【文献】
Jerzy JANKUN,Diverse optical characteristic of the prostate and light delivery system,BJU INTERNATIONAL,米国,BJU INTERNATIONAL,2005年 5月12日,vol.95,1237-1244
【文献】
Sean R DAVIDSON,Treatment planning and does analysis for interstitial photodynamic therapy of prostate cancer,PHISICS IN MEDICINE AND BIOLOGY,英国,TAYLOR AND FRANCIS LTD,2009年 4月21日,vol.54,no.8,2293-2313
【文献】
Augusto RENDON,Treatment planning using tailored and standard cylindrical light diffusers for Photodynamic therapy of the prostate,PHYSICS IN MEDICINE AND BIOLOGY,英国,TAYLOR AND FRANCIS LTD,2008年 2月21日,vol.53,no.4,1131-1149
【文献】
Michael J. ZELEFSKY,米国における前立腺癌小線源療法,第17回日本Endourology・ESWL学会,日本,日本メジフィジックス株式会社,2004年 6月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のモデリング方法(100)であって、前記第一及び第二のデジタル・ファイルの一連のデジタル画像が、治療の前後それぞれの前記領域の横断面像を表すことを特徴とする該方法。
請求項1〜3のいずれか1項に記載のモデリング方法(100)であって、前記実際の壊死領域の体積を測定するステップ(120)が以下のサブステップを含むことを特徴とする該方法:
− コンピュータ・スクリーン上に表示されるコンピュータ・グラフィカル・ユーザー・インターフェース上で前記第二のコンピュータ・ファイルの一連の画像をコンピュータがロード及び表示する(121)サブステップ;
− 前記コンピュータ・スクリーン上に表示される一連の各画像上に直接入力されたデータを用いて前記実際の壊死領域の輪郭をコンピュータが形成する(122)サブステップ;
− 前記入力した輪郭をデジタル処理して、体積再構築を行うことにより前記実際の壊死領域の体積をコンピュータが測定する(123)サブステップ。
請求項5〜7のいずれか1項に記載のアシスト方法(200)であって、計算による決定ステップ(250)が勾配降下型最適化アルゴリズムを用いることを特徴とする該方法。
【背景技術】
【0002】
光線力学療法又はPDTは、感光性物質の投与を伴う治療法である。該物質は、好ましくは組織(例えば、腫瘍細胞)に結合し、そして、適切な波長を有する光源を用いて組織に照射を行い、前記光源は、前記感光性物質を活性化することができる。従って、前記感光性物質は、イン・サイチュで一重項酸素又はフリーラジカルを放出する。これら一重項酸素又はフリーラジカルは、反応性が高く、即座に近接組織を酸化させる。これにより、アポトーシス(プログラム化された細胞死)による癌細胞死を引き起こす。または、腫瘍細胞に供給される血管に対して虚血ターゲティング(血管ターゲット光線力学療法技術又はVTP)を行うことによる癌細胞死を引き起こす。従って、生成される酸素ラジカル種は、一般的に、作用範囲が狭く、そして、寿命も非常に短い。その結果、これらの毒性効果は非常に局所的なものとなる。前記PDT技術は、特定の癌又はAMD(加齢黄斑変性)のような病気を治療することができる。
【0003】
近年、幾つかの研究により、PDTは、特定のレーザー及び専用の繊維光学部品を感光性物質と組み合せたことによるものであるが、前立腺癌の治療の有効な代替方法であることが示された。
【0004】
従って、出願人である企業は、様々な感光性薬剤について研究を行った(特に、WST−09、又はTookad(登録商標)、そして、近年ではWST−11)。これらについては、国際公開WO2004045492及び欧州特許出願1137411に記載されている。前立腺癌の治療に対して特に適していることが示された。
【0005】
前立腺癌の場合、癌細胞に捕捉させるために、前記感光性製品は、最初患者に対して静脈注射で投与する。この段階では、適切な波長の光で照射されるまで、薬は不活性状態を維持する。
【0006】
そして、光は、レーザーを供給する幾つかの光ファイバーを通して投与される。該光ファイバーは、超音波ガイダンスのもとで位置を制御する。従って、レーザーによってパワーを供給することができる幾つかの光ファイバーを前立腺内に導入することができる。小線源治療に用いられるタイプの外部グリッドにより、前立腺内での種々の光ファイバーの位置を、そして、互いの光ファイバーに対する位置を厳密に外科医が制御することが可能となる。より厳密に言えば、こうしたグリッドは、既存の空間に関して複数の行及び列のマトリックスに従った単一平面中に配置した複数の穴を含む。例えば、前記小線源治療グリッド(1)は、
図1に示すが、0.5mm単位で隔離された13行×13列のマトリクスを含む。該マトリクス内には、行及び列の各交点に位置する交差ホールがある。例えば、ホール2は、F列5行の交点に位置する。各光ファイバー(
図1には示さず)は、外部グリッドに対して垂直にホールを通して導入される。そして、治療対象の前立腺の領域に入るまで導入される。コントロール・モニターに接続されたプローブを用いた超音波ガイダンスにより、外科医にとって、前立腺をモニター・スクリーン上で視覚化することが可能となり、そして所与の浸透深度で各ファイバーを導入することが可能となる。
【0007】
効果的な治療を目的として、使用するファイバーの数、小線源治療グリッドの特定のホール内のファイバーの位置、及び治療領域において各ファイバーが導入される長さは、各患者ごとに厳密に決定しなくてはならない。特に前立腺治療の場合、個々の治療計画は必要不可欠である。この理由として、異なるパラメーターが、光ファイバーの数、それらの位置、及び導入される長さを構成するが、これらのパラメーターは、明らかの患者ごとに異なるものであろう。また、前立腺の特性(体積、形など)、癌性腫瘍の位置、及び治療オプション(集中治療、半切除(hemiablation)など)に依存する。
