特許第6131255号(P6131255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6131255室外熱交換器用冷却部材及びそれを用いた室外熱交換器用冷却装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131255
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】室外熱交換器用冷却部材及びそれを用いた室外熱交換器用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/04 20060101AFI20170508BHJP
   F24F 1/42 20110101ALI20170508BHJP
【FI】
   F25B39/04 M
   F24F1/42
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-529483(P2014-529483)
(86)(22)【出願日】2013年8月5日
(86)【国際出願番号】JP2013071114
(87)【国際公開番号】WO2014024822
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年5月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-176133(P2012-176133)
(32)【優先日】2012年8月8日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-212005(P2012-212005)
(32)【優先日】2012年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000184687
【氏名又は名称】小松精練株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】富樫 宏介
(72)【発明者】
【氏名】大田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】根上 健正
(72)【発明者】
【氏名】大西 和弥
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3164501(JP,U)
【文献】 国際公開第2010/106724(WO,A1)
【文献】 特開2008−081330(JP,A)
【文献】 特開2006−089345(JP,A)
【文献】 特開2012−072951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 39/04
F24F 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外熱交換器用冷却部材を備えた室外熱交換器用冷却装置であって、
前記室外熱交換器用冷却部材は、飽和含水率が25質量%以上100質量%以下の多孔質セラミックス焼結体を含み、
前記多孔質セラミックス焼結体の内部に扁平状の気孔が形成され、
前記室外熱交換器用冷却部材は、前記多孔質セラミックス焼結体の内部の扁平状の気孔が水平面に対して傾斜角度が30°以下になるように配置されている室外熱交換器用冷却装置。
【請求項2】
前記室外熱交換器用冷却部材は、前記多孔質セラミックス焼結体が板状物である請求項1に記載の室外熱交換器用冷却装置
【請求項3】
前記室外熱交換器用冷却部材は、前記扁平状の気孔が板状物である前記多孔質セラミックス焼結体の表面に対して前記扁平状の気孔の径が長い方が平行となるように積み重なっている請求項2に記載の室外熱交換器用冷却装置
【請求項4】
前記室外熱交換器用冷却部材は、前記多孔質セラミック焼結体の表面が研削加工されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の室外熱交換器用冷却装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外熱交換器用冷却部材及び室外熱交換器用冷却装置に関する。
本願は、2012年8月8日に日本に出願された特願2012−176133号、及び2012年9月26日に日本に出願された特願2012−212005号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力不足に対する対応や、火力発電によって生じる二酸化炭素排出量を削減するために、より一層の省エネルギー化の必要性が高まっている。また、近年の気温の上昇に伴い、最高気温が35℃以上に達することも珍しくなくなり、屋内に居たにもかかわらず熱中症を起こす人も現れている。そのため、水分補給に加え、積極的に空調設備等を使用して、熱中症を予防することが呼びかけられている。
【0003】
空調設備の使用が増えれば、電力使用量が増加することが予想されるため、空調設備の省エネルギー化を進める必要性がさらに高まってきている。
空調設備に省エネルギー化の方法の一つとして、空調設備の室外熱交換器に供給される空気を冷却する方法が知られている。
例えば、空調設備の室外熱交換器の空気受け入れ口(吸込み口)の前面に、セダムなどの植物が栽培された人工床土板をルーバー状に配置することにより、外気温よりも3〜7℃低い空気を室外熱交換器に供給する空冷コンデンサー用外気冷却装置が知られている(特許文献1)。
また、室外熱交換器より上流に、外気冷却用のスリットを具備した空調システムが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−269748号公報
【特許文献2】特開2006−118797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の外気冷却装置は、夏場の高温環境下で、且つ、室外熱交換器に冷却用の空気を供給するための冷却ファンにより常に風が吹いている環境下で用いられる。そのため、すぐに水分が蒸発し頻繁に灌水する必要性があり、潅水装置が必要であった。また、繊維間に充填された土壌等が、雨等により流出して保水性が失われたり、室外熱交換器に供給される空気と共に吸い込まれたりすることがあり、土壌の補給が必要であった。また、土壌に頻繁に雑草が生えるため、除草作業が必要であった。そのため、前記外気冷却装置はメンテナンスが煩雑であった。さらに、灌水の際に潅水装置などから頻繁に水を噴霧する場合、供給される水として、貯め水を用いると、室外熱交換器の汚れが激しくなって熱交換効率が低下することがあった。一方で灌水の際に噴霧する水として水道水を用いると、水道水中の塩素によって室外熱交換器が腐食することがあった。
また、特許文献2に記載の空調システムでは、外気冷却用のスリットとして、繊維やポーラスセラミックにより構成されたものが使用されている。しかし、スリットを繊維で構成したものでは十分な含水率を有していないため、十分な冷却効果を発揮することは困難であった。また、前記文献ではスリットをポーラスセラミックスで構成する場合の含水率等について記載されておらず、その冷却効果は不明であった。
【0006】
したがって、本発明では、空調設備に用いられる室外熱交換器に供給される空気の温度を低下させて空調設備を省エネルギー化でき、また、メンテナンスが容易な室外熱交換器用冷却部材及び室外熱交換器用冷却装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る室外熱交換器用冷却部材は以下の構成を有する。
(1)本発明の一態様に係る室外熱交換器用冷却部材は、飽和含水率が25質量%以上100質量%以下の多孔質セラミックス焼結体を含む。
(2)前記多孔質セラミックス焼結体が板状物である前記(1)に記載の室外熱交換器用冷却部材。
(3)前記多孔質セラミックス焼結体の内部に扁平状の気孔が形成されている前記(1)又は(2)に記載の室外熱交換器用冷却部材。
(4)前記多孔質セラミック焼結体の表面が研削加工されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の室外熱交換器用冷却部材。
【0008】
また、本発明の一態様に係る室外熱交換器用冷却装置は以下の構成を有する。
(5)本発明の一態様に係る室外熱交換器用冷却装置は、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の室外熱交換器用冷却部材を備える。
(6)本発明の一態様に係る室外熱交換器用冷却装置は、前記(3)に記載の室外熱交換器用冷却部材を備え、多孔質セラミック焼結体内部の扁平状の気孔が水平面に対して傾斜角度が30°以下になるように配置されている。
【0009】
また、本発明の一態様の別の側面に係る室外熱交換器用冷却部材は、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の室外熱交換気用冷却部材で、前記多孔質セラミックス焼結体が層状に積層された気孔を有する。
本発明の一態様の別の側面係る室外熱交換器用冷却部材は、飽和含水率が30質量%以上100質量%以下の多孔質セラミックス焼結体を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様に係る室外熱交換器用冷却部材及び室外熱交換器用冷却装置は、空調設備に用いられる室外熱交換器に供給される空気の温度を低下させて空調設備を省エネルギー化でき、また、メンテナンスが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一の具体例に係る室外熱交換器用冷却装置の正面図である。
