特許第6131129号(P6131129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131129
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】ラフテレーンクレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/40 20060101AFI20170508BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20170508BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20170508BHJP
   B01D 53/88 20060101ALI20170508BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20170508BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B66C23/40ZAB
   F01N3/08 B
   B01D53/86 222
   B01D53/88
   B01D53/90
   B01D53/94 222
   B01D53/94 300
   B01D53/94 400
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-135847(P2013-135847)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-9939(P2015-9939A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】寺田 王彦
(72)【発明者】
【氏名】世古 真也
(72)【発明者】
【氏名】角田 勝哉
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−068395(JP,A)
【文献】 特開2008−240676(JP,A)
【文献】 特開2006−125319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/00 − 23/94
F01N 3/04 − 3/38
B01D 53/86 − 53/90、 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントアクスル及びリヤアクスルを有する下部走行体と、当該下部走行体の上部に配置されたブーム装置と、走行及び油圧アクチュエータを介したブーム操作を行う単一の操縦部とを有し、上記下部走行体は、下部フレームと、当該下部フレームの前端下側及び後端下側に配置されたフロントアウトリガ及びリヤアウトリガと、上記下部フレームの後端部上側に配置され、上記各アクスルを駆動し且つ上記油圧アクチュエータに油圧を供給するエンジンとを有するラフテレーンクレーンであって、
還元剤が貯留された還元剤タンク及び還元剤供給装置並びに当該還元剤供給装置の下流に配置された選択的触媒還元装置を有する排気浄化装置が搭載され、
上記還元剤タンクは、
上記リヤアクスルよりも後方で上記リヤアウトリガよりも前方であり、且つ上記下部フレーム及び上記リヤアウトリガのケースに添う位置に配置されているラフテレーンクレーン。
【請求項2】
上記還元剤タンクは、上記リヤアクスルの近傍に設けられたマッドガードと上記リヤアウトリガのケースとの間に配置されている請求項1に記載のラフテレーンクレーン。
【請求項3】
上記還元剤タンクは、上記還元剤供給装置の下方に配置されている請求項1又は2に記載のラフテレーンクレーン。
【請求項4】
上記還元剤タンクは、上記選択的触媒還元装置の下方に配置されている請求項1から3のいずれかに記載のラフテレーンクレーン。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、選択還元型触媒装置(Selective Catalytic Reduction:以下、「SCR」と称す。)を搭載したラフテレーンクレーンに関し、詳細には、SCRの構成要素としての尿素タンクのレイアウトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排気中には、粒子状物質(Particulate Matter、以下、「PM」と称す。)や窒素酸化物(以下、NOxという)等が含まれており、大気汚染を防止するためにこれらの物質が大気中に放出されることを防ぐ排気浄化装置が従来から開発されている。この排気浄化装置は、PMを捕集するためのディーゼル微粒子捕集フィルタ装置(Diesel Particulate Filter:以下、「DPF」と称す。)、NOxを除去するための酸化触媒装置(Diesel Oxidation Catalyst:以下、「DOC」と称す。)、還元剤供給装置(Decomposition Reactor Tube:以下、「DRT」と称される。)及び選択還元型触媒装置(Selective Catalytic Reduction:以下、「SCR」と称す。)を構成要素として含み、これらが組み合わされることにより所要の排気浄化装置が構成される。
