(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。初めに、本願の通信システムを適用する装置の一例として電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略する場合がある)について説明する。
(装着装置10の構成)
図1に示すように、装着装置10は、装置本体11と、装置本体11に一体的に設けられる一対の表示装置13と、装置本体11に対して着脱可能に設けられる供給装置15,16とを備える。本実施形態の装着装置10は、
図3に示す制御装置80の制御に基づいて、装置本体11内に収容される搬送装置21にて搬送される回路基板17に対して電子部品(図示略)の装着作業を実施する装置である。なお、本実施例では、
図1に示すように、搬送装置21により回路基板17が搬送される方向(
図2における左右方向)をX軸方向、回路基板17の搬送方向に水平でX軸方向に対して直角な方向をY軸方向と称し、説明する。
【0013】
装置本体11は、X軸方向の一端側でY軸方向における両端部に表示装置13を各々備える。各表示装置13は、タッチパネル式の表示装置であり、電子部品の装着作業に関する情報が表示される。また、装置本体11は、Y軸方向の両側から挟むようにして装着される供給装置15,16を備える。供給装置15は、フィーダ型の供給装置であり、各種の電子部品がテーピング化されリールに巻回させた状態で収容されるテープフィーダ15Aを複数有している。供給装置16は、トレイ型の供給装置であり、複数の電子部品が載置された部品トレイ16A(
図2参照)を複数有している。
【0014】
図2は、装置本体11の上部カバー11A(
図1参照)を取り除いた状態で装着装置10を上方(
図1における上側)からの視点において示した概略平面図である。
図2に示すように、装置本体11は、上記搬送装置21と、回路基板17に対して電子部品を装着する装着ヘッド22と、その装着ヘッド22を移動させる移動装置23とを基台20の上に備える。
【0015】
基台20は、Y軸方向の各側面部に供給装置15,16が接続されている。各供給装置15,16は、供給する電子部品の不足や電子部品の種類の変更等に対応するべく、基台20に着脱可能とされている。搬送装置21は、基台20におけるY軸方向の略中央部に設けられており、1対のコンベアベルト31と、コンベアベルト31に保持された基板保持装置32と、基板保持装置32を移動させる電磁モータ33とを有している。基板保持装置32は回路基板17を保持する。電磁モータ33は、出力軸がコンベアベルト31に駆動連結されている。電磁モータ33は、例えば、回転角度を精度良く制御可能なサーボモータである。搬送装置21は、電磁モータ33の駆動に基づいてコンベアベルト31が周回動作を行うことで、基板保持装置32とともに回路基板17がX軸方向に移動する。
【0016】
装着ヘッド22は、回路基板17と対向する下面に電子部品を吸着する吸着ノズル41を有する。吸着ノズル41は、
図3に示す正負圧供給装置42を介して負圧エア、正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する。また、
図3に示すように、装着ヘッド22は、吸着ノズル41を昇降させるノズル昇降装置43及び吸着ノズル41を軸心回りに自転させるノズル自転装置44を有しており、保持する電子部品の上下方向の位置及び電子部品の保持姿勢が制御装置80からの制御に基づいて変更される。ノズル昇降装置43は、駆動源として電磁モータ43Aを備える。また、装着ヘッド22は、保持する電子部品の上下方向の位置を検出するための位置検出センサ45を有している。
【0017】
また、装着ヘッド22は、パーツカメラ46及びマークカメラ47の2つの撮像装置を有する。パーツカメラ46及びマークカメラ47は、例えば、CMOSセンサ、CCDセンサ等の撮像素子が内蔵されている。パーツカメラ46は、吸着ノズル41の先端部を側面側(例えば、
