特許第6131259号(P6131259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社の特許一覧 ▶ テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6131259バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化
<>
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000002
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000003
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000004
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000005
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000006
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000007
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000008
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000009
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000010
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000011
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000012
  • 特許6131259-バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131259
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20170508BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-535939(P2014-535939)
(86)(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公表番号】特表2014-528692(P2014-528692A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】US2012060023
(87)【国際公開番号】WO2013056093
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年10月7日
(31)【優先権主張番号】13/644,664
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/546,408
(32)【優先日】2011年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/546,713
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】チングオ リウ
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−257683(JP,A)
【文献】 特開2007−294322(JP,A)
【文献】 特開2002−369400(JP,A)
【文献】 特開2012−034446(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0029987(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12,7/34−7/36
H01M 10/42−10/48
B60J 1/00−3/12,7/00−13/00,15/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LC共振回路であって、エネルギー転送インダクタと、キャパシタと、前記インダクタを前記キャパシタに共振器回路として選択的に接続するように構成される共振器スイッチとを含む、前記LC共振回路と、
直列に接続された4以上の電源のそれぞれに前記インダクタを選択的に結合するように構成される複数のスイッチと、
選択された第1の電源から選択された第2の電源へエネルギーを転送するように前記複数のスイッチと前記共振器スイッチとを選択的に切り換えるように構成されるコントローラと、
を含む装置であって、
前記エネルギーの転送が、
前記第1の電源と前記インダクタとの間に第1の電流経路を形成して前記第1の電源から前記インダクタへエネルギーを転送するように前記選択された第1の電源が前記インダクタに接続される放電サイクルと、
選択的に続く、第1の充電サイクル又は第2の充電サイクルの何れか一方と、
に基づいており、
前記第の充電サイクルにおいて、前記インダクタと前記第2の電源との間に第2の電流経路を形成して前記インダクタから前記第2の電源にエネルギーを転送するように前記インダクタが前記第2の電源に接続され、
前記第2の充電サイクルにおいて、前記インダクタを介する電流フローの方向を反転させるために前記インダクタと前記キャパシタとを前記共振器回路として選択的に構成するように前記共振器スイッチが閉じられ、その後、前記インダクタと前記第2の電源との間に第3の電流経路を形成して前記インダクタから前記第2の電源にエネルギーを転送するように前記インダクタが前記第2の電源に接続される、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記直列接続された電源の数がnであり、前記複数のスイッチの数がn+1であり、