図2図1に示す室外熱交換器用冷却装置の側面断面図である。
図3】本発明の第二の具体例に係る室外熱交換器用冷却装置の正面図である。
図4】本発明の第三の具体例に係る室外熱交換器用冷却装置の上面図である。
図5図4に示す室外熱交換器用冷却装置の縦断面図である。
図6図4に示す室外熱交換器用冷却装置の作製方法を説明する図である。
図7】本発明の第四の具体例に係る室外熱交換器用冷却装置の上面図である。
図8図7に示す室外熱交換器用冷却装置の縦断面図である。
図9図7に示す室外熱交換器用冷却装置の作製方法を説明する図である。
図10図7に示す室外熱交換器用冷却装置の使用形態を説明する図である。
図11】送風ファンの負荷と空気温度の測定装置の側面概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(室外熱交換器用冷却部材)
以下、本実施形態に係る室外熱交換器用冷却部材について説明する。
本実施形態に係る室外熱交換器用冷却部材は、飽和含水率(測定する方法は後述する)が25質量%以上100質量%以下である多孔質セラミックス焼結体を含むものである。
【0013】
本実施形態で使用される多孔質セラミックス焼結体とは、内部に気孔が形成されたセラミックス焼結体である。
多孔質セラミックス焼結体に形成されている気孔の大きさは、例えば、孔径10〜1000nmの気孔(ナノメートルオーダーの気孔)であってもよいし、孔径1μm〜1000μmの気孔(マイクロメートルオーダーの気孔)であってもよいし、孔径1mm〜500mmの気孔(ミリメートルオーダーの気孔)であってもよいし、これらの気孔が混在していてもよい。なかでも、ミリメートルオーダーの気孔とマイクロメートルオーダーの気孔とナノメートルオーダーの気孔が混在していてもより良い。ミリメートルオーダーの気孔とマイクロメートルオーダーの気孔とナノメートルオーダーの気孔が混在すると、空気の冷却性能を発揮しながら、水の蒸発を適度に抑制し、長期にわたって空気の冷却性能を発揮できる。
本実施形態の多孔質セラミックス焼結体は、後述する製造方法によって製造されるが、その製造の際の原料の種類や、焼成条件を組み合わせることにより上述の気孔の孔径を調節できる。
なお、本実施形態では、ミリメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックス焼結体を切断し、スケールを用いて気孔の長径を測定した値とする。である。ナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックス焼結体を切断し、電子顕微鏡を用いて気孔の長径を測定した値とする。
【0014】
多孔質セラミックス焼結体に形成されている気孔は、それぞれ独立したものであってもよいし、相互に連通した連通孔であってもよい。多孔質セラミックス焼結体が連通孔を有していると、長期間優れた冷却性能を発揮することができる。
また、前記多孔質セラミックス焼結体の気孔の形状に特に制限はなく、断面が真円や正方形に近い形状の他、断面における径の一方向が他方向よりも長い扁平状であってもよい。扁平状の気孔は複数が平行に形成されていてもよい。前記平行に形成されているとは、例えば、断面における径の一方向が長い扁平状の気孔が複数、この径が長い方向をそれぞれ揃えるように配置されている場合などがある。さらには、焼結体の表面に対してこの径が長い方向が平行となるように積み重なっている場合などがある。後述するように、室外熱交換器用冷却装置において、扁平状の気孔が複数平行に形成された多孔質セラミックス焼結体を室外熱交換器用冷却部材として用い、扁平状の気孔が水平面に対しほぼ平行になるように配置すると、雨などの水をより十分に保水でき、室外熱交換器に供給される空気の温度をより長期間低下させることができる。
【0015】
また、多孔質セラミック焼結体は層状に積層された気孔を有していても良い。層状に積層された気孔とは、扁平な形状のミリメートルオーダーの気孔が層状に積層されたものをいう。後述するように、この層状に積層された気孔を有する多孔質セラミックス焼結体を室外熱交換器用冷却部材として用い、層状に積層された気孔の径の長い方が地表(地面、重力方向に対して垂直となる面)の水平面に対しほぼ平行(水平面に対し傾斜角度が0°〜30°)になるように多孔質セラミックス複合体を設置すると、雨などの水をより十分に保水でき、室外熱交換器に供給される空気の温度をより長期間低下させることができる。
【0016】
多孔質セラミックス焼結体は、飽和含水率が25質量%以上である。ここで、飽和含水率は、下記式(1)で求められる値である。
【0017】
飽和含水率(質量%)=[(飽和状態質量−絶乾状態質量)/絶乾状態質量]×100・・・(1)
ここで、飽和状態とは、気孔にほぼ水が充填された状態、具体的には多孔質セラミックス焼結体を水に浸漬する等を行って気孔の空気を水に置換する等の操作を行った状態である。飽和状態質量を測定する際は、気孔が平行になっている多孔質セラミックス焼結体については、多孔質セラミックス焼結体を水中に30〜120分程度浸漬し、水が流れ出さないよう水中から取り出し、その質量を測定してもよい。
絶乾状態とは、多孔質セラミックス焼結体を105〜115℃(例えば、100〜110℃)で恒量となるまで(例えば、24時間)乾燥した状態である。さらに詳細には、JIS A 1509−3に準拠して乾燥を行ってもよい。絶乾状態質量を測定する際は、例えば、JIS K0067−1992に示された乾燥減量法を用いて測定してもよい。
【0018】
多孔質セラミックス焼結体の飽和含水率が前記下限値である25質量%未満であると、十分な冷却効果が得られないおそれがある。また、雨が降らない期間が長期にわたった際に、多孔質セラミックス焼結体の内部の水がほとんど蒸発してしまい、室外熱交換器に供給される空気の温度を低下させることができなくなるおそれがある。
また、多孔質セラミックス焼結体に対して水の頻繁な供給が必要となり、水の供給手段や頻繁なメンテナンスが必要となってしまうおそれがある。さらに、前記飽和含水率は30質量%以上であると、冷却効果と使用時の含水率をある程度両立させることができ望ましい。前記飽和含水率が40質量%以上であると、これらの冷却効果や使用時の含水率をより確保することができる。前記飽和含水率が50質量%以上であると、これらをさらに確保することができる。
一方、多孔質セラミックス焼結体の飽和含水率は100質量%以下である。飽和含水率が100質量%を超えると、多孔質セラミックス焼結体を板状物として用いる場合に、強度が不足し、施工中などに板状物が割れるおそれがある。また、水の蒸発速度が速くなり、雨が降らない期間が長期にわたると、多孔質セラミックス焼結体の内部の水がほとんど蒸発してしまう。そのため、飽和含水率が小さい場合と同様に、空気の温度を長期間低下させることができなくなって、水の供給手段や頻繁なメンテナンスが必要となるおそれがある。
以上より、多孔質セラミックス焼結体の飽和含水率は25〜100質量%であり、30〜100質量%であっても良く、40〜100質量%であってもより良く、50〜100質量%であってもさらに良い。
【0019】
多孔質セラミックス焼結体の飽和含水率を調整する方法としては、例えば、後述する製造方法において配合する成分や各成分の比率を調整する方法、また、焼成温度を調整する方法等が挙げられる。
【0020】
多孔質セラミックス焼結体の見掛け密度は、好ましくは0.4〜1.3g/cmであってもよい。ここで、見掛け密度とは、[絶乾状態の多孔質セラミックス焼結体の質量(g)]/[多孔質セラミックス焼結体の体積(cm)]で求められる値である。見掛け密度が上記下限値以上であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度をより高められ、上記上限値以下であれば、室外熱交換器用冷却装置の設置場所に対する重量的な負荷を軽減することができる。
なお、見掛け密度は、嵩比重と称されることもある。ただし、嵩比重は、単位のない無次元数である。
前記見掛け密度は、0.45〜1.1g/cmであってもより良い。前記見かけ密度は0.55〜0.85g/cmであってもさらに良い。
【0021】
多孔質セラミックス焼結体の形状は、特に限定されるものではないが、板状物、粒状物が挙げられる。
板状物は、長辺が3cm以上の直方体状のものや円盤状などのものが挙げられる。本実施形態では、「板状物」という形態のなかに、一方向の長さが他方向よりも長い柱状物も含めるものとする。
粒状物は、前記の板状物を破砕したものやペレットを形成し焼成などして得られた長辺が3cm未満の柱状、針状、球状、板状又は不定形等のものが挙げられる。なお、長径が3cm以上であっても、形状が不定形のものは、粒状物とする。
【0022】
多孔質セラミックス焼結体が板状物であれば、多孔質セラミックス焼結体内の水の保持時間が長くなり、真夏の炎天下(高気温、日照多等の環境)が続いても水の補給の回数を少なくすることができる。また、雑草なども生えにくいため、メンテナンス性がより高くなる。
また、前記のように多孔質セラミックス焼結体の内部に扁平状の気孔が形成されている場合(又は層状に積層された気孔を有する場合)、多孔質セラミックス焼結体が板状物であれば、扁平状の気孔をほぼ水平に配置することが容易になり、上述したように保水性を保ちやすい。
