(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131258
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】急性腎臓損傷を治療するための組成物及び溶液
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20170508BHJP
A61K 31/77 20060101ALI20170508BHJP
A61K 31/785 20060101ALI20170508BHJP
A61K 31/728 20060101ALI20170508BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20170508BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20170508BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20170508BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20170508BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20170508BHJP
A61K 47/12 20060101ALN20170508BHJP
A61K 45/00 20060101ALN20170508BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20170508BHJP
A61K 47/46 20060101ALN20170508BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61K31/77
A61K31/785
A61K31/728
A61P13/12
A61K9/08
A61K47/22
A61K47/10
A61K47/14
!A61K47/12
!A61K45/00
!A61P43/00 121
!A61K47/46
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-535791(P2014-535791)
(86)(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公表番号】特表2014-528477(P2014-528477A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】US2012059396
(87)【国際公開番号】WO2013055702
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年10月5日
(31)【優先権主張番号】61/545,582
(32)【優先日】2011年10月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514091002
【氏名又は名称】ヘマフロー セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HEMAFLO THERAPEUTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン、デイル アール.
【審査官】
深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0032451(US,A1)
【文献】
国際公開第2008/140499(WO,A1)
【文献】
特表2008−515807(JP,A)
【文献】
特表2007−522222(JP,A)
【文献】
Journal of Surgical Research,1989年,Vol.46,p.4-8
【文献】
Cardiovascular Drugs and Therapy,1990年,Vol.4,p.297-300
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7088
A61K 31/728
A61K 31/74
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性腎臓損傷を治療するための組成物であって、前記組成物は静脈内投与されることにより、前記損傷を患う患者における抵抗低減ポリマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに有効な前記抵抗低減ポリマーを含む組成物。
【請求項2】
前記抵抗低減ポリマーは、ポリヌクレオチド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ヒアルロン酸、又はヒアルロン酸塩である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
静脈内投与によって急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減ポリマーと抗酸化剤とを含む溶液。
【請求項4】
前記抵抗低減ポリマーは、ポリヌクレオチド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ヒアルロン酸、又はヒアルロン酸塩である請求項3に記載の溶液。
【請求項5】
前記抗酸化剤は、BHT、BHA、没食子酸プロピル、メチルパラベン、又はトコフェロールである請求項3に記載の溶液。
【請求項6】
静脈内投与によって急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減ポリマー並びに、酵素阻害剤又は酵素遮断剤を含む溶液。
【請求項7】