前記インダクタの第1の端子が奇数のスイッチに接続され、前記インダクタの第2の端子が偶数のスイッチに接続される、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の電源から前記第2の電源へエネルギーを転送するために、前記コントローラが、
前記第1の電源から前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第1のペアを閉じ、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開き、
前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第2のペアを閉じる、
ように構成される、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の電源から前記第2の電源へ前記エネルギーを転送するために、前記コントローラが、
前記第1の電源から前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第1のペアを閉じ、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開き、
前記共振器回路を構成するように、及び、前記インダクタを介する電流フローの方向を反転させるように、前記共振器スイッチを閉じ、
前記共振器スイッチを開き、
前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第2のペアを閉じる、
ように構成される、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記電源の第1のグループと前記電源の第2のグループとの間で前記エネルギーを転送するために、前記コントローラが、
前記電源の第1のグループから前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第1のペアを閉じ、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開き、
前記インダクタから前記電源の第2のグループへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第2のペアを閉じる、
ように構成される、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記インダクタが第1のインダクタを含み、
前記LC共振回路が、前記第1のインダクタと並列に結合される第2のインダクタを更に含む、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記第1のインダクタが感知レジスタと直列に結合され、
前記キャパシタと前記共振器スイッチとが、前記第2のインダクタと直列に結合され、
前記キャパシタと前記共振器スイッチと前記第2のインダクタとが、前記第1のインダクタと前記感知レジスタとに並列に結合される、装置。
【請求項8】
選択的に構成可能なLC共振器内に含まれるエネルギー転送インダクタを用いて、直列に接続される4以上の電源の間でエネルキーを転送する方法であって、前記LC共振器が、キャパシタと、前記インダクタを前記キャパシタに選択的に接続するように構成される共振器スイッチとを含み、前記方法が、
選択された第1の電源から選択された第2の電源へエネルギーを転送することを含み、
前記転送することが、
前記第1の電源と前記インダクタとの間に第1の電流経路を形成して前記第1の電源から前記インダクタへエネルギーを転送するように前記選択された第1の電源を前記インダクタに接続することにより達成される放電サイクルと、
選択的に続く、第1の充電サイクル又は第2の充電サイクルの何れか一方と、
に基づいており、
前記第1の充電サイクルが、前記インダクタと前記第2の電源との間に第2の電流経路を形成して前記インダクタから前記第2の電源へエネルギーを転送するように前記インダクタを前記第2の電源に接続することにより達成され、
前記第2の充電サイクルが、
前記インダクタを介する電流フローの方向を反転させるために、前記インダクタと前記キャパシタとを共振器回路として選択的に構成するように前記共振器スイッチを閉じることと、その後
前記インダクタと前記第2の電源との間に第3の電流経路を形成して前記インダクタから前記第2の電源へエネルギーを転送するように前記インダクタを前記第2の電源に接続することと、
により達成される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記第1の電源から前記インダクタへエネルギーを転送することが、複数のスイッチの第1のペアを使用することを含み、
前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送することが、前記複数のスイッチの第2のペアを使用することを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記第1の電源から前記インダクタへ前記エネルギーを転送することと、前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送することとが、
