(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のフォーマポンプでは、繰り返し使用する過程で、発泡部材上で液体が乾いて固化する可能性があった。なお液体が発泡部材上で固化すると、例えば泡体を適正な泡質に発泡し難くなる等の問題などがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、発泡部材上で液体が固化するのを抑えることができるフォーマポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るフォーマポンプは、液体が収容された容器体の口部に、上方付勢状態で下方移動可能に立設されるステムと、前記ステムの上端部に配設されノズル孔が形成された押下ヘッドと、前記ステムを上方に付勢する付勢部材と、前記ステムに連係する液用ピストンと、内部に前記液用ピストンが上下摺動自在に収容された液用シリンダと、前記ステムに連係する空気用ピストンと、内部に前記空気用ピストンが上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、前記液用シリンダからの液体と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、前記気液混合室と前記ノズル孔との間に配設され、前記気液混合室からの気液混合体を発泡する発泡部材と、を備えるフォーマポンプであって、前記押下ヘッドは、前記ステムの上端部に固定された固定部材と、前記固定部材上に下方移動可能に配設された操作部材と、上下方向に延びる上下流路を有し前記発泡部材と前記ノズル孔とを接続する接続路と、を備え、前記固定部材および前記操作部材のうちのいずれか一方には、前記上下流路内を開放可能に閉塞する弾性シール部が配設され、いずれか他方には、前記弾性シール部を上下方向に押圧して弾性変形させることで前記上下流路内を開放する押圧体が配設され、前記弾性シール部のばね定数は、前記付勢部材のばね定数よりも小さ
く、前記弾性シール部は、上下方向に延びる胴部と、前記胴部の一端開口部を閉塞する閉塞部と、を備え、前記押圧体は、上下方向に延びるとともに基端部が固定端とされ、先端部が、前記胴部の他端開口部から前記胴部内に進入して前記閉塞部に上下方向に対向する棒状に形成され、前記操作部材が押下されて前記押圧体が前記閉塞部を押圧するときに、前記弾性シール部が上下方向に伸長変形することで、前記弾性シール部による前記上下流路内の閉塞が解除されることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、操作部材を押下する前の状態では、弾性シール部が上下流路内を閉塞している。
泡体を吐出するときには、操作部材を押下する。このフォーマポンプでは、弾性シール部のばね定数が、付勢部材のばね定数よりも小さいことから、操作部材が、弾性シール部の弾性力に抗して固定部材上で下方に向けて移動して、押圧体が、弾性シール部を上下方向に押圧し弾性シール部を弾性変形させる。すると、弾性シール部による上下流路内の閉塞が解除され、上下流路内が開放される。
操作部材をさらに押下すると、この操作部材を介して固定部材が押下されて押下ヘッド全体が下方に移動し、付勢部材の付勢力に抗してステムが押し下げられる。するとステムに連係し、液用ピストンおよび空気用ピストンそれぞれが、液用シリンダ内および空気用シリンダ内を下方に向けて摺動し、液用シリンダ内の液体と空気用シリンダ内の空気とが気液混合室に送られて混合される。そして、この気液混合体が発泡部材によって発泡させられて泡体となり、泡体が接続路を通してノズル孔から吐出される。泡体の吐出は、操作部材の押下を停止したり、解除したりすることで停止される。
操作部材の押下を解除すると、付勢部材の付勢力により、ステム、押下ヘッド、液用ピストンおよび空気用ピストンが上方に向けて復元変位する一方で、弾性シール部が復元変形する。このとき、弾性シール部が復元変形することで、操作部材が、弾性シール部の弾性復元力によって固定部材上で上方に向けて復元変位させられるとともに、弾性シール部が上下流路内を閉塞する。
このフォーマポンプによれば、泡体の吐出時には、弾性シール部による上下流路内の閉塞を解除させ、発泡部材からの泡体をノズル孔にスムーズに供給させる一方、泡体の吐出の前後では、弾性シール部によって上下流路内を閉塞し、発泡部材がノズル孔を通して外気にさらされるのを抑制することができる。これにより、発泡部材上で液体が乾いて固化するのを抑えることが可能になり、例えば適正な泡質の泡体を安定して発泡すること等ができる。
【0009】
