特許第6131317号(P6131317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6131317ワークピースを再成形するための方法およびデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131317
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】ワークピースを再成形するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/14 20060101AFI20170508BHJP
   B21D 22/30 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   B21D22/14 Z
   B21D22/30 B
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-506133(P2015-506133)
(86)(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公表番号】特表2015-514588(P2015-514588A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2013054388
(87)【国際公開番号】WO2013156193
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年1月29日
(31)【優先権主張番号】12002781.8
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511305449
【氏名又は名称】ライフェルト メタル スピニング アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LEIFELD METAL SPINNING AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト ニレス
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05031296(US,A)
【文献】 特開2010−214449(JP,A)
【文献】 特開2000−233249(JP,A)
【文献】 特開2002−122210(JP,A)
【文献】 特開2002−122209(JP,A)
【文献】 特開2007−253331(JP,A)
【文献】 特開2008−260042(JP,A)
【文献】 特開2004−025279(JP,A)
【文献】 特開平08−174114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 22/00−22/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸と、半径方向内側領域と、半径方向外側領域とを含むワークピースを再成形するための方法であって、前記ワークピースの前記半径方向内側領域は、軸方向成形部分が形成されるように軸方向にもたらされる延伸プロセスによって、パンチおよびダイによって再成形され、
前記延伸プロセスによる前記再成形の間、前記ワークピースは自身の中心軸の周りを回転するようにされ、
前記延伸プロセスによる前記再成形の間、前記ワークピースの前記半径方向内側領域の方向に材料の流れがもたらされるように、前記ワークピースの前記半径方向外側領域は、回転中に少なくとも1つの成形ローラの作用を受ける、方法。
【請求項2】
前記成形ローラは、前記ワークピースの前記半径方向内側領域の方向に進められる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワークピースの前記半径方向外側領域は、外向きの方向に向けられた前記材料の流れを制限するために周辺が支持される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ワークピースの前記半径方向外側領域は、少なくとも1つの抑制ローラによって抑制される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ワークピースの前記半径方向外側領域は、前記ダイの加圧表面において再成形される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記延伸プロセスの間に、前記ワークピースの前記半径方向内側領域は、平滑化リングによって引っ張り成形される、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記成形ローラによって前記ワークピースを再成形する手順の間に、前記ワークピースの前記半径方向外側領域に定められた構造が形成される、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記パンチは脈動する態様で前記ダイに挿入される、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記成形ローラは付加する態様で前記パンチに対して進められる、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記延伸プロセスが完了すると、前記ワークピースが前記ダイと前記パンチとの間の所定の位置に固定された状態で、特にスピニング、フロー成形、引っ張りフロー成形、分割および/またはプロファイリングによって、さらなる再成形ステップが行われる、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