【0008】
特に、文献「Treatment and planning and dose analysis for interstitial photodynamic therapy of prostate cancer」(Sean RH Davidson et al,Phys.Med.Biol.54(2009)2293−2313)に記載されているように、前立腺の光線力学療法を用いた治療のアシスト方法や計画立案を行うためのソフトウェア製品(ターゲット領域又は治療領域に関して十分な照射量を患者が享受しつつも、周辺の非ターゲット領域が享受する照射量を最小限にするのを確実にするためのもの)は既知である。該文献では、前立腺及び周辺領域内での配光を予想することに基づいて計画を立てている。より具体的には、有限要素法による解法を用いて光の散乱に関する式を解くことに基づく。該方法でモデル化される感光性物質に関連する光ファイバーの作用が原因となって、前記計画では、立体配置(特に、ファイバーの数及び小線源治療グリッドに対するファイバーの位置)を探ることから構成されることとなる。該計画は、モデル化する配光が患者の治療において最適なものとなるようにするためのものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうした計画方法の主な欠点は、モデリングにおいて、複雑な数学的計算を伴うことにある。従って、立体配置のパラメーターに基づいて計画立案の結果を得るための全時間は、数時間を越える可能性がある。配光が所望の配光と一致するまで、従業者(放射線医師又は外科医)は調整を手動で繰り返し行わなくてはいけない。
【0012】
こうした方法は、応用が著しく困難となる:プローブ(そして、光ファイバー)を前立腺内に導入すると、前立腺の形態や体積が著しく変化する。また、計画(ターゲット(治療領域)に対する光ファイバーの相対的位置を支持したモデル)の一貫性にも影響する。
【0013】
計算に時間を必要とすることから、治療時に(超音波プローブによって)実際に記録されたパラメーターに対して調整を行うのは非現実的である。
【0014】
従って、PDT治療のための計画立案においての光ファイバーの作用及びアシストをモデル化するための方法は未だ知られていない。該方法は、各患者ごとのPDT治療において使用されるパラメーターに関して最適化された立体配置を殆ど自動的に提供するのに十分に簡潔なな方法である。そして、従業者による干渉を殆ど必要としない。
【0015】
本発明は、既存の方法の欠点を克服することを具体的な意図したものであり、該克服方法は、一方で、簡単な計算に基づいてコンピュータによって実行されるモデリングツールであり、他方で、コンピュータによって実行される計画ツールでもある。該方法は、従業者にとっては簡単に使用できるものである。また、該方法は、迅速に(典型的には数分以内に)各患者ごとに適合させた計画を立案することができる。また、該方法は、従業者にとって、使用するファイバーの数、ファイバーの長さ、及びファイバーの位置(小線源治療において使用されるものに類似した外部グリッドに対する位置)を最適化する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これを目的とした本発明は以下の方法に関する:
モデリング方法であり、
コンピュータによって実行される方法であり、
前記光ファイバーの作用に関する方法であり、
光線力学療法で患者を治療するのに用いられる方法であり、
治療領域内に挿入したある長さの光ファイバーで、前記治療領域を、所定の波長で照射して、前記患者に投与され且つ予め決められた感光性物質を活性化し、前記治療領域に提示するモデリング方法であって、以下を特徴とする方法:
・前記方法は、ある作用半径Rと及びある作用長さLとを有する円柱の作用体積によって、前記光ファイバーの初等の理論的作用体積をモデリングするステップから構成される;
・前記作用半径Rと前記作用長さLは、実際の壊死領域の測定体積と相関する前記挿入長さ、及び決定するための前記作用半径Rに対応する;
・前記モデリングは、少なくとも1つの光ファイバーに関連した前記感光性物質を用いた異なる患者で実施された複数の臨床試験の後で行われる;
・臨床試験は、1組のパラメーターと関連している;
・該パラメーターは、前記臨床試験の実際の条件と対応しており、且つ使用する光ファイバーの数、小線源治療グリッドに対するこれらの相対的位置、及び前記治療領域における各ファイバーの挿入長さを少なくとも含む;
・理論的作用体積は、前記同組のパラメーターと、前記初等の理論的作用体積から計算される。
【0017】
前記モデリング方法は、好ましくは以下のステップを含む:
− 前記臨床試験からコンピュータ・データベースを構築するステップ(ここで、該ステップは、前記データベース中の各患者について、以下のものを保存する:
・第一のデジタル・ファイルであって、前記臨床試験前の前記治療領域に関する一連のデジタル画像に対応するファイル;
・第二のデジタル・ファイルであって、前記臨床試験後の前記領域に関する一連のデジタル画像に対応するファイル;及び
・前記臨床試験の実際の条件に対応する前記組のパラメーター;
− 測定ステップであって、前記データベース中の各患者についての測定であり、前記第一及び第二のデジタル・ファイルから、前記臨床試験間での前記実際の壊死領域の体積を測定するステップ;
− 計算ステップであって、前記データベース中の各患者についての計算であり、ファイバーに関する前記組及び前記初等の理論的作用体積のパラメーター内での全理論的作用体積を計算するステップ;
− 光ファイバーの作用半径Rを決定するステップであって、前記データベース中の各患者に関する前記算出された全理論的作用体積を、前記実際の壊死領域の測定体積に関連付けることにより決定するステップ。
【0018】
前記第一及び第二のデジタル・ファイルの一連のデジタル画像は、好ましくは、治療の前後の前記領域の横断面像にそれぞれ対応する。
