特許第6131092号(P6131092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131092
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】金型把持装置及び金型交換装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 37/04 20060101AFI20170508BHJP
   B21D 28/36 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B21D37/04 Z
   B21D37/04 P
   B21D28/36 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-94943(P2013-94943)
(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-213370(P2014-213370A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】種田 吉晃
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−024730(JP,A)
【文献】 特開昭62−088590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 37/00−37/20
B21D 28/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチプレスにおける金型を交換する金型交換装置の金型把持装置であって、回転自在に備えられた螺子杆に互いに接近離反自在に螺合した一対のナット部材を備え、当該各ナット部材に金型把持部を備えた把持部材をそれぞれ備え、前記把持部材の少なくとも1つを、当該把持部材を備えたナット部材に対して相対的に移動可能に備え、かつ当該把持部材の相対的な移動を検知する移動検知手段を備え、前記ナット部材と前記把持部材との間に弾性部材が介在してあり、前記把持部材による金型の把持力を調節するために、前記移動検手段に備えたドグ又はセンサの位置を調節自在に備えていることを特徴とする金型交換装置の金型把持装置。
【請求項2】
対をなす複数のパンチ、ダイを格納した金型ラックに対応したラック対応位置と、パンチを着脱交換自在な小径の上部タレットとダイを着脱交換自在な大径の下部タレットとを同軸に備えたバッファタレットに対応したタレット対応位置との間を往復動自在なトラバーサを備え、前記パンチを把持自在な上部金型把持装置を前記トラバーサに上下動自在に備え、前記ダイを把持自在な下部金型把持装置を、前記上部金型把持装置に上下に対向して前記トラバーサに上下動自在に備え、前記上部金型把持装置又は下部金型把持装置の少なくとも一方を、前記トラバーサの移動方向へ移動可能に備えていることを特徴とする金型交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタレットパンチプレスなどのごときパンチプレスにおける金型の交換を行う金型把持装置及び金型交換装置に係り、さらに詳細には、金型を把持する一対の把持部材が螺子杆に移動自在に螺合して、互いに接近離反する形式の金型把持装置であって、前記把持部材による金型の把持、開放を容易、確実に行うことのできる金型把持装置及び当該金型把持装置を備えた金型交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばタレットパンチプレスなどのごときパンチプレスにおいては、金型交換の迅速化、自動化を図るために、金型交換装置が使用されている。前記金型交換装置において、金型を把持する一対の把持部材の開閉を行う構成には、例えばヒンジピンを中心として前記一対の把持部材を回動自在に備えた構成や、螺子杆の回転によって一対の把持部材が互いに接近離反する構成がある(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−42656号公報
【特許文献2】特開2000−202546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1、2に記載されているように、螺子杆の回転によって一対の把持部材が互いに接近離反する構成においては、把持部材のストロークを大きくすることができ、大径の金型、小径の金型に対応することが容易であり、望ましい構成である。
【0005】
しかし、上記構成においては、前記一対の把持部材によって金型を把持した状態にあるとき、前記螺子杆を回転するためのモータの動力が断たれた場合であっても、金型を把持した状態を保持するように、前記螺子杆におけるリード角は、セルフロック効果を有するリード角に形成してある。したがって、前記把持部材による金型の把持力が大きなときには、前記セルフロック効果が顕著に現れて、場合によっては金型の把持開放が困難になることがある。