【0003】
ディーゼルエンジンは様々な車両に搭載されるが、車両の種類にかかわらず排気浄化処理の必要性は近年ますます向上しており、乗用車、トラック、クローラ式建設機械等にもSCRが採用されている。そして、SCRによる排気浄化処理では尿素水が使用されるから、車両には尿素水を備蓄しておく尿素水タンクが架装される(たとえば特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4851370号公報
【特許文献2】特許第5054613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ラフテレーンクレーンは、一般的に四輪駆動且つ四輪操舵可能な2軸走行装置を備え、単一の運転席から車両走行とクレーン操作が可能なクレーン車両であり、優れた小回り性及び不整地走行性を発揮する。ラフテレーンクレーンは、このような特殊性能(メリット)を発揮するためにコンパクト設計がなされていることが特徴であり、ボディの車体全長長さが短く設定されると共に当該ボディの後方にエンジンが配置され、しかもクレーン操作がすべて油圧により制御される。
【0006】
ラフテレーンクレーンが上記性能を発揮するためには、上記排気浄化装置が搭載される場合において、ボディの全長、全幅についてサイズアップが回避されなければならず、しかも、走行時と同じ運転席からクレーン操作・走行する際の視認性や視界確保も要請される。具体的には、たとえば排気浄化装置の構成要素である尿素水タンクがシャシーまわりの空いている空間に単純に配置されると、尿素水配管が無駄に長くなってしまったり、尿素水タンクへの尿素充填作業が困難になってしまったりするおそれがある等、種々の問題が生じる得る。したがって、尿素水タンクのレイアウトは、特別の工夫が要求される。
【0007】
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、コンパクトなボディで優れた小回り性及び不整地走行性を発揮すると共にクレーン操作・走行において優れた視認性ないし良好な視界が確保されつつ、尿素水タンクが最適位置にレイアウトされたSCR搭載のラフテレーンクレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 上記目的が達成されるため、本発明に係るラフテレーンクレーンは、フロントアクスル及びリヤアクスルを有する下部走行体と、当該下部走行体の上部に配置されたブーム装置と、走行及び油圧アクチュエータを介したブーム操作を行う単一の操縦部とを有し、上記下部走行体は、下部フレームと、当該下部フレームの前端下側及び後端下側に配置されたフロントアウトリガ及びリヤアウトリガと、上記下部フレームの後端部上側に配置され、上記各アクスルを駆動し且つ上記油圧アクチュエータに油圧を供給するエンジンとを有し、還元剤が貯留された還元剤タンク及び還元剤供給装置並びに当該還元剤供給装置の下流に配置された選択的触媒還元装置を有する排気浄化装置が搭載されている。このラフテレーンクレーンでは、上記還元剤タンクは、上記リヤアクスルよりも後方で上記リヤアウトリガよりも前方であり、且つ上記下部フレーム及び上記リヤアウトリガのケースに添う位置に配置されている。
【0009】
この発明では、上記排気浄化装置が搭載されているので、当該ラフテレーンクレーンの排気が浄化され、近年の厳しい排気ガス規制をクリヤすることが可能である。上記排気浄化装置に含まれる還元剤タンクが上記位置に配置されることにより、上記下部走行体の全長及び全幅が増大することなく、還元剤タンクはコンパクトに取り付けられる。しかも、上記還元剤タンクは、車体側面の外方を臨む位置に配置されることになるから、還元剤の注入作業も容易になる。さらに、排気系からの輻射熱の影響も抑えられる。
【0010】
(2) 上記還元剤タンクは、上記リヤアクスルの近傍に設けられたマッドガードと上記リヤアウトリガのケースとの間に配置されているのが好ましい。
【0011】