【0019】
前記デジタル画像は、例えば、磁気共鳴画像又は超音波画像である。
【0020】
好ましい実施形態において、前記実際の壊死領域の体積を測定するステップが以下のサブステップを含む:
− コンピュータ・スクリーン上に表示されるコンピュータ・グラフィカル・ユーザー・インターフェース上で前記第二のコンピュータ・ファイルの一連の画像をロード及び表示するサブステップ;
− 前記コンピュータ・スクリーン上に表示される一連の各画像上に直接入力することにより前記実際の壊死領域の輪郭をとるサブステップ;
− 前記入力した輪郭をデジタル処理して、体積再構築を行うことにより前記実際の壊死領域の体積を測定するサブステップ。
【0021】
また、本発明は上記モデリング方法の原理と同じ原理を用いた計画作成であって、光線力学療法によって患者を治療するための計画作成をアシストする方法に関する。
より具体的には、本発明は以下のアシスト方法に関する:
コンピュータによって実行される方法であり、
光線力学療法で患者を治療するための計画を作成するための方法であり、
所定の感光性物質を前記患者に投与して、その後、複数の光ファイバーを通して所定の波長で照射することを必要とする方法であり、
前記光ファイバーは、小線源治療グリッドに対する位置に従って、ある挿入長さにわたって前記治療領域に導入するように設計されており、
以下のステップを含むことを特徴とする該方法:
− コンピュータ・スクリーン上に表示されるグラフィカル・ユーザー・インターフェース上で前記治療領域の一連のデジタル画像に対応するデジタルファイルをロード及び表示するステップ;
− 前記コンピュータ・スクリーン上に表示される一連の各画像上に直接入力することにより前記治療領域の輪郭をとるステップ;
− 前記入力した輪郭をデジタル処理して、体積再構築を行うことにより前記治療領域の体積を測定するステップ;
− 前記小線源治療グリッドの平面表示の表示及びポジショニングを行うステップ(ここで、前記グリッドは、前記一連の且つ対応する入力輪郭の各画像上に重ね合わせる);
− 使用された光ファイバの数、前記小線源治療グリッドに対するこれらの位置、及びこれらの挿入長さを計算することにより決定を行うステップであって、該ステップは、前記治療領域の測定体積と計算された全理論的作用体積との対応を最適化し、前記全理論的作用体積は、前記各ファイバーの位置、及びファイバーの初等の理論的作用体積に基づいて計算され、前記初等の理論的作用体積は、所定の作用半径Rと、前記ファイバーの挿入長さに対応する高さとを有する円柱の体積に対応する該ステップ。
【0022】
前記作用半径Rは、前記モデリング・プロセスに従ったモデリング方法に従って、予め決めておくことが好ましい。
【0023】
或いは、前記作用半径Rは、1組の可能な値から選択される。
【0024】
アシスト方法の好ましい実施形態において、計算による決定ステップは、勾配降下型最適化アルゴリズム(例えば、Powellアルゴリズム)を用いる。
【0025】
また、本発明は、コンピュータ・プログラム製品に関する。ここで、該製品は、コンピュータ上で実装した際に、本発明に従ったモデリング方法を実行する。
【0026】
最後に、本発明は、コンピュータ・プログラム製品に関する。ここで、該製品は、コンピュータ上で実装した際に、本発明に従ったアシスト方法を実行する。両コンピュータ・プログラム製品は、独立してもよく、又は、単一のコンピュータ・プログラム製品内で組み合せることができる。
【0027】
本発明の様々な態様は、添付図面とともに後述する説明を参照することにより更に深く理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0029】
最初に、本発明に従ったモデリング方法、即ち、光線力学療法による患者の抗癌治療で使用される光ファイバーの作用のモデリングの様々な段階について、
図2を参照しながら詳述する。また、強調すべき点として、本発明の方法は、コンピュータ上にインストールするべく設計されたソフトウェア製品によって実行される。従って、ソフトウェア製品は、幾つかのルーチン・ソフトウェアを含む。その幾つかについては、モデリングを伴う計算又は評価のステージに関するものがある。その一方で、グラフィカル・ユーザー・インターフェースの管理に特異的に関わるものもある。該インターフェースは、コンピュータ・スクリーン上に表示することができる。そして、グラフィカル・ユーザー・インターフェースを介してユーザーが入力することができる情報を処理することができる。
【0030】
本研究で、出願人は、前立腺癌の治療のためのWST11感光性薬剤に関連して、特定波長763nmを用いた光ファイバーの使用のためのモデリング方法について実証した。容易に理解されるであろうが、該モデリングから得られる計画作成におけるモデリング並びに該モデリングのアシストの原理については、光ファイバー及び感光性薬剤に関する他の組合せでも用いることができるし、他の臓器の治療に用いることができる。
【0031】
本発明のモデリング方法は、本質的には以下の事実に基づく:即ち、感光性薬剤と組み合せて考慮される光ファイバーの初等の理論的作用体積は、半径R(ファイバーの作用半径に対応する)及び長さL(ファイバーが光を放出する長さに対応する)を有する円柱の体積によってモデリングすることができる。このモデルは、
図3に示すように、異なる観察角度の下でのファイバーの放出プロファイルの検討を基にした物である。異なる観察角度に対応する様々な曲線を比較すると、ファイバーの長軸に対して90°の角度で、最大強度が得られることが実際に見て取れる。そこで、出願人は、以前の臨床試験の結果に基づくファイバーの作用半径Rを決定する方法を模索した。
【0032】
出願人の研究が示すところによれば、以下の両者の間で相関係数が0.8超となるアフィン関係(affine relationship)を確立することが可能であった:
−最初は、異なる患者で実施された臨床試験での実際の壊死領域の体積である。該試験では、少なくとも1つの光ファイバーに関連する同じ感光性物質を用いる。各臨床試験は、1組のパラメーターと関連する。該パラメーターは、現実の臨床試験条件に対応し、そして、該パラメーターは、使用される光ファイバーの数、小線源治療グリッドに対する光ファイバーの位置、及び治療領域での各ファイバーの挿入長さを少なくとも含む。
