特許第6131225号(P6131225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131225
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】車両用ペダル装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/02 20060101AFI20170508BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20170508BHJP
   G05G 1/40 20080401ALI20170508BHJP
   B60T 7/06 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B60T7/02 D
   G05G1/30 E
   G05G1/40
   B60T7/06 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-191871(P2014-191871)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-60440(P2016-60440A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】北口 和章
(72)【発明者】
【氏名】増谷 正英
(72)【発明者】
【氏名】深谷 匠
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−186618(JP,A)
【文献】 特開2001−290547(JP,A)
【文献】 特開2008−304990(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0159475(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00− 7/10
G05G 1/30
G05G 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルに入力された操作力を伝達する伝達部材と、前記伝達部材に所定軸心回りに回動可能に設けられ、荷重バネの付勢力に抗して該伝達部材に伝達された操作力をブレーキ装置へ出力する反力レバーと、前記ペダルのペダルアーム或いは該ペダルアームに連結されたサブレバーに固設され、該反力レバーの反力を受けて前記ペダルに入力された操作力を検出する踏力検出器とを備える車両用ペダル装置であって、
前記踏力検出器には、その踏力検出器から突き出された位置決めピンが設けられ、
前記ペダルのペダルアーム或いは該ペダルアームに連結されたサブレバーには、前記踏力検出器の位置決めピンを挿入させる位置決めピン挿入用孔が形成されており、
前記踏力検出器は、前記荷重バネの反力によって該位置決めピンが前記位置決めピン挿入用孔の内周縁に押し付けられた状態で、前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに固定され、
前記荷重バネは、前記反力レバーと前記踏力検出器との間で位置固定に配置されていることを特徴とする車両用ペダル装置。
【請求項2】
前記荷重バネは、コイル状のバネであり、
前記荷重バネは、前記反力レバーと前記踏力検出器との間で位置固定に該踏力検出器から突設された検知軸の軸心と同軸にその検知軸の外周側に配置されたものである請求項1の車両用ペダル装置。
【請求項3】
前記荷重バネは、前記反力レバーと前記踏力検出器との間で位置固定に該踏力検出器から突設された検知軸の軸心とは別の位置にその検知軸の軸心と平行に配置されたものである請求項1の車両用ペダル装置。
【請求項4】
前記位置決めピン挿入用孔は、円形または惰円形である請求項1乃至3のいずれか1の車両用ペダル装置。
【請求項5】
前記位置決めピン挿入用孔は、多角形であり、
前記位置決めピンは、前記荷重バネの押し付けにより、前記多角形の頂部に押し付けられる請求項1乃至3のいずれか1の車両用ペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダルに入力された操作力を伝達する伝達部材と、その伝達部材に取り付けられた踏力検出器とを備える車両用ペダル装置において、その踏力検出器がその伝達部材に取り付けられる際の位置のバラツキを抑制させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) ペダルに入力された操作力を伝達する伝達部材と、(b) 前記伝達部材に所定軸心回りに回動可能に設けられ、荷重バネの付勢力に抗してその伝達部材に伝達された操作力をブレーキ装置へ出力する反力レバーと、(c) 前記ペダルのペダルアームに固設され、その反力レバーの反力を受けて前記ペダルに入力された操作力を検出する踏力検出器とを備える車両用ペダル装置が知られている。例えば、特許文献1および2に記載されたブレーキペダル装置がそれである。上記特許文献1の図14に示すブレーキペダル装置において、上記踏力検出器は、上記伝達部材であるペダルアームに設けられた取付ブラケットに例えばボルト、ナットから構成される締結装置または溶接等によって取り付けられ、その取付ブラケットと上記反力レバーの先端部との間に上記荷重バネが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−227601号公報