前記抵抗低減ポリマーは、ポリヌクレオチド、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ヒアルロン酸、又はヒアルロン酸塩である請求項6に記載の溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急性腎臓損傷を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗低減ポリマー(DRP:drag−reducing polymers)は、1949年にトムズ(Toms)によって発見された(非特許文献1)。それらは、船舶、潜水艦、及び魚雷における速度を増加させ、騒音を低減させるために、液体の圧送コストを低減するために、二相流におけるエネルギー損失を低減するために、並びに自動消火装置及び消防設備における投てき距離を増加させるためによく利用される。
【0003】
抵抗低減ポリマーは、長く(分子量>10
6)、可溶性であり、線状重合体であり、軸方向に弾性を有する。ポリエチレンオキシド(PEO:polyethylene oxide)及びポリアクリルアミドは、その典型的な例である。これらのポリマーを2〜100ppm添加することは、配管中を流れる流体の圧力損失を70%まで低減させ、船舶の船体への抵抗を80%まで低減させる(非特許文献2)。
【0004】
DRPの作用機構は、未だ完全には解明されていない。分子における軸方向の弾性が、これらの機能に必要不可欠であることが明らかになっている(非特許文献3)。この分子は、緩衝器として、及び乱流渦を減衰させるものとして作用すると考えられる。また、DRPは、面付近において層状境界層が剥離して乱流化することを抑制することも示されている。通常、低濃度のDRPが用いられ、これらが流体粘性に与える影響はない。さらに、DRPの抵抗低減効果は、乱流内で観察され、層流内では観察されない。
【0005】
血流は、全身で層流であるため、科学者達は、血中に添加されたときのDRPの計測可能な効果を見出して驚いた。後続の研究は、DRPが毛細血管網内の枝のような分岐点において流れの乱れを低減させるとともに、血管壁付近における無細胞層の厚みを低減させることを示す(非特許文献4〜6)。
【0006】
動物へのDRPの有益な効果の報告は、1970年代に現れはじめた。Mostardiらは、ポリアクリルアミドが、狭窄の下流の大動脈壁から流れが剥離する頻度を60%まで低減させることを示した(非特許文献7)。1987年にコールマン(Coleman)らは、心拍出量を2倍以上に増大させ、末梢抵抗を半分まで低減させることを発表した(非特許文献8)。その2年後に、彼らは、ポリエチレンオキシドが大動脈の血流を増加させ、心拍数を減少させ、心室及び動脈における血圧を増加させ、
末梢抵抗を低減させることを示した(非特許文献9)。その翌年に、エルテピナー(Ertepinar)らは、モルモットへのポリアクリルアミドの長期に亘る注入が動脈硬化巣の形成を著しく低減させることを示した(非特許文献10)。
【0007】
マリーナ・カーメネヴァ(Marina Kameneva)は、その後の数十年間に亘ってDRPによる活性化への関心を維持している。彼女は、1980年代にロシアの当技術分野において研究を開始し、1990年代にその関心を米国に移した。2004年に、彼女は、高分子量PEO及びアロエベラ抽出物がそれぞれ出血性ショックからラットを保護する一方で、低分子量PEO又は生理食塩水を注入されたラットが組織の灌流不足及び80〜85%の死亡率を示すことを明らかにする研究を発表した。その2年後に、彼女は、高分子量PEOがイヌの心臓において、冠動脈左前下行枝の狭窄後の灌流を劇的に増加させることを証明した(非特許文献12)。2007年に、彼女は、アロエベラ由来のDRPが深刻な急性心筋梗塞(AMI)からラットを保護する一方で、コントロールの動物の50%が死亡することを明らかにするデータを発表した(非特許文献13)。
【0008】
[急性腎不全]
急性腎不全(ARF:acute renal failure)は、電解質を損なうことなく老廃物を濾過するための腎臓の能力が突然喪失することである。ほとんどの場合、急性腎臓損傷(AKI:acute kidney injury)とも呼称されるARFは、腎臓への血流の減少が原因である(腎前性ARF)が、約20%の症例は、腎臓への直接的な感染又は毒素の影響が原因であり(腎性ARF)、約10%の症例は、腎臓の下流の閉鎖が原因である(腎後性障害)。
【0009】
集団におけるARFの罹患率は、100万人当たり100症例ほどしかなく、その死亡率は7%である(非特許文献14)。公表されているARFの発生率は、米国におけるすべての入院(34×10
6/年)の1〜13%の範囲であり、米国におけるすべてのICU入院(4.4×10
6/年)の20〜30%の範囲である(非特許文献15)。ほとんどのARFの症例は、他の疾病又は処置による合併症の結果として、病院で罹患する。最も一般的な原因は、敗血症、血液量減少、手術、画像化造影剤、化学療法薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、及び一部の抗体である。
【0010】
国家レベルでは、ARFの発生率についての一つの研究のみが行われている。リアンゴス(Liangos)らによる2001年の国立病院の退院調査によると、すべての退院の1.9%がARFのコードを示し、このコードは米国における発生例の646,000に対応することが判明した。その死亡率は21.3%であった。筆者は、2001年の間、聖エリザベス(St. Elizabeth’s、ボストン)から退院した13,237人の患者すべてを診察することにより検証した。2.6%の患者は、ARFにコード化されたが、研究室での値は、12%の患者がARFを患っていることを示した。そのため、ARFがコードされたのは、(おそらく最も深刻な場合)発症例の約20%に過ぎない(非特許文献16)。
【0011】
ARFの治療は、腎臓が回復するのを待つ間に、血液量減少を回復させるための流体及び毒素を洗い流すための流体を投与することである。いくつかの例では、過剰な水分量又は電解質バランスを保持する患者は、透析を必要とするほど苦しむ。ARFにおける最も一般的な死亡原因は、心不全、敗血症及び呼吸不全である。ARFから回復する患者は、その後の5年間又は10年間において、死亡率及び慢性腎臓疾患の罹患率の増加を示す。動物において保証された数十もの新しい治療及び薬は、ARF患者に臨床的に検証されているが、無作為の臨床試験において有益性は証明されていない。検証された治療の一部には、尿量、ドーパミン及び心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP:atrial natriuretic peptide)を増加させるための利尿剤が含まれる。また、検証された治療の一部には、尿細管上皮細胞を保護するために、遊離基捕捉剤、熱ショックタンパク質、ヘム酸素添加酵素、キサンチン酸化酵素阻害剤、プロスタグランジン、カルシウムチャネル拮抗薬、並びに最近では近位尿細管の回復を早めるためのいくつかの成長因子等の多くの細胞保護剤が含まれる(非特許文献15)。