図2におけるY方向から視た側面側)から撮像可能な位置に設けられている。パーツカメラ46は、各供給装置15,16から吸着ノズル41に吸着保持された電子部品を撮像する。マークカメラ47は、装着ヘッド22の下方に向いた状態で回路基板17が撮像可能な位置に固定されている。マークカメラ47は、回路基板17の基準位置マークや電子部品の実装状態等を撮像する。なお、吸着ノズル41は、装着ヘッド22に対し着脱可能であり、電子部品のサイズ、形状等に応じて変更できる。また、装着ヘッド22は、複数の吸着ノズル41を備え実装の状態に応じて吸着ノズル41を変更できる構成としてもよい。
【0018】
また、装着ヘッド22は、
図2に示す移動装置23によって基台20上の任意の位置に移動する。詳述すると、移動装置23は、装着ヘッド22をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構50と、装着ヘッド22をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構52とを備える。X軸方向スライド機構50は、X軸方向に移動可能に基台20上に設けられたX軸スライダ54と、駆動源として電磁モータ56とを有している。X軸スライダ54は、電磁モータ56の駆動に基づいてX軸方向の任意の位置に移動する。
【0019】
Y軸方向スライド機構52は、Y軸方向に移動可能にX軸スライダ54の側面に設けられたY軸スライダ58と、駆動源としての電磁モータ60とを有している。Y軸スライダ58は、電磁モータ60の駆動に基づいてY軸方向の任意の位置に移動する。装着ヘッド22は、Y軸スライダ58に取り付けらており、移動装置23の駆動にともなって基台20上の任意の位置に移動する。これにより、マークカメラ47は、装着ヘッド22が移動させられることで回路基板17の任意の位置の表面が撮像可能となる。また、装着ヘッド22は、Y軸スライダ58にコネクタ48を介して取り付けられワンタッチで着脱可能であり、種類の異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッド等に変更できる。
【0020】
(装着装置10に適用される通信システム)
図3に示すように、本実施形態の装着装置10は、装着装置10の制御装置80と制御装置80以外の部分(各種装置)との間のデータ通信に光無線の多重化通信を用いる構成となっている。なお、
図3に示す装着装置10の構成は、通信システムを適用する場合の一例であり、装着装置10が備える装置の種類や数等に応じて適宜変更される。また、本願の通信システムは、装着装置10に例示される電子部品装着装置の他に、様々な製造ラインにおいて稼働する自動機などに適用可能なシステムである。
【0021】
図3に示すように、制御装置80は、CPU等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ82と、画像ボード84と、駆動制御ボード85と、I/Oボード86とを備える。コントローラ82は、各ボード84,85,86を制御して各種装置とデータ伝送を実行する。光無線装置91,92は、光無線による通信によって確立される伝送路95を通じてデータ伝送を行う。各ボード84,85,86は、光無線装置91に接続されており、各ボード84,85,86の入出力データが光無線装置92との間で伝送される。光無線装置92は、例えば移動装置23に内蔵されており、各種装置(カメラ、モータ、センサ等)が接続されている。
図2に示すように、移動装置23には、制御装置80に接続される光無線装置91の受発光部93に対向して、光無線装置92の受発光部94が設けられている。受発光部94は、光無線装置91側の受発光部93との間で光軸が一致するように移動装置23のX軸スライダ54に固定されている。これにより、受発光部93,94(光無線装置91,92)間で各種情報通信が可能とされている。
【0022】
図3に示す画像ボード84は、画像データの入出力を制御するボードである。装着ヘッド22のパーツカメラ46及びマークカメラ47は、撮像された画像データを光無線装置92に出力する。光無線装置92は、パーツカメラ46及びマークカメラ47から出力された画像データに対し画像処理部71(