−そして、第二に、理論的作用体積であり、該体積は、同じ組のパラメーターと、ファイバーの初等の理論的作用体積から計算される。
【0033】
理論的作用体積は、ファイバーの初等の理論的作用体積(ひいては、特に作用半径の関数となる体積)に依存するため、作用半径を容易に決定することが可能である。
【0034】
従って、
図2参照のとおり、モデリング方法(100)は、予備的ステップ(110)を含み、該ステップは、本発明者らが探求するモデリング対象である少なくとも1つの光ファイバーに関連する同一の感光性物質を同一の用量(例えば4mg/kgのWST11)を用いて、複数の患者に対して予め行った臨床試験からの結果のデータベースを構築するステップである。前記構築は、データベース中の患者ごとに1つのレコードを、少なくとも以下の要素と共に記憶することを含む:
・第一のデジタル・ファイルであって、臨床試験前の治療領域に関する一連の磁気共鳴画像に対応するファイル(好ましくは一連の横断面像);
・第二のデジタル・ファイルであって、臨床試験後の前記領域に関する一連の磁気共鳴画像に対応するファイル(好ましくは、PDTによる前記領域の治療から数日後);及び
・前記臨床試験の実際の実施条件に対応する全てのパラメーター(該パラメータは、使用される光ファイバーの数、該光ファイバーの小線源治療グリッドでの位置、及び治療領域での各ファイバーの導入長さを少なくとも含む)。
【0035】
例えば、
図4は概略的に以下の物を示している:輪郭(3)を有する治療前の前立腺の横断面像;件の臨床試験PDT治療の為に実際に使用された光ファイバー(4)、即ち12本の同一の光ファイバー;及びそれらの位置。中心点(5)は概念的に尿道の位置を表している。光ファイバーを表す各点の隣には、前立腺に各ファイバーを挿入する長さを表す数値を示した。
図5は、PDT治療から7日後に撮った磁気共鳴画像によって得られた前立腺の同一の横断面像を示す。
【0036】
一旦データベースが作成されると、ステップ(120)の手順が実行される。該ステップの目的は、前記第一及び第二のデジタル・ファイルを基にして、データベース中の各患者(即ち、データベース中の各記録)について測定を行うことにより、臨床試験の際の実際の壊死領域の体積を決定することである。
【0037】
好ましい本発明の実施形態において、当該ステップ(120)には、以下のステップを含むと有利である:即ち、第一ステップ(121)として、コンピュータ・スクリーンに表示されたグラフィカル・ユーザー・インターフェース(図示しない)上に、第二のファイルの一連の画像をフレームごとにロード及び表示する。その後、ユーザー(この場合、放射線医師又は外科医)は、次のステップ(122)に進む。該ステップでは、直接入力を行うことによって(好ましくはコンピュータに接続されたマウスを通して)、コンピュータ・スクリーン上に表示された一連の各画像上で、実際に壊死した領域の輪郭をとる。従業者が指定した輪郭は、各画像上に直接重ね合わせて表示される。これにより、次のステップに移る前に必要となる輪郭の任意の変更を行うことが可能となる。その後、ステップ(123)においては、入力された輪郭について従来のデジタル処理を行うことによる体積再構築によって、実際の壊死領域の体積を効果的に計算することができる。
【0038】
ステップ(121−123)は、データベースの各記録ごとに繰り返す。ステップ(120)の後、実際の壊死領域に関する全ての体積も、データベース中に保存された全ての臨床試験に提供される。
【0039】
本発明に従った方法における次のステップ(130)は、ステップ(120)の前、後又は同時のいずれかで実際には行うことができるが、該ステップは、データベース内の各患者に関して以下
に基づいて全理論的作用体積を決定することから構成される:ファイバーのトータル
数;各ファイバーの位置;各ファイバーの挿入長さ;及び以下の式で表される光ファイバーの初等の理論的作用体積:
V=πR
2L
【0040】
再び、該体積を、体積再構築に関する従来の方法で計算する。しかしここでは、以下のことを考慮に入れる:各横断面像平面、光ファイバー本体の輪郭全体(ここで、各ファイバーは、円柱として扱う)。
図6は、第二のデジタル・ファイルから得られた前立腺の横断磁気共鳴画像で比較を行った例を示す。ここでは、対応する臨床試験の間実際に用いられた光ファイバー(4)の位置が重ね合わせられており、小線源治療グリッド(1)(
図6の左)及び輪郭全体と同一のレベルで関連付けられている。各ファイバーの作用体積は、白色の長方形で表されているが、円柱としてモデル化されている(
図6右)。
【0041】
一旦、ステップ(120)及びステップ(130)が実行されれば、後やるべきこととして残っているのは、
図2で言及したような決定を行うステップ(140)である。即ち、データベース中の各患者に関して、実際の壊死領域の測定体積を用いて計算された全理論的作用体積との相関関係を調べることによって光ファイバーの作用半径Rを決定する。
【0042】
上述したモデリング方法(100)について、28例の臨床試験の結果から構築したデータベース上で検証を行った。該試験は、関与する患者について、4mg/kgの用量で行った。15〜40mmの範囲且つ5mmごとの区切りでの挿入長さで、複数のファイバーを毎回用いた。
【0043】
図7の右側の曲線は、理論体積と、臨床試験から得られた実際の壊死領域の体積との間で得られた非常に良好な相関関係を示している(相関係数が0.87)。本検証において、28例の臨床試験での実際の壊死領域の体積に最も近い理論的体積でのRの値は、平均半径7.49mmで、精度は1.08mmであった。
【0044】
次に、
図7の左側のグラフは、初等のファイバーの体積の合計と実際の壊死体積との相関関係の結果を表す。従って、初等のファイバーの体積の合計よりも、ファイバーの位置に従った全てのファイバーによって形成される作用体積を考慮して得られたものの方が、より良好な相関関係となる点に留意されたい。これは以下の事実を考慮することにより理由付けられる:
図8の例で示すように、2つのファイバーA及びBが、オーバーラップ領域Cを持つように配置された場合、作用体積は、初等の2つの別々のファイバーを合計したものには対応せず、これら初等の体積の合計よりも、共通体積分少ないものに対応する。換言すれば、モデリングにおいては、ファイバーの作用は、別のファイバーの作用によって既にカバーされている体積部分を考慮に入れるべきではない。なぜならば、カバーした領域内での細胞の壊死は一度しか起こりえないからである。
【0045】
上述したモデリング結果は、任意の将来的なPDT治療の計画作成、即ち、本発明に従った計画作成のアシストの方法(200)の実施においても使用することができる。これについては、特に
図9に言及しながら、以下述べることとする。繰り返しにはなるが、アシスト方法は、コンピュータ上にインストールされるように設計されたソフトウェア製品によって実装されるべきものである。そして、幾つかのプロセス・ステップでは、ユーザー(典型的には従業者)による仲介を必要とする。該仲介は、コンピュータ・スクリーン上に表示され、且つソフトウェア製品によって制御されるように設計されたグラフィカル・インターフェースを介して行われる。本計画作成の目的は、1組のパラメーターを迅速に従業者に提供することにある。該パラメーターは、光線力学療法を受ける任意の患者について、以下の観点から最適化される:使用されるファイバーの数;小線源治療グリッドに対するファイバーの位置;、及び治療領域への挿入長さ。
【0046】
以下の詳述する種々のステップ(210−240)を実行するために、ソフトウェア製品の修正を予め行い、光ファイバーの作用半径Rの値を決定しなくてはならない。これは、別途決められたRの値を記憶することによって達成できる。または、1組の可能な値(例えば、以下の値の組{5.5mm,5.6mm,6.5mm,7.5mm,8.5mm})からRの値をユーザーが選択可能にすることによって達成することができる。しかし、
図9に示すように、Rの値は、上述したモデリング方法(100)のステップを実行する同じソフトウェア製品内で決定されることが好ましい。従って、任意の新たな臨床試験を考慮にいれて、任意の時間で作用半径の値を再修正することが可能である。
【0047】
そして、アシスト方法の第一のステップ(210)では、治療領域の一連のデジタル画像(磁気共鳴又は超音波のいずれか、好ましくは平面の横断面)に対応するデジタル・ファイルを、コンピュータ・スクリーン上に表示されるグラフィカル・ユーザー・インターフェースに、ロード及び表示することを可能にするステップからなる。デジタル・ファイルは、例えば、DICOM形式である。
図10は、例えば、領域とともにグラフィカル・ユーザー・インターフェース(6)を表示するコンピュータ・スクリーンのコピーを示す。ここで、患者の前立腺の横断画像(7)をディスプレイにロードする。該スクリーンショットを見てお分かりの通り、グラフィカル・インターフェース(6)には、情報ゾーン(8)も含まれている。該ゾーンでは、幾つかのフィールドが存在し、ユーザーは、該フィールドに直接入力することができる。入力手段としては、コンピュータに接続されたキーパッド、及び様々なコマンドボタンがあり、多数のアクションをユーザーが引き起こすことを可能にする。特に、ステップ(210)の後、ユーザーは、画像のデジタル・ファイルの異なる断面間を、インターフェース・ゾーン(9)のナビゲーションボタンを用いて、ナビゲートすることができる。そして、表示された各画像(7)について、インターフェース・ゾーン(10)上の2つのボタンを通じて、ズームイン及びズームアウトをそれぞれ行うことができる。他のボタンの中には、表示された画像を動かしたり、コントラストを変更することを可能にするものもある。様々な患者の情報をインターフェース・ゾーン(8)に直接入力することができる。例えば、以下のものが挙げられる:検査を行ったセンター、患者の識別情報及び名前、患者の生年月日、投与した用量及びエネルギー量、並びに任意の適切なコメント。こうした全ての情報は、計画を作成した後保存される(例えばPDFファイル形式で)。
【0048】
ステップ(210)の後、従業者は、治療領域の輪郭を入力するために、直接グラフィカル・インターフェース(6)のステップ(220)に進むことができる。該輪郭入力は、グラフィカル・インターフェース(6)上に表示された一連の画像(7)に対して、直接入力を行うこと(好ましくは、コンピュータに接続されたマウス)によって行われる。従業者が入力した輪郭は、各画像を直接重ね合わせた状態で表示される。これにより、次のステップに移る前に必要となる任意の輪郭変更を行うことが可能となる。一例として、
図11は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース領域を表すコンピュータ・スクリーンショットを示しており、該領域では、ユーザーが描いた輪郭(11)を、平面な断面画像(7)上に重ね合わせたうえで表示することができる。
【0049】
ここで、前立腺癌のPDT治療の間、前記腺の異なる領域を治療することが出来る点に留意されたい。これらの異なる臨床手順に従い、コンピュータによって実装されるアシスト方法は、ユーザーが、患者ごとに適切な手順を決定することを可能にする点で有利である。前記方法は、4つのオプションを提供する:
−腺全体の治療;
−右葉(right lobe)の治療(右半切除);
−左葉(left lobe)の治療(左半切除);
−病巣の治療。
【0050】
輪郭を入力するステップ(220)の前に、ユーザーは、該ユーザーが思い描く治療の種類を選択できる点で有利である。例えば、グラフィカル・ユーザー・インターフェースのプルダウンメニューによる選択ゾーン(12)を通して選択である(
図10参照)。
【0051】
選択する治療の種類に応じて、前立腺の輪郭のほか、ユーザーは、更に厳密に治療領域を定義する他の輪郭を入力することを義務付けても良い。
【0052】