また、押圧体が、前述の棒状に形成されているので、押圧体が、弾性シール部を上下方向に押圧して弾性変形させるときに、例えば、弾性シール部から押圧体に加えられる反力を、押圧体上で先端部から基端部に向けて上下方向に沿って伝達させ、固定端とされた基端部によって確実に受け止めさせること等が可能になり、弾性シール部をスムーズに弾性変形させることができる。
【0010】
また、前記弾性シール部は、前記胴部の外周面が前記上下流路の内周面に当接することで、前記上下流路内を閉塞してもよい。
【0011】
この場合、弾性シール部が、この弾性シール部の胴部の外周面を上下流路の内周面に当接させることで、上下流路内を閉塞するので、例えば、胴部の外周面と上下流路の内周面を互いの全周にわたって気密に当接させる等することにより、上下流路内を気密性高く閉塞することができる。
【0012】
また、前記弾性シール部は、前記固定部材に、前記
閉塞部を下方に向けるとともに前記胴部の他端開口部を前記操作部材に向けて開口させた状態で配設され、前記押圧体は、前記操作部材から下方に延びて前記胴部の他端開口部から前記胴部内に進入していてもよい。
【0013】
この場合、押圧体が、操作部材から下方に延びているので、操作部材を押下するときに、この操作部材の押下力を、押圧体を介して弾性シール部に効率的に伝達させ、押圧体によって閉塞部を押し込むことが可能になり、弾性シール部をスムーズに弾性変形させることができる。
【0014】
また、前記胴部の
下端部には、下側から上側に向かうに従い漸次、縮径する縮径部が備えられていてもよい。
【0015】
この場合、弾性シール部の胴部の一端開口部に、縮径部が備えられているので、押圧体が弾性シール部の閉塞部を押し込むときに、例えば縮径部を伸長変形させること等が可能になり、弾性シール部をスムーズに弾性変形させることができる。
【0016】
また、前記操作部材は、前記固定部材に上下動自在に嵌合されていてもよい。
【0017】
この場合、操作部材が、固定部材に上下動自在に嵌合されているので、操作部材が固定部材上で下方に向けて移動するときに、操作部材の径方向の位置を安定させ易くすることが可能になり、弾性シール部をスムーズに弾性変形させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るフォーマポンプによれば、発泡部材上で液体が固化するのを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係るフォーマポンプを備える吐出容器を説明する。
図1および
図2に示すように、吐出容器1は、容器体2と、フォーマポンプ10と、を備えている。容器体2には、液状の内容物(液体)が収容される。フォーマポンプ10は、容器体2内の内容物を泡状にして吐出する。
【0021】
フォーマポンプ10は、装着キャップ11と、空気用シリンダ12と、液用シリンダ13と、液用ピストン14と、付勢部材15と、ステム16と、空気用ピストン17と、発泡部材18と、気液混合室19と、押下ヘッド20と、を備えている。
【0022】
ここで空気用シリンダ12、液用シリンダ13、液用ピストン14および空気用ピストン17は筒状に形成されている。これらの空気用シリンダ12、液用シリンダ13、液用ピストン14および空気用ピストン17、並びに前述の装着キャップ11およびステム16の各中心軸線は、共通軸上に位置し、容器体2の軸線と同軸に配置されている。
以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿った容器体2の底部側を下側といい、下側の反対側を上側といい、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0023】
装着キャップ11は、容器体2の口部2aに装着される。装着キャップ11は、容器体2の口部2aに螺着される下筒部21と、下筒部21よりも小径の上筒部22と、これらの下筒部21および上筒部22を連結する連結段部23と、を備えている。
【0024】
空気用シリンダ12は、装着キャップ11の前記連結段部23と容器体2の口部2aとの間に上下方向に挟持された環状の取付け部25と、取付け部25から下方に向けて延設された周壁部26と、周壁部26から径方向の内側に向けて突設された環状の底壁部27と、を備えている。
【0025】
液用シリンダ13は、空気用シリンダ12と一体に形成されている。液用シリンダ13は、空気用シリンダ12の底壁部27の内周縁から下方に向けて延設された基筒部28と、基筒部28の下端から下方に向けて連設され、下方に向かうに従い漸次縮径するテーパ部29と、テーパ部29の下端から下方に向けて連設された垂下筒部30と、を備えている。液用シリンダ13において基筒部28とテーパ部29とが連結された部分の内周面には、上下方向に延在する縦リブが、周方向に間隔をあけて複数突設されている。
