(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タバコロッドと前記タバコロッドに接続されたフィルタ要素とを備え、前記フィルタ要素は前記タバコロッドの基端にある端部と、前記タバコロッドから末端にある端部とを有するシガレットであって、前記フィルタ要素は、
前記タバコロッドの基端にあり且つ内部に煙変性剤を含む、繊維性フィルタ材の第1長手方向延在部分と、
前記タバコロッドから末端にあり且つ前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された、繊維性フィルタ材の第2長手方向延在部分と、
を備え、
繊維性フィルタ材の第2部分は、煙変性剤を含まず、
前記繊維性フィルタ材の第1部分は、前記繊維性フィルタ材の第1部分に挿入され且つ前記繊維性フィルタ材の第1部分を通って延在する、1つ以上のチューブを備え、前記1つ以上のチューブは、前記タバコロッドと前記繊維性フィルタ材の第2部分との間で煙変性剤に実質的に接触することなく主流煙が通過するために適合されたチャネルを画成する、
シガレット。
前記繊維性フィルタ材の第1部分および前記繊維性フィルタ材の第2部分のそれぞれは、独立的に、セルロースアセテートトウと、ギャザーセルロースアセテートウェブと、ポリプロピレントウと、ギャザーポリプロピレンウェブと、ギャザーポリエステルウェブと、ギャザー紙と、ポリラクチック酸と、ポリ水酸化アルカノエートと、再形成タバコのストランドと、からなる群から選択される、請求項1に記載のシガレット。
前記チューブ壁は、前記主流煙の少なくとも一部が前記チューブ壁を浸透して前記繊維性フィルタ材の第1部分に入るよう十分な多孔率を有する、請求項19に記載のシガレット。
前記チューブ壁は、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリラクチック酸、ポリ水酸化アルカノエート、またはこれらの組み合わせから形成される、請求項19に記載のシガレット。
前記少なくとも1つの破壊可能なカプセルは、前記1つ以上のチューブのうちの少なくとも一方の前記チャネルキャビティ内に配置される、請求項23に記載のシガレット。
前記吸着剤は活性炭、モレキュラーシーブ、粘土、活性アルミナ、シリカゲル、イオン交換樹脂、風味剤、およびこられの組み合わせからなる群から選択される、請求項28に記載のシガレット。
前記酸化触媒は、アルカリ金属と、アルカリ土類金属と、IIIB族、IVB族、VB族、VIB族、VIIB族、VIIIB族、IB族、およびIIB族の遷移金属と、IIIA族元素と、IVA族元素と、ランタニドと、アクチニドと、からなる群から選択される元素を含む触媒金属化合物である、請求項34に記載のシガレット。
前記触媒金属化合物は、酸化鉄と、酸化銅と、酸化亜鉛と、酸化セリウムと、パラジウムと、白金と、ロジウムと、パラジウム、白金、またはロジウムのハロゲン化物と、パラジウム、白金、またはロジウムの硝酸塩と、これらの組み合わせと、からなる群から選択される、請求項35に記載のシガレット。
タバコロッドと前記タバコロッドに接続されたフィルタ要素とを備えるシガレットであって、前記フィルタ要素は前記タバコロッドの基端にある端部と、前記シガレットのマウス端を画成する前記タバコロッドから末端にある端部とを有し、前記フィルタ要素は第1繊維性フィルタ材を備え、1つ以上のチャンネルキャビティが、前記第1繊維性フィルタ材内に形成され且つ前記第1繊維性フィルタ材を通って少なくとも部分的に長手方向に延在し、前記少なくとも1つのチャネルキャビティのそれぞれは、前記タバコロッドと、(i)前記繊維性フィルタ材の第1部分に端と端とを接した構成で配列された繊維性フィルタ材の第2部分であって、煙変性剤を含まない繊維性フィルタ材の第2部分および(ii)前記シガレットの前記マウス端のうちの一方との間で主流煙が通過するために適合され、前記第1繊維性フィルタ材は、前記タバコロッドの基端にある前記端部を始点として前記フィルタ要素に沿って少なくとも部分的に長手方向に延在する煙変性剤を含み、
主流煙は、煙変性剤に実質的に接触することなく通過する、シガレット。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明について、添付の図面を参照しつつ、以下でより詳細に説明する。本発明は多数の異なる形態で実施され得、本明細書で説明する実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的且つ完全なものとなり、本発明の範囲が当業者に十分に伝わるよう、提供される。本明細書で用いられる単数形の「a」、「an」、および「the」は、内容的に明らかに単数のみを参照する場合以外は、複数の参照も含むことに注意すべきである。
【0019】
本発明は、シガレットまたは「発熱するが燃焼しない」(heat but not burn)シガレット代替品等の喫煙物品により生成される主流煙をフィルタリングするときに用いられるために適合されたフィルタ要素を対象とする。
図1を参照すると、シガレットの形態の喫煙物品10が示される。シガレット10は、外包包装材16に含まれた喫煙充填材の装填物またはロールの略円筒形ロッド12を備える。ロッド12は、従来、「タバコロッド」と呼称される。タバコロッドの両端は開放されて、喫煙充填材が露出する。タバコロッド12の一方端は着火端18であり、フィルタ要素20は他方端に配置される。シガレット10は、所望による包装材16上にプリントされたバンド22を有するものとして示される。なお、このバンドはシガレットの長手方向軸を横切る方向にシガレットロッドを外包する。すなわち、このバンドはシガレットの長手方向軸に対する横方向領域を提供する。このバンドは包装材の内側表面上に(すなわち喫煙充填材に対向して)印刷されてもよく、または包装材の外側表面上に印刷されてもよい。
図1に示すシガレットは1つの所望によるバンドを有する包装材を備えるが、シガレットは、さらに所望による離間するバンドを2つ、3つ、または4つ以上有する包装材も備えてよい。
【0020】
シガレット10は、フィルタ要素およびタバコロッドが端と端とを接して、好適には互いに当接して、軸方向に整列するよう、タバコロッド12の一方端に近接して配置されたフィルタ要素20を備える。フィルタ要素20は略円筒形状を有し、その直径はタバコロッドの直径に実質的に等しい。フィルタ要素20の両端は開放され、空気および煙がフィルタ要素20を通って流れることが可能である。フィルタ要素20は、少なくとも1つのフィルタ材のセグメントすなわち部分24(例えば可塑化されたセルロースアセテートトウ)を含み、この部分24は、その長手方向に延在する表面に沿って、外包プラグ包装材26により包装される。典型的なプラグ包装材26は、空気流に対して多孔性であるかまたは非多孔性である紙等の、紙材料である。フィルタ要素20はフィルタ材の2つ以上のセグメント、および/または係るセグメント内に組み込まれた風味添加剤を有し得る。所望による実施形態はプラグ包装材を含まない場合もある。
【0021】
フィルタ要素20はチップ材28によりタバコロッド12に取り付けられ、チップ材28は、フィルタ要素の全長とタバコロッドの近接領域との両方を外包する。チップ材28の内側表面は、プラグ包装26の外側表面と、タバコロッドの包装材16の外側表面と、に好適な接着剤を用いて固定的に取り付けられる。所望により、通風または空気希釈される喫煙物品に対して、一連のパーフォレーション30等の空気希釈手段が提供される。なお、一連のパーフォレーション30のそれぞれは、チップ材28およびプラグ包装26を通って延在する。空気希釈される場合には、フィルタ要素は、通常、通風され、それにより、約10〜約85%の範囲の、好適には約30〜約40%の範囲の空気希釈を有するシガレットが提供されることとなる。本明細書で用いられる用語「空気希釈」は、シガレットを通して吸い込まれてシガレットの最終的なマウス端から出る空気および煙の総体積に対する、空気希釈手段を通って吸い込まれる空気の体積の比(百分率で表される)である。Selkeら、Beitr. Zur Tabak. In., Vol. 4, p. 193 (1978)を参照されたい。パーフォレーション30は当業者に周知である様々な技術を用いて作製され得る。例えば、パーフォレーション30は、機構的なまたはマイクロレーザのオフライン技術を用いて、またはオンラインのレーザ穿孔を用いて、作製され得る。
【0022】
本発明の好適なシガレットは吸い込みに対して望ましい抵抗を示す。例えば、代表的なシガレットは、17.5cc/秒の空気流において、約50〜約250水柱ミリメートルの圧力低下を示す。好適なシガレットは、17.5cc/秒の空気流において、約60〜約180水柱ミリメートルの圧力低下値、より好適には約70〜約150水柱ミリメートルの圧力低下値を示す。通常、シガレットの圧力低下値は、Filtrona Instruments and Automation社から入手可能なFiltrona Filter Test Station(CTSシリーズ)、またはCerulean Division of Molins公開有限会社から入手可能なQuality Test Module(QTM)を用いて測定される。