特に請求項1に記載の方法を実行するための、ワークピースを再成形するためのデバイスであって、延伸プロセスによって前記ワークピースの半径方向内側領域を再成形するためのダイおよびパンチを含み、
前記ダイおよび前記パンチは回転のために装着され、
前記ワークピースの前記半径方向内側領域の方向に材料が流され得るように、延伸によって前記ワークピースを再成形する前記延伸プロセスの間に前記ワークピースの半径方向外側領域が成形ローラの作用を受け得るように、少なくとも1つの成形ローラが配される、デバイス。
【請求項12】
前記ダイは、前記成形ローラに対するスピニングチャックを形成し、かつ環状の加圧表面を有する、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記ワークピースの前記半径方向外側領域に定められた表面構造を成形するために、前記ダイは適切に定められた表面構造を有する加圧表面を含む、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項14】
前記ワークピースの前記半径方向内側領域に定められた輪郭を形成する目的のために、前記ダイおよび/または前記パンチには、適切に定められた輪郭、特に多角形の輪郭および/またはプロファイリングが設けられる、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項15】
1つまたはそれ以上の部品を含む支持リングが提供され、前記支持リングは、前記ワークピースの外部周辺に対して材料の流れを制限するためのストップ面を外向きに提供し、ならびに/または、前記ワークピースをセンタリングする働きおよび/もしくは前記ワークピースにトルクを加える働きをする、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項16】
前記ダイは、前記延伸プロセスの間に前記ワークピースの前記半径方向内側領域を引っ張り成形するための平滑化リングを含む、
請求項11に記載のデバイス。
【請求項17】
前記ダイおよび前記パンチの両方が回転のために駆動され得る、
請求項11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および請求項11の包括項に従う、ワークピースを再成形するための方法およびデバイスに関する。
【0002】
再成形されるワークピースは中心軸と、半径方向内側領域と、半径方向外側領域とを含む。この方法において、ワークピースの半径方向内側領域は、パンチおよびダイによって軸方向に延伸することによって再成形される。これは軸方向に成形された部分を形成する。
【0003】
このデバイスは、延伸によってワークピースの半径方向内側領域を再成形するためのダイおよびパンチを含む。
【背景技術】
【0004】
いわゆる延伸または深絞りプロセスによって説明される再成形方法およびデバイスによって、多くの形状を製造できる。通常その結果として、ワークピースの直径が減少する。再成形の際に起こる応力、特に半径方向の引っ張り応力および接線方向の圧縮応力の結果として、材料の流れが特に複雑になる。
【0005】
延伸または深絞りによって製造される形状は通常、半径方向フランジ部分および軸方向成形部分を含む。本明細書において、特に軸方向成形部分とは、半径方向フランジ部分の面から遠ざかるように突出するワークピースの部分として理解される。
【0006】
半径方向フランジ部分と軸方向成形部分との間の端縁または移行部は、深絞りによって再成形が行われるときの弱点であることが公知である。この領域においてはしばしば材料の脆弱化が起こり、最悪の場合には材料が引き裂けてしまう。たとえば、ワークピースを加熱すること、移行領域において比較的大きい曲げ半径を用いること、および/または延伸プロセスをいくつかの段階に分けて行うことなどによって、再成形プロセスにおける材料の過度の脆弱化が避けられることが公知である。
【0007】
たとえばボウルは、延伸または深絞りによって製造されてもよい。深絞りによる成形は、高い軸方向加圧力を必要とする。
【0008】
延伸または深絞りのさらなる適用分野は、中心ハブを有する歯車装置構成要素の製造である。この方法は、たとえばベルト滑車またはディスクキャリヤの製造などに用いられる。これは、最初にハブを含む予備形状を製造し、次いでその予備形状をフロー成形機またはスピニング機においてさらに成形することを伴う。ワークピースの深絞りによるディスクキャリヤの製造は、たとえば特許文献1に記載されている。
【0009】
開始ワークピースとしての円形ブランクシートにハブを作製するための代替的方法においては、ワークピースの外側領域が圧力ローラによって再成形され、そこから得られる材料が成形されて、ワークピースを貫通するツーリングピンの周りの円筒形の突起にされる。たとえば特許文献2は、ハブを有する歯車装置構成要素の製造のためのこの方法を記載している。
【0010】
特許文献3は、ワークピースの周辺領域に作用するように適合された切断端縁を有するローラによってハブを成形するための方法を記載している。周辺領域から分離された材料は、ローラの封入チャンバ内で成形されてハブにされる。
【0011】
圧力または分割によるハブ製造には、壁の厚さおよびハブの設計に関する制限がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第43 27 746(A1)号
【特許文献2】独国特許発明第44 00 257(C1)号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 997 210(A2)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、特に経済的かつ効率的なやり方での再成形を可能にする、ワークピースを再成形するためのデバイスおよび方法を提供することである。
