(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
作動油を吐出する油圧ポンプ及びこの油圧ポンプから吐出される作動油の供給によって作動する油圧アクチュエータを備えた作業機械に設けられ、当該油圧ポンプから当該油圧アクチュエータへの作動油の供給を制御する油圧制御装置であって、
前記油圧ポンプと前記油圧アクチュエータとの間に介在し、パイロット圧の供給を受けることにより開弁して前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の供給を可能にするコントロールバルブと、
前記パイロット圧を発生させるパイロット油圧源と、
前記パイロット油圧源と前記コントロールバルブとの間に介在するパイロット操作器であって、当該パイロット油圧源から当該コントロールバルブへのパイロット圧の供給を許容する許容状態と遮断する遮断状態とに切換可能であり、当該コントロールバルブへの当該パイロット圧の供給を指令するためのパイロット指令操作を受けた場合にのみ前記許容状態に切換えられるものと、
前記パイロット油圧源と前記パイロット操作器とを結ぶパイロットラインと、
前記パイロットラインに接続されて蓄圧を行うアキュムレータと、
前記パイロットラインとタンクとの間に介在するリリーフ弁と、
前記アキュムレータと前記パイロット油圧源との間に介在するように前記パイロットラインに設けられ、当該パイロットラインを開通して前記パイロット油圧源から前記パイロット操作器へのパイロット圧の供給を可能にするオンロード位置と当該パイロットラインを遮断して前記パイロット油圧源をタンクに連通するアンロード位置とを有するアンロード弁と、
前記パイロット指令操作の有無を検出する指令操作検出器と、
前記アンロード弁の位置を切換えることによりアンロード制御を行うアンロード制御部と、を備え、
当該アンロード制御部は、前記パイロット指令操作がなされている操作状態を前記指令操作検出器が検出している期間、及び、前記指令操作検出器が前記パイロット指令操作のない非操作状態の検出を開始した時点から予め設定されたアンロード切換設定時間が経過するまでの期間は、前記アンロード弁を前記オンロード位置にし、前記指令操作検出器が前記非操作状態の検出を開始した時点から当該非操作状態が前記アンロード切換設定時間継続した時点で前記アンロード弁を前記アンロード位置に切換える、作業機械の油圧制御装置。
請求項1記載の作業機械の油圧制御装置であって、前記アンロード制御部は、前記非操作状態が前記アンロード切換設定時間継続したことにより前記アンロード弁を前記アンロード位置に切換えてからさらに当該非操作状態が決められたオンロード切換設定時間継続した時点で前記アンロード弁を前記オンロード位置に切換える、作業機械の油圧制御装置。
請求項1または2記載の作業機械の油圧制御装置であって、前記作業機械の運転状態に応じて当該アンロード切換設定時間を調整するアンロード切換設定時間調整部をさらに備え、前記アンロード制御部は前記アンロード切換設定時間調整部により調整されたアンロード切換設定時間に基いて前記アンロード位置への切換の判断を行う、作業機械の油圧制御装置。
請求項3記載の作業機械の油圧制御装置であって、前記指令操作検出器が前記非操作状態を検出するまでに前記パイロット操作器に前記パイロット指令操作が与えられた頻度を算定する操作頻度算定部をさらに備え、前記アンロード切換設定時間調整部は前記操作頻度算定部により算定された頻度が高いほど前記アンロード切換設定時間が長くなるように当該アンロード切換設定時間を調整する、作業機械の油圧制御装置。
請求項3または4記載の作業機械の油圧制御装置であって、前記パイロット油圧源がエンジンにより駆動されることによりパイロット用油を吐出するパイロットポンプであり、前記油圧制御装置は前記指令操作検出器が前記非操作状態を検出するまでの前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出器をさらに備え、前記アンロード切換設定時間調整部は前記エンジン回転数検出器により検出されたエンジン回転数が高いほど前記アンロード切換設定時間が短くなるように当該アンロード切換設定時間を調整する、作業機械の油圧制御装置。
請求項3〜5のいずれかに記載の作業機械の油圧制御装置であって、前記作業機械の累積稼働時間を検出する稼働時間検出器をさらに備え、前記アンロード切換設定時間調整部は前記稼働時間検出器により検出された前記作業機械の累積稼働時間が長いほど前記アンロード切換設定時間が長くなるように当該アンロード切換設定時間を調整する、作業機械の油圧制御装置。
請求項1〜8のいずれかに記載の作業機械の油圧制御装置であって、前記アキュムレータの圧力を検出するアキュムレータ圧力検出器をさらに備え、前記アンロード制御部は、当該アキュムレータ圧力検出器により検出される圧力が予め設定された切換許容圧力に満たない場合には前記非操作状態の継続時間にかかわらず前記アンロード弁を前記オンロード位置に保つ、作業機械の油圧制御装置。
