(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、前記車輪の前記タイヤ内に設けられるとともに前記タイヤの状態に関するデータを送信する車輪側ユニット、及び前記車輪側ユニットから送信された前記データを受信する受信機を備えたタイヤ状態監視装置であって、
前記車輪側ユニットは、Bluetooth Low Energy規格に準拠するとともにアドバタイジング信号に前記データを含めて送信を行う送信部と、前記送信部を駆動するためのバッテリとを有し、
前記受信機は、Bluetooth Low Energy規格に準拠するとともに前記車輪側ユニットから送信される前記アドバタイジング信号の待ち受けを行う待受状態を、前記アドバタイジング信号を受信した後も継続する受信部を有するタイヤ状態監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、Bluetoothによる無線通信よりも低電力で通信を行う通信方式として、Bluetooth Low Energy(以下、BLEと称する)規格による通信が挙げられる。BLE規格による通信では、車輪側送受信機が無線信号を送信するときのみ車両側送受信機を、無線信号を受信可能な待受状態にする(=時間同期通信)ことで、受信機を待受状態に維持するための消費電力を低減している。しかしながら、BLE規格による通信では、車輪側送受信機が無線信号を送信するタイミングを把握するために時間同期を行う必要がある。この時間同期を行うために車輪側送受信機と車両側送受信機とが時計合わせのための通信を行う必要があり、車輪側送受信機、車両側送受信機ともに消費電力が大きくなってしまう。両者のうち、車輪側送受信機は、車輪に取り付けられるため、車体に取り付けられる車両側送受信機のバッテリに比べて大型のバッテリを使用することができず、車輪側送受信機の消費電力を低減することが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、車輪側ユニットの消費電力を低減させることができるタイヤ状態監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するタイヤ状態監視装置は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤの状態を監視するために、前記車輪の前記タイヤ内に設けられるとともに前記タイヤの状態に関するデータを送信する車輪側ユニット、及び前記車輪側ユニットから送信された前記データを受信する受信機を備えたタイヤ状態監視装置であって、前記車輪側ユニットは、Bluetooth Low Energy規格に準拠するとともにアドバタイジング信号に前記データを含めて送信を行う送信部と、前記送信部を駆動するためのバッテリとを有し、前記受信機は、Bluetooth Low Energy規格に準拠するとともに前記車輪側ユニットから送信される前記アドバタイジング信号の待ち受けを行う待受状態を、前記アドバタイジング信号を受信した後も継続する受信部を有する。
【0007】
これによれば、受信機は、アドバタイジング信号を受信した後にも、車輪側ユニットとの接続を確立せず、車輪側ユニットと受信機で時間同期通信が行われない。このため、BLE規格による通信で車輪側ユニットのバッテリの消費電力が低減されることに加えて、時計合わせのための通信による電力消費がなく、車輪側ユニットのバッテリの消費電力が低減される。
【0008】
上記タイヤ状態監視装置について、前記受信機は、前記車輪の識別情報が記憶された記憶部を有し、前記車輪側ユニットから送信された前記アドバタイジング信号に含まれる前記識別情報と、前記記憶部に記憶された前記識別情報とを照合し、前記アドバタイジング信号に含まれる前記識別情報と前記記憶部に記憶された前記識別情報が一致したときに前記タイヤの状態に関するデータを取得することが好ましい。
【0009】
これによれば、意図しない車両に設けられた車輪側ユニットから送信されたアドバタイジング信号を受信したとしても、そのアドバタイジング信号に含まれるデータは取得されないため、誤ったタイヤの状態に関するデータを取得することが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車輪側ユニットの消費電力を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、タイヤ状態監視装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、タイヤ状態監視装置10は、車両11の4つの車輪12にそれぞれ取り付けられる4つの車輪側ユニット20と、車両11の車体に設置される受信ユニット40と、車両11のユーザが携帯する携帯通信端末30とを備えている。各車輪12は、車両用ホイール13と、この車両用ホイール13に装着されるタイヤ14とを含む。