【0012】
DRPの特性が腎不全で苦しむ患者に役立つ可能性があることは、誰も認識していなかった。二つのグループは、20年前に、腎臓へのDRPの効果を観察するとともに、それらが利尿剤として有効なことを見出した。1987年に、スミス(Smyth)らは、ラットにおいてポリアクリルアミドが、カリウム排出量及びクレアチニンクリアランス値を変化させることなく、尿排泄量及びナトリウム排出量を増加させることを発表した(非特許文献17)。その3年後に、彼らは、ラットにおいてPEO及びポリアクリルアミドの両方を用いることで、いずれのDRPも、クレアチニンクリアランス値又はカリウム排出を変化させることなく、利尿及びナトリウム利尿を増加させることを示す結果を発表した(非特許文献18)。1987年に、サンピオ(Sumpio)らは、灌流された腎臓において、10%赤血球(RBC)及び20%RBCを含むポリアクリルアミド緩衝液を検証した。彼らは、腎機能におけるヘマトクリット値(Hct)及びDRPの間に強力な相互作用を見出した。たとえば、糸球体濾過率(GFR)は、DRPによって、10%のHctでは減少したが、20%のHctでは増加した(非特許文献19)。おそらく、多くの経口活性を有する利尿剤の出現と同時に、注入可能な利尿剤としてのDRPへの関心は衰退した。利尿剤がARFを患っている患者にとって禁忌であることを留意すべきである。この他に、腎臓の分野においてDRPが用いられる研究は、それ以降には発表されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Toms, B. A. (1949) Proceedings of International Congress on Rheology, II, pp.135, North Holland, Amsterdam
【非特許文献2】Truong, V. T. (2001) Drag Reduction Technologies, DSTO−GD−0290, Defence Science and Technology Organization, Victoria, Australia
【非特許文献3】Choi, H. A. et al. (2002) Turbulent Drag Reduction and Degradation of DNA, Phys. Rev. Lett. 89 (8), 088302
【非特許文献4】Kameneva, M. V. et al. (1990) Effect of drag−reducing polymers on the structure of the stagnant zones and eddies in models of constricted and branching blood vessels, Fluid Dyn. 25, pp956−959
【非特許文献5】Sakai, T. et al. (2007) I. V. infusion of a drag−reducing polymer extracted from aloe vera prolonged survival time in a rat model of acute myocardial ischaemia, British Journal of Anaesthesia 98 (1), pp23−8
【非特許文献6】Guyton A. C., and Hall J. E. (1996) Overview of the circulation; medical physics of pressure, flow, and resistance. In: Guyton A. C., and Hall J. E. eds., Textbook of Medical Physiology, W. B. Saunders Company, Philadelphia, PA, USA
【非特許文献7】Mostardi, R. A. et al. (1975) The Effect of Drag Reducing Agents on Stenotic Flow Disturbances in Dogs, Biorheology 13, pp137−141
【非特許文献8】Coleman, P. B. et al. (1987) Effects of a Drag−Reducing Polyelectrolyte of Microscopic Linear Dimension (Separan AP−273) on Rat Hemodynamics, Circ. Res. 61, pp787−796
【非特許文献9】Polimeni P. I., and Ottenbreit B. T. (1989) Hemodynamic effects of a poly(ethylene oxide) drag−reducing polymer, Polyox WSR N−60K, in the open−chest rat, J Cardiovasc. Pharmacol. 14 (3), pp374−80
【非特許文献10】Ertepinar, H. et al. (1990) Effects of drag reducing polymer on atherosclerosis, Biorheology 27 (5), pp631−644
【非特許文献11】Kameneva, M. V. et al. (2004) Blood soluble drag−reducing polymers prevent lethality from hemorrhagic shock in acute animal experiments, Biorheology 41 (1), pp53−64.
