特許第6131230号(P6131230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6131230アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる多発性硬化症の治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131230
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いる多発性硬化症の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7125 20060101AFI20170508BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170508BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20170508BHJP
【FI】
   A61K31/7125ZNA
   A61P25/00
   !C12N15/00 G
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2014-208153(P2014-208153)
(22)【出願日】2014年10月9日
(62)【分割の表示】特願2011-516297(P2011-516297)の分割
【原出願日】2009年6月23日
(65)【公開番号】特開2015-44824(P2015-44824A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2014年11月10日
(31)【優先権主張番号】61/132,973
(32)【優先日】2008年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505303978
【氏名又は名称】アンチセンス セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】エティ・クリンガー
(72)【発明者】
【氏名】ショッシー・テッスラー
(72)【発明者】
【氏名】フセイン・ハラック
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・タチャス
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ポール・ダイアモンド
【審査官】 長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−526555(JP,A)
【文献】 N.E.Mealy et al.,Drugs of the Future,2004年,Vol.29, No.3,pp.265
【文献】 J.Godfray et al.,Drug Discovery Today: Technologies,2004年,Vol.1, No.2,p.85-91
【文献】 D.R.Corey,Nature Chemical Biology,2007年,Vol.3, No.1,p.8-11
【文献】 The Merk Manuals online medical library,2005年,2013年11月13日検索,URL,http://merckmanual.jp/mmpej/print/sec16/ch222/ch222b.html
【文献】 小澤恭子,Modern Physician,2004年,Vol.24, No.12,p.1853-1855
【文献】 D.H.Miller et al.,The New England Journal of Medicine,2003年,Vol.348, No.1,p.15-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7088−31/713
A61K 45/00
A61P 25/00
C12N 15/113
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者において、新しい活性脳病変の蓄積を減少させるかまたは抑制し、かつ/またはガドリニウム増強脳病変の容積の増大を減少させるかまたは抑制るための方法において使用するための、
薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’(配列番号1)
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたは前記オリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含み、
a)前記オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれが、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
b)5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドが、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
c)5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドが、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
d)5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドが、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
e)全てのシトシン(MeC)が5−メチルシトシンである
医薬組成物であって、
方法が、前記医薬組成物をヒト患者に定期的に投与し、それによりヒト患者において、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群に対して、新しい活性脳病変の蓄積を減少させるかまたは抑制し、かつ/またはガドリニウム増強脳病変の容積の増大を減少させるかまたは抑制る工程を含む、医薬組成物。
【請求項2】
MRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数が、
i)前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群においてMRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数よりも25%〜80%低い、あるいは
ii)8週間の治療の後に、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群においてMRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数よりも50%〜65%低い、
請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
MRIによって検出可能なガドリニウム増強脳病変の容積が、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群のMRIによって検出可能なガドリニウム増強脳病変の容積よりも25%〜80%少ない、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記MRI法が、T2強調スキャニング、プレコントラストT1強調スキャニング、およびポストガドリニウムT1強調スキャニングからなる群から選択される請求項2または3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記方法が前記ヒト患者の身体障害の進行を抑制する請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記身体障害の進行が、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群の身体障害の進行に対して、EDSSスコアにより測定される場合に15%〜70%低減される請求項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記定期的な投与が、
i)1週間に1回、
ii)1週間に2回、
iii)2週間に1回
iv)3週間に1回
v)4週間に1回、または
vi)1ヶ月に1回
である請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ト患者において、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群に対して、新しい活性脳病変の蓄積を減少させるかまたは抑制し、かつ/またはガドリニウム増強脳病変の容積の増大を減少させるかまたは抑制るために有効なオリゴヌクレオチドの量
0〜400m
ある請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ヒト患者群において、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群に対して、新しい活性脳病変の蓄積を減少させるかまたは抑制し、かつ/またはガドリニウム増強脳病変の容積の増大を減少させるかまたは抑制するために有効なオリゴヌクレオチドの量が
200mg
である請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ヒト患者群において、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群に対して、新しい活性脳病変の蓄積を減少させるかまたは抑制し、かつ/またはガドリニウム増強脳病変の容積の増大を減少させるかまたは抑制するために有効なオリゴヌクレオチドの量が
400mg
である請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
ヒト患者群において、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群に対して、新しい活性脳病変の蓄積を減少させるかまたは抑制し、かつ/またはガドリニウム増強脳病変の容積の増大を減少させるかまたは抑制するために有効なオリゴヌクレオチドの量が
400mgより少ない量
である請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
ヒト患者群において、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群に対して、新しい活性脳病変の蓄積を減少させるかまたは抑制し、かつ/またはガドリニウム増強脳病変の容積の増大を減少させるかまたは抑制するために有効なオリゴヌクレオチドの量が
50〜400mg
である請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ト患者において、前記医薬組成物を投与されていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト患者群に対して、新しい活性脳病変の蓄積を減少させるかまたは抑制し、かつ/またはガドリニウム増強脳病変の容積の増大を減少させるかまたは抑制るために有効なオリゴヌクレオチドの量が
i)400mgを1週間に一回、
ii)200mgを1週間に一回、
iii)200mgを2週間に一回、または
iv)400mgを4週間に一回、
である請求項1〜のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ヒト患者の平均血小板数が