【特許文献2】特開2000−198429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなブレーキペダル装置では、前記取付ブラケットの前記ペダルアームに対する位置のバラツキや、前記踏力検出器が前記取付ブラケットに取り付けられる際に用いられる例えばボルト、ナットから構成される締結装置または溶接等により発生する前記踏力検出器の前記取付ブラケットに対する位置のバラツキによって、前記踏力検出器が前記ペダルアームに取り付けられる際の位置精度が低下し、前記踏力検出器から突設された検知軸の先端部と前記反力レバーの先端部とが当接する位置すなわち検知開始ポイントがずれるという問題があった。また、前記取付ブラケットの前記ペダルアームに対する位置のバラツキによって、前記荷重バネが前記ペダルアームに取り付けられる際の位置精度が低下し、前記反力レバーによって前記荷重バネを介して前記踏力検出器から突設された検知軸に加えられる荷重すなわち検知荷重が所定値からずれるという問題があった。
【0005】
これに対して、例えば特許文献2のブレーキペダル装置や図9に示すブレーキペダル装置100等が提案されている。例えば図9に示すブレーキペダル装置100では、ペダルアーム102に連結された伝達部材であるサブレバー104に回動可能に設けられた反力レバー106の先端部において、例えば調整ボルト108、溶接ナット110、ダブルロックナット112等から構成された検知開始ポイント調整機構114と、サブレバー104に固定された支持ブラケット116において、例えば調整ボルト118、溶接ナット120、ダブルロックナット122等から構成される検知荷重調整機構124とが設けられている。これによって、上記検知開始ポイント調整機構114では、調整ボルト108の先端部に設けられた係合部108aをその調整ボルト108の軸心方向に移動させることにより踏力検出器126に設けられた検知軸126aの先端部と反力レバー106の先端部すなわち調整ボルト108の係合部108aとが当接する前記検知開始ポイントが調整され、上記検知荷重調整機構124では、調整ボルト118の先端部に設けられた係合部118aをその調整ボルト118の軸心方向に移動させることにより荷重バネ128の位置が調整されて前記検知荷重が調整されるようになっている。
【0006】
しかしながら、上記のようなブレーキペダル装置100では、前記検知開始ポイントを調整する検知開始ポイント調整機構114や、前記検知荷重を調整する検知荷重調整機構124が設けられているので、ブレーキペダル装置100の部品点数が増加する問題や、それら検知開始ポイント調整機構114および検知荷重調整機構124を調整する調整作業が必要となる問題があった。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、検知開始ポイント調整機構および検知荷重調整機構を設けずに、従来に比べて検知開始ポイントおよび検知荷重のずれが好適に抑制される車両用ペダル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、本発明の要旨とするところは、(a) ペダルに入力された操作力を伝達する伝達部材と、前記伝達部材に所定軸心回りに回動可能に設けられ、荷重バネの付勢力に抗してその伝達部材に伝達された操作力をブレーキ装置へ出力する反力レバーと、前記ペダルのペダルアーム或いはそのペダルアームに連結されたサブレバーに固設され、その反力レバーの反力を受けて前記ペダルに入力された操作力を検出する踏力検出器とを備える車両用ペダル装置であって、(b) 前記踏力検出器には、その踏力検出器から突き出された位置決めピンが設けられ、(c) 前記ペダルのペダルアーム或いはそのペダルアームに連結されたサブレバーには、前記踏力検出器の位置決めピンを挿入させる位置決めピン挿入用孔が形成されており、(d) 前記踏力検出器は、前記荷重バネの反力によってその位置決めピンが前記位置決めピン挿入用孔の内周縁に押し付けられた状態で、前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに固定され、(e) 前記荷重バネは、前記反力レバーと前記踏力検出器との間で位置固定に配置されていることにある。
【発明の効果】
【0009】