図4参照)により各種の画像処理し実行し、処理結果の画像データを制御装置80の画像ボード84に向けて送信する。駆動制御ボード85は、電磁モータに対する動作指令や電磁モータからリアルタイムにフィードバックされる情報等の入出力を制御するボードである。例えば、コントローラ82は、駆動制御ボード85を介して電磁モータ43Aにより取得されるトルク情報や位置情報(吸着ノズル41に保持される電子部品の上下位置)などのサーボ制御情報を受信する。I/Oボード86は、位置検出センサ45の出力信号等のI/O信号を制御するボードである。これら制御装置80に各装置から入力されるデータは、光無線装置92により多重化された上で光無線信号として伝送路95を伝送される。光無線装置91は、伝送された多重化信号の多重化を解除し個々のデータに分離する処理を行う。光無線装置91は、分離されたデータのうち、画像データを画像ボード84に、サーボ制御情報を駆動制御ボード85に、I/O信号をI/Oボード86に転送する。
【0023】
一方で、コントローラ82は、光無線装置91により受信された各データを処理する。コントローラ82は、例えば処理結果に基づいた電磁モータ43Aに対する制御信号を、駆動制御ボード85を介して光無線装置91に出力する。光無線装置92は、光無線装置91から伝送される制御信号をノズル昇降装置43に送信する。電磁モータ43Aは制御信号に基づいて動作する。また、コントローラ82は、例えば表示装置13の表示を変更する制御信号をI/Oボード86、光無線装置91,92を介して表示装置13に送信する。このように、制御装置80と制御装置80以外の各装置とで送受信される各種情報は、伝送路95上を多重化されたデータ、例えば時分割多重(TDM)方式のフレームデータとして送受信される。多重化通信は、例えば、データ転送レートが3GBPS、1フレームが8nsec、1フレームのビット数が24ビットである。
【0024】
以下の説明では、上記した多重化通信を用いて電子部品の装着を実施する装着装置10に適用して好適な画像処理が実行可能な通信システムについて説明する。また、光無線装置92に接続されたパーツカメラ46及びマークカメラ47から光無線装置91に接続された画像ボード84に向けたデータ伝送について主として説明する。
【0025】
図4は、装着装置10における通信システムの画像処理に係る部分を説明するための概略構成図である。
図4に示すように、光無線装置92は、画像処理部71と、バッファ部72と、誤り処理部74と、多重化装置75と、検出選択部76と、メモリ部77とを備える。また、無線装置91は、多重化装置78と、誤り処理部79とを備える。パーツカメラ46及びマークカメラ47の各々で撮像された画像データ(以下、「第1画像データ」という)G1は、バッファ部72に一時的に蓄えられタイミングを調整して画像処理部71に入力される。画像処理部71は、バッファ部72から入力される第1画像データG1に対し画像処理を実行し、処理結果の画像データ(以下、「第2画像データ」という)G2を誤り処理部74に出力する。第2画像データG2は、第1画像データG1に比べてデータ量が低減される。例えば、画像処理部71は、第1画像データG1に対してエッジ検出処理や2値化処理等を実行することによって、第2画像データG2のデータ量が第1画像データG1に比べて低減される。
【0026】
ここでいうエッジ検出処理とは、回路基板17の基準位置マーク及び電子部品等の外縁のエッジを検出する処理である。また、2値化処理とは、第1画像データG1に対し、例えば撮像された電子部品が占める領域を検出して白黒の2値の二次元画像データとする処理である。ここで、エッジ検出処理や2値化処理を施す際に、各カメラ46,47の感度が機種に応じて異なることによって適切な検出及び処理ができない場合がある。これは、各カメラ46,47の機種が異なると内蔵されるCMOSセンサ等の撮像素子が異なる場合があり、撮像素子毎に感度が相異してくるからである。そのため、画像処理部71は、コントローラ82におけるエッジ検出等の前処理として第1画像データG1に対し各カメラ46,47の感度に応じた画素値の変換処理を実施する。画像処理部71は、例えば、第1画像データG1の各画素値を、予め入力値と出力値との変換データが設定されたルックアップテーブルを用いて変換するとともにビット圧縮を図る階調圧縮処理を実行する。画像処理部71は、例えば、ルックアップテーブルを用いて1画素が10ビットの白黒の第1画像データG1を1画素が8ビットの第2画像データG2に変換する。このルックアップテーブルは、例えば、装着ヘッド22が備える吸着ノズル41の先端部を照らす照明装置(図示略)を駆動させた状態、即ち実際の使用環境に近い状態の明るさとした環境で各カメラ46,47の機種毎の補正テーブルを予め設定することが好ましい。このため、ルックアップテーブルは、各カメラ46,47の機種と照明装置との組み合わせに応じて設定されることが好ましい。