多孔質セラミックス焼結体が粒状物であれば、表面積が大きくなり、空気との接触面積が増えて冷却効果がより発揮される。
【0023】
多孔質セラミックス焼結体の表面には、研削加工が施されていてもよい。研削加工が施されていない多孔質セラミックス焼結体の表面においては、気孔の開口部が気孔の本来の開口径よりも狭くなっていたり、閉塞したりしていることがある。こうした場合は、多孔質セラミックス焼結体は気孔に水を吸収しにくく、充分な冷却性能を発揮できない可能性がある。多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工が施されていると、狭くなっていた気孔の開口部を拡げることができる。そのため、多孔質セラミック焼結体の表面の吸水速度が向上し、素早く水を吸収すると共に、保持している水の蒸発速度が向上して、室外熱交換器に供給される空気をより冷やすことができる。なお、水の蒸発速度が向上しても本実施形態の室外熱交換器用冷却部材に用いられる多孔質セラミックス焼結体は飽和含水率が高いため、空気の冷却性能を長期にわたって発揮することができる。
特に、多孔質セラミックス焼結体が板状物の場合に、上記研削加工の効果はより発揮される。
【0024】
多孔質セラミックス焼結体の大きさは特に限定されるものではないが、目的とする空気の冷却の程度や室外熱交換器の大きさを勘案し、例えば、板状物であれば、タテ3〜200cm×ヨコ3〜200cm×厚み1〜10cm(又はタテ、ヨコ及び厚みに限らず寸法が3〜200cm×3〜200cm×1〜10cm)とされ、また、粒状物であれば、粒子径0.5mmを超え、3cm以下の大きさとされる。
大きさは、板状物であればスケールを用いて測定することができ、粒状物であれば篩を用いて測定することができる。例えば、目開き1cmの篩を通過したものは粒子径1cm以下、通過しなかったものは1cm超とする。粒子径1cm以下のもののうち、目開き0.5mmの篩を通過したものは粒子径0.5mm以下とし、ここで前記篩を通過しなかったものが、粒子径0.5〜1.0cmの粒状物である。
【0025】
本実施形態の室外熱交換器用冷却部材は、複数の多孔質セラミック焼結体を組み合わせて構成してもよい。複数を組み合わせるとは、形状、大きさ、見かけ密度又は気孔の径や配列等が同じもの及び/又は異なる多孔質セラミック焼結体を併用する等を指す。複数の多孔質セラミックス焼結体を組み合わせる場合に、例えば、板状物同士を組み合わせてもよいし、板状物と粒状物とを組み合わせてもよいし、粒状物同士を組み合わせてもよい。
また、室外熱交換器用冷却部材は、多孔質セラミックス焼結体のみからなるものであってもよいし、他の冷却部材と併用したものでもよい。
また、本実施形態の室外熱交換器用冷却部材においては、その効果を阻害しない範囲で、前記多孔質セラミックス焼結体の上に、芝生や苔またセダムなどの多肉植物等の植物を植栽しても構わない。
【0026】
多孔質セラミックス焼結体としては、特開2005−239467号公報に記載のセラミックス焼結体、国際公開第10/106724号パンフレットに記載の多孔質セラミックス焼結体、等、及び必要に応じてこれらを破砕したもの等が挙げられる。また、多孔質セラミックス焼結体である「グリーンビズ」シリーズ(商標 「グリーンビズr」、「グリーンビズw」など。小松精練株式会社製)、及び必要に応じてこれを破砕したもの等が挙げられる。
【0027】
<多孔質セラミックス焼結体の製造方法>
多孔質セラミックス焼結体の製造方法としては、例えば、原料を混合して混合物(以下、単に「混合物」ということがある)とし(混合工程)、混合物を成形して成形体とし(成形工程)、成形体を焼成して多孔質セラミックス焼結体を得る(焼成工程)方法等が挙げられる。
【0028】
混合工程は、粘土を含む原料を混合して混合物を得る工程である。
混合物としては、例えば、スラグ、有機汚泥、珪藻土及びフィラー等からなる群から選択される少なくとも1種と、粘土とを含んでいてもよい。混合物は、スラグ、有機汚泥及び粘土を含んでいてもよい。スラグを用いることで多孔質セラミックス焼結体に大きなミリメートルオーダーの気孔を形成することができ、珪藻土を用いることで多孔質セラミックス焼結体にマイクロメートルオーダーの気孔を形成することができる。また、有機汚泥を用いることで多孔質セラミックス焼結体にマイクロメートルオーダーの気孔と、さらに小さな気孔を形成することができる。混合物にスラグと有機汚泥と粘土とを含むもの、もしくはスラグと珪藻土と粘土とを含むものを用いると、多孔質セラミックス焼結体について飽和含水率を確保することができるので保水能を向上することができ、さらに、見掛け密度を低減することができる。混合物に有機汚泥と珪藻土と粘土とを含むものを用いると、多孔質セラミックス焼結体について強度が向上し、飽和含水率を確保することができるので保水能を向上することができる。混合物にスラグ、有機汚泥、珪藻土及び粘土を含むものを用いると、多孔質セラミックス焼結体の強度、保水能及び見掛け密度をよりバランスよくすることができる。ここに挙げた混合物を焼成して得られた多孔質セラミックス焼結体は、連通孔を有し、多くの気孔を有するものとなる。
【0029】
スラグは、特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、又は、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等を用いてもよい。中でも、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、他のスラグに比べ1.5〜2倍程度の発泡率である鋳鉄スラグを用いてもよい。前記混合物に鋳鉄スラグを用いると、多孔質セラミックス焼結体に扁平状でミリメートルオーダーの気孔を複数平行に形成することが容易になり、多孔質セラミックス焼結体の透水性や保水性をより高められる。
【0030】
混合物中のスラグの配合量は、混合物の成形性を勘案して決定することができ、例えば、混合物の質量全体に対して80質量%以下が好ましい。上記範囲内であれば、混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス焼結体の見掛け密度を好適な範囲にすることができる。これらの利点を兼ね備えるためには混合物の質量全体に対して20〜80質量%で用いてもよく、30〜70質量%であってもより良く、40〜60質量%であってもさらに良い。
【0031】
前記混合物には、前記したスラグにかえて、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭酸マグネシウムなどの焼成時に発泡する発泡物を用いてもよいし、スラグと併用してもよい。
【0032】
有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。前記混合物に添加される有機汚泥は、任意のものを用いることができ、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥を用いてもよい。活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集・脱水工程を経て排出される。前記混合物にこのような有機汚泥を用いることで、マイクロメートルオーダーの気孔を効率的に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。ナノメートルオーダーの気孔が形成されることで、見掛け密度の低い多孔質セラミックス焼結体が得られ、保水性をより高められる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料として再度利用することができる。
有機汚泥の含水率は、例えば、混合物の質量全体に対して5〜90質量%であっても良く、50〜90質量%であってもまた良く、60〜90質量%であってもより良い。い。この範囲内であれば、均質な混合物が得られると共に、良好な成形性を維持しやすい。前記含水率が65〜85質量%であると、均質性と成形性がさらに両立して得られる。
【0033】
有機汚泥中の有機物の含有量は、特に限定されないが、例えば、有機汚泥の固形分中の有機物の含有量(有機物含有量)として、有機汚泥の質量全体に対して70質量%以上であってもよい。前記有機物含有量が多いほど、マイクロメートルオーダーの気孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。前記有機物の含有量は有機汚泥の質量全体に対して80質量%以上であってもよく、この範囲においてこれらの気孔がさらに好適に形成できる。なお、有機物含有量は、乾燥後の汚泥をJIS M8812−1993に準じ、炭化温度700℃で灰分(質量%)を測定し、下記(2)式により求められる値である。
【0034】
有機物含有量(質量%)=100(質量%)−灰分(質量%) ・・・(2)
【0035】
有機汚泥の平均粒子径は、1〜5μmであってもよい。有機汚泥は、焼成により焼失し、その部分に気孔を形成するため、平均粒子径が小さいほど、マイクロメートルオーダーの気孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。前記平均粒子径は1〜3μmであってもよく、この範囲においてこれらの気孔がさらに好適に形成できる。なお、平均粒子径は、粒度分布測定装置(LA−920、株式会社堀場製作所製)により測定される体積基準のメディアン径(体積50%径)である。
