(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記噴出部に冷却水を供給する給水系を備え、前記回転機構は、前記滅菌槽に回転可能に挿通される回転軸と、該回転軸を軸心周りで回転させる駆動装置と、前記回転軸に固定される回転体であって、前記収容部及び前記噴出部を保持する回転体と、を有し、前記回転軸には、前記滅菌槽の内部で開口する第一の開口端、及び前記滅菌槽の外部で開口する第二の開口端を含む連通穴が形成され、該連通穴の第一の開口端には、前記噴出部が流体的に接続され、該連通穴の第二の開口端には、前記蒸気供給系と、前記給水系とが流体的に接続され、前記蒸気供給系が前記連通穴に対して流体的に接続されている状態と、前記給水系が前記連通穴に対して流体的に接続されている状態とに切替可能に構成される、請求項1又は請求項2に記載の蒸気滅菌装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、内部を密閉可能な滅菌槽と、複数の滅菌対象物(例えば、食品や医薬品等が容器に封入されているもの等)を収容する収容部であって、該滅菌槽内に配置可能な収容部と、滅菌槽内に配置された収容部に向けて流体を噴出する噴出部と、該噴出部に蒸気を供給する蒸気供給系と、を備える蒸気滅菌装置が提供されている。
【0003】
前記蒸気滅菌装置によって滅菌対象物を滅菌する場合、まず、収容部内に複数の滅菌対象物が配置される。そして、収容部が滅菌槽内に配置され、さらに、該滅菌槽内が密閉される。
【0004】
このような状態において、蒸気供給系が噴出部に蒸気を供給すると、噴出部から噴出した蒸気が収容部に吹きつけられる。これにより、収容部内の各滅菌対象物が蒸気に曝される。従って、前記蒸気滅菌装置は、収容部内の滅菌対象物を蒸気で加熱することによって、該滅菌対象物を滅菌することができる。
【0005】
ところで、上述の蒸気滅菌装置には、滅菌対象物を揺動させながら該滅菌対象物を滅菌するものがある。
【0006】
この種の蒸気滅菌装置は、滅菌槽内の収容部、及び噴出部を揺動させる揺動機構をさらに備えている。揺動機構は、滅菌槽内の収容部と噴出部とを一緒に揺動させる。
【0007】
そのため、前記蒸気滅菌装置では、食品や医薬品等が封入されている容器を滅菌対象物とする場合、容器を揺動させながら蒸気に曝すことができる。従って、前記蒸気滅菌装置では、容器内において内容物の成分が分離したり、沈殿したりすることを防止しつつ、該容器及び内容物を滅菌することができるとされている。
【0008】
しかしながら、前記蒸気滅菌装置では、上述のように、収容部と噴出部とが一緒に揺動するため、収容部と噴射部との相対位置が常に一定となっている。すなわち、前記蒸気滅菌装置では、噴出部から噴出した蒸気が常に収容部の所定の箇所に吹きつけられている。
【0009】
そのため、前記蒸気滅菌装置では、滅菌対象物の形状や、滅菌対象物の配置の影響によって、各滅菌対象物が均一に蒸気に曝されないことがある。従って、前記蒸気滅菌装置では、各滅菌対象物を均一に加熱することができず、滅菌後の滅菌対象物の状態にばらつきが生じることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、滅菌対象物を偏りなく蒸気に曝すことのできる蒸気滅菌装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る蒸気滅菌装置は、内部を密閉可能な滅菌槽と、滅菌対象物を収容する
とともに内外に流体を流通可能に構成された複数のケージを有する収容部であって、該滅菌槽内に配置可能な収容部と、前記滅菌槽内に流体を噴出する噴出部と、該噴出部に蒸気を供給する蒸気供給系と、前記滅菌槽内の収容部、及び該噴出部を回転させる回転機構と、を備え、
前記回転機構は、前記噴出部から蒸気を噴出している状態で該噴出部と前記収容部とを前記滅菌槽内で同方向に回転させ続けるように構成され、前記複数のケージのそれぞれは、一面を開放した箱状のケージ本体部と、該ケージ本体部の開放部分を覆う蓋部とを備えるとともに、前記ケージ本体部の底板部と前記蓋部の天板部とが前記回転機構による回転の中心に対して交差する第一方向で対向するように構成され、前記複数のケージは、該第一方向に間隔をあけて配置されることを特徴とする。
