特許第6131076号(P6131076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131076
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】缶蓋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/44 20060101AFI20170508BHJP
   B65D 17/32 20060101ALI20170508BHJP
   B21D 22/28 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B21D51/44 C
   B65D17/32
   B21D22/28 E
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-60180(P2013-60180)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-184454(P2014-184454A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186854
【氏名又は名称】昭和アルミニウム缶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】池田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 明日美
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−069067(JP,A)
【文献】 米国特許第04031837(US,A)
【文献】 米国特許第04217843(US,A)
【文献】 特開昭60−183353(JP,A)
【文献】 実開昭63−028633(JP,U)
【文献】 特開2012−144286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/44
B21D 22/28
B65D 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の板材に環状の溝を形成する溝形成工程と、
前記板材のうち、前記環状の溝が形成される箇所の内側に位置する内側領域に対して、塑性加工を行う加工工程と、
前記環状の溝が形成された後および前記塑性加工が行われた後、前記板材のうちの当該環状の溝よりも外側に位置する部分を当該板材の両面側から挟んで保持するとともに、当該外側に位置する当該部分を保持した後、当該溝の内部に金型を入れ当該溝の内面に当該金型を押し当てて当該溝の深さを大きくし、当該溝の深さを大きくすることで前記内側領域に張力を付与する張力付与工程と、
を備える缶蓋の製造方法。
【請求項2】
金属製の板材に環状の溝を形成する溝形成工程と、
前記板材のうち、前記環状の溝が形成される箇所の内側に位置する内側領域に対して、塑性加工を行う加工工程と、
前記塑性加工が行われた後、前記板材のうちの前記環状の溝が形成された環状溝形成部分に外力を与えて、前記内側領域に張力を付与する張力付与工程と、
を備え
前記張力付与工程では、
前記環状溝形成部分に与える外力を当該環状溝形成部分の部位に応じて異ならせ、当該環状溝形成部分の一部に与えられる外力と、当該環状溝形成部分の周方向において当該一部とは異なる箇所に位置する他の一部に与えられる外力とを異ならせ、
又は、
前記張力付与工程では、
前記環状溝形成部分の一部に外力を与え、当該環状溝形成部分の周方向において当該一部とは異なる箇所に位置する他の一部には外力を与えない缶蓋の製造方法。
【請求項3】
金属製の板材に対して塑性加工を行う加工工程と、
前記塑性加工が行われた後、前記板材の外周縁側に位置する環状の外側部位であって当該塑性加工が行われた加工箇所よりも外側に位置する環状の当該外側部位を保持したうえで、当該板材のうちの当該外側部位よりも内側に位置する内側部位に対して金型を押し当て、当該板材の厚み方向に作用する外力を与える外力付与工程と、
を備え
前記外力付与工程では、前記内側部位の全領域ではなく当該内側部位の一部に対して前記金型を押し当てる缶蓋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶蓋の製造方に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、中央パネル部を備えるとともに、中央パネル部の略中央部領域内にパネルフォーム成形によって形成された凹状のパネルリセス部が形成され、さらに、開口用スコアが形成された缶蓋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−132355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
缶蓋の製造工程では、スコア線やリベットの形成など、金属性の板材に対し塑性加工が行われることが多く、このように塑性加工を行うと、缶蓋に歪みが生じやすくなる。ここで、缶蓋に生じる歪みは、凹み形状などの形状を缶蓋に追加し缶蓋を構成する板材を伸長することで低減できるが、缶蓋の形状やサイズによっては、缶蓋に対し形状を追加しにくい場合がある。
本発明の目的は、缶蓋への形状の追加を抑えつつ缶蓋に生じた歪みの低減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される缶蓋の製造方法は、金属製の板材に環状の溝を形成する溝形成工程と、前記板材のうち、前記環状の溝が形成される箇所の内側に位置する内側領域に対して、塑性加工を行う加工工程と、前記塑性加工が行われた後、前記板材のうちの前記溝が形成された部分に外力を与えて、前記内側領域に張力を付与する張力付与工程と、を備える缶蓋の製造方法である。
