特許第6131282号(P6131282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131282
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】車両用トレー装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20170508BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B60N3/00 A
   B60R7/06 Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-41545(P2015-41545)
(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-159808(P2016-159808A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂口 光明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩康
(72)【発明者】
【氏名】森 勇気
(72)【発明者】
【氏名】平馬 拓
(72)【発明者】
【氏名】服部 健司
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−324668(JP,A)
【文献】 特開平11−268589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に配置される車両用トレー装置であって、
車室内に配置される車体部材の内部に設けられた収納部と、
前記収納部に収納可能、かつ、前記収納部から車室内に引出可能なトレー本体と、
前記収納部に設置され、前記収納部と前記トレー本体との間の隙間を閉塞する閉塞部材と、
を備え
前記閉塞部材は、前記収納部に揺動自在に支持される基部と、前記基部の下端に連続して前記トレー本体に圧接する圧接部と、を有しており、
前記圧接部は、前記基部よりも前記トレー本体の引出方向に設けられることを特徴とする車両用トレー装置。
【請求項2】
前記閉塞部材を前記トレー本体へ向けて付勢する弾性部材を備えており、
前記閉塞部材は、前記弾性部材の付勢力により前記トレー本体に圧接していることを特徴とする請求項1に記載の車両用トレー装置。
【請求項3】
前記トレー本体は、前記収納部に収納された状態において、車両後方へ向かうにつれて上方に位置するように湾曲していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用トレー装置。
【請求項4】
前記収納部は、ケースを含んで構成されており、
前記ケースは、車幅方向に相互に対向する一対の第1側壁と、一対の前記第1側壁に形成される第1ガイドとを有しており、
前記トレー本体は、一対の前記第1側壁に対して車幅方向に対向する一対の第2側壁と、一対の前記第2側壁に形成され前記第1ガイドに摺動可能に係合する第2ガイドとを有しており、
前記第2ガイドの車室側には、前記第1ガイドの車室側の端部に当接するストッパリブが形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両用トレー装置。
【請求項5】
前記第2ガイドには、上下に対向する一対の当接リブが形成されており、
一対の前記当接リブは、前記第1ガイドに上下から当接することを特徴とする請求項4に記載の車両用トレー装置。
【請求項6】
前記ケースは、一対の前記第1側壁の車室側を連結する連結壁を有しており、
一対の前記第2側壁の上面には、前記連結壁に下方から当接する突条リブが形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の車両用トレー装置。
【請求項7】
前記第2ガイドには、当該第2ガイドの他の部位よりも深く切り欠かれた誘導段差溝が形成されており、
前記誘導段差溝は、前記第2ガイドの延在方向と直交する方向に延設されていることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の車両用トレー装置。
【請求項8】
一対の前記第1側壁の相互に対向する内側面には、一対の前記第2側壁を車幅方向両側から押圧する係止ばねが設置されており、
一対の前記第2側壁の外側面には、前記係止ばねが入り込んで係合する係合穴が形成されていることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載の車両用トレー装置。