前記第1の電源から前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第1のペアを閉じることと、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開くことと、
前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの前記第2のペアを閉じることと、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、
前記第1の電源から前記インダクタへ前記エネルギーを転送することと、前記インダクタと前記キャパシタとを前記共振器回路として選択的に構成することと、前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送することとが、
前記第1の電源から前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの前記第1のペアを閉じることと、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開くことと、
前記インダクタと前記キャパシタとを前記共振器回路として構成し、前記インダクタを介する前記電流フローの方向を反転させるように、前記共振器スイッチを閉じることと、
前記共振器スイッチを開くことと、
前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの前記第2のペアを閉じることと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項に記載の方法であって、
電源の第1のグループから電源の第2のグループとの間でエネルギーが転送されることが、
前記電源の第1のグループから前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第1のペアを閉じることと、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開くことと、
前記インダクタから前記電源の第2のグループへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第2のペアを閉じることと、
によりなされる、方法。
【請求項13】
直列に接続された4以上の電源と、
アクティブ均衡化回路と、
を含むシステムであって、
前記アクティブ均衡化回路が、
LC共振回路であって、エネルギー転送インダクタと、キャパシタと、前記インダクタを前記キャパシタに共振器回路として選択的に接続するように構成される共振器スイッチとを含む、前記LC共振回路と、
前記インダクタを前記電源のそれぞれに選択的に結合するように構成される複数のスイッチと、
選択された第1の電源から選択された第2の電源へエネルギーを転送するように前記複数のスイッチと前記共振器スイッチとを選択的に切り換えるように構成されるコントローラと、
を含み、
前記エネルギーの転送が、
前記第1の電源と前記インダクタとの間に第1の電流経路を形成して前記第1の電源から前記インダクタにエネルギーを転送するように前記選択された第1の電源が前記インダクタに接続される放電サイクルと、
選択的に続く、第1の充電サイクル又は第2の充電サイクルの何れか一方と、
に基づいており、
前記第1の充電サイクルにおいて、前記インダクタと前記第2の電源との間に第2の電流経路を形成して前記インダクタから前記第2の電源へエネルギーを転送するように前記インダクタが前記第2の電源に接続され、
前記第2の充電サイクルにおいて、
前記インダクタを介する電流フローの方向を反転させるために、前記共振器スイッチが、前記インダクタと前記キャパシタとを前記共振器回路として選択的に構成するように閉じられ、その後、
前記インダクタと前記第2の電源との間に第3の電流経路を形成して前記インダクタから前記第2の電源へエネルギーを転送するように前記インダクタが前記第2の電源に接続される、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記直列に接続された電源の数がnであり、前記複数のスイッチの数がn+1であり、
前記インダクタの第1の端子が奇数のスイッチに接続され、前記インダクタの第2の端子が偶数のスイッチに接続される、システム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、
前記第1の電源から前記第2の電源へエネルギーを転送するために、前記コントローラが、
前記第1の電源から前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第1のペアを閉じ、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開き、
前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第2のペアを閉じる、
ように構成される、システム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムであって、
前記第1の電源から前記第2の電源へ前記エネルギーを転送するために、前記コントローラが、
前記第1の電源から前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第1のペアを閉じ、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開き、
前記インダクタと前記キャパシタとを前記共振器回路として構成し、前記インダクタを介する前記電流フローの方向を反転させるように、前記共振器スイッチを閉じ、
前記共振器スイッチを開き、