【非特許文献12】Kameneva, M. V. et al. (2006) A novel hydrodynamic approach to the treatment of coronary artery disease, Eur. Heart J. 27 (19), pp2362−9
【非特許文献13】Kameneva, M. V. et al. (2007) I. V. infusion of a drag−reducing polymer extracted from aloe vera prolonged survival time in a rat model of acute myocardial ischaemia, Br. J Anaesth. 98 (1), pp23−8
【非特許文献14】Sinert, R., and Peacock, P. Renal Failure, Acute, eMedicine, <URL:http://www.medscape.com/files/emedicine/topic500.htm.>
【非特許文献15】Molitoris B., and Finn, W. (2001) Acute Renal Failure, W. B. Saunders Co., Philadelphia
【非特許文献16】Liangos, O. et al. (2006) Epidemiology and Outcomes of Acute Renal Failure in Hospitalized Patients: a National Survey, Clin. J Amer. Soc. Nephr. 1, pp43−51
【非特許文献17】Smyth, D. D., and Polimeni, P. I. (1987) Separan AP−273 and renal function: a novel natriuretic substance, Can. J Physiol. Pharmacol. 65 (9), pp2001−3
【非特許文献18】Smyth, D. D., and Polimeni, P. I. (1990) Drag−reducing Polymers: a Novel Class of Diuretic and Natriuretic Compounds, Cardiovasc. Drugs Ther. 4 (1), pp297−300
【非特許文献19】Sumpio, B. E. et al. (1989) The Influence of Perfusate Viscosity, RBC Deformability, and Drag on the Function of an Isolated, Perfuse sed Kidney, J Surg. Res. 46, pp4−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、私はARFの治療におけるこうしたDRPの著しい有益性を見出したことに驚いた。ARFは、1970年代に透析が導入されて以来、新しく、有効な治療がまったく見つかっていないという深刻な健康上の問題になっている。残念なことに、現在まで誰もARFの治療として、DRPの研究をすることを考えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
私は、ARFを患っている動物にDRPを注入することが、ARFの症状及び死亡率を低減させることを見出した。抵抗低減特性を示す物質が数種類知られているが、このうち生体内の利用において適切な化学的特性を有する物質はわずかである。このようなDRPの一つは、DNAである。このDNAは、水溶性分子として注入され得るか、そのDNAを放出する細胞の調合液として注入され得るか、生体内において細胞を溶解させることによって原位置で生成され得るか、又はそのDNAを分解させる酵素を阻害することによって増加し得る。ARFの治療用に有望な他のDRP分子には、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシド、及びポリアクリルアミドが含まれる。
【0016】
ARFに対してDRPを用いることの魅力の一つは、腎不全が発生した後にDRPが投与され得ることである。これらDRPは、予防だけではなく、治療の機能も果たす。
適正な用量は、DRPの血中濃度の
関数として、一定の圧力損失下の流量を計測することによって定量され得る。一定の圧力損失下の乱流において、高濃度のDRPの添加は、粘性効果が流量を減少させるまで、流量を増加させる。2〜50μg/mlの用量は、生体内で有効である。理想的には、貯蔵時に安定性が付与され、患者の体内への注入時に急速に血液と混合されることが実現されるように設計され
る適切な
製剤用担体
中の滅菌溶液として、DRPを処方する。あるいは、患者の体内への注入前に生理食塩水又は同様の生理的緩衝液に希釈されるように設計される製剤
用担体
中のより濃縮された形態にDRPを処方してもよい。適切な生理的緩衝液には、血液濾過緩衝液、一部の透析緩衝液、リンガー液、リン酸緩衝生理食塩水、乳酸緩衝生理食塩水、重炭酸緩衝生理食塩水、又は生理食塩水が含まれる。
【0017】
注入量は、注入箇所の付近における血流の局所濃度が、DRPの粘性効果が明白であるレベルを超えないように制御されなくてはならない。最大濃度を大きく超えた場合、DRPは、静脈内の血球凝集又は血流障害を引き起こす可能性がある。最大濃度は、上述したように、一定圧力において簡易な流量計測器を用いて定量される。これによる合併症を抑制するための簡易な手段は、粘性効果が計測可能になる濃度よりも低い濃度で、DRPを生理的緩衝液中に入れることである。そして、DRP溶液は、任意の適当な速度で注入され得る。
【0018】
