(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131175
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】スクレーパロール及びスクレーパ装置
(51)【国際特許分類】
B29C 37/00 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
B29C37/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-235968(P2013-235968)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-93478(P2015-93478A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 浩文
【審査官】
辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−341007(JP,A)
【文献】
特開2001−149850(JP,A)
【文献】
特開2008−278625(JP,A)
【文献】
特開2008−283907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C37/00−37/04
B29C41/00−41/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するロールの周面に対して外周部が当接されて回転される弾性変形可能なスクレーパロールであって、
前記ロールの前記周面に付着した付着物を掻き取る刃先であって、前記外周部の軸方向に沿って形成され、前記外周部の周方向に間隔をあけて形成された複数の前記刃先と、
前記刃先の横断面において、隣接する前記刃先の間に形成された断面円弧状の溝と、を有し、
前記刃先は、前記外周部の周方向に湾曲されて形成されると共に、隣接する各前記刃先の先端から前記溝の内面まで曲線状に連続して形成され、
前記溝には、前記溝内に掻き取られた前記付着物を排出するための排出孔が、前記溝から前記スクレーパロールの内周部に貫通して形成されている、スクレーパロール。
【請求項2】
前記排出孔は、中心線が、前記スクレーパロールの内周部に向かって延び、かつ、前記スクレーパロールの径方向に対して傾斜されている、請求項1に記載のスクレーパロール。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスクレーパロールと、
前記スクレーパロールを支持する芯部材と、
前記芯部材を回転させる駆動機構と、
前記芯部材の軸方向の両端を支持し、前記ロールに対して前記スクレーパロールを押圧する一組の押圧機構と、を備えるスクレーパ装置。
【請求項4】
前記芯部材は、前記排出孔に連通されて前記排出孔から前記芯部材の内周部に前記付着物を導く第1の排出路を有している、請求項3に記載のスクレーパ装置。
【請求項5】
前記芯部材は、前記第1の排出路から前記芯部材の軸方向の両端部に前記付着物を導く第2の排出路を有している、請求項4に記載のスクレーパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム製造装置が備えるロールに付着した付着物を掻き取るためのスクレーパロール及びスクレーパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なフィルム製造装置は、フィルムを形成する溶融状態の樹脂材料を押し出すTダイと、Tダイから押し出された樹脂材料を冷却するための冷却用ロールと、冷却用ロールによって冷却されるフィルムを搬送するための複数の搬送ロールと、を備えている。
【0003】
また、この種のフィルム製造装置は、フィルムを適正に形成して円滑に搬送するために、搬送ロールや冷却用ロール(以下、ロールと称する。)の周面に付着した付着物を掻き取るためのスクレーパ装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6に、本発明に関連するスクレーパ装置の側面図を示す。
図6に示すように、本発明に関連するスクレーパ装置101は、板状のスクレーパ111と、スクレーパ111を支持する支持機構112と、スクレーパ111の位置を固定するための固定機構113と、支持機構112の位置を調整するための調整機構114と、を備えている。
【0005】
スクレーパ装置101は、フィルムの製造時に回転するロール105の周面に対して、スクレーパ111の刃先を当接させることで、フィルムを形成する樹脂材料に含まれる溶液や、ロール105の周囲で発生した粉塵などを含む液状の付着物を、スクレーパ111によってロール105の周面から掻き取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−279625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した本発明に関連するスクレーパ装置は、ロールの周面から付着物を掻き取ったときに、スクレーパの刃先とロールとの当接部分に粉塵などの異物(以下、粉塵と称する。)が引っ掛かって留まり、粉塵によってロールの周面が損傷してしまう問題があった。また、スクレーパとロールとの当接部分に粉塵が挟まることで、スクレーパによって掻き取った付着物が、スクレーパの刃先とロールの周面との間から漏れ出してしまう場合があり、付着物がフィルムに悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0008】