【0023】
代表的なシガレット10の寸法は異なり得る。好適なシガレットはロッド形状であり、約17mm〜約27mmの円周長を有する。シガレット10の全長は、通常、約80mm〜約150mmである。
【0024】
フィルタ要素20の長さは異なり得る。典型的なフィルタ要素は、約7mm〜約65mmの長さ、頻繁には約21mm〜約50mmの長さを有し得る。チップ紙28は、通常、フィルタ要素20全体と、フィルタ要素に近接する領域におけるタバコロッド12の約4mmの長さと、を外包する。
【0025】
タバコロッドの周囲を包装するために用いられる包装材は異なり得る。好適には、包装材は、シガレット製造に通常用いられる種類の紙材料等の、紙材料である。包装材は広範囲の構成および特性を有し得る。特定の紙材料の選択はシガレットの設計および製造の分野の当業者には容易に明らかとなることであろう。喫煙ロッドは1つのレイヤの包装材を有してもよく、または喫煙ロッドは、所謂「二重包装」の喫煙ロッドの場合のように、2つ以上のレイヤの外包包装材を有してもよい。包装材は、包装材が、喫煙材の成分(例えばエアロゾル形成物質)と接触する結果として、視認可能な汚損を経験することがないよう、物質からなるか、または好適に処理され得る。代表的な種類の包装材、包装材成分、および処理済み包装材は、Whiteらに付与された米国特許第5,105,838号と、Arzonicoらに付与された米国特許第5,271,419号と、Gentryに付与された米国特許第5,220,930号と、Woodheadらに付与された米国特許第6,908,874号と、Ashcraftらに付与された米国特許第6,929,013号と、Hancockらに付与された米国特許第7,195,019号と、Holmesに付与された米国特許第7,276,120号と、Hancockらに付与された米国特許第7,275,548号と、Fournierらに付与された国際公開第03/043450号と、において記載され、これらの特許の全体は参照することにより本明細書に援用される。代表的な包装材は、Schweitzer−Maudit Internationalから入手可能なReynolds Tobacco Company Grade119、170、419、453、454、456、465、466、490、525、535、557、652、664、672、676、および680として商業的に入手可能である。包装材の多孔率は異なり得、頻繁には約5コレスタ単位〜約30,000コレスタ単位の範囲であり、しばしば約10コレスタ単位〜約90コレスタ単位の範囲であり、頻繁には約8コレスタ単位〜約80コレスタ単位の範囲である。
【0026】
包装材は、通常、繊維材と、繊維材中に埋め込まれたまたは分散された少なくとも1つの充填材と、を組み込む。繊維材は異なり得る。最も好適には、繊維材はセルロース系物質である。好適には、充填材は実質的に水溶性粒子の形態を有する。加えて、充填材は、通常、無機成分を組み込む。充填材は、主流煙の蒸気相成分を吸収する能力または係る成分と反応する能力を有する触媒または吸着剤材料を含み得る。カルシウム塩を組み込む充填材が特に好適である。1つの代表的な充填材は炭酸カルシウムの形態を有し、炭酸カルシウムは、最も好適には粒子形態で用いられる。例えば、Hamplに付与された米国特許第4,805,644号と、Sandersに付与された米国特許第5,161,551号と、Baldwinらに付与された米国特許第5,263,500号と、国際公開第01/48316号と、を参照されたい。その他の充填材は、凝集された炭酸カルシウム粒子と、酒石酸カルシウム粒子と、マグネシウム酸化物粒子と、水酸化マグネシウムゲルと、炭酸マグネシウムタイプの物質と、粘土と、珪藻土物質と、二酸化チタン粒子と、ガンマアルミナ物質と、硫酸カルシウム粒子と、を含む。充填材は、燃焼特性の改変または主流煙の特徴および含量を調節する能力(例えば特定化合物の吸収による)等の、特定の有益な特徴が包装材に付与されるよう、選択され得る。いくつかの実施形態において、充填材は省略可能である。
【0027】
フィルタロッド、フィルタロッドセグメント、およびフィルタ要素を作製することと、これらのフィルタロッド、フィルタロッドセグメント、およびフィルタ要素からシガレットを製造することとは、係る用途に対して当該技術分野において周知である種類の機材を用いて実行され得る。複数セグメントのシガレットフィルタロッドは、Hauni−Werke Korberを無限責任社員とする合資会社製のMulfiの商標名で入手可能なシガレットフィルタロッド製造装置を用いて製造され得る。フィルタ付きシガレットの製造に従来から用いられてきた所謂シックスアップロッド、フォーアップフィルタロッド、およびツーアップロッドは、Hauni−Werke Korberを無限責任社員とする合資会社製のLab MAX、MAX、MAX S、またはMAX 80として入手可能なチッピング装置等の従来型のまたは好適に改変されたシガレットロッド処理装置を用いて処理され得る。例えば、Erdmannらに付与された米国特許第3,308,600号と、Heitmannらに付与された米国特許第4,281,670号と、Vosらに付与された米国特許第6,229,115号と、を参照されたい。
【0028】
本発明を実施するために有用なタバコ材料は異なり得る。タバコ材料は、鉄管乾燥タバコ、バーレー種タバコ、オリエント種タバコ、もしくはメリーランドタバコ、暗色タバコ、暗色火干タバコ、およびルスチカタバコの他にも、他の希少種または特製品のタバコ、またはこれらのブレンド等の、様々なタバコから得られ得る。様々な種類のタバコ、栽培作業、収穫作業、および養生作業についての説明はTobacco Production, Chemistry and Technology, Davisら(Eds.) (1999)に示される。タバコは適切な乾燥および熟成されたものであることが最も好ましい。
【0029】
通常、シガレット製造のためのタバコ材料は所謂「ブレンド」形態で用いられる。例えば、一般に「アメリカンブレンド」と呼称される特定の好評であるタバコブレンドは、鉄管乾燥タバコ、バーレー種タバコ、およびオリエント種タバコの混合を含む。係るブレンドは、多くの場合において、加工済みタバコ茎(例えばカットロールまたはカットパフ茎)および体積膨張タバコ(例えば、好ましくはカット充填材の形態における、ドライアイス膨張タバコ等のパフタバコ)等の、加工済み形態を有する。タバコ材料は、再形成タバコ(例えば抄紙型(paper−making type)またはキャストシート型(cast sheet type)の処理を用いて製造された再形成タバコ)の形態も有し得る。特定のシガレットブランドの製造のために用いられるタバコブレンド内における各種類のタバコの正確な量はブランド毎に異なる。例えば、Tobacco Encyclopedia, Voges (Ed.) p. 44−45 (1984), Browne, The Design of Cigarettes, 3rd Ed., p.43 (1990) and Tobacco Production, Chemistry and Technology, Davisら (Eds.) p. 346 (1999)を参照されたい。様々な代表的なタバコの種類、加工済み種類のタバコ、タバコブレンドの種類、シガレット成分、およびシガレット構成については、Lawsonらに付与された米国特許第4,836,224号と、Perfettiらに付与された米国特許第4,924,888号と、Brownらに付与された米国特許第5,056,537号と、Brinkleyらに付与された米国特許第5,159,942号と、Gentryに付与された米国特許第5,220,930号と、Blakleyらに付与された米国特許第5,360,023号と、Shaferらに付与された米国特許第6,701,936号と、Liらに付与された米国特許第7,011,096号と、Liらに付与された米国特許第7,017,585号と、Lawsonらに付与された米国特許第7,025,066号と、Perfettiらに付与された米国特許出願公開第2004−0255965号と、Beremanに付与された国際公開第02/37990号と、Bombickら, Fund. Appl. Toxicol., 39, p. 11−17 (1997)と、において説明される。なお、これらの特許および文献の全体は参照することにより本明細書に援用される。
【0030】
タバコ材料は、通常、シガレット等の喫煙物品の製造のために従来から用いられてきた形態および手法で用いられる。タバコは、通常、カット充填材の形態(例えば、約1/10インチから約1/60インチ、好適には約1/20インチから約1/35インチの幅、および約1/4インチから約3インチの長さにカットされたタバコ充填材の細片またはストランド)で用いられる。シガレットのタバコロッド内で通常用いられるタバコ充填材の量は約0.5g〜約1gの範囲である。タバコ充填材は、通常は約100mg/cm
