク回路33側にアンロードさせるものである。
【0029】
図
3には本
願実施例の安全装置の油圧回路を示しているが、この図
3の油圧回路において、符号30は油圧ポンプ、31はタンク、32は油圧ポンプ30から作動油が供給されるポンプ回路、33はタンク31に接続するタンク回路である。
【0030】
図3の油圧回路において、伸縮シリンダ15はブーム伸縮操作切換弁35の操作で伸縮せしめられ、起伏シリンダ16はブーム起伏操作切換弁36の操作で起伏せしめられ、ウインチ17はウインチ巻上・巻下操作切換弁37の操作で巻上げ・巻下げせしめられ、旋回モータ18は旋回操作切換弁38の操作で左右に旋回駆動せしめられ、左右の各ジャッキシリンダ19A、19Bはそれぞれジャッキ伸縮操作切換弁39A、39Bの操作で伸縮せしめられる。
【0031】
上記の各操作切換弁(35、36、37、38、39A、39B)は、それぞれ3位置切換弁が使用されていてそれぞれ手動操作されるものである。又、これらの各操作切換弁は、中央弁室が中立位置で左右の各弁室が各アクチュエータに対して作動油を相互に逆向きに供給するものである。
【0032】
ポンプ回路32とタンク回路33間には、アンロード回路34が介設されている。このアンロード回路34中には後述するパイロット回路
4Aからのパイロット圧で開閉せしめられるアンロード弁7が設けられている。このアンロード弁7はリリーフ兼アンロード弁であって、このアンロード弁7には、ポンプ回路32に接続する1次側ポートと後述のパイロット回路
4Aに接続する2次側ポート7aとが設けられている。
【0033】
この実施例に係るクレーン作業機の安全装置は、フック13の過巻き防止装置とクレーン作業機2の過負荷防止装置とを備えたものであって、クレーン作業機2の油圧回路におけるポンプ回路32とタンク回路33とを接続しているアンロード回路34中にアンロード弁7を設け、フック13の過巻き状態を検出する過巻き検出手段26(
図1、
図2)と、クレーン作業機2の過負荷状態を検出する過負荷検出手段60(
図2)を備えるとともに、アンロード弁7の2次側ポート7aとタンク回路33間に介装されていてアンロード弁7を開閉操作するパイロット回路4Aを設けている。尚、この実施例では、パイロット回路4Aは1本のみである。
【0034】
又、
図3の実施例の安全装置では、過巻き防止装置及び過負荷防止装置の各制御用として、1本のパイロット回路4A中に、過巻き検出器26と過負荷検出手段60のいずれか一方からの信号を受けて開弁するソレノイド弁41Aと、各種アクチュエータ(15〜17)の各操作切換弁(35〜37)にそれぞれ連動して作動する各パイロット弁(45〜47)とを設けている。
【0035】
ソレノイド弁41Aは、過巻き検出器26と過負荷検出手段60の何れか一方でも検出信号を発しているとソレノイドが非励磁となって開弁する(図
3の状態となる)が、過巻き検出器26と過負荷検出手段60の両方が非検出状態(非過巻き状態で非過負荷状態)ではソレノイドが励磁されて閉弁状態を維持するようになっている。
【0036】
他方、過巻き関連操作と過負荷関連操作の両方を行う各種アクチュエータ(伸縮シリンダ15、起伏シリンダ16、ウインチ17)の各操作切換弁35、36、37には、該各操作切換弁35、36、37を過巻き増進側又は負荷増大側に操作したときに開弁する各パイロット弁45,46,47を設けている。尚、ブーム伸縮操作切換弁35に設けたパイロット弁45は、ブーム伸縮操作切換弁35をブーム伸長側に操作したときに開弁するものであり、ブーム起伏操作切換弁36に設けたパイロット弁46は、ブーム起伏操作切換弁36をブーム起仰側(過巻き増進側となる)とブーム倒伏側(負荷増大側となる)の両方に操作したときにいずれも開弁するものであり、ウインチ巻上・巻下操作切換弁37は、ウインチ巻上げ側に操作したときに開弁するものである。
【0037】
そして、図
3の実施例の安全装置では、過巻き状態であるか過負荷状態であるときにソレノイド弁41Aが開弁しており、その状態で過巻き関連操作(又は過負荷関連操作)を行う各種アクチュエータ(15〜17)のいずれかの操作切換弁(35〜37)を過巻き増進側又は負荷増大側に操作すると、いずれかのパイロット弁(45〜47)が開弁することにより、パイロット回路4Aがタンク回路33に連通することでアンロード弁7が開弁して作動油をアンロードさせるようになっている。
【0038】
従って、
この実施例の安全装置で
は、過巻き防止と過負荷防止をそれぞれパイロット式の油圧回路で制御するようにしているので、各操作切換弁(35〜37)の危険側操作を検出する検出手段(パイロット弁45〜47)を安価に且つ信頼性の高いものにできる。
【0039】
又、
この実施例の安全装置では、過巻き防止と過負荷防止をそれぞれパイロット式の油圧回路で制御するようにしたものにおいて、パイロット回路4Aとソレノイド弁41Aとパイロット弁45〜47とを過巻き防止装置及び過負荷防止装置の各危険側操作を禁止するための手段に共用しているので、起伏の作動が制限されるものの、部品点数を少なくできる(構成が簡単で且つ安価に製作できる)。
【符号の説明】
【0040】
2は作業機、4Aはパイロット回路、7はアンロード弁、7aは2次側ポート、15は伸縮シリンダ(アクチュエータ)、16は起伏シリンダ(アクチュエータ)、17はウインチ(アクチュエータ)、21は負荷検出器(負荷検出手段)、30は油圧ポンプ、31はタンク、32はポンプ回路、33はタンク回路、34はアンロード回路、35はブーム伸縮操作切換弁、36はブーム起伏操作切換弁、37はウインチ巻上・巻下操作切換弁、41Aはソレノイド弁、45〜47はパイロット弁、60は過負荷検出手段である。