【請求項9】
前記収納部は、ブラケットを含んで構成され、前記ケースと前記ブラケットとの間に形成されており、
前記ブラケットは、前記トレー本体と対応する位置に係止片を有しており、
前記トレー本体は、引出時に前記係止片に当接して係止される係止爪を有していることを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれか一項に記載の車両用トレー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用トレー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車内には、携帯電話等の物を載置するための車両用トレー装置が配置されている。この種の車両用トレー装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0003】
特許文献1には、グローブボックスの左右の側壁に車両前後方向に延びる溝を形成し、溝に引出部材の左右の端部を挿入し、溝に沿って引出部材をスライドさせる車両用トレー装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−100845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の車両用トレー装置では、グローブボックスの上壁と引出部材の上面との間に隙間があるため、引出部材上に物を載せたまま引出部材を収納すると、物がグローブボックスの奥側に入り込む場合がある。
【0006】
この場合には、物がグローブボックスと引出部材との間で引っ掛かり、引出部材を再度引き出す際に、引出操作が阻害される虞がある。
【0007】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、トレー本体上に載置された物が収納部の奥側に入り込むのを防止することができる車両用トレー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明は、車両内に配置される車両用トレー装置であって、車室内に配置される車体部材の内部に設けられた収納部と、前記収納部に収納可能、かつ、前記収納部から車室内に引出可能なトレー本体と、前記収納部に設置され、前記収納部と前記トレー本体との間の隙間を閉塞する閉塞部材と、を備え、前記閉塞部材は、前記収納部に揺動自在に支持される基部と、前記基部の下端に連続して前記トレー本体に圧接する圧接部と、を有しており、前記圧接部は、前記基部よりも前記トレー本体の引出方向に設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、閉塞部材により収納部とトレー本体との間の隙間を閉塞できるため、トレー本体を収納する際、トレー本体上に載置された物が閉塞部材に当接することにより、物の移動が規制される。これにより、物が収納部の奥側に入り込むのを防止することができる。
【0010】
また、前記閉塞部材を前記トレー本体へ向けて付勢する弾性部材を備えており、前記閉塞部材は、前記弾性部材の付勢力により前記トレー本体に圧接していることが好ましい。
このようにすると、弾性部材の付勢力を利用することにより、トレー本体の移動に伴って隙間の大きさが変動した場合であっても、閉塞部材がトレー本体に追従して圧接するため、確実に隙間を閉塞できる。
【0011】
また、前記トレー本体は、前記収納部に収納された状態において、車両後方へ向かうにつれて上方に位置するように湾曲していることが好ましい。
このようにすると、車両前後方向にスペースが取れない場合であっても、車両内に収納部を形成してトレー本体を設置することができる。
【0012】
また、前記収納部は、ケースを含んで構成されており、前記ケースは、車幅方向に相互に対向する一対の第1側壁と、一対の前記第1側壁に形成される第1ガイドとを有していることが好ましい。また、前記トレー本体は、一対の前記第1側壁に対して車幅方向に対向する一対の第2側壁と、一対の前記第2側壁に形成され前記第1ガイドに摺動可能に係合する第2ガイドとを有していることが好ましい。この場合、前記第2ガイドの車室側には、前記第1ガイドの車室側の端部に当接するストッパリブが形成されているとよい。
このようにすると、トレー本体を押し込んだ際、ストッパリブが第1ガイドの車室側の端部に当接することにより、トレー本体の移動が規制されて収納時の終端位置を位置決めできる。
【0013】