前記インダクタから前記第2の電源へ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第2のペアを閉じる、
ように構成される、システム。
【請求項17】
請求項13に記載のシステムであって、
前記電源の第1のグループと前記電源の第2のグループとの間で前記エネルギーを転送するために、前記コントローラが、
前記電源の前記第1のグループから前記インダクタへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第1のペアを閉じ、
前記複数のスイッチの前記第1のペアを開き、
前記インダクタから前記電源の前記第2のグループへ前記エネルギーを転送するように前記複数のスイッチの第2のペアを閉じる、
ように構成される、システム。
【請求項18】
請求項13に記載のシステムであって、
前記インダクタが第1のインダクタを含み、
前記LC共振回路が、感知レジスタと第2のインダクタとを更に含み、
前記第1のインダクタが前記感知レジスタと直列に結合され、
前記キャパシタと前記共振器スイッチとが、前記第2のインダクタと直列に結合され、
前記キャパシタと前記共振器スイッチと前記第2のインダクタとが、前記第1のインダクタと前記感知レジスタとに並列に結合される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に電源の均衡化システムを対象とし、より具体的には、バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化を対象とする。
【背景技術】
【0002】
最近のバッテリはしばしば、直列に接続された複数のバッテリセルを含み、複数のバッテリはバッテリモジュールを形成するために直列に接続され得る。残念なことに、バッテリ内の各個別のバッテリセル又はバッテリモジュール内の各バッテリによって提供される実際の出力電圧は、わずかに異なる場合がある。これは、製造のばらつき、温度変化、或いは他の内部又は外部要素などの、多くの要素によって生じる可能性がある。これは、バッテリセル又はバッテリの充電及び放電中に問題を生じさせる可能性がある。いくつかのシステムにおいて、電圧検出回路を用いて各バッテリセル又はバッテリの出力電圧を判定することが可能であり、電圧均衡化システムを用いて出力電圧における変化を補償することが可能である。
【0003】
各バッテリセルが3.8Vの出力電圧を提供するように設計された、直列に接続されたバッテリセルについて考えてみる。電圧検出回路は、バッテリセルのうちの1つが実際には3.9Vの出力電圧を有するものと判定し得る。従来のパッシブ電圧均衡化システムは、典型的に、過剰出力電圧を有するバッテリセル又はバッテリからの電気エネルギーを消散するレジスタを含む。この例では、電気エネルギーの消散によって、3.9Vの出力電圧が所望の3.8Vレベルにまで落とされる。しかしながら、電気エネルギーはレジスタを用いて消散されるため、その結果、バッテリセルからかなりのエネルギーが失われる可能性があり、これによってバッテリの稼働寿命が短くなる。
【発明の概要】
【0004】
バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化のための方法及び装置が開示される。
【0005】
第1の実施形態において、装置が、LC共振回路と、直列に接続された異なる電源をLC共振回路に選択的に結合するように構成された複数のスイッチとを含む。LC共振回路は、インダクタ、キャパシタ、及び追加のスイッチを含む。インダクタは、電源の2つ又はそれ以上の間で伝達されることになるエネルギーを蓄積するように構成される。追加のスイッチは、インダクタを介する電流フローの方向を反転させるために、インダクタとキャパシタとの間に共振を選択的につくるように構成される。
【0006】
第2の実施形態において、或る方法が、少なくとも1つの第1の電源からインダクタへエネルギーを伝達することを含む。この方法は、インダクタを介する電流フローの方向を反転させるために、インダクタとキャパシタとの間に共振を選択的につくることをさらに含む。この方法は、インダクタから少なくとも1つの第2の電源へエネルギーを伝達することをさらに含む。少なくとも1つの第1の電源及び少なくとも1つの第2の電源は、直列に接続される。
【0007】
第3の実施形態において、システムが、直列に接続された複数の電源とアクティブ均衡化回路とを含む。アクティブ均衡化回路は、LC共振回路と、電源のうちの異なる電源をLC共振回路に選択的に結合するように構成された複数のスイッチとを含む。LC共振回路は、インダクタ、キャパシタ、及び追加のスイッチを含む。インダクタは、電源の2つ又はそれ以上の間で伝達されることになるエネルギーを蓄積するように構成される。追加のスイッチは、インダクタを介する電流フローの方向を反転させるために、インダクタとキャパシタとの間に共振を選択的につくるように構成される。
【0008】
例示の実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に従った、バッテリ及び他の電源に対する例示のインダクタベースのアクティブ均衡化システムを示す。
【0010】
図2A】本開示に従った、奇数から偶数及び偶数から奇数への電力伝達の間の図1のシステムの例示の動作を示す。
図2B】本開示に従った、奇数から偶数及び偶数から奇数への電力伝達の間の図1のシステムの例示の動作を示す。
【0011】
図3A】本開示に従った、奇数から奇数及び偶数から偶数への電力伝達の間の図1のシステムの例示の動作を示す。
図3B】本開示に従った、奇数から奇数及び偶数から偶数への電力伝達の間の図1のシステムの例示の動作を示す。
図3C】本開示に従った、奇数から奇数及び偶数から偶数への電力伝達の間の図1のシステムの例示の動作を示す。
