特許第6131320号(P6131320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6131320基板処理装置、プログラム及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131320
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】基板処理装置、プログラム及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20170508BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   H01L21/02 Z
【請求項の数】11
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-511194(P2015-511194)
(86)(22)【出願日】2014年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2014058578
(87)【国際公開番号】WO2014168006
(87)【国際公開日】20141016
【審査請求日】2015年9月28日
(31)【優先権主張番号】特願2013-82121(P2013-82121)
(32)【優先日】2013年4月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】飯田 宰
【審査官】 鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−129177(JP,A)
【文献】 特開平06−244124(JP,A)
【文献】 特開平02−030759(JP,A)
【文献】 特開平11−102951(JP,A)
【文献】 特開2002−237507(JP,A)
【文献】 特開2001−102424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する複数の処理室と、
基板を収容する1つ又は複数の収納容器を載置する載置部と、
負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、
大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、
前記大気搬送室と前記真空搬送室との間に設けられ、負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって、前記複数の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、
前記複数の処理室における、それぞれの基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数の処理室のうち、所定の処理室から前記処理済み基板を搬出した後、前記所定の処理室以外の処理室から前記処理済み基板を搬出する際に、前記所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定の処理室から前記処理済基板を搬出する際に、前記処理済基板の搬出が終了するまで、前記大気搬送機が前記収納容器から未処理の基板を取出すタイミングを遅らせる請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記レシピ残時間が前記アプローチ時間以下になると、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すように制御する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記レシピ残時間が前記冷却残時間以下になると、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記レシピ残時間と前記所定の処理室から処理済み基板を搬出するのに要する時間である処理済み基板搬出時間との合計時間である処理搬出時間と、前記冷却残時間と前記冷却室から冷却済み基板を搬出するのに要する時間である冷却済み基板搬出時間と前記冷却室を大気圧から負圧にするのに要する時間であるエバック時間との合計時間である冷却エバック時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記処理搬出時間が前記冷却エバック時間以下になると、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する制御する請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を処理する複数の処理室と、基板を収容する1つ又は複数の収納容器を載置する載置部と、負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気搬送室と前記真空搬送室との間に設けられ、前記処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、前記大気搬送室及び前記真空搬送室を介して前記基板を前記処理室に搬送する制御部を備えた基板処理装置で実行されるプログラムであって、