前記第2ガイドには、上下に対向する一対の当接リブが形成されており、一対の前記当接リブは、前記第1ガイドに上下から当接することが好ましい。
このようにすると、第1ガイドと第2ガイドとのガタつきを抑制することができる。
【0014】
前記ケースは、一対の前記第1側壁の車室側を連結する連結壁を有しており、一対の前記第2側壁の上面には、前記連結壁に下方から当接する突条リブが形成されていることが好ましい。
このようにすると、トレー本体を引き出す際のガタつき異音を抑制することができる。
【0015】
前記第2ガイドには、当該第2ガイドの他の部位よりも深く切り欠かれた誘導段差溝が形成されており、前記誘導段差溝は、前記第2ガイドの延在方向と直交する方向に延設されていることが好ましい。
このようにすると、第2ガイドに沿って収納部側へ向けて流れる液体は、誘導段差溝に沿って第2ガイドの延在方向と直交する方向へ流れた後に落下する。これにより、収納部への液体の浸入を防止することができる。
【0016】
一対の前記第1側壁の相互に対向する内側面には、一対の前記第2側壁を車幅方向両側から押圧する係止ばねが設置されていることが好ましい。この場合、一対の前記第2側壁の外側面には、前記係止ばねが入り込んで係合する係合穴が形成されているとよい。
係止ばねにより、収納時や引出時のトレー本体の位置を保持することができる。また、係止ばねが係合穴に入り込んで係合するため、操作者にクリック感を与え、操作フィーリングを向上させることができる。
【0017】
前記収納部は、ブラケットを含んで構成され、前記ケースと前記ブラケットとの間に形成されていることが好ましい。この場合、前記ブラケットは、前記トレー本体と対応する位置に係止片を有しているとよい。また、前記トレー本体は、引出時に前記係止片に当接して係止される係止爪を有しているとよい。
このようにすると、トレー本体を引き出した際、係止爪が係止片に当接することにより、トレー本体の移動が規制されて引出時の終端位置を位置決めできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る車両用トレー装置によれば、トレー本体上に載置された物が収納部の奥側に引き込まれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る車両用トレー装置が設置された車両のインストルメントパネルを左斜め後方から見下ろした状態を示す斜視図である。
図2】トレー本体の収納状態を示す図1のII−II線断面図である。
図3】トレー本体の引出状態を示す図1のII−II線断面図である。
図4図3の要部拡大断面図である。
図5】トレー本体とケースを右斜め前方から見下ろした状態を示す斜視図である。
図6図5のトレー本体とケースにブラケットを組み付けた状態を示す斜視図である。
図7図6のVII−VII線断面図である。
図8】トレー本体を左側から見た側面図である。
図9図8のIX−IX線断面図である。
図10図8のX−X線断面図である。
図11図8の要部拡大側面図である。
図12図8のA部拡大斜視図である。
図13】ケースの上部側を車両後方から見た正面図である。
図14】(a)は図13のXIVa−XIVa線断面図であり、(b)図13のXIVb−XIVb線断面図である。
図15図14のB部拡大斜視図である。
図16】(a)は図15のXVIa−XVIa線断面図であり、(b)は図15のXVIb−XVIb線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中に矢印で示される、「前後」及び「上下」は、車両の前後方向及び上下方向を示し、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)をそれぞれ示している。
【0021】
図1に示すように、車両である自動車の車室前部には、車体であるインストルメントパネルIPが車幅方向に沿って設置されている。インストルメントパネルIPの右側には、ステアリングホイール2及びメータパネル3が設置されている。インストルメントパネルIPの左側には、グローブボックス4が設置されている。インストルメントパネルIPの中央下部側には、車両用トレー装置1が設置されている。
【0022】
図2図3に示すように、車両用トレー装置1は、携帯電話等の物Tを載置するための装置である。車両用トレー装置1は、ケース10と、ブラケット20と、トレー本体30と、フラップ40と、フラップ用バネ50とを備えている。
【0023】
<ケース>