図3D】本開示に従った、奇数から奇数及び偶数から偶数への電力伝達の間の図1のシステムの例示の動作を示す。
【0012】
図4A】本開示に従った、複数の放電された電源及び複数の充電された電源を含む電力伝達の間の図1のシステムの例示の動作を示す。
図4B】本開示に従った、複数の放電された電源及び複数の充電された電源を含む電力伝達の間の図1のシステムの例示の動作を示す。
【0013】
図5】本開示に従った、電力伝達の間の図1のシステムにおけるシミュレートされた動作に関連付けられた例示のタイミング図を示す。
図6】本開示に従った、電力伝達の間の図1のシステムにおけるシミュレートされた動作に関連付けられた例示のタイミング図を示す。
【0014】
図7】本開示に従った、バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化のための例示の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本開示に従った、バッテリ及び他の電源に対する例示のインダクタベースのアクティブ均衡化システム100を示す。
【0016】
図1に示されるように、システム100は、直列に接続された複数の電源102a〜102gを含むか又はこれらに結合される。各電源102a〜102gは、単一のバッテリセルなどの任意の適切な電源を表す。特定の実施形態において、各電源102a〜102gは、3.2Vの公称電圧を有する単一のバッテリセルを表す。しかしながら、各電源102a〜102gは、複数のバッテリセル、バッテリモジュール、複数のバッテリモジュール、又はバッテリセルの他の集合を表すことも可能である。超キャパシタ、燃料電池、及び太陽電池などの、任意の他のタイプの電源も用いられ得る。任意数の電源がここで用いられ得ることにも留意されたい。
【0017】
複数のスイッチ104a〜104hが電源102a〜102gに結合される。スイッチ104a〜104hは、インダクタキャパシタ(LC)共振回路106内のインダクタを介して、選択された電源102a〜102gの間でエネルギーを伝達するために開閉される。スイッチ104a〜104hは、トランジスタなどの任意の適切なスイッチングデバイスを表す。特定の実施形態において、スイッチ104a〜104hのそれぞれは、MOSFETボディダイオードによる2つの近接するセルの短絡回路を防止するための2つの背面接続のMOSFETトランジスタを表す。ボディダイオードを備えていない任意の単一スイッチデバイスをここで用いることもできる。
【0018】
LC共振回路106は、選択された電源102a〜102g間でエネルギーを伝達する。この例において、LC共振回路106は、第1のインダクタ108、第2のインダクタ110、及びキャパシタ112を含む。図1で見られるように、インダクタ108の一端がスイッチ104a〜104hの第1のサブセットに接続され、インダクタ108の他端がスイッチ104a〜104hの第2のサブセットに接続される。
【0019】
各インダクタ108〜110は、任意の適切なインダクタンスを有する任意の適切な誘導性構造を含む。インダクタ110のインダクタンスは、インダクタ108のインダクタンスよりも低く(場合によってはかなり低く)し得る。特定の実施形態において、インダクタ108は33μHのインダクタンスを有し得、インダクタ110は1μHのインダクタンスを有し得る。キャパシタ112は、任意の適切なキャパシタンスを有する任意の適切な容量性構造を含む。特定の実施形態において、キャパシタ112は1μFのキャパシタンスを有し得る。
【0020】
スイッチ114が、インダクタ110及びキャパシタ112と直列に結合される。スイッチ114は、インダクタ110及びキャパシタ112を介する電流経路を選択的につくるために用いられ、それによって回路106内のLC共振を選択的に制御する。スイッチ114は、少なくとも1つの双方向トランジスタなどの任意の適切なスイッチングデバイスを表す。特定の実施形態において、スイッチ114は2つの背面接続のMOSFETトランジスタを表す。
【0021】
感知レジスタ116が、インダクタ108と直列に、さらに増幅器118に結合される。インダクタ108及び感知レジスタ116はさらに、インダクタ110、キャパシタ112、及びスイッチ114に並列に結合される。感知レジスタ116の電圧は、インダクタ108を介する電流に応じて変化する。感知レジスタ116は、任意の適切な抵抗(通常は非常に小さな抵抗)を有する任意の適切な抵抗性構造を含む。特定の実施形態において、感知レジスタ116は0.1Ωの抵抗を有し得る。増幅器118は、テキサスインスツルメンツから入手可能なLMP8601増幅器、又は他の高コモンモード電圧精度電流感知増幅器などの、感知レジスタの信号を増幅するための任意の適切な構造を含む。
【0022】
コントローラ120が、システム100の全体的な動作を制御する。たとえば、コントローラ120は、増幅器118から信号を受信することができる。コントローラ120は、電源102a〜102gの充電及び放電を制御するために、スイッチ104a〜104h、114の動作を制御することも可能である。コントローラ120は、電源の充電及び放電を制御するための任意の適切な構造を含む。たとえば、コントローラ120は、様々なスイッチのための制御信号を生成するパルス幅変調(PWM)コントローラを含むことが可能であり、制御信号はPWMを用いて制御される可変デューティサイクルを有する。
【0023】
