【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記した単純マトリクス型の表示装置では、基板上の表示領域に交差配置した走査線と
データ線をそのまま当該表示領域の外部に引き出して駆動回路に接続し、駆動回路を外部
回路と接続するための端子パッドを設けている。しかし、このような端子構成をアクティ
ブ・マトリクス型の表示装置にそのまま適用することは困難である。
【0018】
OLEDのアクティブ・マトリクス駆動では、1フレーム期間にわたって表示を保持す
るためのコンデンサへの電荷供給を、当該コンデンサの一方の電極をスイッチングトラン
ジスタの出力端子に接続し、他方の電極をコンデンサ用の共通電位線に接続したり、ある
いはOLEDに電流を供給する電流供給線に接続している。
【0019】
図6はOLEDを用いた従来の表示装置の1構成例を模式的に説明するブロック図、図
7は
図6における画素構成の説明図である。この表示装置(画像表示装置)は、ガラス等
の絶縁材からなる基板SUB上に複数のデータ線DLと複数のゲート線すなわち走査線G
Lとのマトリクス配列で形成した表示部AR(図中、点線で囲った内部)の周囲にデータ
駆動回路DDR、走査駆動回路GDR、電流供給回路CSSを配置して構成されている。
【0020】
データ駆動回路DDRはNチャンネル型とPチャンネル型の薄膜トランジスタTFTに
よる相補型回路、またはNチャンネルのみかPチャンネルのみの単チャンネル型の薄膜ト
ランジスタTFTで構成されるシフトレジスタ回路、レベルシフタ回路、アナログスイッ
チ回路などからなる。なお、電流供給回路CSSはバスラインのみとし、外部電源から供
給するようにも構成できる。
【0021】
図6は表示部ARにコンデンサ用の共通電位線COMLを設けた方式であり、コンデン
サの前記他端の電極は、この共通電位線COMLに接続される。共通電位線COMLは共
通電位供給バスラインCOMBの端子COMTから外部の共通電位源に引き出されている
。なお、共通電位線COMLを設けず、コンデンサを電流供給線に接続した方式も既知で
ある。
【0022】
図7に示したように、画素PXはデータ線DLとゲート線GLで囲まれた領域に配置さ
れたスイッチングトランジスタである第1の薄膜トランジスタTFT1、ドライバトラン
ジスタである第2の薄膜トランジスタTFT2、コンデンサCPR、および有機発光素子
OLEDで構成される。
【0023】
薄膜トランジスタTFT1のゲートはゲート線GLに、ドレインはデータ線DLに接続
されている。薄膜トランジスタTFT2のゲートは薄膜トランジスタTFT1のソースに
接続され、この接続点にコンデンサCPRの一方の電極(+極)が接続されている。
【0024】
図8は
図7の画素構成をもつ
図6の表示装置の構成をさらに説明するブロック図である
。薄膜トランジスタTFT2のドレインは電流供給線CSLに、ソースは有機発光素子O
LEDの第1の電極層(ここでは陽極)ADに接続されている。そして、コンデンサCP
Rの他端(−極)は共通電位線バスラインCOMBから分岐した共通電位線COMLに接
続されている。
【0025】
データ線DLはデータ駆動回路DDRで駆動され、走査線(ゲート線)GLは走査駆動
回路GDRで駆動される。また、電流供給線CSLは電流供給バスラインCSLBを介し
て
図8の電流供給回路CSSあるいは端子を介して外部電流源に接続している。
【0026】
図7と
図8において、1つの画素PXが走査線GLで選択されて薄膜トランジスタTF
T1がターンオンすると、データ線DLから供給される画像信号がコンデンサCPRに蓄
積される。そして、薄膜トランジスタTFT1がターンオフした時点で薄膜トランジスタ
TFT2がターンオンし、電流供給線CSLからの電流が有機発光素子OLEDに流れ、
ほぼ1フレーム期間にわたってこの電流が持続する。このとき流れる電流はコンデンサC
PRに蓄積されている信号電荷で規定される。
【0027】
コンデンサCPRの動作レベルは共通電位線COMLの電位で規定される。これにより
、画素の発光が制御される。有機発光素子OLEDから流れ出る電流は第2の電極層(こ
こでは陰極)CDから図示しない電流引抜き線に流れる。
【0028】
この方式では、画素領域の一部を貫通して共通電位線COMLを設ける必要があるため
、所謂開口率の低下をもたらし、表示装置全体としての明るさ向上を抑制してしまう。
【0029】
図9はOLEDを用いた従来の表示装置の他の構成例を模式的に説明する
図8と同様の