与の過程で、100,000血小板/マイクロリットル血
りも高い請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記ヒト患者群の平均血小板数が、
投与の過程で、150,000血小板/マイクロリットル血液
よりも高い請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
投与されるオリゴヌクレオチドの量が、10,000〜11,000ng/mlである前記ヒト患者の血漿中の前記オリゴヌクレオチドのCmaxを提供するのに有効である請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
皮下投与される請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記オリゴヌクレオチドがナトリウム塩またはカリウム塩の形態である請求項1〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
記薬学的キャリアがWFI(注射用水)であり、前記医薬組成物がpH7.2〜7.6に調整される
求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記薬学的キャリアがWFI(注射用水)であり、前記医薬組成物がpH7.4に調整される、
請求項1〜19のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年6月23日に出願された米国仮特許出願第61/132,973号明細書の利益を主張する。その内容は参照によってその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本出願を通して、括弧内のアラビア数字によって種々の刊行物が参照される。対応する参考文献の完全な引用は、特許請求の範囲の前の本明細書の最後に見られる。これらの刊行物の開示は、本発明が属する最先端技術をより完全に説明するために参照によって本明細書によりその全体が本出願に援用される。
【0003】
本発明は、多発性硬化症、特に再発性多発性硬化症の治療方法に関する。
【背景技術】
【0004】
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)は、世界中で百万人以上が冒される一般的な神経疾患である。その有病率は人種および地理的緯度によって異なり、北欧および中欧における100,000人当たり100以上から、南欧における100,000人当たり50まで様々である。MSは、若年および中年成人における神経学的な身体障害の最も一般的な原因である。通常、患者の約50%では疾患は30歳よりも前に明らかになり、患者の25%では疾患の始まりは30歳から40歳までの間であり、25%では疾患は40歳から50歳までの間に現れる。男性に対する女性の比率は2:1である(4)。
【0005】
MSおよびその結果として生じる神経損傷は、患者およびその家族に大きな身体的、心理的、社会的および財政的な影響を与える。MSの最も一般的な臨床症状は、不全麻痺、感覚異常、視力障害、性殖器、腸管、泌尿器の機能不全、痙縮、および協調不能である。患者の40〜50%は認知機能不全を患っている。神経学的欠損の程度、進行の速度、および再発の頻度は、罹患者の間で大きく異なる(2−3)。
【0006】
ほとんどのMS患者は、長年にわたる重篤な進行性身体障害を特徴とする正常な寿命を有する。MS患者の死因は、疾患そのものというよりはむしろ呼吸器または尿路感染症である。MSにはいくつかの異なるタイプがあり、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)は、予測不可能な神経機能不全の急性発症(再発)の後の可変的な回復および臨床的安定期を特徴とする。MS患者の80%〜85%はRRMSであると診断される。RRMS患者の50%以上は再発の重複の有無にかかわらず持続性の悪化を起こし、この形態は二次性進行型MS(SPMS)と呼ばれる。最初から進行性の悪化を起こしている一部のMS患者はあとで再発も起こす可能性があり、この珍しい形態は一次性進行型再発性多発性硬化症と呼ばれる(2−3)。
【0007】
MS患者全体のおよそ15%は、最初からその神経機能の持続性の悪化を起こす。この形態は、一次性進行型MSまたはPPMSとして知られている。現在、診断はMcDonaldの基準に従っている(1)。診断的評価の結果は、「多発性硬化症」、「MSの可能性あり」(MSの危険性があるが、診断的評価が疑わしい人に対して)、または「MSでない」のいずれかである(1)。最後に、臨床的に孤立した症候群(CIS)という用語は、最初の臨床的発作を受けたが、明確なMSのための伝統的な診断基準に適合しない患者に適用される。現今では、少なくとも3ヶ月隔てて行われる2回目のMRIにおける新しい病変の存在が、これらの患者におけるMSの診断のために認められた基準である。孤立した症候群を有する患者の10%〜20%はMSを発症しないであろう。
【0008】
MSは、中枢神経系(CNS)のミエリンを損傷する炎症性疾患であり、神経障害を生じ、高い頻度で重篤な身体障害を起こす。MSの原因はほとんど分かっていない。一般に、MSは自己免疫、感染および遺伝的素因の組み合わせによって引き起こされると推測される(2−3)。MSの発症の根底には、CD4+Tリンパ球の活性化により進行するミエリン成分に対する自己免疫応答、Th1/Th2リンパ球に対する適切な調節の喪失、Bリンパ球による抗ミエリン抗体の産生、そして恐らく、CD8+細胞毒性/サプレッサーTリンパ球の阻害がある。
【0009】
MSは、CNS、脳および脊髄の白質内に散在した炎症部位を特徴とする。局所定な炎症事象は、最終的には、軸索鞘(axonal sheath)の脱髄、神経組織の分解、そして最後には不可逆的な神経損傷をもたらす。MSプロセスが開始される正確なメカニズムはほとんど分かっていないが、MSにおける自己免疫応答の標的抗原はCNSミエリンの一部であると考えられる。
【0010】
記載される多発性硬化症の異なる経過が同一の病態生理学的プロセスによるものであるか、あるいは別個の病態生理学的プロセスによるものであるかは不明である。再発は急性の炎症性局所病変の臨床的発現であると考えられるが、進行は、脱髄、軸索喪失およびグリオーシスの発生を反映すると考えられる。再発寛解型多発性硬化症および二次性進行型多発性硬化症は恐らく同じ疾患の異なる段階であるが、一次性進行型多発性硬化症は異なるプロセスを暗示し得る。
【0011】
ミエリン塩基性タンパク質(MBP)およびプロテオリピドタンパク質(PLP)は、最も一般的なミエリン成分である。ミエリン関連糖タンパク質(MAG)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、およびα−B結晶性などの付加的であまり多くないミエリンの構成要素も分かっている。多発性硬化症における標的抗原の本質について多数の議論が続いている。一般に、異なる抗原の関与は疾患の経過に特定の差異をもたらすと思われる(5−12)。
【0012】
MRIに基づく多発性硬化症の診断基準
MSの診断を確立するためにこの50年の間に提案された診断基準は全て、3つの主要原理:(1)空間において散在する脱髄性病変の証明(DIS)、(2)時間において散在する脱髄性病変の証明(DIT)、および(3)臨床像に対する代わりの説明の合理的な排除に基づいている(13)。
【0013】
従来のMRI
T2強調シーケンスおよびガドリニウム増強T1強調シーケンスなどの従来のMRI技術(cMRI)は、MSプラークを検出するために非常に感度が高く、炎症活性および病変負荷の定量的評価を提供することができる。
【0014】
再発寛解型多発性硬化症(RRMS)および二次性進行型多発性硬化症(SPMS)の患者においてジエチレントリアミン五酢酸ガドリニウム(Gd−DTPA)を造影剤として用いるMRI研究(血液脳関門の破壊を示す)は、疾患活性(T1強調MRIにおけるGd増強病変の存在と定義される)が、臨床基準のみから明らかであるよりも5〜10倍高い頻度であることを明らかにした(14)。
【0015】
非従来的なMRI
非増強T1強調画像法、中枢神経系の萎縮の測定、磁化移動画像法、プロトン磁気共鳴分光法、拡散強調画像法、および機能的磁気共鳴画像法は、多発性硬化症プラークの病理学的基質のより良い近似を提供し、疾患の発症の理解を高め、多発性硬化症の自然経過を研究するため、そして新しい治療の効果を監視するために有用であると証明された(13)。
【0016】
現在の治療アプローチ
多発性硬化症の治療の大部分は、免疫抑制性または免疫調節性のいずれかを有する。
【0017】
副腎皮質ステロイド:
副腎皮質ステロイドは再発の持続期間を短くするが、概して、回復度には影響を与えない。これらは非特異的な免疫調節効果および抗炎症効果を有し、血液脳関門(BBB)の透過性を減少させ、浮腫を減少させ、軸索伝導を改善する。副腎皮質ステロイドは、多くの場合、より速い回復のために、臨床的に重要な再発を治療するために使用される。これらは、短期的であり、長期の疾患経過に対する効果のない急性抗炎症活性を有する。
【0018】
インターフェロンβ:
組換えインターフェロンβの2つの型のβ1aおよびβ1bは、RRMS患者の治療に承認されている。MSにおけるその作用のメカニズムは、Tリンパ球に対する抗増殖効果、主要組織適合複合体(MHC)クラスII抗原の発現の低下、および他の免疫調節特性を含む。インターフェロンβは、軽度〜中程度の身体障害を有するRRMS患者の約30%において再発率を低下させる。MRIスキャンにおけるGd増強病変の大幅な低下は、EDSS進行の低下と同様に、インターフェロンβ1bにより実証され得る。インターフェロンβは、そのタイプによって1週間に1回または3回、皮下(s.c.)または筋肉内(i.m.)注射で投与される。これは、インフルエンザ様症状、注射部位反応、血清アミノトランスフェラーゼの上昇、およびうつ病を含む種々の有害事象と関連する。3年間治療を受けた患者の5%〜40%において中和抗体が報告されており、効力の低下をもたらし得る。
【0019】
酢酸グラチラマー:
酢酸グラチラマーはミエリン塩基性タンパク質に類似した合成ペプチドの複合体であり、RRMS患者において30%の低下した年間再発率を示している。酢酸グラチラマーは、s.c.注射によって毎日与えられる。最も一般的な副作用は注射部位反応であり、患者の最大90%において報告されている。別の珍しい有害事象は、潮紅、胸部圧迫感、息切れ、動悸、および不安を含む注射直後反応(IPIR)の複合体である。
【0020】
ナタリズマブ:
ナタリズマブは、細胞接着分子α4インテグリンに対するヒト化モノクローナル抗体である。ナタリズマブは多発性硬化症およびクローン病の治療において使用される。これは、TysabriとしてBiogen IdecおよびElanによって共同販売されており、以前はAntegrenと名付けられていた。ナタリズマブは、静脈点滴により28日ごとに投与される。この薬物は、炎症性免疫細胞が腸および血液脳関門の内側を覆う細胞層に付着してそれを通過する能力を低下させることによって作用すると考えられる。ナタリズマブは、両疾患の症状を治療し、多発性硬化症のある人々において再発、失明、認知低下を防止し、生活の質を大幅に改善し、そしてクローン病において寛解率を増大させ、再発を防止するのに有効であると証明されている。ナタリズマブは、米国食品医薬品局によって2004年に承認された。その後、多発性硬化症の治療において使用されることが多い別の免疫抑制薬のインターフェロンβ1aと併用して投与された際に、稀な神経学的状態の進行性多巣性白質脳症(PML)の3つの症例と関連付けられた後、その製造業者によって市場から回収された。安全性情報およびさらなる死亡がないことを再検討した後、この薬物は2006年に特別な処方プログラムの下で米国市場に戻された。欧州連合では多発性硬化症の治療のためにのみ承認されている。