一部のDRP分子は、生体内で分解される傾向がある。ポリヌクレオチド及びヒアルロン酸は、血流において酵素の作用を受けやすく、このことは、DRP分子の分子量を急速に減少させ得る。DRPを継続的に注入するか、この分子を分化する酵素を阻害するか、又はその酵素を除去することによって、こうした経過を無効にしてもよい。また、DRP分子は、細いゲージの針を介した混合時又は注入時のような高せん断環境によって機械的に破壊され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】試験薬ごとの経時的な血清クレアチニン値のグラフ。
【
図2】試験薬ごとの経時的な血中尿素窒素(BUN:blood urea nitrogen)値のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
DRPについては、以下のとおりである。DNA、RNA、PEO、ポリアクリルアミド、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩、ラムノガラクトガラクツロナン、アロエベラ抽出物、親水性のペンダント基を有するポリエチレンイミン、グルコサミノグリカン、他のポリグリカン、ポリビニルホルムアミド、ポリリン酸塩、ポリビニルアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、又は上記の組み合わせである。
【0021】
用量については、流量計測器を介して定量されるが、大体は0.01〜1000μg/mlである。
分解については、以下のとおりである。DNA、RNA、及びヒアルロン酸は、酵素又はせん断によって分解される。PEO、ポリアクリルアミド、アロエベラ抽出物、及びラムノガラクトガラクツロナンは、機械的に分解される。これらの効果は、以下の(1)〜(4)の事項を行うことによって向上かつ持続され得る。(1)これらを扱うとき及び注入時にせん断を最小化すること。(2)継続的な注入。(3)血液濾過、除去療法、又は抗体により血液から酵素を除去すること。(4)低分子量DNA、低分子量RNA、又は低分子量ヒアルロン酸の大量急速投与、必要な補因子の除去、もしくは酵素の特異的阻害剤の添加により酵素を遮断するか、又は阻害すること。
【0022】
送出方法については、静脈内注射、筋肉内注射、点滴、又は細胞溶解である。
適応症については、以下の(1)〜(7)のとおりである。(1)基準線の1.5倍を超える血清クレアチニン値の増加が認められる患者。(2)25%以上の糸球体濾過率(GFR)の減少が認められる患者。(3)6時間以上の間、尿素生成量が0.5ml/kg/時間未満である患者。(4)Kim−1、IL−18、NGALのようなARFバイオマーカーの急上昇が認められる患者。(5)心臓手術、腹部大動脈瘤(AAA)バイパス術、弁修復術、及び造影剤要求性の画像検査法のような高リスクな処置を受けている慢性腎臓疾患を有する患者。(6)高リスクな処置を受けており、SHARF又はMehtaのような評価システムを介して判断された高リスク因子を有する患者。(7)深刻な血液不足、重度の紫斑又は重度の溶血に苦しむ患者。
【実施例1】
【0023】
[高分子量PEOの滅菌溶液の調製]
2×10
6Daの分子量のPEO(シグマ社(Sigma)、セントルイス、ミズーリ州)を0.0025g秤量することによって、50ppmのPEOを含む50mlの溶液を調製した。50mlの滅菌遠心管の壁にPEOを分離した。50mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を遠心管に添加し、遠心管を揺動することによって溶液を混合した。0.2μmの孔径のシリンジフィルターを用いて溶液を滅菌した。
【実施例2】
【0024】
[ヒアルロン酸の滅菌溶液の調製]
1.5×10
6Daの分子量又は6×10
4Daの分子量のヒアルロン酸(ライフコアバイオメディカル(Lifecore Biomedical)、チャスカ、ミネソタ州)を0.050g秤量することによって、200ppmのヒアルロン酸を含む25mlの溶液を調製した。50mlの滅菌遠心管の壁にヒアルロン酸粉末を分離し、25mlのPBSを遠心管に添加した。ポリマーを希釈し、遠心管を揺動することによってポリマーを混合した。0.2μmの孔径のシリンジフィルターを用いて溶液を滅菌した。
【実施例3】
【0025】
[ラットの虚血性腎不全モデル]
SD系ラット(8〜10週齢、270g)を麻酔し、血液サンプルを採血した。右腎に通じる腎動脈をクランプで60分間閉鎖した後、クランプを除去することによって腎臓を再灌流した。再灌流の15分後に、左腎を手術により除去した。縫合糸及びステープルで切開を閉じ、動物を回復させた。腎摘出の15分後に、尾静脈を介して動物の体内に試験薬を徐々に注入した。試験薬は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、ネガティブコントロール)、1.5×10
6Daの高分子量ヒアルロン酸、6×10
4Daの低分子量ヒアルロン酸、及び2×10
6Daの高分子量PEOであった。1.4mlの各試験薬が6匹の動物の体内に個体ごとに注入され、本研究では計24匹のラットを対象とした。試験薬の最終血中濃度は、PEOでは3.6ppmであり、ヒアルロン酸では14.3ppmであった。
【0026】
手術の24時間後、48時間後、及び72時間後に、各動物から血液サンプルを採血した。すべての血液サンプルは、血中尿素窒素値(BUN)及び血清クレアチニン値を定量するために用いられる。ヒアルロン酸又はPEOを注入された動物は、BUN値及び血清クレアチニン値において基準値からのわずかな増加を示し、PBSを注入された動物と比較して、死亡率が低減した。ARFにおけるDRPの有益な効果が示された最初のデータである。
【0027】
右腎虚血再灌流手術の手順については、以下の(1)〜(9)のとおりである。(1)動物を麻酔する。(2)左右側腹部の毛を剃る。(3)過度の乾燥から眼を保護するために眼軟膏を塗布する。(4)ポビドンヨード溶液及び70%エタノールで手術部位を清潔にする。(5)右腎を露出させるのに十分なほど、右側腹部を2cm長に切開する。(6)60分間動脈をクランプで閉鎖する。(7)60分経過した後に、クランプを除去する。(8)切開を閉じるために、皮膚の端部を縫合するか、又はステープルで留める。(9)動物を15分間回復させた後、左腎の除去を開始する。
【0028】