この構成では、後輪タイヤからのいわゆる飛び石から還元剤タンクが保護されるという利点がある。
【0012】
(3) 上記還元剤タンクは、上記還元剤供給装置の下方に配置されているのが好ましい。
【0013】
この構成では、上記還元剤タンクが上記還元剤供給装置の近傍に配置されることになる。したがって、還元剤を送給する配管が簡単である。また、上記還元剤供給装置は、一般に上記エンジンの近傍に配置されるから、上記還元剤タンクは、エンジン冷却装置(ラジエター)の近傍に位置することになる。したがって、たとえば寒冷地において還元剤の凍結を防止したりあるいは凍結した還元剤を解凍する場合においては、上記ラジエター内の冷却水が利用されるが、この冷却水を上記還元剤タンクに循環させるための配管も簡単になるという利点もある。
【0014】
(4) 上記還元剤タンクは、上記選択的触媒還元装置の下方に配置されているのが好ましい。
【0015】
この構成では、選択的触媒還元装置が還元剤タンクに対して庇を形成する。このため、還元剤タンクへの直射日光の影響が抑えられる。つまり、たとえば還元剤として尿素水が採用された場合であっても、タンク内での還元剤の劣化が抑えられる。また、還元剤タンクへの直射日光の影響が抑えられる結果、還元剤タンクが樹脂により成形されたとしても当該還元剤タンクの紫外線による劣化も防止される。加えて、還元剤タンクは、上記下部フレーム、リヤアウトリガのケース、リヤアクスル、選択的触媒還元装置により囲繞されるから、走行時や停車時に外気が還元剤タンクに直接吹き付けられることが防止される。これにより、寒冷地において還元剤の凍結が防止されると共に仮に凍結したとしても解凍が容易である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ラフテレーンクレーンの小回り性及び不整地走行性並びにクレーン操作における良好な視認性ないし視界が犠牲にされることなく、還元剤タンクが最適位置にレイアウトされた選択的触媒還元装置の搭載が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るラフテレーンクレーンの斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る排気浄化装置の斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る下部走行体の要部拡大背面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係るラフテレーンクレーンの要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態が、適宜図面が参照されつつ説明される。なお、本実施の形態は、本発明に係るラフテレーンクレーンの一態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更されてもよいことは言うまでもない。
【0019】
[全体構成と特徴点]
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るラフテレーンクレーン10の斜視図である。
【0021】
このラフテレーンクレーン10は、下部走行体11及び上部作業体12とを有する。
【0022】
下部走行体11は、下部フレーム13を有し、この下部フレーム13にフロントアクスル14及びリヤアクスル15が設けられている。このフロントアクスル14及びリヤアクスル15の駆動源となるディーゼルエンジン20が下部フレーム13の後端部に搭載されている。フロントアクスル14及びリヤアクスル15の車輪16、17は、図示されていないトランスミッションを介して駆動され、且つ図示されていない油圧シリンダにより操舵される。また、下部フレーム13の前端下部及び後端下部にそれぞれフロントアウトリガ18及びリヤアウトリガ19が装備されており、上部作業体12の稼働時に下部走行体11が安定して接地される。なお、図面の簡素化のためにフロントアウトリガ18及びリヤアウトリガ19の一部が省略されており、これらの図では、ケース29のみが図示されている。さらに、上記油圧モータや上部作業体12へ油圧を供給する油圧ポンプ(不図示)が下部フレーム13に設けられている。なお、ディーゼルエンジン20は、図示されていないエンジン本体及びこれを覆うエンジンカバーとを備えており、本実施形態では、エンジンカバーをも含めてディーゼルエンジン20と称される。
【0023】