【0014】
本発明に従うと、この目的は、請求項1に開示される特徴を示す方法と、請求項11に開示される特徴を示すデバイスとによって達成される。好ましい実施形態は、適切な従属請求項に記載される。
【0015】
本発明の方法は、延伸によるワークピースの再成形の間に、ワークピースが自身の中心軸の周りを回転し、かつワークピースが回転する際に、その半径方向外側領域は、ワークピースの半径方向内側領域の方向に材料の流れが誘導または支援されるように少なくとも1つの成形ローラの作用を受けることを特徴とする。
【0016】
本発明に従うと、このデバイスは、回転のためにダイおよびパンチが装着され、かつワークピースが延伸によって再成形されている間にワークピースの半径方向外側領域に作用するように適合された成形ローラが設けられ、その作用によってワークピースの半径方向内側領域の方向に材料の流れがもたらされるように設計される。
【0017】
本発明の基本的な考えは、延伸プロセスの際に、成形ローラによって半径方向外側領域から半径方向内側領域への材料の移動をもたらすか、または支援することである。再成形またはワークピースの半径方向外側領域に対する成形ローラの作用は、半径方向内向きに動く材料の意図的な流れが生じ得るように、すなわち材料が内方に動くことを強制されるようなやり方で行われてもよい。
【0018】
再成形ローラによって生成される材料の流れは、延伸プロセスの材料の流れを支援する。ワークピースの、延伸によって再成形される半径方向内側領域と半径方向外側領域との間の端縁における材料の脆弱化が、実質的に低減される。よってこの方法およびデバイスは、まさにこの移行点に重い負荷がかかるたとえばハブ、滑車、ディスクキャリヤ、またはねじれ振動ダンパなどの歯車装置構成要素の製造に特に好適である。加えて、材料の脆弱化なしに、前記移行点または端縁においてもっと小さい半径を成形することが可能である。さらに、その後材料が内向きに動くことによって、パンチとダイとの間に必要な加圧力を減らすことが可能になる。さらに、再成形ローラの作用は、半径方向外側領域の張力低減に寄与し得るために、波形成の低減にも寄与し得る。
【0019】
本発明の方法のさらなる利点は、再成形ローラによる周辺領域の再成形が、材料の高度の冷間硬化によってもたらされ得ることである。これは特に弾性の構成要素の経済的な製造に通じる。
【0020】
加えて、延伸による半径方向内側領域の再成形によって非常に自由な設計が可能となり、この場合には輪郭が必ずしも回転対称を示さなくてもよく、たとえば多角形の輪郭または波形などが成形され得る。材料の流れが改善されることによって、複雑な形のワークピースを製造することが可能になる。
【0021】
再成形されるワークピースは、特に平坦な材料、特にシート金属板からなっていてもよく、その一次寸法は中心軸に対して直角または半径方向である。たとえば、ワークピースは円形のブランクであってもよい。未処理のワークピースは、好ましくは中心軸に関して少なくとも実質的に回転対称である。
【0022】
ワークピースを延伸するプロセスは、好ましくはパンチとダイとの間の延伸間隙において行われる。このためにダイは中央自由空間または取入れチャンバを有し、その中に、延伸によってワークピースを再成形するためにパンチが入れられる。ダイの取入れチャンバの中にパンチを同軸に入れることによって、再成形が行われる。
【0023】
本発明に従うと、ワークピースは少なくとも特定の処理時間の間、パンチおよびダイによる延伸プロセスの作用と、成形ローラによる作用とを同時に受ける。よってこのデバイスは、ダイおよびパンチ、ならびに成形ローラによるワークピースの同時処理を提供するように構成される。
【0024】
ワークピースを延伸するプロセスは、軸方向成形部分と呼ばれる、ワークピースまたは半径方向外側領域の面から突出する部分を生じる。軸方向成形部分は、たとえばリング形状の壁、特にワークピースの中心軸の周りに延在する円筒形または円錐形の壁などを含んでもよい。軸方向成形部分の生成によって、ワークピースの半径方向周辺部にフランジ部分と呼ばれる半径方向外側領域が形成される。
【0025】
成形ローラは、特に圧力ローラまたはスピニングローラであってもよい。ワークピースに対する作用が半径方向外側領域の厚さを低減させ、このやり方で移動させられた材料は内方に強制される。再成形はワークピースを回転しながら行われる。さらに、材料を厚くするか、またはアプセット加工するためのプロファイリングローラが用いられてもよく、このローラは好ましくは半径方向に進行する。
【0026】
基本的に、材料が半径方向内向きに移動するよう強制するためには、成形ローラによって軸方向の圧力を生成するだけで十分であってもよい。しかし、もし成形ローラが半径方向の動きによってワークピースのフランジ部分を成形すれば、材料のより効果的な再分配が達成される。
【0027】
特に、成形ローラをワークピースの半径方向内側領域の方向または軸方向成形部分の方向に進めることによって、内向き方向の効果的な材料の流れを達成できる。このために、成形ローラは最初にワークピースの周辺領域に軸方向に置かれ、次いで半径方向に内向きに動かされる。材料が内向きに移動した結果として、作用を受けた領域における半径方向外側領域の軸方向の範囲、すなわち厚さが減少する。
【0028】
材料の外向きの流れを制限するために、ワークピースの半径方向外側領域は、好ましくはその外周側に沿って支持される。支持は好ましくは、材料の外向きの移動を制限するたとえばリングなどのアバットメントによって提供される。アバットメントは、好ましくはワークピースの周辺領域に対するストップを提供する。こうして、材料に成形ローラの作用が与えられると、その材料はほぼ内向きにしか動けず、その結果として、パンチとダイとの間の延伸間隙の方向に、またはフランジ部分と軸方向成形部分との間の移行境界の方向に効果的な材料の流れが起こる。