【0021】
アンチセンス理論
アンチセンスオリゴヌクレオチド(AS−ON)は標的RNAの領域に相補的なヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の短いストレッチであり、その特定の転写物の発現、および処理などの他の様相を特異的に抑制することができる。AS−ON作用の正確なメカニズムは不明であるが、AS−ONのタイプによって異なることが分かっている。一般に、これらの分子は、標的mRNAとハイブリッド形成して、それに続く二重らせん形成をもたらすことによって遺伝子発現を遮断する。このプロセスは、転写、翻訳の開始、または翻訳中などのどの時点でも起こり得る。可能性のあるメカニズムのいくつかは、スプライシングの破壊、mRNA輸送障害、転写物の翻訳の破壊、およびmRNA転写物の安定性の低下である。多くのアンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチド(AS−ODN)の場合、細胞性リボヌクレアーゼHはDNA−RNA二重鎖に結合し、RNAとハイブリッド形成して、転写物数の減少およびタンパク質の産生の低下をもたらすことができる。2’−糖位置におけるデオキシ部分の修飾は、通常、AS−ODNのその領域におけるリボヌクレアーゼHの補充および作用を禁止する(16)。
【0022】
修飾されたAS−ONまたはAS−ON類似体は、その安定性およびヌクレアーゼ耐性の増大のために、インビボのアンチセンス用途に使用されることが多い。より長い血清半減期は、AS−ONが組織内のその標的RNAに到達してそれと相互作用するための十分な時間を有することを保証する。ホスホロチオエート骨格を有するAS−ODNは、そのより長い血清半減期と、これらが適切なリボヌクレアーゼH基質であるという事実とによって広く使用されている。しかしながら、ホスホロチオエートは種々の細胞タンパク質に対して高い親和性を示し、配列非特異的な効果をもたらし得る。O−メチル、フルオロ、O−プロピル、O−アリルなどの基、または多くのその他の基による糖の2’−修飾を有する多くのAS−ONは、その標的mRNAとのより大きい二重鎖安定性と、より大きい特異性とを示すが、その2’修飾領域におけるアンチセンス効果は、通常、リボヌクレアーゼHと無関係である。これらの修飾は2’位置においてバルクを作り、これにより、立体障害がヌクレアーゼ耐性の増大において重要な役割を果たすようになる。ペプチド核酸などのヌクレオチド類似体は通常ヌクレアーゼ耐性でもあり、普通はリボヌクレアーゼHのための容認できる基質ではないが、多くの場合、修飾された骨格電荷のために優れたハイブリダイゼーション特性を実証する(16)。
【0023】
治療法へのアンチセンスアプローチの従来の目標は、疾患の発症において重要なタンパク質のレベルを低下させることである。治療法としてのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用は、従来の小分子薬物と比べて遥かに大きい特異性という潜在的利点を有する。現在使用されている薬物の大部分は、対象となるタンパク質に直接結合することによって、あるいは細胞表面受容体などの他のタンパク質に結合し、次に標的タンパク質を調節することによって、特異的タンパク質の活性を調節する。同一または非常に類似した機能を実行する関連タンパク質、活性種類およびタンパク質ファミリーの数が多いために、小分子薬物は複数の標的タンパク質に結合し、その活性に影響を与えることが多い。対照的に、AS−ONの有効性は、オリゴヌクレオチドと標的RNAとの間の非常に特異的な塩基対形成に頼っている。従って、アンチセンス技術により、密接に関連したタンパク質ファミリーの単一のメンバーの標的化と、選択性の低い他の薬剤よりも少ない非特異的毒性効果を示す治療薬の設計とが可能になる(17−21)。
【0024】
VLA−4インテグリン
インテグリンはヘテロ二量体接着分子であり、白血球の活性化、輸送、およびシグナリングにおいて重要な役割を果たす。VLA−4インテグリンは、β1サブユニットに非共有結合したα4鎖からなる。これは、ほとんどの白血球(末梢血、リンパ系組織、または種々の器官の炎症部位のいずれで発生しても)において発現される。α4β1は、活性化内皮上のVCAM−Iと、そして細胞外マトリックス中に見られるフィブロネクチンのCS1セグメントと結合する。これらの相互作用は、内皮を横切って炎症組織に入る白血球の遊走にとって重大な意味を持つ。α4インテグリンによるリガンド結合は、多様な生物学的影響を有する。α4の最も良く知られている役割は、血管内皮を横切って炎症部位内に白血球を案内する接着分子としてのその機能である。白血球は、血管内皮に沿った細胞の初期の一過性ローリング、その後の堅固な接着、それに続く経内皮遊走を含む多段階プロセスによって、血液から組織内へ補充される。α4インテグリンは、ローリング段階および堅固な接着段階の両方を支援することができるという点で、接着分子の中では珍しい(22)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/132,973号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者を治療するための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それによりヒト被験者を治療することを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【課題を解決するための手段】
【0027】
また本発明は、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者においてMRIによって検出可能な新しい活性脳病変の蓄積を抑制するための方法も提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、MRIによって検出可能なヒト被験者の新しい活性脳病変の蓄積を抑制することを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0028】
本発明は、さらに、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者のMRIによって検出可能なガドリニウム増強脳病変の容積の増大を抑制するための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、MRI画像によって検出可能なガドリニウム増強脳病変の容積の増大を抑制することを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0029】
本発明は、さらに、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者の血液中のVLA−4のレベルを低下させるための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者の血液中のVLA−4のレベルを低下させることを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0030】
また本発明は、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者において身体障害の進行を抑制するための方法も提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物を、多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者に定期的に投与し、それにより、ヒト被験者の身体障害の進行を抑制することを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0031】
本発明は、さらに、再発性多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者において再発率を低下させるための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、再発性多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者において再発率を低下させることを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシン(MeC)は5−メチルシトシンである。
【0032】
本発明は、再発性多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者において、新しい活性脳病変の蓄積を抑制し、ガドリニウム増強脳病変の容積を減少させるかまたはその増大を抑制し、再発率を低下させるための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、再発性多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者において、新しい活性脳病変の蓄積を抑制し、ガドリニウム増強脳病変の容積を減少させるかまたはその増大を抑制し、再発率を低下させることを含み、
a)オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
b)5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
c)5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
d)5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
e)全てのシトシン(MeC)は5−メチルシトシンである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1-1】(A、BおよびC)プラセボと比較して、オリゴヌクレオチド1による治療を受けた4、8および12週目のRRMS患者の脳においてMRIによって測定された新しい活性病変の累積数を説明する。(C)オリゴヌクレオチド1は活性病変の数を54.4%(p=0.01)低下させる。
図1-2】(A、BおよびC)プラセボと比較して、オリゴヌクレオチド1による治療を受けた4、8および12週目のRRMS患者の脳においてMRIによって測定された新しい活性病変の累積数を説明する。(C)オリゴヌクレオチド1は活性病変の数を54.4%(p=0.01)低下させる。
図2】(AおよびB)プラセボと比較して、オリゴヌクレオチド1による治療を受けた8および12週目のRRMS患者の脳においてMRIによって測定された新しい活性病変の累積数を説明する。
図3-1】(A、BおよびC)オリゴヌクレオチド1により治療されるかまたはプラセボを受けた4、8および12週目のRRMS患者の脳においてMRIによって測定されたガドリニウム増強T1病変の累積数を説明する。(C)オリゴヌクレオチド1は、ガドリニウム増強T1病変の累積数を66.7%(p=0.002)低下させる。
図3-2】(A、BおよびC)オリゴヌクレオチド1により治療されるかまたはプラセボを受けた4、8および12週目のRRMS患者の脳においてMRIによって測定されたガドリニウム増強T1病変の累積数を説明する。(C)オリゴヌクレオチド1は、ガドリニウム増強T1病変の累積数を66.7%(p=0.002)低下させる。
図4】(AおよびB)オリゴヌクレオチド1により治療されるかまたはプラセボを受けた8および12週目のRRMS患者の脳においてMRIによって測定されたガドリニウム増強T1病変の累積数を説明する。