【0013】
上記構成の蒸気滅菌装置によれば、滅菌対象物を収容した収容部を滅菌槽内に配置し、該滅菌槽内を密閉することができる。そして、蒸気供給系から噴出部に蒸気を供給すると、噴出部から蒸気が噴出する。これにより、滅菌槽内に蒸気が供給される。
【0014】
また、前記蒸気滅菌装置では、回転機構によって、滅菌槽内に配置されている収容部と噴出部とを回転させることができる。そのため、前記蒸気滅菌装置では、収容部を回転させることによって、滅菌槽内の蒸気を拡散させることができる。
【0015】
さらに、前記蒸気滅菌装置では、収容部を回転させると、該収容部内の滅菌対象物が回転移動する。すなわち、前記蒸気滅菌装置は、滅菌槽内において滅菌対象物の姿勢を変化させながら移動させることができる。従って、前記蒸気滅菌装置では、滅菌対象物を偏りなく蒸気に曝すことができる。
【0016】
本発明に係る蒸気滅菌装置の一態様として
、前記噴出部は、隣り合うケージの間に向けて蒸気を噴出させるように配置される、ようにしてもよい。
【0017】
前記蒸気滅菌装置では、複数のケージが一方向に間隔をあけて配置されるため、隣り合うケージの間には、隙間が形成される。また、前記蒸気滅菌装置では、噴出部が隣り合うケージの間に向けて蒸気を噴出させるように配置されるため、噴出部から噴出した蒸気が前記隙間に入り込む。
【0018】
さらに、前記蒸気滅菌装置では、収容部を回転させることによって、前記隙間内の蒸気を拡散させることができる。従って、前記蒸気滅菌装置は、各ケージ内の滅菌対象物を偏りなく蒸気に曝すことができる。
【0019】
本発明に係る蒸気滅菌装置の他態様として、前記噴出部に冷却水を供給する給水系を備え、前記回転機構は、前記滅菌槽に回転可能に挿通される回転軸と、該回転軸を軸心周りで回転させる駆動装置と、前記回転軸に固定される回転体であって、前記収容部及び前記噴出部を保持する回転体と、を有し、前記回転軸には、前記滅菌槽の内部で開口する第一の開口端、及び前記滅菌槽の外部で開口する第二の開口端を含む連通穴が形成され、該連通穴の第一の開口端には、前記噴出部が流体的に接続され、該連通穴の第二の開口端には、前記蒸気供給系と、前記給水系とが流体的に接続され、前記蒸気供給系が前記連通穴に対して流体的に接続されている状態と、前記給水系が前記連通穴に対して流体的に接続されている状態とに切替可能に構成される、ようにしてもよい。
【0020】
上記構成の蒸気滅菌装置によれば、蒸気供給系を連通穴の第二の開口端に接続すると、連通穴を介して蒸気供給系から噴出部に蒸気を供給することができる。そして、前記蒸気滅菌装置では、給水系を連通穴の第二の開口端に接続すると、連通穴を介して給水系から噴出部に冷却水を供給することができる。従って、前記蒸気滅菌装置は、滅菌対象物の加熱及び滅菌と、滅菌対象物の冷却とを行うことができる。
【0021】
さらに、前記蒸気滅菌装置では、噴出部と蒸気供給系とを接続する経路と、噴出部と給水装置とを接続する経路とが一つの連通穴によって構成されているため、装置が大型になることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る蒸気供給系によれば、滅菌対象物を偏りなく蒸気に曝すことができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態に係る蒸気滅菌装置は、滅菌対象物を蒸気で加熱することによって滅菌するものである。なお、滅菌対象物としては、例えば、食品や医薬品等が容器に封入されているものが挙げられる。
【0025】
図1乃至
図3に示すように、蒸気滅菌装置1は、内部を密閉可能な滅菌槽2と複数の滅菌対象物を収容する収容部3であって、該滅菌槽2内に配置可能な収容部3と(
図2参照)、滅菌槽2内に流体を噴出する噴出部4と、該噴出部4に蒸気を供給する蒸気供給系5と、滅菌槽2内の収容部3、及び該噴出部4を回転させる回転機構6と、を備える。
【0026】
また、本実施形態に係る蒸気滅菌装置1は、噴出部4に冷却水を供給する給水系7をさらに備える。
【0027】