【0026】
液用シリンダ13の内部には、前記液用ピストン14が上下摺動自在に収容されている。液用ピストン14は、ステム16に連係する。液用ピストン14は、液用シリンダ13内に液密状態で上下摺動可能に嵌合する大筒部31と、下端が大筒部31に連結された小筒部32と、を備えている。
【0027】
付勢部材15は、ステム16を上方に向けて付勢する。付勢部材15は、ステム16を、液用ピストン14を介して上方に向けて付勢する。付勢部材15は、液用ピストン14において大筒部31と小筒部32とが連結された部分と、液用シリンダ13の前記縦リブと、の間に介装されている。なお付勢部材15としては、例えばコイルスプリングや樹脂バネ等を採用することができる。
【0028】
液用シリンダ13、液用ピストン14および付勢部材15内には、棒状の弁部材34が挿通されている。弁部材34の上端部には、中空の逆円錐状の上部弁体34aが形成され、弁部材34の下端部には、下部弁体34bが形成されている。上部弁体34aは、液用ピストン14の上端部に形成された弁座部に、この弁座部の上方から離間可能に着座する。下部弁体34bは、液用シリンダ13のテーパ部29から上方に離間していて、テーパ部29に着座可能に形成されている。下部弁体34bの外周面には、液用シリンダ13の前記縦リブの間に配置されるガイド凸部が突設されている。
【0029】
ステム16は、容器体2の口部2aに、上方付勢状態で下方移動可能に立設される。ステム16は、空気用シリンダ12内に挿通されている。ステム16の下端部は、液用ピストン14の小筒部32に外嵌されている。ステム16には、径方向の外側に向けて突出する環状のフランジ部16aと、径方向の内側に向けて突出する環状の台座部16bと、が、下方からこの順に上下方向に間隔をあけて配置されている。ステム16のうち、台座部16bよりも上側に位置する上端部は、装着キャップ11の上筒部22内に配置されている。
【0030】
空気用ピストン17は、空気用シリンダ12の内部に上下摺動自在に収容されている。空気用ピストン17は、ステム16に連係する。空気用ピストン17は、ステム16に外装された内摺動筒部37と、空気用シリンダ12内に嵌合された外摺動筒部38と、これらの内摺動筒部37と外摺動筒部38とを連結する連結部39と、を備えている。
【0031】
内摺動筒部37は、ステム16において前記フランジ部16aよりも上側に位置し、かつ前記台座部16bよりも下側に位置する摺動部分に、上下摺動可能に外嵌されている。内摺動筒部37の下端縁は、フランジ部16aに離間可能に着座している。
【0032】
連結部39は、内摺動筒部37および外摺動筒部38それぞれにおける上下方向の中央部同士を全周にわたって連結する環状に形成されている。連結部39には、空気用シリンダ12の内部のうち、この連結部39よりも上方に画成される上室40a内と、この連結部39よりも下方に画成される下室40b内と、を連通する貫通孔が形成されている。
【0033】
内摺動筒部37において連結部39に連結された部分よりも下側に位置する部分には、弁筒部41が嵌合されている。弁筒部41の外周面には、前記貫通孔を開閉する弾性変形可能な環状の外気導入弁41aが突設されている。外気導入弁41aの外周縁部は連結部39の下面に離間可能に密接している。
【0034】
発泡部材18は、気液混合室19と後述するノズル孔46との間に配設され、気液混合室19からの気液混合体を発泡する。発泡部材18は、ケーシング42と、発泡エレメント43と、を備えている。
ケーシング42は、上側が大径部42aとされ、下側が小径部42bとされた2段筒状に形成されている。大径部42aは、後述する装着筒部48内に嵌合され、小径部42bはステム16の上端部内に嵌合されている。
【0035】
発泡エレメント43は、2つ設けられていて、これらの両発泡エレメント43は、ケーシング42内に装着されている。両発泡エレメント43のうち、下側の発泡エレメント43は、筒体43aの下側開口面にメッシュ体43bが張設されてなり、上側の発泡エレメント43は、筒体43aの上側開口面にメッシュ体43bが張設されてなる。
【0036】
気液混合室19は、液用シリンダ13からの内容物と空気用シリンダ12からの空気とを混合する。気液混合室19は、ステム16内に配設されていて、図示の例では、ステム16の前記上端部内に設けられている。気液混合室19は、ステム16内において、前記ケーシング42の小径部42bと、台座部16bの上面と、の間の空間とされている。気液混合室19内には、台座部16bに着座する球状の液吐出弁19aが設けられている。液吐出弁19aは、台座部16bに離間可能に形成されている。