【0029】
ワークピースの半径方向外側領域における材料のあらゆる隆起をできる限り防ぐために、ワークピースの半径方向外側領域は好ましくは抑制ローラによって押し下げられる。抑制ローラはワークピースの周辺領域に対して置かれ、軸方向のあらゆる隆起を妨げるようにワークピースを軸方向に加圧する。抑制ローラは成形ローラとは異なり、好ましくはワークピースの再成形に積極的な役割を有さない。
【0030】
特に経済的な方法は、ダイの加圧表面においてワークピースの半径方向外側領域を再成形するステップを含む。よってダイは、ワークピースを延伸するための再成形ツール、および成形ローラによる再成形のための延伸チャックとして同時に機能する。このやり方で、ワークピースはダイにおいて延伸または深絞りによって再成形されると同時に、圧力圧延またはスピニングによって再成形され得る。
【0031】
ワークピースの半径方向内側領域を延伸することによって、たとえばボウルまたはスリーブなどの形の輪郭が成形されてもよい。スリーブ形状の輪郭を成形するために、最初にワークピースに中心開口部が形成されるか、または中心開口部を有する原材料ワークピースが用いられる。パンチおよびダイによる延伸によって、中心開口部が広げられてもよい。延伸プロセスは、延伸ツールによって材料が中心から強制されてより大きな直径を呈するようにして、再成形の間に開口の拡張を可能にする。
【0032】
本発明の方法の好ましい実施形態において、ワークピースの中央領域は、延伸プロセスの間に平滑化リングによって引っ張り成形される。このやり方で、延伸の際に軸方向部分の壁の厚さを効率的に低減でき、かつ材料の硬化を改善できる。少なくとも1個の成形ローラが、平滑化および/または再成形に必要な材料を延伸間隙に向けて供給する。
【0033】
成形ローラによってワークピースを再成形するとき、ワークピースの半径方向外側領域には定められた構造が形成されることが好ましい。ダイの加圧表面は、好ましくはこの目的のために対応する定められた構造を含み、その中で材料が成形ローラによって成形される。「定められた構造(defined structure,definierte Struktur(英、独訳))」は、特にレッジ、ノッチ、溝、フルート、または歯車の歯と理解されるべきである。このやり方で、延伸が行われる際に、ワークピースの周辺領域が特に効果的な態様で成形される。この方法によって、ワークピースのフランジ部分に、たとえば半径方向に向けられた軸方向の補強などが形成され得る。
【0034】
パンチを脈動する態様で母型に入れることによって、ワークピースの再成形の信頼性をさらに改善できる。材料の歪みを軽減するために、特に非常に短い時間系列において、各前進ストロークの後に短い逆行ストロークが続くことが好ましい。加圧プロセスの際に成形ローラの連続的な動きとパンチの脈動する動きとを組み合わせることによって、特に外側フランジと軸方向成形部分との間の移行端縁において、特に効率的な材料の硬化および成形がもたらされる。さらに、それはパンチによって歯車の歯を軸方向に形成するために必要な力を低減させる。
【0035】
加えて、漸進的延伸または深絞りによって、ワークピースにおけるクラック発生の危険性が低減される。
【0036】
この方法のさらに好ましい実施形態においては、ワークピースが最初にパンチによって予備延伸され、最初は静止しており、すなわち回転せず、その後にワークピースの回転および成形ローラの作用が続き、延伸プロセスが継続されるための設備が提供される。成形ローラの作用なしに予備延伸することによって、ワークピースの信頼性の高いセンタリングと、サイクル時間およびそれぞれの再成形時間の低減とが可能になる。
【0037】
好ましい実施形態において、ワークピースの再成形は、少なくとも大部分が直径を保持しながら、すなわち本質的に直径を低減させることなく行われる。このために、ワークピースの半径方向外側領域はこの目的のためにダイに適切に固定されてもよい。
【0038】
成形ローラは、付加する(interpolating,interpolierende(英、独訳))態様でパンチに対して進められることが好ましい。
【0039】
延伸のプロセスが達成されると、ワークピースがダイとパンチとの間の所定の位置に固定されている間に、特に圧力圧延、スピニング、平滑化、分割、および/またはプロファイリングによって、ワークピースを後成形するために、好ましくはさらなる再成形ステップが用いられる。たとえば、デバイス上で、延伸領域が少なくとも1つの成形ローラによってさらに成形されてもよい。加えて、延伸された領域は少なくとも1つのフロースピナ(flow spinner,Drueckwalze(英、独訳))によってさらに成形されてもよく、壁の厚さが少なくとも部分的に低減されてもよい。同時に、移動させられた材料が外部の歯車の歯を形成してもよい。
【0040】
このやり方で、好ましくは、ワークピースがダイとパンチとの間に固定されたままで、1つの同じ機械の上で複数の再成形ステップが行われる。代替的に、またはワークピースをダイとパンチとの間に固定することに加えて、必要であれば他の支持設備が提供されてもよい。
【0041】
このデバイスに関して、ダイは成形ローラに対するチャックの働きをし、かつリング形状の加圧表面を有することが好ましい。この場合の加圧表面は、ワークピースの中心軸に対して直角に延在するか、または回転軸に対してそれぞれ垂直に延在する。成形ローラは、ワークピースが加圧表面上にあるときにワークピースの周辺領域に作用するか、またはそれを再成形してもよい。
【0042】
ワークピースの半径方向外側領域に定められた表面構造を成形するために、好ましくはダイは適切な定められた構造を有する加圧表面を含む。構築された加圧表面は、たとえばレッジ、ノッチ、溝、フルート、および歯車の歯などを含んでもよい。