ここで、前記張力付与工程では、前記溝の深さを大きくする外力を当該溝に与え当該溝の深さを大きくすることで前記内側領域の径方向における外側に向かって作用する外力を当該内側領域に与え、当該内側領域に張力を付与することを特徴とすることができる。この場合、内側領域にて生じている歪みを低減できるようになる。
また、前記溝形成工程における前記環状の溝の形成によって、前記板材には、当該溝が形成される面とは反対側の面から突出し且つ環状に形成された突出部が形成され、前記張力付与工程では、環状に形成された前記突出部の径方向における内側に位置する、当該突出部の側部を、当該突出部の径方向における外側方向に向けて押圧することで、前記外力の付与を行い、前記内側領域に張力を付与することを特徴とすることができる。この場合、内側領域にて生じている歪みを低減できるようになる。
他の観点から捉えると、本発明が適用される缶蓋の製造方法は、金属製の板材に対して塑性加工を行う加工工程と、前記塑性加工が行われた後、前記板材の外周縁側に位置する部位であって当該塑性加工が行われた加工箇所よりも外側に位置する外側部位を保持したうえで、当該板材のうちの当該外側部位よりも内側に位置する部位に対し、当該板材の厚み方向に作用する外力を与える外力付与工程と、を備える缶蓋の製造方法である。
他の観点から捉えると、本発明が適用される缶蓋の製造方法は、金属製の板材に対して塑性加工を行う加工工程と、前記板材に対し前記塑性加工が行われた後、当該板材のうちの当該塑性加工が行われた加工箇所の周囲に対して塑性加工を施して、当該加工箇所を取り囲む環状の溝を形成する溝形成工程と、を備える缶蓋の製造方法である。
また、本発明を缶体と捉えた場合、本発明が適用される缶体は、開口を備え内容物が収容された缶本体と、当該缶本体の当該開口に取り付けられる缶蓋と、を備え、前記缶蓋が、上記の何れかに記載の缶蓋の製造方法により製造された缶蓋であることを特徴とする缶体である。
また、本発明を缶蓋と捉えた場合、本発明が適用される缶蓋は、内容物が収容された缶本体に取り付けられる板状の本体部と、前記本体部の外周縁の内側に位置し、塑性加工が施された塑性加工部と、前記本体部の外周縁に沿って形成され、前記塑性加工部の周囲に形成された環状の溝と、を備え、前記塑性加工が前記本体部に対して行われた後に前記環状の溝に対して外力が加えられることで、当該本体部のうちの前記塑性加工部が位置する箇所に対し伸長処理が施され、又は、前記塑性加工が前記本体部に対して行われた後に塑性加工によって前記環状の溝が形成されることで、当該本体部のうちの前記塑性加工部が位置する箇所に対し伸長処理が施された缶蓋である。
他の観点から捉えると、本発明が適用される缶蓋は、内容物が収容された缶本体に取り付けられる板状の本体部と、前記本体部の外周縁の内側の内側領域に位置し、塑性加工が施された塑性加工部と、を備え、前記塑性加工が行われた後に、前記本体部の外周縁を保持したうえで前記内側領域の少なくとも一部を当該本体部の厚み方向に押圧し、当該本体部のうちの前記塑性加工部が位置する箇所に対し伸長処理が施された缶蓋である。
ここで、前記塑性加工によって、前記塑性加工部には、前記本体部に開口が形成される際に当該本体部の破断を促すスコア線が形成され、前記スコア線は、前記本体部の径方向における中央部側に一端および他端を有するとともに当該本体部の外周縁側に向かって膨らむように形成され且つ当該外周縁側に頂部を有し、前記本体部の径方向における中央部を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域に前記一端および前記他端が位置し、他方の領域に前記頂部が位置するように、前記スコア線は形成されていることを特徴とすることができる。この場合、缶蓋に占める開口の割合を大きなものにすることが可能になるとともに、このように開口の割合が大きくなっても、板材のうちの開口が形成される部分の伸長処理を行える。
また、本発明を缶体と捉えた場合、本発明が適用される缶体は、開口を備え内容物が収容された缶本体と、当該缶本体の当該開口に取り付けられる缶蓋と、を備え、前記缶蓋が、上記の何れかに記載の缶蓋であることを特徴とする缶体である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、缶蓋への形状の追加を抑えつつ缶蓋に生じた歪みの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】飲料缶に用いられる缶蓋の製造方法を説明するための図である。
図2】本実施形態にかかる缶蓋であって図1の(C)にて示したスコア加工まで行われた缶蓋を示した図である。
図3】本実施形態にて実施される伸長処理の概略を示した図である。
図4】第1伸長処理の具体的な処理手順を示した図である。
図5】第2伸長処理の具体的な処理手順を示した図である。
図6】金型の他の構成例を示した図である。
図7】第3伸長処理の具体的な処理手順を示した図である。
図8】第3伸長処理の具体的な処理手順を示した図である。
図9】本実施形態の缶蓋の正面図である。
図10】上金型の他の構成例を示した図である。
図11】缶蓋の他の構成例を示した図である。
図12】タブが取り付けられる前の缶蓋の状態を示した正面図である。
図13】パネルの状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、飲料缶に用いられる缶蓋の製造方法を説明するための図である。まず、最初に、この図1を参照し、缶蓋の一般的な製造方法を説明する。
飲料缶で広く採用されている缶蓋20は、まず、同図(A)に示すように、アルミなどの金属性の板材を、プレス加工機で、シェル10と呼ばれる皿状の形成物にすることから始まる。このシェル10には、その中央部に、パネルと呼ばれる円形の平面が形成され(以下、この平面の部分を「パネル11」と称する)、また、パネル11の周囲には、曲げ加工(塑性加工)が施され、断面形状がU字状であり且つ円環状に形成された環状溝12が形成される。
【0009】