このため、スクレーパとロールとの当接部分から粉塵を取り除くための清掃を定期的に行う必要があり、このような定期的な清掃を行うことで、フィルムの生産性の低下を招いてしまう問題があった。
【0009】
特に、電池用セパレータの製造プロセスでは、ポリオレフィン樹脂組成物と溶媒とからなる混合物をシート化するので、冷却ロールに多量の溶媒がオイル状に付着し、このような付着物を確実に除去することが冷却用ロールの安定した冷却効果を得るために重要となる。
【0010】
また、スクレーパによって掻き取られた付着物は、スクレーパの刃先の長手方向における両端から、スクレーパの外部に溢れ出して排出されている。このとき、スクレーパの刃先の両端から排出された付着物の一部が、ロールによって搬送されているフィルムに付着してしまう場合があり、付着物がフィルムに悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0011】
この対策として、スクレーパによって掻き取られた付着物がフィルムに付着しないように、付着物をスクレーパから排出するための排出装置を設置することが考えられる。しかしながら、フィルム製造装置が備えるロールの周囲には、排出装置を設置するスペースや構造に制限があり、適切な排出装置を設置することが困難であった。
【0012】
加えて、スクレーパの掻き取り特性の調整は、ロールの周面に対するスクレーパの刃先の当接状態のみに依存しており、ロールに対してスクレーパを固定する位置によって決まってしまう。
【0013】
また、ロールの周面に対してスクレーパを、刃先の長手方向に亘って均一な押圧力で当接させることが困難であり、このようなスクレーパの固定位置の調整作業が、作業者の感覚に頼っている。このため、調整作業を短時間で適切に行うことが難しく、適切な調整作業を行うために熟練を要するという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、上記関連する技術の課題を解決し、ロールから掻き取った付着物によって、ロールが損傷したり、フィルムが悪影響を受けたりすることを防ぎ、フィルムの生産性を高めることができるスクレーパロール及びスクレーパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した目的を達成するため、本発明に係るスクレーパロールは、回転するロールの周面に対して外周部が当接されて回転されるスクレーパロールであって、
ロールの周面に付着した付着物を掻き取る刃先であって、外周部の軸方向に沿って形成され、外周部の周方向に間隔をあけて形成された複数の刃先と、刃先の横断面において、隣接する刃先の間に形成された断面円弧状の溝と、を有する。刃先は、外周部の周方向に湾曲されて形成されると共に、隣接する各刃先の先端から溝の内面まで曲線状に連続して形成されている。
溝には、溝内に掻き取られた付着物を排出するための排出孔が、溝からスクレーパロールの内周部に貫通して形成されている。
【0016】
以上のように構成された本発明に係るスクレーパロールは、複数の刃先が回転しながら掻き取った付着物が、スクレーパロールの回転に伴って刃先から溝内に円滑に導かれ、溝内に付着物が集められる。また、スクレーパロールは、ロールに対して複数の刃先が回転しながら付着物を掻き取ることで、付着物に含まれる粉塵が、ロールの周面と刃先との間に挟まることが避けられる。このように、スクレーパロールによれば、ロールの周面に対して刃先が当接され続けずに、かつ、掻き取られた付着物が刃先から溝内に集められるので、ロールの周面と刃先との間から付着物が漏れ出すことが避けられる。
【0017】
また、本発明に係るスクレーパ装置は、本発明のスクレーパロールと、スクレーパロールを支持する芯部材と、芯部材を回転させる駆動機構と、芯部材の軸方向の両端を支持してロールに対してスクレーパロールを押圧する一組の押圧機構と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、付着物に含まれる粉塵が挟まるロールと刃先との間にことが避けられ、粉塵によってロールの周面が損傷することを防ぐことができる。また、ロールと刃先との間に粉塵が挟まることが避けられるので、刃先で掻き取られた付着物が、ロールの周面と刃先との間から漏れ出すことを防ぎ、付着物がフィルムに悪影響を及ぼすことを防ぐことができる。加えて、本発明によれば、粉塵を取り除くための定期的な清掃を行う必要がなくなり、フィルムの生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態のスクレーパ装置が適用されたフィルム製造装置の要部を示す模式図である。
【
図2】実施形態のスクレーパ装置を説明するための図である。
【
図3】実施形態におけるスクレーパロールを示す側面図である。
【