請求項3〜6のいずれかに記載の作業機械の油圧制御装置であって、前記アキュムレータの圧力を検出するアキュムレータ圧力検出器をさらに備え、前記アンロード切換設定時間調整部は、前記アキュムレータ圧力検出器により検出される前記アキュムレータの圧力が高いほど前記アンロード切換設定時間が短くなるように当該アンロード切換設定時間を調整する、作業機械の油圧制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に記載される装置は、操作レバーが操作されていない非操作時におけるオンロード及びアンロードの判断を、アキュムレータの圧力を検出する圧力検出器の検出信号に依存しているため、当該圧力検出器が故障した場合に前記判断を的確に行うことができない。このような圧力検出器の故障時には、安全上、操作レバーによる操作を有効にすべくオンロード状態を維持することが考えられるが、この場合には、アキュムレータの実際の圧力が高くてオンロードの必要がない時にもオンロード状態が維持されてリリーフ弁が開弁するため、そのリリーフ動作に起因するエネルギー損失を抑止するという前記の効果を得ることができなくなる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、作業機械に設けられる油圧制御装置であって、パイロットラインに接続されるリリーフ弁の開弁によるエネルギー損失をより確実に抑止することが可能なものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題の解決にあたり、本発明者らは、パイロット圧の供給を指令するためのパイロット指令操作の有無とアキュムレータの圧力との関係に着目した。すなわち、パイロット指令操作が行われない非操作状態がある程度の時間継続すれば、その間にアキュムレータへの作動油の十分な充填が行われると推定することができ、その場合にパイロットラインをアンロード状態にすることにより、実際のアキュムレータの圧力の検出に頼ることなく、前記パイロットラインに接続されるリリーフ弁の開弁によるエネルギー損失を抑止することが可能である。
【0009】
本発明は、このような観点からなされたものである。すなわち、本発明により提供されるのは、作動油を吐出する油圧ポンプ及びこの油圧ポンプから吐出される作動油の供給によって作動する油圧アクチュエータを備えた作業機械に設けられ、当該油圧ポンプから当該油圧アクチュエータへの作動油の供給を制御する油圧制御装置であって、前記油圧ポンプと前記油圧アクチュエータとの間に介在し、パイロット圧の供給を受けることにより開弁して前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの作動油の供給を可能にするコントロールバルブと、前記パイロット圧を発生させるパイロット油圧源と、前記パイロット油圧源と前記コントロールバルブとの間に介在するパイロット操作器であって、当該パイロット油圧源から当該コントロールバルブへのパイロット圧の供給を許容する許容状態と遮断する遮断状態とに切換可能であり、当該コントロールバルブへの当該パイロット圧の供給を指令するためのパイロット指令操作を受けた場合にのみ前記許容状態に切換えられるものと、前記パイロット油圧源と前記パイロット操作器とを結ぶパイロットラインと、前記パイロットラインに接続されて蓄圧を行うアキュムレータと、前記パイロットラインとタンクとの間に介在するリリーフ弁と、前記アキュムレータと前記パイロット油圧源との間に介在するように前記パイロットラインに設けられ、当該パイロットラインを開通して前記パイロット油圧源から前記パイロット操作器へのパイロット圧の供給を可能にするオンロード位置と当該パイロットラインを遮断して前記パイロット油圧源をタンクに連通するアンロード位置とを有するアンロード弁と、前記パイロット指令操作の有無を検出する指令操作検出器と、前記アンロード弁の位置を切換えることによりアンロード制御を行うアンロード制御部と、を備える。アンロード制御部は、前記パイロット指令操作がなされている操作状態を前記指令操作検出器が検出している期間、及び、前記指令操作検出器が前記パイロット指令操作のない非操作状態の検出を開始した時点から予め設定されたアンロード切換設定時間が経過するまでの期間は、前記アンロード弁を前記オンロード位置にし、前記指令操作検出器が前記非操作状態の検出を開始した時点から当該非操作状態が前記アンロード切換設定時間継続した時点で前記アンロード弁を前記アンロード位置に切換える。
【0010】
この装置によれば、従来の装置のようにアキュムレータの圧力の検出結果に依存することなく、パイロット指令操作のない非操作状態の検出の継続時間に基いてアンロード切換の判断が行われるので、前記アキュムレータの圧力を検出する圧力検出器を要することなく、あるいは、当該圧力検出器を具備する場合でもその故障に著しい影響を受けることなく、適正なアンロード切換を行ってリリーフ弁の開弁によるエネルギーの浪費を有効に抑止することができる。
【0011】
ただし、前記非操作状態の継続時間が過度に長いと、アキュムレータからの油のリーク等によって当該アキュムレータの圧力が低下する可能性がある。従って、前記アンロード制御部は、前記非操作状態が前記アンロード切換設定時間継続したことにより前記アンロード弁を前記アンロード位置に切換えてからさらに当該非操作状態が決められたオンロード切換設定時間継続した時点で前記アンロード弁を前記オンロード位置に切換えることが、好ましい。