滅菌槽2は、筒状の胴部20であって、軸線方向に第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有する胴部20と、該胴部20の第一端の開口を開閉するための開閉部21と、該胴部20の第二端の開口を閉塞する閉塞部22と、を備えている。
【0028】
そのため、本実施形態に係る滅菌槽2は、胴部20の第一端の開口から胴部20内に収容部3を配置したり、収容部3を胴部20内から取り出したりすることができる。なお、本実施形態にかかる滅菌槽2は、内部に二つの収容部3を配置可能に構成されている。
【0029】
本実施形態にかかる蒸気滅菌装置1では、上述のように、滅菌槽2に二つの収容部3が配置される。二つの収容部3のそれぞれは、互いに共通する構成を有する。そのため、本実施形態では、一つの収容部3について説明を行う。
【0030】
図4に示すように、収容部3は、複数の滅菌対象物を収容可能な複数のケージ30であって、一方向(以下、第一方向とする)に間隔をあけて配置される複数のケージ30を備えている。これに伴い、本実施形態に係る収容部3は、複数のケージ30のそれぞれを格納可能な複数の格納部31と、該格納部31を保持する保持構造32と、を備える。
【0031】
図5に示すように、複数のケージ30のそれぞれは、一面を開放した箱状のケージ本体部300と、該ケージ本体部300の開放部分を覆う蓋部301と、を備える。
【0032】
ケージ本体部300は、矩形状の底板部300aと、該底板部300aの外縁から起立する周壁部300bであって、該底板部300aの外縁全周に亘って形成される周壁部300bと、を有する。
【0033】
蓋部301は、ケージ本体部300の底板部300aと対向する天板部301aと、該天板部301aの外縁から垂下する垂下部301bであって、該天板部301aの外縁全周に亘って形成される垂下部301bと、を有する。
【0034】
そして、ケージ30では、ケージ本体部300上に蓋部301を配置すると、周壁部300bの外面と垂下部301bの内面とが互いに隣接する。
【0035】
なお、上述のように、収容部3では、複数のケージ30が第一方向に間隔をあけて配置されている。そのため、収容部3では、隣り合うケージ30の間に隙間Sが形成されている。
【0036】
本実施形態にかかるケージ30は、ケージ本体部300、及び蓋部301を通じて該ケージ30の内外に流体を流通させることができるように構成されている。
【0037】
複数の格納部31のそれぞれは、ケージ本体部300が載置される受部310と、蓋部301に当接させる当接部311と、を備える。
【0038】
受部310は、第一方向と直交する方向(以下、第二方向という)において長手をなす一対のガイド部310aを有する。
【0039】
一対のガイド部310aのそれぞれは、長手方向に沿って延びる領域が屈曲した態様になっている。一対のガイド部310aのそれぞれは、第一方向及び第二方向のそれぞれに直交する方向(以下、第三方向という)において間隔をあけて配置されている。
【0040】
そのため、一対のガイド部310aのそれぞれにおいて、屈曲部分を境とする一方側の部分には、ケージ本体部300の底板部300aが載置される。そして、一対のガイド部310aのそれぞれにおいて、屈曲部分を境とする他方側の部分には、ケージ本体部300の周壁部300bが隣接する。
【0041】
当接部311は、第一方向と直交する方向(以下、第二方向という)において長手をなす一対のガイド部311aを有する。
【0042】
一対のガイド部311aのそれぞれは、長手方向に沿って延びる領域が屈曲した態様になっている。一対のガイド部311aのそれぞれは、第三方向において間隔をあけて配置されている。
【0043】
そのため、一対のガイド部311aのそれぞれにおいて、屈曲部分を境とする一方側の部分には、蓋部301の天板部301aが当接する。そして、一対のガイド部311aのそれぞれにおいて、屈曲部分を境とする他方側の部分には、蓋部301の垂下部301bが隣接する。
【0044】
保持構造32は、第一方向において複数の格納部31(及びケージ30)の両側に配置される一対のベース320と、該一対のベース320のそれぞれに連結される複数のフレーム321とを有する。また、保持構造32は、後述する回転体の案内部によって案内される被案内部322を有する。