ここで、環状溝12は、缶蓋20の外側方向(厚み方向における外側)へ缶蓋20が膨らむなどの缶蓋20の変形を抑制する役割があるとされている。飲料缶の内部の温度上昇や飲料缶の落下に起因して、飲料缶の内圧が上昇し、缶蓋20を外側方向に変形させようとする荷重が缶蓋20に作用することがあるが、環状溝12が缶蓋20に形成されていると、このような荷重が作用しても、缶蓋20の変形が生じにくくなる。
【0010】
また、本実施形態の缶蓋20では、同図(A)に示すように、環状溝12の外側に、曲げ加工(カール加工)がさらに施され、環状溝12よりも外側に位置する部位には、内向きにカールしたカール加工部13が設けられている。
ここで、飲料缶の製造工程では、一般的に、内容物である飲料を飲料缶の本体部に充填した後に、缶蓋20を取り付ける。この際に、この本体部の上部に位置する円形の開口縁に形成される外側に向かって広がるフランジ加工部22と、缶蓋20のカール加工部13(缶蓋20の縁部)とを重ねるとともに、この重ねた部分に対し、いわゆる巻き締め加工(曲げ加工)を行う。さらに説明すると、カール加工部13と本体部の開口縁のフランジ加工部22の両者に対して曲げ加工(カール加工)を施すとともに、さらに押し潰す加工を施す。これにより、本体部に対し缶蓋20が固定される。
【0011】
その後、本実施形態では、同図(B)に示すように、缶蓋20のうちの、環状溝12よりも内側に位置する内側領域に対し、塑性加工の一例としてのリベット加工が施される。このリベット加工では、パネル11の中央部に対し、開口具であるタブ(後述)の取り付けに用いられる突出部(突起)14が形成される。なお、タブが取り付けられる際には、タブに形成された貫通孔にこの突出部14が通されたうえで、この突出部14の先端が加圧され潰される。これにより、抜け止めが形成され、タブが缶蓋20に固定される。
【0012】
次いで、スコア加工が施される。具体的には、断面形状がV字状の楔をパネル11に打ち込むことで、同図(C)に示すように、パネル11に対し、溝状(線状)の凹部(刻み目)により構成され、パネル11の破断を誘導するスコア線15が形成される。ここで、飲料缶の内部の飲料が飲まれる際には、缶蓋20に対して飲み口として機能する開口が形成されるが、この開口の形成に際しては、スコア線15により囲まれた領域がタブにより押圧される。これにより、スコア線15にてパネル11の判断が生じ、缶蓋20に開口が形成される。
【0013】
ところで、パネル11の周囲には、環状溝12が形成され、また、カール加工部13が設けられているため、上記リベット加工やスコア加工の際にパネル11にて発生する応力が、パネル11の外側に逃げにくくなる。かかる場合、パネル11の内部に応力が残留し、パネル11が湾曲するなどパネル11に変形(歪み)が生じやすくなる。
【0014】
具体的に説明すると、リベット加工は、例えば3段階のプレス加工により行われる。第1段階で半球形状のドームを形成し、第2段階では、このドームをリベットよりやや大きめの円柱形状の突起に絞り込み、第3段階で、リベット形状に仕上げる。このように、第1段階でパネル11の一部を半球状であるドーム形状に膨らませて、第2段階、第3段階でドーム形状を円柱形状に絞る場合、特にリベットの付け根付近にて湾曲した面を平面に縮めるようとするため、パネル11に歪みが生じやすくなる。また、スコア加工では、断面形状がV字状の楔をパネル11に打ち込むため、パネル11の表面では、V字の溝幅の分だけパネル11の表面が伸ばされる。そして、この場合も、パネル11に歪みが発生しやすくなる。
【0015】
そして、パネル11に歪み(変形)が生じると、タブの操作性が低下し缶蓋20に開口を形成しにくくなる。具体的には、タブの一端をパネルに押し付け開口を形成する際にタブが傾斜したりし、タブを操作する際の操作性が低下しやすくなる。また、タブの操作に必要な力が缶蓋20毎に異なるようになり、缶蓋20の品質がばらつくなどの不具合も生じるおそれがある。
【0016】
このため、一般的には、図1(D)に示すように、パネル11のうちの、リベット加工およびスコア加工が施された箇所の周囲に対し、凹み加工を施す。より具体的には、パネル11のうちの、リベット加工およびスコア加工が施された箇所が他の箇所よりも低くなるように、リベット加工およびスコア加工が施された箇所を凹ませる。これにより、リベット加工およびスコア加工が施された箇所が、パネル11の面方向(配設方向)に沿って伸長し、これに伴い、パネル11に生じた変形(歪み)が緩和される。
【0017】
その後は、図1(E)に示すように、シェル10に対し、開口具として機能するタブ16が取り付けられ、缶蓋20が完成する。なお、タブ16のこの取り付けは、上記にて説明したとおり、タブ16に形成された貫通孔に、パネル11に形成された突出部14(図1(B)参照)が通されたうえで、この突出部14の先端が潰される。これにより、抜け止めが形成され、缶蓋20からのタブ16の離脱が防止される。
なお、完成した缶蓋20は、図1(F)に示すように、飲料が充填された円筒形の缶本体21の上部に対して取り付けられ、これにより、缶体の一例としての飲料缶が完成する。なお、この取り付けは、上記にて説明したとおり、いわゆる巻き締めにより行われる。
【0018】
図2は、本実施形態にかかる缶蓋20であって図1の(C)にて示したスコア加工まで行われた缶蓋20を示した図である。なお、同図(A)は正面図であり、同図(B)は側面図である。また、上記にて説明した機能と同様の機能を有する部分については、上記と同じ符号を用いている。
【0019】
本実施形態における缶蓋20は、350mlや500mlなどの飲料缶に用いられる一般的な缶蓋よりもその直径が小さくなっており、本実施形態のこの缶蓋20の直径(パネル11の直径(図中符号L参照))は、45mm以下となっている。ここで、本発明は、350mlや500mlなどの約55mmの飲料缶の蓋(45mmを超える蓋)にも適用できる。なお、より大きな効果を奏するのは45mm以下が好ましく、さらに大きな効果を奏するのは35mm以下が好ましい。