前記制御部に、
前記複数の処理室のうち、所定の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記基板を前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程と、
前記所定の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記所定の処理室以外の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、前記複数の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、を実行させるプログラム。
【請求項8】
大気圧下で基板が搬送される大気搬送室と、負圧下で基板が搬送される真空搬送室と、前記大気搬送室と前記真空搬送室との間に設けられる冷却室と、をそれぞれ介し、前記基板を処理する複数の処理室へ前記基板を搬送する基板搬送工程と、前記複数の処理室において、前記基板に所定の処理を実施する基板処理工程と、前記複数の処理室における、それぞれの基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記基板を前記真空搬送室内で搬送する真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記基板を前記大気搬送室内で搬送する大気搬送機が前記基板を搬送するタイミングを決定するタイミング決定工程と、
前記複数の処理室のうち所定の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記所定の処理室以外の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、前記複数の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
基板を処理する複数の処理室と、
負圧下で基板が搬送される真空搬送室と、
大気圧下で基板が搬送される大気搬送室と、
前記大気搬送室と前記真空搬送室との間に設けられ、負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって、前記複数の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、
記複数の処理室のうち、所定の処理室から前記処理済み基板を搬出した後、前記所定の処理室以外の処理室から前記処理済み基板を搬出する際に、前記所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する制御部と、を備えた基板処理装置。
【請求項10】
基板を処理する複数の処理室と、負圧下で基板が搬送される真空搬送室と、大気圧下で基板が搬送される大気搬送室と、前記大気搬送室と前記真空搬送室との間に設けられ、前記処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、前記大気搬送室及び前記真空搬送室を介して前記基板を前記処理室に搬送する制御部を備えた基板処理装置で実行されるプログラムであって、
前記制御部に、
前記複数の処理室のうち、所定の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記所定の処理室以外の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、前記複数の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、を実行させるプログラム。
【請求項11】
大気圧下で基板が搬送される大気搬送室と、負圧下で基板が搬送される真空搬送室と、前記大気搬送室と前記真空搬送室との間に設けられる冷却室と、をそれぞれ介し、前記基板を処理する複数の処理室へ前記基板を搬送する基板搬送工程と、前記複数の処理室において、前記基板に所定の処理を実施する基板処理工程と、
前記複数の処理室のうち所定の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記所定の処理室以外の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、前記複数の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、を有する半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハ等の基板を処理する基板処理装置、この基板処理装置で実行されるプログラムを読み取り可能な記録媒体、及び半導体ウエハ等の基板を処理して半導体装置を製造する半導体装置の製造方法に関し、特に、1つの処理室内で1枚又は数枚程度の基板処理を行う装置における基板の搬送制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置の一種である半導体製造装置において、従来から基板の搬送制御が行われている。
【0003】