【0043】
さらに、ダイおよび/またはパンチは、ワークピースの半径方向内側領域に定められた輪郭を成形するために、対応する定められた輪郭、特に多角形の輪郭および/またはプロファイルを有してもよい。たとえば、ダイの取入れチャンバは、その輪郭を成形すべき軸方向成形部分の範囲におけるワークピースの外側輪郭に対応する、定められた内側輪郭を含んでもよい。軸方向成形部分の範囲におけるワークピースに対して定められた内側輪郭を成形するために、ダイは適切な外側輪郭を含んでもよい。特に、本発明のデバイスは、回転対称を有する形状およびこの回転対称を有さない形状の両方の製造に対して構成され得る。たとえば、多角形または波形の軸方向成形部分が製造され得る。
【0044】
延伸プロセスの間に、延伸された領域に内側および/または外側形状、好ましくはスプラインが成形されてもよい。加えて、この方法の間に、好ましくは底部のハブもしくはボウル領域、および/またはフランジの領域の外側および/または内側に、ヒルトカップリングが成形またはエンボス加工されてもよい。
【0045】
成形ローラに効果的な内向きの材料の流れを生じさせるために、好ましくは特に一体型のアバットメントリングが供給され、このアバットメントリングは、外向きの材料の流れを制限するためのストップ面を提供し、ならびに/または、ワークピースをセンタリングする働きおよび/もしくはワークピースにトルクを伝達する働きをする。加えて、アバットメントリングはいくつかの部品を含んでもよく、個々の部品すなわち部分は、好ましくは半径方向に駆動されてもよい。
【0046】
ダイは、好ましくは延伸のときにワークピースの内側領域を引っ張り成形するための平滑化リングまたは引っ張り成形リングを含む。平滑化リングは、ワークピースの軸方向部分が延伸されている間に材料を薄くすることができる。
【0047】
本発明に従うと、ダイおよびパンチの両方が回転のために駆動されることが好ましい。好ましくは、ダイおよびパンチの回転速度を同期させる同期デバイスが提供される。ダイおよびパンチの回転力によって、特に正確な再成形が達成される。
【0048】
デバイス内で、またはプロセス中に、延伸プロセスおよびその後の構成要素の除去を容易にする分離剤、特に潤滑剤が用いられることが好ましい。加えて、プロセスの間のより良好な熱除去に役立つエマルションが分離剤として用いられてもよい。
【0049】
しわの発生を防ぐために、延伸プロセスの間に材料を保持するための延伸リングが用いられてもよい。加えて、しわの発生を防ぐために、追加のローラがバックストップとして用いられてもよい。
【0050】
このデバイスには、好ましくはエゼクタならびに/または自動装填およびアンローディング手段が備えられてもよい。
【0051】
パンチおよび/または成形ローラの位置決めは、好ましくは経路制御アクスルまたは力制御アクスルによってもたらされてもよく、特に付加経路制御アクスルまたは力制御アクスルによってもたらされてもよい。
【0052】
本発明の方法を用いると、延伸される領域とは反対に延在し得る第2の軸方向に延在するハブ形領域を成形することがさらに可能である。第2のハブの成形は、たとえばスピニングもしくは分割によって、および/またはチャンバのある成形ローラによって達成されてもよい。単一のセットアップにおいて第3のハブを成形するために摺動スリーブツールを用いることも可能である。
【0053】
この方法は、ソース材料とほぼ同じ壁の厚さを有するハブを成形することを可能にする。
【0054】
添付の図面に示される好ましい実施形態を参照しながら、本発明を以下にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】再成形デバイスおよび再成形方法の第1の実施形態を示す図である。
図2】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図3】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図4】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図5】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図6】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図7】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図8】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図9】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図10】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図11】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図12】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図13】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図14】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図15】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図16】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図17】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図18】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図19】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図20】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図21】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図22】複雑な構成要素の製造のための再成形ステップを示す図である。
