(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、水生生物の保全に係る水質保全の観点から、LASの使用が避けられている。また、LASは脱脂力が強く、手荒れの原因になることから、LASを含まない非LAS系洗剤のニーズが高まっている。
さらに、脂肪酸モノエタノールアミドは、常温で固体であるため、製造時の作業性が悪いという問題があり、脂肪酸ジエタノールアミドは、発がん性物質であるニトロソアミンを生成する可能性が懸念されている。
【0007】
また、業務用の食器用洗剤を中心に、環境への負荷の観点から、高濃度洗剤を水で薄めて使用する濃縮型の液体洗浄剤組成物が求められている。
希釈倍率としては2〜4倍のものが多く用いられており、このような濃縮型の液体洗浄剤組成物においては、希釈後に使用に適した粘度を有することが望ましい。また、製造時の作業性を考慮すると濃縮型の液体洗浄剤組成物自身の粘度が高すぎないことが望ましい。
また、液体洗浄剤組成物は、長期保存した場合に分離や白濁が生じない、透明外観を有することが望まれる。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、常温で固体である特定の脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、及び、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含まない液体洗浄剤組成物であって、希釈前後で適度な粘度を有する濃縮型の液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄時に希釈して使用する濃縮型の液体洗浄剤組成物であって、(A)脂肪酸N−メチルアルカノールアミド1〜30重量%と、(B)陰イオン界面活性剤10〜60重量%と、(C)両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を合計で1〜20重量%とを必須成分として含有し、かつ、下記一般式(1)で表される脂肪酸モノエタノールアミド、下記一般式(2)で表される脂肪酸ジエタノールアミド、及び、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含まないことを特徴とする。
なお、本明細書における各成分の濃度(重量%)は、特に断りがない限り液体洗浄剤組成物中における各成分の純分での濃度として定める。
【0010】
【化1】
【0011】
式中、R
1−CO−は、水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基を表す。
【0012】
【化2】
【0013】
式中、R
2−CO−は、水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基を表す。
【0014】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記(A)成分を1〜30重量%含む。上記(A)を1〜30重量%含むと、希釈前後で適度な粘度を有する洗浄剤組成物となる。
上記(A)成分の含有量が1重量%未満であると、洗浄剤組成物の粘度及び希釈後の粘度が低下する。
上記(A)成分の含有量が30重量%を超えると、上記(A)成分の含有量が多すぎて液体洗浄剤組成物の粘度が高くなり過ぎる。また、優れた洗浄力を発揮する(B)成分の含有量が少なくなる。その結果、液体洗浄剤組成物の洗浄力が劣る。
【0015】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記(B)成分を10〜60重量%含む。上記(B)成分を10〜60重量%含むと、洗浄時に優れた洗浄力を発揮することができる。
上記(B)成分の含有量が10重量%未満であると、洗浄力が劣り、希釈後の粘度が低下する。また、液体洗浄剤組成物の透明外観を維持し難くなる。
また、上記(B)成分の含有量が60重量%を超えると、上記(B)成分の含有量が多すぎて、優れた増粘効果を発揮する(A)成分の含有量が少なくなる。その結果、希釈後の粘度が低下する。また、透明外観を維持し難くなる。
【0016】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記(C)成分を1〜20重量%含む。上記(C)成分を1〜20重量%含むと、希釈して使用する際の粘度を適度に維持することができる。
上記(C)成分の含有量が1重量%未満であると、希釈して使用する際の粘度が低すぎて、スポンジ等から流れ落ち易くなる。また、上記(C)成分の含有量が20重量%を超えると、液体洗浄剤組成物の粘度が高くなり過ぎて、製造時の取り扱い性が悪くなる。また、透明外観を維持し難くなる。
【0017】
本発明の液体洗浄剤組成物は、pHが7.0以上であることが望ましい。pHが7.0以上であると、液体洗浄剤組成物の透明性が向上する。
【0018】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(B)陰イオン界面活性剤が、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸
塩、及び、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸
塩からなる群より選択された少なくとも一種であることが望ましい。
上記(B)陰イオン界面活性剤が、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸
塩、及び、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸
塩からなる群より選択された少なくとも一種であると、液体洗浄剤組成物の洗浄力をさらに向上させることができる。