従って、輪郭を入力するステップ(220)の後、ユーザーは、一連の横断面のMRI及び治療領域の輪郭を得てもよい。これらは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースのディスプレイ上で重ね合わせて表示することができる。上述したものと同一のナビゲーション・ボタン(9)、拡大縮小ボタン(10)、コントラスト変更、又は移動ボタンなどをこの時点で使用することができる。有利な点として、任意の経過時間後にリロード又は閲覧した際に、輪郭を保存することができる。
【0053】
その後、本発明に従った計画作成アシスト方法の次のステップ(230)は、ステップ(220)で入力された輪郭に対して従来のデジタル処理を行うことによる体積再構築によって、治療領域の体積を測定することから構成される。治療領域が全体の前立腺である場合には、該ステップは、特定のコマンドボタン(例えば、
図10に示すボタン13)などのユーザーのアクションによって引き起こされることが好ましい。従って、測定体積は、グラフィカル・インターフェースでcm
3の単位で表示すると有利である。測定体積が前立腺の体積である場合には、3つの空間平面(横断面、矢状面及び冠状面)上でミリメートルの単位で、最大サイズの前立腺を計算及び表示することもできる。
【0054】
本発明に従った計画作成アシスト方法に従ったステップ(240)は、対応するシリーズの各画像及び入力した輪郭上に重ね合わせた小線源治療グリッド平面を表示及び位置調整を行うことから構成される。この目的のため、ユーザーは、一連の予めロードした横断面像(好ましくは、前記シリーズの中心切断に対応する画像)から画像を選択しなくてはならない。選択した画像は、ステップ(220)で予め入力した重ね合わせの輪郭(複数可)と共に、グラフィカル・インターフェース上の対応する表示領域内に表示する。この段階で、有利には、ユーザーは、初期のセーフティ・マージン(an initial safety margin)を定義することができる。該マージンは、適正なファイバーの位置と前立腺のカプセルとの間で必要な最小限の距離と対応する。この距離については、デフォルトで、所定の固定値(例えば、6mm)に初期化する。しかし、グラフィカル・インターフェースを通して、入力領域(14)内で変更することができる(
図10参照)。ステップ(240)はユーザーによって引き起こされることが好ましい(例えば、入力領域(14)内にあるグラフィカル・ユーザー・インターフェースの特定のアクション・ボタンをアクティブにすることによって)。
【0055】
図12a及び12bは、一例として、ステップ(240)を実施している間に得られた2つのスクリーンショットを表す。より具体的には、
図12aは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースの領域を表している。該領域上では、選択された平面横断面画像(7)が以下のものと同時に表示される:ユーザーが入力し(ステップ(220))、以前関連づけされた輪郭(11);及び正方形(15)。ここで、該正方形は、その側面が第一のセーフティ・マージンに対応し、その中心は、小線源治療グリッド上の特定の位置と対応する。典型的には、
図1で示したグリッドの中心カラムDと該グリッドの下線1との間の交点に対応する位置D1である。該正方形は、有利には、該正方形の中心ポイントをクリックすることによって、ユーザーがグラフィカル・ユーザー・インターフェースを介して動かすことができる。
【0056】
図12bは、グラフィカル・インターフェース(6)の領域を表している。該領域では、小線源治療グリッドのグラフィカル平面表示(16)(選択された平面横断画像(7)上に重ね合わせている)、及びこれに対応する以前入力した輪郭(11)(ステップ(220))を示している。平面表示(16)は複数の記号として表されており、ここでは、円であり、
図1の小線源治療グリッドに従ったマトリックス上に配置されている。治療に適性を有する可能性のあるファイバーの位置をユーザーに視覚的に示すために、この段階で色を使用することができると有利である。例えば、白色の円であれば、前立腺の輪郭の外部に位置しているため、適性な位置ではないことを表す。そして、赤色の円であれば、前立腺の輪郭内の位置に対応しているが以下のいずれかの理由で適性な位置ではないことを表す:治療領域ではない;又は、予め決められたセーフティ・マージンによれば、リスクの高い領域(例えば、カプセル又は尿道)にあまりに近すぎる。そして、緑色の円であれば、適性のある特定の位置を意味し、従って、選択可能な光ファイバーの最大数を示すことができる。
【0057】
次のステップ(250)(
図9)は、本発明に従った計画作成アシスト方法の中核を形成する。当該ステップは、最適のパラメーターを計算することにより自動的に決定することに関する。また、前記決定は以下の観点から行う:使用する光ファイバーの数、小線源治療グリッド上での光ファイバーの位置、及び光ファイバーの挿入長さ。前記ステップは、治療領域のステップ(230)において前記体積から計算される全理論的作用体積間でのベストマッチを得ることを可能にする。
【0058】
理論的作用体積の計算は、
図2のモデリング方法(100)に言及しながら説明した原理と同一のモデリング原理に基づく。従って、全理論的作用体積は、以下に基づいて計算される:各ファイバーの位置及びファイバーの初等の理論的作用体積。後者の初等の体積は、所定の作用半径R、及びファイバーの挿入長さに対応する高さを有する円柱の体積に対応する。
【0059】
最適化を可能にするため、ステップ(250)は、勾配降下型最適化アルゴリズム(例えば、Powellアルゴリズム)を用いることが好ましい。このアルゴリズムは、共役方向(conjugated directions)に沿った1次元最小化を実行する。S
T1 As
2 =0のとき、
【数1】
の2つのベクトル(又は方向)s
1及びs
2は、正定値対称行列Aと向かい合って共役している。このアルゴリズムは、最小化するための目的関数を定義することを必要とする。ここで関数fは以下のように定義される:ターゲット領域を最適にカバーしながら、前立腺の範囲外(ターゲットの外)が壊死にならないという制約を守りつつ、アルゴリズムがファイバーの位置を最適なものにする。使用される関数は、以下の式で数学的に定義することができる:
【数2】
【0060】