このように構成された車両用ペダル装置によれば、(b) 前記踏力検出器には、その踏力検出器から突き出された位置決めピンが設けられ、(c) 前記ペダルのペダルアーム或いはそのペダルアームに連結されたサブレバーには、前記踏力検出器の位置決めピンを挿入させる位置決めピン挿入用孔が形成されており、(d) 前記踏力検出器は、前記荷重バネの反力によってその位置決めピンが前記位置決めピン挿入用孔の内周縁に押し付けられた状態で、前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに固定され、(e) 前記荷重バネは、前記反力レバーと前記踏力検出器との間で位置固定に配置されているのである。前記ペダルアーム或いはそのペダルアームに連結されたサブレバーに形成された位置決めピン挿入用孔の内周縁に前記位置決めピンが押し付けられた位置を、前記踏力検出器の前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに対する取付位置として設定した場合に、従来に比較して精度良く前記踏力検出器を前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに取り付けられる。また、前記荷重バネは、前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに精度良く取り付けられた前記踏力検出器と前記反力レバーとの間で位置固定に配置されているので、前記荷重バネの前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに対する取付位置を前記踏力検出器の位置を基準にして設定した場合に、従来に比較して精度良く前記荷重バネを前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに取り付けられる。これによって、前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに前記踏力検出器および前記荷重バネを従来に比較して精度良く取り付けられるので、検知開始ポイント調整機構および検知荷重調整機構を設けずに、従来に比べて検知開始ポイントおよび検知荷重のずれを好適に抑制させることができる。
【0010】
ここで、好適には、(a) 前記荷重バネは、コイル状のバネであり、(b) 前記荷重バネは、前記反力レバーと前記踏力検出器との間で位置固定にその踏力検出器から突設された検知軸の軸心と同軸にその検知軸の外周側に配置されたものである。このため、前記反力レバーと前記踏力検出器との間に設けられた前記荷重バネおよび前記検知軸のスペースを好適に小さくすることができる。
【0011】
また、好適には、(a) 前記荷重バネは、前記反力レバーと前記踏力検出器との間で位置固定にその踏力検出器から突設された検知軸の軸心とは別の位置にその検知軸の軸心と平行に配置されたものである。このため、前記荷重バネが撓んでも前記検知軸と干渉することがないので、前記荷重バネの種類を例えばコイル状のバネ以外の種類から選択することができる。
【0012】
また、好適には、前記位置決めピン挿入用孔は、円形または惰円形である。このため、前記荷重バネの反力によって前記位置決めピンが前記位置決めピン挿入用孔の内周縁に押し付けられた状態において、その位置決めピンが前記荷重バネの反力によって押し付けられた方向に対して垂直方向に移動することが許容されるので、前記位置決めピンに比較的過度な負荷がかからない。
【0013】
また、好適には、(a) 前記位置決めピン挿入用孔は、多角形であり、(b) 前記位置決めピンは、前記荷重バネの押し付けにより、前記多角形の頂部に押し付けられる。このため、前記荷重バネの反力によって前記位置決めピンが前記位置決めピン挿入用孔の内周縁に押し付けられた状態において、その多角形の頂部に前記位置決めピンが押し込まれるので、その位置決めピンが前記荷重バネの反力によって押し付けられた方向に対して垂直方向に移動し難く、前記踏力検出器を前記ペダルアーム或いは前記サブレバーに好適に精度良く取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明が適用されたブレーキペダル装置を示す正面図である。
図2図1のブレーキペダル装置のサブレバーに設けられたクレビスの周辺部を拡大した拡大図である。
図3図1のブレーキペダル装置のサブレバーに設けられた踏力検出器の構成を説明する図である。
図4図3の踏力検出器を示す斜視図であり、その踏力検出器のサブレバーに着座する着座面側を示す図である。
図5図4のV-V視断面図である。
図6】本発明の他の実施例のブレーキペダル装置を示す図であり、図5に相当する図である。
図7】本発明の他の実施例のブレーキペダル装置を示す図であり、図3に相当する図である。
図8】本発明の他の実施例のブレーキペダル装置を示す図であり、図3の踏力検出器がブレーキペダルのペダルアームに固設された図である。