図23】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図24】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図25】再成形デバイスおよび再成形方法のさらなる実施形態を示す図である。
図26】ハブをアプセット加工するための再成形ステップを示す図である。
図27】本発明の再成形プロセスおよび本発明の再成形デバイスによって製造され得る、多様な構成要素および中間形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
すべての図面において、同一または同等の構成要素は同じ参照番号で示される。図面を参照して明らかにされる本発明の局面は、基本的に互いに自由に組み合わされてもよく、相互排他的な選択肢として理解されるべきではない。
【0057】
図1および図2は、本発明の方法および本発明のデバイス10の基本的な局面を示しており、その局面は、たとえば円形のシート金属ブランクまたは予備成形されたブランクなど、好ましくは実質的に回転対称のワークピース100からボウルまたはハブを非切断成形する(non-cutting shaping,spanlosen Anformung(英、独訳))実施例として示されている。
【0058】
ワークピース100を再成形するためのデバイス10は、ほぼ中央に取入れ開口部22を有するダイ20を含み、この中にパンチ30を軸方向に直線的に入れることができる。ダイ20およびパンチ30は、それらの間に延伸間隙が形成されるように互いに対して調整されており、パンチ30がダイ20に入れられるときに、ワークピース100の内側領域102がその延伸間隙の中に引き込まれる。
【0059】
ダイ20およびパンチ30は装着されて、機械床(図示せず)上の回転軸12の周りを回転するために駆動され得る。ワークピース100はダイ20の上に位置決めされてもよく、同様にその周りを回転させられてもよい。加えてワークピース100はダイ20上でセンタリングされてもよく、再成形の間はダイ20およびパンチ30によって所定の位置に保持される。特に効果的な再成形を達成するために、パンチ30は、ダイ20の回転に加えて回転または回転角が同期する態様で駆動されてもよい。
【0060】
さらに、デバイス10は、ワークピース100の内側領域102がパンチ30およびダイ20によって再成形されている間に、ワークピース100の実質的に半径方向に延在する外側領域104において軸方向および/または半径方向に進行されるように調整された1つまたはそれ以上の成形ローラ40を含む。この少なくとも1つの成形ローラ40は、回転軸42の周りを回転するために装着され、この軸は好ましくは回転軸12に対して垂直であるか、または角度を付けられている。ダイ20は加圧表面24を含み、この加圧表面24も回転軸12に対して実質的に直角に延在し、かつシャフト14上に装着される。
【0061】
ワークピース100を再成形するために、ワークピース100はダイ20上に置かれる。ワークピース100がダイ20とパンチ30との間にクランプされるように、パンチ30はダイ20の方向に、回転軸12に沿う軸方向または回転軸12と同軸に駆動される。ダイ20およびパンチ30は回転軸12の周りを回転し、同時に回転軸12はワークピースの中心軸112を形成する。ワークピース100もダイ20によって回転させられる。
【0062】
パンチ30をさらに軸方向に進めるとき、パンチ30はダイ20の自由空間または取入れ開口部22に入り、ダイ20とパンチ30との間に形成された延伸間隙の中にワークピース100を引き込むことによって、軸方向成形部分106および半径方向フランジ部分108を生成する。パンチ30およびダイ20は、互いに対して中心的または同軸の態様で配されて動かされる。延伸するパンチ30は、ワークピース100に圧力および/または延伸張力を加える。
【0063】
ワークピース100が延伸されるのと同時に、成形ローラ40がワークピース100の半径方向外側領域104の方に動かされ、この成形ローラは、半径方向外側領域104から半径方向内側領域102の方向への材料の流れを積極的に生じさせる。成形される領域において、材料が成形ローラ40によって半径方向および/または軸方向に動かされ、その領域104の軸方向の厚さが低減される。成形ローラ40は材料を特に半径方向内向きに移動させて、それを延伸間隙に導く。このために、図1.bおよび図1.cならびに図2.bおよび図2.cにみられるとおり、成形ローラ40は好ましくは半径方向内向きに駆動される。
【0064】
成形ローラ40、特に圧力ローラまたはフロースピナを用いて、成形されるワークピース100に圧力歪みおよび/または延伸歪みが加えられる。この歪みまたはこれらの歪みは、パンチ30の再成形プロセスの間の材料の流れを支援する。
【0065】
よってワークピース100は、深絞り法と軸方向および/または半径方向のフロースピニング法との組み合わせによって再成形される。
【0066】
図1は、一例として、ボウル形状の内側領域の形の軸方向成形部分106を有する構成要素を形成するために、円形のシート金属ブランクの形のワークピース100を再成形するための、本発明の方法および本発明のデバイスの構成要素を示す。パンチ30は、好ましくは円筒形の外表面32を有する実質的に円筒形の形状を有する。