ここで、Nは全ファイバーの数である。iは特定のファイバーを表すインデックスである。vはボクセルである。Tはターゲット領域である。そして、Hはターゲットの外側を表す。w
1及びw
2は、固定された正の重み付けである。
【0061】
換言すれば、Powellアルゴリズムは、最良のパラメーター値(Nの数、各ファイバーiの位置、挿入長さ)を見つけるためにここでは用いられる。そして、該アルゴリズムは、異なるパラメーター値に関して計算された理論体積と、治療領域の体積の測定値との違いを最小限にするものである。実際、アルゴリズムは、最初の可能値Nを課すことから開始する。該値は、ステップ(230)で測定されたターゲット体積を、ファイバーの初等の理論的作用体積で割ることによって見積もる。後者は、πR
2Lと等しい値である。ここで、Rはファイバーの所定の作用半径である。
【0062】
そして、前記アルゴリズムは、ファイバーについての全ての可能な位置及び挿入長さの探索を繰り返し継続する。これにより、関数fの最小値に向かってアルゴリズムが収束することを可能にする。選択されたモデルであれば、そして、アルゴリズムによって実行される計算が簡単であれば、数分後という期間で、結果を迅速に得ることができる。アルゴリズムは、実際に適性な位置(ステップ(240)において表示したグリッドの平面表示上の緑色円)だけしか考慮しないため、計算は特に高速となる。
【0063】
最適化ステップ(250)は、好ましくはユーザーによって開始される。例えば、入力領域(18)(
図10参照)内に位置するグラフィカル・ユーザー・インターフェース(6)の特定のアクション・ボタン(17)をアクティブにすることによって開始される。
【0064】
また、使用の際には更なる柔軟性を持たせることが出来る点に留意されたい。更なる柔軟性として、最適化処理(250)を起動する前に、治療領域に適性のあるファイバーの最大数に適合しない場合に、特定のパラメーター(例えば、使用するファイバーの数)をユーザーが選択するように促すことができる。この場合、ファイバーの数をユーザーが直接入力する。そして、好ましくは、グラフィカル・インターフェースの入力領域(18)内で入力する。更に、ユーザーは、上述した第一のセーフティ・マージンのほかに、更なる2つのセーフティ・マージンをユーザー自身で定義することができる。1つ目のマージンは、ファイバーの末端と、ベース・レベル(デフォルトで、5mmに設定)での前立腺のカプセルとの最小距離に対応する。2つ目のセーフティ・マージンは、ファイバーの末端と、頂点(デフォルトで3mmに設定)での前立腺のカプセルとの最小距離に対応する。有利なことに、これらの異なるセーフティ・マージンは、グラフィカル・インターフェースの入力領域(18)内の特定の専用フィールドレベルで、直接入力することによりユーザーが変更できる。最後に、既に上述したが、ユーザーは、値の組{5.5mm,5.6mm,6.5mm,7.5mm;8.5mm}の中から作用半径の値Rを選択することができる。
【0065】
全ての場合において、最適化における最後のステップ(250)では、各ファイバーについて、最小数(ユーザーによる選択又は自動最適化による)、位置、及び長さに関する結果が得られる。これら全てのパラメータの値は、患者の特定のケースに最適化されている。該結果については、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(例えば、入力領域(18)の近くの特定の表示領域(19)(
図10))上に表示すると有利である。
【0066】
これらのデータのほかに、以下の追加データを表示することも可能である:
−シミュレートされたターゲット体積と比べた壊死のカバー範囲の割合;
−ターゲット体積上のファイバーの長さの合計に対応するインデックス;
−ファイバーの長さの合計;
−3例(軸方向、矢状面及び冠状面)のMRI画像上でのシミュレート作用体積のグラフィック表示。
【0067】
明らかなことではあるが、結果を保存することもできる。例えば、PDFファイル形式で保存することができる。その結果、コンピュータ上に表示したり、又は紙面に印刷することによって、ユーザーは任意の時間にコンサルを行うことができる。そして、計画レポートについては、以下の項目を含む概観を提示することができる。
−グラフィカル・インターフェース内に予め入力された任意の患者の情報;
−異なる測定体積;
−選択された治療の種類;
−最適化において考慮されるセーフティ・マージン;
−使用されるファイバーの作用半径;
−選択又は最適化されるファイバーの数;
−ファイバーの位置及び長さ;
−各ファイバー間の距離;
−インデックス、ファイバーの長さの合計、及び達成されるカバー率
−計画に使用するための種々のMRI断面図
【0068】
有利には、得られた計画は、例えば、手動でファイバーの数を変更することなどにより、精錬させることができる。ファイバーの追加又は削除、カバー率、インデックス及び長さの合計それぞれについては、再計算し、インターフェース上に表示することができる。また、同じ患者についての新たな計画も、以下から選択される1以上のパラメータを変更することにより、容易に導入することができる:
−小線源治療グリッドの位置
−ファイバーの数
−セーフティ・マージン
−ファイバーの作用半径
本発明は一側面において以下の発明を包含する。
(発明1)
モデリング方法(100)であり、
コンピュータによって実行される方法であり、
前記光ファイバーの作用(4)に関する方法であり、
光線力学療法で患者を治療するのに用いられる方法であり、
治療領域内に挿入したある長さの光ファイバーで、前記治療領域を、所定の波長で照射して、前記患者に投与され、前記治療領域に存在し、且つ予め決められた感光性物質を活性化するモデリング方法であって、以下を特徴とする方法:
・前記方法は、ある作用半径Rと及びある作用長さL(ここで、前記Lは前記挿入した長さに対応する)とを有する円柱の作用体積によって、前記光ファイバーの初等の理論的作用体積をモデリングするステップから構成される;
・前記作用半径Rと前記作用長さLは、実際の壊死領域の測定体積と相関する前記挿入長さ、及び決定(140)するための前記作用半径Rに対応する;
・前記モデリングは、少なくとも1つの光ファイバーに関連した前記感光性物質を用いた異なる患者で実施された複数の臨床試験の後で行われる;