左腎虚血再灌流手術の手順については、以下の(1)〜(6)のとおりである。(1)左腎を露出させるのに十分なほど、左側腹部を2cm長に切開する。(2)4−0の絹製縫合糸で腎動脈、腎静脈、及び輸尿管をそれぞれ結紮する。(3)左腎側の腎動脈、腎静脈、及び輸尿管を切除し、動物の結紮を保持する。(4)左腎を除去する。(5)切開を閉じるために、皮膚の端部を縫合するか、又はステープルで留める。(6)動物を15分間回復させた後、尾静脈を介して5ml/kgの試験物質を送出した。
【0029】
採血については、0日目、1日目、2日目、及び3日目に行い、96サンプルを採血した。
採血及び加工については、以下のとおりである。0日目、1日目、2日目、及び3日目において、生存している動物から最小で200μlの全血を採血した(n=24〜96サンプル)。全血を血清分離管に回集し、凝血させた後、血清に加工し、臨床化学試験が実行可能になるまで氷上に保管するか、又は−80℃で冷凍する。1試験ごと、かつ1サンプルごとに100μlの血清が必要である。
【0030】
臨床化学試験については、以下のとおりである。クリティカルコアプラス(Critical Care Plus)の「電解質ロータ(The Electrolyte Rotor)」を用いて臨床化学試験を実行する。このロータのパラメータは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、BUN、クロール(Cl)、クレアチニン(CRE)、グルコース(GLU)、K
+、Na
+、及び総二酸化炭素(tCO
2)を含む。4日間、すなわち0日目、1日目、2日目、及び3日目において、1日ごとに24サンプル、もしくは研究に用いた動物の生存に対応して合計で24〜96サンプルを試験した。
【0031】
終了については、臨床化学試験用の3日目の採血の3日後に研究を終了する。
残った右腎(n<24の腎臓)を回収し、室温で24時間10%ホルマリンに浸けた後、その右腎を70%エタノールに置換し、依頼人に配送されるまで室温で保存する。
【0032】
研究の終点については、以下のとおりである。手術前及び手術後における臨床化学試験用の血清は、0日目、1日目、2日目、及び3日目の4つの時点に、96未満のサンプルを得た。腎臓(n<24)を10%ホルマリン中で固定した後、臨床化学試験結果が判明するまで、この腎臓を70%エタノール中で保存する。血液化学試験がさらなる研究を必要とする場合、腎臓をパラフィンに包埋し、切片にし、HE染色及び過ヨウ素酸シッフ染色により染色する。
【0033】
本実験の結果を表1に作表するとともに、
図1及び
図2に示す。
[表1]処理群における血清クレアチニン値及びBUN値。
【0034】
【表1】
非特許文献は、それらの全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
以下、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、前記損傷を患う患者における抵抗低減ポリマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに有効な前記抵抗低減ポリマーを前記患者に投与することを含む方法。
[付記2]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリヌクレオチドである付記1に記載の方法。
[付記3]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリエチレンオキシドである付記1に記載の方法。
[付記4]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリアクリルアミドである付記1に記載の方法。
[付記5]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸である付記1に記載の方法。
[付記6]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸塩である付記1に記載の方法。
[付記7]
前記抵抗低減ポリマーは、静脈内投与される付記1に記載の方法。
[付記8]
前記抵抗低減ポリマーは、手術前に前記患者に投与される付記1に記載の方法。
[付記9]
前記抵抗低減ポリマーは、手術後に前記患者に投与される付記1に記載の方法。
[付記10]
前記抵抗低減ポリマーは、前記患者に用量を反復して投与される付記1に記載の方法。
[付記11]
前記用量は、一定の間隔をあけて前記患者に投与される付記10に記載の方法。
[付記12]
前記用量は、3日ごとに投与される付記11に記載の方法。
[付記13]
前記抵抗低減ポリマーを投与する前に、前記急性腎臓損傷の重症度に基づいて、前記抵抗低減ポリマーの目標血中濃度を設定することをさらに含む付記1に記載の方法。
[付記14]
前記抵抗低減ポリマーを投与する前に、生理学的計測に基づいて、前記抵抗低減ポリマーの目標血中濃度を設定することをさらに含む付記1に記載の方法。
[付記15]
前記生理学的計測は、前記患者のクレアアチニンレベルである付記14に記載の方法。
[付記16]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減ポリマーと緩衝液とを含む溶液。
[付記17]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリヌクレオチドである付記16に記載の溶液。
[付記18]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリエチレンオキシドである付記16に記載の溶液。
[付記19]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリアクリルアミドである付記16に記載の溶液。
[付記20]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸である付記16に記載の溶液。