3〜約300mg/cm
3の充填密度で、しばしば約150mg/cm
3から約275mg/cm
3の充填密度でタバコロッドが満たされるよう、用いられる。
【0031】
所望により、タバコロッドのタバコ材料はさらに他の成分も含み得る。他の成分はケーシング材料(例えば糖類、グリセリン、ココア、およびカンゾウ)およびトップドレッシング材料(例えばメンソール等の香料)を含む。特定のケーシング成分およびトップドレッシング成分は望まれる官能的特徴等の要因に依存し、これらの成分の選択はシガレットの設計および製造の分野の当業者には容易に明らかとなることであろう。Gutcho, Tobacco Flavoring Substances and Methods, Noyes Data Corp. (1972)、およびLeffingwellら, Tobacco Flavoring for Smoking Products (1972)を参照されたい。
【0032】
本発明で用いられるための1つの代表的なタバコブレンドは、約25〜約98重量パーセントの鉄管乾燥されたタバコ、約10〜約30重量パーセントのバーレー種タバコ、約10〜約30重量パーセントのオリエント種タバコ、約10〜約30重量パーセントの再形成された鉄管乾燥および/またはオリエント種タバコ葉、約10〜約50重量パーセントの膨張された鉄管乾燥タバコ葉身、所望により約5〜約20重量パーセントの膨張された鉄管乾燥タバコ茎、および約2〜約8重量パーセントのケーシング材料を含む。所望により、ブレンドは約0.25〜約2重量パーセント(好適には約0.5〜約1.5重量パーセント)の香料をトップドレッシングの形態でさらに含み得る。好適なトップドレッシングの調合物は摂氏40度で約2.0mmHgを越えない蒸気圧を有する香料からなる。
【0033】
好適な実施形態において、タバコブレンドは、約25〜約70重量パーセントの鉄管乾燥されたタバコ、約12〜約20重量パーセントのバーレー種タバコ、約15〜約20重量パーセントのオリエント種タバコ、約15〜約20重量パーセントの再形成された鉄管乾燥および/またはオリエント種タバコ葉、約20〜約30重量パーセントの膨張された鉄管乾燥タバコ葉身、所望により約10〜約15重量パーセントの膨張された鉄管乾燥タバコ茎、および約3〜約5重量パーセントの量のケーシング材料を含む。
【0034】
ケーシング材料は好適には、ココア、カンゾウ、様々な糖類、およびグリセリン等の、当該技術分野において周知である様々な香味原料を含む。1つの実施形態において、ケーシング材料は、イチジク由来の成分すなわちイチジクから抽出された成分(例えばBell Flavors社から入手可能なFig Supreme Flavor)を含む。1つの代表的なケーシング調合物がBlakleyらに付与された米国特許第5,360,023号に開示され、同特許は参照することにより本明細書に援用される。用いられ得る代表的な植物由来の調合物はDubeらに付与された米国特許出願第12/971,746号、およびDubeらに付与された米国特許出願第13/015,744号で開示される。
【0035】
本発明のシガレットにより供給される「タール」およびニコチンのレベルは異なるであろう。通常、本発明のシガレットは、米国特許第4,836,224号に記載される量の「タール」およびニコチンを供給するであろう。なお、同特許は参照することにより本明細書に援用される。本発明のシガレットは、FTC喫煙状態で喫煙されると、一般的には約0.2mg〜約3.5mg、頻繁には約0.3mg〜約2.5mg、さらに頻繁には約0.6mg〜約1.2mgのニコチンを供給する。本発明のシガレットは、FTC喫煙状態で喫煙されると、一般的には約0.5mg〜約18mg、頻繁には約3mg〜約13mg、さらに頻繁には約5mg〜約11mgの「タール」を供給する。
【0036】
タバコブレンドはエアロゾル形成物質を含み得る。エアロゾル形成物質は異なり得、様々な組み合わせのエアロゾル形成物質が用いられ得る。代表的な種類のエアロゾル形成物質は、Sensabaugh, Jr.らに付与された米国特許第4,793,365号と、Jakobらに付与された米国特許第5,101,839号と、Biggsらに付与された国際公開第98/57556号と、Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco, R. J. Reynolds Tobacco Company Monograph (1988)と、において記載され、これらの特許および文献は参照することにより本明細書に援用される。好適なエアロゾル形成物質は、十分な熱が加えられると、視認可能なエアロゾルを生成し、大いに好適なエアロゾル形成物質は、「煙状」とみなされ得るエアロゾルを生成する。好適なエアロゾル形成物質は、タバコの燃焼により生成される煙の化学的性質に較べて化学的に単純である。大いに好適なエアロゾル形成物質はグリセリン等のポリオールである。
【0037】
喫煙ロッド内に存在する喫煙材の乾燥重量に対する、使用されるエアロゾル形成物質の量は異なり得る。喫煙ロッドに対して、ロッド内に存在するエアロゾル形成物質の量は、喫煙ロッド内のエアロゾル形成物質とタバコ材料との組み合わされた乾燥重量の約2パーセント以上、一般的には約3パーセント以上である。好適な喫煙ロッドに対して、ロッド内に存在するエアロゾル形成物質の量は、喫煙ロッド中のエアロゾル形成物質とタバコ材料との組み合わされた乾燥重量の、少なくとも約5パーセント、一般的には少なくとも約10パーセント、しばしば少なくとも約15パーセント、頻繁には少なくとも約20パーセントであり、さらには少なくとも約25パーセントさえにもなる。好適な喫煙ロッドに対して、ロッド内に存在するエアロゾル形成物質の量は、通常は、喫煙ロッド中のエアロゾル形成物質とタバコ材料との組み合わされた乾燥重量の、約65パーセントを、一般的には約60パーセントを、しばしば約55パーセントを、頻繁には約50パーセントを、越えることはない。過度に高いレベルのエアロゾル形成物質を有する喫煙材は、通常、従来型の自動化シガレット製造設備を用いてシガレットロッドに加工することは困難である。
【0038】
図2〜
図7は、シガレット等の喫煙物品とともに使用するために適合された、本発明のフィルタ要素の様々な実施形態を示す。本発明のフィルタ要素は、通常、1つ以上の長手方向に延在するセグメントを含む。特定の実施形態において、本発明のフィルタ要素は2つのセグメントを含む。なお、これらのセグメントは好適には端と端とを接した構成で配列されることが好ましい。他の実施形態において、フィルタ要素は単一のセグメントを備えるか、または空洞フィルタを含む3つ、4つ、または5つ以上のセグメントを備え得る(例えば「プラグ−空間−プラグ」フィルタ)。1つの好適な実施形態において、フィルタ要素はタバコ端セグメント(すなわちタバコロッドの基端にあるフィルタ材の部分)およびマウス端セグメント(すなわちタバコロッドの末端にあるフィルタ材の部分)を備える。
【0039】
フィルタ要素の各セグメントは、異なる特性を有し得、1つ以上の煙変性剤をそれぞれのセグメント内に含み得る。例えば、本発明の特定の実施形態はフィルタ要素を提供する。なお、このフィルタ要素内では、主流煙は煙変性剤が存在しない領域を通過するよう導かれ、その結果として、煙変性剤との接触に起因する煙の官能的特性の変化は阻止または低減されることとなる。煙変性剤はフィルタ要素の単一セグメント内に隔離され、フィルタ要素のさらなるセグメントは実質的に煙変性剤を含まなくてもよい。他の実施形態において、本発明に係るフィルタ要素の単一セグメントは、係るセグメントの1部分のみに提供された煙変性剤を有し得る。このようにして、本発明は、煙変性剤が、主流煙の全ストリームと必ずしも接触することなく、主流煙内の特定のガス種と相互作用することを可能にするフィルタ設計を提供する。3つ以上のフィルタセグメントが含まれる実施形態において、チャネルまたはチューブは2つ以上のセグメント内に形成され得る。
【0040】
本明細書で用いる用語「煙変性剤」は、例えば、特定ガス種の吸収(例えば有機化合物の除去)、特定ガス種との化学反応(例えば一酸化炭素の酸化)、または揮発性ガス成分の添加(例えば煙への風味剤の添加)等により、フィルタ要素を通過する主流煙の構成を改変する能力を有する任意の物質を示す。煙変性剤は、例えば繊維の形態またはソリューションモノリス(solution monolith)上に噴霧された形態等の他の形態も本発明から逸脱することなく用いられ得るが、通常は粉末状または顆粒状と説明され得る形態で利用される。例えば吸着剤および風味剤の組み合わせ等の異なる種類の物質の組み合わせを含む煙変性剤の組み合わせは同一フィルタ内で用いられ得る。
【0041】