上部作業体12は下部フレーム13を備え、この下部フレーム13に旋回ベアリング21を介して旋回台22が旋回可能に搭載されている。ブーム装置23が起伏中心ピンを介して旋回台22に連結されており、このブーム装置23は、起伏中心ピンによって起伏可能に支持されている。伸縮ブーム24は、図示されていない伸縮シリンダを内蔵しており、これが作動されることにより伸縮する。ブーム装置23は、油圧モータで駆動されるウインチ27を備えており、このウインチ27が作動することによりワークが昇降される。なお、上部作業体12の安定した作業のために、旋回台22の後部にカウンタウエイト28が設けられている。また、下部走行体11の運転及び上部作業体12の操作を行うための単一の操縦部26が、旋回ベアリング21を介して設けられている。
【0024】
本実施形態に係るラフテレーン10の特徴とするところは、ディーゼルエンジン20に隣接して後に詳述される排気浄化装置30が搭載されており、当該排気浄化装置30に含まれる尿素水タンク50(特許請求の範囲に記載された「還元剤タンク」に相当)が後述のようにレイアウトされている点である。これにより、ラフテレーンクレーン10の小回り性及び不整地走行性並びにクレーン操作における良好な視認性ないし視界が犠牲にされることなく、排気浄化装置30がラフテレーンクレーン10に搭載されている。
【0025】
[排気浄化装置]
【0026】
排気浄化装置30は、ディーゼルエンジン20から排出される排気ガスの供給を受け、これを浄化する装置である。排気浄化装置30は、車両後方から見て左側に配置されており、本実施形態では、排気浄化装置30にカバー34が設けられている。このカバー34は、排気浄化装置30が雨や塵に晒されることを防止する。
【0027】
図2は、排気浄化装置30の斜視図である。また、図3は、下部走行体11の要部拡大背面図である。図2及び図3は、上記カバー34が取り外された状態を示している。また、これらの図は、排気浄化装置30のレイアウトを示すものであり、排気浄化装置30を固定するためのブラケット等の図示は省略されている。
【0028】
排気浄化装置30は、酸化触媒装置(以下、「DOC」と称される。)31と、所定の還元剤(本実施形態では尿素水)を貯留した尿素水タンク50と、尿素水を介して排気中の酸化窒素を還元する選択的触媒還元装置(以下、「SCR」と称される。)32と、このSCR32に上記尿素水を供給する還元剤供給装置(以下、「DRT」と称される。)33とを備えている。
【0029】
上記リヤアウトリガ19のケース29にサポート部材35が設けられている。このサポート部材35は、上記ケース29を補強するリブからなり、上記ケース29及び下部フレーム13に固定されている。サポート部材35は中央部で屈曲された形状であり、上記ケース29と下部フレーム13の側面との間に掛け渡すように配置されている。このため、サポート部材35の上面36は、下部フレーム13の側面から外方に向けて斜め下方に傾斜している。
【0030】
ディーゼルエンジン20からの排気は、まずDOC31に供給され、順次DRT33及びSCR32を通過して排気ガスとしてマフラー37から大気へと排出される。なお、本実施形態では、このマフラー37は、上記排気ガスが排出される際の音を低減するもの(いわゆる消音装置)であって、SCR32あるいはその一部を示すものではない。
【0031】
DOC31は、ディーゼルエンジン20のエキゾーストパイプ38に接続されている。DOC31の構造は既知であって、DOC31は、排気中に含まれる未燃燃料(HC等)や一酸化炭素(CO)の処理、及び排気中の一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2)に酸化することを主目的としている。このDOC31は、排気温度の上昇に伴い、COを二酸化炭素(CO2)に酸化し、HCを燃焼する機能を有している。本実施形態では、DOC31はケーシングを備えており、このケーシングの外形形状は円柱状である。DOC31の中心軸線は、車両の前後方向すなわち下部フレーム13の長手方向39に沿っている。DOC31の後端40は、ディーゼルエンジン20の後端41よりも前方側に配置されている。つまり、DOC31がディーゼルエンジン20の後端41から後方に突出することはない。上記エキゾーストパイプ38から出た排気は、DOC31を上記長手方向前方へ流れる。
【0032】
SCR32は、排気中に還元剤を供給して窒素酸化物(NOX)を還元し、最終的に排気を窒素(N2)と水(H2O)の混合気に変換して大気中に放出する装置である。本実施形態では、DRT33は、排気中のNOXを還元するために尿素水を供給する。DRT33が排気中に尿素水を噴射すると、加水分解されてアンモニア(NH3)が生成され、このNH3によってNOXが還元される。なお、SCR32の構造及びDRT33の構造も既知である。