【0013】
車輪側ユニット20は、タイヤ14の内部空間に配置されるように、そのタイヤ14が装着された車両用ホイール13に対して取り付けられている。各車輪側ユニット20は、対応するタイヤ14の状態(タイヤ空気圧及びタイヤ内温度)を検出して、検出されたタイヤ情報を一定時間毎に受信ユニット40に無線送信する。
【0014】
図2に示すように、各車輪側ユニット20は、圧力センサ21、温度センサ22、加速度センサ23、センサユニットコントローラ24、車輪側送受信回路25(送受信回路25と図示)、車輪側アンテナ29及びバッテリ26を備えている。センサユニットコントローラ24は車輪側ユニット20の動作を統括的に制御する。圧力センサ21は、対応するタイヤ14内の圧力(タイヤ空気圧)を検出する。温度センサ22は、対応するタイヤ14内の温度(タイヤ内温度)を検出する。加速度センサ23は自身に作用する加速度を検出する。
【0015】
センサユニットコントローラ24は、CPUや車輪側記憶部27(RAMやROM等)などを含むマイクロコンピュータ等よりなり、車輪側記憶部27(記憶部27と図示)には各車輪側ユニット20に固有の識別情報であるIDコードが登録されている。このIDコードは、各車輪側ユニット20を受信ユニット40において識別するために使用される情報である。
【0016】
送信部としての車輪側送受信回路25は、BLE(Bluetooth Low Energy)規格に準拠しており、2.4GHz帯を用いてBLE規格に準拠した受信機と通信(送受信)を行う。車輪側送受信回路25には、センサユニットコントローラ24から、タイヤ空気圧データ、タイヤ内温度データ及びIDコードを含むタイヤ情報が入力される。圧力センサ21、温度センサ22、加速度センサ23、センサユニットコントローラ及び車輪側送受信回路25は、バッテリ26によって駆動する。
【0017】
図1に示すように、受信ユニット40は、受信ユニットコントローラ41、受信側送受信回路42(送受信回路42と図示)及び受信側アンテナ47を備えている。受信ユニット40の受信ユニットコントローラ41には、表示器43、警報器44及び車両11の車体に搭載された車両側バッテリ45が接続されている。受信ユニットコントローラ41はCPU及び記憶部46(ROMやRAM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなり、記憶部46には受信ユニット40の動作を統括的に制御するプログラムが記憶されている。また、記憶部46には、各車輪12に設けられた車輪側ユニット20のIDコードが記憶されている。受信部としての受信側送受信回路42は、BLE(Bluetooth Low Energy)規格に準拠しており、2.4GHz帯を用いてBLE規格に準拠した送信機と通信(送受信)を行う。受信側送受信回路42は、各車輪側ユニット20から受信側アンテナ47を通じて受信された信号を復調して、受信ユニットコントローラ41に送る。
【0018】
受信ユニットコントローラ41はさらに、タイヤ空気圧やタイヤ内温度(タイヤ14の状態)の異常を警報器(報知器)44にて運転者に報知させる。警報器44としては、例えば、異常を光の点灯や点滅によって報知する装置や、異常を音によって報知する装置が適用される。
【0019】
受信ユニットコントローラ41は、受信側送受信回路42からの信号に基づき、送信元の車輪側ユニット20に対応するタイヤ14の状態(タイヤ空気圧及びタイヤ内温度)を把握する。受信ユニットコントローラ41は、タイヤ空気圧に関する情報等を表示器43に表示させる。
【0020】
また、携帯通信端末30は、受信ユニット40と同様の受信側送受信回路42及び受信ユニットコントローラ41とを有している。携帯通信端末30は、タイヤ空気圧やタイヤ内温度(タイヤの状態)の異常をディスプレイ31に表示することで運転者に報知する。受信ユニット40及び携帯通信端末30は、車輪側ユニット20とBLE規格に従った通信方式で通信を行うことができる受信機となる。以下、受信ユニット40及び携帯通信端末30を受信機と統一して記載する。
【0021】
次に、本実施形態における車輪側ユニット20と受信機との通信方式について説明する。本実施携帯では、車輪側ユニット20の車輪側送受信回路25と、受信ユニット40の受信側送受信回路42及び携帯通信端末30の受信側送受信回路42とが通信を行う。
【0022】
図3に示すように、ステップS10,S20では、車輪側ユニット20の車輪側送受信回路25と受信機(受信ユニット40及び携帯通信端末30)の受信側送受信回路42とは、ともに待機状態となっている。車輪側送受信回路25と受信側送受信回路42とがともに待機状態となっている場合は、例えば、車両11のイグニッションオフ時や、車両11が停止している場合である。
【0023】