図5】(AおよびB)オリゴヌクレオチド1により治療されるかまたはプラセボを受けた4、8および12週目のRRMS患者の脳においてMRIによって測定された新しいまたは新たに拡大しているT2病変の累積数を説明する。
図6】(AおよびB)プラセボと比較して、オリゴヌクレオチド1により治療されたRRMS患者の中で、8および12週目にガドリニウム増強病変のない被験者の割合を説明する。
図7】プラセボと比較して治療群におけるRRMS患者の脳内の累積T1ガドリニウム増強病変の容積の低下の傾向を経時的に説明する。
図8】プラセボと比較して治療群における新しい活性病変の数を経時的に説明する。
図9】薬物動態学データである。オリゴヌクレオチド1の中央値プロファイルは、1日目から8週目まで、蓄積ピークまたは総血漿暴露レベルの徴候を示さない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者を治療するための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、ヒト被験者を治療することを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0035】
本方法の実施形態では、投与は、ヒト被験者の身体障害の進行を抑制する。
【0036】
本方法の別の実施形態では、身体障害の進行は、かかる治療を受けていない多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者の身体障害の進行に対して、EDSSスコアにより測定される場合に15%〜70%低減される。
【0037】
本方法の実施形態では、投与は、MRIによって検出可能なヒト被験者の新しい活性脳病変の蓄積を抑制する。
【0038】
本方法の実施形態では、MRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数は、本医薬組成物による治療を受けていない多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者においてMRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数よりも25%〜80%低い。
【0039】
本方法の実施形態では、MRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数は、8週間の治療の後に、本医薬組成物によるかかる治療を受けていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者においてMRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数よりも50%〜65%低い。本方法の実施形態では、定期的な投与は1週間に3回である。
【0040】
一実施形態では、投与は、MRIによって検出可能なヒト被験者のガドリニウム増強脳病変の容積の増大を抑制する。
【0041】
さらなる実施形態では、投与は、MRIによって検出可能なヒト被験者のガドリニウム増強脳病変の容積の減少をもたらす。
【0042】
別の実施形態では、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者のガドリニウム増強脳病変の容積は、本医薬組成物による治療を受けていない多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者のガドリニウム増強脳病変の容積よりも25%〜80%少なく、この病変は、MRIによって検出可能である。
【0043】
さらなる実施形態では、MRI法は、T2強調スキャニング、プレコントラストT1強調スキャニング、およびポストガドリニウムT1強調スキャニングからなる群から選択される。
【0044】
一実施形態では、定期的な投与は1週間に2回である。
【0045】
別の実施形態では、定期的な投与は1週間に1回である。
【0046】
さらなる実施形態では、定期的な投与は2週間に1回である。
【0047】
付加的な実施形態では、定期的な投与は3週間に1回である。
【0048】
別の実施形態では、定期的な投与は4週間に1回である。
【0049】
さらに別の実施形態では、定期的な投与は1ヶ月に1回である。
【0050】
さらなる実施形態では、定期的な投与は2ヶ月に1回である。
【0051】
本発明の一実施形態では、治療的に有効な量は、200、400、600、800、1000、1200、1400または1600mgである。
【0052】
本方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は50〜400mgである。
【0053】
付加的な実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0054】
1週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0055】
2週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0056】
4週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は400mgである。
【0057】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、50,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0058】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、100,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0059】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、150,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0060】
本方法のさらなる実施形態では、投与は、10,000〜11,000ng/mlであるヒト被験者の血漿中のオリゴヌクレオチドのCmaxを提供するのに有効である。
【0061】
本方法の一実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。
【0062】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドはナトリウム塩の形態である。
【0063】
付加的な実施形態では、オリゴヌクレオチドはカリウム塩の形態である。
【0064】
さらに別の実施形態では、薬学的キャリアはWFI(注射用水)であり、医薬組成物はpH7.2〜7.6に調整される。さらなる実施形態では、薬学的キャリアはWFI(注射用水)であり、医薬組成物はpH7.4に調整される。
【0065】
本方法の実施形態では、多発性硬化症の一形態は、再発性多発性硬化症である。
【0066】
付加的な実施形態では、多発性硬化症の一形態は、再発寛解型多発性硬化症である。
【0067】
さらなる実施形態では、多発性硬化症の一形態は、以下の症状:新しい活性脳病変の蓄積、ガドリニウム増強病変の容積の増大、進行性の身体障害、再発率の上昇、視神経炎、視覚のぼやけ、複視、不随意性の急速眼球運動、失明、平衡の喪失、振戦、運動失調、眩暈、四肢の不器用さ、協調運動障害、1つまたは複数の四肢の弱さ、筋緊張の変化、筋硬直、攣縮、刺痛、錯感覚、灼熱感、筋肉痛、顔面痛、三叉神経痛、刺すような鋭痛、焼けるような刺痛、発語の遅延、言葉の不明瞭、話のリズムの変化、嚥下障害、疲労、膀胱障害(切迫、頻尿、残尿および失禁を含む)、腸管障害(便秘および腸制御の喪失を含む)、インポテンス、性的興奮の低下、感覚消失、熱に対する敏感性、短期記憶の喪失、集中力の喪失、または判断力もしくは推論力の喪失のうちの少なくとも1つを含み、オリゴヌクレオチド1はこれらを治療する。別の実施形態では、投与は、ヒト被験者の再発率を低下させる。
【0068】
本発明は、さらに、再発性多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者において再発率を低下させるための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、再発性多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者において再発率を低下させることを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシン(MeC)は5−メチルシトシンである。
【0069】
本発明は、さらに、再発性多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者において、新しい活性脳病変の蓄積を抑制し、ガドリニウム増強脳病変の容積を減少させるかまたはその増大を抑制し、再発率を低下させるための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、再発性多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者において、新しい活性脳病変の蓄積を抑制し、ガドリニウム増強脳病変の容積を減少させるかまたはその増大を抑制し、再発率を低下させることを含み、
a)オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
b)5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
c)5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
d)5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
e)全てのシトシン(MeC)は5−メチルシトシンである。
【0070】
本方法の別の実施形態では、本方法は、さらに、ヒト被験者の身体障害の進行を抑制することを含む。
【0071】
本方法の別の実施形態では、身体障害の進行は、かかる治療を受けていない多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者の身体障害の進行に対して、EDSSスコアにより測定される場合に15%〜70%低減される。
【0072】
本方法の実施形態では、再発性多発性硬化症は再発寛解型多発性硬化症である。
【0073】
別の実施形態では、再発率は、かかる治療を受けていない患者の再発率に対して30%よりも大きく低下される。
【0074】
本方法の実施形態では、MRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数は、本医薬組成物による治療を受けていない多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者においてMRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数よりも25%〜80%低い。
【0075】
本方法の実施形態では、MRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数は、8週間の治療の後に、本医薬組成物によるかかる治療を受けていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者においてMRIによって検出可能な新しい活性脳病変の数よりも50%〜65%低い。
【0076】
別の実施形態では、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者のガドリニウム増強脳病変の容積は、本医薬組成物による治療を受けていない多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者のガドリニウム増強脳病変の容積よりも25%〜80%少なく、この病変はMRIによって検出可能である。