また、本実施形態でも、図2(A)、(B)に示すように、本体部として機能するパネル11の外周に(パネル11よりも径方向における外側に)、断面形状がU字状に形成され且つ円環状に形成された環状溝12が形成されている。また、環状溝12の外側には、下向き(図2(B)参照)に湾曲するカール加工部13が設けられている。
【0020】
さらに、本実施形態の缶蓋20には、パネル11の破断を促すスコア線15、タブの固定に用いられる突出部(リベット)14が設けられている。ここで、スコア線15および突出部14は何れも塑性加工によって形成されており、スコア線15、突出部14が形成された箇所は塑性加工部として捉えることができる。
また、本実施形態の缶蓋20には、ユーザがタブを操作する際の操作性を向上させる凹部(フィンガーホールエンボス)17が形成されている。ここで、この凹部17を形成した場合、パネル11の表面とタブとの間に隙間が大きくなり、ユーザの指がタブとパネル11との間に入りやすくなる。これにより、ユーザは、タブ(の後端部)の持ち上げを行いやすくなる。
【0021】
ところで、本実施形態のように、缶蓋20の直径が小さくなる場合、図2(A)に示すように、スコア線15や凹部17に対し環状溝12が接近する。かかる場合、図1(D)にて説明した凹み加工を行うことが難しくなる。付言すると、凹み加工は、上記のように、リベット加工およびスコア加工が施された箇所の周囲にて行うが、缶蓋20の直径が小さくなると、スコア線15や凹部17に対し環状溝12が接近し、この凹み加工を行う領域が小さくなってしまう。
【0022】
そこで、本実施形態では、凹み加工に替えて、パネル11の外周部などに追加工を行う。付言すると、本実施形態では、パネル11に対して凹み形状を付加することでパネル11の伸長を行うという概念から、パネル11の外周部などに追加工を行うことでパネル11の伸長を行うという概念に切り替えている。この場合、パネル11に対して新たな形状を付加する必要がなくなり、パネル11上のレイアウトはそのままで、パネル11の伸長処理を行える。
【0023】
図3は、本実施形態にて実施される伸長処理の概略を示した図である。
本実施形態では、図3(A)〜(C)に示す、第1伸長処理〜第3伸長処理の何れかを実行し、パネル11の面方向に沿ってパネル11を伸ばす。
【0024】
なお、図3(A)〜(C)の各々では、図中左側の図において、シェル10に加えられる外力を示し、図中右側の図において、シェル10に生じる張力を示している。また、図3(A)〜(C)の各々では、シェル10の保持を行っている部分を白い三角で表し、シェル10に加える外力を白い矢印で表し、シェル10に作用する張力を黒い矢印で表わしている。また、図3(A)〜(C)の各々では、シェル10の右半分に位置する部分に作用する外力や張力を表示しているが、この外力や張力はシェル10の全周に亘って作用している。また、図3(A)〜(C)の各々では、シェル10の右半分に位置する部分の支持状態を示しているが、シェル10の周方向における他の部分の支持状態も、図3(A)〜(C)の各々で示す支持状態と同じとなっている。
【0025】
まず、図3(A)に示す第1伸長処理では、下方からパネル11が支持されることでパネル11の高さは維持され、また、カール加工部13が上下から保持され、上方方向および左右方向へのカール加工部13の移動が規制されている。第1伸長処理では、この状態にて、環状溝12の底部に対し図中下向き方向の外力が加えられ、環状溝12の底部が押し下げられる。これにより、パネル11の径方向における外側方向に向かってパネル11が引っ張られるようになり、黒い矢印に示すように、パネル11に対し張力が発生する。付言すると、缶蓋20のうちの環状溝12よりも内側に位置する内側領域に対して径方向外側に向かうように張力が発生する。
【0026】
また、図3(B)に示す第2伸長処理では、環状溝12の高さが維持され、また、カール加工部13が上下から保持され、上方方向および左右方向へのカール加工部13の移動が規制されている。そしてこの第2伸長処理では、パネル11を上方に移動させようとする外力をパネル11に作用させる。
【0027】
そして、このような外力をパネル11に作用させると、パネル11の外周部の移動が規制されているために、パネル11に対し、黒い矢印で示す張力が作用する。付言すると、この第2伸長処理では、シェル10の外周縁側に位置する部位であってリベット加工やスコア加工が行われた加工箇所よりも外側に位置する外側部位を保持したうえで、シェル10のうちのこの外側部位よりも内側に位置する部位に対して、シェル10の厚み方向に作用する外力を与える。これにより、パネル11に対し、パネル11の径方向に作用する張力が発生する。
【0028】
また、図3(C)に示す第3伸長処理では、図3(B)に示す伸長処理と同様、環状溝12の高さが維持され、また、カール加工部13が上下から保持され、上方方向および左右方向へのカール加工部13の移動が規制されている。そして、この第3伸長処理では、環状溝12を構成する二つの側壁(内側壁12A、外側壁12B)のうちの、パネル11の中央部側に位置する一方の側壁(内側壁12A)を、パネル11の径方向における内側から押圧する。これにより、上記と同様、黒い矢印に示すように、パネル11に対し張力が作用する。
【0029】
付言すると、本実施形態のように、シェル10の一方の面側から環状溝12を形成すると、この一方の面とは反対側の面から突出し且つ環状に形成された突出部が形成される。そして、この第3伸長処理では、環状に形成されたこの突出部の内側に位置する側面(内側壁12A)を、突出部の径方向における外側方向に向けて押圧する。これにより、シェル10のうちの環状溝12よりも内側に位置する領域に対して張力が付与されるようになる。
【0030】
ところで、缶蓋20の直径が小さくなる場合であっても、タブ16(図1(E)参照)、スコア線15(図2(A)参照)、凹部17(図2(A)参照)などを小さくすれば、上記凹み加工のためのスペース(スコア線15等と環状溝12との間の領域)を生み出すことができるようになる。しかしながら、凹部17を小さくしてしまうと、ユーザの指先がタブ16の下に入りにくくなり、凹部17が役割を果たさなくなってしまうおそれがある。