【0037】
押下ヘッド20は、ステム16の上端部に配設されている。押下ヘッド20は、固定部材44と、操作部材45と、を備えている。
固定部材44は、ステム16の上端部に固定されている。固定部材44は、ステム16と別体に形成され、ステム16に装着されている。固定部材44には、内容物を吐出するノズル孔46が形成されている。固定部材44は、天壁部47と、装着筒部48と、案内筒部49と、外装筒部50と、吐出筒部51と、を備えている。天壁部47、装着筒部48、案内筒部49および外装筒部50は、軸線Oと同軸に配置されている。
【0038】
天壁部47は、ステム16の上方に位置している。天壁部47は、表裏面が上下方向を向く板状に形成されている。装着筒部48、案内筒部49および外装筒部50は、互いに同軸に配置されるとともに天壁部47から下方に向けて延びている。装着筒部48、案内筒部49および外装筒部50は、この順に大径になっている。
【0039】
装着筒部48は、装着キャップ11の上筒部22内に挿通され、ステム16の上端部に外嵌されている。装着筒部48の下端部は、この装着筒部48において下端部よりも上側に位置し、かつステム16の上端部に外嵌された外嵌部分よりも内径が大きくなっている。装着筒部48の下端部内は、前記内摺動筒部37の上端部が上下摺動自在に嵌合している。装着筒部48において外嵌部分よりも上側に位置する部分内には、発泡部材18が嵌合されている。
【0040】
案内筒部49は、装着筒部48を径方向の外側から囲繞している。案内筒部49の内径は、装着キャップ11の上筒部22の外径よりも大きくなっていて、案内筒部49の下端部は、上筒部22に外装されている。
外装筒部50は、案内筒部49を径方向の外側から囲繞している。外装筒部50は、天壁部47の外周縁部から下方に向けて延びている。外装筒部50の下端部は、案内筒部49の下端部よりも上側に位置している。
【0041】
吐出筒部51は、装着筒部48から径方向の外側に向けて突出し、案内筒部49および外装筒部50を径方向に貫通している。吐出筒部51の径方向の内側の端部内は、装着筒部48の上端部内に開口している。吐出筒部51の径方向の外側の端部は、外装筒部50よりも径方向の外側に位置していて、この端部内は、前記ノズル孔46とされている。
【0042】
前記固定部材44には、接続路53と、内筒部54と、外筒部55と、が設けられている。接続路53は、発泡部材18とノズル孔46とを接続する。接続路53は、装着筒部48内および吐出筒部51内によって形成されている。接続路53には、上下方向の延びる上下流路53aと、径方向に延びる横流路53bと、が備えられている。
【0043】
上下流路53aは、発泡部材18から上方に延び、軸線Oと同軸に配置されている。上下流路53aは、装着筒部48内において、発泡部材18よりも上側に位置する部分により構成されている。横流路53bは、上下流路53aの上端部から径方向の外側に延びていて、吐出筒部51内において、ノズル孔46よりも径方向の内側に位置する部分により構成されている。
【0044】
前記上下流路53aの上下方向の両端部はそれぞれ、発泡部材18またはノズル孔46に接続されている。本実施形態では、これらの両端部のうち、下端部は、発泡部材18に直接、接続されていて、上端部は、ノズル孔46に、横流路53bを通して接続されている。
【0045】
内筒部54および外筒部55は、軸線Oと同軸に配置されていて、天壁部47から上方に向けて延びている。内筒部54および外筒部55は、この順に大径になっていて、外筒部55は、天壁部47の外周縁部に立設されている。内筒部54の上端部は、外筒部55の上端部よりも下側に位置していて、内筒部54の下端部内は、上下流路53aの上端部(装着筒部48の上端部内)に向けて開口している。
【0046】
そして本実施形態では、固定部材44には、上下流路53a内に位置し、この上下流路53a内を開放可能に閉塞する弾性シール部56が配設されている。弾性シール部56は、固定部材44に対して固定され、図示の例では、固定部材44とは別体に形成されている。弾性シール部56は、例えば固定部材44や操作部材45等よりも柔らかい材質、例えばニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エラストマー等の弾性変形可能な軟材質で形成されていて、弾性シール部56のばね定数は、付勢部材15のばね定数よりも小さくなっている。
【0047】
弾性シール部56は、上下方向に延びる胴部56aと、胴部56aの下端部(一端開口部)を閉塞する閉塞部56bと、を備えている。弾性シール部56は、内部が上端部(他端開口部)内を通して操作部材45に向けて開口する有底筒状に形成されている。弾性シール部56は、上下流路53aの上端部内に軸線Oと同軸に配置されている。