図4】実施形態におけるスクレーパロールの刃先の形状を示す側面図である。
【
図5】実施形態における他の芯部材の一例を示す断面図である。
【
図6】本発明に関連するスクレーパ装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に、実施形態のスクレーパ装置が適用されたフィルム製造装置の要部の模式図を示す。
図1において、(a)にフィルム製造装置の模式的な側面図を示し、(b)に実施形態のスクレーパ装置の模式的な平面図を示す。
図2に、実施形態のスクレーパ装置を説明するための図を示す。
図2において、(a)及び(c)に実施形態のスクレーパ装置の側面図を示し、(b)に実施形態のスクレーパ装置の正面図を示す。
【0022】
図1に示すように、実施形態のスクレーパ装置1は、フィルム製造装置に採用されており、Tダイ4から押し出された溶融状態の樹脂材料3を冷却しながら搬送する冷却用ロール5の周面に隣接する位置に配置されている。
図1及び
図2に示すように、スクレーパ装置1は、樹脂材料の搬送に伴って冷却用ロール5の周面に付着した液状の付着物を掻き取る。
図2に示すように、冷却用ロール5は、一組の軸受け部材5aに支持された回転軸5aに支持されており、図示しない駆動機構によって回転される。
【0023】
図3に、実施形態におけるスクレーパロールの側面図を示す。
図1及び
図3に示すように、実施形態のスクレーパ装置1は、回転する冷却用ロール5の周面に対して外周部が当接されて回転される弾性変形可能なスクレーパロール11と、スクレーパロール11を支持する芯部材としての芯管12と、スクレーパロール11を回転する駆動機構としての駆動モータ13と、スクレーパロール11を冷却用ロール5の周面に押圧するための一組の押圧機構14と、を備えている。
【0024】
図4に、実施形態におけるスクレーパロール11の刃先の形状の側面図を示す。スクレーパロール11は、ゴムなどの弾性材料によって円筒状に形成されている。
図3及び
図4に示すように、スクレーパロール11は、冷却用ロール5の周面に付着した付着物を掻き取る刃先16を有しており、複数の刃先16が、外周部の軸方向に沿って形成され、外周部の周方向に間隔をあけて形成されている。
【0025】
図4に示すように、刃先16の横断面において、隣接する刃先16の間に形成された断面円弧状の溝17を有する。溝17には、溝17内に掻き取られた付着物を排出するための排出孔18が、溝17からスクレーパロール11の内周部に貫通して形成されている。溝17には、複数の排出孔18が、スクレーパロール11の軸方向に間隔をあけて設けられている。
【0026】
また、排出孔18は、スクレーパロール11の内周部に向かって延びる中心線が、スクレーパロール11の径方向に対して傾斜されている。このように排出孔18が形成されることで、スクレーパロール11の回転に伴って、排出孔18に導かれた付着物が、排出孔18を通ってスクレーパロール11の内周側に導かれる。
【0027】
刃先16は、
図3及び
図4に示すように、スクレーパロール11の外周部の周方向に湾曲されて形成されており、複数の刃先16の先端の各々が、同一の円周上に位置するように形成されている。
【0028】
そして、スクレーパロール11は、隣接する各刃先16から溝17の内面まで曲線状に連続して形成されている。このような溝17を有することで、回転する刃先16によって付着物を掻き取りながら、付着物を刃先16の基端側に円滑に移動させ、スクレーパロール11の回転に伴って溝17内に付着物が集められる。
【0029】
芯管12は、金属材料によって筒状に形成されており、外周部にスクレーパロール11が固定される。芯管12は、
図3及び
図4に示すように、排出孔18から芯管12の内周部に付着物を導くための第1の排出路としての排出路21を有している。排出路21の一端は、スクレーパロール11の排出孔18に連通して形成されている。また、排出路21は、芯管12の内周部に向かって延びる中心線が、排出孔18の中心線と一致されて、芯管12の径方向に対して傾斜されている。これによって、芯管12の回転に伴って、排出路21に導かれた付着物が、排出路21を通って芯管12の内周側に導かれる。
【0030】
押圧機構14は、芯管12の軸方向の端部に連結された支持ロッド14aと、支持ロッド14aを往復移動するエアシリンダ14bと、を有している。押圧機構14によって、冷却用ロール5に対するスクレーパロール11の圧力を容易に調整することが可能になり、スクレーパロール11の軸方向に亘って均一に押圧させることができる。
【0031】
図1に示すように、駆動モータ13は、芯管12の一端に固定された軸に連結されている。また、駆動モータ13は、減速機を有しており、減速機によって、スクレーパロール11が所定の回転速度になるように制御されている。
【0032】
以上のように構成されたスクレーパ装置1について、スクレーパロール11によって、冷却用ロール5の周面に付着した付着物を掻き取る動作を説明する。
【0033】
まず、スクレーパロール11は、冷却用ロール5の回転方向とは逆方向に所定の回転数で駆動モータ13によって回転されて、一組の押圧機構14によって、冷却用ロール5の周面に所定の押圧力で押圧される。なお、スクレーパロール11を冷却用ロール5に押圧させる押圧力は、必要に応じて可変可能とされている。