【0031】
また、例えば、タブ16を小さくすると、タブ16の支点(リベットにより支持される部分)と力点(ユーザにより持ち上げられる部分)との距離が小さくなる場合があり、この場合、タブ16の持ち上げ(引き起こし)に要する操作荷重が大きくなってしまう。特に、タブの作用点(タブの先端部)と支点との距離が変化せずに、支点と力点との距離が小さくなる場合、操作荷重が特に大きくなる。
【0032】
また、タブ16の全体を小さくした場合には、支点と作用点との距離、支点と力点との距離の比は変化せず、タブ16の引き起こしに必要な操作荷重の増大は生じにくくなると考えられるが、この場合は、形成される開口が小さくなりやすい。タブ16の全体を小さくした場合、支点と作用点との間に位置する部位の長さが小さくなり、これにより、タブ16がパネル11を押し下げる際の押し下げ量が低下する。そしてこの場合、形成される開口(飲み口)が小さくなってしまう。
【0033】
また、タブ16の小型化の他に、スコア線15(スコア線15により囲まれる領域)を小さくすることも考えられるが、この場合も開口が小さくなってしまう。
一方で、本実施形態では、タブ16、スコア線15、凹部17などの小型化を行わずに済むため、上記にて説明した不具合が生じにくくなる。
【0034】
第1伸長処理〜第3伸長処理についてさらに説明する。
図4は、第1伸長処理の具体的な処理手順を示した図である。
この第1伸長処理では、上記のとおり、シェル10に形成されている環状溝12をさらに深くすることにより、パネル11を伸長し、パネル11に生じた歪みを緩和する。
【0035】
具体的に説明すると、この第1伸長処理では、同図(A)に示すように、待機位置にある上金型41と、同じく待機位置にある下金型42との間に、スコア加工までが行われたシェル10(図1の(C)にて示した処理までが完了したシェル10)が投入され、図4(B)に示すように、下金型42の上にシェル10が置かれる。
【0036】
ここで、上金型41は、図4(A)に示すように、円筒状に形成された第1上金型411と、この第1上金型411の内側に配置された第2上金型412とから構成されている。この第2上金型412は、円柱状に形成された基体412Aと、基体412Aの図中下面から突出した突出部412Bとにより構成されている。ここで、この突出部412Bは、基体412Aの周方向に沿うように形成され且つ円環状に形成されている。
一方で、下金型42は、円柱状に形成されるとともに、シェル10の下面に倣った形状を有した上面を有している。ここで、この上面には、下金型42の周方向に沿って形成された環状の溝(以下、「金型溝42A」と称する)が形成されている。
【0037】
ここで、本実施形態のシェル10には、環状溝12が形成されることによって、図4(A)に示すように、環状溝12が形成されている面とは反対側の面に、突出部10A(以下、「シェル側突出部10A」と称する)が形成されている。そして、本実施形態では、下金型42の上にシェル10が置かれると、図4(B)に示すように、下金型42に形成された金型溝42Aに、シェル10に形成されたこのシェル側突出部10Aが入り込む。なお、本実施形態では、金型溝42Aの深さの方が、シェル側突出部10Aの突出量よりも大きくなっている。
【0038】
下金型42の上にシェル10が置かれた後、本実施形態では、図4(C)に示すように、第1上金型411および第2上金型412を下降させる。これにより、同図に示すように、第1上金型411と下金型42とによって、シェル10のカール加工部13が挟まれ(クランプされ)、第1上金型411と下金型42とによって、シェル10のカール加工部13が保持される。
【0039】
次いで、本実施形態では、同図(D)に示すように、第2上金型412をさらに下降させる。そして、この第2上金型412が予め定められた箇所に達すると、環状溝12の内部に突出部412Bが入り込むとともに、第2上金型412の更なる下降に伴い、環状溝12の底部が突出部412Bの頂部により押圧される。これにより、パネル11(シェル10のうちの環状溝12の内側に位置する部分)に対して、張力が作用するようになる。これにより、リベット加工、スコア加工が行われた部分が伸ばされるようになる。
【0040】
次に、第2伸長処理について説明する。
図5は、第2伸長処理の具体的な処理手順を示した図である。
この第2伸長処理では、パネル11を直接押圧することでパネル11を伸長し、パネル11に生じた歪みを緩和する。
【0041】
ここで、この第2伸長処理に用いられる金型では、図5(A)に示すように、下金型42が、円筒状に形成された第1下金型421と、この第1下金型421の内側に配置された第2下金型422とから構成されている。
【0042】
第2下金型422は、円柱状に形成され、図中上方に上端面を有している。ここで、この上端面は、シェル10が有するパネル11の下面に倣った形状を有している。
一方、第1下金型421は、円筒状に形成され、上端面421Aを有している。また、第1下金型421は、この上端面421Aから図中上方に向かって突出した突出部421Bを有している。ここで、この突出部421Bは、第1下金型421の周方向に沿って形成され且つ円環状に形成されている。
【0043】
一方で、上金型41は、円柱状に形成された基体413と、基体413の図中下面から突出した突出部414とにより構成されている。ここで、この突出部414は、基体413の周方向に沿うように形成され且つ円環状に形成されている。
【0044】
ここで、第2伸長処理では、上記と同様、まず、同図(A)に示すように、待機位置にある上金型41と、同じく待機位置にある下金型42との間に、スコア加工までが行われたシェル10が投入され、同図(B)に示すように、下金型42の上にシェル10が置かれる。なお、下金型42の上にシェル10が置かれると、同図(B)に示すように、第1下金型421の突出部421Bの上にカール加工部13が載り、また、突出部421Bの内側に、シェル側突出部10Aが位置するようになる。