ブロック図である。この例では、各画素を構成する薄膜トランジスタTFT1、TFT2
およびコンデンサCPRの基本配列は
図8と同様であるが、コンデンサCPRの他端を電
流供給線CSLに接続した点で異なる。
【0030】
すなわち、1つの画素PXが走査線GLで選択されて薄膜トランジスタTFT1がター
ンオンすると、データ線DLから供給される画像信号がコンデンサCPRに蓄積され、薄
膜トランジスタTFT1がターンオフした時点で薄膜トランジスタTFT2がターンオン
したとき、電流供給線CSLからの電流が有機発光素子OLEDに流れ、
図8と同様に、
ほぼ1フレーム期間(または、1フィールド期間)にわたってこの電流が持続する。この
とき流れる電流はコンデンサCPRに蓄積されている信号電荷で規定される。コンデンサ
CPRの動作レベルは電流供給線CSLの電位で規定される。これにより、画素の発光が
制御される。
【0031】
図6〜
図9で説明したこの種の表示装置においては、有機発光素子OLEDの第1の電
極層ADとなる薄膜トランジスタTFT2のソース電極はITO(インジウム・チン・オ
キサイド)等の導電性薄膜で形成され、かつ各画素PXの第1の電極層ADは個別に分離
されている。
【0032】
また、発光素子を構成する第2の電極層CDは素子の最上層に位置するため、直接外気
に触れて腐食が生じる恐れがある。通常、第2の電極層は全画素について供給のべた膜に
形成されているため、外部との接続をとるためには下層の配線(第2の電極層接続電極層
:電流引出し電極とも言う)に電気的に接続をとる必要がある。この第2の電極層CDへ
の電流供給のための端子は当該第2の電極層の延長で基板の端子部(端子パッド)に直接
引き出されているため、その端子部近傍では外気との接触で腐食の発生が起こり易い。
【0033】
図10は有機発光素子を用いた表示装置の1画素付近の構造を説明する断面図である。
この表示装置は、ガラス基板SUBの上に低温ポリシリコンを好適とするポリシリコン半
導体層PSI、第1の絶縁層IS1、走査配線であるゲート配線(ゲート電極)GL、第
2の絶縁層IS2、アルミニウム配線で形成したソース電極SD,第3の絶縁層IS3、
保護膜PSV、第1の電極層AD、有機発光層OLE、第2の電極層CDを積み上げて構
成される。
【0034】
ポリシリコン半導体層PSIとゲート配線GL、ソース電極SDで構成される薄膜トラ
ンジスタ(この薄膜トランジスタはドライバトランジスタ)が選択されると、ソース電極
SDに接続した第1の電極層ADと有機発光層OLEおよび第2の電極層CDで形成され
る有機発光素子が発光し、その光Lが基板SUB側から外部に出射する。
【0035】
この種の表示装置における走査駆動回路は、複数の走査線に順次走査信号を供給し、こ
の走査信号で選択された走査線に接続した画素回路にデータ駆動回路からのデータ信号を
書き込む。前記したように、画素回路は2つの薄膜トランジスタとデータ保持素子である
コンデンサおよび有機発光素子を備えている。データ駆動回路からのデータ信号は画素回
路を構成する第1の薄膜トランジスタのターンオンでデータ保持素子であるコンデンサに
当該データ信号の階調に応じた電荷量として保持される。
【0036】
そして、第1の薄膜トランジスタのターンオフでターンオンする第2の薄膜トランジス
タを介して電流供給線からの電流をコンデンサに保持されたデータ信号の階調に応じた大
きさに従って有機発光素子に流し、これを発光させる。
【0037】
走査駆動回路で選択された走査線の1行分の走査を終えた後、次の行の走査線を選択す
る。これを繰り返して垂直方向の走査を順に行い、最終行に至ると所定の垂直ブランキン
グ期間の後、先頭の走査線(最初の行)に戻り、再び上記の動作を繰り返す。
【0038】
選択された行の走査線に接続した各画素のコンデンサに書き込まれたデータ信号に対応
する電荷は、次にその行の走査がなされるまで、その電荷を保持する。しかし、次にデー
タ信号が書き込まれるまでに当該コンデンサの電荷が残留すると、次に新しいデータ信号
が書き込まれる際に、コンデンサに残留している以前のデータ信号の電荷成分が新しいデ
ータ信号に対応する電荷量に影響を及ぼす。その結果、階調が不安定になって、表示品質
を劣化させる。
【0039】
また、画素内のコンデンサだけでなく、データ線と第2の電極層との間の容量やデータ
線と走査線の間の容量によるデータ線の電荷も影響を及ぼす。
【0040】
このようなデータ信号の書込みの動作を安定化させるため、駆動能力の大きなバッファ
回路を設けることも可能であるが、回路規模が大きくなり、表示装置の素子面積の増大を