【0036】
混合物中の有機汚泥の含有量は、混合物の成形性等を勘案して決定することができる。前記含有量は混合物の質量全体に対して1〜60質量%であってもよい。上記範囲内であれば混合物は適度な流動性と可塑性とを備え、成形性が向上し、成形装置を閉塞することなく円滑に成形できる。前記含有量は5〜30質量%であってもより良く、5〜20質量%であってもさらに良い。
【0037】
珪藻土は、珪藻の遺骸からなる堆積物であり、マイクロメートルオーダーの気孔を有する多孔質である。混合物に珪藻土を用いることで、珪藻土に由来する微細な気孔を多孔質セラミックス焼結体に形成できる。
珪藻土としては、特に限定されず、従来、耐火断熱煉瓦又は濾過材等に使用されていたものと同様のものを用いることができる。例えば、狭雑している粘土鉱物(モンモリロナイト等)、石英又は長石等を分別精製する必要はなく、これらの含有率を認識した上で、混合物への配合量を調整することができる。また、珪藻土を用いて製造され廃棄された耐火断熱煉瓦、濾過材又はコンロなどを粉砕して用いると、廃棄物を削減できるため、好ましい。
【0038】
珪藻土の含水率は特に限定されず、例えば、自然乾燥状態での含水率が珪藻土の質量全体に対して20〜60質量%であってもよい。上記範囲内であれば、含水率を認識しながら、混合の際に狭雑物中の粗粒子分を除去して使用することで、成形性が良好な混合物を得られる。前記含水率は30〜50質量%であってもより良く、35〜45質量%であってもさらに良い。
珪藻土の含水率は、乾燥減量方式である下記仕様の赤外線水分計を用い、試料を乾燥(200℃、12分)し、下記(3)式により求めた値である。
【0039】
<仕様>
測定方式:乾燥減量法(加熱乾燥・質量測定方式)、
最小表示:含水率;0.1質量%、
測定範囲:含水率;0.0〜100質量%、
乾燥温度:0〜200℃、
測定精度:試料質量5g以上で、含水率±0.1質量%、
熱源:赤外線ランプ;185W
【0040】
含水率(質量%)=[(m−m)/(m−m)]×100 ・・・(3)m:乾燥前の容器の質量と乾燥前の試料の質量との合計質量(g)、m:乾燥後の容器の質量と乾燥後の試料の質量との合計質量(g)、m:乾燥後の容器の質量(g)
【0041】
混合物中の珪藻土の含有量は、多孔質セラミックス焼結体に求める飽和含水率や強度等を勘案して決定でき、例えば、混合物の質量全体に対して55質量%以下としてもよい。上記上限値以下であれば、混合物の成形性が良好であり、上記下限値以上であれば、所望の飽和含水率の多孔質セラミックス焼結体や、所望の強度の多孔質セラミックス焼結体が得られやすい。すなわち前記含有量は1〜55重量%であってもよい。前記含有量は1〜45質量%であってもよく、この範囲で多孔質セラミックス焼結体のより好適な飽和含水率や強度が得られる。
【0042】
本実施形態における粘土は、一般的に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料であり、珪藻土以外のものである。
粘土としては、セラミックス焼結体に用いられる公知のものを用いることができる。こうした粘土の主なものは石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成されたもので、その構成鉱物はカオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、ベントナイト又はパイロフィライトを含むものであってもよい。中でも、焼結時のクラックの進展を抑え、多孔質セラミックス焼結体の破壊を防ぐ観点から粒子径が500μm以上の石英の粗粒を含むものであってもよい。また、前記石英の粗粒の粒子径は、5mm以下であってもよい。このような粘土としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。粘土は、組成(上記の各種の鉱物を含むもの)、構成する粒子径又は含水率等の物理的性質が異なる各種のものを、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合できる。
【0043】
混合物中の粘土の含有量は、多孔質セラミックス焼結体に求める強度や成形性等を勘案して決定でき、5〜60質量%であってもよい。混合物中の粘土の含有量が上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分なものにできる。混合物の成形性及び多孔質セラミックス焼結体の強度をより良好にする利点のため、前記含有量が5〜50質量%であってもより良く、10〜40質量%であってもさらに良い。
【0044】
本実施形態におけるフィラーとしては、例えば、溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子、フライアッシュ等の粒子状フィラー;炭素繊維、バサルト繊維又はロックウール等の繊維状フィラーが挙げられる。中でも、高融点ガラスの粒子、フライアッシュ又は繊維状フィラーが好ましく、高融点ガラスの粒子がより好ましい。ここでフライアッシュとは、例えば火力発電所で石炭を燃焼させた際に排出される粒子である。混合物が含有するフィラーとして高融点ガラスの粒子を用いることで、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上でき、良好な成形性が得られる。
例えば、高融点ガラスの粒子をフィラーとして含む原料を焼結すると、高融点ガラスの粒子は、部分的に溶融し、フィラー同士で融着したり、前記粘土類や珪藻土等のバインダーとして機能したりすることで、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上することができる。
あるいは、繊維状フィラーは、多孔質セラミックス焼結体に取り込まれることで、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上させることができる。
【0045】
高融点ガラスは、溶融温度900℃以上のものを用いることができる。高融点ガラスの溶融温度が上記下限値以上であれば、高融点ガラスの粒子は、後述する焼成工程において部分的に溶融し、高融点ガラスの粒子同士で融着したり、粘土類や珪藻土類等のバインダーとして機能できる。加えて、溶融温度が高いほど、多孔質セラミックス焼結体の強度を向上できる。前記溶融温度は1000℃以上であってもよく、この範囲で前記強度がより向上する。前記溶融温度は溶融温度1200℃以上であってもよく、この範囲で前記強度がさらに向上する。高融点ガラスの溶融温度は、1800℃以下であってもよい。高融点ガラスの溶融温度が上記上限値超であると、焼結した際に、高融点ガラスの粒子が溶融しにくく、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがある。高融点ガラスの溶融温度は1600℃以下であってもよく、この範囲において前記溶融しやすさや前記強度がより向上する。以上から、高融点ガラスの溶融温度は900〜1800℃であってもよく、1000〜1600℃であってもより良く、1200〜1600℃であってもさらに良い。
【0046】
高融点ガラスの材質は、特に限定されないが、無アルカリガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス又は石英ガラスであってもよい。このような材質であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できる。前記材質がホウケイ酸ガラスであると、特に強度が得られる。
無アルカリガラスは、実質的にナトリウム、カリウム又はリチウム等のアルカリ金属元素を含有しないガラスである。実質的に含有しないとは、ガラス組成中のアルカリ金属元素の含有量が酸化物換算で0.1質量%以下を意味する。
アルミノケイ酸ガラスは、アルミニウムと珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
ホウケイ酸ガラスは、ホウ素と珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
石英ガラスは、石英から作製されるガラスで、酸化珪素の純度が高いものをいう。
ホウケイ酸ガラスは、ホウ素と珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。ホウケイ酸ガラスとしては、AN100(商品名、無アルカリホウケイ酸ガラス、旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
【0047】
高融点ガラスは、例えば、液晶テレビ等の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のパネル、EL用カバーガラス、固体撮像素子用のカバーガラス(CCDに代表される)、光学フィルター用ガラス(ハンドパスフィルター等)、チップ・オン・ガラス用途のガラス基板用ガラス、フラスコ又はビーカー等の各種製品に用いられている。
本実施形態で用いる高融点ガラスの粒子には、上記の製品の製造工程で排出される廃ガラスや、廃棄された液晶テレビ等から回収されるパネルを用いることができる。