【0027】
誤り処理部74は、画像処理部71から入力される第2画像データG2に対して誤り訂正符号を付加する処理を実行する。また、誤り処理部74は、ノズル昇降装置43の電磁モータ43Aのトルク情報や位置検出センサ45のI/O信号が入力される。誤り処理部74は、各種装置のデータ種に適した、例えばデータ量や要求されるデータの確実性などに適した誤り訂正符号の付加処理を実行する。誤り処理部74の出力データは、多重化装置75により多重化された上で伝送路95を介して光無線装置91に備えられる多重化装置78に伝送される。多重化装置78は、多重化を解除した個々のデータを誤り処理部79に出力する。誤り処理部79は、入力されるデータの種類に応じた誤り検出・訂正処理を実行する。なお、光無線装置91から光無線装置92に向けたデータの誤り処理についても同様の処理がなされるため、その説明を省略する。誤り処理部79は、処理後の各種データを各ボード84,85,86に出力する。例えば、画像処理部71から送信された第2画像データG2は、画像ボード84に出力される。
【0028】
また、光無線装置92は、検出選択部76とメモリ部77を備える。検出選択部76は、パーツカメラ46及びマークカメラ47から識別情報SIを取得する。識別情報SIは、例えば、カメラの機種や第1画像データG1のデータ量・形式等に係る情報である。また、識別情報SIは、吸着ノズル41の先端部を照らす照明装置の別や、カメラ46,47の機種と照明装置との組み合わせに応じた情報であってもよい。メモリ部77は、装着ヘッド22に搭載可能なパーツカメラ46及びマークカメラ47の候補となる識別情報SIに応じた複数の補正テーブルが記憶されている。メモリ部77は、例えば、第1画像データG1の画素値を階調圧縮処理する複数のルックアップテーブルをパーツカメラ46及びマークカメラ47の機種毎に備える。検出選択部76は、例えば、光無線装置92の起動時にパーツカメラ46及びマークカメラ47から識別情報SIを取得し、識別情報SIの機種に応じたルックアップテーブルをメモリ部77から画像処理部71に読み出す処理を実行する。なお、光無線装置92は、メモリ部77に記憶される補正テーブルが更新可能な構成としてもよい。例えば、光無線装置92は、外部入力端子からのデータに基づいてメモリ部77の補正テーブルが更新される構成としてもよい。また、光無線装置92は、メモリ部77に予め補正テーブルを記憶せず制御装置80から光無線装置91及び伝送路95を介してメモリ部77に補正テーブルを出力する構成としてもよい。
【0029】
上記構成の装着装置10では、基板保持装置32(
図3参照)に保持された回路基板17に対して装着ヘッド22によって電子部品の装着作業が行われる。具体的には、コントローラ82は、搬送装置21を駆動して回路基板17を作業位置まで搬送し、電磁モータ33を停止させて回路基板17を固定的に保持させる。コントローラ82は、移動装置23を駆動して装着ヘッド22を回路基板17上に移動させマークカメラ47により回路基板17を撮像する。画像処理部71は、マークカメラ47から出力される第1画像データG1に対し画像処理(例えば、階調圧縮処理やエッジ検出処理)を実行し、処理結果を第2画像データG2として出力する。コントローラ82は、マークカメラ47から画像処理部71を介して送信される第2画像データG2に基づいて回路基板17の種類及び回路基板17の保持位置の誤差等を取得する。次に、コントローラ82は、基板の種類に対する判定結果に応じた電子部品が供給される供給装置15,16を駆動させ、該当する電子部品を装着ヘッド22への供給位置に送り出す制御を行う。コントローラ82は、移動装置23を駆動させて供給位置に搬送された電子部品を装着ヘッド22の吸着ノズル41により吸着保持させる。
【0030】