ケース10は、インストルメントパネルIPの内部に設置されていて、トレー本体30を収納するものである。ケース10は、例えば樹脂材料で形成されている。ケース10は、全体として側断面視で略円弧状に形成されていて、車両後方へ向かうにつれて上方に位置するように湾曲している。
【0024】
図5に示すように、本実施形態のケース10は、後壁11と、後壁11の左縁に連続する左側壁12と、後壁11の右縁に連続する右側壁13と、後壁11の下縁に連続する規制壁14と、左側壁12と右側壁13の車室側の上縁同士を連結する連結壁15とで構成されている。
【0025】
第1側壁である左側壁12および右側壁13は、車幅方向に相互に対向している。左側壁12および右側壁13の内側面には、延在方向に沿って延びるガイド突起16がそれぞれ突設されている(図5では右側壁13のガイド突起16のみを図示)。ガイド突起16については後に詳しく説明する。
【0026】
左側壁12および右側壁13の内側面には、ガイド突起16と干渉しない位置に、係止ばね17がそれぞれ係着されている。係止ばね17は、例えば左側壁12および右側壁13の上部側と下部側に1つずつ(合計4つ)設置されている(図5では右下の1つのみ図示)。係止ばね17は、トレー本体30を左右両側から押圧して、トレー本体30を保持するものである。収納時には、上下左右の4つの係止ばね17によりトレー本体30を保持し、引出時には、左右上側の2つの係止ばね17によりトレー本体30を保持する。
【0027】
規制壁14は、後壁11の下縁から車両前方へ向けて延出していて、トレー本体30の収納時の移動を規制する機能を備えている。すなわち、トレー本体30を押し込んだ際、トレー本体30が規制壁14に当接することにより、トレー本体30の移動が規制されて収納時の終端位置となる(図2参照)。
【0028】
連結壁15は、トレー本体30の上方に位置している。連結壁15の後側部位には、左右一対の上フランジ15aが上方へ向けて延出形成されている。図2図3に示すように、連結壁15の前側部位には、上下に延びる空間部15bが形成されている。空間部15bは、上方および下方に開口していて、フラップ40およびフラップ用バネ50の一部を収納している。
【0029】
ケース10の上部には、トレー本体30が通過可能なケース開口部18が形成されている。ケース開口部18は、インストルメントパネルIPに形成されたパネル開口部IPaに臨む位置に形成されている。ケース開口部18の開口縁には、断面視コ字状の挟持部19が形成されている。挟持部19は、車両後方に開口していて、インストルメントパネルIPの開口縁IPbを上下または左右から挟み込んで挟持している。挟持部19については後に詳しく説明する。
【0030】
<ブラケット>
ブラケット20は、インストルメントパネルIPの内部に設置されるものである。ブラケット20は、例えば金属材料で形成されている。ブラケット20は、全体として側断面視で略円弧状に形成されていて、車両後方へ向かうにつれて上方に位置するように湾曲している。ブラケット20は、ケース10と略同じ曲率で湾曲している。ブラケット20は、ケース10の後壁11に対して前方かつ上方に離間していて、ケース10との間にトレー本体30を収納する空間(以下、収納部60という)を形成している。収納部60は、車両後方へ向かうにつれて上方に位置するように湾曲する空間である。
【0031】
図6に示すように、ブラケット20は、収納部60に臨む位置に、複数の開口部21を有している。最も上側の開口部21の縁部には、係止片22が突設されている。係止片22は、開口部21の左右外側の側縁から開口部21内へ向けて突出している。係止片22は、上下に隣り合う開口部21を仕切る仕切壁23に対して、上方かつ後方に離間している。
【0032】
ブラケット20の左右の端部には、側方フランジ24がケース10へ向けて延出形成されている。側方フランジ24は、ケース10の左側壁12や右側壁13に固定される部位であり、三角状または矩形状を呈する。本実施形態の側方フランジ24は、左右の端部に3つずつ設けられている。上下に並ぶ3つの側方フランジ24は、相互に間隔を空けて配置されている。
【0033】
ブラケット20の上端部には、取付壁25が上方へ向けて延出形成されている。取付壁25は、ケース10の上フランジ15aに固定される部位であり、複数の取付孔25aを有している。
【0034】
<トレー本体>
図2図3に示すように、トレー本体30は、車室内から収納部60に収納可能、かつ、収納部60から車室内に引出可能に設置されている。すなわち、トレー本体30は、インストルメントパネルIPの開口部IPaおよびケース10のケース開口部18を通じて、車室内から収納部60に収納されるとともに、収納部60から車室内へ引き出されるようになっている。なお、ケース10およびブラケット20を省略し、収納部60に相当するものをインストルメントパネルIPの内部に一体形成してもよい。
