(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸引部は、前記可撓性材料の加工点付近に吸引開口を有するとともに該吸引開口周囲に前記可撓性材料の加工点付近に向かって突出した略ドーム状の外縁を有する吸引ノズルを有し、
前記噴流部は、前記吸引ノズルの略ドーム状の外縁に沿って形成されるとともに前記吸引ノズルの吸引開口に連通する空間であり、
前記吸引ノズルにより前記可撓性材料の加工点付近における雰囲気を吸引することで、前記噴流部において前記吸引ノズルの略ドーム状の外縁に沿って前記吸引ノズルの突出方向へと向かうとともに前記吸引開口内に流れ込む気体の流れが形成されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ切断装置。
前記吸引ノズルには、当該吸引ノズルが有する吸引開口を介して前記レーザ光が入射されるとともに前記吸引ノズルの内壁に当該レーザ光を受ける緩衝部を設けることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレーザ切断装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載された可撓性材料(主にフィルム)を走行させながらレーザ光で切断する技術において、レーザ光による切断時に発生するヒューム(粒子成分を含む気化したガス)により作業環境が悪化したり、切断対象であるフィルム(ワーク)表面にヒュームが再付着する問題がある。
その対策として従来技術では、発生したヒュームを下方から吸引することで、レーザ切断時に発生するヒュームを排出除去している。
しかし、ヒュームの除去率を上げるために吸引量を増加させると、フィルムが下方に引き寄せられてフィルムが撓み、予め設定されている切断位置(レーザ光の焦点位置)に対して、フィルム位置が安定せず、フィルムを精度よく切断できない問題がある。
すなわち、フィルムをレーザ加工する際には、レーザ光の焦点位置に対してフィルムの位置ずれが発生しないように、フィルムの撓みやバタツキを抑えてフィルムを安定して走行させ、レーザ焦点位置に対するフィルム位置の変動を抑えることが精度よくフィルムを切断する際に重要な課題となる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、レーザ光を用いて可撓性材料を切断する際に発生するヒュームを排出するとともに、精度よく可撓性材料を切断することができるレーザ切断装置及びレーザ切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、本発明のレーザ切断装置は、
可撓性材料をレーザ光により切断するレーザ切断装置であって、
前記可撓性材料の一側面側から前記可撓性材料に対してレーザ光を照射するレーザ照射部と、
前記可撓性材料の他側面側を保持するとともに前記レーザ光を通過させるレーザ通過孔を有する保持部と、
前記可撓性材料を介して前記レーザ照射部に対向する位置に設けられ、前記レーザ光による前記可撓性材料の加工点付近に向けて気体の流れを形成する噴流部と、
前記可撓性材料及び前記レーザ通過孔を介して前記レーザ照射部に対向した位置に設けられ、前記レーザ光による前記可撓性材料の加工点付近の雰囲気を吸引する吸引部と、を備え
、
前記可撓性材料を所定の搬送方向に搬送する搬送部を更に備え、
前記保持部は、前記レーザ通過孔の一端に連通するとともに該レーザ通過孔の一端から前記搬送方向下流側に向かってスリット状に穿設された穿設部を有することを特徴とする。
【0010】
また、上記構成において、
前記吸引部は、前記可撓性材料の加工点付近に吸引開口を有するとともに該吸引開口周囲に前記可撓性材料の加工点付近に向かって突出した略ドーム状の外縁を有する吸引ノズルを有し、
前記噴流部は、前記吸引ノズルの略ドーム状の外縁に沿って形成されるとともに前記吸引ノズルの吸引開口に連通する空間であり、
前記吸引ノズルにより前記可撓性材料の加工点付近における雰囲気を吸引することで、前記噴流部において前記吸引ノズルの略ドーム状の外縁に沿って前記吸引ノズルの突出方向へと向かうとともに前記吸引開口内に流れ込む気体の流れが形成されることが好ましい。
【0011】
また、上記構成において、
前記噴流部に気体を供給する気体供給手段を備え、
前記気体供給手段は、
前記噴流部に供給する気体の流量又は圧力又はその両方を制御することが好ましい。
【0012】
また、上記構成において、