特に、液晶テレビ等のフラットディスプレイ用のパネルは、大型化等に伴い、フラットディスプレイの製造時に、多量の廃ガラスを発生する。フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子とすることで、廃棄物を削減できる。加えて、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスは、ガラス組成物の純度が高いため、特段の精製をすることなく、安定した品質の高融点ガラスとして利用できる。
【0048】
高融点ガラスの粒子の粒子径は、0.3〜5mmであってもよい。。粒子径が0.3mm未満であると、多孔質セラミックス焼結体における気孔の形成が不十分になったり、見掛け密度が増加したりする。そして、気孔の形成が不十分であると、保水性、蒸散性が損なわれたり、透水性が得られにくかったり、所望する見掛け密度の多孔質セラミックス焼結体を得られないおそれがある。粒子径が5mm超であると、成形性が低下したり、成形時に押出し口の金具が破損するおそれがある。
【0049】
混合物中の高融点ガラスの粒子の含有量は、フィラー以外の原料の合計100質量部に対し、10〜40質量部であってもよい。混合物中の高融点ガラスの粒子の含有量が上記下限値未満であると、多孔質セラミックスの強度を十分に向上できないおそれがあり、上記上限値超であると、混合物の成形性が損なわれるおそれがある。前記含有量は15〜40質量部であってもよい。この範囲において、多孔質セラミックスの強度と混合物の成形性がいずれも好適に得られる。
【0050】
混合物中の繊維状フィラーの含有量は、0.01〜20質量部であってもよい。上記下限値未満では、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがあり、上記上限値超では、成形性が損なわれるおそれがある。前記含有量は0.01〜10質量部であってもよい。前記含有量がこの範囲であれば、多孔質セラミックスの強度と混合物の成形性がいずれもさらに好適に得られる。多孔質セラミックスの強度と混合物の成形性を両立させるためには、前記含有量は0.05〜5質量部であってもさらに良く、0.1〜2質量部であると特に良い。
【0051】
混合物は、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、マイティ2000WH(商品名、花王株式会社製)等のナフタリン系の流動化剤、メルメントF−10(商品名、昭和電工株式会社製)等のメラミン系の流動化剤、ダーレックススーパー100pH(商品名、グレースケミカルズ株式会社製)等のポリカルボン酸系の流動化剤、銀、銅、亜鉛等の抗菌剤、塩化アンモニウム、塩化亜鉛等の消臭剤、ゼオライト、アパタイト等の吸着剤又は金属アルミニウム等が挙げられる。
混合物に任意成分を配合する場合、任意成分の配合量は、例えば、5〜10質量%の範囲であってもよい。
また、混合物の流動性の調整等を目的として、適宜、水を配合してもよいが、有機汚泥が好適な配合比で配合されている場合には、混合工程にて水を添加しなくてもよい。
【0052】
混合工程に用いられる混合装置は特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。
混合装置としては、例えば、ミックスマラー(東新工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)又は混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。
【0053】
混合工程における混合時間は、原料の配合比、混合物の流動性等を勘案して決定することができ、混合物が可塑状態となるような混合時間を決定することが好ましい。混合時間は、例えば、15〜45分の範囲としてもよい。混合時間は25〜35分の範囲としてもより良い。
混合工程における温度は特に限定されず、原料の配合比や含水率等を勘案して決定することができ、例えば、40〜80℃の範囲としてもよく、50〜60℃の範囲としてもより良い。
【0054】
成形工程は、混合工程で得られた混合物を任意の形状に成形する工程である。
成形方法は、公知の成形方法を用いることができ、混合物の性状や所望する成形体の形状を勘案して決定することができる。成形方法は、例えば、成形機を用いて、ペレットなどを含めた板状、粒状又は柱状等の成形体を得る方法、混合物を任意の形状の型枠に充填して成形体を得る方法、又は混合物を押し出し延伸又は圧延した後に任意の寸法に切断する方法等が挙げられる。層状に積層された気孔を形成するとの観点からは、押し出し及び/又は延伸又は/及び圧延する方法としても良い。
成形機としては、真空土練成形機、平板プレス成形機又は平板押出し成形機等を用いても良く、この中では真空土練成形機を好適に用いることができる。
【0055】
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を乾燥し(乾燥操作)、乾燥した成形体を焼成し(焼成操作)、珪藻土又は粘土等を焼結してセラミックス焼結体を得る工程である。
前記乾燥操作で行う操作は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、成形体を自然乾燥してもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理して乾燥してもよい。乾燥後の成形体の含水率は、特に限定されないが、例えば、5質量%未満であってもよい。前記含水率は1質量%未満であってもより良い。又、粒状物を得る場合は、乾燥操作を行わなくてもよい。
前記焼成操作で行う操作は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。中でも、焼成操作には、連続式焼結炉を用いても良い。焼成操作に連続式焼結炉を用いることで、多孔質セラミックスの生産性が良好となる。
焼成温度は、混合物の性状等に応じて決定でき、例えば、900℃〜1200℃であっても良い。焼成温度が上記下限値以上であれば、有機汚泥由来の臭気成分が熱分解され解消されると共に、有機汚泥中の有機物の大部分が揮発して減量する。焼成温度が上記上限値超であると、セラミックス焼結体の組織全体のガラス化が進み、成形体が破損したり、気孔が閉塞するおそれがある。
【0056】
焼成工程の後、必要に応じて、任意の大きさに多孔質セラミックス焼結体を切断してもよい。
また、多孔質セラミックス焼結体の表面を研削する研削加工工程を施してもよい。多孔質セラミックス焼結体の研削加工を施す面は、多孔質セラミックス焼結体の形態・用法(室外熱交換機用冷却部材の内部での配置等の使用状態又は条件)等を勘案して決定できる。例えば、板状の多孔質セラミックス焼結体を製造する場合、板状の多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向の両面又は一方の面に研削加工を施してもよい。研削加工に用いる用具としては、バーチカルミーリングマシーンPVシリーズ(アミテックス株式会社製)等の切削機、グラインダー又はサンドペーパー等が挙げられる。
研削加工の程度は、多孔質セラミックス焼結体の性状や大きさ等を勘案して決定され、例えば、多孔質セラミックス焼結体の表面から0.5〜5mm程度の深さまで研削加工を行っても良い。研削加工の深さが上記下限値未満では、研削加工を施した効果が得られにくく、上記上限値超では、研削加工後の多孔質セラミックス焼結体の強度が低くなるおそれがある。
研削加工を施すと、多孔質セラミックス焼結体は、板状物の状態で、室外熱交換器用冷却部材として用いると、長期にわたって優れた吸水速度を維持することができ、素早く雨水を吸収し、多孔質セラミックス焼結体内に水を取り入れることができる。また、保持している水の蒸発速度も向上し、室外熱交換器に供給される空気をより冷やすことができる。
【0057】
また、多孔質セラミックス焼結体の製造方法は、破砕工程を有していても良い。破砕工程では、焼成工程で得られた多孔質セラミックス焼結体をハンマーミル等で破砕(破砕操作)して、粒状の多孔質セラミックス焼結体を得ることができる。得られた破砕物を必要に応じて篩分けし、任意の粒子径の破砕物を得る操作を行っても良い(篩分操作)。破砕操作の条件設定にて、所望する範囲の粒子径の粒状のセラミックス焼結体が得られる場合などには、篩分操作を行わなくとも良い。
【0058】
<作用効果>
上記本実施形態の室外熱交換器用冷却部材は、飽和含水率が前記範囲で水を多く含有する多孔質セラミックス焼結体を含むものであり、前記冷却部材を通過した空気は水の気化熱によって熱が奪われて冷却される。また、多孔質セラミックス焼結体の含水率を15質量%超に保つように水を供給すれば、より空気を冷却する効果を発揮できる。したがって、本実施形態の室外熱交換器用冷却部材を室外熱交換器の近傍に設置すれば、室外熱交換器に供給される空気の温度を低下させて空調設備を省エネルギー化できる。
また、上述した多孔質セラミックス焼結体においては、通常、雨などの水を十分保水し、その水を徐々に気化させるため、長期間にわたって空気を冷却することができ、ほとんど水を供給する必要はない。雨が降らない日が続く場合でも、ホースやジョウロによって、外気温や送風ファンなどによる送風量にもよるが、1週間に1〜3回程度、より好ましくは1〜7回程度、多孔質セラミックス焼結体に飽和含水状態となる程度に、十分に水を供給すれば、空気を冷却する効果を発揮できる。したがって、本実施形態の室外熱交換器用冷却部材は、冷却性能を長期にわたって維持するためのメンテナンスが容易である。