下記の特許文献1には、真空搬送するためのロードロック室の真空引き終了時点と、処理室での基板処理終了時点とをマッチングさせることが記載されている。特許文献2には、予備室に一定時間間隔で基板を搬送するように制御することが記載されている。特許文献3には、複数の処理室での処理時間が異なる基板処理装置において、処理室への基板投入間隔を一定として、処理室での基板滞留を発生させないように制御することが記載されている。
【0004】
背景技術において、基板処理装置の一実施形態である多枚葉装置では、スループットの向上を図るため、処理済み基板の回収と並行して、次に処理室で処理する基板の搬送を開始していた。しかしながら、処理室内の処理済み基板の滞留が発生する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−109995号公報
【特許文献2】特開2005−136021号公報
【特許文献3】WO2005−055314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述した基板処理装置の基板搬送における問題を解決し、処理済み基板の装置内の滞留を抑制する搬送制御を実行する基板処理装置または半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、 基板を処理する複数の処理室と、基板を収容する1つ又は複数の収納容器を載置する載置部と、負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気搬送室と前記真空搬送室とを介し、前記載置部に載置された前記収納容器から前記複数の処理室へ基板を搬送して、前記複数の処理室で基板処理を開始し、その後、前記収納容器から前記複数の処理室のうち所定の処理室へ基板を搬送する際に、前記複数の処理室における、それぞれの基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定する制御部と、を備える基板処理装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、基板を処理する複数の処理室と、負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気搬送室及び前記真空搬送室を介して前記基板を前記処理室に搬送する制御部を備えた基板処理装置で実行されるプログラムを読み取り可能な記録媒体であって、制御部に、複数の処理室で基板処理を開始した後、所定の処理室へ基板を搬送する際に、所定の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、基板を真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、大気搬送機が収納容器から基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程を実行させるプログラムを読み取り可能に記録する記録媒体が提供される。
【0009】
本発明のさらに他の態様によれば、 大気圧下で基板が搬送される大気搬送室と、負圧下で基板が搬送される真空搬送室とを介し、基板を処理する複数の処理室へ基板を搬送する基板搬送工程と、 複数の処理室において、基板に所定の処理を実施する基板処理工程と、 複数の処理室で基板処理を開始した後、複数の処理室のうち所定の処理室へ基板を搬送する際に、複数の処理室における、それぞれの基板処理の残時間であるレシピ残時間と、基板を真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、大気搬送機が基板を搬送するタイミングを決定するタイミング決定工程と、 を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、基板処理装置における処理済み基板の滞留を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成図(上面図)である。
図2】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の制御部の構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る第2実施例を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態に係る第2実施例の動作フロー図である。
図5】本発明における第1の課題を説明するための図である。
図6】本発明における第2の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)基板処理装置の構成 以下、本発明の実施形態における基板処理装置を説明する。本実施形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC:Integrated Circuit)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。また、本実施形態の基板処理装置は、1つの処理室で複数枚(例えば5枚)の基板にCVD(Chemical Vapor Deposition)処理などの成膜処理を含む基板処理を行う多枚葉装置である。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の構成図であり、上面から見た装置イメージ図である。 図1に示す基板処理装置100は、減圧状態で基板(例えばシリコン等からなるウエハW)を取り扱う真空側の構成と、大気圧状態においてウエハWを取り扱う大気側の構成とを備えている。真空側の構成は、主に、真空搬送室TMと、予備室兼冷却室(以降、単に冷却室ともいう。)LM1,LM2と、ウエハWを処理する処理室(プロセスチャンバ)PM1,PM2とを備える。大気側の構成は、主に、大気搬送室EFEM(Equipment Front End Module)と、載置部としてのロードポートLP1〜LP3とを備える。