【0045】
その後、この処理では、図5(C)に示すように、第1下金型421および第2下金型422を上昇させる。これにより、同図に示すように、第1下金型421と上金型41とによって、シェル10のカール加工部13が挟まれ(クランプされ)、第1下金型421と上金型41とによって、カール加工部13が保持される。また、この処理では、第1下金型421および第2下金型422を上昇させると、図5(C)に示すように、上金型41に形成された突出部414が、シェル10の環状溝12に入り込む。
【0046】
次いで、同図(D)に示すように、第2下金型422をさらに上昇させる。そして、第2下金型422が予め定められた箇所に達すると、シェル10のパネル11がこの第2下金型422により下方から押圧されるようになる。この際、カール加工部13の保持が上記のとおり行われており、パネル11が第2下金型422により下方から押圧されると、パネル11に対し、張力が作用するようになる。これにより、この第2伸長処理でも、リベット加工、スコア加工が行われた部分が伸ばされるようになる。
【0047】
なお、図6(金型の他の構成例を示した図)の(A)に示すように、上金型41を図4にて示した上金型41で構成し、下金型を図5に示した下金型42で構成するようにしてもよい。この場合、図6(B)に示すように、上金型41に設けられた突出部412Bが環状溝12の底部を押圧することでパネル11が径方向に伸長し、また、下金型42に設けられた第2下金型422がパネル11を押し上げることでパネル11が径方向に伸長する。
【0048】
次に、第3伸長処理について説明する。
図7図8は、第3伸長処理の具体的な処理手順を示した図である。
この第3伸長処理では、上記のとおり、環状溝12を構成する二つの側壁のうちの、パネル11の中央部側に位置する一方の側壁を、パネル11の径方向における内側から押圧して、パネル11の伸長を行う。
【0049】
ここで、この第3伸長処理に用いられる金型では、第2伸長処理で用いられる金型と同様、図7(A)に示すように、下金型42が、円筒状に形成された第1下金型421と、この第1下金型421の内側に配置された第2下金型422とから構成されている。ここで、上記と同様、第2下金型422は、円柱状に形成され、図中上方に上端面を有している。ここで、この上端面は、シェル10が有するパネル11の下面に倣った形状を有している。
【0050】
また、第1下金型421は、上記と同様、円筒状に形成されるとともに図中上端部に上端面421Aを有している。また、第1下金型421には、この上端面421Aから図中上方に向かって突出した突出部421Bが設けられている。ここで、この突出部421Bは、第1下金型421の周方向に沿って形成され且つ円環状に形成されている。
また、上金型41は、上記と同様、円柱状に形成された基体413と、基体413の図中下面から突出した突出部414とにより構成されている。ここで、この突出部414は、基体413の周方向に沿うように形成され且つ円環状に形成されている。
【0051】
ここで、第3伸長処理では、上記と同様、まず、図7(A)に示すように、待機位置にある上金型41と、同じく待機位置にある下金型42との間に、スコア加工までが行われたシェル10が投入され、同図(B)に示すように、下金型42の上にシェル10が置かれる。なお、下金型42の上にシェル10が置かれると、同図(B)に示すように、第1下金型421の突出部421Bによりカール加工部13が支持され、また、突出部421Bの内側に、シェル側突出部10Aが位置するようになる。
【0052】
その後、この処理でも、図7(C)に示すように、第1下金型421および第2下金型422を上昇させる。これにより、上記と同様、第1下金型421と上金型41とによって、シェル10のカール加工部13が保持される。また、第1下金型421および第2下金型422を上昇させると、図7(C)に示すように、上金型41に形成された突出部414が、シェル10の環状溝12に入り込む。
【0053】
次いで、同図(D)に示すように、第2下金型422をさらに上昇させる。そして、この第2下金型422が予め定められた箇所に達すると、環状溝12を構成する二つの側壁(内側壁12A、外側壁12B)のうちの、パネル11の中央部側に位置する一方の側壁(内側壁12A)に対して、第2下金型422の角部(縁部)が接触するようになる。
【0054】
図8を参照して詳細に説明すると、シェル10のカール加工部13が上金型41と第1下金型421とにより保持されている状態にて、第2下金型422を上昇させると、図8(A)の矢印8Aに示すように、パネル11に対して第2下金型422が接近する。そして、第2下金型422が予め定められた箇所に達すると、図8(B)に示すように、一方の側壁(内側壁12A)に対して、第2下金型422の角部(外周縁)が接触するようになる。なお、この際、本実施形態では、環状溝12の底部に対して突出部414の頂部が接触しており、環状溝12の位置が変動しないようになっている。
【0055】
そして、第2下金型422がさらに上昇すると、一方の側壁である内側壁12Aが、突出部414の内壁414A(図8(B)参照)に近づくようになり、これに伴い、パネル11に対して張力が作用するようになる。
より詳細に説明すると、本実施形態では、図8(A)に示すように、内側壁12Aの曲率の中心R1は、第2下金型422の角部の外表面の曲率の中心R2に比べ、距離Yだけ内側に位置する。このため、第2下金型422が上昇すると、内側壁12Aに対して第2下金型422の角部が接触し、これにより、内側壁12Aが突出部414の内壁414A側に倒れるようになる。これに伴い、パネル11に対して張力が作用する。
【0056】