【0045】
一方のベース320は、第一方向において格納部31との間に間隔をあけて配置されている。本実施形態において、一方のベース320は、格納部31の上方に配置されている。他方のベース320は、第一方向において格納部31との間に間隔をあけて配置されている。本実施形態において、他方のベース320は、格納部31の下方に配置されている。
【0046】
複数のフレーム321には、第三方向における格納部31の一方側に配置されるフレーム321と、第三方向における格納部31の他方側に配置されるフレーム321とが含まれる。本実施形態に係る収容部3において、複数の格納部31のそれぞれは、各フレーム321に対して固定されている。
【0047】
被案内部322は、他方のベース320に取り付けられるローラーによって構成されている。
【0048】
図6、及び
図7に示すように、噴出部4は、収容部3に向けて流体を噴出する複数のノズル40と(
図5参照)、該複数のノズル40のそれぞれに流体を供給するための供給経路41と、を有する。
【0049】
複数のノズル40のそれぞれは、隣り合うケージ30の間の隙間Sと対応する位置に配置される。本実施形態に係る噴出部4では、第二方向における収容部3の両側に複数のノズル40が配置されている。そして、第二方向における収容部3の一方側に配置されるノズル40と、第二方向における収容部3の他方側に配置されるノズル40とは、第二方向において互いに対向する。
【0050】
第二方向における収容部3の一方側に配置される複数のノズル40のそれぞれは、第一方向、及び第二方向において整列している。また、第二方向における収容部3の他方側に配置される複数のノズル40のそれぞれも、第一方向、及び第二方向において整列している。
【0051】
供給経路41は、第一方向において整列する各ノズル40が接続される複数の接続管410と、該複数の接続管410のそれぞれに流体的に接続される連結管411と、を有する。
【0052】
上述のように、本実施形態に係る噴出部4では、第二方向における収容部3の両側に複数のノズル40が配置されている。そのため、噴出部4は、第二方向における収容部3の一方側に配置されている各接続管410に対して流体的に接続される連結管411と、第二方向における収容部3の他方側に配置されている各接続管410に対して流体的に接続される連結管411と、を有する。
【0053】
図1に示すように、蒸気供給系5は、蒸気が供給される蒸気供給管50と、該蒸気供給管50に取り付けられる弁51と、を有する。なお、本実施形態に係る蒸気供給系5は、蒸気を発生させる蒸気発生装置52であって、蒸気供給管50に接続される蒸気発生装置52をさらに有する。
【0054】
蒸気供給管50は、噴出部4の連結管411に流体的に接続されている(本実施形態では、回転機構6の後述する回転軸の連通穴を介して噴出部4の連結管411に接続されている)。
【0055】
図2に示すように、回転機構6は、滅菌槽2に回転可能に挿通される回転軸60と、該回転軸60を軸心周りで回転させる駆動装置(図示しない)と、回転軸60に固定される回転体61であって、収容部3及び噴出部4を保持可能な回転体61と、を有する。
【0056】
また、
図2及び
図3に示すように、回転機構6は、回転体61を回転可能に支持する支持構造62を備える。
【0057】
回転軸60は、滅菌槽2の閉塞部22に対して回転可能に挿通されている。回転軸60は、滅菌槽2内に配置される第一端と、滅菌槽2外に配置される第二端と、を有する。回転軸60には、滅菌槽2の内部で開口する第一の開口端と、前記滅菌槽2の外部で開口する第二の開口端とを含む連通穴600が形成されている。
【0058】
連通穴600の第一の開口端には、前記噴出部4が流体的に接続される。連通穴600の第二の開口端には、前記蒸気供給系5と、前記給水系7とが切替可能に接続される。すなわち、蒸気滅菌装置1は、蒸気供給系5が連通穴600(噴出部4)に対して流体的に接続されている状態と、給水系7が連通穴600(噴出部4)に対して流体的に接続されている状態とに切替え可能に構成されている。
【0059】