【0014】
ロードポートLP1〜LP3には、ウエハWを収納するウエハキャリア(ウエハ収納容器)としてのポッド(FOUP:Front Opening Unified Pod)FP1〜FP3が、それぞれ、基板処理装置外部から搬送されて載置され、また、基板処理装置外部へ搬送される。このような構成により、例えば、ロードポートLP1上のポッドFP1から未処理のウエハWが取り出され、冷却室LM1を経て、処理室PM1へ搬入されて処理された後、処理済みのウエハWは、その逆の手順で、ロードポートLP1上のポッドFP1へ戻される。
【0015】
(真空側の構成) 真空搬送室TMは、真空状態などの大気圧未満の負圧(減圧)に耐えることが出来る真空気密可能な構造に構成されている。なお、本実施形態においては、真空搬送室TMの筐体は、平面視が五角形で、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。冷却室LM1,LM2、処理室PM1,PM2は、真空搬送室TMの外周を囲むように隣接して配置されている。
【0016】
真空搬送室TM内には、減圧状態でウエハWを搬送する搬送手段(基板搬送機)としての真空搬送ロボットVRが例えば1台設けられている。真空搬送ロボットVRは、ウエハWを基板載置部である2組の基板支持アーム(以下、アーム)に載せることで、冷却室LM1,LM2及び処理室PM1,PM2との間で、ウエハWの搬送を行なう。なお、真空搬送ロボットVRは、真空搬送室TMの気密性を維持しつつ昇降できるように構成される。また、2組のアームは、上下方向に離間して設けられ、それぞれ水平方向に伸縮でき、係る水平面内で回転移動できるように構成されている。
【0017】
処理室PM1,PM2は、真空搬送室TMに複数、例えば2つ連結することができる。複数の処理室PM1,PM2は、多枚葉装置100の目的に応じて、同じ処理を行う処理室(例えば、同じ膜種の成膜室)であってもよいし、異なる処理を行う処理室(例えば、異なる膜種の成膜室)であってもよい。 処理室PM1,PM2は、ウエハWが載置される基板載置台ST1、ST2をそれぞれ備え、例えばウエハWを5枚ずつ減圧状態で一括処理する多枚葉式の処理室として構成されている。
【0018】
また、処理室PM1,PM2は、それぞれ、その機能に応じた各種の構成、例えばガス導入機構や排気機構や圧力調整機構や温度制御機構やプラズマ放電機構等を備えている。これらの機構は、処理室PM1,PM2内へ供給する処理ガスの流量を制御するマスフローコントローラ(MFC)、処理室PM1,PM2内の圧力を制御するオートプレッシャコントローラ(APC)等の圧力コントローラ15、処理室PM1,PM2内の温度を制御する温度調整器、処理ガスの供給や排気用バルブのオン/オフを制御するバルブデジタルI/O19、各種スイッチ(SW)等のオン/オフを制御するSWデジタルI/O18などを備えている。上記各構成は、プロセスチャンバコントローラ14に電気的に接続されている。プロセスチャンバコントローラ14を含む装置コントローラとしての制御部10の構成については後述する。
【0019】
また、処理室PM1,PM2は、開閉弁としての処理室ゲートバルブPGV1,PGV2により真空搬送室TMにそれぞれ連接されている。したがって、処理室ゲートバルブPGV1,PGV2を開けることにより、真空搬送室TMとの間で減圧下にてウエハWの搬送を行うことが可能である。また、処理室ゲートバルブPGV1,PGV2を閉じることにより、処理室PM1,PM2内の圧力や処理ガス雰囲気を保持したまま、ウエハWに対して各種の基板処理を行うことが可能である。
【0020】
予備室兼冷却室LM1,LM2は、真空搬送室TM内へウエハWを搬入する予備室として、あるいは真空搬送室TM内からウエハWを搬出する予備室として機能する。冷却室LM1,LM2の内部には、ウエハWを搬入搬出する際、ウエハWを一時的に保持する基板保持台LH1,LH2が、それぞれ設けられている。基板保持台LH1,LH2は、複数枚(例えば2枚)のウエハWを保持する多段型スロットとしてそれぞれ構成されていてもよい。
【0021】
また、冷却室LM1,LM2は、開閉弁としての真空側ゲートバルブLGV1,LGV2により真空搬送室TMにそれぞれ連接されており、また、開閉弁としての大気側ゲートバルブLGA1,LGA2により後述する大気搬送室EFEMにそれぞれ連接されている。したがって、真空搬送室TM側の真空側ゲートバルブLGV1,LGV2を閉じたまま、大気搬送室EFEM側の大気側ゲートバルブLGA1,LGA2を開けることにより、真空搬送室TM内の真空気密を保持したまま、冷却室LM1,LM2と大気搬送室EFEMとの間で、大気圧下にてウエハWの搬送を行うことが可能である。
