特許第6131073号(P6131073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6131073-液晶表示装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131073
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20170508BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20170508BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   G02F1/1333
   G02F1/1343
   G09F9/00 304C
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-54430(P2013-54430)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-182158(P2014-182158A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】半田 正人
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−100590(JP,A)
【文献】 特開昭49−037653(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102879936(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1333
G02F 1/1343
G09F 9/00−9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、当該液晶パネルを温めるパネルヒーターと、当該パネルヒーターと電気的に接続された回路基板とを有する液晶表示装置であって、
前記パネルヒーターは、第一のパネルヒーターと第二のパネルヒーターとを含み、
前記第一のパネルヒーターは、前記液晶パネルの画像表示面とは反対側の面に配置され、
前記第二のパネルヒーターは、前記液晶パネルの前記画像表示面に配置され、
前記第一のパネルヒーターの外周部は、前記液晶パネルの外周部よりも横方向へ突出した第一の突出部を有し、
前記第二のパネルヒーターの外周部は、前記液晶パネルの外周部よりも横方向へ突出した第二の突出部を有し、
前記第一の突出部は、前記回路基板と電気的に接続されると共に、当該電気的に接続された部位は、前記画像表示面側から見て、前記第二の突出部により覆われている
ことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーターを備えた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置は様々な温度環境下で使用されている。温度環境としては、例えば−30℃程度の低温域から60℃程度の高温域の幅広い温度環境であり、その温度環境下で正常に動作すること、特に低温時において電源の投入(ON)と同時に最適な画像表示が行われる事が要求されている。
【0003】
液晶の応答速度は温度環境に大きく影響を受け、特に低温環境では液晶の応答速度が遅くなる。この為、低温環境下で使用する場合、一般的には液晶表示装置の液晶を温める為にヒーターが搭載される。
【0004】
図2は従来技術による液晶表示装置を示す(a)上面図、(b)A−A断面図である。液晶パネル1は、シリコンなどの半導体基板から成る下基板2とガラスなどの透光性基板から成る上基板3とを備えた反射型液晶パネルで、下基板2と上基板3の互いに対向する面にはそれぞれ液晶4に駆動電圧を印加する為の反射性電極(例えばAl等の金属電極)と液晶4を配向させる為の配向膜とがが形成されており、それら下基板2と上基板3とを枠状の周辺シール材5を介して所定の位置及び間隔で互いに貼り合わせることで形成された空間に液晶4を封入することで構成されている。
【0005】
液晶パネル1の下基板2の下面には、液晶パネル1を温める為のパネルヒーター7が接着剤10を介して接着されている。パネルヒーター7は、ガラス基板8の表面に発熱層としてITO電極(薄膜)9が所定のパターンで形成されたもので、ITO電極9側の面が液晶パネル1に接着されている。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