【0059】
(室外熱交換器用冷却装置)
以下に、本実施形態に係る室外熱交換器用冷却装置について説明する。なお、多孔質セラミックス焼結体等、既に前記で説明したものは説明を一部省略する。
本実施形態に係る室外熱交換器用冷却装置は、前記の多孔質セラミックス焼結体を含む室外熱交換器用冷却部材を備えたものであり、例えば、空調機、大型冷蔵庫又は冷凍機等の冷却設備用の室外熱交換器に供給される空気の温度を低下させる際に使用される。
【0060】
本実施形態の室外熱交換器用冷却装置においては、枠体の中に、前記の室外熱交換器用冷却部材が配置されているものであっても良い。ここで、枠体とは、室外熱交換器用冷却部材を収容可能であり、少なくとも、互いに対向する2つの側面が開口しているものである。
室外熱交換器用冷却部材を収容した枠体は、地面、屋上、屋根、又は室外熱交換器が収納されている室外機の外装などに、ボルト又は溶接などで直接取り付けられていてもよい。また、前記枠体は、支柱などと組み合わせると共に、ボルト又は溶接などで、地面、屋上、屋根又は室外熱交換器が収納されている室外機の外装などに固定されていてもよいし、コンクリートブロックなどの重量物に固定されていてもよい。
また、本実施形態の室外熱交換器用冷却装置は、枠体を用いずに支柱の間に板状の室外交換器用冷却部材が取り付けられたものであってもよいし、粒状の室外熱交換器用冷却部材が、外部と連通する孔が形成された容器(例えば、ネットなどを用いた容器)の中に充填されたものであってもよい。
また、室外熱交換器用冷却装置は、室外熱交換器用冷却部材の板状物によって筒状体を形成し、その筒状体の内部に粒状の室外熱交換器用冷却部材を充填したものであってもよい。
【0061】
室外熱交換器用冷却装置を構成する室外熱交換器用冷却部材として、多孔質セラミック焼結体の板状物を用いても良い。この構成は、長期にわたって室外熱交換器に冷却された空気を供給する用途に適する。
また、多孔質セラミック焼結体の板状物としては、扁平状の気孔が複数平行に形成されたものを用いても良い。さらに、扁平状の気孔はほぼ水平に配置されていても良い。扁平状の気孔がほぼ水平に配置されていると、多孔質セラミック焼結体内で保水できる水の量が増加するとともに、雨などの水を確実に吸収、保水でき、メンテナンス回数を減らしても長期にわたって空気の冷却効果が得られる。
ここで、「扁平状の気孔がほぼ水平」とは、扁平状の気孔の径が長い方向が、地表の水平面に対し傾斜角度が30°以下になっていることである。また、扁平状の気孔の、地表の水平面に対する傾斜角度は20°以下であってもよく、10°以下であってもより良く、5°以下であってもさらに良い。前記傾斜角度が小さくなるほど、多孔質セラミック焼結体内で保水できる水の量が増加するとともに、雨などの水を確実に吸収、保水でき、メンテナンス回数を減らしても長期にわたって空気の冷却効果が得られる。扁平状の気孔の前記傾斜角度地表の水平面に対して0°(ほぼ0°)、つまり水平であると特に良い。前記傾斜角度が0°であると、前記室外熱交換器に空気を送る送風ファンへの負荷を最小限とすることができる。
一方、扁平状の気孔の、地表の水平面に対する傾斜角度が30°超となると、多孔質セラミックス焼結体から気孔内の水が流出して、多孔質セラミックス焼結体の保水性が低下するおそれがある。
【0062】
また、室外熱交換器用冷却装置においては、室外熱交換器用冷却部材の配置は、室外熱交換器に供給される空気と室外熱交換器用冷却部材との接触面積が多くなるような配置とすることが好ましい。具体的に説明すると、室外熱交換器に供給される空気と室外熱交換器用冷却部材との接触面積は、例えば、室外熱交換器用冷却部材により形成された開口部の開口率と、冷却される空気の流れ方向における室外熱交換器用冷却部材の長さによって調整できる。前記開口率が小さくなると、あるいは、冷却される空気の流れ方向における室外熱交換器用冷却部材の長さが長くなると、室外熱交換器用冷却装置を通過して室外熱交換器に供給される空気と室外熱交換器用冷却部材との接触確率が上がるため、空気の温度をより低下させやすくなる。
なお、前記開口率が極端に小さくなると、例えば、室外熱交換器に空気を供給するための空気吸込み口の前のほぼ全面を覆うように室外熱交換器用冷却部材を密集させて配置すると、圧力損失が大きくなり、送風ファンの負荷が増大して、省エネルギー効果が低下する傾向にある。そのため、多孔質セラミックス焼結体を、送風ファンの負荷が増えない程度の隙間を確保するように適宜試行錯誤により調節しつつ配置することが好ましい。
【0063】
室外熱交換器用冷却装置は、屋外に設置されるため、雨などによって水分が多孔質セラミックス焼結体に供給されるため、多孔質セラミックス焼結体に水分を供給するための手段や装置を別途設けなくとも冷却が可能である。一方で、前記手段を設けてもよく、例えば、室内熱交換器にて発生した結露水を、室外熱交換器用冷却部材を構成する多孔質セラミック焼結体に供給するように構成してもよい。具体的な結露水の供給方法としては、多孔質セラミック焼結体の上面に結露水を滴下させるように構成する方法が挙げられる。また、他の供給方法としては、容器等に結露水をため、その結露水に接触するように多孔質セラミックス焼結体を配置して、多孔質セラミックス焼結体内の連通孔による毛細管現象によって水を吸い上げて、多孔質セラミックス焼結体内に水分を供給する方法が挙げられる。
また、本実施形態の室外熱交換器用冷却装置においては、水の噴霧装置や滴下装置、水槽など水の供給手段を設置して、多孔質セラミック焼結体に水を供給できるようにしてもよい。なお、水の供給手段は、直接、室外熱交換器に水がかからないようなものが好ましい。
【0064】
また、本実施形態の室外熱交換器用冷却装置においては、室外熱交換器に供給される空気の流れにおいて、室外熱交換器よりも上流側に室外熱交換器用冷却部材を設置するようにしてもよい。室外熱交換器には送風ファンを用いて冷却用の空気が供給されることが多く、その場合には、室外熱交換器と送風ファンの間に室外熱交換器用冷却部材を配置してもよいし、室外熱交換器用冷却部材と送風ファンの間に室外熱交換器を配置してもよいし、室外熱交換器と室外熱交換器用冷却部材の間に送風ファンを配置してもよい。冷却効果の観点からは、室外熱交換器と室外熱交換器用冷却部材の間に送風ファンを配置することが好ましい。
また、室外熱交換器自体が送風ファンを収納している場合には、室外熱交換器に空気を供給するための空気の吸込み口の近傍に、室外熱交換器用冷却部材を備えた室外熱交換器用冷却装置を設置すればよい。
この場合には、室外熱交換器用冷却部材が空気の吸込み口のほぼ全体を覆うように、室外熱交換器用冷却装置を設置することが好ましい。室外熱交換器用冷却部材が空気の吸込み口のほぼ全体を覆えば、室外熱交換器に供給される空気のほとんどが、室外熱交換器用冷却部材によって冷却されるため、室外熱交換器用冷却装置をより省エネルギー化できる。
また、室外熱交換器の空気排出口にも室外熱交換器用冷却装置を設置してもよいし、室外熱交換器の全体を、室外熱交換器用冷却装置で囲って、空気の吸込み口に加えて排気口の近傍にも室外熱交換器用冷却部材を配置してもよい。
【0065】
本実施形態の室外熱交換器用冷却装置の第一の具体例について説明する。
図1及び図2に示すように、本例の室外熱交換器用冷却装置4は、複数の矩形板状の多孔質セラミックス焼結体1と、多孔質セラミックス焼結体1を固定するための枠体2とを備える。本例において使用される多孔質セラミックス焼結体1は、その内部に扁平状の気孔が複数平行に形成されたものである。扁平状の気孔は多孔質セラミックス焼結体1の厚さ方向に対して、その扁平状の気孔の径が長い方向が垂直になるよう形成されている。枠体2は直方体状であり、4つの側面のうちの、互いに対向する2面に開口部が形成されて開放されている。
各多孔質セラミックス焼結体1は、枠体2の開放されていない側面に、扁平状気孔の、水平面に対する傾斜角度が0°になるように水平に取り付けられている。また、多孔質セラミックス焼結体1は、枠体2の中に一定間隔で配置されている。多孔質セラミック焼結体1の間には、前記一定間隔での配置によって、空気の通り道となる空間3が形成されている。
本例の室外熱交換器用冷却装置4では、開口部の一方から他方に向かって空気を通すことによって、空気を空間3に通し、多孔質セラミックス焼結体1に接触させて冷却することができる。
【0066】
本実施形態の室外熱交換器用冷却装置の第二の具体例について説明する。
第二の具体例の室外熱交換器用冷却装置は、多孔質セラミックス焼結体の配置が異なる以外は第一の具体例の室外熱交換器用冷却装置と同様である。本例では、図3に示すように、3個の多孔質セラミックス焼結体1aが水平方向に一定間隔で配置された段と、4個の多孔質セラミックス焼結体1b,1cが水平方向に一定間隔で配置された段とが交互に積み重ねられている。
多孔質セラミックス焼結体1aが水平方向に一定間隔で配置された段では、3個の多孔質セラミックス焼結体1aはいずれも同一形状とされている。4個の多孔質セラミックス焼結体1b,1cが水平方向に一定間隔で配置された段では、枠体2に隣接する2個の多孔質セラミックス焼結体1bが同一形状とされ、中央の2個の多孔質セラミックス焼結体1cが同一形状とされている。また、枠体2に隣接する多孔質セラミックス焼結体1bは中央の多孔質セラミックス焼結体1cよりも細くされている。また、多孔質セラミックス焼結体1aと多孔質セラミックス焼結体1cとは同一形状にされている。