【0019】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(B)陰イオン界面活性剤が、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸
塩、及び、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸
塩からなる群より選択された少なくとも一種であって、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及び、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩の含有量が合計で15重量%未満であることが望ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及び、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩の含有量が合計で15重量%未満であると、液体洗浄剤組成物の低温安定性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の液体洗浄剤組成物は、特定の脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド、及び、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含まなくても、希釈前後で適度な粘度を有する濃縮型の液体洗浄剤組成物となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0022】
まず、本発明の液体洗浄剤組成物について説明する。
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄時に希釈して使用する濃縮型の液体洗浄剤組成物であって、(A)脂肪酸N−メチルアルカノールアミド1〜30重量%と、(B)陰イオン界面活性剤10〜60重量%と、(C)両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を合計で1〜20重量%とを必須成分として含有し、かつ、下記一般式(1)で表される脂肪酸モノエタノールアミド、下記一般式(2)で表される脂肪酸ジエタノールアミド、及び、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩を含まないことを特徴とする。
【0024】
式中、R
1−CO−は、水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基を表す。
【0026】
式中、R
2−CO−は、水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基を表す。
【0027】
上記(A)成分とは、下記一般式(3)で表される化合物のことをいう。
【0029】
式中、R
3−CO−は、水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基を表す。R
4は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、又は、直鎖若しくは分岐鎖のアルケニレン基を表す。
【0030】
上記一般式(3)中、R
3−CO−は、水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基を表し、特に、炭素数6〜24の水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和アシル基であることが好ましく、炭素数8〜18の飽和又は不飽和アシル基であることがより好ましい。
【0031】
R
3−CO−として、具体的には、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、又は、パーム核油脂肪酸等から誘導されるアシル基が挙げられる。好ましくは、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸等から誘導されるアシル基である。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
上記一般式(3)中、R
4は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、又は、直鎖若しくは分岐鎖のアルケニレン基を表し、特に、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、又は、炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
好ましいR
3、R
4の組み合わせから、(A)成分としては、ヤシ油脂肪酸N−メチルエタノールアミドが最も好ましい。
【0033】
上記(A)成分は、本発明の液体洗浄剤組成物中に1〜30重量%含有される。より好ましくは3〜22重量%、さらに好ましくは3〜13重量%である。
(A)成分が複数種類含まれる場合、上記含有量は、各(A)成分の含有量の合計として定める。
【0034】
上記(B)成分としては、アルカンスルホン酸塩(SAS)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸塩(AS)、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸
塩、及び、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸
塩からなる群より選択された少なくとも一種であることが好ましい。特に、濃縮型の液体洗浄剤組成物の調製に適しているという観点から、アルカンスルホン酸塩(SAS)、アルキル硫酸塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、及び、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩(AES)からなる群より選択された少なくとも一種であることがより好ましい。
【0035】
塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属の塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩を挙げることができる。これらの中では、アルカリ金属の塩が好ましく、経済性の点からナトリウム塩がより好ましい。
【0036】
アルカンスルホン酸塩(SAS)としては、炭素数8〜18の2級アルカンスルホン酸ナトリウム、炭素数8〜18の2級アルカンスルホン酸カリウム等が挙げられる。特に、炭素数12の2級アルカンスルホン酸ナトリウムであることが好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)としては、炭素数8〜18のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム、炭素数8〜18のα−オレフィンスルホン酸カリウム等が挙げられる。特に、炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウムであることが好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
アルキル硫酸塩(AS)としては、炭素数8〜18のアルキル硫酸ナトリウム、炭素数8〜18のアルキル硫酸カリウム等が挙げられる。特に、ドデシル硫酸ナトリウムであることがより好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
アルキルスルホコハク酸塩としては、炭素数8〜18のアルキルスルホコハク酸ナトリウム、炭素数8〜18のポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム等が挙げられる。特に、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウムであることがより好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩(AES)等が挙げられる。
特に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウムであることがより好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸
塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸
塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸
塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテルカルボン酸
塩等が挙げられる。
特に、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテルカルボン酸ナトリウムであることがより好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
上記(B)成分を2種以上組み合わせて用いる場合の好ましい組み合わせとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルカンスルホン酸塩(SAS)及びアルキルスルホコハク酸塩の組み合わせ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)及びアルカンスルホン酸塩(SAS)の組み合わせ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)及びアルキル硫酸塩(AS)の組み合わせ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)及びアルカンスルホン酸塩(SAS)の組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)及びアルカンスルホン酸塩(SAS)の組み合わせがより好ましい。
【0043】
上記(B)成分は、本発明の液体洗浄剤組成物中に10〜60重量%含有される。より好ましくは10〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。
(B)成分が複数種類含まれる場合、上記含有量は、各(B)成分の含有量の合計として定める。
【0044】
上記(B)成分のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及び、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩の含有量は、合計量で15重量%未満であることが好ましい。より好ましくは、14重量%以下、さらに好ましくは13重量%以下である。また、1重量%以上であることが好ましく、3重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることがさらに好ましい。
【0045】
上記(C)成分に含まれる両性界面活性剤としては、炭素数8〜18のアルキルアミンオキサイド(AO)、炭素数8〜18のアルキルアミドプロピルベタイン(ApB)、炭素数8〜18のアルキルアミノ脂肪酸塩、炭素数8〜18のアルキルベタイン等が挙げられる。特に、炭素数10又は14のアルキルアミンオキサイド(AO)、炭素数12のアルキルアミドプロピルベタイン(ApB)であることがより好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