なお、上記符号Yで示したずれ量(中心R1と中心R2とのずれ量)は、円盤状に形成されたシェル10の周方向において一定とすることもできるし、部位に応じて、このずれ量を大きくしたり小さくしたりすることができる。パネル11における歪みは、パネル11の全域に亘って一律に生じるのではなく、図9(本実施形態の缶蓋20の正面図)の符号9Cで示す領域のように、リベット加工やスコア加工が施された箇所にてより多く発生する。このような場合、この符号9Cで示す領域を中心に伸長処理を行えば、歪みを効果的に減らすことができるようになる。
【0057】
さらに説明すると、一般的に、スコア線15は、パネル11の中心に対し偏心した位置に形成されるため、パネル11にて生じる歪みは、パネル11の中心に対し偏心した位置にて生じることが多くなる。このような場合、パネル11の全周に亘って一律に張力を付与するのではなく、歪みが生じた部分に作用する張力を大きくすれば、パネル11の歪みをより効果的に緩和できるようになる。なお、図9にて示した例では、例えば、パネル11のうちの符号9Aで示す領域に対して作用する張力を大きくすれば、パネル11に生じている歪みをより効果的に緩和できるようになる。
【0058】
なお、図9では、上記ずれ量(中心R1と中心R2とのずれ量)をシェル10の周方向において異ならせることで、パネル11の作用する張力を部分的に増大させたが、張力の部分的な増大は、図10(上金型41の他の構成例を示した図)で示す構成によっても行なうことができる。
【0059】
この図10に示す構成では、上金型41に形成した突出部412Bの突出量を異ならせることで、張力の部分的な増大を図る。ここで、上記にて説明した第1伸長処理では、突出部412Bを環状溝12の底部に接触させてこの底部を押し下げることで、パネル11に張力を付与したが、図10に示す上金型41を用いた場合、環状溝12の底部の押し下げ量がシェル10の周方向において異なるようになり、これにより、パネル11の作用する張力を部分的に増大させることができるようになる。
【0060】
なお、上記では説明を省略したが、上記にて説明した第1伸長処理では、環状溝12の一部に対して突出部412B(図4(A)参照)を押し当てるようにしてもよい。付言すると、上記にて説明した第1伸長処理では、環状溝12の全周に亘って、環状溝12の底部に対して突出部412Bを押し当てた場合を説明した。ところで、このような態様に限られず、環状溝12の一部に対して突出部412Bを押し当てるようにしてもよい。
【0061】
また、第2伸長処理では、図5(D)のように、パネル11の全面に対し第2下金型422を押し当てたが、パネル11の一部に対して第2下金型422を押し当てる構成としてよい。同様に、図7で示した第3伸長処理でも、内側壁12A(図7(D)参照)の全周に亘ってではなく、内側壁12Aの周方向における一部に対し、第2下金型422を押し当てる構成とすることができる。
また、上記では、小径の缶蓋20を一例に説明したが、上記にて説明した処理は、通常のサイズの缶蓋20に対しても行なうことができる。通常のサイズの缶蓋20に対して本実施形態の伸長処理を行う場合、上記凹み加工(図1(D)参照)を省略できるようになる。
【0062】
また、上記では、環状溝12の形成後に、スコア加工やリベット加工などを行い、その後、環状溝12などを再度利用して伸長処理を行った。ところで、このような処理に限られず、スコア加工やリベット加工などの加工をまず行い、その後、スコア加工やリベット加工を行った箇所の周囲に、環状溝12を形成し、この環状溝12の形成によって伸長処理を行うようにしてもよい。
【0063】
図1を参照して具体的に説明すると、例えば、図1(A)では、平坦な円盤状のシェル10のみを形成し、図1(B)、(C)にてスコア加工やリベット加工などの加工を行い、その後、シェル10に対し金型を押し当てて、シェル10に対し環状溝12およびカール加工部13を形成する。この処理の場合、環状溝12を形成する際に、シェル10の中央部が径方向に引き伸ばされるようになり、環状溝12を形成する際に、スコア加工やリベット加工が施された部分が伸長するようになる。
【0064】
また、缶蓋20の構成は、図2にて示した構成以外の構成とすることができる。
図11は、缶蓋20の他の構成例を示した図である。
図11に示す缶蓋20は、上記と同様、円盤状のパネル11を有している。また、パネル11にはタブ16が取り付けられている。ここで本実施形態では、タブ16は、パネル11の中央部(中心)からずれた位置に設けられたリベット900によってパネル11に固定されている。
【0065】
図12は、タブ16が取り付けられる前の缶蓋20の状態を示した正面図である。
パネル11は、上記と同様、円盤状に形成されている。また、パネル11には、リベット加工が施されており、上記と同様、パネル11には突出部14が形成されている。ここでこの突出部14は、パネル11の中心部CPから外れた箇所に設けられている。
【0066】
また、本実施形態では、上記と同様、スコア加工が施されており、パネル11の表面に、第1スコア線430が形成されている。この第1スコア線430は、パネル11のうちのタブ16により押圧される領域RAを囲むように形成されている。また、第1スコア線430は、パネル11の外周縁410側に向かって膨らむように形成され、パネル11を正面から眺めた場合に略U字状に形成されている。さらに、第1スコア線430は、パネル11の中心部CP側に一端部431および他端部432を有し、パネル11の外周縁410側に頂部433Aを有している。
【0067】
また、本実施形態では、タブ16の中心線CL(図11も参照)と直交する第1仮想線KL1であって突出部14を通る第1仮想線KL1を想定した場合に、上記一端部431および他端部432は、この第1仮想線KL1よりもパネル11の中心部CP側に設けられている。また、本実施形態では、パネル11の中心部CPを通る第2仮想線KL2を挟んで相対する2つの領域のうちの一方の領域内に頂部433Aが設けられ、他方の領域内に一端部431および他端部432が設けられている。さらに、本実施形態では、この一方の領域内に、突出部14が設けられている。
【0068】