【0067】
図2は、中心開口部110を有する実質的に円形のシート金属ブランクの形のワークピース100の再成形を参照して、本発明の方法の実施形態を示しており、このワークピースは、スリーブ形状の内側領域の形の軸方向成形部分106を有する構成要素に成形される。この場合のパンチ30は、ワークピース100を広げるためのほぼ円錐形の部分34と、ワークピース100に挿入してセンタリングを行うために用いられる挿入部分35とを含む。挿入部分35は、最初にワークピース100の中心開口部110に導入される。その後、パンチ30は取入れ開口部22に入り、ワークピース100はダイ20とパンチ30との間の延伸間隙の中に引き込まれ、中心開口部110が広げられる。ワークピース100が延伸されている間に、図1に示される実施形態と同様に、成形ローラ40が半径方向外側領域104に作用して、このやり方で延伸間隙の方向への材料の意図的な流れを生じる。
【0068】
図3はこの方法の実施形態を示し、ここではワークピース100が半径方向内側領域102の延伸によって成形される前に、成形ローラ40によって予備成形され、かつワークピース100はダイ20上でセンタリングされる。センタリングは、ワークピース100をダイ20の輪郭内に圧入することによって達成される。図示される実施例において、ワークピース100の周辺領域はダイ20内の環状の溝に圧入される。
【0069】
ワークピース100の半径方向外側領域104を予備的に成形することによって、ワークピース100は半径方向にダイ20に固定される。その結果、ダイ20およびパンチ30によってワークピース100を延伸することを伴う次の再成形プロセスのステップの際に、外周の方向に沿って延在する領域104のプロファイルのおかげで、ワークピース100の半径方向の範囲は変化しないままとなる。このことによって、ワークピース100が延伸される際に特に強い延伸力が発生し、この延伸力は、延伸再成形の間に半径方向外側領域104に働く作用がなければ、センタリングの損失および/またはワークピース100の破壊のかなりの危険性をもたらし得る。
【0070】
図4は、ワークピースをダイ20に固定するさらなる可能性を示す。図4に示される変形において、ダイ20は、ワークピース100が載せられている内側表面部分に対して角度を付けられた外側外周領域26を有する。成形ローラ40によって、ワークピース100はダイ20の外側外周領域26に向けて強制され、ほぼリング形状の経路に沿って走るねじれを生じる。次いでワークピース100は押下リング28によって、ダイ20と押下リング28との間にワークピース100がクランプされる状態で固定されてもよい。その後、ワークピース100の半径方向内側領域102は上述と同様に延伸によって成形され、それと同時に成形ローラ40が半径方向外側領域104に作用してそれを再成形する。
【0071】
図4の下側の図面は、成形ローラ40に加えて、ワークピース100を軸方向に押し下げてワークピース100または材料が持ち上がることを防ぐ抑制ローラ66を示す。
【0072】
図5は実質的に図1.bおよび図2.bの図面に対応しており、ここではパンチ30が支持ローラ54によって付加的に支持されている。支持ローラ54は、パンチ30に対して実質的に平行に回転するために装着され、パンチ30の周辺表面を支える。いくつかの支持ローラ54をパンチ30の周りの周辺方向に分散させて配置することも可能である。
【0073】
図6から図8は、外側領域104を再成形するときに、外向き方向の材料の流れを制限するか、防ぐか、および/または支持する可能性を示す。
【0074】
図6は、成形ローラ40の半径方向外側に配された圧力ローラ68を示し、この圧力ローラはワークピース100を半径方向内向きに圧する。このやり方で、材料の外向きの流れが妨げられ、かつ成形ローラ40の効果によって、ほぼ排他的に半径方向内向きに起こる材料の流れが生じる。このため、ローラ68によってもたらされる半径方向の移動の結果として材料の半径方向の流れを支持することが可能になる。ローラ66および67を対にして用いることによって、外側領域104における材料の軸方向の持ち上がりが防止または最小化される。
【0075】
図7は、材料の外向きの流れを防ぐためにワークピース100の周りに配された支持リング60を示す。ワークピース100の外側外周領域は、前記支持リング60を圧迫する。
【0076】
図8は圧力ローラ68のさらなる実施形態を示し、これは図6に示される圧力ローラ68とは異なり、ワークピース100を軸方向に固定するか、および/または外側半径方向領域104を所望どおり厚くするために用いられ得るチャンバリングを示す。
【0077】
図6および図8はさらに、ワークピース100の上の抑制ローラ66と、ワークピース100の抑制ローラ66とは反対側のダイ20の横にあるカウンタローラ67とを示す。さらに、ローラ66および67は領域104における軸方向の材料の流れを制限できる。
【0078】
図9は、支持リング60の実施形態を示す。この支持リング60は、半径方向に動かされ得るような態様で配された複数のリング部分62を含む。図9の対応する下側の図面に示されるとおり、リング部分62を半径方向内向きに動かすことによって、ワークピース100を固定または補強できる。
【0079】
図10は、ワークピース100の半径方向外側領域104に定められた構造を導入する可能性を示す。このためにダイ20は、たとえばワークピース100の半径方向外側領域104に補剛材リブ、補強点、または歯車の歯などを成形するために、複数の構造構成要素を有する対応して定められた構造25を自身の加圧表面24上に含む。構造構成要素は原則として任意に配されてもよく、回転対称でない配置も可能である。
【0080】