前記吸引ノズルには、当該吸引ノズルが有する吸引開口を介して前記レーザ光が入射されるとともに前記吸引ノズルの内壁に当該レーザ光を受ける緩衝部を設けることが好ましい。
【0014】
また、上記構成において、
前記吸引ノズルが有する吸引開口は、前記搬送方向に垂直な幅寸法に比べて前記搬送方向の幅寸法が広くなるように形成されることが好ましい。
【0015】
本発明のレーザ切断方法は、
上記構成のレーザ切断装置を用いて、可撓性材料をレーザ光により切断するレーザ切断方法であって、
前記レーザ照射部により前記可撓性材料に対してレーザ光を照射し、
前記吸引ノズルにより前記可撓性材料の加工点付近における雰囲気を吸引することで、
前記噴流部において前記吸引ノズルの略ドーム状の外縁に沿って前記吸引ノズルの突出方向へと向かうとともに前記吸引開口内に流れ込む気体の流れを形成
し、
前記穿設部により前記搬送方向の上流側から下流側へと飛散するヒュームを捕捉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、レーザ光を用いて可撓性材料を切断する際に発生するヒュームを排出するとともに可撓性材料の撓みやバタツキを抑え、精度よくフィルムを切断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るレーザ切断装置及びレーザ切断方法は、フィルム等の可撓性材料(本実施形態では、プラスチックフィルム)を切断用のレーザ光により、切断するもので、レーザ切断の際に発生するヒュームを速やかに排出するとともに、レーザ光による可撓性材料の切断位置を安定化させることで精度のよいレーザ光による切断が実現できるものである。
【0019】
次に、本発明の実施形態に係るレーザ切断装置10について、
図1乃至
図5を用いて説明する。
【0020】
レーザ切断装置10は、所定の搬送方向(
図2、
図3において矢印で示す方向)に搬送される可撓性材料であるプラスチックフィルムFに向けてレーザ光6を照射することによりプラスチックフィルムFを切断する装置である。
レーザ切断装置10は、
図1に示すように、レーザ照射部1、保持部2、噴流部3、吸引部4、搬送部5及び気体供給手段(
図1では気体供給継手7のみを図示)を主に備える。プラスチックフィルムFは、所定の幅寸法を有する長尺状の樹脂からなる部材である。
【0021】
なお、本実施形態では、可撓性材料としてプラスチックフィルムを一例として挙げて説明するが、特に限定するものではない。
例えば、可撓性材料としては、本実施形態で例として挙げるプラスチックフィルムの他に、生地(布)、金属箔、紙材などのレーザ光で切断可能なシート状体であってもかまわない。
【0022】
レーザ照射部1は、プラスチックフィルムFの一側面側(本実施形態では表面側)に配置され、前記プラスチックフィルムFの表面側から前記プラスチックフィルムFに対してレーザ光6を集光・照射するものである。
レーザ照射部1は、
図2に示すように、レーザ光6を発生させるレーザ発振機1a、レーザ発振機1aから送られるレーザ光6を切断対象であるプラスチックフィルムFに向けて集光・照射するレーザヘッド部1b、及びレーザ発振器1aを制御する制御手段(図示せず)を備えている。
レーザ照射部1においては、制御手段の制御によりレーザヘッド部1bからレーザ光6がプラスチックフィルムFの加工点C(
図2、
図4参照)に向けて集光・照射される。
【0023】
保持部2は、プラスチックフィルムFの他側面側(本実施形態では裏面側)を所定の状態(本実施形態では水平状態)に保持するための平板状の部分である。
具体的には、保持部2は、レーザ照射部1のレーザヘッド部1bに対するプラスチックフィルムFの位置(本実施形態では上下方向の位置)を規制するための平板状の部分である。
【0024】
保持部2は、
図3に示すように、保持部2の平面視中央付近にレーザ光6を通過させるための貫通孔であるレーザ通過孔2aを有する。
保持部2は、レーザ通過孔2aの一端(プラスチックフィルムFの搬送方向下流側)に連通するとともに該レーザ通過孔2aの一端から前記搬送方向下流側に向かってスリット状に穿設される穿設部2bを有する。
このように穿設部2bを形成することで、前記搬送方向の上流側から下流側へと飛散するヒュームを捕捉し易くしている。
【0025】
レーザ通過孔2aは、搬送部5により搬送されるプラスチックフィルムFの加工点(切断点)Cの直下近傍においてレーザ光6及びプラスチックフィルムFの溶融物を含むヒュームを通過させる平面視小判状の孔である。
レーザ通過孔2aは、前記搬送方向に垂直な幅寸法に比べて前記搬送方向の幅寸法が広くなるように形成されている。