【0012】
前記アンロード切換設定時間は、予め決められた一定の時間でもよいが、前記作業機械の運転状態に応じて当該アンロード切換設定時間を調整するアンロード切換設定時間調整部をさらに備え、前記アンロード制御部は前記アンロード切換設定時間調整部により調整されたアンロード切換設定時間に基いて前記アンロード位置への切換の判断を行うことが、好ましい。これにより、実際の運転状態に見合ったより適正なアンロード制御が可能になる。
【0013】
具体的な例としては、i)前記指令操作検出器が前記非操作状態を検出するまでに前記パイロット操作器に前記パイロット指令操作が与えられた頻度を算定する操作頻度算定部をさらに備え、前記アンロード切換設定時間調整部は前記操作頻度算定部により算定された頻度が高いほど前記アンロード切換設定時間が長くなるように当該アンロード切換設定時間を調整するもの、ii)前記パイロット油圧源がエンジンにより駆動されることによりパイロット用油を吐出するパイロットポンプである場合に、前記指令操作検出器が前記非操作状態を検出するまでの前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出器をさらに備え、前記アンロード切換設定時間調整部は前記エンジン回転数検出器により検出されたエンジン回転数が高いほど前記アンロード切換設定時間が短くなるように当該アンロード切換設定時間を調整するもの、あるいは、iii)前記作業機械の累積稼働時間を検出する稼働時間検出器をさらに備え、前記アンロード切換設定時間調整部は前記稼働時間検出器により検出された前記作業機械の累積稼働時間が長いほど前記アンロード切換設定時間が長くなるように当該アンロード切換設定時間を調整するもの、が好適である。
【0014】
同様に、前記オンロード切換設定時間も、予め決められた一定の時間でもよいし、あるいは、前記作業機械の運転状態に応じて当該オンロード切換設定時間を調節するオンロード切換設定時間調整部をさらに備え、前記アンロード制御部は前記オンロード切換設定時間調整部により調整されたオンロード切換設定時間に基いて前記アンロード位置から前記オンロード位置への切換の判断を行うことが、好ましい。具体的には、例えば、前記作業機械の累積稼働時間を検出するエンジン稼働時間検出器をさらに備え、前記オンロード切換設定時間調整部は前記エンジン稼働時間検出器により検出された前記作業機械の累積稼働時間が長いほど前記オンロード切換設定時間を短くするように当該オンロード切換設定時間を調整するものが、好適である。
【0015】
本発明は、前記指令操作検出器に加えて前記アキュムレータの圧力を検出するアキュムレータ圧力検出器を備えることを妨げない。この場合でも、アンロード状態への切換の判断が基本的に前記非操作状態の継続時間に基いて行われることから、前記アキュムレータ圧力検出器が故障したときに当該故障がアンロード制御に与える影響は少ない。その一方、前記指令操作検出器と前記アキュムレータ圧力検出器との併用によって、より適正なアンロード制御が可能になる。
【0016】
例えば、前記アンロード制御部は、当該アキュムレータ圧力検出器により検出される圧力が予め設定された切換許容圧力に満たない場合には前記非操作状態の継続時間にかかわらず前記アンロード弁を前記オンロード位置に保つことにより、より実状に即したアンロード制御を実行することができる。
【0017】
あるいは、前記アンロード切換設定時間調整部を備える場合、当該アンロード切換設定時間調整部は、前記アキュムレータ圧力検出器により検出される前記アキュムレータの圧力が高いほど前記アンロード切換設定時間が短くなるように当該アンロード切換設定時間を調整することにより、リリーフ弁の開弁によるエネルギー損失をより有効に抑止することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、作業機械に設けられる油圧制御装置であって、パイロットラインに接続されるリリーフ弁の開弁に伴うエネルギー損失をより確実に抑止することが可能なものが、提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る作業機械及びその油圧駆動装置を示す。
【0022】
前記作業機械は、エンジン10と、このエンジン10により駆動されて作動油を吐出する油圧ポンプであるメインポンプ12と、このメインポンプ12が吐出する作動油の供給を受けることにより作動する油圧アクチュエータ14と、を備える。
図1に示される油圧アクチュエータ14は、油圧シリンダ(例えばブームシリンダ)であるが、本発明に係る油圧アクチュエータは油圧シリンダ以外のもの、例えば油圧モータ、であってもよい。
【0023】
前記油圧駆動装置は、前記作業機械に設けられて前記メインポンプ12から前記油圧アクチュエータ14への作動油の供給を制御する。具体的に、この油圧駆動装置は、コントロールバルブ16と、パイロット油圧源であるパイロットポンプ18と、パイロット操作器であるリモコン弁20と、パイロットライン22と、アキュムレータ24と、リリーフ弁26と、チェック弁28と、アンロード弁30と、一対のパイロット圧検出器32A,32Bと、エンジン回転数検出器34と、稼働時間検出器36と、コントローラ40と、を備える。