図9】検知開始ポイント調整機構および検知荷重調整機構が設けられたブレーキペダル装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明が適用された常用ブレーキ用のブレーキペダル装置(車両用ペダル装置)10を示す正面図である。図1に示すように、ブレーキペダル装置10には、エンジンルームと車室内との間を区切るダッシュパネル12に取付けられた互いに対向する板状の一対の側板14aを有するメインブラケット14と、そのメインブラケット14の一対の側板14aの間に両端部がそれぞれ固定された軸状の第1軸部材16および第2軸部材18と、その第1軸部材16の第1軸心C1回りに回動可能に支持された長手状のブレーキペダル(ペダル)20と、そのブレーキペダル20の長手平板状のペダルアーム20aの第1軸部材16側とは反対側の端部に一体的に設けられた運転者のブレーキ操作によって踏み込まれる踏部20bと、第2軸部材18の第2軸心C2回りに回動可能に支持された長手平板状のサブレバー(伝達部材)22と、そのサブレバー22の第1軸部材16側の端部22aとペダルアーム20aの第2軸部材18側の端部20cとの間にそれら端部20cおよび22aを挟むように両側(図1の表裏側)に配設されてそれらを連結する連結部材24とが備えられている。なお、サブレバー22の中間位置に設けられた取付穴22bには、第2軸部材18と略平行な第1連結ピン26がその軸心回りに回動可能に嵌合されており、図示していないブレーキブースタから車室内に突き出すオペレーティングロッド28がクレビス30を介してその第1連結ピン26すなわちサブレバー22と連結されている。また、上記サブレバー22は、ペダルアーム20aの端部20cに連結部材24を介して連結されたものであり、運転者のブレーキ操作によってブレーキペダル20に入力された操作力を伝達する伝達部材である。
【0017】
このため、図1に示すように、運転者のブレーキ操作によってブレーキペダル20の踏部20bが踏み込まれブレーキペダル20が第1軸部材16の第1軸心C1回り矢印A1方向に回動すると、そのブレーキペダル20の端部20cに連結された連結部材24を介してサブレバー22が第2軸部材18の第2軸心C2回り矢印A2方向に回動しそれに伴ってオペレーティングロッド28が機械的に押圧されることにより、ブレーキペダル20の踏込み操作力に応じたブレーキ油圧が図示しないマスタシリンダから発生させられる。
【0018】
また、ブレーキペダル装置10には、図1に示すように、サブレバー22にそのサブレバー22に設けられた円柱状の第2連結ピン36の第3軸心(所定軸心)C3回りに回転可能に設けられ、荷重バネ38の付勢力に抗してそのサブレバー22に伝達された操作力を図示しないブレーキブースタ(ブレーキ装置)へ出力する反力レバー40と、サブレバー22に固定され、反力レバー40の反力を受けてブレーキペダル20に入力された操作力を検出する踏力検出器42とが備えられている。
【0019】
図2に示すように、クレビス30には、互いに対向する長手平板状の一対の側壁部30aと、その一対の側壁部30aのオペレーティングロッド28側の端部を連結する連結部30bとが備えられており、そのクレビス30の連結部30bにオペレーティングロッド28が連結されている。また、クレビス30の一対の側壁部30aの間には、反力レバー40の基端部40aと連結プレート41とが配設されており、その反力レバー40の基端部40aと連結プレート41との間にはサブレバー22の一部が配設されている。また、第2連結ピン36の両端部は、上記反力レバー40の基端部40aと連結プレート41とにそれぞれ相対回転不能に嵌合されており、その第2連結ピン36の中間部には、サブレバー22の一部が相対回転可能に嵌合されている。また、クレビス30の一対の側壁部30aに両端部が連結された第1連結ピン26には、反力レバー40の基端部40a、サブレバー22の一部、連結プレート41がそれぞれ相対回転可能に嵌合されている。また、図2に示すように、サブレバー22の取付穴22bには、その取付穴22b内に配設された第1連結ピン26との間に隙間Bが形成されている。このため、運転者のブレーキ操作によってサブレバー22が第2軸部材18の第2軸心C2回りに回動してそのブレーキ操作の操作力が大きくなると、その操作力の増加に連動してサブレバー22がそのサブレバー22の取付穴22bと第1連結ピン26との間に形成された隙間Bを小さくされる。すなわち、図1乃至図3に示すように、サブレバー22を基準にすると、上記操作力の増加に連動してサブレバー22に固定された踏力検出器42に反力レバー40の先端部40bが接近するようにその反力レバー40が荷重バネ38の付勢力に抗して第2連結ピン36の第3軸心C3回りの矢印A3方向に回動させられる。
【0020】