次に、装着ヘッド22は、コントローラ82からの制御に基づいて、吸着ノズル41に保持された電子部品の状態をパーツカメラ46により撮像する。画像処理部71は、パーツカメラ46から出力される第1画像データG1に対して画像処理を実行する。画像処理部71は、例えば、パーツカメラ46の第1画像データG1をグレースケールまたは白黒の2値の二次元画像データとして2値化処理する。より具体的には、画像処理部71は、例えば、吸着ノズル41の先端部を側方から撮像した画像(例えば、1画素が10ビット)のうち、吸着ノズル41の先端部より下側に所定の矩形領域を設定する。画像処理部71は、矩形領域内の各画素に対して被吸着物(電子部品)が撮像されている画素か否かの2値化処理を実施する。つまり、各画素のデータを10ビットから2ビットに圧縮する処理を実行する。コントローラ82は、画像処理部71から出力される各画素が2ビットの2値化処理された第2画像データG2に対し、矩形領域内における被吸着物が占める画像の面積を算出する。面積の算出処理は、例えば、被吸着物が占める画像のピクセルの数と分解能(ピクセル間の距離)とに基づいて算出する。コントローラ82は、例えば、予め各電子部品の寸法が設定されており、算出された被吸着物が占める画像の面積とその電子部品に対応する部品の寸法とに基づいて吸着ノズル41に電子部品が正常に吸着されたか否かを判定する。なお、メモリ部77は、各カメラ46,47の機種等に応じた2値化処理に必要な設定情報を補正テーブルとして記憶することが好ましい。この場合、検出選択部76は、例えば、識別情報SIに基づいて2値化処理に最適な設定情報をメモリ部77から画像処理部71に読み込む処理を実行する。また、画像処理部71による2値化処理の内容は、上記内容に限定されず、例えば、矩形領域を設定せずに第1画像データG1のすべての画素値に対し2値化処理を実施し、処理後の1フレームの第1画像データG1を制御装置80に送信する設定としてもよい。
【0031】
コントローラ82は、例えば、電子部品が正常に保持されていると判定した場合に、電子部品の保持位置の誤差を取得する。コントローラ82は、装着ヘッド22を回路基板17上の装着位置に移動させ回路基板17と電子部品との相互の保持位置の誤差に応じて吸着ノズル41を移動あるいは回転させて保持位置を修正した後に電子部品を回路基板17に装着させる。また、コントローラ82は、電子部品が正常に保持されていないと判定した場合に、画像処理部71に向けて画像処理の処理内容を変更する制御信号Sを送信する。画像処理部71は、制御信号Sに基づいて処理内容を例えば2値化処理から画像処理前の第1画像データG1を出力する処理に変更する。
【0032】
ここで、電子部品が吸着ノズル41に正常に保持されていない場合とは、吸着ノズル41の先端に保持される電子部品の上下左右の向きや吸着の方向などが誤っている、あるいは電子部品が吸着ノズル41に吸着されていない等の様々な場合がある。そのため、装着装置10の使用者は、コントローラ82が保持状態の異常を検知した場合に、吸着ノズル41の先端部の実画像を確認する必要が生じる。しかしながら、吸着ノズル41の先端部の実画像は第1画像データG1であり、正常時に伝送される2値化処理された第2画像データG2に比べてデータ量が大きい。そこで、本実施形態の装着装置10は、電子部品が正常に保持されていないと判定した場合に、画像処理部71の処理内容を変更して、パーツカメラ46により取得された第1画像データG1をコントローラ82に向けて送信させる。これにより、異常時の吸着ノズル41の先端の実画像を使用者が視認できるとともに、正常時と異常時とで、画像処理部71から送信される画像データが最適化できる。なお、コントローラ82は、例えば、使用者から実画像を確認した旨の操作が実施された場合に、画像処理部71に向けて2値化処理を開始させる制御信号Sを送信する構成としてもよい。また、画像処理部71は、異常時に受信する制御信号Sに基づいて第1画像データG1に階調圧縮処理を実施して送信する設定としてもよい。また、制御装置80は、異常時に受信する第1画像データG1を外部記憶装置に蓄積する処理を行い使用者が後から発生時間順に確認できる構成としてもよい。
【0033】