以下でより詳細に説明するように、インダクタ108を介して電源102a〜102gの1つ又は複数から電源102a〜102gの他の1つ又は複数へとエネルギーが伝達され得る。たとえば、エネルギーは、電源102a〜102gの1つ又は複数から放電され得、インダクタ108に蓄積され得、そのエネルギーはその後、電源102a〜102gの他の1つ又は複数へと伝達され得る。必要であれば、インダクタ108を介する電流フローの方向は、インダクタ108〜110とキャパシタ112との間につくられる共振を用いて反転可能であり、任意の電源間でエネルギーを伝達することができる。
【0024】
このようにして、システム100は、新規かつ堅固なアクティブ均衡化アーキテクチャを提供する。エネルギーの直接的均衡化は、エネルギーバッファ(変圧器など)を必要とせず、電源間で成され得る。これが、最大で85%など又はそれ以上の効率の、より高い均衡化効率につながる。また、このアクティブ均衡化手法は、チャネル(電源)あたり1つのスイッチペア及び電源の集合あたり1つのより大型のインダクタ(インダクタ108)を用いるため、極端に低コストのソリューションを表す。また、システム100は、多様な複数供給充電/放電アルゴリズムをサポート可能であるという点で、システムレベルアルゴリズムにさらなる柔軟性を与える。
【0025】
図1のシステム100において、奇数と偶数の電源102a〜102gを区別することが可能である。ここで「奇数」及び「偶数」は、順次番号付けされた場合に電源に割り当てられる番号を指す。この例では、電源102a、102c、102e、及び102gは「奇数」電源を表し得、電源102b、102d、及び102fは「偶数」電源を表し得る。幾つかのエネルギー伝達がキャパシタ112の使用に関与し、他のエネルギー伝達は関与しないことから、この区別が用いられる。特に、奇数付された電源から奇数付された電源への電力伝達(「奇数から奇数」の伝達)、及び、偶数付けされた電源から偶数付けされた電源への電力伝達(「偶数から偶数」の伝達)は、キャパシタ112に関与する。奇数付された電源から偶数付けされた電源への電力伝達(「奇数から偶数」の伝達)、及び、偶数付けされた電源から奇数付された電源への電力伝達(「偶数から奇数」の伝達)は、キャパシタ112に関与しない。
【0026】
図1は、バッテリ及び他の電源のためのインダクタベースのアクティブ均衡化システム100の一例を示すが、図1には様々な変更が可能である。たとえば、システム100において、任意の適切な数、タイプ、又は配置構成の電源を用いることができる。また、図1の様々な構成要素は、インダクタ110の他方の側にスイッチ114を配置することなどによって、所望の通りに再配置することができる。さらに、特定のニーズに従って、システム100に追加の構成要素を付加することができる。たとえば、1nF又は他のキャパシタを、奇数番号付けされたスイッチを接合する線と接地との間に結合することが可能であり、300pF又は他のキャパシタを、偶数番号付けされたスイッチを接合する線と接地との間に結合することが可能である。また、特定の回路構成要素が示されているが、同じ又は同様の機能を実行するために他の回路構成要素を用いることも可能である。
【0027】
図2A及び図2Bは、本開示に従った、奇数から偶数及び偶数から奇数の電力伝達の間の図1のシステム100の例示の動作を示す。この特定の例において、電源102aから電源102dへと電力伝達が成されており、奇数から偶数への伝達となる。同様の動作は偶数から奇数への伝達の間にも成され得る。ここでスイッチ104a〜104hの開閉は、コントローラ120によって制御される。
【0028】
図2Aに示されるように、電源102aから外へエネルギーを伝達するために、2つのスイッチ104a〜104bが閉じられ、残りのスイッチ104c〜104hが開かれる。これにより、電源102aを介する電流経路202がつくられる。また、キャパシタ112を電流経路202から切断するために、スイッチ114は開かれる。これによって電流は接続された電源102aからインダクタ108へと流れ、インダクタ108を充電する。
【0029】
図2Bに示されるように、インダクタ108から電源102dへエネルギーを伝達するために、2つのスイッチ104d〜104eが閉じられ、残りのスイッチ104a〜104c、104f〜104hが開かれる。これにより、電源102dを介する電流経路204がつくられる。スイッチ114は開かれたままである。これによって電流はインダクタ108から接続された電源102dへと流れ、電源102dを充電する。ここで、インダクタ108を介する電流は、図2A及び図2Bで同じ方向に流れることに留意されたい。
【0030】
図3A図3Dは、本開示に従った、奇数から奇数及び偶数から偶数への電力伝達の間の図1のシステム100の例示の動作を示す。この特定の例において、電源102aから電源102cへと電力伝達が成されており、奇数から奇数への伝達となる。同様の動作は偶数から偶数への伝達の間にも成され得る。ここでスイッチ104a〜104hの開閉は、コントローラ120によって制御される。
【0031】
図3Aに示されるように、電源102aから外へエネルギーを伝達するために、2つのスイッチ104a〜104bが閉じられ、残りのスイッチ104c〜104hが開かれる。これにより、電源102aを介する電流経路302がつくられる。また、キャパシタ112を電流経路302から切断するために、スイッチ114が開かれる。これによって電流は接続された電源102aからインダクタ108へと流れ、インダクタ108を充電する。
【0032】
図3Bに示されるように、スイッチ104a〜104hのすべてが開かれ、スイッチ114は閉じられる。これによって電流は、電流フロー304の一部としてインダクタ108からキャパシタ112へと流れる。この電流フロー304は、インダクタ108に蓄積されたエネルギーの少なくとも一部をキャパシタ112に伝達する。
【0033】