上記(C)成分に含まれる非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル(ポリ)グルコシド、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレン分岐デシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、アルキルグルコシド等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書における非イオン界面活性剤は、脂肪酸N−メチルアルカノールアミド、一般式(1)で表される脂肪酸モノエタノールアミド、一般式(2)で表される脂肪酸ジエタノールアミドは含まない概念である。
【0047】
上記(C)成分は、両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤の合計量として、本発明の液体洗浄剤組成物中に1〜20重量%含有される。より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。
(C)成分が複数種類含まれる場合、上記含有量は、各(C)成分の含有量の合計として定める。
【0048】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(D)アルカリ金属含有化合物及びアルカリ土類金属含有化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
上記(D)成分としては、アルカリ金属含有化合物としてのアルカリ金属塩(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属含有化合物としてのアルカリ土類金属塩(塩化マグネシウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム等)が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、塩化ナトリウムであることがより好ましい。
【0049】
(D)成分を含むと濃縮型の液体洗浄剤組成物の粘度を希釈前後で適度に維持することが容易になり、製造時の作業性がより向上する。また、液体洗浄剤組成物のpHを適当な範囲に調整することもできる。
【0050】
(D)成分の含有量は合計で1重量%以上であることが好ましい。より好ましくは、2重量%以上である。また、15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
(D)成分が複数種類含まれる場合、上記含有量は、各(D)成分の含有量の合計として定める。
【0051】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(E)有機溶剤を含むことが望ましい。
上記(E)成分としては、1価アルコール類又は多価アルコール類を好適に用いることができ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。特に、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールであることが好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
(E)成分を含むと濃縮型の液体洗浄剤組成物の粘度が高くなり過ぎない範囲に抑えることが容易になり、製造時の作業性がより向上する。また、液体洗浄剤組成物の透明外観を維持しやすくなり、製造時、保管時に成分の分離が起こりにくくなる。
【0053】
(E)成分の含有量は1重量%以上であることが好ましい。より好ましくは、2重量%以上である。また、15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
(E)成分が複数種類含まれる場合、上記含有量は、各(E)成分の含有量の合計として定める。
【0054】
本発明の液体洗浄剤組成物は、pHが7.0以上であることが好ましい。より好ましくは、7.4以上である。また、9.0以下であることが好ましく、8.0以下であることがより好ましい。
野菜や果物等の洗浄に使用することを考慮すると、液体洗浄剤組成物のpHは、食品衛生法に基づく食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月28日、厚生省告示第370号)で定められるpH6.0〜8.0を150倍希釈時に満たすように定めることが望ましい。
なお、pHは、JIS Z 8802に記載の方法により測定することができる。
【0055】
本発明の液体洗浄剤組成物は濃縮型の液体洗浄剤組成物であるが、希釈前の液体洗浄剤組成物の粘度(以下、原液の粘度ともいう)として、20℃における粘度が100〜1000mPa・sであることが好ましい。原液の粘度が100〜650mPa・sであることがより好ましい。
原液の粘度が100〜650mPa・sであると、液体洗浄剤組成物の粘度が適度な範囲となり、製造時の作業性が向上する。
原液の粘度が100mPa・s未満であると、洗浄剤がスポンジ等から流れ落ち易くなる場合がある。また、原液の粘度が650mPa・sを超えると、製造時の作業性に劣る場合がある。
原液の粘度は、さらに好ましくは100〜500mPa・sである。
なお、液体洗浄剤組成物の粘度の測定は、JIS Z 8803 に準拠し、E型粘度計を用いて行うことができる。
【0056】
本発明の液体洗浄剤組成物は、水で4倍に希釈した際の希釈液の25℃における粘度が100〜1000mPa・sとなる組成であることが好ましい。本発明の液体洗浄剤組成物は、水で希釈しても、希釈前の原液と同等又はそれ以上の粘度を有することが好ましい。希釈液の粘度が上記範囲内であると、希釈液がスポンジ等から流れ落ちにくくなり、スポンジ等に含まれる洗浄剤濃度を高く保つことができる。