レーザ通過孔2aの搬送方向に垂直な幅寸法は、後述する吸引ノズル4aの吸引開口4bの搬送方向に垂直な幅寸法よりも狭くなるように形成されている。レーザ通過孔2aの下部には、後述する略ドーム状の外縁4cを有する吸引ノズル4aが配置されている。
【0026】
噴流部3は、プラスチックフィルムFを介して前記レーザ照射部1に対向する位置に設けられ、前記レーザ光6による前記プラスチックフィルムFの加工点C付近に向けて気体の流れを形成する部分である。
噴流部3は、吸引部4が有する吸引ノズル4aの略ドーム状の外縁4cに沿って形成されるとともに前記吸引ノズル4aの吸引開口4bに連通する空間である。
【0027】
図1は、保持部2の一部を切り欠いて、保持部2の裏側に配置されている吸引ノズル4aを示した図である。
吸引部4は、プラスチックフィルムF及び前記レーザ通過孔2aを介して前記レーザ照射部1に対向した位置に設けられ、前記レーザ光6によるプラスチックフィルムFの加工点C付近の雰囲気を吸引する部分である。
吸引部4は、装置本体部11に形成される吸引ノズル4aと、該吸引ノズル4aを介して気体を吸引するための所定の吸引手段(図示せず)とを有する。
【0028】
吸引ノズル4aは、プラスチックフィルムFの加工点C付近に吸引開口4bを有するとともに該吸引開口4b周囲にプラスチックフィルムFの加工点C付近に向かって突出した略ドーム状の外縁4cを有する。
吸引ノズル4aは、プラスチックフィルムFの加工点C、すなわちプラスチックフィルムFの切断位置の直下近傍に配置される。
また、吸引ノズル4aにおけるプラスチックフィルムFの搬送方向の開口寸法は、加工点(切断点)Cに対して上流側の開口寸法より下流側の開口寸法の方が大きい(長い)。
【0029】
前記所定の吸引手段は、吸引ノズル4aの吸引経路4eにおける下流側に配置され、該吸引ノズル4aを介して気体を吸引してレーザ切断装置10の外部に排出するものである。
吸引手段としては、例えば、ファン、ブロア、ポンプ、圧縮エアによる負圧などが挙げられ、特に限定されない。
また、吸引ノズル4aと前記所定の吸引手段との間に介装される吸引経路(本実施形態では吸引経路4e)においては、該吸引経路の途中部分に捕集するヒューム(例えば、オイルやゴミ)などを分離する装置を取り付けてもよい。
【0030】
吸引部4は、前記所定の吸引手段を用いてプラスチックフィルムFの加工点C付近における雰囲気を吸引ノズル4aを介して吸引することで、前記噴流部3において前記吸引ノズル4aの略ドーム状の外縁4cに沿って前記吸引ノズル4aの突出方向へと向かうとともに前記吸引開口4b内に流れ込む気体の流れが形成される。
【0031】
前記吸引ノズル4aには、当該吸引ノズル4aが有する吸引開口4bを介して前記レーザ光6が入射されるとともに前記吸引ノズル4aの内壁(
図2参照)に当該レーザ光6を受けるための緩衝部4dが設けられている。
緩衝部4dは、前記搬送方向上流側から下流側にかけて徐々に下がる傾斜する面であって、吸引ノズル4aの内壁の一部分であり、レーザ照射部1により照射されたレーザ光6が吸引開口4bを介して前記吸引ノズル4aの吸引経路内に入射した際に、レーザ光6が進行方向(本実施形態では下方)に向けて進行するのを遮るように形成されている。
【0032】
緩衝部4dの表面は、黒アルマイト処理が施され、受光したレーザ光6を吸収し、該レーザ光6が反射しないように構成されている。
このように緩衝部4dにおいてレーザ光6を吸収する黒アルマイト処理を施すことで、レーザ光6の拡散を防ぎ、レーザ光6が照射されて劣化する素材からなる部材(例えば、ゴム製ホース等)の劣化を防ぐとともに、安全性を確保することができる。
【0033】
なお、本実施形態における緩衝部4dは、傾斜する内壁として形成されているが、この形状に限定するものではない。
緩衝部4dは、レーザ光6を遮ることができる形状であればよく、例えば、湾曲状、屈曲状等の内壁形状であってもよい。
【0034】
吸引ノズル4aは、前述した所定の吸引手段による気体の排出で発生する負圧を利用して、吸引ノズル4aの吸引開口4bから該吸引開口4b近傍の雰囲気の吸引を行うことができる。
【0035】
吸引ノズル4aの吸引開口4bから吸引を行うことにより、プラスチックフィルムFの加工点C付近の雰囲気を吸引することができる。
さらに、吸引ノズル4aの吸引開口4bから吸引を行うことにより、噴流部3において前記レーザ光6が照射されるプラスチックフィルムFの加工点C付近に向けて気体の流れを形成することができる。