【0035】
トレー本体30は、例えば樹脂材料で形成されている。トレー本体30は、収納部60に収納された状態において、全体として側断面視で略円弧状に形成されていて、車両後方へ向かうにつれて上方に位置するように湾曲している。トレー本体30は、ケース10と略同じ曲率で湾曲していて、ケース10に沿ってスライド移動可能となっている。トレー本体30の車室側の端部には、カバー70が取り付けられている。カバー70は、トレー本体30の収納状態において、ケース開口部18を車室側から覆って隠す意匠部材である。
【0036】
図5に示すように、トレー本体30は、物Tが載置される載置壁31と、載置壁31の車室側の端縁に立設する車室側壁32と、載置壁31の左側縁に立設する左側壁33と、載置壁31の右側縁に立設する右側壁34と、載置壁31の収納部60側の端縁に連続する収納側壁35とで構成されている。
【0037】
載置壁31および車室側壁32は、トレー本体30の引出状態において、車室内に露出する部位である。
【0038】
第2側壁である左側壁33および右側壁34は、トレー本体30の引出状態において、左側壁12および右側壁13に対して車幅方向に対向している。左側壁33および右側壁34の外側面には、延在方向に沿って延びるガイド溝36がそれぞれ凹設されている(図5では左側壁33のガイド溝36のみを図示)。ガイド溝36は、ケース10のガイド突起16に摺動可能に係合する。ガイド溝36については後に詳しく説明する。
【0039】
収納側壁35は、トレー本体30の引出状態において、収納部60内に隠れる部位である。収納側壁35は、上下および左右に離間する複数の凹部35aを有している。凹部35aは、ブラケット20側に開口していて、矩形状を呈する。最も外側かつ上から2つ目の凹部35aの縁部には、係止爪35bが突設されている。係止爪35bは、凹部35aの下縁から凹部35a内へ突出している。
【0040】
図7に示すように、係止爪35bは、トレー本体30の引出時に、係止片22に当接して係止される部位である。すなわち、トレー本体30を引き出した際、係止爪35bの先端が係止片22に当接することにより、トレー本体30の移動が規制されて引出終端位置となる。係止爪35bの表面は、フェルト等から成る表皮35cにより被覆されている。これにより、係止爪35bと係止片22が当接した際の打音を軽減することができる。
【0041】
<フラップ>
図4に示すように、閉塞部材であるフラップ40は、収納部60のケース開口部18寄りに設置されていて、ケース10とトレー本体30との間に形成される隙間を閉塞するものである。フラップ40は、例えば樹脂材料で形成されている。フラップ40は、断面視L字状を呈していて、ケース10に揺動自在に支持される基部41と、基部41の下端に連続してトレー本体30に圧接する圧接部42とで構成されている。
【0042】
基部41の上部側は、空間部15bに収容されている。圧接部42は、フラップ用バネ50の付勢力によりトレー本体30に圧接している。圧接部42の表面は、フェルト等から成る表皮43により被覆されている。これにより、圧接部42の摩耗を抑制して耐久性を向上させることができるとともに、トレー本体30の操作フィーリングを向上させることができる。
【0043】
<フラップ用ばね>
フラップ用バネ50は、フラップ40をトレー本体30へ向けて付勢する弾性部材である。フラップ用バネ50のコイル部は、基部41に形成された軸部41aに嵌装されている。フラップ用バネ50の一端部は、ケース10に係着していて、フラップ用バネ50の他端部は、圧接部42に係着している。フラップ用バネ50の付勢力を利用することにより、トレー本体30の移動に伴って隙間の大きさが変動した場合であっても、圧接部42が基部41を基点に揺動してトレー本体30に圧接するため、隙間を確実に閉塞できる。
【0044】
次に、図8乃至図12を参照して、ガイド突起16およびガイド溝36について詳しく説明する。なお、図9では、説明の便宜上、突起用補強リブ16aおよび溝用補強リブ36dを他の部位と異なるハッチングで表現している。
【0045】
図9に示すように、第1ガイドであるガイド突起16は、基本的に内側が凸となり外側が凹となる断面視コ字状を呈していて、部分的に突起用補強リブ16aを有していて断面視矩形状を呈する。すなわち、突起用補強リブ16aは、コ字状断面を成す3つの壁を繋いでいて、ガイド突起16の剛性を高めている。