【0006】
すなわち、従来の構成は、螺子杆のねじ部に移動自在に螺合した一対の把持部材が金型に当接して停止した後における螺子杆の僅かな回転によって、金型を把持する把持力が急激に大きくなるものである。したがって、金型を把持するときの把持力を適正値に調節することが難しく、前記セルフロックの解除が難しくなり易いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、パンチプレスにおける金型を交換する金型交換装置の金型把持装置であって、回転自在に備えられた螺子杆に互いに接近離反自在に螺合した一対のナット部材を備え、当該各ナット部材に金型把持部を備えた把持部材をそれぞれ備え、前記把持部材の少なくとも1つを、当該把持部材を備えたナット部材に対して相対的に移動可能に備え、かつ当該把持部材の相対的な移動を検知する移動検知手段を備え、前記ナット部材と前記把持部材との間に弾性部材が介在してあり、前記把持部材による金型の把持力を調節するために、前記移動検手段に備えたドグ又はセンサの位置を調節自在に備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、対をなす複数のパンチ、ダイを格納した金型ラックに対応したラック対応位置と、パンチを着脱交換自在な小径の上部タレットとダイを着脱交換自在な大径の下部タレットとを同軸に備えたバッファタレットに対応したタレット対応位置との間を往復動自在なトラバーサを備え、前記パンチを把持自在な上部金型把持装置を前記トラバーサに上下動自在に備え、前記ダイを把持自在な下部金型把持装置を、前記上部金型把持装置に上下に対向して前記トラバーサに上下動自在に備え、前記上部金型把持装置又は下部金型把持装置の少なくとも一方を、前記トラバーサの移動方向へ移動可能に備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対の把持部材を互いに接近離反する方向へ移動するためのナット部材に前記把持部材を相対的に移動可能に備え、前記ナット部材に対する把持部材の相対的な移動を検知するための移動検知手段を備えているので、一対の把持部材によって金型を把持するとき、適正な把持力を調節することができ、前述したごとき問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る金型把持装置の構成を示す斜視説明図である。
図2】金型を把持するときの動作を示した動作説明図である。
図3】他の実施形態を示す構成説明図である。
図4】金型交換システムの全体的構成を概念的、概略的に示した平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、本発明の実施形態に係る金型交換装置(図示省略)の金型把持装置1は、図1に示すように、金型交換装置によってX、Y、Z軸方向へ移動される移動アーム3を備えている。この移動アーム3の先端部には、前記移動アーム3の長手方向に対して直交する方向に長いベースプレート5を備えており、このベースプレート5にはガイドレール7が一体的に備えられている。そして、前記ガイドレール7には一対のスライダ9A,9Bが互いに接近離反する方向へ移動自在に備えられている。
【0013】
そして、前記各スライダ9A,9Bには、前記移動アーム3の長手方向と同方向へ延伸した把持部材11A,11Bがそれぞれ一体的に取付けてある。この把持部材11A,11Bの先端部には、パンチプレス(図示省略)において交換する金型(図示省略)を把持自在な金型把持部13A,13Bが備えられている。上記金型把持部13A,13Bは、図1に示すように、前記ガイドレール7の長手方向及び前記把持部材11A,11Bの長手方向に対して直交する方向である下方向に突出して備えられている。したがって、例えば金型ホルダと干渉することなく上方から金型を把持できるものである。
【0014】
前記把持部材11A,11Bを互いに接近離反する方向へ移動するために、前記ベースプレート5の一端部に備えたブラケット15には、前記ガイドレール7と平行な螺子杆(ねじ部材)17が回転自在に支持されている。上記螺子杆17には右ねじ部19R、左ねじ部19Lが備えられている。そして、前記螺子杆17を正逆回転するために、サーボモータ21が備えられている。このサーボモータ21は、ブラケット組立体23に装着されている。より詳細には、前記移動アーム3にはスライドブロック25が一体的に備えられており、このスライドブロック25は、移動アーム3の長手方向に対して直交する方向(前記ガイドレール7と平行な方向)に長いガイド部材27に移動可能に備えられている。そして、このガイド部材27は前記ブラケット組立体23に一体的に備えられている。したがって、前記ブラケット組立体23に装着した前記サーボモータ21は、ブラケット組立体23と一体的に移動するものである。