パネルヒーター7の液晶パネル1が接着された側とは反対側の面は、回路基板6上に搭載され、接着剤や粘着テープなどを用いて回路基板6に固定されている。この状態で液晶パネル1の上基板3と回路基板6とが導電性接着剤11aを介して電気的に接続され、また、液晶パネル1の下基板2と回路基板6とがボンディングワイヤー12を介して電気的に接続され、さらにパネルヒーター7と回路基板6とが導電性接着剤11bを介して電気的に接続されている。
【0007】
より具体的には、導電性接着剤11aの一端は、上基板3の下基板2よりも横方向へ迫り出した部位の表面に設けられた電極端子に接続され、導電性接着剤11aの他端は、上基板3の横方向へ迫り出した部位と対向する回路基板6の表面に設けられた電極端子に接続されている。また、ボンディングワイヤー12の一端は、下基板2の上基板3よりも横方向へ迫り出した部位の表面に設けられた電極端子に接続され、ボンディングワイヤー12の他端は、下基板2の横方向へ迫り出した部位に近接する回路基板6の表面に設けられた電極端子に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−107526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の液晶表示装置では、液晶パネル1の下側にパネルヒーター7が配置されているが、1台のパネルヒーター7だけでは、液晶パネル1を温めるのに時間が掛かってしまうという欠点がある。一般的に液晶4は最適な動作温度として10〜20℃以上が好ましく、10℃以下では、液晶4の応答速度が急激に遅くなり、動画の表示やコントラストなどに不具合が生じる。また、業務用の液晶表示装置などでは液晶パネル1が2インチ程度の大きな物が使用されることから、液晶パネル1の熱容量も大きくなり、パネルヒーター7が1台では、液晶4を最適動作温度まで温めるのにさらに時間が掛かる。
【0010】
本発明は、以上の問題点に鑑みて成されたものであり、低温環境下でも液晶を最適動作温度まで即座に温めることが可能な液晶表示装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
液晶パネルと、当該液晶パネルを温めるパネルヒーターと、当該パネルヒーターと電気的に接続された回路基板とを有する液晶表示装置であって、前記パネルヒーターは、第一のパネルヒーターと第二のパネルヒーターとを含み、前記第一のパネルヒーターは、前記液晶パネルの画像表示面とは反対側の面に配置され、前記第二のパネルヒーターは、前記液晶パネルの前記画像表示面に配置され、前記第一のパネルヒーターの外周部は、前記液晶パネルの外周部よりも横方向へ突出した第一の突出部を有し、前記第二のパネルヒーターの外周部は、前記液晶パネルの外周部よりも横方向へ突出した第二の突出部を有し、前記第一の突出部は、前記回路基板と電気的に接続されると共に、当該電気的に接続された部位は、前記画像表示面側から見て、前記第二の突出部により覆われている液晶表示装置とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液晶パネルの画像表示面とその反対側の面を二つのパネルヒーターで挟み込むことにより、液晶パネルを画像表示面とその反対側の面の両方から同時に加熱することができる為、低温環境下でも即座に液晶を最適動作温度まで温めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による液晶表示装置の実施例を示す(a)上面図、(b)A−A断面図
図2】従来技術による液晶表示装置を示す(a)上面図、(b)A−A断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明による液晶表示装置の実施例を示す(a)上面図、(b)A−A断面図である。液晶パネル1は、シリコンなどの半導体基板から成る下基板2とガラスなどの透光性基板から成る上基板3とを備えた反射型液晶パネルで、下基板2と上基板3の互いに対向する面にはそれぞれ液晶4に駆動電圧を印加する為の反射性電極(例えばAl等の金属電極)と液晶4を配向させる為の配向膜とがが形成されており、それら下基板2と上基板3とを枠状の周辺シール材5を介して所定の位置及び間隔で互いに貼り合わせることで形成された空間に液晶4を封入することで構成されている。
【0015】
液晶パネル1の下基板2の下面には、液晶パネル1を温める為のパネルヒーター(第一のパネルヒーター)7が接着剤10を介して接着されている。パネルヒーター7は、ガラス基板8の表面に発熱層としてITO電極(薄膜)9が所定のパターンで形成されたもので、ITO電極9側の面が液晶パネル1に接着されている。