【0022】
また、冷却室LM1,LM2は、真空状態などの大気圧未満の負圧に耐えることが出来る構造に構成されており、その内部をそれぞれ真空排気することが可能となっている。したがって、大気搬送室EFEM側の大気側ゲートバルブLGA1,LGA2を閉じて冷却室LM1,LM2の内部を真空排気した後で、真空搬送室TM側の真空側ゲートバルブLGV1,LGV2を開けることにより、真空搬送室TM内の真空状態を保持したまま、冷却室LM1,LM2と真空搬送室TMとの間で、減圧下にてウエハWの搬送を行うことが可能である。 このように、冷却室LM1,LM2は、大気圧状態と負圧状態とを切換え可能に構成されている。
【0023】
また、冷却室LM1,LM2は、処理室PM1又はPM2で処理された処理済みのウエハWを、それぞれ基板保持台LH1,LH2に保持し、所定の温度以下になるよう冷却するように構成されている。例えば、冷却室LM1,LM2内に不活性ガスを導入しつつ排気することにより、冷却室LM1,LM2内の気圧を所定の値に保った状態で、例えば、大気圧状態や負圧状態で、基板保持台LH1,LH2に保持したウエハWを冷却する。
【0024】
(大気側の構成) 一方、基板処理装置100の大気側には、上述の通り、冷却室LM1,LM2に接続されたフロントモジュールである大気搬送室EFEMと、大気搬送室EFEMに隣接して接続され、例えば1ロット分、25枚のウエハWをそれぞれ収納した収納容器としてのポッドFP1〜FP3を載置する収納容器載置部としてのロードポートLP1〜LP3と、が設けられる。
【0025】
大気搬送室EFEM内には、搬送手段(基板搬送機)としての大気搬送ロボットARが例えば1台設けられている。大気搬送ロボットARは、冷却室LM1,LM2とロードポートLP1〜LP3との間でウエハWの搬送を行なう。大気搬送ロボットARも、真空搬送ロボットVRと同様に基板載置部である2組のアームを有する。
【0026】
また、大気搬送室EFEM内には、基板位置調整装置として、ウエハWの結晶方位の位置合わせ等を行うオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置であるウエハアライナーAUが設けられている。ウエハWがノッチタイプであるときは、ウエハアライナーAUをノッチ合わせ装置とすることも可能である。また、大気搬送室EFEMには、大気搬送室EFEMの内部にクリーンエアを供給する図示しないクリーンエアユニットが設けられている。
【0027】
各ロードポートLP1〜LP3は、各ロードポートLP1〜LP3上に、複数枚のウエハWを収納したポッドFP1〜FP3をそれぞれ載置するように構成される。それぞれのポッドFP1〜FP3内には、ウエハWをそれぞれ収納する収納部としてのスロットが例えば1ロット分、25スロット設けられている。各ロードポートLP1〜LP3にポッドFP1〜FP3が載置されると、後述する搬送系コントローラ13が、ポッドFP1〜FP3に付されポッドFP1〜FP3を識別するキャリアIDを示すバーコード等を読み取って記憶するよう構成される。
【0028】
また、各ロードポートLP1〜LP3のうち、例えばロードポートLP3にはダミー基板としてのウエハWを収納する収納容器としてのダミー用ポッドFPDが常駐されることがある。この場合、製品基板としてのウエハWは、ポッドFP1又はポッドFP2に収納され、ロードポートLP1又はロードポートLP2に載置され、基板処理装置100内に搬送されて各種の基板処理を受けることとなる。 以上、本実施形態の基板処理装置について説明をしたが、各室の数や構成、組み合わせは上記に限られず、適宜、選択することができる。
【0029】
以降、処理室PM1及びPM2のいずれかを指すときは処理室PM、冷却室LM1及びLM2のいずれかを指すときは冷却室LM、基板保持台LH1又はLH2のいずれかを指すときは基板保持台LH、ロードポートLP1〜LP3のいずれかを指すときはロードポートLP、ポッドFP1〜FP3のいずれかを指すときはポッドFP、基板載置台ST1又はST2のいずれかを指すときは基板載置台STというように称す。
【0030】
次に、図1を用いて基板処理装置100における基板搬送方法を説明する。
【0031】
ウエハWの処理手順を説明する。 基板処理装置100は、図示しないユーザインタフェース(GUI又はホスト)により、ロードポートLP1〜LP3上に載置したポッドFP1〜FP3内のウエハWに対する成膜指示がなされると、ポッドFP1〜FP3から成膜室PM1及びPM2に対するウエハ搬送を開始する。ポッドFP1〜FP3には、それぞれ25枚のウエハW1〜W25が収納されている。25枚のウエハWは、ウエハW1〜W25の順に取出され処理される。
【0032】
まず、図示しないポッドオープナにより、例えば、フープドアFD1が開放され、大気搬送ロボットARが、ポッドFP1内のウエハWを1枚取出し(ウエハW1)、ウエハアライナーAUに載置する。ウエハアライナーAUは、載置されたウエハW1の位置を調整、詳しくは、ウエハW1のウエハ面に平行な水平方向(X方向、Y方向、円周方向)の位置を調整する。
【0033】