[付記21]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸塩である付記16に記載の溶液。
[付記22]
前記緩衝液は、生理食塩水である付記16に記載の溶液。
[付記23]
前記緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水である付記16に記載の溶液。
[付記24]
前記緩衝液は、重炭酸緩衝生理食塩水である付記16に記載の溶液。
[付記25]
前記緩衝液は、乳酸塩である付記16に記載の溶液。
[付記26]
前記抵抗低減ポリマーの濃度は、0.1〜10,000ppmである付記16に記載の溶液。
[付記27]
抗酸化剤をさらに含む付記16に記載の溶液。
[付記28]
前記抗酸化剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT:butylated hydroxytoluene)である付記27に記載の溶液。
[付記29]
前記抗酸化剤は、ブチルヒドロキシアニソール(BHA:butylated hydroxyanisole)である付記27に記載の溶液。
[付記30]
前記抗酸化剤は、没食子酸プロピル、メチルパラベン、又はトコフェロールである付記27に記載の溶液。
[付記31]
酵素阻害剤をさらに含む付記16に記載の溶液。
[付記32]
5ml〜1lの量で充填される付記16に記載の溶液。
[付記33]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減ポリマーと抗酸化剤とを含む溶液。
[付記34]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリヌクレオチドである付記33に記載の溶液。
[付記35]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリエチレンオキシドである付記33に記載の溶液。
[付記36]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリアクリルアミドである付記33に記載の溶液。
[付記37]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸である付記33に記載の溶液。
[付記38]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸塩である付記33に記載の溶液。
[付記39]
前記抗酸化剤は、BHTである付記33に記載の溶液。
[付記40]
前記抗酸化剤は、BHAである付記33に記載の溶液。
[付記41]
前記抗酸化剤は、没食子酸プロピル、メチルパラベン、又はトコフェロールである付記33に記載の溶液。
[付記42]
急性腎臓損傷を治療するための溶液であって、抵抗低減ポリマー並びに、酵素阻害剤又は酵素遮断剤を含む溶液。
[付記43]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリヌクレオチドである付記42に記載の溶液。
[付記44]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリエチレンオキシドである付記42に記載の溶液。
[付記45]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリアクリルアミドである付記42に記載の溶液。
[付記46]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸である付記42に記載の溶液。
[付記47]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸塩である付記42に記載の溶液。
[付記48]
急性腎臓損傷を治療するための投与量の組成物であって、適切な患者集団において評価される場合に、前記組成物は、抵抗低減ポリマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに十分な前記抵抗低減ポリマーの量を含む組成物。
[付記49]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリヌクレオチドである付記48に記載の組成物。
[付記50]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリエチレンオキシドである付記48に記載の組成物。
[付記51]
前記抵抗低減ポリマーは、ポリアクリルアミドである付記48に記載の組成物。
[付記52]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸である付記48に記載の組成物。
[付記53]
前記抵抗低減ポリマーは、ヒアルロン酸塩である付記48に記載の組成物。
[付記54]
抵抗低減ポリマーと、前記抵抗低減ポリマーの安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを含むキット。
[付記55]
前記少なくとも一つの成分は、緩衝液である付記54に記載のキット。
[付記56]
前記少なくとも一つの成分は、抗酸化剤である付記54に記載のキット。
[付記57]
前記少なくとも一つの成分は、酵素阻害剤である付記54に記載のキット。
[付記58]
急性腎臓損傷を治療するのに有効な組成物であって、抵抗低減ポリマーと、前記組成物の安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを含む組成物。
[付記59]
急性腎臓損傷を治療するのに有効な組成物であって、抵抗低減特性を有するモノマーと、前記組成物の安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを含む組成物。
[付記60]
急性腎臓損傷を治療するのに有効な組成物であって、ヒアルロン酸モノマーと、前記組成物の安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを含む組成物。
[付記61]