すなわち、吸引ノズル4aのドーム状の外縁4cに沿って気体の流れを形成し、該気体をプラスチックフィルムFの加工点Cの他面側(裏面側)に接触させて、該接触した気体を含む雰囲気を吸引ノズル4aの吸引開口4bから取り込むように構成されている。
このようにすることで、レーザ光6がプラスチックフィルムFの加工点Cに向けて照射された際に、該加工点Cで発生するヒュームを吸引ノズル4aの吸引開口4bへと導くことができる。
【0036】
吸引ノズル4aが有する吸引開口4bは、平面視小判状であり、前記搬送方向に垂直な幅寸法に比べて前記搬送方向の幅寸法が広くなるように形成されている。
このように吸引開口4bを形成することで、前記搬送方向の上流側から下流側へと飛散するヒュームを捕捉し易くしている。
【0037】
気体供給手段は、気体を噴流部3に供給するものである。
具体的には、気体供給手段は、噴流部3に供給する気体の流量又は圧力又はその両方を制御することができる。
本実施形態の気体供給手段は、エアコンプレッサ等の圧縮エアを供給する圧縮エア供給部(図示せず)と、該圧縮エア供給部からエアホース(図示せず)を介して接続される気体供給継手7と、該気体供給継手7と噴流部3とを連通する気体供給通路8と、該気体供給通路8と連通し、噴流部3に気体を供給するための気体供給口9とから構成される。
【0038】
圧縮エア供給部は、エアホース及び気体供給継手7を介して気体供給通路8内に供給する圧縮エアの流量、圧力等を制御することができる。
【0039】
気体供給継手7は、吸引ノズル4aが一体的に形成された装置本体部11の下流側端部に複数(本実施形態では、2カ所)配置されている。具体的には、気体供給継手7は、圧縮エア供給用のスピコン(スピードコントローラ)であり、エアホースを接続するための継手を有するものである。
【0040】
気体供給通路8は、
図5に示すように、装置本体部11の下流側と噴流部3の周囲に複数設けられた気体供給口に連通される複数(本実施形態では2本)の通路である。
本実施形態の2本の気体供給通路8は、その他端側において吸引開口4bを挟むように設けられている。気体供給通路8は、その一端側に気体供給継手7が配設されるともに、他端側が噴流部3周囲に複数(本実施形態では、1本の気体供給通路8において4つ)設けられた気体供給口9に連設される。
気体供給口9は、噴流部3の下端側、すなわち吸引ノズル4aの略ドーム状の外縁4c周囲に複数開口形成されている。
すなわち、気体供給口9の下部に、該気体供給口9に連通した空間である気体供給通路8が設けられている。
【0041】
本実施形態の気体供給手段によれば、噴流部3内に所定の流量及び圧力で気体(圧縮エア)を、圧縮エア供給部からエアホース、気体供給継手7、気体供給通路8及び気体供給口9を介して噴流部3内に供給することができる。
こうして、圧縮エアを噴流部3内に供給することで、吸引ノズル4aの略ドーム状の外縁4cに沿って前記吸引ノズル4aの突出方向へと向かうとともに前記吸引開口4b内に流れ込む気体の流れが形成される。
つまり、本実施形態における吸引部4では、自然吸気に加えて、気体供給手段により吸引ノズル4aにおいて吸気を促進するように気体の流れを形成する構成としたものである。
【0042】
なお、本実施形態の気体供給手段により圧縮エアを噴流部3に供給する場合の他に、気体供給手段として、ファン、ブロア、ポンプ等を用いてもよい。
また、吸引ノズル4aから吸引した気体のヒュームなどを取り除き、この気体を再利用して用いてもよい。
さらに、このような気体供給手段において、その流量又は圧力、その両方を備える制御手段を備えることが好ましい。
【0043】
なお、上記のように噴流部3に供給される気体としては、例えば、本実施形態の如く前述した気体供給手段により供給される圧縮エアを用いる場合の他に、該気体供給手段を用いずに前述した所定の吸引手段のみを用いて自然吸気による場合でも可能である。
すなわち、本発明においては、気体供給手段は必須の構成ではなく、フィルムの厚みや、発生するヒュームの量などに応じて用いれば良い。
【0044】
本実施形態のように気体供給手段を用いた場合、噴流部3を流れる気体の噴射圧・量の制御することにより、自然吸気による場合と比べて吸引ノズル4aを介して吸引する際に負圧のコントロールが容易になる。
すなわち、気体供給手段を用いることにより吸引による負圧が小さい状態で、絶対的な換気量を増加させることができる為、吸引による負圧だけで換気量を制御するよりは、吸引により発生するフィルムの撓みをコントロールしやすくなる。