踏力検出器42は、図3に示すように、ハウジング42aと、そのハウジング42aから軸状に突設された検知軸42bとを備えており、その検知軸42bの軸心C4方向の検知軸42bに負荷する荷重或いは変位によって運転者によるブレーキ操作の操作力の大きさを検出するものである。なお、上記ハウジング42aは、たとえば、上記検知軸42bをその軸心C4方向の移動可能に収容し、そのハウジング42a内に設けられた図示しないスプリングによってその検知軸42bをハウジング42aから突き出す方向に付勢している。
【0021】
また、踏力検出器42には、図3および図4に示すように、ハウジング42aの両側面42cからそれぞれ突き出され、一対の締結装置44によりハウジング42aすなわち踏力検出器42をサブレバー22に固定させる固定部42dと、その固定部42dが締結装置44によって固定された状態においてハウジング42aのサブレバー22との着座面42e(図4参照)から後述するサブレバー22の位置決め孔(位置決めピン挿入用孔)22e、案内孔22fにそれぞれ突き出された円柱形状の第1ピン(位置決めピン)42fおよび第2ピン42gとが備えられている。なお、上記締結装置44は、例えばボルト44aとサブレバー22に穿設されたネジ穴22gとから構成されており、ボルト44aの軸部44bをハウジング42aの固定部42dに貫通した貫通穴42hに挿通させ、そのボルト44aをサブレバー22に形成されたネジ穴22gに螺合させて締め付けることによって、固定部42dすなわちハウジング42aをサブレバー22に固定させるものである。また、踏力検出器42の固定部42dに形成された貫通穴42hは、締結装置44のボルト44aの軸部44bの径より大きいものである。
【0022】
サブレバー22には、図3乃至図5に示すように、踏力検出器42のハウジング42aに形成された第1ピン42fを挿入させる位置決め孔22eと、そのハウジング42aに形成された第2ピンを挿入させる案内孔22fとが穿設されている。
【0023】
図5に示すように、サブレバー22に形成された位置決め孔22eは、円柱形状の第1ピン42fの円形断面の径より大きい径を有する円形であり、その円形の位置決め孔22eの中心C5が踏力検出器42の検知軸42bの軸心C4上に配置されるように形成されている。また、上記サブレバー22に形成された位置決め孔22eにおいて検知軸42bの軸心C4方向における最も案内孔22f側の内周縁に第1ピン42fが当接する位置D1が踏力検出器42のサブレバー22に対する取付位置として予め設定されている。また、サブレバー22に形成された案内孔22fは、円柱形状の第2ピン42gを長手方向に摺動可能に形成された長孔であり、その長孔の長手方向が踏力検出器42の検知軸42bの軸心C4方向と略平行に形成されている。
【0024】
図3に示すように、荷重バネ38は、線材が円状に巻回されたコイル状のバネであり、その荷重バネ38は、その荷重バネ38の反力レバー40側の端部を受け止めるために反力レバー40の先端部40bに形成された第1受面40cとその荷重バネ38の踏力検出器42側の端部を受け止めるために踏力検出器42のハウジング42aに形成された第2受面42iとの間に、予圧された状態でその踏力検出器42の検知軸42bの外周側に配置されている。また、反力レバー40の先端部40bに形成された第1受面40cには、荷重バネ38の軸心と検知軸42bの軸心C4とが略一致するように荷重バネ38の反力レバー40側の端部を着座させる第1着座部40dが形成され、踏力検出器42のハウジング42aに形成された第2受面42iには、荷重バネ38の軸心と検知軸42bの軸心C4とが略一致するように荷重バネ38の踏力検出器42側の端部を着座させる第2着座部42jが形成されている。上記荷重バネ38は、それら第1着座部40dおよび第2着座部42jによって、荷重バネ38の軸心と検知軸42bの軸心C4とが略一致するように反力レバー40の先端部40bと踏力検出器42との間で位置固定に配置されている。このため、反力レバー40から伝達される荷重バネ38の反力が踏力検出器42に伝達されると、その踏力検出器42は、その踏力検出器42の検知軸42bの軸心C4方向すなわち矢印F1方向に押し付けられる。
【0025】
ここで、踏力検出器42をサブレバー22に取り付ける取付方法を説明する。先ず、第2着座部42jに荷重バネ38の踏力検出器42側の端部を着座させて検知軸42bの外周側にコイル状の荷重バネ38を嵌め付けた踏力検出器42を、その荷重バネ38の踏力検出器42側とは反対側の端部が反力レバー40の第1着座部40dに着座するように組み付ける。次に、その踏力検出器42の固定部42dの貫通穴42hにボルト44aの軸部44bを挿通させ、そのボルト44aの軸部44bの先端部をサブレバー22のネジ穴22gに螺合させて、そのボルト44aの軸部44bが踏力検出器42の固定部42dの貫通穴42hで移動できる程度すなわちサブレバー22に対して踏力検出器42が所定範囲内で移動できる程度にそのボルト44aを緩く締め付ける。次に、反力レバー40からの荷重バネ38の付勢力によって、踏力検出器42を矢印F1方向に押し付けて、その押し付けた状態でボルト44aを踏力検出器42がサブレバー22に対して移動できないように締め付ける。これによって、踏力検出器42がサブレバー22に取り付けられる。