【0077】
さらなる実施形態では、MRI法は、T2強調スキャニング、プレコントラストT1強調スキャニング、およびポストガドリニウムT1強調スキャニングからなる群から選択される。
【0078】
一実施形態では、定期的な投与は1週間に2回である。
【0079】
別の実施形態では、定期的な投与は1週間に1回である。
【0080】
さらなる実施形態では、定期的な投与は2週間に1回である。
【0081】
付加的な実施形態では、定期的な投与は3週間に1回である。
【0082】
別の実施形態では、定期的な投与は4週間に1回である。
【0083】
さらに別の実施形態では、定期的な投与は1ヶ月に1回である。
【0084】
さらなる実施形態では、定期的な投与は2ヶ月に1回である。
【0085】
本発明の一実施形態では、治療的に有効な量は、200、400、600、800、1000、1200、1400または1600mgである。
【0086】
本発明の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は50〜400mgである。
【0087】
付加的な実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0088】
1週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0089】
2週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0090】
4週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は400mgである。
【0091】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、50,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0092】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、100,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0093】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、150,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0094】
本方法のさらなる実施形態では、投与は、10,000〜11,000ng/mlであるヒト被験者の血漿中のオリゴヌクレオチドのCmaxを提供するのに有効である。
【0095】
本方法の一実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。
【0096】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ナトリウム塩の形態である。
【0097】
付加的な実施形態では、オリゴヌクレオチドは、カリウム塩の形態である。
【0098】
さらに別の実施形態では、薬学的キャリアはWFI(注射用水)であり、医薬組成物はpH7.2〜7.6に調整される。さらなる実施形態では、薬学的キャリアはWFI(注射用水)であり、医薬組成物はpH7.4に調整される。
【0099】
別の実施形態では、医薬組成物は単独療法として投与される。
【0100】
さらなる実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの付加的な治療薬と同時にまたは逐次的に投与される。
【0101】
実施形態では、付加的な治療薬は、副腎皮質ステロイド、インターフェロンβ1a、インターフェロンβ1b、酢酸グラチラマーまたはナタリズマブである。
【0102】
さらに別の実施形態では、付加的な治療薬は副腎皮質ステロイドである。
【0103】
さらなる実施形態では、付加的な治療薬は酢酸グラチラマーである。
【0104】
本発明は、さらに、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者の血液中のVLA−4のレベルを低下させるための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者の血液中のVLA−4のレベルを低下させることを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0105】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の血液中のVLA−4のレベルは、かかる治療を受けていないヒト被験者に対して15%よりも大きく低下される。付加的な実施形態では、ヒト被験者の血液中のVLA−4のレベルは、かかる治療を受けていないヒト被験者に対して10%〜90%低下される。これらの実施形態におけるVLA−4低下のレベルは、例えば、mRNA、タンパク質または細胞表面VLA−4の低下であり得る。さらに、この低下レベルは、血液中の白血球サブセットの1つまたは少数におけるものであり得る。
【0106】
本発明の実施形態では、定期的な投与は1週間に3回である。
【0107】
一実施形態では、定期的な投与は1週間に2回である。
【0108】
別の実施形態では、定期的な投与は1週間に1回である。
【0109】
さらなる実施形態では、定期的な投与は2週間に1回である。
【0110】
付加的な実施形態では、定期的な投与は3週間に1回である。
【0111】
さらに別の実施形態では、定期的な投与は1ヶ月に1回である。
【0112】
さらなる実施形態では、定期的な投与は2ヶ月に1回である。
【0113】
本方法の一実施形態では、治療的に有効な量は、200、400、600、800、1000、1200、1400または1600mgである。
【0114】
本方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は50〜400mgである。
【0115】
付加的な実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0116】
1週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0117】
2週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は200mgである。
【0118】
4週間に1回の定期的な投与のための方法の実施形態では、ヒト被験者を治療するために有効な量は400mgである。
【0119】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、50,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0120】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、100,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0121】
本方法の実施形態では、ヒト被験者の平均血小板数は、投与の過程で、150,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い。
【0122】
本方法のさらなる実施形態では、投与は、10,000〜11,000ng/mlであるヒト被験者の血漿中のオリゴヌクレオチドのCmaxを提供するのに有効である。
【0123】
本方法の一実施形態では、医薬組成物は皮下投与される。
【0124】
別の実施形態では、オリゴヌクレオチドはナトリウム塩の形態である。
【0125】
付加的な実施形態では、オリゴヌクレオチドはカリウム塩の形態である。
【0126】
さらに別の実施形態では、薬学的キャリアはWFI(注射用水)であり、医薬組成物はpH7.2〜7.6に調整される。さらなる実施形態では、薬学的キャリアはWFI(注射用水)であり、医薬組成物はpH7.4に調整される。
【0127】
また本発明は、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者においてMRIによって検出可能な新しい活性脳病変の蓄積を抑制するための方法も提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、MRIによって検出可能なヒト被験者の新しい活性脳病変の蓄積を抑制することを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0128】
本発明は、さらに、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者のMRIによって検出可能なガドリニウム増強脳病変の容積の増大を抑制するための方法を提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物をヒト被験者に定期的に投与し、それにより、MRI画像によって検出可能なガドリニウム増強脳病変の容積の増大を抑制することを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0129】
また本発明は、多発性硬化症の一形態に苦しんでいるヒト被験者において身体障害の進行を抑制するための方法も提供し、この方法は、薬学的に許容可能なキャリアと、構造:
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’
を有する治療的に有効な量のオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの薬学的に許容可能な塩とを含む医薬組成物を、多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者に定期的に投与し、それにより、ヒト被験者の身体障害の進行を抑制することを含み、
オリゴヌクレオチドの19個のヌクレオチド間結合のそれぞれは、O,O−連結ホスホロチオエートジエステルであり、
5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、
5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドであり、
全てのシトシンは5−メチルシトシン(MeC)である。
【0130】
本明細書において使用される場合、「付加的な治療薬」は、オリゴヌクレオチド1以外の、多発性硬化症の治療に有用な任意の薬剤である。
【0131】
本文書に記載されているあらゆる範囲の中で、本発明の実施形態として、全ての整数および小数点以下1桁の数(tenths)(百分率の場合は整数の百分率を含む)が意図される。例えば、本発明はヒト被験者を治療するために有効な量が50〜400mgであり得ると規定しており、この記述によって、本発明は、本発明の実施形態として51.1、51.2・・・399.8、399.9、51、52...398、399mgなどの全ての小数点以下1桁の数および整数のmgの量を意図および開示する。同様に、別の例として、本発明は、MRI画像によって検出可能な新しい活性脳病変の数が、本医薬組成物による治療を受けていない多発性硬化症に苦しんでいるヒト被験者においてMRI画像によって検出可能な新しい活性脳病変の数よりも25〜80%低いと規定しており、この記述によって、本発明は、本発明の実施形態として26%、27%、28%・・・78%および79%などの全ての整数%の量を意図および開示する。本明細書で開示される全ての範囲についても同様である。