代表的種類の煙変性剤は、活性炭、モレキュラーシーブ(例えばゼオライトおよびカーボンモレキュラーシーブ)、粘土、活性アルミナ、シリカゲル、およびイオン交換樹脂等の吸着剤と、風味剤含有カプセル、およびペパーミントもしくはスペアミント葉または他の植物ベースの粒状香味材等の固体植物性添加剤を含む風味剤と、を含む。本発明にしたがってフィルタ要素(またはフィルタ要素の特定セグメント)において用いられ得る吸着剤の量は、約10〜250mg、しばしば約30〜約150mg、頻繁には約40〜約120mgであり得る。吸着剤の形態は異なり得る。通常、吸着剤は、米国シーブシステムを用いて約8×16メッシュ〜約30×70メッシュの範囲の粒子寸法を有する顆粒状または粒状の固体の形態で用いられる。一方、より小さい粒子またはより大きい粒子も本発明から逸脱することなく用いられ得る。いくつかの実施形態において、吸着剤は、少なくとも約80%の粒子が20〜50メッシュとなるような粒子寸法を有し得る。「顆粒状」および「粒状」という用語は、国際公開第03/059096(A1)号に記載の所謂「ビーズカーボン」等の、非球形粒子および球形粒子の両方を含むことを意図する。なお、同特許は参照することにより本明細書に援用される。
【0042】
特定の実施形態において、吸着剤は特に活性炭であり得る。炭素の活性レベルは異なり得る。通常、炭素は、約60〜約150四塩化炭素活性率(すなわち吸収した四塩化炭素の重量パーセント)の活性を有する。ここで最も有用な活性炭は、主に炭素からなり、好適には約80重量パーセント以上の炭素含有率、さらに好適には約90重量パーセント以上の炭素含有率を有する。好適な炭質材料は歴青炭、タバコ材料、軟材パルプ、硬材パルプ、ヤシ殻、アーモンド殻、ブドウ種子、クルミ殻、マカダミア殻、カポック繊維、綿繊維、および綿リンタ等を炭化または熱分解することにより提供される。ヤシ殻、アーモンド殻、ブドウ種子、クルミ殻、およびマカダミアナッツ殻由来の炭素が特に好適である。好適な活性炭材料の例は、PCBおよびGRC−11としてCalgon社から入手可能な活性化されたヤシ殻を主成分とする炭素と、S−Sorb、BPL、CRC−11F、FCA、およびSGLとしてCalgon社から入集可能な石炭を主成分とする炭素と、WV−B、SA−20、およびBSA−20としてWestvaco社から入手可能な木材を主成分とする炭素と、HMC、ASC/GR−1、およびSC IIとしてCalgon社から入手可能な炭質材料と、Rohm and Haas社から入手可能なWitco Carbon No.637およびAMBERSORB樹脂と、である。その他の炭質材料は、Whiteらに付与された米国特許第4,771,795号と、Clearmanらに付与された米国特許第5,027,837号と、欧州特許出願公開第236,922号と、欧州特許出願公開第419,733号と、欧州特許出願公開第419,981号と、に記載される。特定の炭質材料は、遷移金属(例えば銀、金、銅、白金、パラジウム)、炭酸水素カリウム、タバコ抽出物、ポリエチレンイミン、二酸化マンガン、オイゲノール、および4−ケトノナン酸等の物質で含浸され得る。特定の炭素組成物はセモリナ等の1つ以上の充填材を含み得る。ブドウ種子抽出物もフリーラジカル捕捉剤としてフィルタ要素に組み込まれ得る。例示的なイオン交換樹脂は、三菱化学株式会社から入手可能なDIAION(登録商標)イオン交換樹脂(例えばWA30およびDCA11)と、Rohm and Haas社から入手可能なDUOLIT(登録商標)イオン交換樹脂(例えばDUOLITE(登録商標) A7)と、中国のDalian Trico Chemical社から入手可能なXORBEX樹脂と、を含む。
【0043】
他の実施形態においては、煙変性剤は、一酸化炭素、NO
X、シアン化水素、カテコール、ヒドロキノン、または特定のフェノール等の、主流煙中に存在する1つ以上のガス種を酸化する能力を有する酸化触媒である。本発明において用いられる酸化触媒は、通常、約110Da未満の分子量、より頻繁には約75Da未満の分子量、および最も頻繁には約50Da未満または約40Da未満の分子量を有する、主流煙の1つ以上のガス種を酸化する触媒金属化合物である。特定の運用理論に拘束されることなく、本発明に係るフィルタ要素は比較的小さい分子量のガス種の酸化に特に好適であるということが信じられている。
【0044】
本明細書で用いる「触媒金属化合物」は、喫煙物品により生成された主流煙の1つ以上の気相成分と直接的に反応し、もしくは係る気相成分に触媒作用を及ぼし、またはその両方を行うことにより、気相成分の濃度を低下させる、金属含有化合物を示す。例えば、特定の触媒金属化合物は、主流煙中のCOレベルを低下させるために酸素の存在下でCOが酸化してCO
2になる反応に触媒作用を及ぼし得る。Banerjeeらに付与された米国特許出願公開第2007/0215168号において、酸化セリウム粒子を含む喫煙物品が説明される。なお、同特許の全体は参照することにより本明細書に援用される。酸化セリウム粒子は喫煙物品の使用中に放出される一酸化炭素量を低下させる。追加的な触媒金属化合物は、Seehoferらに付与された米国特許第4,182,348号と、Daleらに付与された米国特許第4,317,460号と、Elliottらに付与された米国特許第4,956,330号と、Creightonらに付与された米国特許第5,050,621号と、Augustineらに付与された米国特許第5,258,340号と、McCormickに付与された米国特許第6,503,475号と、McCormickに付与された米国特許第6,503,475号と、Yadavらに付与された米国特許第6,562,495号と、Leeらに付与された米国特許第6,572,673号と、Billietらに付与された米国特許第6,709,622号と、Beremanらに付与された米国特許第6,789,548号と、Lilly Jr.らに付与された米国特許第号6,848,450と、Liらに付与された米国特許第7,011,096号と、Liらに付与された米国特許第7,152,609号と、Luanらに付与された米国特許第7,165,553号と、Hajaligolらに付与された米国特許第7,228,862号と、Saoudらに付与された米国特許第7,509,961号と、Dellingerらに付与された米国特許第7,549,427号と、Pillaiらに付与された米国特許第7,560,410号と、Bockらに付与された米国特許第7,566,681号と、Banerjeeらに付与された米国特許出願公開第2005/0274390号と、Gedevanishviliらに付与された米国特許出願公開第2007/0251658号と、Banerjeeらに付与された米国特許出願公開第2010/0065075号と、Banerjeeらに付与された米国特許出願公開第2010/0125039号と、Searsらに付与された米国特許出願公開第2010/0122708号と、に記載される。なお、これらの特許の全部の全体は参照することにより本明細書に援用される。
【0045】
触媒金属化合物の金属成分の例は、アルカリ金属と、アルカリ土類金属と、IIIB族、IVB族、VB族、VIB族、VIIB族、VIIIB族、IB族、およびIIB族の遷移金属と、IIIA族元素と、IVA族元素と、ランタニドと、アクチニドと、を含むがこれらに限定されない。特定の代表的な金属元素は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Y、Ce、Na、K、Cs、Mg、Ca、B、Al、Si、Ge、およびSnを含む。触媒金属化合物は、沈殿された金属粒子と、金属酸化物粒子(例えば酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、および酸化セリウム)と、モノリスと、支持された触媒粒子(触媒金属化合物が、活性炭、アルミニウム酸化物、酸化銅、またはチタン酸化物等の多孔性支持物質内に分散されるか、または係る支持物質上にコーティングされる)とを含む、様々な固体粒子形態で用いられ得る。パラジウム触媒および酸化セリウムの組み合わせ等の触媒金属化合物の組み合わせが用いられてもよい。触媒金属化合物の粒子寸法は異なり得るが、約1nmから約20ミクロンの値を取り得る(典型的には、支持されない触媒材料がその範囲の下端(例えば約1nmから約1ミクロン)に位置し、支持スカフォードを含む触媒材料がその範囲の上端(例えば約5ミクロンから約20ミクロン)に位置する)。支持基質上に装填される触媒材料の量は異なり得るが、典型的には、コーティングされた基質の乾燥重量全体に基づいて約0.2%から約10.0%となるであろう。
【0046】
フィルタ要素に組み込まれる触媒金属化合物の量は異なり得る。例えば、代表的なフィルタ要素内に典型的に組み込まれる量は約0.1mgから約200mgの範囲となり得る。一般に、その量は、少なくとも約1mgであり、しばしば少なくとも約5mgである。通常、その量は、約100mgを越えることはなく、約90mgを越えることは比較的まれである。頻繁には、その量は約5mg〜約80mgである。