【0015】
そして、前記サーボモータ21と前記螺子杆17は適宜な動力伝達機構29を介して連動連結してある。すなわち、図1に示す構成においては、前記螺子杆17の一端部にはベベルギア31が一体的に取付けてあり、このベベルギア31には前記ブラケット15と一体的なブラケット33に回転自在に支持された駆動ベベルギア35が噛合してある。そして、前記駆動ベベルギア35は、タイミングベルト37を介して前記サーボモータ21によって回転されるユニバーサルジョイント39と連動連結してある。したがって、前記螺子杆17は、サーボモータ21によって正逆回転され得るものである。
【0016】
前記螺子杆17における左右のねじ部19R,19Lには、前記把持部材11A,11Bにそれぞれ一体的に備えたナットハウジング39A,39B内に備えたナット部材41A,41B(図2参照)がそれぞれ移動可能に螺合してある。そして、前記各ナットハウジング39A,39Bと各ナット部材41A,41Bとの間には、例えばコイルスプリングなどのごとき適宜の弾性部材43A,43Bが介在してある。したがって、サーボモータ21によって前記螺子杆17を回転して(なお、図2には、動力伝達機構29の構成としてはタイミングベルト37による機構で示してある)前記ナット部材41A,41Bを互いに接近する方向へ移動するとき、前記各ナットハウジング39A,39Bは前記弾性部材43A,43Bを介して互いに接近する方向へ移動されるものである。
【0017】
前述のごとく、各ナットハウジング39A,39Bが互いに接近する方向へ移動されて、各ナットハウジング39A,39Bに一体的に備えた把持部材11A,11Bの金型把持部13A,13Bによって金型45を把持すると、前記各ナットハウジング39A,39Bの接近する方向への移動は停止する。そして、各ナットハウジング39A,39Bに対して、各ナット部材41A,41Bは弾性部材43A,43Bの付勢力に抗して互いに接近する方向へ相対的に移動することになる。
【0018】
前述のごとく、一対の把持部材11A,11Bにおける金型把持部13A,13Bによって金型45を把持した後に、ナットハウジング39A,39Bに対してナット部材41A,41Bが相対的に移動したことを検知する移動検知手段47が備えられている。すなわち、一方の前記ナット部材41Bにはドグ49が備えられており、ナットハウジング39Bには、上記ドグ49の相対的な移動を検出するための近接スイッチなどのごときセンサ51が備えられている。なお、前記ドグ49とセンサ51の位置関係は相対的なものであるから、ナットハウジング39B側にドグ49を設けて、ナット部材41側にセンサ51を備えた構成であってもよいものである。
【0019】
以上のごとき構成において、図2(A)に示すように、金型45の両側に各把持部材11A,11Bを配置した状態においてサーボモータ21を回転駆動し、螺子杆17を正回転すると、各ナット部材41A,41Bは互いに接近するように移動する。そして、各把持部材11A,11Bにおける金型把持部13A,13Bが金型45を把持すべく金型45に当接して接近する方向への移動を停止すると、各把持部材11A,11Bに対してナット部材41A,41Bが弾性部材43A,43Bの付勢力に抗して互いに接近する方向へ相対的に移動する。
【0020】
上述のように、各把持部材11A,11Bに対して各ナット部材41A,41Bが互いに接近する方向へ相対的に移動すると、移動検知手段47が前記相対的な移動を検知する。そして、この移動検知手段47の検知によって前記サーボモータ21の回転が停止される。この際、前記右ねじ部19R、左ねじ部19Lのリード角は、従来のねじと同様にセルフロック効果の機能を有するリード角であり、ナット部材41A,41Bは螺子杆17に不動状態に保持されるものである。
【0021】
前述のように、サーボモータ21が停止してナット部材41A,41Bの移動が停止した状態においては、各ナットハウジング39A,39Bは各弾性部材43A,43Bによって互いに接近する方向へ付勢された状態にあり、把持部材11A,11Bは、前記各弾性部材43A,43Bの付勢力に起因する把持力でもって金型45を把持しているものである。したがって、把持部材11A,11Bは、金型45を落下することのない適正な把持力でもって金型45を把持するものである。
【0022】
上記把持力は、前記弾性部材43A,43Bの収縮に起因するものであるから、ドグ49又はセンサ51の少なくとも一方を接近離反する方向へ位置調節可能に備えることにより、前記把持力を常に適正値に調節することができるものである。
【0023】