【0024】
前記コントロールバルブ16は、前記メインポンプ12と前記油圧アクチュエータ14との間に介在して当該メインポンプ12から当該油圧アクチュエータ14への作動油の供給を制御するように作動する。
【0025】
この実施の形態に係るコントロールバルブ16は、一対のパイロットポート17A,17Bを有する3位置パイロット切換弁からなり、当該一対のパイロットポート17A,17Bのいずれかへのパイロット圧の供給に応じて当該パイロット圧の大きさに対応したストロークで開弁し、これにより、当該ストロークに対応した流量での前記メインポンプ12から前記油圧アクチュエータ14への作動油の供給を可能にする。
【0026】
具体的に、前記コントロールバルブ16は、中立位置16cと、第1供給位置16aと、第2供給位置16bと、を有する。前記コントロールバルブ16は、前記一対のパイロットポート17A,17Bのいずれにもパイロット圧が供給されないときは前記中立位置16cに保たれて前記メインポンプ12と前記油圧アクチュエータ14との間を遮断する。前記コントロールバルブ16は、前記パイロットポート17Aにパイロット圧が供給されたときは、前記第1供給位置16aに切換えられて、前記メインポンプ12から前記油圧アクチュエータ14の一方のポート(
図1ではロッド側ポート)への作動油の供給を許容し、前記パイロットポート17Bにパイロット圧が供給されたときは、前記第2供給位置16bに切換えられて、前記メインポンプ12から前記油圧アクチュエータ14の他方のポート(
図1ではへッド側ポート)への作動油の供給を許容する。
【0027】
前記パイロットポンプ18は、前記メインポンプ12とともに前記エンジン10の出力軸に連結され、当該エンジン10により駆動されることにより、パイロット用油を吐出する。すなわち、前記パイロット圧を発生させる。
【0028】
前記リモコン弁20は、前記パイロットポンプ18と前記一対のパイロットポート17A,17Bとの間に介在し、当該パイロットポンプ18から当該パイロットポート17A,17Bへのパイロット圧の供給を許容する許容状態と遮断する遮断状態とに切換えられる。前記パイロットライン22は、前記リモコン弁20の一次側ポートと前記パイロットポンプ18の吐出口とを結ぶように設けられる。また、当該リモコン弁20は一対の二次側ポートを有し、これらの二次側ポートがパイロット圧供給ライン21A,21Bをそれぞれ介して前記一対のパイロットポート17A,17Bに接続される。
【0029】
前記リモコン弁20は、操作部材である操作レバー20aと、この操作レバー20aに接続される弁本体20bと、を有する。前記操作レバー20aは、これを回動させる操作を受けることが可能であり、この操作は、前記パイロットポート17A,17Bへの前記パイロット圧の供給を指令するためのパイロット指令操作に相当する。前記弁本体20bは、前記操作レバー20aへの前記パイロット指令操作の付与に連動して開弁する。具体的には、前記一対のパイロットポート17A,17Bのうち前記パイロット指令操作の方向に対応したパイロットポートに対して前記パイロットポンプ18から前記パイロット圧供給ライン21A,21Bを通じて当該パイロット指令操作の操作量に対応した大きさのパイロット圧が供給されることを許容するように、前記弁本体20bが開弁する。
【0030】
なお、本発明に係るパイロット操作器は前記リモコン弁20に限定されない。当該パイロット操作器は、例えば、回動操作を受けることによりその操作に応じた電気信号を生成して出力する電気レバー装置と、この電気レバー装置が出力する電気信号または当該電気信号に基いてコントローラが出力する指令信号の入力を受けることによりパイロット油圧源からパイロットポートに入力されるパイロット圧を変化させる電磁比例減圧弁と、の組み合わせに基づくものでもよい。
【0031】
前記アキュムレータ24は、前記パイロットライン22に接続され、当該パイロットライン22を流れるパイロット用油の流入を受けることにより、蓄圧を行う。
【0032】
前記リリーフ弁26は、前記パイロットライン22とタンクTとの間に介在し、当該パイロットライン22内の圧力が予め設定された圧力(リリーフ圧)に達したときに開弁する。この開弁により、当該パイロットライン22内の圧力が前記リリーフ圧以下の圧力に制限される。前記チェック弁28は、前記パイロットライン22において前記アキュムレータ24と前記リリーフ弁26との間の位置に設けられ、当該パイロットライン22におけるパイロット用油の逆流、すなわち前記リモコン弁20から前記リリーフ弁26に向かう流れ、を阻止する。
【0033】
前記アンロード弁30は、前記パイロットポンプ18の負荷をなくすアンロード制御を行うために設けられる弁であって、前記アキュムレータ24と前記パイロットポンプ18との間に介在するように、より詳しくは当該アキュムレータ24と前記リリーフ弁26との間に介在するように、前記パイロットライン22に設けられる。この実施の形態に係るアンロード弁30は、ソレノイド31を有する2位置電磁切換弁からなり、当該ソレノイド31に入力される信号に応じてオンロード位置30aとアンロード位置30bとに切換えられる。アンロード弁30は、前記オンロード位置30aでは前記パイロットライン22を開通して前記パイロットポンプ18から前記リモコン弁20へのパイロット圧の供給を可能にし、前記アンロード位置30bでは、前記パイロットライン22を遮断して前記パイロットポンプ18をタンクに連通する。すなわち、パイロットポンプ18から吐出されるパイロット用油をタンクTに逃がすことにより当該パイロットポンプ18の運転を実質上無負荷の運転にする。