車両11のイグニッションがオンされたり、車両11が走行を開始すると、受信機では、ステップS21において、受信ユニットコントローラ41が、受信側送受信回路42を、車輪側送受信回路25から送信される信号を受信可能な待受状態にする。
【0024】
一方、車輪側ユニット20では、ステップS11において、センサユニットコントローラ24が、車輪側送受信回路25にタイヤ情報のデータを含むアドバタイジング信号を送信させる。具体的にいえば、車輪側送受信回路25は、センサユニットコントローラ24から入力されたタイヤ情報のデータ及び自己の管理情報(受信側送受信回路42と接続を確立するための情報)のデータを変調してアドバタイジング信号を生成し、このアドバタイジング信号を車輪側アンテナ29から無線送信する。アドバタイジング信号は、BLT規格に準拠した受信機に対して車輪側ユニット20が自己の存在を認識させるための信号である。このアドバタイジング信号を送信する車輪側ユニット20が子機となる。
【0025】
受信機では、ステップS22において、受信側送受信回路42が、アドバタイジング信号を受信する。アドバタイジング信号を受信する受信機が親機となる。アドバタイジング信号にタイヤ情報(タイヤ空気圧データ、タイヤ内温度データ及びIDコード)が含まれているため、ステップS23において、受信ユニットコントローラ41は、アドバタイジング信号を受信することでタイヤ情報を把握することができる。受信ユニットコントローラ41は、アドバタイジング信号に含まれるIDコードと、記憶部46に記憶されたIDコードを照合して、アドバタイジング信号に含まれるIDコードと記憶部46に記憶されたIDコードが一致していれば、そのタイヤ情報が、車両11の車輪12に設けられた車輪側ユニット20から送信されたものとみなして、タイヤ14の状態に関するデータを取得する。一方、アドバタイジング信号に含まれたIDコードと記憶部46に記憶されたIDコードが一致しない場合には、車両11とは異なる車両(意図しない車両)の車輪12に設けられた車輪側ユニットから送信されたものとみなして、タイヤ14の状態に関するデータを取得しない。
【0026】
受信ユニットコントローラ41は、アドバタイジング信号を受信したあとも受信側送受信回路42に待受状態を維持させる。車輪側送受信回路25は、一定時間毎(例えば、10秒毎)にアドバタイジング信号を送信している。このため、受信側送受信回路42は一定時間毎にアドバタイジング信号を受信し、アドバタイジング信号に含まれるデータからタイヤ14の情報を取得することができる。待受状態は、イグニッションがオフされたり、車両11が停止した場合に解除され、待機状態に切り替えられる。
【0027】
次に、本実施形態のタイヤ状態監視装置の作用について説明する。まず、従来のBLE規格に従った通信規格による車輪側ユニット20と受信機の通信方式について説明する。
図4に示すように、ステップS30,S40では、車輪側送受信回路25と受信側送受信回路42とはともに待機状態となっている。受信機では、ステップS41において、受信ユニットコントローラ41が、受信側送受信回路42を、車輪側送受信回路25から送信される信号を受信可能な待受状態にする。
【0028】
車輪側ユニット20では、ステップS31において、車輪側送受信回路25が、アドバタイジング信号を受信機に向けて送信する。このアドバタイジング信号には、タイヤ情報が含まれていない。受信機では、ステップS42において、受信側送受信回路42が、アドバタイジング信号を受信すると、ステップS43において、コネクションリクエスト信号を車輪側送受信回路25に送信する。このコネクションリクエスト信号は、車輪側ユニット20の存在を認識した受信機が、車輪側ユニット20に対して接続を要求するための信号である。
【0029】
ステップS32において、車輪側送受信回路25がコネクションリクエスト信号を受信すると、車輪側ユニット20は、受信機の存在を認識する。そして、ステップS33において、車輪側ユニット20と、受信機との接続が確立される。車輪側ユニット20と、受信機との接続が確立されると、ステップS44において、受信ユニットコントローラ41は、車輪側送受信回路25の待受状態を解除する。従来のBLE規格においては、車輪側ユニット20と、受信機(受信ユニット40及び携帯通信端末30)との接続が確立されると、車輪側ユニット20が信号を送信するタイミングで、受信機が待受状態にされる時間同期通信が行われる。受信機は、車輪側ユニット20から信号が送信されるタイミングで待受状態とされ、信号が送信されないときには待受状態が解除されることで、待受状態を維持するための消費電力が低減されている。時間同期通信を行うためには、車輪側ユニット20の時計と、受信機の時計を合わせるための通信を行う必要があり、時計合わせのための通信は、最長でも4秒間隔で行う必要がある。したがって、車輪側ユニット20と、受信機との接続が確立されると、車輪側ユニット20と、受信機とは時計合わせのための通信(双方向通信)を行う。