既に理解されるように、移動検知手段47がナット部材41Bの相対的な移動を検知してサーボモータ21の回転を停止したときは、常に適正な把持力でもって把持部材11A,11Bが金型45を把持したときである。従って、サーボモータ21を逆回転して、把持部材11A,11Bによる金型45の把持を開放するとき、前記ナット部材41A,41Bのセルフロックを容易に解除することができ、前述したごとき従来の問題を解消することができるものである。
【0024】
なお、本発明は、前述したごとき実施形態に限ることなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態でもって実施することが可能である。すなわち、前記実施形態においては、1本の螺子杆17に右ねじ部19R、左ねじ部19Lを形成した場合について例示した。しかし、連動して回転する螺子杆を2本備え、それぞれのねじ部に移動自在に螺着した把持部材11A,11Bを互いに接近離反する構成とすることも可能である。
【0025】
また、図3に示すように、各ナットハウジング39A,39Bにそれぞれナット部材41A,41Bを一体的に備え、かつ一方の把持部材11Bに金型把持部13Bを移動可能に備えると共に、把持部材11Bと金型把持部13Bとの間に弾性部材53を弾装して備える。そして、移動検知手段47の構成としては、例えば金型把持部13Bにドグ49を備え、把持部材11Bにセンサ51を備えた構成とすることも可能である。
【0026】
以上のごとき説明より理解されるように、移動検知手段47が相対的な移動を検知したときにサーボモータ21の回転を停止して、把持部材11A,11Bの互いの接近移動を停止するものであるから、前記把持部材11A,11Bによって金型45を把持するときには、常に適正な把持力となるものである。そして、前記把持部材11A,11Bを移動するためのナット部材41A,41Bのセルフロック機能は、前記適正な把持力の反力によるセルフロックであるから、ナット部材41A,41Bのセルフロックが解除不能になるようなことがなく、解除を容易に行い得るものである。
【0027】
したがって、大小の金型45の交換を何回も繰り返す場合であっても、金型45の大小に拘わりなく能率よく、かつ迅速に金型45の把持、開放を行うことができ、金型交換を容易に繰り返すことができるものである。
【0028】
次に、前記金型把持装置1を備えた金型交換装置61及び金型交換装置61を使用した金型交換システムについて概略的に説明する。
【0029】
金型交換システムに使用されるタレットパンチプレス63は既によく知られた構成であるから、金型交換に関係するタレットの構成について説明する。上記タレットは小径の上部タレット65Uと大径の下部タレット65Lとを備えた構成であって、前記上下のタレット65U,65Lの軸心はX軸方向に偏倚して配置してある。そして、上部タレット65Uに備えた上金型(パンチ)67Uと下部タレット65Lに備えた下金型(ダイ)67Lは、加工位置69で上下に対向し軸心が一致する構成である。
【0030】
上記構成のタレットにおいては、前記加工位置69の反対側においては下部タレット65Lの上部が開放されるので、上下のタレット65U,65Lに対するパンチ67U、ダイ67Lの着脱交換は前記反対側において行われている。なお、上下のタレット65U,65Lの軸心を中心として前記加工位置69の反対側には、タレットパンチプレスにおける門型のフレームFが立設してあるので、位相のずれた位置においてパンチ67U、ダイ67Lの着脱交換が行われている。したがって、着脱交換位置においては、上下のタレット65U,65Lに装着したパンチ67U、ダイ67Lの回転位置は等しいが、図4に示すように、X軸方向及びY軸方向に互に位置ずれした状態にある。
【0031】
対をなすパンチ67Uと複数のダイ67Lとを格納した金型ラック71と前記上下のタレット65U,65Lとの間においてパンチ67U、ダイ67Lの着脱交換が行われるものである。前記金型ラック71においてのパンチ67U、ダイ67Lは、パンチ67Uと対をなす複数のダイ67Lとを上下方向に直線状に配置して格納してある。すなわち、金型ラック71に格納時のパンチ67U、ダイ67Lの配置関係と、着脱交換位置時のパンチ67U、ダイ67Lの配置関係とは異なるものである。
【0032】
そこで、前記金型ラック71と前記着脱交換位置との間にはバッファタレット73が配置してある。上記バッファタレット73は、小径の上部タレット75Uと大径の下部タレット75Lとを同軸心上に一体的に備えた構成である。そして、上下のタレット75U,75Lにおいて、対をなすパンチ67U、ダイ67Lを着脱交換自在に装着する金型装着部77U,77Lは、前記タレットにおける着脱交換位置におけるパンチ67U、ダイ67LのX,Y軸方向の互の位置ずれに対応して予め位置ずれしてある。
【0033】
したがって、前記上下のタレット65U,65Lと前記バッファタレット73との間に配置した金型チェンジャー79は、パンチ67U、ダイ67Lを同時に保持して旋回することにより、上下のタレット65U,65Lとバッファタレット73との間において金型交換を容易に行い得るものである。