以上、上記した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の装着装置10は、装着ヘッド22に保持される電子部品を撮像するパーツカメラ46及び電子部品を実装する回路基板17を撮像するマークカメラ47を備える。パーツカメラ46及びマークカメラ47により撮像された第1画像データG1は、光無線装置92から光無線装置91に向けて送信される。光無線装置91は、第1画像データG1に対してエッジ検出処理や2値化処理を実行し、処理結果を第2画像データG2として出力する画像処理部71を備える。画像処理部71により処理された第2画像データG2は、第1画像データG1に比べてデータ量が低減される。これにより、送信側で光無線装置92において画像処理が実行され第1画像データG1のデータ量が低減されることによって、光無線装置91,92間の伝送路95における転送レートが低減できる。その結果、光無線装置91,92の送受信回路の簡略化、小型化や製造コストの低減を図ることができる。
【0034】
また、装着装置10は、パーツカメラ46及びマークカメラ47を備える装着ヘッド22が、Y軸スライダ58にコネクタ48を介して着脱可能に構成されている。これは、例えば故障が起きた場合に装着ヘッド22をユニットごと交換できるといったメンテナンスの際の利便性が向上できるからである。装着ヘッド22が交換される場合に、交換後の装着ヘッド22に搭載されるパーツカメラ46の機種が設計変更等により交換前の機種と異なる場合がある。つまり、装着装置10は、メンテナンスの利便性が向上される一方で、移動装置23に内蔵される光無線装置92に対してパーツカメラ46及びマークカメラ47の機種が変更される場合がある。その結果、装着装置10は、装着ヘッド22に新たに搭載された各カメラ46,47の機種等に応じて画像処理に必要な補正テーブル(階調圧縮処理のルックアップテーブルなど)を変更し感度を調整する必要が生じる。あるいは、変更後のカメラ46,47が画像処理の機能を備える場合には、この種のカメラ46,47の第1画像データG1に対しては画像処理を不要とする変更が必要となる。これに対し、本実施形態の装着装置10は、装着ヘッド22が接続される光無線装置92に画像処理部71を備えることによって、カメラ機種等に対応すべく必要な補正テーブルを予め備えることが可能となり、装着ヘッド22に搭載可能なカメラの汎用性が向上できる。
【0035】
(2)画像処理部71は、画像処理の内容として、第1画像データG1に対して階調圧縮処理、エッジ検出処理や2値化処理を実行し処理結果を第2画像データG2として出力することによって、送信側の光無線装置92において第1画像データG1のデータ量の低減を図ることができる。
【0036】
(3)光無線装置92のメモリ部77は、第1画像データG1の各画素値に対して階調圧縮処理された処理結果の画素値を対応付ける複数のルックアップテーブルが、パーツカメラ46及びマークカメラ47の機種毎に記憶されている。検出選択部76は、各カメラ46,47の識別情報SIを検出し、検出された識別情報SIに対応するルックアップテーブルをメモリ部77から選択して画像処理部71に読み込む処理を実行する。これにより、画像処理部71は、各カメラ46,47の変更が生じた場合に、各カメラ46,47の機種や使用環境等に適した階調圧縮処理を実行することが可能となる。
【0037】
(4)コントローラ82は、電子部品が正常に保持されていないと判定した場合に、画像処理部71に向けて画像処理の処理内容を変更する制御信号Sを送信する。画像処理部71は、制御信号Sに基づいてエッジ検出処理や2値化処理から画像処理前の第1画像データG1を出力する処理に処理内容を変更する。画像処理部71は、パーツカメラ46により取得された第1画像データG1をコントローラ82に向けて送信する。これにより、使用者が異常時の吸着ノズル41の実画像を視認できるとともに、正常時と異常時とで画像処理部71から送信される第2画像データG2のデータ量が最適化できる。その結果、光無線装置91,92間の伝送路95における転送レートの低減を図ることが可能となる。
【0038】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、光無線による通信を例に説明したが、本願はこれに限定されるものではなく、赤外線や可視光などの他に様々な電磁波を用いた無線通信にも適用できる。また、上記実施形態では多重化された無線通信を例に説明したが、本願はこれに限定されるものではく、多重化を用いない無線通信に適用してもよい。また、本願は、例えば、光ファイバー網を介した光通信にも適用してもよく、あるいは送信側と受信側とに対向する送受信装置がある他の通信にも適用してもよい。