回転体61は、筒状のインナーケース610と、該インナーケース610を回転軸60に固定する固定部611と、を有する。また、回転体61は、インナーケース610の外面上に配置される被支持部612であって、円環状の被支持部612を有する。
【0060】
さらに、回転体61は、インナーケース610の内部に配置される案内部613であって、第一方向において収容部3を案内する案内部613と、インナーケース610内の収容部3を押圧する押圧部614と、を有する。
【0061】
案内部613は、第一方向に沿って真っ直ぐに延びるレールによって構成される。また、案内部613は、第一方向において収容部3のローラーを案内するように構成される。
【0062】
押圧部614は、収容部3の他方のベース320を押さえつけるように構成されている。
【0063】
図3に示すように、支持構造62は、滅菌槽2の胴部20の外面に取り付けられる配置されるケース620であって、滅菌槽2の内部と連続する空間を有するケース620と、該ケース620内に回転可能に配置されるコロ621であって、一部が滅菌槽2内に露出するコロ621とを備える。
【0064】
本実施形態に係る蒸気滅菌装置1では、二つの支持構造62が滅菌槽2の周方向において間隔をあけて配置されている。
【0065】
固定部611には、回転軸60が挿通されている。また、固定部611と回転軸60とは、相対回転不能に構成されている。さらに、固定部611には、供給経路41の連結管411が固定されている。
【0066】
そのため、回転機構6では、回転軸60を回転させると、該回転軸60とともインナーケース610と固定部611とが回転する。
【0067】
図1に示すように、給水系7は、蒸気が供給される給水管70と、該蒸気供給管50に取り付けられる弁71と、を有する。なお、本実施形態に係る給水系7は、冷却水を供給する給水装置72であって、給水管70に接続される給水装置72をさらに有する。
【0068】
給水管70は、噴出部4の連結管411に流体的に接続されている(本実施形態では、回転機構6の後述する回転軸60の連通穴600を介して噴出部4の連結管411に接続されている)。
【0069】
本実施形態に係る蒸気滅菌装置1は、以上の通りである。続いて、本実施形態にかかる蒸気滅菌装置1の動作について、添付図面を参照しつつ説明を行うこととする。
【0070】
蒸気滅菌装置1で滅菌対象物を滅菌するには、まず、収容部3の各ケージ30内に滅菌対象物が配置される。また、収容部3が滅菌槽2内に配置され、滅菌槽2内が密閉される。
【0071】
そして、蒸気供給系5が回転軸60の連通穴600を介して噴出部4に接続される。本実施形態では、蒸気供給系5の弁51が開かれ、給水系7の弁71が閉じられることによって、蒸気供給系5が噴出部4に接続される。蒸気発生装置52によって蒸気を発生させると、蒸気供給管50、回転軸60の連通穴600を通じて噴出部4に該蒸気が供給される。
【0072】
これにより、
図8に示すように、連結管411及び接続管410を通過した蒸気が各ノズル40から噴出し、収容部3に吹きつけられる。そのため、各ケージ30内の滅菌対象物が蒸気に曝される。これにより、滅菌対象物が加熱されることによって滅菌される。
【0073】
駆動装置が回転軸60に駆動力を与えると、該回転軸60が軸心周りで回転する。これに伴い、回転軸60と回転体61とが一緒に回転する。そして、
図9に示すように、回転体61に保持されている収容部3と、噴出部4とが一緒に回転する。
【0074】
さらに、給水系7が回転軸60の連通穴600を介して噴出部4に接続される。本実施形態では、蒸気供給系5の弁51が閉じられ、給水系7の弁71が開かれることによって、給水系7が噴出部4に接続される。そして、給水系7から給水管70に冷却水を供給すると、回転軸60の連通穴600を通じて噴出部4に冷却水が供給される。
【0075】
これにより、回転させている収容部3に対して冷却水が吹きつけられる。そのため、各ケージ30内の滅菌対象物が冷却水に曝される。従って、滅菌された滅菌対象物が冷却される。
【0076】
以上のように、蒸気滅菌装置1によれば、回転機構6によって、滅菌槽2内に配置されている収容部3と噴出部4とを回転させることができる。そのため、蒸気滅菌装置1では、回転させている収容部3によって、滅菌槽2内の蒸気を拡散させることができる。