【0048】
弾性シール部56の胴部56aのうち、上端部および下端部は、この両端部の間に位置する中間部よりも大径に形成されている。胴部56aの上端部は、内筒部54内に液密に嵌合されていて、前記中間部に段部を介して連結されている。前記段部は、上側から下側に向かうに従い漸次、縮径している。
【0049】
胴部56aの上端部には、径方向の外側に向けて延びる封止部57が形成されている。封止部57は、軸線Oと同軸に配置された環状に形成されている。封止部57の下面には、環状の凹溝部57aが形成されている。凹溝部57a内には、内筒部54の上端部が液密に嵌合している。
【0050】
胴部56aの下端部は、この弾性シール部56の閉塞部56bに上側から連なっている。この下端部には、下側から上側に向かうに従い漸次、縮径する縮径部56cが備えられている。縮径部56cは、錘状に形成されていて、軸線O方向に沿う断面視において、直線状(テーパ状)に延びている。縮径部56cの下端は、この弾性シール部56の閉塞部56bに連結されている。
【0051】
弾性シール部56は、この弾性シール部56の外面が上下流路53aの内面に当接することで上下流路53a内を閉塞している。弾性シール部56は、胴部56aの外周面が上下流路53aの内周面に当接することで、上下流路53aにおいて横流路53bが接続される部分よりも下側に位置する部分を閉塞している。
【0052】
本実施形態では、弾性シール部56のうち、胴部56aの外周面が、装着筒部48の内周面に、周方向の全周にわたって液密に当接(密接)している。また図示の例では、弾性シール部56の胴部56aにおいて、この胴部56aの縮径部56cと、閉塞部56bと、を連結する部分の外周面が、装着筒部48の内周面に当接している。さらに弾性シール部56の胴部56aの外周面が、装着筒部48の内周面において、吐出筒部51が開口する部分よりも下側に位置する部分に当接している。
【0053】
操作部材45は、固定部材44上に下方移動可能に配設されていて、固定部材44に上下摺動自在に嵌合されている。操作部材45は、弾性シール部56を弾性変形させながら、固定部材44に対して相対的に下方に移動する。操作部材45は、軸線Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されていて、固定部材44の外筒部55内に嵌合されている。操作部材45の頂壁部は、上方に向けて膨出していて、上方に向けて凸となる凸球面状に形成されている。
【0054】
操作部材45には、押圧体58が設けられている。押圧体58は、弾性シール部56を上下方向に押圧して弾性変形させることで、上下流路53a内を開放する。押圧体58は、上下方向に延びるとともに上端部(基端部)が固定端とされ、下端部(先端部)が、弾性シール部56の胴部56aの上端部から胴部56a内に進入して閉塞部56bに上下方向に対向する棒状に形成されている。
【0055】
押圧体58は、操作部材45の頂壁部から下方に延びていて、軸線Oと同軸に配置されている。押圧体58の下端部は、弾性シール部56の閉塞部56b上に位置している。押圧体58は、上側から下側に向かうに従い段状に縮径していて、押圧体58のうち、上下方向の中央部よりも下側に位置する下側部分は、前記中央部よりも上側に位置する上側部分よりも小径となっている。
【0056】
以上のように構成されたフォーマポンプ10では、気液混合室19は、前記下室40bに、空気導入路Rを通して連通可能となっている。空気導入路Rは、前記小径部42bの外周面に形成された第1連通溝と、装着筒部48の前記外嵌部分の内周面に形成された第2連通溝と、ステム16の前記摺動部分の外周面に形成された第3連通溝と、を備えている。
【0057】
そしてフォーマポンプ10は、押下ヘッド20を押し下げてステム16を下方に移動させることにより、容器体2内の内容物を移送するとともに空気と混合させ、これらの気液混合体が発泡されてなる泡状の内容物(以下、泡体という)をノズル孔46から吐出する。
【0058】
このフォーマポンプ10は、操作部材45を押下する前の初期状態では、前述のように弾性シール部56の外面が上下流路53aの内面に当接していて、弾性シール部56が上下流路53a内を閉塞している。
【0059】
このフォーマポンプ10の使用時には、まず操作部材45を押下する。このフォーマポンプ10では、弾性シール部56のばね定数が、付勢部材15のばね定数よりも小さいことから、