【0039】
上記実施形態では電子部品を回路基板に実装する電子部品装着装置10について説明したが、本願はこれに限定されるものではなく、他の様々な製造ラインにおいて稼働する自動機などに適用することができる。例えば、二次電池(太陽電池や燃料電池など)等の組立て作業を実施する自動機に適用してもよい。この場合、例えば装着ヘッドやアームに保持された組立部品を撮像部が撮像する対象物とし、その画像データ及び処理結果のデータを伝送する通信システムに本願発明を適用してもよい。また、例えば対象物として回路基板17上のはんだの印刷状態を撮像するはんだ検査機(SPI)に適用してもよい。また、例えば対象物として実装後の電子部品を撮像し実装状態を検査する基板外観検査機(AOI)に適用してもよい。また、自動機としては実装や組立を行うものに限らず、例えば切削等を行う工作機械に適用してもよい。この場合、切削加工されるワークや加工後のギア等を撮像する対象物としてもよい。
【0040】
上記実施形態では、光無線装置92に撮像装置(パーツカメラ46及びマークカメラ47)を接続する構成としたが、光無線装置91,92の両無線装置に撮像装置を接続し双方向で画像データを送受信する構成としてもよい。この場合に、無線装置91に光無線装置92と同様の構成を備えることが好ましい。
【0041】
上記実施形態では、画像処理に係る構成(画像処理部71、検出選択部76など)を光無線装置92に備える構成としたが、第2画像データG2を受信する受信側の光無線装置91に画像処理に係る構成を備えた構成としてもよい。このような構成においても装着ヘッド22に搭載可能なカメラの汎用性が向上できる。
【0042】
上記実施形態における画像処理部71の処理内容は一例であり適宜変更してもよい。例えば、画像処理部71は、エッジ検出処理、2値化処理、階調圧縮処理のいずれかのみを実施する構成としてもよい。また、上記実施形態においてコントローラ82側で実施した処理内容の一部を画像処理部71で実施してもよい。例えば、画像処理部71は、第1画像データG1を2値化処理したデータに対し矩形領域内における電子部品が占める画像の面積を算出する処理を実行してもよい。また、画像処理部71は、第1画像データG1のデータ量が低減できる他の処理を実施してもよい。
【0043】
上記実施形態では、特に言及していないが、光無線装置92が備える画像処理部71、誤り処理部74、検出選択部76等は、プロセッサ等の個々の処理回路で構成せずに、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラム可能なロジックデバイスで構成してもよい。
【0044】
また、上記実施形態の装着装置10の構成は一例であり、適宜変更する。例えば装着装置10は、一対の光無線装置91,92を備えたが2以上の複数個を備える構成としてもよい。また、例えば、装着装置10は、光無線装置91,92の位置・接続等は一例であり、他の可動部等に適宜配置を変更した構成としてもよい。また、例えば、装置本体11を複数の移動装置23を備えた構成としてもよい。また、例えば、コンベアベルト31を複数個(複数レーン)備えた構成としてもよい。また、例えば、複数の装着装置10を搬送方向に駆動連結した構成としてもよい。
【0045】
なお、特許請求の範囲の用語との対応関係は以下の通りである。
電子部品装着装置10は、電子部品装着装置の一例として、回路基板17は、基板及び対象物の一例として、装着ヘッド22は、装着ヘッドの一例として、パーツカメラ46及びマークカメラ47は、撮像部の一例として、画像処理部71は、画像処理部の一例として、検出選択部76は、検出選択部の一例として、制御装置80及びコントローラ82は、制御部の一例として、光無線装置91,92は、送信部の一例として、階調圧縮処理のルックアップテーブル及び2値化処理の設定情報は、補正テーブルの一例として、第1画像データG1は、第1画像データの一例として、第2画像データG2は、第2画像データの一例として、制御信号Sは、制御信号の一例として、識別情報SIは、識別情報の一例として、電子部品は、対象物の一例として挙げられる。