【0034】
前記パイロット圧検出器32A,32Bは、それぞれ、前記パイロット圧供給ライン21A,21B内の圧力Pa,Pbを検出する。つまり、これらのパイロット圧検出器32A,32Bは、前記パイロットポート17A,17Bにそれぞれ供給されるパイロット圧の有無をそれぞれ検出することが可能な圧力センサであり、従って、前記パイロット指令操作の有無を検出する指令操作検出器に相当する。
【0035】
本発明に係る指令操作検出器は、前記パイロット圧検出器32A,32Bに限定されない。当該指令操作検出器は、例えば、前記操作レバー20aの実際の操作量を検出するセンサや当該操作量が一定以上となった時点でオンオフ切換されるスイッチ(例えばリミットスイッチ)であってもよい。また、パイロット操作器が前記電気レバー装置を具備する場合には当該電気レバー装置が出力する電気信号を検出するものでもよい。
【0036】
前記エンジン回転数検出器34は、前記両ポンプ12,18を駆動する前記エンジン10の回転数Neを検出し、前記稼働時間検出器36は、作業機械の累積稼働時間、例えば、当該作業機械の使用が開始されてからの前記エンジン10の稼働時間の累積値、を検出する。
【0037】
前記コントローラ40は、前記アンロード弁30の位置の切換を行うことにより、前記パイロットポンプ18についてのアンロード制御を行う。具体的に、このコントローラ40は、
図2に示すようなアンロード制御部42、操作頻度算定部44、アンロード切換設定時間調整部46及びオンロード切換設定時間調整部48を有する。
【0038】
前記アンロード制御部42は、前記パイロット圧検出器32A,32Bから入力される検出信号に応じて次のようなアンロード弁30の切換操作を行う。
【0039】
(A)前記パイロット指令操作がなされている操作状態が検出されている期間(具体的には、前記パイロット圧検出器32A,32Bのいずれかが一定以上のパイロット圧を検出している期間)、及び、前記パイロット指令操作のない非操作状態の検出が開始された時点(具体的には、前記パイロット圧検出器32A,32Bの双方が一定以上のパイロット圧を検出しなくなった時点)から、アンロード切換設定時間TUが経過するまでの期間は、前記アンロード弁30を前記オンロード位置30aにする。前記アンロード切換設定時間TUは、その時間だけ前記非操作状態が継続すればアキュムレータ24での蓄圧が完了するであろうと推定できる時間である。このアンロード切換設定時間TUは、予め決められた一定の時間でもよいが、この実施の形態では、後述のように前記アンロード切換設定時間調整部46によりさらに適正な時間に調整される。前記アンロード切換設定時間TUの経過の判定は、前記アンロード制御部42が内蔵する計時手段である第1タイマのカウントにより、行われる。
【0040】
(B)前記非操作状態の検出が開始されてから当該非操作状態が前記アンロード切換設定時間TUだけ継続した時点で前記アンロード弁30を前記アンロード位置に切換える。
【0041】
(C)前記非操作状態が前記アンロード切換設定時間TUだけ継続することにより前記アンロード弁30を前記アンロード位置に切換えた時点からさらに前記非操作状態がオンロード切換設定時間TOだけ継続した時点で前記アンロード弁30を前記オンロード位置に切換える。前記オンロード切換設定時間TOは、その時間だけさらに前記非操作状態が継続すると今度は前記アキュムレータ24やその周囲のバルブ(例えばリモコン弁20)のシール部からの油の漏れによって前記アキュムレータ24の圧力が一定以上低下するであろうと推定できる時間である。このオンロード切換設定時間TOは、予め決められた一定の時間でもよいが、この実施の形態では、後述のように前記オンロード切換設定時間調整部48によりさらに適正な時間に調整される。当該オンロード切換設定時間TOの経過の判定は、前記アンロード制御部42が内蔵する計時手段である第2タイマのカウントにより、行われる。
【0042】
つまり、この実施の形態に係るアンロード制御部42は、前記非操作状態の継続時間によって前記アキュムレータ24内の蓄圧状態が推定可能であることから、当該継続時間に基いて前記アンロード弁30の切換すなわちアンロード制御を実行する。
【0043】
前記操作頻度算定部44は、前記アンロード切換設定時間調整部46によるアンロード切換設定時間TUの調整のために用いられる操作頻度Foを算定する。この操作頻度Foは、前記非操作状態になるまでに前記パイロット指令操作が前記操作レバー20aに与えられる頻度である。この実施の形態に係る操作頻度算定部44は、前記パイロット圧検出器32A,32Bにより検出される圧力Pa,Pbのいずれか一方が予め設定された圧力設定値Po以上となる(すなわちPa≧PoまたはPb≧Poとなる)頻度を演算する。具体的に、当該操作頻度算定部44は、適当な単位時間(この実施の形態では60秒)のうち前記圧力Pa,Pbのいずれか一方が前記圧力設定値Po以上となった時間To(s)を求めるとともに、次式(1)に基いて操作頻度Foを算定する。