急性腎臓損傷を治療するのに有効な組成物であって、抵抗低減特性を有するオリゴマーと、前記組成物の安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを含む組成物。
[付記62]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、抵抗低減ポリマーと、前記ポリマーの安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを患者に投与することを含む方法。
[付記63]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、抵抗低減特性を有するモノマーと、前記モノマーの安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを患者に投与することを含む方法。
[付記64]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、ヒアルロン酸モノマーと、前記ヒアルロン酸モノマーの安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを患者に投与することを含む方法。
[付記65]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、抵抗低減オリゴマーと、前記オリゴマーの安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを患者に投与することを含む方法。
[付記66]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、前記損傷を患う患者における抵抗低減特性を有するモノマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに有効な前記モノマーを前記患者に投与することを含む方法。
[付記67]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減特性を有するモノマーと緩衝液とを含む溶液。
[付記68]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減特性を有するモノマーと抗酸化剤とを含む溶液。
[付記69]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減特性を有するモノマーと酵素阻害剤とを含む溶液。
[付記70]
急性腎臓損傷を治療するための投与量の組成物であって、適切な患者集団において評価される場合に、前記組成物は、抵抗低減特性を有するモノマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに十分な前記モノマーの量を含む組成物。
[付記71]
抵抗低減特性を有するモノマーと、前記モノマーの安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを含むキット。
[付記72]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、前記損傷を患う患者におけるヒアルロン酸モノマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに有効な前記ヒアルロン酸モノマーを前記患者に投与することを含む方法。
[付記73]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、ヒアルロン酸モノマーと緩衝液とを含む溶液。
[付記74]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、ヒアルロン酸モノマーと抗酸化剤とを含む溶液。
[付記75]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、ヒアルロン酸モノマーと酵素阻害剤とを含む溶液。
[付記76]
急性腎臓損傷を治療するための投与量の組成物であって、適切な患者集団において評価される場合に、前記組成物は、ヒアルロン酸モノマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに十分な前記ヒアルロン酸モノマーの量を含む組成物。
[付記77]
ヒアルロン酸モノマーと、前記ヒアルロン酸モノマーの安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを含むキット。
[付記78]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、前記損傷を患う患者における抵抗低減オリゴマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに有効な前記オリゴマーを前記患者に投与することを含む方法。
[付記79]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減オリゴマーと緩衝液とを含む溶液。
[付記80]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減オリゴマーと抗酸化剤とを含む溶液。
[付記81]
急性腎臓損傷を治療するために用いられる溶液であって、抵抗低減オリゴマーと酵素阻害剤とを含む溶液。
[付記82]
急性腎臓損傷を治療するための投与量の組成物であって、適切な患者集団において評価される場合に、前記組成物は、抵抗低減オリゴマーの血中濃度を1〜100ppmにするのに十分な前記オリゴマーの量を含む組成物。
[付記83]
抵抗低減オリゴマーと、前記オリゴマーの安定性、有効性、又は投与可能性の少なくとも一つを向上させる少なくとも一つの成分とを含むキット。
[付記84]
急性腎臓損傷を治療するための方法であって、前記損傷を患う患者における抵抗低減ポリマーの血中濃度を同じ圧力で1%まで血流量を増加させるようにするのに有効な前記抵抗低減ポリマーを前記患者に投与することを含む方法。