【0026】
図5に示すように、踏力検出器42を矢印F1方向に押し付けると、その踏力検出器42に形成された第2ピン42gがサブレバー22に形成された案内孔22fの内周縁に沿って、その踏力検出器42がその検知軸42bの軸心C4方向に案内して、踏力検出器42に形成された第1ピン42fがサブレバー22に形成された位置決め孔22eの内周縁に押し付けられ、その位置決め孔22eにおいて検知軸42bの軸心C4方向における最も案内孔22f側の内周縁に第1ピン42fが当接して停止する。なお、サブレバー22の位置決め孔22eは、その位置決め孔22eの内周縁に第1ピン42fを押し付けると、踏力検出器42をその検知軸42bの軸心C4方向の所定位置に止める第1ストッパとして機能すると共にその踏力検出器42をその軸心C4方向に対して垂直方向の所定位置に止める第2ストッパとして機能するものである。
【0027】
上述のように、本実施例のブレーキペダル装置10によれば、踏力検出器42には、その踏力検出器42から突き出された第1ピン42fが設けられ、ブレーキペダル20のペダルアーム20aに連結されたサブレバー22には、踏力検出器42の第1ピン42fを挿入させる位置決め孔22eが形成されており、踏力検出器42は、荷重バネ38の反力によってその第1ピン42fが位置決め孔22eの内周縁に押し付けられた状態で、サブレバー22に固定され、荷重バネ38は、反力レバー40と踏力検出器42との間で位置固定に配置されているのである。ペダルアーム20aに連結されたサブレバー22に形成された位置決め孔22eの内周縁に第1ピン42fが押し付けられた位置D1を、踏力検出器42のサブレバー22に対する取付位置として設定した場合に、従来に比較して精度良く踏力検出器42をサブレバー22に取り付けられる。また、荷重バネ38は、サブレバー22に精度良く取り付けられた踏力検出器42と反力レバー40との間で位置固定に配置されているので、荷重バネ38のサブレバー22に対する取付位置を踏力検出器42の位置を基準にして設定した場合に、従来に比較して精度良く荷重バネ38をサブレバー22に取り付けられる。これによって、サブレバー22に踏力検出器42および荷重バネ38を従来に比較して精度良く取り付けられるので、検知開始ポイント調整機構114および検知荷重調整機構124を設けずに、従来に比べて検知開始ポイントおよび検知荷重のずれを好適に抑制させることができる。
【0028】
また、本実施例のブレーキペダル装置10によれば、荷重バネ38は、コイル状のバネであり、荷重バネ38は、反力レバー40と踏力検出器42との間で位置固定にその踏力検出器42から突設された検知軸42bの軸心C4と同軸にその検知軸42bの外周側に配置されたものである。このため、反力レバー40と踏力検出器42との間に設けられた荷重バネ38および検知軸42bのスペースを好適に小さくすることができる。
【0029】
また、本実施例のブレーキペダル装置10によれば、位置決め孔22eは、円形である。このため、荷重バネ38の付勢力によって第1ピン42fが位置決め孔22eの内周縁に押し付けられた状態において、その第1ピン42fが荷重バネ38の反力によって押し付けられた矢印F1方向に対して垂直方向に移動することが許容されるので、第1ピン42fに比較的過度な負荷がかからない。
【0030】
続いて、本発明の他の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例2】
【0031】
本実施例のブレーキペダル装置(車両用ペダル装置)は、図6に示すように、位置決め孔(位置決めピン挿入用孔)22hの形状が実施例1の位置決め孔22eの形状と異なる。すなわちその位置決め孔22hの形状が三角形(多角形)である点で相違している。しかし、その他の点は実施例1のブレーキペダル装置10と略同様である。なお、図6に示すように、サブレバー22に形成された三角形状の位置決め孔22hは、その案内孔22f側の頂角(頂部)E1の二等分線が踏力検出器42の検知軸42bの軸心C4上に配置させるように形成されており、第1ピン42fが荷重バネ38による矢印F1方向の押し付けによりその三角形の位置決め孔22hの頂角E1に押し付けられる。
【0032】
上述のように、本実施例のブレーキペダル装置によれば、位置決め孔22hは、三角形であり、第1ピン42fは、荷重バネ38の押し付けにより、その三角形の頂角E1に押し付けられる。このため、荷重バネ38の反力によって第1ピン42fが位置決め孔22hの内周縁に押し付けられた状態において、その三角形の頂角E1に第1ピン42fが押し込まれるので、その第1ピン42fが荷重バネ38の反力によって押し付けられた矢印F1方向に対して垂直方向に移動し難く、踏力検出器42をサブレバー22に好適に精度良く取り付けられる。