まねく。決められた基板サイズで、その周辺に駆動回路を搭載するものでは、額縁が広く
なって有効表示領域が狭小となる。
【0041】
本発明の目的は、上記した画素回路のコンデンサに残留する前の(その行を前回走査し
たときの)データ信号の残留電荷による影響を回避し、高品質の表示を可能とした表示装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0042】
上記目的を達成するため、本発明は、データ駆動回路の出力線であるデータ線に、1つ
前の走査線の走査終了後、次の走査線に対応する画素に対するデータが送られる前にその
画素回路のコンデンサ又はデータ線の少なくとも一方を初期状態に復帰させるリセット回
路を設けた。
【0043】
この構成としたことにより、新しく書き込まれるデータ信号が前のデータ信号に影響さ
れることがなく、高品質の表示装置が得られる。また、リセット回路は単純なスイッチで
あることで、基板上の占有面積は極めて少なく、有効表示領域を狭小化することがない。
本発明のより具体的な構成例を記述すると以下のとおりである。すなわち、
(1)、基板上の表示領域内にマトリクス配列された複数の走査線と前記複数の走査線に
交差する複数のデータ線の交差部毎に画素を有し、前記画素に表示のための電流を供給す
る電流供給線を備え、
前記画素は、前記走査線から供給される走査信号で選択されるアクティブ素子と、この
アクティブ素子のターンオンで前記データ線から供給されるデータ信号を保持するデータ
保持素子、および前記データ保持素子に保持されたデータ信号にしたがって前記電流供給
線から供給される電流で発光する発光素子とを有する画素回路を備え、
前記発光素子は前記アクティブ素子で駆動される第1の電極層と、前記第1の電極層上
に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極層とを有し、
1つ前の前記走査線への走査が終了した後、前記データ線にデータが送られる前に前記
データ保持素子を初期状態に復帰させるリセット回路を設けた。
【0044】
(2)、(1)において、前記リセット回路により前記データ保持素子及び前記データ線
を初期状態に復帰させる。
【0045】
(3)、基板上の表示領域内にマトリクス配列された複数の走査線と前記複数の走査線に
交差する複数のデータ線の交差部毎に画素を有し、前記画素に表示のための電流を供給す
る電流供給線を備え、
前記画素は、前記走査線から供給される走査信号で選択されるアクティブ素子と、この
アクティブ素子のターンオンで前記データ線から供給されるデータ信号を保持するデータ
保持素子、および前記データ保持素子に保持されたデータ信号にしたがって前記電流供給
線から供給される電流で発光する発光素子とを有する画素回路を備え、
前記発光素子は前記アクティブ素子で駆動される第1の電極層と、前記第1の電極層上
に形成された有機発光層と、前記有機発光層上に形成された第2の電極層とを有し、
1つ前の前記走査線への走査が終了した後、前記データ線にデータが送られる前に前記
データ線を初期状態に復帰させるリセット回路を設けた。
【0046】
(4)、(3)において、前記リセット回路は、次の前記走査線への走査を開始した後、
前記データ線にデータが送られる前に前記データ保持素子を初期状態に復帰させる。
【0047】
(5)、(1)〜(4)の何れかにおいて、前記リセット回路は、前記走査線への走査毎
に前記初期状態への復帰を行う。
【0048】
(6)、(1)〜(5)の何れかにおいて、前記リセット回路を、前記データ駆動回路の
後段、かつ前記データ線の前段に設けた。
【0049】
(7)、(1)〜(5)の何れかにおいて、前記リセット回路を、前記データ線の終端に
設けた。
【0050】
(8)、(1)〜(5)の何れかにおいて、前記走査駆動回路と前記データ駆動回路を、
前記基板上における前記表示領域の外側で、かつ前記基板の隣接する2辺のそれぞれに配
置した。
【0051】
上記(1)〜(8)の構成としたことにより、新しく書き込まれるデータ信号が前のデ
ータ信号に影響されることがなく、高品質の表示装置が得られると共に、有効表示領域の
面積を狭小化することのない表示装置を提供できる。
【0052】
なお、本発明は上記の構成および後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本
発明の技術思想を逸脱することなく種々の変更が可能であることは言うまでもない。本発
明の他の目的および構成は後述する実施の形態の記載から明らかになるであろう。