【0046】
第2ガイドであるガイド溝36は、断面視ガイド突起16側に開口する凹溝状を呈していて、ガイド突起16に摺動可能に係合する。ガイド溝36を形成する上壁(左側壁33および右側壁34の上面)には、左右外側の部位に突条リブ36aが突設されている。突条リブ36aは、ケース10の連結壁15に下方から当接している。これにより、トレー本体30を引き出す際のガタつき異音を抑制することができる。
【0047】
ガイド溝36を形成する下壁には、下方へ向けてL字状に延出する延出側壁36bが形成されている。ガイド下壁と延出側壁36bとの境界付近には、収納側壁35(収納側壁35よりも後側では載置壁31)が連続している。収納側壁35と延出側壁36bとの間には、基本的に鋭角状の角部36cが形成されていて、部分的に溝用補強リブ36dが跨っている。すなわち、溝用補強リブ36dは、収納側壁35と延出側壁36bとを繋いでいて、ガイド溝36の剛性を高めている。
【0048】
図8図10に示すように、延出側壁36bの外側面には、側面視矩形状の係合穴36eが形成されている。係合穴36eには、係止ばね17の弾性片17aが係合する。すなわち、係合穴36eと弾性片17aの位置が一致したときには、弾性片17aが係合穴36eに入り込んで係合する。これにより、操作者にクリック感を与え、操作フィーリングを向上させることができる。係合穴36eの隣接部位には、他の部位よりも突出する側面視矩形状の段差凸部36fが形成されている。
【0049】
図11に示すように、ガイド溝36の車室側には、ガイド溝36をその延在方向で分断するストッパリブ36gが形成されている。トレー本体30を押し込んだ際、ストッパリブ36gがガイド突起16(図11の二点鎖線)の車室側の端部に当接することにより、トレー本体30の移動が規制されて収納時の終端位置となる。
【0050】
ガイド溝36には、上下に対向する一対の当接リブ36hが形成されている。一対の当接リブ36hは、ガイド溝36を形成する上壁および下壁から略円弧状に膨出していて、ガイド突起16に上下から当接している。これにより、ガイド溝36とガイド突起16とのガタつきを抑制することができる。本実施形態の当接リブ36hは、ガイド溝36の車室側の部位(ストッパリブ36gの付近)に1つ設置されていて、ガイド溝36の収納部60側の部位に2つ設置されている(図8参照)。
【0051】
図12に示すように、ガイド溝36には、他の部位よりも一段深く切り欠かれた誘導段差溝36iが形成されている。誘導段差溝36iは、ガイド溝36の側部から底部に亘って、ガイド溝36の延在方向と直交する方向に延設されている。誘導段差溝36iは、トレー本体30の引出終端位置において、インストルメントパネルIP近傍で車室内に露出している(図8参照)。この誘導段差溝36iを形成することにより、ガイド溝36に沿って収納部60側へ向けて流れる液体は、誘導段差溝36iに沿ってガイド溝36と直交する方向へ流れた後、インストルメントパネルIPの手前で落下する。
【0052】
次に、図13乃至図16を参照して、挟持部19について詳しく説明する。なお、図14乃至図16では、説明の便宜上、挟持部19とガタ詰め用リブ19a−19dを異なるハッチングで表現している。
【0053】
図13に示すように、ケース開口部18は、後壁11、左側壁12、右側壁13および連結壁15に囲まれて形成されていて、矩形状を呈する。図14(a)に示すように、ケース開口部18の上縁の左右中央の挟持部19には、ガタ詰め用リブ19aが一体形成されている。ガタ詰め用リブ19aは、挟持部19の内側上面から内側後面に沿って形成されていて、インストルメントパネルIPの開口縁IPbとの上下方向および前後方向のガタつきを抑制している。
【0054】
図14(b)に示すように、ケース開口部18の上縁の左右外側の挟持部19には、ガタ詰め用リブ19bが一体形成されている。ガタ詰め用リブ19bは、挟持部19の内側下面に沿って形成されていて、インストルメントパネルIPの開口縁IPbとの上下方向のガタつきを抑制している。
【0055】
図15に示すように、ケース開口部18の左側縁の挟持部19には、上下に相互に離間する2つのガタ詰め用リブ19c,19dが一体形成されている。図16(a)に示すように、上側に位置するガタ詰め用リブ19cは、挟持部19の内側の左側面に沿って形成されていて、インストルメントパネルIPの開口縁IPbとの左右方向のガタつきを抑制している。図16(b)に示すように、下側に位置するガタ詰め用リブ19dは、挟持部19の内側の右側面から後面に亘って形成されていて、インストルメントパネルIPの開口縁IPbとの左右方向および前後方向のガタつきを抑制している。なお、右側縁の挟持部19も同様の構成となる。