【0077】
さらに、蒸気滅菌装置1では、収容部3を回転させると、該収容部3内の滅菌対象物が回転移動する。そのため、蒸気滅菌装置1は、滅菌槽2内において滅菌対象物の姿勢を変化させながら移動させることができる。従って、蒸気滅菌装置1は、滅菌対象物をより確実に偏りなく蒸気に曝すことができる。
【0078】
また、蒸気滅菌装置1は、隣り合うケージ30の間の隙間Sに向けて蒸気が噴出されるため、収容部3を回転させることによって、前記隙間S内の蒸気を拡散させることができる。従って、蒸気滅菌装置1は、各ケージ30内の滅菌対象物をより偏りなく蒸気に曝すことができる。
【0079】
さらに、蒸気滅菌装置1では、噴出部4と蒸気供給系5とを接続する経路と、噴出部4と給水装置72とを接続する経路とが一つの連通穴600によって構成されているため、装置が大型になることを抑えることもできる。
【0080】
なお、本発明の蒸気滅菌装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0081】
上記実施形態において、滅菌槽2は、胴部20内に二つの収容部3を配置可能に構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、滅菌槽2は、胴部20内に一つの収容部3を配置可能に構成したり、胴部20内に三つ以上の収容部3を配置可能に構成されていてもよい。
【0082】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、ケージ本体部300と、蓋部301とは、例えば、パンチングメタルによって構成してもよい。但し、ケージ本体部300と、蓋部301とは、ケージ30の内外に流体を流通させることができれば、かかる構成に限定されるものではない。
【0083】
上記実施形態において、受部310は、別体で構成される一対のガイド部310aを有するように構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、受部310は、一対のガイド部310aのそれぞれにおける、屈曲部分を境とする一方側の部分が互いにつながっていてもよい。但し、このようにする場合、受部310には、載置されるケージ本体部300の底板部300aと対向する方向において、流体を流通させることができるように構成されていることが好ましい。
【0084】
上記実施形態において、噴出部4は、収容部3(隣り合うケージ30の間の隙間S)に向けて流体を噴出する複数のノズル40を有していたが、これに限定されるものではない。例えば、噴出部4は、収容部3を躱した位置に流体を噴出するノズル40を有するようにしてもよい。
【0085】
この場合、噴出部4のノズル40は、滅菌槽2や、インナーケース610に向けて流体を噴出するように構成されていることが好ましい。かかる構成の蒸気滅菌装置1では、蒸気によって加熱されている滅菌槽2や、インナーケース610に対して、冷却水を直接吹きつけることができる。そのため、蒸気滅菌装置1では、滅菌槽2内の温度を効率よく下げることができる。従って、蒸気滅菌装置1は、効率よく滅菌対象物を冷却することができる。
【0086】
また、上記実施形態において、噴出部4は、収容部3に向けて流体を噴出する複数のノズル40を有していたが、これに限定されるものではない。例えば、噴出部4は、収容部3に向けて流体を噴出する複数のノズル40に加えて、収容部3を躱した位置に流体を噴出するノズル40を有していてもよい。
【0087】
このようにすれば、蒸気滅菌装置1は、収容部3に向かう方向と、収容部3を躱した場所に向かう方向とに蒸気を噴出することができる。従って、蒸気滅菌装置1は、滅菌槽2内に供給された蒸気が拡散され易くなり、効率よく滅菌対象物の加熱及び滅菌を行うことができるようになる。
【0088】
また、蒸気滅菌装置1は、収容部3を躱した位置に流体を噴出するノズル40が滅菌槽2や、インナーケース610に向けて流体を噴出するように構成されていれば、加熱されている滅菌槽2や、インナーケース610に冷却水を直接的に吹きつけることができる。従って、かかる構成を採用した蒸気滅菌装置1は、滅菌槽2内の温度を下げ易くなり、滅菌対象物を効率良く冷却することができる。