【0044】
Fo=To/60 …(1)
この操作頻度Foの算定は前記パイロット圧Pa,Pbに基づくものに限られない。例えば、前記メインポンプ12が可変容量型ポンプであって、その容量が前記操作レバー20aの操作量に応じて変更される(いわゆるポジティブコントロールが行われる)場合に、当該メインポンプ12の作動頻度から前記操作頻度Foが推算されることも、可能である。
【0045】
前記アンロード切換設定時間調整部46は、前記アンロード制御部42における前記アンロード制御で用いられるアンロード切換設定時間TUの調整を行う。具体的に、当該アンロード切換設定時間調整部46は、次式(2)に基いて前記アンロード切換設定時間TUの算定を行う。
【0046】
TU=Su×Fo×Cwu×Tf …(2)
この(2)式において、Tfはアキュムレータ24に作動油をフル充填するために要する充填所要時間(s)であり、次式(3)により与えられる。
【0047】
Tf=60×Vc/(η×q×Ne) …(3)
ここで、Vcはアキュムレータの容量(cc)、ηはパイロットポンプ18の容積効率、qはパイロットポンプ18の容量(cc/rev)である。
【0048】
また、前記(2)式において、Suは安全係数、Cwuは前記稼働時間検出器36により検出される累積稼働時間Twに基いて決定される補正係数である。
【0049】
従って、前記(2)式に基づくアンロード切換設定時間TUの設定は、当該アンロード切換設定時間TUの調整であって(i)操作頻度Foに基づく調整、(ii)エンジン回転数Neに基づく調整、及び(iii)累積稼働時間Twに基づく調整、を含んでいる。具体的には次のとおりである。
【0050】
(i)操作頻度Foに基づく調整
(2)式で明らかなとおり、前記操作頻度Foが高いほどアンロード切換設定時間TUが長くなるように、当該アンロード切換設定時間TUの調整が行われる。この調整は、当該操作頻度Foが高いほど、つまり、非操作状態の検出が開始される直前まで前記リモコン弁20の操作レバー20aに頻繁にパイロット指令操作が与えられることで当該リモコン弁20の開弁の頻度が高いほど、アキュムレータ24に作動油を充填するために必要な時間が長くなり、逆に当該操作頻度Foが低いほど前記非操作状態検出開始時において既にアキュムレータ24に導入されている作動油の量が多いことを考慮したものである。
【0051】
なお、この操作頻度Foによる調整は、適宜省略可能である。例えば、当該操作頻度Foがアキュムレータ24への作動油の充填に要する時間に与える影響が小さい場合は、当該操作頻度Foによる調整は省略されてもよい。あるいは、当該操作頻度Foが高いことを前提に前記安全係数Suとして比較的大きな値が設定されてもよい。
【0052】
(ii)エンジン回転数Neに基づく調整
(3)式に示されるとおり、(2)式に含まれる充填所要時間Tfはエンジン回転数Neに基いて算定され、当該エンジン回転数Neが高いほど短い充填所要時間Tfが算定される。従って、(2)式に基づくアンロード切換設定時間TUの算定は、前記エンジン回転数Neが高いほど前記アンロード切換設定時間TUが短くなるような当該アンロード切換設定時間TUの調整を含む。この調整は、前記エンジン回転数Neに応じて変化する前記パイロットポンプ18の実際の吐出流量を加味した、より適正なアンロード切換設定時間TUの設定を可能にする。
【0053】
なお、パイロット指令操作が行われる時のエンジン回転数Neが一定である場合は、前記調整が不要であることはいうまでもない。当該エンジン回転数Neが変動する場合でも、前記調整に代えて、前記エンジン回転数Neが低いことを前提にして前記安全係数Suに比較的大きな値が与えられてもよい。
【0054】
(iii)累積稼働時間Twに基づく調整
前記アンロード切換設定時間調整部46は、前記累積稼働時間Twに基づき、前記(2)式に含まれる補正係数Cwuを演算する。この補正係数Cwuは、次の(4)式によって算定される。
【0055】
Cwu=2−exp(−a
1×Tw) …(4)
ここでa
1は係数である(a
1>0)。従って、アンロード切換設定時間調整部46は、前記累積稼働時間Twが長いほどアンロード切換設定時間TUが長くなるように、当該アンロード切換設定時間TUの調整を行う。この調整は、当該累積稼働時間Twが長いほど、つまり、作業機械の使用が開始されてから現在に至るまでのシール材等の経年変化が大きくてパイロット用油の漏れが生じやすいほど、アキュムレータ24に作動油を充填するために必要な時間が長くなることを考慮したものである。
【0056】
この累積稼働時間Twに基づく調整も、適宜省略されることが可能である。
【0057】
前記オンロード切換設定時間調整部48は、前記アンロード制御部42によるアンロード制御で用いられるオンロード切換設定時間TOの調整を行う。具体的に、当該アンロード切換設定時間調整部46は、次式(2)に基いて前記オンロード切換設定時間TOの算定を行う。
【0058】
TO=SO×Cwo×Th …(5)