【実施例3】
【0033】
本実施例のブレーキペダル装置(車両用ペダル装置)は、図7に示すように、反力レバー40の先端部40bの形状が異なる点と、踏力検出器46の形状が実施例1の踏力検出器42の形状と異なる点とで相違しており、その他の点は実施例1のブレーキペダル装置10と略同様である。
【0034】
図7に示すように、踏力検出器46には、ハウジング46aから軸状に突設された検知軸46bと、ハウジング46aの両側面46cからそれぞれ突き出され、一対の締結装置44によりハウジング46aすなわち踏力検出器46をサブレバー22に固定させる固定部46dと、前述した実施例1の第1ピン42fおよび第2ピン42gと同様の第1ピン46e(位置決めピン)および第2ピン46fとが備えられている。
【0035】
また、図7に示すように、荷重バネ38は、その荷重バネ38の反力レバー40側の端部を受け止めるために反力レバー40の先端部40bに形成された第1受面40eとその荷重バネ38の踏力検出器46側の端部を受け止めるために踏力検出器46のハウジング46aに形成された第2受面46gとの間に、圧縮された状態で踏力検出器46の検知軸46bの軸心C6とは別の位置にその検知軸46bの軸心C6と略平行に配置されている。また、反力レバー40の先端部40bに形成された第1受面40eには、荷重バネ38の軸心C7と検知軸46bの軸心C6とが略平行になるように荷重バネ38の反力レバー40側の端部を着座させる第1着座部40fが形成され、踏力検出器46のハウジング46aに形成された第2受面46gには、荷重バネ38の軸心C7と検知軸46bの軸心C6とが略平行になるように荷重バネ38の踏力検出器46側の端部を着座させる第2着座部46hが形成されている。上記荷重バネ38は、それら第1着座部40fおよび第2着座部46hによって、荷重バネ38の軸心C7と検知軸46bの軸心C6とが略平行となるように反力レバー40の先端部40bと踏力検出器46との間で位置固定に配置されている。
【0036】
上述のように、本実施例のブレーキペダル装置によれば、荷重バネ38は、反力レバー40の先端部40bと踏力検出器46との間で位置固定にその踏力検出器46から突設された検知軸46bの軸心C6とは別の位置にその検知軸46bの軸心C6と略平行に配置されたものである。このため、荷重バネ38が撓んでも検知軸46bと干渉することがないので、荷重バネ38の種類を例えばコイル状のバネ以外の種類から選択することもできる。
【実施例4】
【0037】
本実施例のブレーキペダル装置(車両用ペダル装置)は、図8に示すように、実施例1では踏力検出器42がブレーキペダル20のペダルアーム20aに連結部材24を介して連結されたサブレバー22に固設されていたが、その踏力検出器42がブレーキペダル48のペダルアーム(伝達部材)48aに直接固設されている点で相違しており、その他の点は実施例1のブレーキペダル装置10と略同様である。
【0038】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0039】
実施例1および実施例3において、サブレバー22に形成された位置決め孔22eは、円形であったが例えば楕円形であっても良い。また、実施例2において、サブレバー22に形成された位置決め孔22hは、三角形であったが荷重バネ38の付勢力によって正確に位置決め可能な三角形以外の多角形例えば四角形、五角形等であっても良い。
【0040】
また、実施例1乃至3において、踏力検出器42、46には、第2ピン42g、46fが形成され、サブレバー22には、その踏力検出器42、46に形成された第2ピン42g、46fを摺動させる案内孔22fが形成されていたが、必ずしもそれら第2ピン42g、46fと案内孔22fとが形成される必要はない。
【0041】
また、本実施例において、踏力検出器42、46は、運転者によるブレーキ操作の操作力の大きさを検出するものであったが、例えば運転者によるブレーキ操作の操作力を検出しブレーキ操作の有無を判定するスイッチであっても良い。
【0042】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0043】
10:ブレーキペダル装置(車両用ペダル装置)
20:ブレーキペダル(ペダル)
20a:ペダルアーム
22:サブレバー(伝達部材)
22e:位置決め孔(位置決めピン挿入用孔)
38:荷重バネ
40:反力レバー
42、46:踏力検出器
42b、46b:検知軸
42f、46e:第1ピン(位置決めピン)
48:ブレーキペダル(ペダル)
48a:ペダルアーム(伝達部材)
C3:第3軸心(所定軸心)
C4:軸心
C6:軸心
E1:頂角(頂部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9