図3に示すように、操作部材45が、弾性シール部56の弾性力に抗して固定部材44上で下方に向けて移動し、押圧体58が、弾性シール部56の閉塞部56bを押し込んで弾性シール部56を弾性変形させる。このとき、弾性シール部56が弾性変形し、弾性シール部56の縮径部56cが上下方向に伸長変形して胴部56aの下端部が縮径することで、弾性シール部56の外面が上下流路53aの内面から離間して、弾性シール部56による上下流路53a内の閉塞が解除される。
【0060】
操作部材45をさらに押下し、操作部材45の下端部が固定部材44の天壁部47の上面に当接すると、固定部材44と操作部材45とが互いに係合し合うことで、操作部材45の固定部材44に対する下方移動が規制される。なお弾性シール部56のばね定数は、前述の初期状態から、操作部材45の下方移動が規制される規制状態までの間、付勢部材15のばね定数よりも小さくなっている。
【0061】
すると、
図1に示すようなフォーマポンプ10では、操作部材45を介して固定部材44が押下されて押下ヘッド20全体が下方に移動し、ステム16および液用ピストン14が一体的に押し下げられる。
このとき、空気用ピストン17の内摺動筒部37がステム16の前記摺動部分の外周面上を摺動するとともに、内摺動筒部37の上端部が装着筒部48の内周面上を摺動することにより、空気用ピストン17の上下方向の位置が保持される。その結果、ステム16のフランジ部16aと、空気用ピストン17の内摺動筒部37の下端縁と、の間に、前記空気導入路Rと前記下室40bとを連通する図示しない連通隙間が設けられ、下室40bと気液混合室19とが連通される。またこのとき、弁部材34も下方に移動させられ、弁部材34の下部弁体34bが液用シリンダ13のテーパ部29に着座して、液用シリンダ13の下端開口部が閉塞される。
【0062】
装着筒部48の下端縁が、空気用ピストン17の連結部39に当接するまで押下ヘッド20を押し下げると、押下ヘッド20とともに空気用ピストン17が下方に移動し、空気用ピストン17の外摺動筒部38が、空気用シリンダ12の周壁部26の内周面上を、下方に向けて摺動する。
【0063】
このとき、空気用ピストン17の弁筒部41の外気導入弁41aは、連結部39の下面に密接されたままの状態であり、前記貫通孔は閉塞されている。これにより、下室40b内の空気が圧縮され、この空気が、前記連通隙間および空気導入路Rを通して気液混合室19に移送される。またこのとき、液用シリンダ13の下端開口部が閉塞された状態で、付勢部材15を圧縮変形させつつ、液用ピストン14を下方に移動させて、弁部材34の上部弁体34aを液用ピストン14の前記弁座部から離間させる。これにより、液用シリンダ13の内部とステム16の内部とが連通され、液用シリンダ13内の内容物が、前記弁座部の内側および上部弁体34aの外側を通過してステム16内の気液混合室19に移送される。
【0064】
以上のように、押下ヘッド20を押し下げることにより、気液混合室19に空気および内容物がそれぞれ移送され、これらは気液混合室19で合流して混合される。この気液混合体は、発泡部材18に移送され、下側の発泡エレメント43のメッシュ体43bおよび上側の発泡エレメント43のメッシュ体43bを順次通過することで発泡させられて泡体になり、接続路53を流通してノズル孔46から吐出される。
【0065】
その後、押下ヘッド20の押し下げを解除すると、付勢部材15の弾性復元力により液用ピストン14が上方に押し上げられる。これにより、液用ピストン14の前記弁座部が弁部材34の上部弁体34aに当接して閉じられ、気液混合室19への内容物の移送が停止される。
【0066】
また、このように上昇する液用ピストン14とともに、ステム16および押下ヘッド20が一体的に上昇し、ステム16のフランジ部16aが空気用ピストン17の内筒部54の下端縁に当接することで、空気導入路Rを通した下室40bと気液混合室19との連通が遮断され、気液混合室19への空気の移送が停止される。その後、付勢部材15の弾性復元力により、空気用ピストン17が押し上げられることで、前記下室40b内が負圧状態となり、空気用ピストン17の弁筒部41の外気導入弁41aが下方に弾性変形させられて、前記貫通孔が開放される。これにより、前記貫通孔および前記上室40aを通して下室40b内に外気が供給される。
【0067】
またこのとき、弾性シール部56が復元変形し、押圧体58が弾性シール部56によって押し上げられて、操作部材45が、固定部材44上で上方に向けて復元変位する。そして、弾性シール部56の外面が上下流路53aの内面に当接し、弾性シール部56が上下流路53a内を閉塞する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係るフォーマポンプ10によれば、泡体の吐出時には、弾性シール部56による上下流路53a内の閉塞を解除させ、発泡部材18からの泡体をノズル孔46にスムーズに供給させる一方、泡体の吐出の前後では、弾性シール部56によって上下流路53a内を閉塞し、発泡部材18がノズル孔46を通して外気にさらされるのを抑制することができる。これにより、発泡部材18上で液体が乾いて固化するのを抑えることが可能になり、例えば適正な泡質の泡体を安定して発泡すること等ができる。