【0132】
本明細書において使用される場合の薬学的に許容可能な塩は、ヒト被験者に投与するために適切である、本明細書に開示されるオリゴヌクレオチド3−9−8 MOE gap−merの任意の塩形態を指す。特に、本明細書で例示されるようなカリウム塩またはナトリウム塩を使用することができる。
【0133】
定義
Kurtzke総合障害度評価尺度(Expanded Disability Status Scale、EDSS):
Kurtzke総合障害度評価尺度(EDSS)は、多発性硬化症における身体障害を定量化する方法である。EDSSは、MSのある人々をより低い区分にまとめるために使用されるこれまでの障害度評価尺度に取って代わった。EDSSは8つの機能系(Functional System、FS)において身体障害を定量化し、神経学者がこれらのそれぞれにおける機能系スコア(FSS)を指定できるようにする。機能系は、錐体路、小脳、脳幹、感覚、腸および膀胱、視覚および大脳である(www.mult-sclerosis.org/expandeddisabil itystatusscaleによる)。
【0134】
多発性硬化症機能複合(Multiple Sclerosis Functional Composite、MSFC):
多発性硬化症機能複合(MSFC)は、MSの臨床研究、特に臨床試験において使用するための3つの部分からなる標準定量的評価手段である(23)。MSFCは、3つの基準(患者によってそして時間と共に様々であるMSの臨床的発現を反映するように多次元であること、次元が時間とともに比較的独立して変化しなければならないこと、1つの構成要素が認知機能の尺度でなければならないこと)を満たすように設計された。MSFCの3つの構成要素は、脚の機能/歩行運動、腕/手の機能、および認知機能を構成する。MSFCはMS患者の身体障害を測定し、実験的または新しい治療計画の効力の評価において使用される。MSFCは腕、脚、および認知障害を測定するために設計された種々の要素からなり、脚の動きを測定するための25歩の歩行の時間測定、腕の機能を測定するための9ホールペグ試験(nine-hole peg test)、および認知機能を測定するための定速聴覚連続加算検査(paced auditory serial addition test)を含む(www.nationalmssociety.org/searchresults/index.aspx?pageindex=0&pagesize=20&keywords=msfcによる)。
【0135】
MRIにおける画像コントラスト:
時定数は、ラジオ周波数励起の後に平衡を確立する緩和プロセスに関与する。高エネルギー核が緩和および再配列されると、複数の速度でエネルギーが放出され、これらが記録されて、これらの核を含む材料についての情報を提供する。磁場による核スピンの再配列は縦緩和と呼ばれ、特定の割合の組織の核が再配列するために必要とされる時間は、「時間1」またはT1(スピン−格子緩和時間)と呼ばれ、通常、1.5テスラの主磁場強度において約1秒間である。T2強調画像法は横方向のエネルギーパルスがかけられた後のスピンの局所的な位相のずれに頼っており、横緩時間は「時間2」またはT2(スピン−スピン緩和時間)と呼ばれ、通常、1.5テスラの主磁場強度における組織に対して100ミリ秒未満である。
【0136】
画像コントラストは、T1またはT2によるシグナルを強調する画像取得パラメータの選択を用いることによって作り出される。脳では、T1強調によって、白質の神経接続は白色に見え、灰白質のニューロンの集まりは灰色に見え、脳脊髄液は暗色に見える。「白質」、「灰白質」および「脳脊髄液」のコントラストは、T2画像法を用いると反転される。
【0137】
本明細書で使用される場合、MRIという用語は、従来または非従来的なMRIを指す。
【0138】
Gd増強病変:
「Gd増強病変」という用語は、ガドリニウム造影剤を用いるコントラスト研究において見られる血液脳関門の崩壊から生じる病変を指す。Gd増強病変は、通常、病変形成の6週間以内に生じるので、ガドリニウム増強は、病変のできてからの時間に関する情報を提供する。
【0139】
T1強調MRI画像:
「T1強調MRI画像」という用語は、病変を視覚化し得るT1コントラストを強調するMR画像を指す。T1−MRI強調画像の異常な領域は「低強度」であり、暗色スポットのように見える。これらのスポットは、一般に、より古い病変である。
【0140】
T2強調MRI画像:
「T2強調MRI画像」という用語は、病変を視覚化し得るT2コントラストを強調するMR画像を指す。T2病変は新しい炎症活性を表す。T2超強度は、急性の炎症から不可逆的な軸索喪失までの様々な病理学的変化を反映する。
【0141】
再発:
再発は、30日の安定または改善期の後に現れて24時間以上継続する神経機能不全の症状の発生を特徴とする(感染なし、発熱なし)。再発の数は、治療および年齢を調整するロジスティック回帰モデルを用いて分析される。
【0142】
「再発率」は、単位時間あたりに確認された再発の数である。「年率換算の再発率」は、各患者あたりで確認された再発の数に365をかけて、各患者あたりの研究薬物における日数で割ったものの平均値である。
【0143】
身体障害の進行:
身体障害の進行は、EDSSおよびMSFCなどの有効で敏感な信頼性のある尺度によって評価される。身体障害の進行は、特定の度合いの身体障害または関連のある大きさの持続的な悪化の達成として測定される(EDSSスコアが5.5以下の場合には1点、ベースラインスコアが5.5よりも大きい場合には0.5点)。あるいは、進行に到る時間または予め指定された時間に進行を示した個人の割合として測定することができる。支援パラメータとして、身体障害は、予定の来診時に一連の測定から得られる要約尺度(再発に関連するか否かを無視して、一定期間に患者が経験する身体障害の度合いを示す)によって表すこともできる。
【0144】
オリゴヌクレオチド1:
オリゴヌクレオチド1は、VLA−4のα4サブユニットをコードする、CD49d mRNAとしても知られているヒトVery Late Activation Antigen 4 mRNA(VLA-4 mRNA)の3’−非翻訳領域とハイブリッド形成するように設計された第2世代のホスホロチオエート骨格2’−MOE−修飾キメラオリゴヌクレオチドgap−merである。VLA−4は、α−4インテグリン(α4β1)としても知られている。オリゴヌクレオチド1は、VLA−4のα4サブユニットであるCD49をコードするmRNAとハイブリッド形成することによって、初代ヒト細胞およびいくつかのヒト細胞株の両方におけるVLA−4の発現を選択的に抑制する。
【0145】
オリゴヌクレオチド1は、7230ダルトンの分子量を有する、3−9−8 MOE gap−merとも呼ばれる3’→5’ホスホロチオエートオリゴヌクレオチド20−merの19−ナトリウム塩であり、ここで、5’末端から1〜3の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシド(2’−O−(2−メトキシエチルリボース)であり、5’末端から4〜12の位置のヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオシドであり、その全てのシトシンは5−メチルシトシンであり、5’末端から13〜20の位置のヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾リボヌクレオシドである。
【0146】
オリゴヌクレオチド1の配列(配列番号1)は、
5’−MeMeUG AGT MeCTG TTT MeMeMeC AMeMeMeMeU−3’である。
【0147】
オリゴヌクレオチド1の実験式は、
233327601291919Na19である。
【0148】
オリゴヌクレオチド1は、2つの別個の操作:固相合成および下流処理に分けることができる多段階プロセスによって合成され得る。最初の操作において、オリゴヌクレオチド1のヌクレオチド配列は、コンピュータ制御された固相合成機によって構築される。その後の下流処理には、オリゴヌクレオチド1原体を得るための、脱保護段階、調製用逆相(RP)クロマトグラフィによる精製、単離および乾燥が含まれる。オリゴヌクレオチド1の化学合成は、ホスホルアミダイトカップリング化学に続いて酸化的硫化を用い、活性化モノマーの伸長オリゴマー(その3’−末端は固相に共有結合している)への連続カップリングを含む。
【0149】
脱トリチル化(反応a)
固相合成の各サイクルは、担体結合オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオシドの酸に不安定な5’−O−4,4’−ジメトキシトリチル(DMT)保護基の除去により始まる。これは、酸溶液(例えば、トルエン中のジクロロ酢酸(DCA))による処理によって達成される。脱トリチル化の後、次の反応に備えて、アセトニトリルによる洗浄によって過剰な試薬が担体から除去される。
【0150】
カップリング(反応b)
鎖伸長は、活性化剤(例えば、lH−テトラゾール)の存在下、その特定の塩基位置に対応するホスホルアミダイト(例えば、Bに対して:MOE−MeCアミダイト)の溶液と、担体結合オリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシル基の反応によって得られる。この結果、入ってくるヌクレオチドシントンと、担体結合オリゴヌクレオチド鎖との間に亜リン酸トリエステル結合が形成される。カップリング反応の後、次の反応に備えて、アセトニトリルによる洗浄によって過剰な試薬が担体から除去される。
【0151】
硫化(反応c)
新しく形成された亜リン酸トリエステル結合は、硫黄転移試薬(例えば、二硫化フェニルアセチル)の溶液による処理によって、対応する(O,O,O)−トリアルキルホスホロチオエートトリステルに転化される。硫化の後、次の反応に備えて、アセトニトリルによる洗浄によって過剰な試薬が担体から除去される。
【0152】
キャッピング(反応d)
任意の所与のサイクルにおいて利用可能な5’−ヒドロキシ基のごく一部は伸長することができない。次のサイクルのいずれかにおけるこれらの基のカップリングは、所望の生成物から分離するのが困難なプロセス関連の不純物(「DMT-on (n-1)-mers」)の形成をもたらすであろう。これらの不純物の形成を防止し、精製を容易にするために、「キャッピング試薬」(例えば、無水酢酸およびN−メチルイミダゾール/アセトニトリル/ピリジン)が反応容器内に導入されて、キャッピングされた配列が与えられる。得られた失敗配列(「DMT-off shortmers」)は、逆相HPLC精製によって所望の生成物から分離される。キャッピング反応の後、次の反応に備えて、アセトニトリルによる洗浄によって過剰な試薬が担体から除去される。
【0153】
適切な保護ヌクレオシドホスホルアミダイトを用いるこの基本の4段階サイクルの繰り返しにより、保護オリゴヌクレオチド1配列全体の構築が可能になる。
【0154】
骨格の脱保護(反応e)
プロセスの構築部分が完了したら、トリエチルアミン(TEA)のアセトニトリル溶液による処理によって、(O,O,O)−トリアルキルホスホロチオエートトリエステルヌクレオチド間結合を保護するシアノエチル基が除去される。試薬およびこの段階において生成したアクリロニトリルは、アセトニトリルでカラムを洗浄することによって除去される。
【0155】
担体からの切断および塩基脱保護(反応f)
環外アミノ基の脱保護および担体からの粗生成物の切断は、水酸化アンモニウム水によるインキュベーションによって得られる(反応f)。粗製5’−O−DMT−保護生成物の精製は、逆相高圧液体クロマトグラフィ(RP−HPLC)によって達成される。RP−HPLC段階は、DMT−off失敗配列を除去する。溶出プロファイルはUV吸光分光法によって監視される。DMT−onオリゴヌクレオチド1生成物を含有する画分が捕集されて分析される。