【0033】
本実施形態では、DRT33は、円筒状パイプ42と、これに連続された供給バルブ43とを備えており、上記尿素水タンク50から尿素水を導入する。供給バルブ43は、尿素水タンク50に所要の配管を介して接続されており、所定の圧力で尿素水を上記円筒状パイプ42内に噴射する。このDRT33は、DOC31と直列に配置されている。すなわち、DRT33の中心軸線がDOC31の中心軸線と一致しており、DRT33は、DOC31の上記長手方向39の前側に配置され且つ前方に延びている。DOC31を通過した排気は、上記長手方向39に沿って流れてDRT33の円筒状パイプ42に流入し、上記供給バルブ43から尿素水の供給を受ける。
【0034】
SCR32はケーシングを備えており、その外形形状は円柱状に形成されている。SCR32の中心軸線は、上記長手方向39に沿っている。本実施形態では、SCR32は、DOC31と並列配置されており、両者を略U字状に形成された連結パイプ44が連結している。DRT32を通過した排気は、連結パイプ44に進入し、UターンしてSCR32に流入する。このSCR32では、前述のように排気が浄化され、N2及びH2Oとして排出される。
【0035】
図3が示すように、SCR32は、DOC31よりも上方に配置され、且つ下部フレーム13の短手方向45に沿って並設されている。すなわち、SCR32の中心軸線とDOC31の中心軸線とが平行であり、SCR32とDOC31とは上記短手方向45に向かい合っている。しかも、SCR32とDOC31とは、上記サポート部材35の上方に配置されている。特に、本実施形態では、SCR32は、DOC31よりもディーゼルエンジン20側に偏った位置に配置されており、両者は、上記サポート部材35の上面36に沿うように配置されている。
【0036】
[尿素水タンク]
【0037】
図4は、ラフテレーンクレーン10の要部拡大側面図であって尿素水タンク50のレイアウトを示している。(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0038】
尿素水タンク50は、一般的に尿素水に対して耐食性が高く、耐候性及び耐衝撃性に優れた樹脂やステンレス等の材料で形成される。尿素水タンク50の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では直方体状に形成されている。
【0039】
同図が示すように、尿素水タンク50は、リヤアクスル15よりも後方であって、且つリヤアウトリガ19よりも前方に配置されている。より具体的には、尿素水タンク50は、後輪マッドガード52の後方に配置されている。尿素水タンク50は、ブラケット51を介してリヤアウトリガ19のケース29に支持されている。すなわち、尿素水タンク50の側面が上記ケース29に沿って配置され、尿素水タンク50の背面が下部フレーム13に沿って配置されている。本実施形態では、下部フレーム13と尿素水タンク50とは間に所定の隙間が形成されているが、尿素水タンク50が下部フレーム13に近接していてもよい。
【0040】
また、本実施形態では、尿素水タンク50は、上記DRT33の下方に配置されている。つまり、上記DRT33及びSCR32の近傍に尿素水タンク50が配置されている。しかも、本実施形態では、尿素水タンク50は、SCR32の下方に配置され、当該SCR32が庇を形成している。
【0041】
[排気浄化装置による作用効果]
【0042】
このラフテレーンクレーン10は排気浄化装置30を搭載しているので、ラフテレーンクレーン10の排気が浄化され、近年の厳しい排気ガス規制をクリヤすることが可能である。排気浄化装置30に含まれる尿素水タンク50は、図4が示す位置に配置されていることから、尿素水タンク50が車体側面の奥まった位置、すなわち車体側面の外方を臨む位置に配置されることになる。これにより、尿素水タンク50への尿素水の注入作業が容易である。また、ディーゼルエンジン20の排気系からの輻射熱の影響が抑えられ、タンク内での尿素水の劣化が抑えられる。しかも、尿素水タンク50が前述のようにコンパクトに配置されることにより、下部走行体11の全長及び全幅が増大することなく、ラフテレーンクレーン10のメリットが犠牲になることはない。
【0043】
特に、尿素水タンク50が後輪マッドガード52とリヤアウトリガ19のケース29との間に配置されているので、車輪17(特許請求の範囲に記載された「後輪タイヤ」に相当)からの飛び石から尿素水タンク50が保護されるという利点がある。
【0044】