【0069】
また押圧体58が、前述の棒状に形成されているので、押圧体58が、弾性シール部56を上下方向に押圧して弾性変形させるときに、例えば、弾性シール部56から押圧体58に加えられる反力を、押圧体58上で下端部から上端部に向けて上下方向に沿って伝達させ、固定端とされた上端部によって確実に受け止めさせること等が可能になり、弾性シール部56をスムーズに弾性変形させることができる。
【0070】
また弾性シール部56が、この弾性シール部56の胴部56aの外周面を上下流路53aの内周面に当接させることで、上下流路53a内を閉塞するので、例えば本実施形態のように、胴部56aの外周面と上下流路53aの内周面を互いの全周にわたって気密に当接させる等することにより、上下流路53a内を気密性高く閉塞することができる。
【0071】
また押圧体58が、操作部材45から下方に延びているので、操作部材45を押下するときに、この操作部材45の押下力を、押圧体58を介して弾性シール部56に効率的に伝達させ、押圧体58によって閉塞部56bを押し込むことが可能になり、弾性シール部56をスムーズに弾性変形させることができる。
【0072】
さらに、弾性シール部56の胴部56aの下端部に、縮径部56cが備えられているので、押圧体58が弾性シール部56の閉塞部56bを押し込むときに、例えば縮径部56cを伸長変形させること等が可能になり、弾性シール部56をスムーズに弾性変形させることができる。
【0073】
また操作部材45が、固定部材44に上下摺動自在に嵌合されているので、操作部材45が固定部材44上で下方に向けて移動するときに、操作部材45の径方向の位置を安定させ易くすることが可能になり、弾性シール部56をスムーズに弾性変形させることができる。
【0074】
なお本実施形態の変形例として、
図4および
図5に示すようなフォーマポンプ70を採用することができる。
【0075】
このフォーマポンプ70では、上下流路53aの内面に突出部71が形成されている。突出部71は、装着筒部48の内周面から径方向の内側に向けて突出している。突出部71は、装着筒部48において、吐出筒部51が開口する部分よりも下側に位置する部分に設けられている。突出部71は、軸線Oと同軸に配置された環状に形成されている。
そしてフォーマポンプ70では、弾性シール部56の外面が、突出部71の表面に当接することで、弾性シール部56が、上下流路53a内を閉塞している。突出部71の表面には、弾性シール部56の縮径部56cの上面が、この突出部71の下方から当接している。
このフォーマポンプ70によれば、操作部材45を押下すると、弾性シール部56が弾性変形し、弾性シール部56の縮径部56cが伸長変形して縮径部56cの上面が突出部71の表面から離間して、弾性シール部56による上下流路53a内の閉塞が解除され、本実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0076】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のフォーマポンプを、
図6および
図7を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0077】
図6に示すように、このフォーマポンプ80では、前記固定部材44に、前記天壁部47と、前記装着筒部48と、前記案内筒部49と、前記外装筒部50と、前記吐出筒部51と、を備えさせるのに代えて、これらのうちの前記装着筒部48を限定して備えさせている。そして前記操作部材45を、軸線Oと同軸に配置された有頂筒状に形成するのに代えて、前記操作部材45に、前記天壁部47と、前記案内筒部49と、前記外装筒部50と、前記吐出筒部51と、を備えさせ、さらに流路筒部81を備えさせている。
【0078】
このフォーマポンプ80では、装着筒部48の上端部は、天壁部47から離間していて、この上端部内に、前記押圧体58が配設されている。押圧体58は、下端部(基端部)が装着筒部48に固定された固定端とされている。押圧体58の下端部は、脚部58aを介して装着筒部48に固定されている。脚部58aは、押圧体58の下端部から径方向の外側に延びて装着筒部48の内周面に連結されている。脚部58aは、周方向に間隔をあけて複数配置されていて、周方向に隣り合う脚部58aの間は、上下方向の両側に開口している。