【0156】
酸性脱保護(反応g)
5’−O−DMT−保護オリゴヌクレオチド1を含有するRP−HPLC画分はプールされ、沈殿タンクに移される。数回の合成の精製から得られた生成物は、このプロセス段階で合わせられる。精製したDMT−onオリゴヌクレオチド1は酸(例えば、酢酸)により処理されて、5’末端に結合したDMT基を除去する。規定時間の酸暴露および中和の後、オリゴヌクレオチド1原体は単離および乾燥される。
【0157】
最終の酸性脱保護段階(反応g)の後、溶液は水酸化ナトリウム水の添加により中和され、オリゴヌクレオチド1原体は、エタノールの添加により溶液から沈殿される。沈殿した材料は反応容器の底に定着させられ、エタノール性の上澄みがデカントされる。沈殿材料は精製水中に再溶解され、溶液pHはpH7.2〜7.3の間に調整される。沈殿段階は繰り返される。沈殿材料は水中に再溶解され、溶液は0.45ミクロンフィルタによりろ過され、使い捨てのポリプロピレントレイに移され、次にトレイは凍結乾燥器に搭載される。溶液は−50℃に冷却される。初期乾燥は25℃で37時間行われる。温度は30℃に上昇され、二次的な乾燥段階は5.5時間行われる。凍結乾燥プロセスが完了したら、原体は高密度ポリエチレン瓶に移され、−20℃で貯蔵される。
【0158】
多発性硬化症の形態:
MSには5つの別個の疾患段階および/またはタイプがある:
1)良性多発性硬化症、
2)再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、
3)二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、
4)進行性再発性多発性硬化症(PRMS)、および
5)一次性進行型多発性硬化症(PPMS)。
【0159】
良性多発性硬化症は遡及的な診断であり、完全な回復を伴う1〜2回の増悪、持続的な身体障害がないこと、そして最初の発症後10〜15年間疾患の進行がないことを特徴とする。しかしながら、良性多発性硬化症は、多発性硬化症の他の形態に進行し得る。
【0160】
RRMSを患っている患者は、散発性の増悪または再発および寛解期を経験する。病変および軸索喪失の証拠は、RRMS患者のMRIにおいて目に見える場合と目に見えない場合があり得る。
【0161】
SPMSはRRMSから発展し得る。SPMSに苦しんでいる患者は、再発、寛解中の回復度の低下、寛解頻度の低下、およびRRMS患者よりも顕著な神経学的欠損を有する。脳梁、正中中心および脊髄の萎縮のマーカーである脳室の拡大は、SPMS患者のMRIにおいて目に見える。
【0162】
PPMSは、明確な発作または寛解を伴わない神経学的欠損の増大の着実な進行を特徴とする。大脳病変、拡散した脊髄損傷および軸索喪失の証拠は、PPMS患者のMRIにおいて明白である。PPMSは急性の増悪期を有し、寛解することなく神経学的欠損の増大の経過に従って進行する。PRMSを患っている患者のMRIにおいて病変は明白である(5)。
【0163】
臨床的に孤立した症候群(CIS)は、視神経炎、脳幹症状、および部分脊髄炎などのMSと適合する単一の単一症状発作である。第2の臨床的発作を経験するCIS患者は、通常、臨床的に明確な多発性硬化症(CDMS)を有すると考えられる。CISおよびMRI病変を有する患者の80パーセント以上は続いてMSを発症し、約20パーセントは自己限定性のプロセスを有する(24、25)。
【0164】
多発性硬化症は、視神経炎、視覚のぼやけ、複視、不随意性の急速眼球運動、失明、平衡の喪失、振戦、運動失調、眩暈、四肢の不器用さ、協調運動障害、1つまたは複数の四肢の弱さ、筋緊張の変化、筋硬直、攣縮、刺痛、錯感覚、灼熱感、筋肉痛、顔面痛、三叉神経痛、刺すような鋭痛、焼けるような刺痛、発語の遅延、言葉の不明瞭、話のリズムの変化、嚥下障害、疲労、膀胱障害(切迫、頻尿、残尿および失禁を含む)、腸管障害(便秘および腸制御の喪失を含む)、インポテンス、性的興奮の低下、感覚消失、熱に対する敏感性、短期記憶の喪失、集中力の喪失、または判断力もしくは推論力の喪失を示し得る。
【0165】
再発性多発性硬化症:
再発性MSという用語は、
1)RRMS患者、
2)SPMSおよび再発の重複を有する患者、ならびに
3)その後のMcDonaldの基準に従うMRIスキャンにおいて病変の散在を示すCIS患者
を含む。
【0166】
本明細書で使用される場合、再発性多発性硬化症は、
予測不可能な神経機能不全の急性発症(再発)の後の可変的な回復および臨床的安定期を特徴とする再発寛解型多発性硬化症(RRMS)と、
再発の重複の有無にかかわらず、RRMSを有する患者が持続性の悪化を起こした二次性進行型MS(SPMS)と、
最初から進行性の悪化を起こしている患者があとで再発も起こす可能性がある珍しい形態である一次性進行型再発性多発性硬化症(PPRMS)または進行性再発性多発性硬化症(PRMS)と
を含む。
【0167】
本明細書で使用される場合、「投与の過程」は、化合物の最初投与から定期的な投与が停止されるまで継続する治療全体を指す。例えば、化合物は、毎月1回、2ヶ月間、または6ヶ月間、または12ヶ月間、または2年間などで投与され得る。
【0168】
血小板減少
ヒト血液は、約150,000〜440,000血小板/マイクロリットルを含有する。血小板数が約50,000血小板/マイクロリットル血液を下回ると、比較的小さい外傷により出血が起こり得る。一般に、血小板数が10,000〜20,000血小板/マイクロリットルを下回る(この場合、傷害がなくても出血が起こり得る)まで深刻な危険は生じない(26)。
【0169】
「Cmax」は、薬物の投与後に観察されるその最大または「ピーク」濃度を指す。Cminは、薬物の投与後および次の用量の投与の直前に観察されるその最小または「トラフ」濃度を指す。
【実施例】
【0170】
オリゴヌクレオチド1は、米国特許第5,968,826号明細書、米国特許第6,242,591号明細書および米国特許第6,258,790号明細書に開示される方法によって得ることができ、その内容は参照によって本明細書に援用される。
【0171】
実施例1:
プラセボと比較した再発寛解型MS(RRMS)患者におけるオリゴヌクレオチド1の選択された治療計画の効力および安全性のMRIを用いた評価
治療概念を証明するため、そしてオリゴヌクレオチド1(VLA−4アンチセンスオリゴヌクレオチド)の薬物動態学的プロファイルを決定するために、RRMSと診断された77人の被験者において皮下注射により、二重盲検、プラセボ対照、多施設の無作為化試験を行った(表Iを参照)。
【0172】
方法
研究に包含されるためには、18〜55歳の男女は再発寛解型多発性硬化症(RRMS)と診断されていなければならない。
・ 患者は、少なくとも9個のT2病変、あるいは1つがガドリニウム増強であれば少なくとも4個のT2病変を有さなければならず、
・ 患者は、最近12ヶ月の間に少なくとも1回の再発を有していなければならず、
・ 患者は、研究の開始の4週間前に再発を有していてはならず、
・ 患者は、0〜6.0のEDSSスコアを有さなければならず、
・ 患者は、書面によるインフォームドコンセントを提供できなければならず、そして
・ 出産の可能性のある患者は、外科的な不妊手術、経口避妊薬などの信頼できる避妊を使用しなければならない。
【0173】
排除基準は、以下の通りであった:
・ 登録前の2ヶ月以内、あるいは治験薬が新しい化学物質の場合には4ヶ月以内の任意の治験薬の使用、
・ 進行性疾患のある患者、
・ 結果評価を妨害し得る、MRIにおいて付随する臨床的に関連性の知見を有する患者、
・ VLA−4抗体、抗CD4抗体、または他のモノクローナル抗体により治療を受けたことがある患者、
・ いかなる時点においても全身リンパ節照射を受けた患者、
・ 登録前の2ヶ月以内に免疫調節薬または6ヶ月以内に免疫抑制薬を受けた患者、
・ HIV陽性である患者、
・ 定量PCRにより測定される血液中に検出可能なレベルのJCウィルスを有する患者、
・ 2、0mg/dl以上の血清クレアチニンを有する腎機能障害のある患者、
・ 臨床的に関連する胃腸、肝臓、腎臓、内分泌、血液、代謝、神経(MS以外)または精神疾患の病歴を有する患者、
・ 3000/μLよりも多いリンパ球数を有する感染症のある患者、
・ 任意の出血の病歴を有する患者、
・ 凝固異常の病歴を有する患者、
・ 同時にアセチルサリチル酸(300mg/日よりも多い)およびフェンプロクモンを受けている患者、
・ 妊娠しているかまたは授乳中の女性患者、
・ 薬物またはアルコール乱用の病歴を有する患者、
・ 研究目的を妨害する場合にはスクリーニング検査の身体所見において臨床的に関連する異常を有する患者、てんかんを有する患者、
・ 自殺したい衝動に駆られる被験者、
・ 薬物アレルギーおよび/または既知の薬物過敏症の病歴を有する患者、言葉の問題のために研究者と情報交換または協力することができない患者、
・ 精神発達不良または大脳機能障害を有する患者、
・ 研究者の判断において研究の目的を妨害し得る任意の医学的状態を有する患者、
・ 研究に繰り返し参加している患者、
・ 研究薬の適用に対して禁忌を有する患者、
・ 登録前の6ヶ月以内および研究期間中に、副腎皮質ステロイドにより治療された患者、そして
・ 患者は、体内に存在する金属(例えば、移植片)、心臓ペースメーカー、弁、人工内耳、CNS血管クリップ、造影剤アレルギー(Gd−DTPA)などのMRI排除基準を有してはならない。
【0174】
【表1】
【0175】
【表2】
【0176】
オリゴヌクレオチド1の投与
36人の適格な患者は以下の方法でオリゴヌクレオチド1を受けた:
I.誘発サイクル:
1、4、および7日目に、「誘発」用量のオリゴヌクレオチド1、200mg/各注射を患者に3回皮下投与した。
II.維持サイクル:
誘発サイクルの後に、週に2回(週の4および7日目)の200mg/注射のオリゴヌクレオチド1の皮下投与を含み、7週間継続させた。
III.治療停止(Off-Treatment)サイクル:
維持サイクルの後、8週間継続させた。
【0177】
41人の適格な患者はオリゴヌクレオチド1と同様の方法でプラセボを受けた。77人の患者は研究を完了した。
【0178】
オリゴヌクレオチド1生成物
皮下の注射用溶液は、配合中に酸または塩基でpH7.4に調整したWFI(注射用水)中にオリゴヌクレオチド1のみを含有した。溶液は淡黄色の透明であった。これをタイプIのフリントガラスバイアルに詰め、テフロン(登録商標)コーティングを有するブロモブチルゴム閉鎖具で栓をし、アルミニウムのフリップオフオーバーシール(flip-off overseal)で密封した。
【0179】
適格な患者を以下の治療群の1つに無作為に割り当てた。
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】
各患者は、それぞれ100mgのオリゴヌクレオチド1を含有する34本のバイアル(+2本の予備バイアル)またはプラセボ溶液を含有する34本のバイアル(+2本の予備バイアル)と、36本の皮下注射に適したシリンジとからなる患者用パックを受け取った。患者用パックに切取りラベルを付けた。
・ 研究の−7日目にベースラインMRIを実施し、
・ 9回目の投薬の後、4週目MRIを実施し、
・ 17回目の投薬の後、8週目MRIを実施し、そして
・ 1、5、6、および8回目の来診時、そして再発が生じたときにKurtzke総合障害度評価尺度(EDSS)評価を実施した。
【0183】
測定
バイタルサイン:
1および6回目の来診時にバイタルサインを測定した。患者を5分間仰臥位にさせた後、収縮期および拡張期血圧および脈拍数を仰臥位で、そして常に患者の同じ腕で測定した。
【0184】
心電図(ECG):