さらに説明すると、リベットとなる突出部14は、パネル11のうちの第1スコア線430により囲まれている部位であって、第1スコア線430の一端部431および他端部432よりも頂部433A側に位置する部位に設けられている。また、第1スコア線430は、図12に示すように湾曲部433を有している。この湾曲部433は、一端部431と他端部432とを結ぶとともに突出部14が設けられている側に膨らみ且つ突出部14よりもパネル11の外周縁410側を通るように設けられている。また、湾曲部433は、中心線CL(タブ16の中心線CL)と交わる箇所に頂部433Aを有している。
【0069】
ここで本実施形態では、ユーザによりタブ16が操作されることで、第1スコア線430により囲まれた領域がタブ16により押圧され、第1スコア線430が形成されている箇所にてパネル11の破断が生じる(詳細は後述)。これにより、第1スコア線430が形成されている領域が舌片状となり、且つ、この領域が飲料缶の内部に向かって折れ曲がる。これにより、飲料缶に飲み口としての役割を果たす開口が形成される。なお、以下の説明では、第1スコア線430にて生じる破断により形成される上記舌片状の部位を舌片部と称する場合がある。
【0070】
また、本実施形態では、パネル11の表面に、第2スコア線450が形成されている。なおこの第2スコア線450も、パネル11の表面に形成された溝により構成されており、パネル11の破断を誘導する役割を果たす。ここで、第2スコア線450は、一端部451および他端部452を有している。第2スコア線450の他端部452は、第1スコア線430の湾曲部433に接続されている。このため、本実施形態では、第1スコア線430と第2スコア線450とが接続する箇所にて、スコア線が分岐するようになっている。
【0071】
また、第2スコア線450は、第1スコア線430との接続部から、第1スコア線430により囲まれている領域内に向かうように設けられている。また、第2スコア線450の一端部451は、突出部14の近傍に設けられている。さらに説明すると、第2スコア線450は、他端部452から突出部14に向かう直線部453を有している。さらに、第2スコア線450は、直線部453に接続されるとともに円柱状に形成された突出部14との間に距離を有して配置され且つ突出部14に沿うように設けられた湾曲部454を有している。
【0072】
ここで図13(パネル11の状態を説明するための図)も参照しながら、タブ16が操作された際のパネル11の状態を説明する。なお、図13では、パネル11を正面から眺めた場合の状態、および、パネル11を側方から眺めた場合の状態を図示している。
【0073】
本実施形態では、タブ16の後端部がユーザにより持ちあげられた際、タブ16の先端部510(図11参照)が、第2スコア線450の湾曲部454と第1スコア線430の頂部433Aとの間に位置する上記領域RA(図12参照)を押圧する。そして領域RAがタブ16により押圧されると、まず、この領域RAと突出部14(リベット900)との間を通過するように設けられた第2スコア線450の湾曲部454にてパネル11が破断する(図13の(B)参照)。
【0074】
その後、第2スコア線450に沿ってパネル11の破断が進行し、第1スコア線430と第2スコア線450との接続部まで、パネル11が破断した状態となる。ここで本実施形態では、第1スコア線430と第2スコア線450との上記接続部にて、スコア線が分岐した状態となっている。このため、第2スコア線450の上記湾曲部454から上記接続部までパネル11の破断が進行した後、本実施形態では、図13の(C)に示すように、接続部から第1スコア線430の一端部431に向かう破断が進行する。また、図13の(D)に示すように、接続部から第1スコア線430の他端部432に向かう破断も進行する。
【0075】
その後、タブ16の後端部がユーザにより更に持ち上げられることで、第1スコア線430の一端部431および他端部432までパネル11の破断がさらに進行する。これにより、第1スコア線430により囲まれていた領域が上述した舌片部となる。また、舌片部の根元(第1スコア線430の一端部431と他端部432との間に位置する箇所)にて舌片部は折り曲げられ、図13(E)に示すように、舌片部は飲料缶100の内部に進入する。これにより飲料缶には飲み口として機能する開口が形成される。なお、本実施形態のタブ16には、タブ16の長手方向と直交するスリットがタブ16の表面側に形成されており、本実施形態では、引き起こされたタブ16が元の状態に戻される際に、図13(F)に示すように、タブ16が折れ曲がる。
【0076】
ここで、図11図13にて示した缶蓋20においても、上記にて説明した伸長処理が施されている。このため、スコア加工やリベット加工により生じた歪みが低減されている。
ここで、本実施形態のように(図12に示したように)、一端部431および他端部432が、パネル11の中心部CPを通る第2仮想線KL2を挟んで相対する2つの領域のうちの一方の領域内に設けられ、頂部433Aがこの2つの領域のうちの他方の領域に位置する場合、一端部431、他端部432、頂部433Aが何れか一方の領域のみ位置する構成に比べ、開口がより大きいものとなる。
【0077】
小径の缶蓋20では、開口が小さくなりやすく、この場合、内部の飲料を飲みにくくなるが、本実施形態の構成では、開口を大きくすることができ、小径の缶蓋20でも、内部の飲料が飲みやすくなる。
ここで、図1にて示した一般的な製造工程では、このように開口を大きくすると、図1(D)にて示した凹み加工を更に行いにくくなり伸長処理が難しくなる。一方で、本実施形態では、凹み加工を行わず環状溝12などを利用して伸長処理を行うため、このように開口が大きい場合でも伸長処理を施せるようになる。
【符号の説明】
【0078】
11…パネル、12…環状溝、12A…内側壁、14…突出部、15…スコア線、20…缶蓋、21…缶本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13