希釈液の粘度が100mPa・s未満であると、希釈液がスポンジ等から流れ落ち易くなる場合がある。また、希釈液の粘度が1000mPa・sを超えるような組成に調整すると、希釈前の原液の粘度が高くなりすぎるため、液体洗浄剤組成物(原液)の外観を損ねる場合や、製造時の作業性に劣る場合がある。
液体洗浄剤組成物の水で4倍に希釈した希釈液の粘度として、より好ましくは100〜1000mPa・s、さらに好ましくは200〜650mPa・sである。
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、水で2〜4倍に希釈したいずれの希釈液においても25℃における粘度が200〜650mPa・sとなる組成であることが好ましい。
【0057】
本発明の液体洗浄剤組成物には、さらに、必要に応じて、所望のpHに調整するため、pH調整剤が含まれていてもよい。
上記pH調整剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩、オルソケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、オルソケイ酸カリウム、メタケイ酸カリウム等のケイ酸塩、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム等のリン酸塩等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤の配合量は、特に限定されるものではないが、液体洗浄剤組成物のpHが7.0以上となるように加えることが好ましく、より好ましくはpHが7.4以上である。また、pHが9.0以下となるように加えることが好ましく、より好ましくは8.0以下である。
【0058】
本発明の液体洗浄剤組成物には、さらに、水が含まれていてもよい。
上記水としては、水道水、蒸留水、純水又はイオン交換水等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、不純物の少なさ及び経済性の点からイオン交換水であることが望ましい。
【0059】
上記水は、本発明の液体洗浄剤組成物において液体洗浄剤組成物を構成する各成分に由来する結晶水や水溶液の形で含まれる水と、その他の外から加えられる水との総和であり、組成物全体が100重量%となるようにバランス量が配合される。
【0060】
本発明の液体洗浄剤組成物には、さらに、キレート剤が含まれていてもよい。
キレート剤としては、特に限定されるものではないが、アミノカルボン酸系、ヒドロキシカルボン酸系、リン酸系、ポリアクリル酸、アクリル酸・マレイン酸共重合体類、エーテルカルボン酸塩、及び、低分子量の有機酸塩等のものから選択される1又は2以上のものを使用することができる。
アミノカルボン酸系としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ジカルボキシメチルグルタミックアシッド(GLDA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン六酢酸(DPTA−OH)あるいはこれらの塩等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸系としては、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸あるいはこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。
リン酸系としては、ヒドリキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、ヘキサメタリン酸あるいはこれらの塩等が挙げられる。
低分子量の有機酸塩とは、分子量が1000以下のものをいう。このような分子量を有する有機酸塩としては、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸あるいはこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられ、具体的には、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム等のクエン酸塩、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カルシウム等のリンゴ酸塩、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム等のグルコン酸塩等が挙げられる。
キレート剤が含まれる場合、配合量は0.1〜1.0重量%であることが好ましい。
【0061】
本発明の液体洗浄剤組成物には、さらに、可溶化剤が含まれていてもよい。
可溶化剤としては、特に限定されるものではないが、芳香族酸塩又は尿素等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族酸塩としては、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
可溶化剤が含まれる場合、配合量は0.1〜10.0重量%であることが好ましい。
【0062】
そして、本発明の液体洗浄剤組成物には、任意成分として、香料、染料、防腐剤、金属腐食抑制剤、消泡剤、高分子化合物、又は、曇点向上剤等を含有していてもよい。
【0063】
次に、本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法の一例について説明する。
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)脂肪酸N−メチルアルカノールアミドと、(B)陰イオン界面活性剤と、(C)両性界面活性剤及び非イオン界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種と、必要に応じて(D)成分、(E)成分、水等の補助成分とを添加し、ミキサーを用いて攪拌することにより製造することができる。