ウエハアライナーAUがウエハW1の位置を調整している間に、大気搬送ロボットARは、ポッドFP1内の次のウエハWを1枚取出し(ウエハW2)、ウエハW1の位置調整が終了するまで待機する。 ウエハW1の位置調整が終了すると、大気搬送ロボットARは、大気搬送ロボットARが保持しているウエハW2と、ウエハアライナーAUが保持しているウエハW1とを交換する。大気搬送ロボットARは、図1に示すように、2つのアームを備えているので、ウエハW2を保持していないアームを用いてウエハアライナーAUが保持しているウエハW1を取出し、その直後に、他方のアームで保持していたウエハW2をウエハアライナーAUに載置する。 ウエハアライナーAUは、新たに載置されたウエハW2の位置調整を行う。
【0034】
ウエハアライナーAUから取出したウエハW1を保持した大気搬送ロボットARは、例えば、冷却室LM1の大気側ゲートバルブLGA1が開くと、冷却室LM1の基板保持台LH1にウエハW1を載置する。このとき、冷却室LM1の真空側ゲートバルブLGV1は閉じられており、真空搬送室TM内の負圧は維持されている。 基板保持台LH1にウエハW1が載置された後、冷却室LM1の大気側ゲートバルブLGA1が閉じられ、冷却室LM1は、図示しない排気装置により負圧になるよう排気される。
【0035】
冷却室LM1の負圧排気を実行している間に、大気搬送ロボットARは、ポッドFP1内の次のウエハWを1枚取出し(ウエハW3)、ウエハアライナーAUにおいてウエハW2の位置調整が終了すると、大気搬送ロボットARが保持しているウエハW3と、ウエハアライナーAUが保持しているウエハW2とを交換する。 ウエハアライナーAUは、新たに載置されたウエハW3の位置調整を行う。
【0036】
大気搬送ロボットARは、冷却室LM2の大気側ゲートバルブLGA2が開くと、冷却室LM2の基板保持台LH2にウエハW2を載置する。 なお、大気搬送ロボットARは、基板保持台LHのいずれかに空きがあれば、基板保持台LHにウエハWを載置するように構成されている。この例では、冷却室LM1の基板保持台LH1又は冷却室LM2の基板保持台LH2に空きがあれば、基板保持台LH1又は基板保持台LH2にウエハWを載置する。 もし、基板保持台LHのいずれにも空きがない場合は、大気搬送ロボットARは、基板保持台LHにウエハWを載置できないので、基板保持台LHに空きができウエハWを載置可能になるまで、冷却室LMの直前の位置で、ウエハWを載置した状態で停止し待機する。
【0037】
以下、大気搬送ロボットARは、ポッドFPからのウエハWの取出し動作、ウエハアライナーAUが保持しているウエハWとの交換動作、基板保持台LHへの載置動作を、指示された成膜予定数を終了するまで繰り返し実施する。
【0038】
基板保持台LH1へウエハW1が載置された後、冷却室LM1の負圧排気動作により、冷却室LM1が予め設定された圧力値(負圧値)に減圧されると、冷却室LM1の真空側ゲートバルブLGV1が開けられる。 続いて、真空搬送ロボットVRは、冷却室LM1の基板保持台LH1から1枚のウエハ(ウエハW1)を取り出す。冷却室LM1からウエハW1が取り出された後、真空側ゲートバルブLGV1が閉じられ、冷却室LM1が大気圧に戻される。こうして、次のウエハW3を冷却室LM1の基板保持台LH1に載置する準備が行われる。
【0039】
真空搬送ロボットVRは、冷却室LM1の大気圧戻しが行われている間に処理室ゲートバルブPGV1が開くので、処理室PM1の基板載置台ST1にウエハW1を載置する。 なお、真空搬送ロボットVRは、そのウエハに対して指定された処理室PMが基板処理を実施中又は実施済みでなく、その処理室PMの基板載置台STに空きがある場合は、その基板載置台STにウエハWを載置するよう構成されている。この例では、処理室PM1の基板載置台ST1に空きがあれば、ウエハWを載置する。 もし、指定された処理室PMの基板載置台STに空きがない場合は、基板載置台STにウエハWを載置できないので、真空搬送ロボットVRは、基板載置台STにウエハWを載置可能になるまで、つまり処理室PMの処理が終了するまで、処理室PMの直前で、ウエハWを載置した状態で停止し待機する。そして、処理が終了すると、基板載置台ST上の処理済みウエハWと真空搬送ロボットVR上の未処理ウエハWを交換する。
【0040】
処理室PM1の基板載置台ST1にウエハW1を載置すると、処理室ゲートバルブPGV1が閉じられる。 以下、真空搬送ロボットVRは、基板保持台LHからのウエハWの取出し動作、処理室PMの基板載置台STへの載置動作を、指示された成膜処理予定数を終了するまで繰り返し実施する。
【0041】
こうして、処理室PM1の基板載置台ST1がウエハWで満たされる(例えば、5枚のウエハW1〜W5)と、成膜等の基板処理が開始される。
【0042】
処理室PM1において所望の基板処理が終了すると、処理室ゲートバルブPGV1が開けられ、真空搬送ロボットVRは、基板載置台ST1からウエハWを1枚取出す(ウエハW1)。このとき、真空搬送ロボットVRが、処理室PM1で処理予定の未処理ウエハW6を保持していた場合は、未処理ウエハW6と基板載置台ST1上の処理済みウエハW1を交換する。
【0043】
処理室PM1からウエハW1が取出された後、処理室ゲートバルブPGV1が閉じられる。 処理室PM1から取出されたウエハW1を保持した真空搬送ロボットVRは、真空側ゲートバルブLGV1が開けられると、冷却室LM1の基板保持台LH1にウエハW1を載置する。このとき、冷却室LM1が大気圧状態であった場合は、図示しない排気装置により、冷却室LM1内が負圧にされた後、真空側ゲートバルブLGV1が開けられ、基板保持台LH1にウエハW1が載置される。また、冷却室LM1の基板保持台LH1に未処理ウエハW7が存在している場合は、未処理ウエハW7と真空搬送ロボットVRが保持していたウエハW1が交換される。