【0047】
触媒金属化合物の組み合わせを用いることに関しては、1つの代表的な組み合わせは、酸化物の形態の触媒金属化合物と、パラジウム、白金、ロジウム、そのハロゲン化物(例えば塩化パラジウムまたは塩化白金)またはその硝酸塩(例えば硝酸パラジウムまたは硝酸白金)等のVIIIB族の触媒金属化合物との組み合わせである。これら2つの成分は、別個にフィルタ要素に組み込まれてもよく、または組み込まれる前に予混合されてもよい。一般に、VIIIB族金属(または金属ハロゲン化物もくしは金属硝酸塩)の量と第2触媒金属化合物の量との比は重量を基準にして約1:2〜約1:10,000の範囲である。
【0048】
煙変性剤をフィルタ要素に組み込む手法は異なり得る。例えば、煙変性剤は、繊維性フィルタ材(例えばセルロースアセテートトウ)等のフィルタ材の部分内に埋め込まれるかもしくは分散され得、またはBlakleyらに付与された米国特許第5,360,023号に記載の炭素含有ギャザー紙等の紙に組み込まれ得る。他の実施形態において、フィルタ要素は煙変性剤が配置され得る区画を備え得る。加えて、煙変性剤は、区画内に配置され、且つ1つ以上のフィルタ要素の部分内に埋め込まれ得る。所望による区画内の煙変性剤とフィルタ材中に埋め込まれたもしくは分散された吸着剤とは、同一であってもよく、また異なってもよい。
【0049】
図2は、フィルタ材38の第1部分と、第1部分に端と端とを接した構成で配列されるフィルタ材36の第2部分と、を備える本発明のフィルタ要素20の1つの実施形態を示す。フィルタ材の部分のそれぞれは独立的に繊維性フィルタ材を含み得る。図示のように、フィルタ材38の第1部分はフィルタ要素20のタバコロッド12の基端に配置され、フィルタ材36の第2部分はタバコロッド12から末端に(すなわちフィルタ要素20のマウス端に)配置される。フィルタ材38の第1部分は煙変性剤34を含み、好適には煙変性剤34は顆粒形態である。煙変性剤34は実質的にフィルタ材38の第1部分の全域に提供されるものとして図示されるが、いくつかの実施形態においては、煙変性剤34はフィルタ材38の第1部分の定められた部分にのみ存在し得る。
【0050】
フィルタ材38の第1部分およびフィルタ材36の第2部分は、独立的に、約5mm〜約60mmの範囲で異なる全長を有し得る。いくつかの実施形態において、フィルタ材38の第1部分は、約7mm〜約40mmの長さ、約8mm〜約35mmの長さ、または約10mm〜約30mmの長さを有し得る。フィルタ材36の第2部分は約2mm〜約25mmの長さ、約4mm〜約20mmの長さ、または約6mm〜約15mmの長さを有し得る。
【0051】
タバコロッド12の基端にあるフィルタ材38の部分は、チューブ壁48Aがチューブ48を通って延在し主流煙がフィルタ材38の部分を通過するための通路をチューブ48が提供する状態で、1つ以上のチューブ48を備える。チューブが図示されるが、代替的に、フィルタ要素はチューブに加えて、またはチューブに代わって、チャネルを備え得ることが理解されるべきである。チャネルは、フィルタ材が存在しない開口部またはキャビティとして特徴付けられ得る。チューブは予成形チャネルとして特徴付けられ得る。チューブが用いられる実施形態において、チューブ48はフィルタ材38の第1部分に挿入され且つ第1部分を通って延在するものとして特徴付けられ得る。1つ以上のチューブ(またはチャネル)48は、フィルタ材38の第1部分内における煙変性剤34との接触が実質的に回避されつつ主流煙がタバコロッド12とフィルタ材36の第2部分との間を流れるために適合された妨害のない通路を提供する。図示はしないが、1つ以上のチューブまたはチャネルも、同様に、フィルタ材の第2部分内に含まれ得る。
【0052】
前述のように、フィルタ要素はフィルタ材の複数の部分を備え得る。例えば、
図1に戻って、フィルタ要素20は、タバコロッド12とフィルタ材38の第1部分との間に配置されたフィルタ材の第3部分を備えることが可能である。さらに、キャビティがフィルタ要素20内に、例えばフィルタ材38の第1部分とフィルタ材36の第2部分との間等の位置に、含まれ得る。
【0053】
図3〜
図5は、タバコロッド12の基端にあるフィルタ部分38を通って延在する1つ以上のチューブ(またはチャネル)48に対する様々な代表的な構成を示す。
図3は
図2の線A−Aに沿った断面図である。
図4、
図5、および
図7は、
図2の線A−Aに沿ったが、それぞれの代替的な実施形態における、断面図を同様に示す。
図3に示すように、フィルタ要素20は単一のチューブ48を備え得る。なお、このチューブ48は、例えばフィルタ材38の第1部分の中心軸に沿って、且つ係る中心軸の基端で、延在する。代替的に、
図4および
図5に示すように、複数のチャネル(または他の実施形態においてはチューブ)48が利用され得る。なお、複数チャネルの正確な配置および構成は異なり得る。
図4の実施形態では、複数のチャネル48がフィルタ部分38の中心軸の基端に配置される。
図5に示す代替的な実施形態において、複数のチャネル48はフィルタ部分38の周縁部に沿って配置される。1つの実施形態において、チャネル(またはチューブ)48の個数は1〜約20個、1〜約15個、または1〜約10個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個)である。
【0054】
チャネル48の壁部は、チャネルが形成されるフィルタ材38の部分の物質により画成され得る。代替的に、チャネル48は、壁部を有するチューブの形態をとり得、チューブはフィルタ材に挿入されるかまたは別様にフィルタ材と組み合わされる。
図3に示すように、チューブ48は、チューブ48が内径および外径を有するよう、定められた厚さを有するチューブ壁48Aを有する。チューブ(すなわちチューブ壁)は、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリプロピレン、PLA、PHA、またはこれらの組み合わせ等の、自己支持構造を形成する能力を有する任意の材料(例えば高分子材料)を含み得る。
【0055】
1つ以上のチャネルまたはチューブ48の合計断面積は変化し得る。通常、チャネルまたはチューブ48の合計断面積は約0.1mm
2〜約50mm
2、約0.25mm
2〜約20mm
2、または約0.5mm
2〜約15mm
2である。チャネルまたはチューブ48の断面形状は異なり得、例えば長方形、円形、または三角形であり得る。特定の実施形態において、チューブ48は少なくとも約0.25mmの内径、少なくとも約0.5mmの内径、または少なくとも約0.75mmの内径を有し得る。特定の実施形態において、チューブは、約0.25mm〜約2mmの内径、約0.5mm〜約1.5mmの内径、または約0.6mm〜約1.25mmの内径を有し得る。チューブ壁48Aは、約0.1mm〜約1mmの厚さ、約0.2mm〜約0.8mmの厚さ、または約0.3mm〜約0.5の厚さを有し得る。チューブ48の外径は、チューブ内径とチューブ壁厚さとの所望の組み合わせに応じて異なり得る。予成形チューブが用いられるのではなくチューブが形成される実施形態において、チャネル直径は、チューブの内径に対して注記したのと同じ範囲となり得る。いくつかの実施形態(特にチャネルが予成形チューブの形態ではない場合)においては、チャネルの直径は、煙変性剤がチャネルまたはチューブ内に移動することがないよう(すなわち、チャネルまたはチューブの直径が煙変性剤の粒子直径よりも小さくなり得るよう)、選択され得る。他の実施形態においては、チューブ壁は、係る移動が回避されるよう、十分なバリア特性を提供し得、チューブの内径は、煙変性剤の粒子寸法から独立し得る。
【0056】
特定の実施形態において、フィルタ材38の第1部分におけるチューブ48の壁部48Aは定められた多孔率を有し得る。係る多孔率はチューブ作成に用いられた物質の固有の性質に起因し得る。特定の実施形態において、
図6に示すように、多孔率は、チューブ壁48Aに形成されるパーフォレーション48Bを提供することにより達成(または増加)され得る。特に、チューブ壁は、主流煙の少なくとも一部がチューブ壁を浸透してフィルタ材の第1部分に入るよう、十分な多孔率を有し得る。多孔率は、チューブを通過する主流煙の量が制限され、フィルタ材の第1部分内に存在する煙変性剤との接触が回避されるよう、定められ得る。
【0057】
図7に示す本発明に係るさらなる実施形態においてはさらなるフィルタ材49が所望により提供され、このフィルタ材48は、チャネルまたはチューブ48内において、少なくとも部分的にチャネルまたはチューブ48を満たすよう、配置される。図示の実施形態において、フィルタ材49は、フィルタ材38の第1部分内に存在するチューブ48の全個数よりも少ない個数のチューブ48内に提供される。他の実施形態において、存在する全部のチューブがさらなるフィルタ材で満たされ得る。チューブ48のうちの1つ以上に配置されるさらなるフィルタ材49は、フィルタ材38の第1部分おおよびフィルタ材36の第2部分のうちの1つまたは両方と同一であってもよくまたは異なってもよい。さらに他の実施形態において、1つ以上のチャネルまたはチューブ48は、フィルタ材で裏打ちされるが、依然としてチャネルまたはチューブを通って延在する開放された通路を有し得る。チューブの裏に設けられるフィルタ材は、任意の有用な材料であり得、チューブを包囲するフィルタ材と同一であっても、または異なってもよい。