【0064】
本発明の液体洗浄剤組成物は、水で2〜4倍に希釈することにより希釈液体洗浄剤を調製して使用することが望ましい。
希釈液体洗浄剤における各成分の好ましい濃度は、
(A)脂肪酸N−メチルアルカノールアミド1〜3重量%、
(B)陰イオン界面活性剤5〜20重量%、
(C)両性界面活性剤と非イオン界面活性剤の合計1〜3重量%、
(F)水73〜93重量%
であり、水で希釈することにより上記濃度になるように調製された濃縮型の液体洗浄剤組成物は本発明の液体洗浄剤組成物として好ましい組成である。
また、希釈液体洗浄剤中に(D)成分、(E)成分を含む場合、(D)成分の濃度は0.5重量%以上であることが望ましく、(E)成分の濃度は0.5重量%以上であることが望ましい。
【0065】
次に、本発明の液体洗浄剤組成物を用いた洗浄方法の一例について説明する。
本発明の液体洗浄剤組成物を用いた被洗浄物の洗浄方法は、
上記液体洗浄剤組成物を水で所定の倍率に希釈することで希釈液体洗浄剤とし、該希釈液体洗浄剤を用いて被洗浄物の洗浄を行うことを特徴とする。
【0066】
被洗浄物は、特に限定されるものではなく、例えば、食器や調理器具等の台所用具、厨房用具、野菜、果物等が挙げられる。
また、洗浄方法も特に限定されるものではなく、被洗浄物に応じて、手洗い、漬け置き洗い等の方法を定めればよい。
【実施例】
【0067】
以下、本発明をより具体的に説明する実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0068】
(実施例1〜8)
表1に示す配合で、(A)〜(E)成分、可溶化剤、キレート剤、水を混合して液体洗浄剤組成物を調製した。
そして、液体洗浄剤組成物1000gを、透明なプラスチックフィルム製のパウチに入れて保存したところ、パウチ内の液体は透明で均一な外観を示していた。
なお、表1において、各成分の配合量としては、各成分を含む溶液としての配合量の表示と各成分の純分表示を併記して示している。
また、表1の(B)及び(C)の表記中(C )は炭素数を表し、例えば(C12)は炭素数12であることを表す。
【0069】
(比較例1〜6)
表2に示す配合で、(A)〜(E)成分、可溶化剤、キレート剤、水を混合して液体洗浄剤組成物を調製した。
【0070】
(比較例7〜11)
市販の液体洗浄剤組成物を準備した。
比較例7の液体洗浄剤組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)を含み、(A)成分を含まない組成である。
比較例8の液体洗浄剤組成物は、(B)成分及び(C)成分を含み、LAS及び(A)成分を含まない組成である。
比較例9の液体洗浄剤組成物は、(B)成分及び(C)成分を含み、LAS及び(A)成分を含まない組成である。
比較例10の液体洗浄剤組成物は、(B)成分及び(C)成分を含み、LAS及び(A)成分を含まない組成である。
比較例11の液体洗浄剤組成物は、一般式(2)で表される脂肪酸ジエタノールアミド(DEA)を含み、(A)成分を含まない組成である。
【0071】
(pH測定)
pHメーター(堀場製作所製、D−21型)を用いて、各液体洗浄剤組成物(原液、25℃)のpHを測定した。結果を表1〜表3に示した。
【0072】
(粘度測定)
液体洗浄剤組成物の原液、及び、原液を水で2倍、3倍、4倍にそれぞれ希釈した2倍希釈液、3倍希釈液、4倍希釈液のそれぞれについて、粘度を測定した。粘度は、E型粘度計(東機産業株式会社 VISCOMETER TV−22)を用いて、20℃において20rpmの回転を付与して測定した。結果を表1〜表3に示した。
この結果、実施例1〜8に係る洗浄剤組成物では、(A)成分を含まない市販品(比較例7〜10)と異なり希釈前後で適度な粘度を有していることが分かる。
また、(B)成分、(C)成分の濃度範囲が本発明で規定する範囲外であると希釈前後での粘度が適度な粘度にならないことが分かる(比較例1〜6)。
比較例11は脂肪酸ジエタノールアミド(DEA)を含むために希釈前後で適度な粘度となっているが、発がん性物質生成の可能性から問題がある。
【0073】
(泡立ち性試験)
泡立ち性試験は、ロスマイルス法(JIS K3362に準拠)を用いて、各液体洗浄剤組成物(洗浄剤組成物を水で希釈して洗浄剤組成物濃度を0.38g/lに調整した希釈液)について0分後、5分後の泡立ち性を評価することにより行った。結果を表1〜表3に示した。
泡高さが低いほど、泡立ちが少ないといえる。また、5分後の泡高さが低いほど、泡がすぐに破れ、泡持ちが短いことといえる。
【0074】
(希釈及び洗浄)
液体洗浄剤組成物(1000g)を希釈用容器に全て入れ、水3000gを投入して攪拌し、希釈液体洗浄剤を得た。希釈倍率は、4倍であった。
以下の手順により洗浄力試験を実施した。
まず、洗浄対象の汚れとして、大豆白絞油:牛脂=1:1で混合した汚れを準備し、上記汚れ2mlを試験用皿に一面に塗り広げ、一晩室温で放置した。
上記希釈液体洗剤を1g含む洗浄液3lを準備し、上記洗浄液を液温30℃として、上記試験用皿を充分に温めた後、洗浄液を含んだスポンジで汚れを拭き取った。
そして、スポンジに付着した汚れを洗浄液中で揉み出した。
この操作を繰り返し、試験用皿に付着した汚れがスポンジで綺麗に拭き取れなくなるまでの皿の枚数を数えて、洗浄力を評価した。結果を表1〜表3に示した。
各実施例の洗浄力試験における皿洗い枚数は2〜4枚であった。
【0075】
(低温安定性(曇り点)試験)
液体洗浄剤組成物(原液)を試験管に取り、徐々に冷却していき曇り始める温度を曇り点とした。曇り点が低いほど低温安定性に優れているといえる。結果を表1〜表3に示した。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】