この(2)式において、SOは安全係数、Thは漏れ推定時間(s)であって前記油の漏れ等によってアキュムレータ24内の作動油の量が半分になるまでに費やすと予想される時間である。当該漏れ推定時間Thは、アキュムレータ24からの最大漏れ流量をQ(cc/s)とすると次式(6)により与えられる。
【0059】
Th=Vc/(2×Q) …(6)
また、前記(5)式において、Cwoは前記稼働時間検出器36により検出される累積稼働時間Twに基いて決定される補正係数であり、この補正係数Cwoは、次の(7)式によって算定される。
【0060】
Cwo=exp(−a
2×Tw) …(7)
ここでa
2は係数である(a
2>0)。従って、オンロード切換設定時間調整部48は、前記累積稼働時間Twが長いほどオンロード切換設定時間TOが短くなるように、当該オンロード切換設定時間TOの調整を行う。この調整は、当該累積稼働時間Twが長くてシール材等の経年変化が大きいほど、パイロット用油の漏れによるアキュムレータ24内の作動油の減少速度が高くなることを考慮したものである。
【0061】
次に、この第1の実施の形態に係る装置の作用を説明する。
【0062】
まず、リモコン弁20の操作レバー20aにパイロット指令操作が与えられると、当該リモコン弁20が開弁し、前記パイロットポンプ18からコントロールバルブ16のパイロットポート17Aまたはパイロットポート17Bへのパイロット圧の供給を許容する。その一方、前記操作レバー20aに前記パイロット指令操作が与えられていない非操作状態では、当該リモコン弁20が閉じるため、アンロード弁30がオンロード位置30aにあるとすると、パイロットポンプ18から吐出されるパイロット用油はアキュムレータ24に導入されて充填される。
【0063】
ここで仮に、前記アンロード弁30がない場合、あるいは、当該アンロード弁30の位置が前記オンロード位置30aに固定されている場合、を想定すると、これらの場合には前記アキュムレータ24への作動油のフル充填が完了してパイロットライン22内の圧力がリリーフ弁26の設定圧(リリーフ圧)に達した時点で当該リリーフ弁26が開き、余剰の油をタンクTに逃がすリリーフ動作を行うことになる。このリリーフ動作は、パイロットライン22内に前記リリーフ圧を立てたまま余剰油を逃がすものであるため、当該パイロットライン22内のパイロット用油がもつエネルギーは少なからず熱エネルギーとして浪費されてしまう。
【0064】
コントローラ40は、このようなエネルギーの損失を抑えるべく、換言すれば、パイロットポンプ18の負荷を軽減すべく、アンロード弁30を適当なタイミングでアンロード位置30bに切換えるアンロード制御を行う。しかも、その切換のタイミングの決定は、従来のようにアキュムレータ圧の検出結果に依存するのではなく、パイロット圧検出器32A,32Bにより検出される圧力Pa,Pbに基づく操作状態/非操作状態の判定と、当該非操作状態の継続時間と、に基いて行われる。当該決定は、前記非操作状態の継続時間から前記アキュムレータ24における作動油の充填状態を推定するというコンセプトに基づく。
【0065】
具体的に、前記コントローラ40は、
図3のフローチャートに示される演算制御動作を行う。コントローラ40は、初期設定を行った後(ステップS1)、リモコン弁20に与えられるパイロット指令操作の有無の判定、すなわち、当該リモコン弁20が操作状態にあるか非操作状態にあるかの判定、を行う。具体的に、この実施の形態に係るコントローラ40のアンロード制御部42は、ステップS2,S3において、各パイロット圧検出器32A,32Bが検出するパイロット圧供給ライン21A,21B内の圧力Pa,Pbと、予め与えられた圧力設定値Poとの対比に基づき、前記操作状態/非操作状態の判定を行う。
【0066】
前記圧力Pa,Pbのいずれか一方が前記圧力設定値Po以上の場合(ステップS2でYESまたはステップS3でYES)、すなわち、前記パイロットポート17A,17Bのいずれかに十分なパイロット圧が与えられていてリモコン弁20が操作状態にあると判定することが可能な場合、アンロード制御部42は、内蔵する前記第1及び第2タイマのカウントをいずれもリセットして(ステップS4)アンロード弁30をオンロード位置30aに維持する。従って、パイロットポンプ18からリモコン弁20を通じてのコントロールバルブ16へのパイロット圧の供給が支障なく行われる。
【0067】
その一方、前記圧力Pa,Pbの双方が前記圧力設定値Po未満となった時点(ステップS2,S3でともにNO)、つまりコントロールバルブ16にパイロット圧が与えられなくなってリモコン弁20が非操作状態に移行したと判断し得る時点で、アンロード制御部42は、当該時点からの経過時間T1を計測するための第1タイマによるカウントを開始する(ステップS6)。
【0068】