【0058】
図8および
図9に示すさらに他の実施形態において、フィルタ要素20は、フィルタ材55の単一部分から形成され得る。なお、この単一部分は、本発明のさらなる実施形態におけるフィルタ材の部分で用いられる本明細書で記載の任意の材料から形成され得る。
図8の実施形態において、チューブ48はフィルタ材55の部分の全長を長手方向に延在し、この部分はさらに煙変性剤34を含む。チューブ48はさらなるフィルタ材49により満たされる。なお、フィルタ材49は、特に、上述のフィルタ材36の第2部分で用いられるのと同一種類の材料であり得る。他の実施形態において、チューブ48はさらなるフィルタ材49により部分的にのみ満たされ得、または、さらなるフィルタ材は完全に不在であり得る(すなわち、チューブ内にはフィルタ材がまったく存在せず、したがってチューブは開放チャネルとなる)。このように、タバコロッド12を出てチューブ48を通過する主流煙は、煙変性剤34に接触することはないが、さらなるフィルタ材49がチューブ48内に存在する場合には所望により依然としてフィルタされる。おそらく、さらなるフィルタ材49は、主流煙の官能的特性に悪影響を及ぼさないことが期待される物質のみを含むであろう。
【0059】
図9に示す実施形態において、チューブ48は、再び、フィルタ材55の部分の全長を長手方向に延在し、フィルタ材55の部分はさらに煙変性剤34を含む。チューブ48は依然として、さらなるフィルタ材49を含む。なお、フィルタ材49は、特に、上述のフィルタ材36の第2部分において用いられるのと同一種類の材料であり得る。しかしこの実施形態において、さらなるフィルタ材49は、遮断されない通路48Bが依然としてチューブ48の全長にわたって延在するよう、チューブ壁48Aの内部のみの裏に設けられる。このように、タバコロッド12を出てチューブ48を通過する主流煙は、煙変性剤34に接触することはないが、チューブ48の壁部48Aの裏に設けられるフィルタ材49との接触により、依然としてフィルタされる。おそらく、さらなるフィルタ材49は、主流煙の官能的特性に悪影響を及ぼさないことが期待される物質のみを含むであろう。
図8および
図9に関して説明される主題は、予成形チューブは用いられず、むしろ1つ以上のチャネル48がフィルタ材55の単一部分内で形成される実施形態も含み得る。例えば、
図9に関して、フィルタ材55の部分を通る通路は形成されたチャネルとして構成され得、さらなるフィルタ材49は、タバコロッド12を出てチャネルを通過する主流煙が依然として煙変性剤34に接触しないよう、形成されたチャネルの壁部の裏に設けられ得る。
【0060】
図10に示すさらなる実施形態において、フィルタ要素20は少なくとも1つの破壊可能なカプセル54をフィルタ材38の第1部分内に含む。カプセル54はフィルタ材38内に単に埋め込まれ得る。
図10に示す実施形態において、フィルタ材38の部分は、破壊可能なカプセル54を受容するために適合された区画60をその部分内に備える。係る区画60は、単にカプセル54をフィルタ材38中に物理的に挿入する動作から出現し得る。代替的な実施形態において、破壊可能なカプセルは、フィルタ材36の第2部分内、フィルタ材55の単一部分内、またはチャネル(またはチューブ)48内に提供され得る。破壊可能なカプセルがチャネル内に提供される場合は、チャネルは、カプセルの容易な破壊が支援されるよう、予成形チューブではなく、むしろフィルタ材の部分内に形成されることが好適となるであろう。
【0061】
各破壊可能なカプセル54は、フィルタ要素を通して吸い込まれた主流煙の性質または特性に対して何らかの変化をもたらすことを意図する化合物(例えば香料添加剤)を組み込むペイロードを担持する。煙は香料添加剤を放出するためにカプセル54を選択的に破裂させ得る。特定の実施形態において、香料添加剤を含む破壊可能なカプセル54を煙変性剤34の下流側で用いることは、喫煙物品の味質属性を賞賛する能力を喫煙者に提供する。カプセル54内に含まれる香料添加剤が煙変性剤34の下流側にある場合、煙変性剤との相互作用は最小限となる。フィルタ要素内に破壊可能なカプセル54を有するフィルタ要素の製造方法はDubeらに付与された米国特許第7,836,895号に記載され、同特許は参照することにより本明細書に援用される。
【0062】
フィルタ要素20をタバコロッド12に接続するチップ材28は、チップ材28上に印刷された指標(図示せず)を有し得る。例えば、バンド(図示せず)はフィルタ要素20内におけるカプセル54のおおよその場所または位置を喫煙者に示し得る。これらの指標は、喫煙者がカプセル54の位置を特定し、それによりカプセル54の位置の外側においてフィルタ要素20を押圧することによりカプセル54の破裂がより容易となることを支援し得る。チップ材28上の指標はカプセル54により担持されるペイロードの性質も表示し得る。例えば、指標は、特定の色、形状、または意匠を有することにより特定ペイロードがスペアミント香味であることを示し得る。
【0063】
所望により、喫煙者は、喫煙経験前もしくは喫煙経験中に、または喫煙経験後においてさえ、任意のときにカプセル54を破裂させ得る。カプセル54の破壊は、カプセル54内に含有および密閉された内容物が開放されるよう機能する。カプセル54の内容物がフィルタ要素20内に放出されると、喫煙者は、これらの内容物のうちの特定内容物が作用することに関する意図された利益を、その利益が、香味もしくは芳香を煙に与えること、煙を冷却または湿潤化すること、吸い殻の匂いを新鮮化すること、または煙の全体的構成を改変することもしくはシガレットの性能特性を変化させることに関連する他の何らかの目的を達成することに起因するものであれ、達成することが可能となる。すなわち、大いに好適な実施形態において、フィルタ要素20内に放出されるペイロードの1部分(例えば香料添加剤の部分)は、フィルタ要素を通して受容される各主流煙の連続的吹き出しの中に組み込まれる。
【0064】
例えば喫煙者の指によりフィルタ要素20に提供される押圧動作による触覚的圧力をカプセル54に印加することにより、フィルタ要素の関連領域が変形し、その結果、カプセルが破裂し、カプセルのペイロードがフィルタ要素の区画内部60に放出されることとなる。カプセル54の破裂は、聞き取り可能な破裂音、スナップ音、または喫煙者により印加される圧力に対する抵抗力の急速な減少により、識別可能である。カプセル54の破裂により、ペイロードの内容物は、区画60の全域およびフィルタトウ材料の全域に分散する。フィルタ要素20の円筒形状全体は、最も好適にはフィルタ要素に対する圧力印加が停止した後、実質的にその本来の形状に戻る。他の実施形態においては、カプセル54は、圧力印加に加えて追加的手段により、または圧力印加以外の手段により、破裂され得る。例えば、カプセルは、フィルタトウ材を通して吸い込まれる煙の中の水蒸気等の蒸気相物質による接触に起因して破裂する物質で形成され得る。さらに、カプセルは、フィルタトウ物質を通って煙が通過することに関連する温度上昇に起因して破裂する物質で形成され得る。
【0065】
区画60がカプセル54を収容するために存在する実施形態において、係る区画は、略円形および/または円錐形の断面形状を有し得、最も幅広い地点において約3mm〜約4mmの直径を有し得る。区画60の壁部は、圧縮可能且つ変形可能な物質(例えば可塑化されたセルロースアセテート)により画成され得、区画60は、より大きい直径またはより小さい直径を有するよう、製造され得る。
【0066】
フィルタ要素20は、少なくとも約1mmの直径、通常は少なくとも約2mmの直径、しばしば少なくとも約3mmの直径を有する1つ以上のカプセル54を備え得る。通常、カプセル54は、約6mmを越えない直径、しばしば約5mmを越えない直径、頻繁には約4.5mmを越えない直径を有する。特定の好適なカプセル54は、直径において約3mm〜約4mmの範囲の直径を有し、特定の極めて好適なカプセルは約3.5mmの直径を有する。いくつかの実施形態において、カプセル54はチューブ壁48Aに結合され得る。例えば、カプセル54は、チューブ壁48A内に埋め込まれてもよく、またはチューブ壁48Aの内側表面および/または外側表面の裏に設けられてもよい。係る実施形態においては、さらに小さいカプセル(例えばマイクロカプセル)が用いられ得る。
【0067】