【0034】
ところで、前記金型ラック71においては、対をなすパンチ67Uと複数のダイ67Lは上下に直線状に配置してあり、前記バッファタレット73においては、対をなすパンチ67Uとダイ67LはX,Y軸方向に位置ずれした状態に配置してある。したがって、前記金型ラック71とバッファタレット73との間において金型交換を行う前記金型交換装置61は、前記金型ラック71におけるパンチ67U、ダイ67Lの配置とバッファタレット73におけるパンチ67U、ダイ67Lの配置とに対応する必要がある。
【0035】
次に、上記金型交換装置61の構成について説明する。
【0036】
金型交換装置61は、レール81に沿って、前記金型ラック71に対応したラック対応位置と前記バッファタレット73に対応したタレット対応位置との間をY軸方向に往復動自在なトラバーサ83を備えている。上記トラバーサ83には、パンチ67Uを把持自在な金型把持部13A,13B(図4においては模式図的に示してある)を備えた上部金型把持装置1Uが上下動自在に備えられている。また、前記トラバーサ83には、ダイ67Lを把持自在な金型把持部13A,13Bを備えた下部金型把持装置1Lが上下動自在に備えられている。
【0037】
上下の金型把持装置1U,1Lは、上下に対向してあって、それぞれ個別に上下駆動されるものである。なお、上下の金型把持装置1U,1Lを個別に上下駆動する構成は、例えば前記特許文献2に記載の構成においてパンチチェンジャアーム、ダイチェンジャアームを上下動する構成と同一の構成であってもよいものであり、既に知られた構成であるから、より詳細な説明は省略する。
【0038】
ところで、前記金型ラック71に対してパンチ67U、ダイ67Lの着脱交換を行うときには、上下の金型把持装置1U,1Lは、金型ラック71に格納配置されているパンチ67U、ダイ67Lに対応して上下に重なるように整合する必要がある。そして、前記バッファタレット73に対してパンチ67U、ダイ67Lの着脱交換を行うときには、バッファタレット73上における金型装着部77U,77LのY軸方向の位置ずれに対応して、上下の金型把持装置1U,1Lの位置をY軸方向にずらす必要がある。
【0039】
そこで、下部金型把持装置1Lは、上部金型把持装置1Uに対してY軸方向へ移動可能に構成してある。すなわち、再び図1を参照するに、下部金型把持装置1Lにおけるブラケット組立体23は、ボルトなどのごとき固定具を介して、X軸方向へ移動可能なX軸スライド85に一体的に取付けてある。そして、上記X軸スライド85は、前記トラバーサ83に上下動自在に備えられた上下スライド87にX軸方向へ移動可能に支持されている。したがって、下部金型把持装置1Lに備えられた移動アーム3は、X,Y,Z軸方向へ移動自在なものである。なお、上部金型把持装置1Uも同様の構成である。
【0040】
前記上部金型把持装置1Uに対して下部金型把持装置1LをY軸方向に移動するために、前記ブラケット組立体23におけるガイド部材27に移動自在に支持された前記スライドブロック25には、前記ブラケット組立体23に装着した流体圧シリンダなどのごとき往復動用アクチュエータ89に往復動自在に備えたピストンロッドなどのごとき往復作動杆(図示省略)が連結してある。したがって、前記往復動用アクチュエータ89を作動することにより、前記移動アーム3はガイド部材27に沿ってY軸方向に移動される。よって、上部金型把持装置1Uに対して下部金型把持装置1Lの位置をY軸方向にずらすことができるものである。
【0041】
なお、上下の金型把持装置1U,1Lにおいて、Y軸方向へ移動して位置をずらすことは相対的なことであるから、下部金型把持装置1Lに代えて、上部金型把持装置1UをY軸方向に移動可能な構成とすることも可能である。
【0042】
上記説明より既に理解されるように、金型ラック71に対応したラック対応位置においては、上下の金型把持装置1U,1Lが上下に重なるように整合した状態において上下の金型ラック67U,67Lの着脱交換を行うことができる。そして、バッファタレット73に対応したタレット対応位置においては、前記バッファタレット73に備えられた上下の金型装着部77U,77LのY軸方向の位置ずれに対応して、上下の金型把持装置1U,1LをY軸方向に位置をずらすことができる。したがって、金型ラック71とバッファタレット73との間における上下の金型67U,67Lの着脱交換を容易に行い得るものである。
【符号の説明】
【0043】
1 金型把持装置
3 移動アーム
9A,9B スライダ
11A,11B 把持部材
13A,13B 金型把持部
17 螺子杆(ねじ部材)
19R 右ねじ部
19L 左ねじ部
21 サーボモータ
29 動力伝達機構
39A,39B ナットハウジング
41A,41B ナット部材
43A,43B 弾性部材
45 金型
47 移動検知手段
49 ドグ
51 センサ
図1
図2
図3
図4