1および6回目の来診時に、患者を5分間仰臥位にさせた後12誘導ECGを実施した。
【0185】
血液サンプル:
1回目の来診時ならびに5、6および8回目の来診時に、以下のパラメータを決定するために、血液学、臨床化学および凝固パラメータ用の血液サンプルを各患者から採取した。地域の認定研究所で血液サンプルの分析を行った。Bioscientia (Ingelheim)で補体断片Bbを分析した。
・ 血液学:
赤血球、白血球、好中球、血小板、ヘマトクリット、ヘモグロビン、WBC(総)、リンパ球、単球。
・ 臨床化学:
ナトリウム、カリウム、尿素、アルカリホスファターゼ、グルコース、γ−GT、SGOT、SGPT、総ビリルビン、総タンパク質、クレアチニン。
・ 凝固パラメータ:
部分トロンボプラスチン時間、PT、TT。
・ CD8+/CD4+細胞用の血液サンプル:
2、6、7および8回目の来診時に採取した。CD8+/CD4+細胞アッセイは、エッセン大学で行った。
・ JCウィルス監視用の血液サンプル:
1、5、6、7、および8回目の来診時に採取した。血漿のqPCR分析によるJCウィルス監視を継続的に実施し、試験の最後に可能性のある分析のためにバフィーコート細胞を冷凍保存しておいた。Bioscientia(Ingelheim)においてアッセイを行った。
・ HIVスクリーン用の血液サンプル:
1回目の来診時に採取した。HIVスクリーニングは、Bioscientia(Ingelheim)で行った。
【0186】
尿サンプル:
1、5、6、7、および8回目の来診時に、JCウィルス監視用の尿サンプルを各患者から採取した。JCウィルス監視アッセイは、Bioscientia(Ingelheim)により行った。尿分析は地域の研究所で実施した。
【0187】
MRI:
ベースライン設定のため(−7日目)、4週目(9回の投薬後)、8週目(17回の投薬後)、12週目、および16週目に、患者あたり5回のMRIスキャンを実施した。再発の場合には付加的なMRIスキャンを実施した。MRI評価は:
・ T2強調画像、
・ プレコントラストT1強調画像、および
・ ポストガドリニウムT1強調画像
によって行った。
【0188】
治療の割付けを知らされていない熟練した読み手によって、IAC(Image Analysis Centre、VU Medical Centre(Amsterdam、オランダ))によりMRIスキャンを分析した。
【0189】
開始前に、画質および出荷手順を評価し、電子データキャリアのアクセス性を評価するために、各施設はダミースキャンを送ることを要求した。これは、正確なMRIシーケンス(ベンダーに特異的である)を微調整するために使用した。ダミースキャンが最終的に承認された場合にだけ、サイトは、許可されたその特定のサイトのための最終スキャンプロトコールから逸脱することなく患者のスキャニングを開始することが許可された。患者が登録されたら、実施されるスキャンごとに、IACで品質が評価され、継続中の品質保証手順の一環として、貢献するサイトに報告された。データがIACに到着したら、記録をとり、コピーし、保存した。サイトおよびモニターは両方とも、スキャンの受け取りについてファックスによって十分に情報が与えられた。病変は、患者の識別および治療の割付けを全て知らされていない放射線技師によってハードコピーにマークを付けられた。
【0190】
MRI画像取得:
患者の位置は、明確に定義された方法(例えば、鼻堤を中心に)で患者の頭部をヘッドコイル内に入れることによって標準化した。コイルの中心に眼窩の隆線(orbital ridge)を横切って水平の光線を集中させることによって冠状面における回転を最小化した。患者の動きを最小化するために患者の頭部をフォームクッションによりヘッドコイル内に支持した。水平面における回転は、鉛直の光線を鼻に集中させることによって最小化した。テーブルを動かすことなく(従って、シーケンス間で患者の頭部の動きが回避される)ガドリニウムがセッション中に注入されるように、患者をスキャナー内に移動する前に生理食塩水の点滴に接続された長いIVラインを挿入した。
【0191】
全てのMRシーケンスは、3mm厚のスライスを用いて、おおよそ1×1mmピクセルを生じるために25cmの視野(FOV)および256×256の正方形マトリックスで実施した。実際のスキャニングは矢状T1強調スピンエコー(SE)ローカライザー画像により開始した。全ての横断画像は、3mm(100%)ギャップを用いる厚さ3mmの2×23のインターリーブされたセクションを用いて、正中矢状画像から設計した。この結果、13.8cmのZ−範囲を有する46枚の連続スライスが得られ、従って、頭頂から大後頭孔までの頭部が包含され、上部シリーズの中央スライスを脳梁膨大部の下縁と位置合わせした。
【0192】
矩形(例えば、3/4または75%)FOVを使用した。アーチファクトをアンフォールドすることなく1×1mmの正方形ピクセルが得られる限りは、位相コード化ステップ数の比例的な低減(例えば、256の代わりに192)が可能になる(横断画像のために右から左への位相コード化)。「ハーフフーリエ変換」、「低減したスキャン−パーセンテージ」(Philips Healthcare(Best、オランダ))または「1/2 NEX」(General Electric Healthcare(Tirat Hacarmel、イスラエル))などの技術は信号雑音比を実質的に低下させるので用いなかった。
【0193】
最初の横断シーケンス(パイロットスキャンの後)は、プレコントラストT1強調した従来のスピンエコー(SE)[TR 400-700ms/TE 5-25ms/2励起]であった。その後、長いIVラインによってガドリニウム−DTPAを0.1mmol/kgの標準用量で投与した。第2の横断シリーズは、デュアルエコーSE[2000-3000ms/TEl:15-40ms、TE2:60~100ms/1励起]であった。ターボまたは高速SEを使用する場合には、ターボファクターを制限した(例えば、5〜6)。第3および最後の横断シーケンスは、ポストコントラストT1強調された従来のSE[400-700ms/5-25ms/2励起]であった。
【0194】
薬物動態学:
・ オリゴヌクレオチド1:
オリゴヌクレオチド1の血漿レベルを評価するために、2、5、6、および8回目の来診時に血液サンプル(7ml)を得た。2、5、および6回目の来診時には、オリゴヌクレオチド1/プラセボの注射の前ならびに1、2、3、4、および6時間後にこれを実施した。8回目の来診時には、単一のサンプルを得た。採血の10分後に、1,600gおよび4℃の温度で10分間、血液サンプルを遠心分離した。ピペット操作によりラベルの付いたポリプロピレン管(サンプルあたり2本の管)に上澄みを移し、さらに、−20℃(許容差+5℃)以下の温度で貯蔵するためにディープフリーザーに移した。
・ VLA−4測定:
VLA−4レベルを評価するために2、6、7および8回目の来診時に血液サンプルを得た。リンパ球におけるVLA−4アッセイのために36mlの全血を必要とした。
・ CD8+/CD4+測定:
CD8+/CD4+細胞数を評価するために、2、6、7および8回目の来診時に、VLA−4アッセイのために得られた36mlの血液サンプルを用いて血液サンプルをアッセイした。
【0195】
結果
主要な成果尺度(Primary Outcome Measure)
研究期間中、200mgのオリゴヌクレオチド1を皮下投与経路により1週間に2回受けている患者は、MRIにより4、8および12週目に測定された全ての病変を含む脳内の新しい活性病変の累積数において、プラセボを受けている患者と比較して有意な54.4%の低下(p=0.01)を示した(図1)。さらに、オリゴヌクレオチド1により治療された患者は、MRIにより8および12週目に測定された脳内の新しい活性病変の累積数において、プラセボ群と比較して62%の低下(p=0.0089)を示した(図2)。さらに、オリゴヌクレオチド1により治療された患者は、MRIにより4、8および12週目または8および12週目に測定された脳内のガドリニウム増強T1病変の累積数において、プラセボを受けている患者と比較してそれぞれ65%の低下(p=0.0053)および74%の低下(p=0.0026)をさらに示した(図3〜4)。4、8および12週目にMRIにより測定された新しいまたは新たに拡大している脳内のT2病変の累積数もオリゴヌクレオチド1による治療によって低下されていた(図5)。オリゴヌクレオチド1による治療は、8および12週目に測定されたガドリニウム増強病変のない被験者の数の32%(p=0.0248)の増大をもたらした(図6)。オリゴヌクレオチド1投与の最大の効果は、12週目に治療停止サイクル中に観察された(図8)。この所見はオリゴヌクレオチド1の高い安定性を指摘し、従ってさらに、より少ない投薬頻度および/またはより少ない用量のオリゴヌクレオチド1の投与を支持する。
【0196】
結論
オリゴヌクレオチド1は、プラセボ対照、二重盲検試験において、脳内のMRIによって検出可能な新しい病変の蓄積を防止し、それによりRRMSの進行を遅延するのに有効であることが示された。この薬剤は、MSの治療において有効および安全であることが証明されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの最初の例である。
【0197】
二次的な成果尺度
研究の二次的なエンドポイントは、200mgのオリゴヌクレオチド1によって皮下投与経路により1週間に2回治療された患者の脳内でMRIにより測定されたガドリニウム増強病変の容積(4、8、および12週からの全ての病変を含む)(ベースラインのガドリニウム増強病変の容積に対して補正)において、12週目のプラセボ群と比較して84%の累積的減少を示す(図7)。
【0198】
付加的な尺度
血小板減少
血小板減少は、安全性に対する主要な懸念の1つである。この現象は、第1世代のアンチセンスオリゴヌクレオチドで観察された。研究中、オリゴヌクレオチド1で治療した全ての患者において血小板数の低下が観察された。12人の患者(33%)は、治療中いつでも150,000を下回る低下を有し、6人の患者(17%)は、臨床的に重要な100,000を下回る低下を有し、2人の患者は研究を中止した。どの患者も出血症状または他の任意の血小板減少関連の臨床症状を示さなかった。全ての被験者は薬物を停止しているときには回復を示し、効果は急速に可逆的であることが示された。治療上の利益を維持しながらこの問題を解決するために、より少ない頻度の投薬への治療計画の変更が考えられる。
【0199】
薬物動態学的データ
オリゴヌクレオチド1の中央値プロファイルは、1日目から8週目まで、蓄積ピークまたは総血漿暴露レベルの徴候を示さない。(図9および表III)。
【0200】
治療期におけるCmin濃度の増大は、複数回投与によりオリゴヌクレオチド1が組織内に蓄積することを示唆する。追跡期におけるCmin濃度の低下は、t1/2排出が約3週間であることを示唆する。
【0201】
【表5】
【0202】
実施例2:
オリゴヌクレオチド1の投与を以下の3つの群に変更する点を除いて実質的に実施例1に従って、別の臨床研究を実施する:
1)1週間に200mg、
2)2週間に200mg、および
3)4週間に400mg。
【0203】
この新しい臨床試験では、新しい活性病変の累積数およびガドリニウム増強病変の容積に関して実施例1の効果と同様の効果が得られる。さらに、再発率の低下および身体障害の進行の阻害も観察される。さらに、3つのタイプの投与を用いて、血小板減少が制限され、血小板数が1マイクロリットルの血液あたり50,000を下回ることにより試験を中止する患者はいない。ほとんどの患者は、100,000または150,000血小板/マイクロリットル血液よりも高い血小板数を有する。
[参考文献]
図1-1】
図1-2】
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]