本例の室外熱交換器用冷却装置4では、水平方向に互いに隣接する多孔質セラミックス焼結体同士の間に空間3が形成され、互いに隣接する段の空間3,3同士が重ならないようになっている。したがって、本例の室外熱交換器用冷却装置4では、空気を空間3に通すことにより、多孔質セラミックス焼結体1a,1b,1cに空気を接触させて冷却することができる。
【0067】
本実施形態の室外熱交換器用冷却装置の第三の具体例について説明する。
第三の具体例の室外熱交換器用冷却装置は、図4及び図5に示すように、複数の多孔質セラミックス焼結体11と枠体12と複数の挿入棒14とを備える。
本具体例において使用される多孔質セラミックス焼結体11は、円盤状のものであり、その内部に扁平状の気孔が複数平行に形成されたものである。扁平状の気孔は多孔質セラミックス焼結体11の厚さ方向に対して径が長い方向が垂直になるよう形成されている。円盤状の多孔質セラミックス焼結体11の中心には、貫通孔11aが厚さ方向に沿って形成されている。
枠体12は直方体状であり、矩形状の底板部12aと、底板部12aの各コーナーから立設した柱部12bと、柱部12bの上に取り外し可能に取り付けられた天板部12cとからなる。枠体12及び挿入棒14は本実施形態ではステンレスを構成素材とするが、特にこれに限られず適宜選択できる。
挿入棒14は、枠体12の底板部12a及び天板部12cに対する鉛直方向に沿うように配置され、一端が底板部12aに固定されている。挿入棒14の太さは多孔質セラミックス焼結体11の貫通孔11aよりも僅かに小さくされている。複数の挿入棒14,14は一列に配置され、挿入棒14,14同士の間隔は、円盤状の多孔質セラミックス焼結体11の直径よりも短くされている。また、挿入棒14の他端は、止め具15(本具体例ではナット)によって天板部12cに固定されて転倒が防止されている。
【0068】
各多孔質セラミックス焼結体11は、その貫通孔11aが挿入棒14に挿入され、扁平状気孔の、水平面に対する傾斜角度が0°になるように水平に配置されている。扁平状の気孔は多孔質セラミックス焼結体11の厚さ方向に対して径が長い方向が垂直に形成されている。また、多孔質セラミックス焼結体11は、多孔質セラミックス焼結体11,11同士の間に空間13が形成されるように、互い違いに配置されている。
【0069】
上記室外熱交換器用冷却装置の作製方法としては、例えば、天板部が取り外された状態で、図6に示すように挿入棒14に多孔質セラミックス焼結体11の貫通孔11aを挿入し、全ての多孔質セラミックス焼結体11を挿入し終えた後に、天板部12cを柱部12bに取り付ける方法が挙げられる。
【0070】
本例の室外熱交換器用冷却装置においても、空気を空間13に通すことにより、多孔質セラミックス焼結体11に空気を接触させて冷却することができる。
【0071】
本実施形態の室外熱交換器用冷却装置の第四の具体例について説明する。
第四の具体例の室外熱交換器用冷却装置は、図7及び図8に示すように、複数の多孔質セラミックス焼結体21と複数の挿入棒24と止め具25と保護板26とを備える。
本例において使用される多孔質セラミックス焼結体21は、円盤状のものであり、その内部に扁平状の気孔が複数平行に形成されたものである。円盤状の多孔質セラミックス焼結体21の周縁近傍には、厚さ方向に沿った貫通孔21aが2つ形成されている。それら2つの貫通孔21a,21aは、多孔質セラミックス焼結体21の中心からの距離が同じとなり、且つ、2つの貫通孔21a,21a同士を直線で結んだ際にその直線が多孔質セラミックス焼結体21の中心を通るように形成されている。
挿入棒24は、その太さが多孔質セラミックス焼結体21の貫通孔21aよりも僅かに小さくされている。複数の挿入棒24,24は一列に配置され、挿入棒24,24同士の間隔は、円盤状の多孔質セラミックス焼結体21の直径よりも短くされている。
保護板26は、多孔質セラミックス焼結体21と同じ直径の円板状である。保護板26の周縁近傍には、多孔質セラミックス焼結体21を重ねた際に貫通孔21aに対応する位置に貫通孔26aが形成されている。
保護板26及び挿入棒24は本実施形態ではステンレスを構成素材とするが、特にこれに限られず適宜選択できる。
【0072】
各多孔質セラミックス焼結体21は、その貫通孔21aが挿入棒24に挿入され、扁平状気孔の、水平面に対する傾斜角度が0°になるように水平に配置されている。また、多孔質セラミックス焼結体21は、多孔質セラミックス焼結体21,21同士の間に空間23が形成されるように、互い違いに配置されている。
【0073】
上記室外熱交換器用冷却装置の作製方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、挿入棒24の一方の端部に止め具25を取り付けた後、挿入棒24に保護板26の貫通孔26aを挿入し、天板部が取り外された状態で、図9に示すように挿入棒24に多孔質セラミックス焼結体21の貫通孔21aを挿入する。上下方向に互いに隣接する多孔質セラミックス焼結体21,21は、各々、一方の貫通孔21aのみ、共通の挿入棒14に挿入される。上側の多孔質セラミックス焼結体21の他方の貫通孔21a、下側の多孔質セラミックス焼結体21の他方の貫通孔21aは、各々、別の挿入棒24に挿入される。全ての多孔質セラミックス焼結体21を挿入棒24に挿入し終えた後に、前記挿入棒24の他方の端部を他の保護板26の貫通孔26aに挿入し、さらにこの端部に止め具25を取り付けた後、天板部を柱部に取り付ける。
【0074】
また、本例の室外熱交換器用冷却装置では、各挿入棒24を回転軸として多孔質セラミックス焼結体21を回転させることができる。したがって、本例の室外熱交換器用冷却装置では、図10に示すように、上面視において多孔質セラミックス焼結体21の配列を蛇行させることができ、ジグザグに屈曲する波板状にすることもできる。このような波板状の室外熱交換器用冷却装置では、室外熱交換器に供給される空気の接触面積を増やすことができ、空気の冷却性能がより高くなる。
また、本例の室外熱交換器用冷却装置では、幅方向の形状を任意に変えることができるため、室外熱交換器の外周に沿うように折り曲げて配置することも可能である。
【0075】
なお、本実施形態の室外熱交換器用冷却装置は上記の具体例に限定されない。例えば、本実施形態の室外熱交換器用冷却装置は、各例の室外熱交換器用冷却装置同士を直列に配置したものでもよいし、第一から第四の具体例の室外熱交換器用冷却装置のうちのいずれか2つ以上を直列に配置したものでもよい。
複数の室外熱交換器用冷却装置を直列に配置する場合には、空気の流れが直線的にならないように、各室外熱交換器用冷却装置の空間を、空気の流れ方向に沿ってジグザグにする。このように空間を配置すれば、空気の冷却効果がより高くなる。ただし、空気の流れにおける抵抗が大きくなるため、送風ファンの負荷が増加して電気消費量が増加する傾向にあるため、それぞれのバランスを考慮して配置するとよい。
【0076】
また、第一から第四の具体例における室外熱交換器用冷却装置における空間に、粒状の多孔質セラミック焼結体が充填されてもよい。
また、多孔質セラミックス焼結体の内部に形成された扁平状の気孔の長い径の方向は、水平面に対する傾斜角度が30°超、例えば、45°や90°となっている別の実施形態であってもよい。この別の実施形態において、扁平状の気孔の長い径の方向の、水平面に対する傾斜角度が30°超となる場合には、多孔質セラミックス焼結体の板状物の下面に水が接触して多孔質セラミックス焼結体の内部に水が供給されるように、水槽を設けておくことが好ましい。
【0077】
上述した本実施形態の室外熱交換器用冷却装置は、前記の室外熱交換器用冷却部材を備えるため、長期にわたって優れた空気の冷却性能を有する。そのため、冷却設備に用いられる室外熱交換器に供給される空気の温度を低下させて、冷却設備を省エネルギー化できる。
また、室外熱交換器用冷却装置の冷却性能を維持するためのメンテナンスが容易である。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を示して本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0079】
(使用原料)
実施例に用いた原料は、次の通りである。
<有機汚泥>
有機汚泥としては、染色工場(小松精練株式会社)の活性汚泥法による排水処理設備から凝集・脱水工程を経て排出された活性汚泥を用いた。この活性汚泥の有機物含有量(対固形分)は、乾燥後に測定した汚泥中の質量全体に対して83質量%であった。又、凝集・脱水後と乾燥(105〜110℃で2時間乾燥した)後の質量から脱水汚泥中の乾燥汚泥質量を求め、そこから求めた活性汚泥の含水率は、85質量%であった。
<粘土>
粘土としては、蛙目粘土(岐阜県産又は愛知県産)を用いた。
<発泡剤(スラグ)>
発泡剤として、鋳鉄スラグを用いた。この鋳鉄スラグは、SiO、Al、CaO、Fe、FeO、MgO、MnO、KO及びNaOを主成分とするダクタイル鋳鉄スラグである。
<珪藻土>
珪藻土としては、能登地区産の耐火煉瓦の原料で、含水率が5質量%の粉末状の珪藻土を用いた。
<フィラー>
フィラーとしては、液晶テレビのフラットディスプレイ用のガラスパネルの廃ガラスを粉砕し、高融点ガラスの粒子としたものを用いた。高融点ガラスの粒子は、目開き1.2mmの篩を通過し、目開き0.6mmの篩を通過しないものである(粒子径0.6mm超1.2mm以下)。また、前記のガラスパネルは、溶融温度1300℃超の無アルカリガラスであり、偏光板を備えていないものである。