【0016】
パネルヒーター7の液晶パネル1が接着された側とは反対側の面は、回路基板6上に搭載され、接着剤や粘着テープなどを用いて回路基板6に固定されている。この状態で液晶パネル1の上基板3と回路基板6とが導電性接着剤11aを介して電気的に接続され、また、液晶パネル1の下基板2と回路基板6とがボンディングワイヤー12を介して電気的に接続され、さらにパネルヒーター7と回路基板6とが導電性接着剤11bを介して電気的に接続されている。
【0017】
より具体的には、導電性接着剤11aの一端は、上基板3の下基板2よりも横方向へ迫り出した部位の表面に設けられた電極端子に接続され、導電性接着剤11aの他端は、上基板3の横方向へ迫り出した部位と対向する回路基板6の表面に設けられた電極端子に接続されている。また、ボンディングワイヤー12の一端は、下基板2の上基板3よりも横方向へ迫り出した部位の表面に設けられた電極端子に接続され、ボンディングワイヤー12の他端は、下基板2の横方向へ迫り出した部位に近接する回路基板6の表面に設けられた電極端子に接続されている。
【0018】
以上の構成は従来技術と同様であり、本実施例が従来技術と異なるのは、さらにガラス基板8とITO電極9とで構成されたパネルヒーター(第二のパネルヒーター)13が液晶パネル1の上基板3の上面に接着剤10を介して接着されていることにある。つまり、パネルヒーター7とパネルヒーター13の2つのパネルヒーターで液晶パネル1の画像表示面(上面)とその反対側の面(下面)が挟み込まれている。
【0019】
パネルヒーター13の外周の一部は、液晶パネル1の外周よりも横方向へ迫り出しており、その迫り出した部位と回路基板6とが対向する領域において、パネルヒーター13と回路基板6とが導電性接着剤11cを介して電気的に接続されている。ここでは、パネルヒーター13の互いに対向する二辺側にそれぞれ導電性接着剤11cによる導通部が設けられ、それぞれの導通部を介してパネルヒーター13の両端に電流を流す事により、ITO電極8が抵抗加熱され、その熱により液晶パネル1が温められる。
【0020】
尚、パネルヒーター13は液晶パネル1の画像表示面(上面)側に貼付される為、構成材料には光透過性材料(基材としてはガラス等、発熱層としてはITO等)を使用する必要があるが、液晶パネル1の下面側に配置されるパネルヒーター7に関しては、基材としてはガラスだけでなく、セラミックやシリコンなど、また、発熱層としてはITOだけでなく、金属などの光透過性材料でない材料を使用することが可能である。
【0021】
以上の構成では、液晶パネル1が画像表示面とその反対側の面の両方から同時に温められる為、低温環境下でも即座に液晶パネル1が温められ、正常な表示が行われる。
【0022】
また、液晶パネル1は2つのパネルヒーターで挟み込まれていることから、液晶パネル1の反りや歪みが抑えられる効果もある。例えば、液晶パネル1の下基板2とパネルヒーター7が、互いに異なる熱膨張係数の材料で構成されているような場合には、パネルヒーター7の熱により液晶パネル1に反りが発生する恐れがあるが、そのような場合であっても、もう一つのパネルヒーター13が液晶パネル1の補強板として機能することにより、その影響を抑えることができる。
【0023】
以上の実施例において、パネルヒーター7とパネルヒーター13の駆動を互いに独立して制御できるようにしておけば、各々のヒーターの温度や駆動のタイミングなどを個別に変化させることが可能である。例えば、回路基板6に接する側のパネルヒーター7は、発生した熱の一部が回路基板6へ逃げ易いことから、それを考慮して温度をパネルヒーター13よりも高めに設定することが考えられる。このようすれば、パネルヒーター7とパネルヒーター13との間で液晶パネル1を温める速度の差が縮まる為、液晶パネル1を均一に温めることができる。また、比較的高温の環境下などでは、パネルヒーター7とパネルヒーター13の何れか一方の駆動を停止させる又は駆動時間を短くすることで、消費電力を抑えることも可能である。
【0024】
本発明は、下基板2と上基板3が共に光透過性基板(ガラス基板等)で構成された透過型液晶パネルを液晶パネル1として用いた液晶表示装置などにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 液晶パネル
2 下基板
3 上基板
4 液晶
5 周辺シール材
6 回路基板
7 パネルヒーター(第一のパネルヒーター)
8 ガラス基板
9 ITO電極
10 接着剤
11a 導電性接着剤
11b 導電性接着剤
11c 導電性接着剤
12 ボンディングワイヤー
13 パネルヒーター(第二のパネルヒーター)
図1
図2