【0056】
本発明の実施形態に係る車両用トレー装置1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果について説明する。
【0057】
本実施形態によれば、フラップ40によりケース10とトレー本体30との間の隙間を閉塞できるため、トレー本体30を収納する際、トレー本体30上に載置された物Tがフラップ40に当接することにより、物Tの移動が規制される。これにより、物Tが収納部60の奥側に入り込むのを防止することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、フラップ用バネ50の付勢力を利用することにより、トレー本体30の移動に伴って隙間の大きさが変動した場合であっても、圧接部42が基部41を基点に揺動してトレー本体30に圧接するため、確実に隙間を閉塞できる。
【0059】
また、本実施形態によれば、収納部60が車両後方へ向かうにつれて上方に位置するように湾曲する空間形状となっているため、車両前後方向にスペースが取れない場合であっても、車両内に収納部60を形成してトレー本体30を設置することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、トレー本体30を押し込んだ際、ストッパリブ36gがガイド突起16の車室側の端部に当接することにより、トレー本体30の移動が規制されて収納終端位置を位置決めできる。
【0061】
また、本実施形態によれば、トレー本体30を引き出した際、係止爪35bが係止片22に当接することにより、トレー本体30の移動が規制されて引出終端位置を位置決めできる。
【0062】
また、本実施形態によれば、ケース10に設置された係止ばね17により、トレー本体30を左右両側から押圧するため、収納時および引出時のトレー本体30の位置を保持することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、係合穴36eと弾性片17aの位置が一致したときには、弾性片17aが係合穴36eに入り込んで係合するため、操作者にクリック感を与え、操作フィーリングを向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ガイド溝36に形成された一対の当接リブ36hがガイド突起16に上下から当接しているため、ガイド溝36とガイド突起16とのガタつきを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、左側壁33および右側壁34の上面に形成された突条リブ36aがケース10の連結壁15に下方から当接するため、トレー本体30を引き出す際のガタつき異音を抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、ガイド溝36に沿って収納部60側へ向けて流れる液体は、誘導段差溝36iに沿ってガイド溝36の延在方向と直交する方向へ流れた後に落下する。これにより、収納部60への液体の浸入を防止することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0068】
実施形態では、収納部60を車両後方へ向かうにつれて上方に位置するように湾曲する形状としたが、車両前後方向に延びる直線状にしてもよい。
【0069】
実施形態では、ケース10にガイド突起16を形成し、トレー本体30にガイド溝36を形成したが、ケース10にガイド溝を形成し、トレー本体30にガイド突起を形成してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 車両用トレー装置
IP インストルメントパネル(車体)
10 ケース
12 左側壁(第1側壁)
13 右側壁(第1側壁)
15 連結壁
16 ガイド突起(第1ガイド)
20 ブラケット
22 係止片
30 トレー本体
33 左側壁(第2側壁)
34 右側壁(第2側壁)
35b 係止爪
36 ガイド溝(第2ガイド)
36a 突条リブ
36e 係合穴
36g ストッパリブ
36h 当接リブ
36i 誘導段差溝
40 フラップ(閉塞部材)
50 フラップ用バネ(弾性部材)
60 収納部
T 物
図1
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