この計測時間T1がアンロード切換設定時間TUに達した時点、つまり前記非操作状態の検出が開始されてから前記アンロード切換設定時間TUが経過した時点で(ステップS7でYES)、アンロード制御部42は、この時点からのさらなる経過時間の計測のための第2タイマによるカウントを開始する(ステップS8)とともに、当該第2タイマにより計測される時間T2がオンロード切換設定時間TOに達するまでの間は(ステップS9でNO)アンロード弁30をアンロード位置30bにする(ステップS10)。これにより、パイロットポンプ18が吐出する油はリリーフ弁26の開弁を伴うことなく前記アンロード弁30を通じてタンクTに逃がされ、パイロットポンプ18の運転は実質上無負荷運転となる。これにより、前記リリーフ弁26の開弁による動力の浪費が防がれる。しかも、この切換は前記非操作状態の開始からアンロード切換設定時間TUが経過した後に行われるので、アキュムレータ24への十分な作動油の充填が保障される。
【0069】
前記アンロード切換設定時間TUには、前記アンロード切換設定時間調整部46により調整されたものが用いられるが、この調整は、前記第1タイマによる計測が開始された時点で行われてもよいし、比較的長い周期で行われてもよい(特に稼働時間Twによる調整)。あるいはリアルタイムで行われてもよい(特にエンジン回転数Neに基づく調整)。
【0070】
前記のようにしてアンロード弁30がアンロード位置30bに切換えられてから第2タイマにより計測される時間T2が前記オンロード切換設定時間TOに達した時点(ステップS9でYES)、つまり、アキュムレータ24内の作動油が半減したと予測される時点、でアンロード制御部42は第1及び第2タイマをリセットして(ステップS11)アンロード弁30をオンロード位置30aに復帰させる(ステップS5)。これにより、アキュムレータ24内への作動油の再充填が開始される。
【0071】
ここで用いられる前記オンロード切換設定時間TOの前記オンロード切換設定時間調整部48による調整も、前記第2タイマによる計測が開始された時点で行われてもよいし、比較的長い周期で行われてもよい(特に稼働時間Twによる調整)。
【0072】
以上のように、この装置によれば、従来の装置のようにアキュムレータの圧力の検出結果に依存することなく、パイロット指令操作のない非操作状態の検出の継続時間に基いてアンロード切換の判断を行うことができ、これにより、適正なアンロード切換を行ってリリーフ弁の開弁に伴うエネルギー損失を有効に抑止することができる。
【0073】
このことは、前記指令操作検出器(
図1ではパイロット圧検出器32A,32B)と、アキュムレータ24の作動圧力であるアキュムレータ圧Pcを検出するアキュムレータ圧検出器との併用を妨げるものではない。当該併用を含む場合でも、アンロード状態への切換の判断が基本的に前記非操作状態の継続時間に基いて行われる以上、前記アキュムレータ圧力検出器が故障したときに当該故障がアンロード制御に与える影響は少ない。
【0074】
図4は、前記併用を含む第2の実施の形態に係る油圧制御装置を示す回路図である。この装置は、
図1に示される装置に含まれる構成要素に加え、前記アキュムレータ圧Pcを検出するアキュムレータ圧検出器38を備える。具体的に、このアキュムレータ圧検出器38は、前記アキュムレータ圧Pcに相当する電気信号であるアキュムレータ圧検出信号を生成し、出力する。
【0075】
また、
図4に示される装置は、
図1に示されるコントローラ40に代えてコントローラ40Aを備える。このコントローラ40Aは、前記アキュムレータ圧検出器38により生成されるアキュムレータ圧検出信号を取り込むことにより、さらに適正なアンロード制御を実行する。
【0076】
具体的に、この第2の実施の形態に係るコントローラ40Aは、前記第1の実施の形態に係るコントローラ40と同様に
図5に示すようなアンロード制御部42、操作頻度算定部44、アンロード切換設定時間調整部46及びオンロード切換設定時間調整部48を有するとともに、当該第1の実施の形態に係るコントローラ40がもつ機能に加え、次の機能を有する。
【0077】
(I)コントローラ40Aのアンロード制御部42は、
図6に示されるように、アキュムレータ圧Pcが予め設定された切換許容圧力Pcoに満たない場合には(
図6のステップS12でNO)、非操作状態の継続時間にかかわらずアンロード弁30をオンロード位置30aに保つ。これにより、さらに実状に即したアンロード制御が実行される。
【0078】
(II)コントローラ40Aのアンロード切換設定時間調整部46は、前記アキュムレータ圧Pcが高いほど前記アンロード切換設定時間TUが短くなるように当該アンロード切換設定時間TUを調整する。この調整は、例えば次式(8)に基づく(二次調整後の)アンロード切換設定時間TUaの算定により、行うことが可能である。
【0079】
TUa=TU×(1−Pc/Pcf) …(8)
ここで、TUは前記(2)式により与えられる(一次調整後の)アンロード切換設定時間、Pcfは作動油がフル充填されたときのアキュムレータ24の圧力(充填圧力)である。
【0080】
従って、この第2の実施の形態に係るアンロード切換設定時間調整部46は、アキュムレータ充填圧力Pcfに対して検出されたアキュムレータ圧Pcが低いほど長いアンロード切換設定時間TUを設定する。一方、当該アキュムレータ圧Pcがアキュムレータ充填圧力Pcfと同等の場合には調整後アンロード切換設定時間TUaを0にする。つまり、この場合、アンロード制御部42は、非操作状態が検出された時点で直ちにアンロード弁30をアンロード位置30bに切換え、これによりリリーフ弁26の無駄な開弁を防ぐ。