さらに、尿素水タンク50が前述のようにSCR32及びDRT33の近傍に配置されるので、尿素水を送給する配管が簡単になる。加えて、SCR32が尿素水タンク50に対して庇を形成しており、尿素水タンク50は、直射日光が遮られる。これにより、尿素水の品質劣化が抑えられる。加えて、尿素水タンク50が樹脂から構成される場合であっても、尿素水タンク50の紫外線劣化が抑制される。しかも、尿素水タンク50は、下部フレーム13、リヤアウトリガ19のケース29、車輪17、SCR32により囲繞される位置に配置されることになるから、走行時や停車時に外気が尿素水タンク50直接吹き付けられることがない。その結果、冬期において尿素水の凍結が防止される。また、仮に尿素水が凍結したとしても解凍が容易である。
【0045】
本実施形態では、尿素水タンク50は図4が示す位置に配置されているが、当該位置に限定されるものではない。たとえば、尿素水の送給配管が多少複雑になることが許容されるならば、尿素水タンク50が車両の右側、すなわちディーゼルエンジン20のマフラーが設けられていない側に配置されてもよい。また、尿素水タンク50は、フロントアクスル14とリヤアクスル15との間のスペースに配置されてもよい。要するに、尿素水の注入作業が容易であり、且つ排気系からの輻射熱の影響が抑えられる位置であれば、他の部位に尿素水タンク50が配置されてもよい。
【0046】
[付加的作用効果]
【0047】
本実施形態では、図2が示すように、DOC31とDRT33とが直列配置されると共にDOC31とSCR32とが並列配置されており、排気浄化装置30が下部フレーム13にコンパクトにレイアウトされている。このため、前述のように排気浄化装置30がディーゼルエンジン20の後端41よりも後方に突出することがなく、ラフテレーン10の長手方向39(車両全長方向)の寸法の増大が防止される。しかも、DOC31、SCR32及びDRT33のすべてが並列配置ではなく、DOC31とSCR32のみが並列に配されることにより、図3が示すように、排気浄化装置30は、リヤアウトリガ19の外縁よりも外側に突出することがなく、ラフテレーンクレーン10の短手方向(車幅方向)の寸法の増大も防止される。
【0048】
さらに、DOC31とSCR32とが上下に配置され、これらがリヤアウトリガ19の上方で且つディーゼルエンジン20に隣接した位置に配置されることから、排気浄化装置30は、車両の後端部の左端あるいは右端の空間を有効に利用してきわめてコンパクトに配置されている。したがって、たとえばクレーン作業時にブーム装置23が旋回される場合であっても、作業者にとって排気浄化装置30が視界を遮る領域(いわゆる死角)が拡大することもない。加えて、DOC31が上記エキゾーストパイプ38と近接する位置に配置されることになるから、ディーゼルエンジン20及び排気浄化装置30間の排気配管も簡単になるという利点がある。
【0049】
なお、本実施形態では、DOC31とDRT33とが直列配置されているが、DRT33とSCR32とが直列配置されていてもよい。もっとも、この場合であってもDOC31とSCR32とは並列配置される。
【0050】
本実施形態では、図3が示すように、SCR32がDOC31よりもディーゼルエンジン20側の位置に配置されている。つまり、SCR32は、より車両中央側にシフトされており、ディーゼルエンジン20に近接した位置に配置されている。したがって、リヤアウトリガ19の上方のスペースをより有効に利用したレイアウトが実現され、排気浄化処理の経路(配管)をより簡略することができるという利点もある。
【0051】
また、本実施形態では、上記サポート部材35が下部フレーム13とリヤアウトリガ19のケース29とを連結する補強リブからなる。このサポート部材35の上面36は、下部フレーム13から上記ケース29に向かって傾斜しており、DOC31及びSCR32が、この上面36に沿って配置されている。つまり、DOC31及びSCR32がディーゼルエンジン20の側部のスペースに一層効率的に配置され、コンパクトなレイアウトが実現されている。なお、上記実施形態では、ラフテレーンクレーン10がいわゆるH型のリヤアウトリガ19を備えているが、これに代えて、いわゆるX型のアウトリガが装備されていてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
10・・・ラフテレーンクレーン
11・・・下部走行体
12・・・上部作業体
13・・・下部フレーム
14・・・フロントアクスル
15・・・リヤアクスル
19・・・リヤアウトリガ
20・・・ディーゼルエンジン
30・・・排気浄化装置
31・・・DOC
32・・・SCR
33・・・DRT
50・・・尿素水タンク
51・・・ブラケット
52・・・後輪マッドガード


図1
図2
図3
図4