カプセル54は、形状が略球形であり、ゼラチン外側殻体等の、内部ペイロードを包囲する堅固な外側殻体を有し得る。好適なカプセルは、中鎖トリグリセリドと香料剤とのゼラチンカプセル化された混合物として、フランス国ニースのMane Aromatic Flavors社から商業的に入手可能である。Mane Aromatic Flavors社から入手可能な香料カプセルの指定番号は以下の通りである。すなわち、スペアミントはE209123、シナモンはE0303392、ロシアンティーはE0303386、レモンはE127382、およびメンソールはE127384である。係る代表的なカプセル54は約3.5mm〜約4mmの直径を有する。
【0068】
カプセル54の外側殻体は、好適には牛、魚、または豚由来の食品グレードのゼラチンから作られる。広範囲の種類のゼラチンが用いられ得、カプセル外側表面に対するゼラチンの選択は当業者にとっては設計上の選択の問題とみなされる。Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, (4
th Ed.) 12, 406−416 (1994)を参照されたい。なお、同文献は参照することにより本明細書に援用される。カプセル外側殻体の構築に用いられる種類のゼラチンは、望ましくない相互作用(例えば、含まれたゼラチンの溶解)を経験することなく比較的長い時間的期間にわたってトリアセチン(シガレットフィルタ製造において一般的に用いられる可塑剤)または1,2プロピレングリコール(一般的なタバコケーシング成分)にさらされ得る能力を有するカプセルを提供する。好適な実施形態において用いられるゼラチンは長時間経過後に水に溶解し得るため、ゼラチンの外側被覆を有するカプセルに関しては、実質的に無水性のペイロード(極めて少量の水を含むペイロード)を用いることが望ましい。
【0069】
カプセルペイロードは異なる形態を有し得、通常、ペイロードは、液体、ゲル、または固体(例えば結晶性物質または乾燥粉末)の形態を有する。ペイロードは、シガレットの主流煙に香味または芳香を加えることを支援する成分を組み込み得る。代替的に、ペイロードは、喫煙者に対する口臭防止剤、吸い殻に対する消臭剤、シガレットの煙に対する湿潤冷却剤、またはシガレットの性質もしくは特徴を別様に改変する能力を有する化合物であり得る。
【0070】
好適な実施形態において、ペイロードは香味料および希釈剤(担体)の混合物である。好適な希釈剤は中鎖トリグリセリド等のトリグリセリドであり、さらに詳細には、特に中鎖トリグリセリドの食品グレード混合物である。例えばRadzuanら, Porim Bulletin, 39, 33−38 (1999)を参照されたい。ペイロードの香味料は、天然または合成であり得、それらの香味の特徴は、非限定的な例として、新鮮、甘味、ハーブ、糖菓、果物、または香辛料として説明され得る。特定種類の香味は、バニラ、コーヒー、チョコレート、クリーム、ミント、スペアミント、メンソール、ペパーミント、ウインターグリーン、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、ハニー、ジャスミン、ジンジャー、アニス、セージ、カンゾウ、レモン、オレンジ、リンゴ、ピーチ、ライム、チェリー、およびイチゴを含むがこれらに限定されない。また、Leffingwillら, Tobacco Flavoring for Smoking Products, R. J. Reynolds Tobacco Company (1972)を参照されたい。香味料は、ユーカリ等の湿潤剤、冷却剤、または平滑剤とみなされる成分も含み得る。これらの香味は、ストレート(すなわち単独)で、または複合物(例えばスペアミントおよびメンソール、またはオレンジおよびシナモン)として、提供され得る。複合香味は、単一カプセル内で混合物として組み合わされてもよく、またはフィルタ要素内に配置された複数カプセルの成分として組み合わされてもよい。
【0071】
カプセル54内の香味料および希釈剤の量は異なり得る。いくつかの事例においては、希釈剤が完全に排除され、ペイロード全体が香料添加剤からなってもよい。代替的に、ペイロードは略完全に希釈剤からなり、極めて少量の比較的強力な香料添加剤のみが含まれてもよい。例えば約3.5mm直径のカプセルを用いる好適な実施形態において、液体ペイロード(例えば香料添加剤および希釈剤)の重量は、好適には約15mg〜約25mgの範囲、より好適には約20mg〜約22mgの範囲にある。香料添加剤および希釈剤の好適な調合は、ペイロードの合計重量に関しての重量ベースで、残余分が希釈剤であるとして、約5%〜約25%の範囲の香料添加剤、より好適には約10%〜約15%の範囲の香料添加剤である。
【0072】
上記のフィルタ要素20の実施形態は相互排他的ではない。すなわち、2つ以上のフィルタ実施形態の態様は、フィルタ特性のさらに強化するために、組み合わされ得る。例えば、1つ以上のチャネルまたはチューブを組み合わせるフィルタは、1つ以上の破壊可能なカプセルも備え得る。
【0073】
上記の実施形態において、フィルタ材38の第1部分、フィルタ材36の第2部分、およびフィルタ材55の単一部分は、喫煙物品により生成された主流煙に含まれる粒子状物質をフィルタする能力を有する任意のフィルタ材を含み得る。代表的なフィルタ材は、セルロースアセテートトウ、ギャザーセルロースアセテートウェブ、ポリプロピレントウ、ギャザーポリプロピレンウェブ、ギャザーポリエステルウェブ、ギャザー紙、および再形成タバコのストランドを含む。好適な実施形態において、フィルタ材の各部分はセルロースアセテートトウ等の繊維性フィルタ材を含む。
【0074】
フィルタ材の部分は、トリアセチンまたはカーボワックス等の可塑化成分をさらに含み得る。1つの実施形態においては、フィルタ材の可塑剤成分はトリアセチンおよびカーボワックスを1:1の重量比で含む。可塑剤の総量は、一般的には約4〜約20重量%であり、好適には約6〜約12重量%である。
【0075】
フィルタ要素内のフィルタ材の各セグメントの粒子除去効率は異なり得る。繊維性フィルタ材に対して、粒子除去効率は、好適には、繊維を形成するフィラメントの単位長さ当たりの重さにより定量化される。代表的なフィルタ材は、約1.8〜約10フィラメント当たりデニール(dpf)を有する材料を組み込む。複数セグメントのフィルタ要素内における各フィルタセグメントは、同一の濾過効率または異なる濾過効率を有し得、同一の材料または異なる材料を使用し得る。1つの実施形態において、タバコロッド12の基端にあるフィルタ材38の部分は、タバコロッドから末端にあるフィルタ材36の部分よりも高い粒子除去効率を有する。他の実施形態において、タバコロッド12の基端にあるフィルタ材38の部分は、タバコロッドから末端にあるフィルタ材36の部分よりも低い粒子除去効率を有する。特定の実施形態において、フィルタ材38のタバコ端部分のフィラメントは、約1.8dpf〜約8dpfの、約2dpf〜約7dpfの、または約2dpf〜約6dpfの単位長さ当たりの重さを有し得る。他の実施形態において、フィルタ材36のマウス端部分のフィラメントは、約2dpf〜約10dpfの、約2.5dpf〜約9dpfの、または約3dpf〜約8dpfの単位長さ当たりの重さを有し得る。
【0076】
実験
以下の実施例は、本発明の実施形態を示すために提供されたものであり、本発明の範囲を、または本明細書に添付の請求項の範囲を限定するものであると解釈してはならない。特記ある場合を除き、すべての部分および百分率は重量に基づく。実施例において記載のシガレットは、手作りでもよく、または例えばHauni−Werk Korberを無限責任社員とする合資会社製のPilot Cigarette Makerを用いて機械製造されたものであってもよい。
【0077】
シガレットは、約24パーセントの鉄管乾燥タバコと、約13パーセントのターキッシュまたはオリエント種の葉身と、約19パーセントのバーレー種タバコと、約3パーセントのバーレーケーシングと、約17パーセントの再形成タバコと、約15パーセントのDIETと、約2.5パーセントのショート(short)と、約4パーセントの合計ケーシングと、約2パーセントのトップドレッシングと、を含む代表的なアメリカンブレンドを用いて調製される。
【0078】
このタバコブレンドは、約83mmの長さを有するシガレット(「対照シガレット」)を調製するために用いられる。タバコロッド長さは約56mmであり、フィルタ要素長さは約27mmである。タバコロッドは、Schweitzer−Mauduit International社製のFSC市販紙として入手可能な種類の外包シガレット包装紙に含まれた約0.66gのタバコカット充填材の充填物を含む。チップ材はフィルタ要素の長さを外包し、タバコロッドの長さを4mm越えて延在する。1リングのレーザパーフォレーションが、各シガレットの周縁部のまわりにシガレットのマウス端から約13mmの位置において提供される。 パーフォレーションは、チップ紙およびプラグ包装を貫通し、Hauni−Werk Korberを無限責任社員とする合資会社製のLaboratory Laser Perforatorを用いて提供され得る。
【0079】