【0030】
受信機では、ステップS45において、受信ユニットコントローラ41が、車輪側送受信回路25からタイヤ情報が送信されるタイミングで、受信側送受信回路42を待受状態にする。ステップS34で車輪側ユニット20からタイヤ情報が送信されると、受信機は、ステップS46において、このタイヤ情報を取得する。受信ユニットコントローラ41は、タイヤ情報を取得すると、ステップS47において、受信側送受信回路42の待受状態を解除する。そして、以降、一定時間毎(例えば、10秒毎)に車輪側ユニット20からタイヤ情報が送信される。そして、車輪側ユニット20からタイヤ情報が送信される度に、受信機の受信側送受信回路42は待受状態にされ、タイヤ情報を取得すると待受状態が解除され、待機状態となる。
【0031】
上述した従来のBLE規格による通信方式に対して、本実施形態のタイヤ状態監視装置10では、受信機の受信側送受信回路42がアドバタイジング信号を受信したときに、コネクションリクエスト信号を車輪側ユニット20の車輪側送受信回路25に送信しない。このため、車輪側ユニット20と、受信機との接続が確立されず、アドバタイジング信号を受信した後にも待受状態が維持される。したがって、時間同期通信が行われず、時計合わせのための通信も行われない。なお、時間同期通信を行わず、受信側送受信回路42の待受状態を維持するため、受信機の消費電力は多くなる。しかしながら、車体に搭載される車両側バッテリ45は大型のバッテリを用いることができるし、携帯通信端末30のバッテリであれば容易に充電することが可能である。このため、受信機のバッテリの消費電力が大きくなることによる影響は少ない。
【0032】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)受信機の受信側送受信回路42は、アドバタイジング信号を受信しても待受状態を維持している。すなわち、受信機の受信側送受信回路42は、アドバタイジング信号を受信しても、車輪側ユニット20との接続を確立せず、時間同期通信を行わないため、時間合わせのための通信を行う必要がない。このため、BLE規格に準拠した通信を行うことによる消費電力の低減に加えて、時計合わせのための通信を行うための消費電力も削減できるため、車輪側ユニット20のバッテリ26の消費電力が低減され、バッテリ26の長寿命化が図られる。
【0033】
(2)受信ユニットコントローラ41は、記憶部46に保存されたIDコードと、アドバタイジング信号に含まれるIDコードが一致した場合にタイヤ14の状態に関するデータを取得している。このため、意図しない車両に設けられた車輪側ユニットから送信されたアドバタイジング信号を受信しても、誤ったタイヤ状態のデータを取得しにくい。
【0034】
(3)BLE規格で定められた周波数(2.4GHz帯)を用いて通信を行うことで、低周波帯を用いて通信を行う場合に比べて、車輪側アンテナ29及び受信側アンテナ47の小型化が図られる。
【0035】
(4)時間同期通信を行う場合、一つの車輪側ユニット20(子機)は、一つの受信機(親機)としか通信を行うことができないが、時間同期通信を行わないため、複数の受信機(受信ユニット40及び携帯通信端末30)と通信を行うことができる。このため、車輪側ユニット20は、受信ユニット40と、携帯通信端末30の両方と同時に通信を行うことができる。
【0036】
(5)BLE規格による通信を行うことで、BLE規格に準拠した受信部を搭載する携帯通信端末(スマートフォンやタブレット端末)と通信を行うことができる。
なお、実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0037】
・受信ユニット40及び携帯通信端末30の二つの受信機を用いたが、受信機は、いずれか一方のみでもよく、また3個以上の受信機を用いてもよい。
・タイヤ14の状態に関するデータは、タイヤ空気圧及びタイヤ温度のうち一方のデータでもよい。
【0038】
・車輪側ユニット20の送信部は、送信と受信を行うことができる送受信回路(車両11側送受信回路)としたが、送信のみを行える送信回路であってもよい。
・受信ユニット40の受信部は、送信と受信を行うことができる送受信回路(受信側送受信回路42)としたが、受信のみを行える受信回路であってもよい。
【0039】
・他の車両11に設けられた車輪側ユニット20から送信されたアドバタイジング信号を受信しにくい環境や、記憶部に記憶されたIDコードの参照以外の方法で送信元の車両11を特定できる場合には、アドバタイジング信号に含まれるIDコードと記憶部に記憶されたIDコードとの一致を判断しなくてもよい。また、アドバタイジング信号にIDコードの情報を含ませなくてもよいし、記憶部にIDコードを記憶していなくてもよい。