【0034】
回転する刃先16によって掻き取られた付着物は、スクレーパロール11の回転に伴って、刃先16から断面円弧状の溝17内に導かれて溝17内に集められる。溝17内に集められた粉塵を含む付着物は、スクレーパロール11の回転に伴って排出孔18を通り、芯管12の排出路21を経て、芯管12の内周面に導かれる。
【0035】
スクレーパロール11の押圧力と回転速度は、付着物の付着量と粘度とに応じて適切に設定される。スクレーパロール11の刃先16が冷却ロール5に適切な押圧力で押圧された状態で、刃先16と冷却ロール5との接触部分が、冷却ロール5の周面に沿って連続的に押圧されるように調節される。これによって、スクレーパロール11の刃先16は、冷却ロール5の周面上に付着した付着物を、冷却ロール5の周面に沿って連続的に、効率的に取り除くことが可能に構成されている。
【0036】
図示しないが、例えば、芯管12の内周面に導かれた付着物が、ポンプに連結された吸引ホースを用いて芯管12から排出されてもよい。また、芯管12の内周面が、芯管12の軸方向の一端から他端に向かって径方向の中心に徐々に近づくような円錐状の内面に形成されて、芯管12の一端側から他端側に向かって付着物を流して排出するように構成されてもよい。
【0037】
なお、上述した実施形態では、芯部材として芯管12が用いられたが、
図5に示すように、中実体の芯部材が用いられてよい。
図5に、他の芯部材の一例の断面図を示す。
【0038】
図5に示すように、芯部材22は、スクレーパロール11の排出孔18に連通して形成されて排出孔18から芯部材22の内周部に付着物を導く第1の排出路26と、第1の排出路26から芯部材22の軸方向の両端部に付着物を導く第2の排出路27と、を有している。
【0039】
第1の排出路26は、一端がスクレーパロール11の排出孔18に連通して形成されている。また、第1の排出路26は、芯部材22の内周部に向かって延びる中心線が、排出孔18の中心線と一致されて、芯部材22の径方向に対して傾斜されている。
【0040】
第2の排出路27は、芯部材22の両端部に亘って形成されており、芯部材22の軸方向の一端から他端に向かって芯部材22の径方向の中心に徐々に近づくようなテーパ状に形成されている。第2の排出路27がテーパ状に形成されることで、第1の排出路26から第2の排出路27に導かれた付着物は、第2の排出路27に沿って芯部材22の一端から他端に流されて、第2の排出路27から外部に付着物が排出される。
【0041】
また、このような芯部材22を用いた場合には、図示しないが、芯部材22の軸方向の端部の近傍に、スクレーパロール11から排出された付着物を受け取る受け皿を有する回収装置を配置することによって、簡素な構成を用いて付着物をフィルムに付着させることなく、回収することが可能になる。また、芯部材22には、第2の排出路27に導かれた付着物を吸引して排出するための、上述したポンプなどの吸引機構が適用されてもよい。
【0042】
上述したように、実施形態のスクレーパ装置1は、冷却用ロール5の周面に対して、回転しながら付着物を掻き取る複数の刃先16及び付着物を集める溝17を有するスクレーパロール11を備えることによって、冷却用ロール5の周面と刃先16との間に粉塵が挟まることを防ぐことが可能になり、粉塵によって冷却用ロール5の周面が損傷することを防ぐことができる。
【0043】
その結果、スクレーパ装置1は、冷却用ロール5とスクレーパロール11との当接部分から粉塵を除去するための清掃を定期的に行うことが不要になり、フィルムの生産性を高めることができる。
【0044】
また、スクレーパ装置1は、冷却用ロール5から掻き取られた付着物が刃先16と刃先16との間の溝17内から、排出孔18を通って芯管12の排出路19を経て、外部に排出される。これによって、スクレーパロール11の刃先16で掻き取られた付着物が、冷却用ロール5で搬送されているフィルムに付着することを防ぐことが可能になり、付着物がフィルムに悪影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0045】
また、スクレーパ装置1は、一組の押圧機構14を用いてスクレーパロール11を押圧することで、スクレーパロール11と冷却用ロール5との当接状態の調整作業に熟練を要することなく、冷却用ロール5の周面に対してスクレーパロール11の刃先16を長手方向に亘って適切な押圧力で均一に押圧させることができる。
【0046】
上述した実施形態では、スクレーパロール11の回転方向が、冷却用ロール5の回転方向に対して逆方向に設定されたが、必要に応じて、スクレーパロール11が冷却用ロール5の回転方向と同一方向に回転されてもよい。
【0047】
実施形態のスクレーパ装置1は、スクレーパロール11によって付着物を掻き取る対象物が冷却用ロール5にされたが、冷却用ロールに限定されるものではなく、他のロールに適用されてもよいことは勿論である。
【0048】
なお、本発明に係るスクレーパ装置は、リチウムイオン二次電池を構成するセパレータフィルムを製造するフィルム製造装置に用いられて好適である。
【符号の説明】
【0049】
1 スクレーパ装置
5 冷却用ロール
11 スクレーパロール
12 芯管
16 刃先
17 溝
18 排出孔