対照シガレットのフィルタ要素は、7%のトリアセチンを含む27mmのモノセルロースアセテートトウである。トウは2.5dpfの繊維寸法、および30,000の合計デニールを有する。対照シガレットは約30〜33パーセントに空気希釈され、主流煙の官能的特徴に影響を与える煙変性剤を含まない。対照シガレットは、FTC喫煙状態で喫煙されると、約10.3mgの「タール」、0.86mgのニコチン、および10.5mgのCOを生成する。
【0080】
シガレット(「比較シガレット」)は上述のように提供される。比較シガレットは、比較シガレットのフィルタ要素が
図2に示す全般的構成を有するが、しかもチューブを有さない点において対照シガレットと異なる。比較シガレットは、7%のトリアセチンを含む7mmのマウス端セルロースアセテートトウセグメントと、6%のトリアセチンおよびG277M(85四塩化炭素活性率およびサイズ20×50のメッシュ)としてPICAから入手可能な84mgの顆粒状炭素を含む20mmのセルロースアセテートトウタバコ端セグメントと、を含むフィルタ要素を有する。マウス端部分トウは2.3dpfの繊維寸法および35,000の合計デニールを有する。タバコ端セグメントトウは3.9dpfの繊維寸法および30,000の合計デニールを有する。このシガレットは、FTC喫煙状態で喫煙されると、約10.9mgのタール、0.93mgのニコチン、および10.8mgのCOを生成する。
【0081】
タバコロッドの基端において煙変性剤を有する二重ダルメーションフィルタセグメントで作られた比較シガレットは、FTC喫煙状態で喫煙されると、対照シガレットと比較して、特定の揮発性および半揮発性主流煙成分を低減させる。この比較シガレットは、アクリロニトリルの約50パーセントの低下と、ピリジンの約78パーセントの低下と、アセトアルデヒドの約44パーセントの低下と、アセトンの約71パーセントの低下と、アクロレインの約72パーセントの低下と、ホルムアルデヒドの約18パーセントの低下と、ベンゼンの約78パーセントの低下と、1,3−ブタジエンの約44パーセントの低下と、エチレン酸化物の約20パーセントの低下と、イソプレンの約50パーセントの低下と、酸化プロピレンの約45パーセントの低下と、シアン化水素の約64パーセントの低下と、を提供する。
【0082】
シガレット(「発明シガレット1」)には比較シガレットと同一の全般的構成が提供されるが、このシガレットは
図2に示すチューブを含む。特に、セルロースアセテートトウタバコ端セグメントはFiltrona Greensboro社から入手可能なセルロースアセテートチューブを含み、このチューブは0.58mmの内径と、0.4mmのチューブ壁厚さと、1.38mmの外径と、を有する。チューブはタバコ端セグメントの20mmの全長を長手方向に延在する。マウス端部分トウは5.0dpfの繊維寸法および39,000の合計デニールを有する。タバコ端セグメントトウは3.3dpfの繊維寸法および30,000の合計デニールを有する。発明シガレット1は、FTC喫煙状態で喫煙されると、約11.4mgのタール、0.98mgのニコチン、および11.2mgのCOを生成する。実施例3のシガレットは、対照シガレットに比較して、アクリロニトリルの約50パーセントの低下と、ピリジンの約55パーセントの低下と、アセトアルデヒドの約31パーセントの低下と、アセトンの約57パーセントの低下と、アクロレインの約56パーセントの低下と、ホルムアルデヒドの約6パーセントの低下と、ベンゼンの約63パーセントの低下と、1,3−ブタジエンの約35パーセントの低下と、エチレン酸化物の約20パーセントの低下と、イソプレンの約40パーセントの低下と、酸化プロピレンの約32パーセントの低下と、シアン化水素の約60パーセントの低下と、を提供する。
【0083】
シガレット(「発明シガレット2」)には発明シガレット1と同一の全般的構成が提供される。特に、セルロースアセテートトウタバコ端セグメントは、0.76mmの内径と、0.4mmのチューブ壁厚さと、1.56mmの外径とを有するセルロースアセテートチューブを備える。チューブはタバコ端セグメントの20mmの全長を長手方向に延在する。マウス端部分トウは5.0dpfの繊維寸法および39,000の合計デニールを有する。タバコ端セグメントトウは3.0dpfの繊維寸法および40,000の合計デニールを有する。発明シガレット2は、FTC喫煙状態で喫煙されると、約11mgのタール、0.92mgのニコチン、および11.2mgのCOを生成する。発明シガレット2は、対照シガレットに比較して、アクリロニトリルの約50パーセントの低下と、ピリジンの約22パーセントの低下と、アセトアルデヒドの約30パーセントの低下と、アセトンの約50パーセントの低下と、アクロレインの約50パーセントの低下と、ベンゼンの約57パーセントの低下と、1,3−ブタジエンの約33パーセントの低下と、エチレン酸化物の約20パーセントの低下と、イソプレンの約39パーセントの低下と、酸化プロピレンの約26パーセントの低下と、シアン化水素の約48パーセントの低下と、を提供する。
【0084】
対照シガレット、比較シガレット、発明シガレット1、および発明シガレット2は、非メンソール記述的評価パネル(Non−Menthol Descriptive Evaluation panel)を用いて比較される。パネルは、普通の非メンソール小梱(Non−Menthol ballot)を用いて31個の属性を評価する。データ収集はSIMS2000データ収集ソフトウェアを用いて行われる。着火されたシガレットは以下のように評価される。すなわち、着火のために1吹かしを行い引き続いて2回の吹かしを行った後、評価者は最初の2つの属性を査定し、1吹かしを行って次の2つの属性を査定し、1吹かしを行った後に2つの属性を査定するサイクルを、着火評価が完了するまで反復する。評価が行われる間に、応答者も能動的に製品を喫煙する。後味特性は60秒の中断の後、評価される。各テスト応答者は、各シガレットの3つの反復単項評価(replicate monadic evaluation)を完了する。水および無塩クラッカーがシガレット間で用いられ、シガレット評価とシガレット評価の間は12分間の休憩で隔てられる。以下の特徴、すなわち、初期吸い込み(early draw)、初期刺激(early harshness)、タバコ、紙質/木質(papery/woody)、灰質(ashy)、化学質(chemical)、泥質/土質(dirty/earthy)、カビ質(musty)、金属質(metallic)、苦み(bitter)、甘み(sweet)、口内感覚(mouth sensation)、乾燥感覚(drying sensation)、被覆感覚(coating sensation)、後期刺激(late harshness)、後期吸い込み(late draw)、全般的香味(overall flavor)、タバコ後味(tobacco aftertaste)、紙質/木質後味、灰質後味、化学質後味、泥質/土質後味、カビ質後味、金属質後味、苦み後味、甘み後味、口内感覚後味、乾燥感覚後味、被覆感覚後味、評価後の喉感覚、および全般的な後味、が評価される。
【0085】
対照シガレットに対する比較としてテストされた31個の属性のうち19個の属性について、比較シガレット、発明シガレット1、および発明シガレット2に関して顕著な違いが見られた。実験結果により、比較シガレット、発明シガレット1、および発明シガレット2が、フィルタ要素に煙変性剤をまったく含まない対照シガレットと比較して、より少ない味質および知覚特性を有するものとして認識されたことが示された。チューブ要素を含むこと、特に発明シガレット2におけるより大きい内径のチューブを含むことは、煙変性剤を含むがチューブは含まない比較シガレットと比較して味質および知覚特性の損失度が低減される結果を生み出した。全体的に、以上の官能結果により、トウ中チューブ形式のフィルタ要素が、多くの場合炭素等の煙変性剤を用いてフィルタされたシガレットの特徴である淡泊な味質を減少させるために有用であることが示される。また、以上の官能結果により、「トウ中チューブ形式」のフィルタ要素が、蒸気相化合物の望ましい除去効率を保持しつつ、より濃厚な(すなわち淡泊度がより小さい)味質および官能知覚を生み出すことが示される。
【0086】
本発明の多数の改変例および他の実施形態が、前述の説明に提示された教示の利点を有する本発明に関する分野の当業者には明らかとなるであろう。また、本発明の変化例および改変例が本発明の範囲および精神から逸脱することなく可能であることが、当業者には明らかとなるであろう。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、また、様々な改変例および他の実施形態は、添付の請求項の範囲に含まれることを意図されるものであることが理解されるであろう。特定の用語が本明細書において用いられているが、それらは一般的な意味および説明的な意味でのみ用いられたものであり、限定的な意味で用いられたものではない。