図3Cに示されるように、スイッチ104a〜104hのすべては開かれたままであり、スイッチ114は閉じられたままである。これによって電流は、電流フロー306の一部として共振の間キャパシタ112からインダクタ108へと流れる。共振サイクル時間の半分の後、図3B及び図3Cにおける共振の組み合わされた効果は、インダクタ108を介する電流フローの方向を反転させることである。
【0034】
図3Dに示されるように、インダクタ108から電源102cへエネルギーを伝達するために、2つのスイッチ104c〜104dが閉じられ、残りのスイッチ104a〜104b、104e〜104hが開かれる。これにより、電源102cを介する電流経路308がつくられる。さらに、スイッチ114が開かれる。これによって電流はインダクタ108から接続された電源102cへと流れ、その電源102cを充電する。しかしながら、電流はインダクタ108を通って図3Aとは反対の方向に流れる。
【0035】
図2A図3Dは単一の電源から単一の電源へのエネルギーの伝達を扱っているが、複数の電源からの放電及び/又は複数の電源の充電に関与する伝達も実行可能であることに留意されたい。
【0036】
図4A及び図4Bは、本開示に従った、複数の放電された電源及び複数の充電された電源に関与する電力伝達の間の図1のシステム100の例示の動作を示す。この特定の例において、電源102a〜102cから電源102d〜102fへと電力が伝達される。ここでスイッチ104a〜104hの開閉は、コントローラ120によって制御される。
【0037】
図4Aに示されるように、電源102a〜102cから外へエネルギーを伝達するために、スイッチ104a、104dが閉じられ、残りのスイッチ104b〜104c、104e〜104hが開かれる。これにより、電源102a〜102cを介する電流経路402がつくられる。また、キャパシタ112を電流経路402から切断するために、スイッチ114が開かれる。これによって電流は接続された電源102a〜102cからインダクタ108へと流れ、インダクタ108を充電する。
【0038】
図4Bに示されるように、インダクタ108から電源102d〜102fへエネルギーを伝達するために、スイッチ104d及び104gが閉じられ、残りのスイッチ104a〜104c、104e〜104f、104hが開かれる。これにより、電源102d〜102fを介する電流経路404がつくられる。また、スイッチ114は開かれたままである。これによって電流はインダクタ108から接続された電源102d〜102fへと流れ、それらの電源102d〜102fを充電する。
【0039】
図2A図4Bは、異なる電力伝達の間の図1のシステム100の動作の例を示すが、図2Aから図4Bには様々な変更が可能である。たとえば、これらの図は、特定の電源間の伝達を示す。明らかに、他の電源又は電源の集合間の伝達も成され得る。また、電源間で電力を伝達するために、これらの動作の異なる組み合わせも可能である。たとえば、電力は、単一の電源から複数の電源へ、又は複数の電源から単一の電源へ(キャパシタ112を用いて、又は用いずに)伝達され得る。加えて、ここに示される実装において、(偶数の電源周辺のスイッチを閉じることで、それらの供給を短絡させることになるため)奇数の電源からインダクタ108への電力の伝達が可能であり、インダクタ108から奇数の電源への電力の伝達が可能であることに留意されたい。しかしながら、偶数の電源へ、又は偶数の電源からの電力伝達を可能にするために、追加のスイッチを用いることが可能であるが、これは多数のスイッチの使用に関与する。
【0040】
図5及び図6は、本開示に従った電力伝達の間の図1のシステムにおけるシミュレートされた動作に関連付けられる例示のタイミング図を示す。図5では、タイミング図500は、奇数から偶数又は偶数から奇数の電力伝達に関連付けられている。図6では、タイミング図600は、奇数から奇数又は偶数から偶数の電力伝達に関連付けられている。これらのシミュレーションはヒステリシス制御に基づいており、インダクタ電流は直接的に感知される。
【0041】
図5に示されるように、ライン502はスイッチ114に提供される制御信号を表す。この制御信号は周期的に高パルスを発するが、インダクタ108〜110とキャパシタ112との間に共振をつくらない。ライン504は、放電されることになる少なくとも1つの電源に関連付けられたスイッチに提供される制御信号を表す。ライン506は、充電されることになる少なくとも1つの電源に関連付けられたスイッチに提供される制御信号を表す。ここでわかるように、ライン504はおおよそライン506が低になるとき高になり、ライン504はおおよそライン506が高になるときに低になる。
【0042】
ライン508は、インダクタ108を介する電流を表す。ライン510〜512は、それぞれ、少なくとも1つの放電電源及び少なくとも1つの充電電源を介する電流を表す。ここでわかるように、エネルギーをインダクタ108内に伝達するためにライン504は高になり、且つ、ライン506は低になり、エネルギーをインダクタ108の外に伝達するためにライン504は低になり、且つ、ライン506は高になる。この少なくとも1つの放電電源がインダクタ108にエネルギーを伝達している時間の間、インダクタ108を介する電流は増加する。この少なくとも1つの充電電源がインダクタ108からエネルギーを受け取っている時間の間、インダクタ108を介する電流は減少する。
【0043】
図6に示されるように、ライン602はスイッチ114に提供される制御信号を表す。ライン604は、放電されることになる少なくとも1つの電源に関連付けられたスイッチに提供される制御信号を表す。ライン606は、充電されることになる少なくとも1つの電源に関連付けられたスイッチに提供される制御信号を表す。ライン608は、インダクタ108を介する電流を表し、ライン610〜612は、それぞれ、少なくとも1つの放電電源及び少なくとも1つの充電電源を介する電流を表す。また、ライン614は感知レジスタ116の電圧を表す。