【0080】
[実施例1]
表1に示す組成でスラグ、有機汚泥、粘土及び水をミックスマラー(新東工業株式会社製)で混合し、可塑状態の混合物を得た(混合工程)。
次いで、得られた混合物を真空土練成形機(高浜工業株式会社製)で押し出し、圧延成形して、幅60cm、厚み2cmの帯状の一次成形体を得た。この一次成形体を任意のピッチと幅で切断して、厚み2cmの略正方形の平板状の成形体を得た(成形工程)。
得られた成形体を熱風乾燥機で乾燥(180℃、0.5時間)し、含水率1質量%以下とした後、連続式焼結炉を用いて、焼成温度1050℃、焼成温度での滞留時間7分間の焼成条件にて焼成した(焼成工程)。連続式焼結炉としては、ローラーハースキルン(焼結炉の有効長:全長15m、焼結炉を各1.5mのゾーン1〜10に分割)を用いた。
焼成後、多孔質セラミックス焼結体の4つの側面に沿って側端を切除してトリミングし、また、多孔質セラミックス焼結体の表面を研削加工した。これにより、タテ20cm×ヨコ30cm×厚み3cmの多孔質セラミックス焼結体の板状物を得た。この多孔質セラミックス焼結体は、孔径(長径)が3cm程度、厚みが1mm程度の扁平状気孔が厚み方向に複数平行に並ぶように形成されたものであった。
多孔質セラミックス焼結体は、水に浸漬させて飽和含水状態とした。
【0081】
次いで、図1に示すように、上記多孔質セラミックス焼結体1を、幅30cm、高さ36cm、奥行き20cmの枠体2の中に5個水平に配置して室外熱交換器用冷却部材を形成し、室外熱交換器用冷却装置を得た。各多孔質セラミック焼結体1の配置は、30cm×3cmの側面が正面となるように(奥行き20cm)、且つ、扁平状気孔の水平面に対する傾斜角度が0°になるように、且つ、多孔質セラミックス焼結体1,1同士の間隔がおおよそ3cmとなるように配置とした。
【0082】
[実施例2]
混合物の組成を表1に示すように変更し、多孔質セラミックス焼結体の大きさを、タテ20cm×ヨコ8cm×厚み3cm、タテ20cm×ヨコ4cm×厚み3cmの2種類とした以外は実施例1と同様にして多孔質セラミックス焼結体を得た。
また、室外熱交換器用冷却装置は、幅30cm、高さ36cm、奥行き20cmの枠体の中に、図3に示すように多孔質セラミックス焼結体を配置した以外は、実施例1と同様にして、室外熱交換器用冷却装置を得た。
図3における多孔質セラミックス焼結体1a,1cとしては、タテ20cm×ヨコ8cm×厚み3cmのものを用い、8cm×3cmの面が正面となるように配置した。多孔質セラミックス焼結体1bとしては、タテ20cm×ヨコ4cm×厚み3cmのものを用い、4cm×3cmの面が正面となるように配置した。
また、水平方向に互いに隣接する多孔質セラミックス焼結体同士の間隔を3cmとした。多孔質セラミック焼結体の段数は12段とした。
また、各多孔質セラミックス焼結体は、扁平状の気孔の、水平面に対する傾斜角度が0°になるように配置した。
【0083】
[実施例3]
混合物の組成を表1に示すように変更し、多孔質セラミックス焼結体の大きさを、タテ20cm×ヨコ8cm×厚み3cm、タテ20cm×ヨコ4cm×厚み3cmの2種類とした以外は実施例1と同様にして多孔質セラミックス焼結体を得た。この多孔質セラミックス焼結体を用い、実施例2と同様にして室外熱交換器用冷却装置を得た。
【0084】
[実施例4]
混合物の組成を表1に示すように変更すると共にフィラーをフィラー以外の原料100質量部に対して30質量部配合し、表面研削加工を省略し、大きさを、タテ20cm×ヨコ8cm×厚み3cm、タテ20cm×ヨコ4cm×厚み3cmの2種類とした以外は実施例1と同様にして多孔質セラミックス焼結体を得た。この多孔質セラミックス焼結体を用い、実施例2と同様にして室外熱交換器用冷却装置を得た。
【0085】
(測定・評価)
得られた冷却部材の見掛け密度、飽和含水率、気孔同士の連通の有無を下記のように測定した。また、室外熱交換器用冷却装置の性能を下記のように測定した。それらの結果を表1に示す。
【0086】
<見掛け密度>
ノギスを用いて、多孔質セラミックス焼結体の長さ、幅、厚みを測定して、体積(cm)を求め、その多孔質セラミックスの絶乾状態の質量(g)を測定した。そして、[絶乾状態の多孔質セラミックスの質量(g)]/[多孔質セラミックスの体積(cm)]の式より、見掛け密度を求めた。
【0087】
<飽和含水率>
見掛け密度を測定した板状の多孔質セラミックス焼結体を水に60分間浸漬した後、表面を上にして、傾けた際に多孔質セラミックス焼結体から水が流れ出ないように多孔質セラミックス焼結体を傾けずに水から取り出した。次いで、多孔質セラミックス焼結体の表面に付着している余剰水分を布で拭き、直ちに質量を測定(飽和状態質量)し、下記(1)式により飽和含水率を求めた。
飽和含水率(質量%)=[(飽和状態質量−絶乾状態質量)/絶乾状態質量]×100・・・(1)
【0088】
<気孔同士の連通の有無の確認>
多孔質セラミックス焼結体における気孔同士の連通の有無の確認は、得られた多孔質セラミックス焼結体を水に浸漬し、充分に吸水させた後に切断し、その断面を観察することで確認した。この観察の結果、多孔質セラミックス焼結体の内部に、満遍なく水分が分布・保水されていると認められる場合、気孔同士が連通していると判断した(表では「○」と表示、goodの意)。この観察の結果、多孔質セラミックス焼結体の内部に水分が行き渡っていないと認められる場合には、個々の気孔又は孔隙が独立しており、気孔同士が連通していない又は連通が不充分であると判断した(表では「×」と表示、poorの意。なお、今回の実施例には含まれていない)。
【0089】
<室外熱交換器用冷却装置の性能測定:送風ファンの負荷と空気温度の測定>
図11に示す装置を用い、送風ファンの負荷と空気温度の測定をおこなった。
互いに対向する側面の各々開口部7a,7bを有する容器7の中に送風ファン5を設置し、一方の開口部7aから空気を吸い込み、他方の開口部7bから空気を排気させた。空気の移動をAで示す。ここで、送風ファン5は、室外熱交換器に空気を送るための送風ファンを想定したものであり、下流側の開口部7b近傍に設置した。
また、開口部7aの近傍に室外熱交換器用冷却装置4を取り付けた。開口部7aは室外熱交換器用冷却装置4の最大面積の面と同じ面積・形状とした。
そして、設置面より距離L1(図ではl1=19cm)上で、室外熱交換器用冷却装置4から距離L2(図ではl2=5cm)上流側の位置(吸入温度測定位置81)と、室外熱交換器用冷却装置4から距離L3(図ではL3=3cm)離れた容器7内の位置(吸気温度測定位置82)との各々にて、空気の温度(吸込み温度、吸気温度)を測定した。
その際、送風ファン5からの風速は、空気の排気口から8cmの位置にて3m/秒となるように可変変圧器6を用いて調整した。このときの可変変圧器6の電圧を読み取ることによって、室外熱交換器用冷却装置4を用いたことによる送風ファン5の消費電力の増加の有無を確認した。
また、比較として、室外熱交換器用冷却装置4を設置せず、開口部7aを解放したもの(比較例1、吸込み口解放)でも測定をおこなった。
【0090】
【表1】
【0091】
本実施形態に係る室外熱交換器用冷却部材を備える室外熱交換器用冷却装置を用いた実施例1では、室外熱交換器用冷却装置を通過した後の吸気温度が吸込み温度よりも1.5℃低くなっていた。また、実施例2では、室外熱交換器用冷却装置を通過した後の吸気温度が吸込み温度よりも2.7℃低くなっていた。また、実施例3では、室外熱交換器用冷却装置を通過した後の吸気温度が吸込み温度よりも2.3℃低くなっていた。また、実施例4では、室外熱交換器用冷却装置を通過した後の吸気温度が吸込み温度よりも1.8℃低くなっていた。比較例1(吸込み口解放)では吸込み温度及び吸気温度にほぼ差がないことも確認した。
したがって、実施例1〜4では、室外熱交換器に供給される空気を冷却することができ、冷却設備の熱交換効率を上げることができる。また、室外熱交換器用冷却装置を設置しない場合と比較しても送風ファンへの供給電圧はあまり変わらず、すなわち消費電力はあまり変わらず、省エネルギー化に寄与することが確認された。
なお、実施例1〜4の室外熱交換器用冷却部材では、外気温や送風量にもよるが、1週間に1〜3度の雨で十分な水が貯えられ、頻繁な水やりも必要がなく、室外熱交換器用冷却部材の土壌が流出して冷却効果を失ったり、雑草が頻繁に生えることもないため、メンテナンスは容易である。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の態様に係る室外熱交換器用冷却部材及び室外熱交換器用冷却装置は、空調設備に用いられる室外熱交換器に供給される空気の温度を低下させて空調設備を省エネルギー化でき、また、メンテナンスが容易である。
【符号の説明】
【0093】
1,1a,1b,1c,11,21 多孔質セラミックス焼結体(室外熱交換器用冷却部材)
2,12 枠体
3,13,23 空間
4 室外熱交換器用冷却装置
5 送風ファン
6 可変変圧器
7 容器
12a 底板部
12b 柱部
12c 天板部
14,24 挿入棒
15,25 止め具
81 吸入温度測定位置
82 吸気温度測定位置
A 空気の移動
L1、L2、L3 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11