【0079】
前記流路筒部81は、天壁部47から下方に向けて延び、軸線Oと同軸に配置されている。流路筒部81の上端部内には、吐出筒部51の径方向の内側の端部内が開口している。流路筒部81の下端部は、装着筒部48の上端部に嵌合され、図示の例では、この上端部内に上下動自在に嵌合されていて、前記上下流路53aは、装着筒部48の上端部内および装着筒部48内によって形成されている。
【0080】
そしてこのフォーマポンプ80では、前記弾性シール部56を、有底筒状に形成して固定部材44に配設するのに代えて、有頂筒状に形成して前記操作部材45に配設していて、閉塞部56bが、胴部56aの上端部(一端開口部)を閉塞している。この弾性シール部56は、流路筒部81の下端部内に配置されていて、閉塞部56bが、押圧体58の上端部(先端部)により下方から支持されるとともに、胴部56aの下端部(他端開口部)が流路筒部81内に液密に嵌合されている。
【0081】
胴部56aの上端部には、径方向の外側に膨出する膨出部56dが設けられている。膨出部56dは、前記断面視において、径方向の外側に向けて凸となる凸曲面状に形成されている。膨出部56dの上端は、この弾性シール部56の閉塞部56bに連結されている。そして本実施形態では、膨出部56dのうち、最も径方向の外側に膨出する部分が、流路筒部81の内周面に当接することで、上下流路53a内が閉塞されている。
胴部56aのうち、上端部と下端部との間に位置する中間部は、上側から下側に向かうに従い漸次、拡径していて、この中間部には、貫通孔56eが形成されている。貫通孔56eは、胴部56aに、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0082】
胴部56aの下端部には、前記封止部57が形成されている。本実施形態では、封止部57を、前記凹溝部57aを有する環状に形成するのに代えて、上下方向に延びる筒状に形成している。封止部57の下端部は、胴部56aの下端部に互いの全周にわたって連結されている。封止部57の上端部には、外嵌筒部57bが形成されている。外嵌筒部57bは、装着筒部48の上端部に液密に外嵌されている。
【0083】
本実施形態に係るフォーマポンプ70によれば、操作部材45を押下すると、
図7に示すように、操作部材45が固定部材44上で下方に向けて移動し、弾性シール部56の閉塞部56bが押圧体58に押し付けられて、弾性シール部56が弾性変形させられる。このとき、弾性シール部56の胴部56aおよび封止部57が上下方向に伸長変形し、胴部56aの膨出部56dが縮径することで、弾性シール部56の外面が上下流路53aの内面から離間して、弾性シール部56による上下流路53a内の閉塞が解除される。
操作部材45をさらに押下し、操作部材45を介して固定部材44が押下されて押下ヘッド20全体が下方に移動すると、前記第1実施形態のフォーマポンプ10と同様に、発泡部材18で発泡させられた泡体が、接続路53を流通してノズル孔46から吐出される。
【0084】
その後、押下ヘッド20の押し下げを解除すると、付勢部材15の付勢力により、液用ピストン14、ステム16、空気用ピストン17および押下ヘッド20が上方に向けて復元変位する一方で、弾性シール部56が復元変形する。このとき
図6に示すように、弾性シール部56の復元変形力によって操作部材45が押し上げられて、固定部材44上で上方に向けて復元変位するとともに、弾性シール部56が上下流路53a内を閉塞する。
【0085】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0086】
本発明では、弾性シール部56は、前記実施形態に示した構成に限られない。
【0087】
前記実施形態では、操作部材45は、固定部材44に上下摺動自在に嵌合されているが、本発明はこれに限られない。本発明では、操作部材を、固定部材上に下方移動可能に配設される他の構成に適宜変更することができる。例えば、第1実施形態およびこの第1実施形態の変形例に係るフォーマポンプにおいて、操作部材を、表裏面が上下方向を向く弾性変形可能な膜状に形成し、この操作部材を、下方に向けて押下して変形させることで、操作部材に、固定部材上で下方に向けて移動させてもよい。
【0088】
前記実施形態では、固定部材44は、ステム16と別体に形成されているが、本発明はこれに限られない。本発明では、固定部材がステムに固定された他の構成に適宜変更することが可能で、例えば、固定部材がステムに一体に形成されていてもよい。
【0089】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。