・臨床試験は、1組のパラメーターと関連している;
・該パラメーターは、前記臨床試験の実際の条件と対応しており、且つ使用する光ファイバーの数、小線源治療グリッド(1)に対するこれらの相対的位置、及び前記治療領域における各ファイバーの挿入長さを少なくとも含む;
・理論的作用体積は、前記同組のパラメーターと、前記初等の理論的作用体積から計算される。
(発明2)
発明1に記載のモデリング方法(100)であり、以下のステップを含むことを特徴とする方法:
− 前記臨床試験からコンピュータ・データベースを構築(110)するステップ(ここで、該ステップは、前記データベース中の各患者について、以下のものを保存する:
・第一のデジタル・ファイルであって、前記臨床試験前の前記治療領域に関する一連のデジタル画像に対応するファイル;
・第二のデジタル・ファイルであって、前記臨床試験後の前記領域に関する一連のデジタル画像に対応するファイル;及び
・前記臨床試験の実際の条件に対応する前記組のパラメーター);
− 測定(120)ステップであって、前記データベース中の各患者についての測定であり、前記第一及び第二のデジタル・ファイルから、前記臨床試験間での前記実際の壊死領域の体積を測定するステップ;
− 計算(130)ステップであって、前記データベース中の各患者についての計算であり、ファイバーに関する前記組及び前記初等の理論的作用体積のパラメーター内での全理論的作用体積を計算するステップ;
− 1つの光ファイバーの作用半径Rを決定する(140)ステップであって、前記データベース中の各患者に関する前記算出された全理論的作用体積を、前記実際の壊死領域の測定体積に関連付けることにより決定するステップ。
(発明3)
発明1に記載のモデリング方法(100)であって、前記第一及び第二のデジタル・ファイルの一連のデジタル画像が、治療の前後それぞれの前記領域の横断面像に対応することを特徴とする該方法。
(発明4)
前記発明のいずれか1つに記載のモデリング方法(100)であって、前記デジタル画像が磁気共鳴画像又は超音波画像であることを特徴とする該方法。
(発明5)
前記発明のいずれか1つに記載のモデリング方法(100)であって、前記実際の壊死領域の体積を測定するステップ(120)が以下のサブステップを含むことを特徴とする該方法:
− コンピュータ・スクリーン上に表示されるコンピュータ・グラフィカル・ユーザー・インターフェース上で前記第二のコンピュータ・ファイルの一連の画像をロード及び表示する(121)サブステップ;
− 前記コンピュータ・スクリーン上に表示される一連の各画像上に直接入力することにより前記実際の壊死領域の輪郭をとる(122)サブステップ;
− 前記入力した輪郭をデジタル処理して、体積再構築を行うことにより前記実際の壊死領域の体積を測定する(123)サブステップ。
(発明6)
アシスト方法(200)であって、
コンピュータによって実行される方法であり、
光線力学療法で患者を治療するための計画を作成するための方法であり、
所定の感光性物質を前記患者に投与して、その後、複数の光ファイバーを通して所定の波長で照射することを必要とする方法であり、
前記光ファイバーは、小線源治療グリッド(1)に対する位置に従って、ある挿入長さにわたって前記治療領域に導入するように設計されており、
以下のステップを含むことを特徴とする該方法:
− コンピュータ・スクリーン上に表示されるグラフィカル・ユーザー・インターフェース(6)上で前記治療領域の一連のデジタル画像(7)に対応するデジタル・ファイルをロード及び表示する(210)ステップ;
− 前記コンピュータ・スクリーン上に表示される一連の各画像上に直接入力することにより前記治療領域の輪郭をとる(220)ステップ;
− 前記入力した輪郭(11)をデジタル処理して、体積再構築を行うことにより前記治療領域の体積を測定する(230)ステップ;
− 前記小線源治療グリッド(1)の平面表示(16)の表示及びポジショニングを行う(240)ステップ(ここで、前記グリッドは、前記一連の且つ対応する入力輪郭(11)の各画像(7)上に重ね合わせる);
− 使用された光ファイバの数、前記小線源治療グリッドに対するこれらの位置、及びこれらの挿入長さを計算することにより決定を行う(250)ステップであって、該ステップは、前記治療領域の測定体積と計算された全理論的作用体積との対応を最適化し、前記全理論的作用体積は、前記各ファイバーの位置、及びファイバーの初等の理論的作用体積に基づいて計算され、前記初等の理論的作用体積は、所定の作用半径Rと、前記ファイバーの挿入長さに対応する高さとを有する円柱の体積に対応する該ステップ。
(発明7)
発明6に記載のアシスト方法(200)であって、発明1〜5のいずれかに記載のモデリング方法に従って作用半径Rが予め決定されていることを特徴とする該方法。
(発明8)
発明6に記載のアシスト方法(200)であって、前記作用半径Rは1組の可能な値から選択されることを特徴とする該方法。
(発明9)
発明6〜8いずれか1つに記載のアシスト方法(200)であって、前記治療領域の一連のデジタル画像(7)が前記治療領域の前記横断面像に対応することを特徴とする該方法。
(発明10)
前記発明のいずれかに記載のアシスト方法(200)であって、前記デジタル画像が磁気共鳴画像又は超音波画像であることを特徴とする該方法。
(発明11)
発明6〜10いずれか1つに記載のアシスト方法(200)であって、計算による決定ステップ(250)が勾配降下型最適化アルゴリズムを用いることを特徴とする該方法。
(発明12)
発明11に記載のアシスト方法(200)であって、計算による決定ステップ(250)がPowellアルゴリズムを用いることを特徴とする該方法。
(発明13)
コンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ上で実装した際に、発明1〜5いずれか1つに記載のモデリング方法を実行する該製品。
(発明14)
コンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ上で実装した際に、発明6〜12いずれか1つに記載のアシスト方法を実行する該製品。