【0044】
ここでわかるように、低になるライン604(インダクタ108の充電が終わるとき)と高になるライン606(インダクタ108の放電が始まるとき)との間、ライン602は高になる。この期間中、インダクタ108を介する電流フローの方向は、インダクタ108〜110とキャパシタ112との間につくられる共振を用いて反転される。
【0045】
図5及び図6は、電力伝達の間の図1のシステム100においてシミュレートされた動作に関連付けられたタイミング図の例を示すが、図5及び図6には様々な変更が可能である。たとえば、これらのタイミング図は例示のみを目的としており、ここで示される波形は所与の回路の特定の実装に応じて変化し得る。特定の例として、ここで信号内に示される様々なパルス幅及びパルス高さは変化し得る。
【0046】
図7は、本開示に従った、バッテリ及び他の電源に対するインダクタベースのアクティブ均衡化のための例示の方法700を示す。図7に示されるように、ステップ702で、充電されることになる少なくとも1つの電源が識別され、ステップ704で、放電されることになる少なくとも1つの電源が識別される。これは、たとえば、コントローラ120が、最高出力電圧を有する1つ又は複数の電源102a〜102gを識別し、最低出力電圧を有する1つ又は複数の電源102a〜102gを識別することを含み得る。
【0047】
ステップ706で、放電されている少なくとも1つの電源に関連付けられたスイッチが閉じられる。これは、たとえば、コントローラ120が、最高出力電圧を有する1つ又は複数の電源102a〜102g周辺のスイッチのペアを閉じることを含み得る。ステップ708で、放電されている少なくとも1つの電源からインダクタへエネルギーが伝達される。これは、たとえば、最高出力電圧を有する1つ又は複数の電源102a〜102gが、そのエネルギーの少なくとも一部をインダクタ108に伝達することを含み得る。ステップ710で、放電されている少なくとも1つの電源に関連付けられたスイッチが開かれる。これにより、インダクタ108へのエネルギーの伝達が停止される。
【0048】
ステップ712で、インダクタを介する電流経路を反転させる必要があるかどうかが判定される。これは、たとえば、コントローラ120が、電力伝達が奇数から奇数又は偶数から偶数への伝達に関与するかどうかを判定することを含み得る。関与する場合、ステップ714で、インダクタを用いて共振をつくるために制御スイッチが閉じられる。これは、たとえば、コントローラ120が、インダクタ108〜110とキャパシタ112との間に共振をつくるためにスイッチ114を閉じることを含み得る。これにより、ステップ716で、インダクタを介する電流フローの方向が反転される。これは、たとえば、エネルギーの少なくとも一部をインダクタ108からキャパシタ112へ伝達し、その後インダクタ108に戻すことを含み得る。ステップ718で制御スイッチが開かれる。
【0049】
ステップ720で、充電されている少なくとも1つの電源に関連付けられたスイッチが閉じられる。これは、たとえば、コントローラ120が、最低出力電圧を有する1つ又は複数の電源102a〜102g周辺のスイッチのペアを閉じることを含み得る。ステップ722で、インダクタから充電されている少なくとも1つの電源へエネルギーが伝達される。これは、たとえば、インダクタ108が、その蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を、最低出力電圧を有する1つ又は複数の電源102a〜102gに伝達することを含み得る。ステップ724で、充電されている少なくとも1つの電源に関連付けられたスイッチが開かれる。これにより、インダクタ108からのエネルギーの伝達が停止される。
【0050】
このようにして、方法700は、エネルギーバッファを必要とせずに電源間のエネルギーの直接的均衡化をサポートし、均衡化効率をさらに高め得る。また、この手法は、従来の均衡化手法に比べて実装を必要とする構成要素がより少なく、充電及び放電されることになる電源を選択するために多種多様なアルゴリズムを用いることができる。
【0051】
図7は、バッテリ及び他の電源のためのインダクタベースのアクティブ均衡化のための方法700の一例を示すが、図7には様々な変更が可能である。たとえば、図7の様々なステップは、一連のステップとして示されているが、重複し得、並行して成され得、異なる順序で成され得、又は複数回成され得る。特定の例として、方法700は、すべての電源が実質的に等しい出力電圧を有するまで、異なる組み合わせの電源に対して繰り返し成され得る。
【0052】
前述のシステム100は、電源のアクティブ均衡化が必要であるか又は望ましい、任意のタイプのシステムにおいて用いられ得ることに留意されたい。たとえば、システム100は、リチウムイオンバッテリ又は他のタイプのバッテリを均衡化するためなどに、電気自動車又はハイブリッド電気自動車内の電源と共に用いられ得る。複数の電源を用いる任意の他のデバイス又はシステムも、システム100を含むことができる。上記で与えられた任意の特定の値(インダクタンス、キャパシタンス、抵抗性、及び効率など)は、厳密値又は概略値を表し得、回路の特定の実装に関係することにも留意されたい。
【0053】
本願に関係する当業者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例に対する改変が成され得ること、及び多くの他の実施形態が可能であることを理解されよう。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7