また、自然吸気による場合、自然吸気しやすいように吸引開口4bに連通した溝や孔等を備える構成とすることもできる。
【0045】
搬送部5は、プラスチックフィルムFを所定の搬送方向(
図2、
図3に示す矢印方向)に搬送する部分である。搬送部5は、複数のローラと、該ローラを駆動する駆動手段(図示せず)とから構成される。
搬送部5は、該駆動手段を駆動することによりローラを回転し、プラスチックフィルムFを所定の搬送方向の上流側から搬送方向下流側へと搬送する。
【0046】
なお、プラスチックフィルムFを搬送する搬送部としては、本実施形態や図面で示すように、ローラ等によるものに特に限定するものではなく、プラスチックフィルムFを所定の状態(本実施形態では水平状態)で搬送することができる手段であればよく、公知の搬送手段を用いることができる。
【0047】
こうして、レーザ切断装置10には、搬送部5により所定の搬送方向に搬送されるプラスチックフィルムFが導入されてレーザ光6により切断される。
【0048】
次に、本発明の実施形態に係るレーザ切断装置10を用いて、プラスチックフィルムFをレーザ光6により切断するレーザ切断方法について図を用いて説明する。
【0049】
本実施形態のレーザ切断方法は、前記レーザ照射部1によりプラスチックフィルムFに対してレーザ光6を照射し、前記吸引ノズル4aにより前記プラスチックフィルムFの加工点C付近における雰囲気を吸引することで、前記噴流部3において前記吸引ノズル4aの略ドーム状の外縁4cに沿って前記吸引ノズル4aの突出方向(本実施形態では、上方)へと向かうとともに前記吸引開口4b内に流れ込む気体の流れを形成するものである。
【0050】
具体的には、先ず、レーザ切断装置10を用いて、プラスチックフィルムFをレーザ光6により加工(切断)するに際し、搬送部5を駆動して、プラスチックフィルムFを所定の搬送方向(
図2、
図3に示す矢印方向)に搬送させる。
併せて、制御手段によりレーザ発振器1aを制御して、プラスチックフィルムFの加工点Cに向けてレーザ光6を照射する。該加工点Cでは、プラスチックフィルムFの端部が線状の連続的な切断がなされて該加工点C付近ではレーザ切断時にヒュームが発生する。
【0051】
このヒュームを除去するために吸引ノズル4aによりプラスチックフィルムFの加工点C付近における雰囲気を吸引する。
該雰囲気の吸引により、噴流部3では、
図4の点線矢印で示すように、前記吸引ノズル4aの略ドーム状の外縁4cに沿って前記吸引ノズル4aの突出方向(本実施形態では、上方)へと向かう気体の流れが形成される。
【0052】
具体的には、前述した気体供給手段により、噴流部3内に所定の流量及び圧力で圧縮エアを、圧縮エア供給部からエアホース、気体供給継手7、気体供給通路8及び気体供給口9を介して噴流部3内に供給する。
圧縮エアを噴流部3内に供給することで、吸引ノズル4aの略ドーム状の外縁4cに沿って前記吸引ノズル4aの突出方向へと向かうとともに前記吸引開口4b内に流れ込む気体の流れが形成される。
該気体は、レーザ光6が照射されるプラスチックフィルムFの加工点C付近に向けて流れていき、発生したヒュームとともに吸引ノズル4aの吸引開口4b内に流れ込む。
【0053】
このように、本実施形態のレーザ切断方法では、プラスチックフィルムFのレーザ切断により発生したヒュームをプラスチックフィルムFの加工点C付近から効率よく排出することができる。
また、本実施形態のレーザ切断方法では、吸引ノズル4aの略ドーム状の外縁4cに沿って前記吸引ノズル4aの突出方向(本実施形態では、上方)へと向かう気体の流れを形成するものであるが、このように略ドーム状の外縁4cに沿って気体の流れを形成することで、プラスチックフィルムFの加工点Cでは、プラスチックフィルムFの他側面(裏側面)に対して気体が浅い角度で進入するため、気体の風圧によりプラスチックフィルムFを加工点Cから離間(本実施形態では上方移動)することを抑える。
その結果として、発生したヒュームを効率的に排出するとともに、この排出(ヒュームの吸引)によるプラスチックフィルムFの撓みやバタツキを抑えて、レーザ光による可撓性材料の切断位置を安定化させることで精度よくフィルムを切断することができる。
【0054】
本発明によれば、レーザ光を用いて可撓性材料を切断する際に発生するヒュームを排出するとともに可撓性材料の撓みやバタツキを抑え、精度よくフィルムを切断することができる。
また、本発明によれば、レーザ光を用いて可撓性材料をレーザ切断する際に発生するヒュームを速やかに排出することで、可撓性材料への汚れの付着や環境汚染を防止することができる。