図11から図13は、ワークピース100の半径方向内側領域102に輪郭またはプロファイルを成形する可能性を示す。図11において、ダイ20は、自身の取入れ開口部22にプロファイルの形の定められた輪郭23を有し、延伸動作の際にその中に材料が圧入されることによって、ワークピース100のプロファイルまたは波形にされた軸方向部分が成形され得る。類似の態様で、図12のパンチ30は構造化された外側輪郭33を有し、これによって構造化された領域がワークピース100の軸方向部分に導入され得る。図13に示されるとおり、ワークピース100の軸方向部分に、たとえば多角形の輪郭118を成形することもできる。その後、成形ローラ40によってもたらされる材料の積極的な動きによって、こうした輪郭の特に正確な成形が可能となり、かつワークピース100の破裂が信頼性高く防止される。
【0081】
図14はこの方法の変形を示し、ここでは材料が延伸される間に平滑化される。このやり方で、ワークピース100の延伸される領域または軸方向成形部分106における材料の厚さが好ましい値に低減され得る。平滑化リング56は、ダイ20の中に存在し、取入れ開口部22をリング形状の態様で囲み、かつ取入れ開口部22よりも小さい直径を有する平滑化部分を含む。図14の左手側は、再成形プロセスの最初におけるこの方法の段階を示し、右手側は、延伸プロセスが完了したときのこの方法の段階を示す。
【0082】
図15は、シャフト14またはオフプッシャがカウンタパンチとして設計された実施形態を示す。ワークピース100をパンチ30とオフプッシャまたはカウンタパンチとの間で延伸または加圧することによって、ワークピース100の延伸領域において、フロア部分114が輪郭として成形されてもよい。このために、パンチ30およびカウンタパンチの各々は、最終的に成形されるワークピース100の輪郭に対応する軸方向の当接面を含む。
【0083】
図16から図27は再成形プロセスのさらなるステップを示し、これらは特に、延伸プロセスが行われた後に行われてもよい。ここで図16は、延伸プロセスの後にワークピース100がダイ20とパンチ30との間に残り、パンチが引き抜かれたときの実施形態を示す。この場合には内側ローラの形である後成形ローラ70を用いることによって、ワークピース100の軸方向成形部分106が後成形されてもよく、特にその部分が平滑化されてもよい。これによって、軸方向成形部分106の内径が低減する。同時に、図示されるとおり、成形ローラ40は、軸方向成形部分106により多くの材料を押し込むためにワークピース100の半径方向外側領域104に作用し得る。
【0084】
図17は、ワークピース100の軸方向成形部分106とは軸方向反対側に、第2の軸方向成形部分106を成形する可能性を示す。このために、延伸プロセスの後、ワークピース100がダイ20とパンチ30との間の所定の位置に固定されている間に、好ましくは1つの成形ローラ40a、40bによって、さらなる材料が半径方向外側領域104から内向きに摺動されて、パンチ30上で成形される。図17に示されるとおり、パンチおよび/または成形ローラ40a、40bはチャンバリング38を示してもよい。成形ローラ40a、40bは、原則として延伸プロセスの際に用いられるものと同じ成形ローラ40であってもよい。
【0085】
図18および図19は、この方法の柔軟性をさらに高め、かつ複雑な構成要素の製造を可能にするための摺動スリーブ74の使用を示す。摺動スリーブ74は、パンチ30の周囲に環状の構成で配され、パンチ30に対して軸方向に摺動することができる。延伸プロセスの間は、材料を延伸間隙に向けて半径方向内向きに効果的に移動させるために、成形ローラ40がパンチ30を圧迫するように動かされることを可能にするために、摺動スリーブ74は後退させられ得る。図19に示されるとおり、延伸プロセスの終わりに、摺動スリーブ74はワークピース100に向かってそれに接するように軸方向に動かされ、第2の軸方向部分に対するマンドレルを生成してもよい。ここで摺動スリーブ74の半径方向の寸法は、基本的に大部分が任意に選択され得るため、異なる形のワークピース100が製造され得る。
【0086】
加えて、たとえば図22に示されるものなどの複雑な構成要素を製造するために、複数の摺動スリーブを提供してそれらを順番に用いることも基本的に可能である。たとえば、最初に内側摺動スリーブを用い、その後にさらなる軸方向成形部分106を成形するために外側摺動スリーブを用いることが可能である。ダイ20を複数の部品で設計するか、または図20および図21に示されるとおり、好ましくは少なくとも一部が摺動され得ることで、外側半径方向領域104におけるさらなる再成形を可能にすることによって、成形される構成要素に関する柔軟性をさらに高めることができる。
【0087】
図23および図24は、ワークピース100の外側領域の成形を可能にするためのさらなる後成形ステップを示す。ここでダイ20および摺動スリーブ74はマンドレルとして機能し、その周辺に対して材料が圧される。
【0088】
図25は、本発明の方法によって製造され得る複雑な構成要素を示す。複数のハブ部分を成形する目的のために、さまざまな摺動スリーブ74が用いられる。
【0089】
図26は、延伸および同時に行われたフランジ部分108の再成形によるハブの製造に続く、ワークピース100のハブのアプセット加工を示す。
【0090】
図27は、本発明の方法および本発明のデバイスによってワークピース100を再成形することによって製造され得る構成要素のさらなる例を示す。
【0091】
全体として、本発明の方法および本発明のデバイスは、特に円形のシート金属ブランク形状ワークピース100の、特に柔軟かつ信頼性の高い再成形を可能にする。複雑な構成要素を、経済的かつ金属切断なしに製造できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27