【0044】
冷却室LM1へのウエハW1の載置が終了すると、真空側ゲートバルブLGV1が閉じられ、図示しない不活性ガス導入装置により冷却室LM1内に不活性ガスが導入され、冷却室LM1内の圧力が大気圧に戻される。同時に、基板保持台LH1に載置されたウエハW1に対して、予め設定された時間に従い、冷却処理が開始される。冷却処理は、例えば、常温の不活性ガスを冷却室LM1内に導入するとともに排気することにより行われる。
【0045】
なお、いずれかの冷却室LMの基板保持台LHに空きがあり、かつ、いずれかの処理室PM内に処理中又は処理済みのウエハWが存在するときは、冷却室LMにおける処理済みのウエハWの冷却処理は行うが、当該冷却室LMの大気圧戻しは行わず、当該冷却室LM内を負圧に維持する。換言すると、いずれの冷却室LMの基板保持台LHにも空きがないとき、又は、いずれの処理室PM内にも処理中又は処理済みのウエハWが存在しないときは、冷却室LMは大気圧に戻される。これは、処理室PM内から処理済みのウエハWを冷却室LM内へ極力短時間で搬出し、ポッドFPへ極力短時間で戻すためである。つまり、基板処理装置100における基板処理を極力短時間で完了するためである。 したがって、処理室PM内に処理中又は処理済みのウエハWが存在する場合、冷却室LM内は、ウエハWで満たされるまで負圧に維持される。冷却室LM内がウエハWで満たされ、かつ、処理済みウエハWの冷却処理が終了すると、冷却室LM1内の圧力は大気圧に戻される。
【0046】
ウエハW1が冷却室LM1内に載置され、かつ冷却室LM1内の圧力が大気圧に戻されると、大気側ゲートバルブLGA1が開けられる。続いて、大気搬送ロボットARにより、冷却室LM1の基板保持台LH1から、1枚のウエハW(ウエハW1)が取出される。このとき、未処理ウエハWが大気搬送ロボットARに保持されていた場合は、未処理ウエハWと基板保持台LH1のウエハW1を交換する。
【0047】
冷却室LM1からウエハW1が取出された後、大気側ゲートバルブLGA1が閉じられ、次の処理済みウエハWを冷却室LM1の基板保持台LH1に載置するための準備として、冷却室LM1内が排気され負圧にされる。そして、次の処理済みウエハWが基板保持台LH1に載置され、前述した冷却室LM1の大気圧復帰条件が満たされると、再度、冷却室LM1内に不活性ガスが導入され、冷却室LM1内の圧力が大気圧に戻され、基板保持台LH1に載置されたウエハWに対して、冷却処理がなされる。
【0048】
冷却室LM1から取出したウエハW1を保持した大気搬送ロボットARは、ロードポートLP1上のポッドFP1内に、ウエハW1を収納する。 以上の動作を繰り返すことにより、ポッドFP1に収納された25枚のウエハWの基板処理が順次実施される。
【0049】
上述した基板搬送方法においては、ポッドFPから取り出された基板が、基板処理装置において滞留するという課題がある。 図5は、第1の課題を説明するための図である。図5の例では、ポッドFP1から取り出されたA集団のウエハW(A1〜A5)は、処理室PM1に搬送されて処理され、ポッドFP1に戻される。ポッドFP2から取り出されたB集団のウエハW(B1〜B25)は、A集団が処理室PM1に搬送された後に、処理室PM2に搬送されて処理され、ポッドFP2に戻される。
【0050】
先に処理室PM1に載置されたA集団のウエハA1〜A5の処理が開始され、次に処理室PM2に載置されたB集団のウエハB1〜B5の処理が開始され、A集団とB集団の処理が併行して実施される。処理室PM1と処理室PM2における処理は、同じ処理であってもよいし、異なる処理であってもよい。
【0051】
A集団のウエハA1〜A5の基板処理が終了した時点で、基板処理装置100内におけるウエハWの配置は、図5に示すとおりである。すなわち、処理室PM1内には処理済みのウエハA1〜A5、処理室PM2内には処理中のウエハB1〜B5、真空搬送ロボットVR上には未処理ウエハB6が存在している。 これは、前述したように、真空搬送ロボットVRは、指定されたウエハ搬送先の処理室PMが基板処理を実施中又は実施済みでなく、該処理室PMの基板載置台STに空きがあれば、空いている基板載置台STにウエハWを載置し、基板載置台STに空きがない場合は、基板載置台STにウエハWを載置可能になるまで、処理室PMの直前で停止し待機するよう構成されているためである。そして、処理が終了すると、基板載置台ST上の処理済みウエハWと真空搬送ロボットVR上の未処理ウエハWが交換されるように構成されている。
【0052】
このように、先発のA集団のウエハA1〜A5の基板処理が終了した時点で、真空搬送ロボットVR上には後発のB集団の未処理ウエハB6が、処理室PM2のB集団の基板処理が終了し処理室PM2内の処理済みウエハB1と交換可能となるのを待っている。したがって、A集団のウエハA1〜A5は、B集団のウエハB1〜B25の基板処理が終了するまで、処理室PM1内に滞留することになる。
【0053】
図5の例における滞留時間の具体例について説明する。この例では、先発のA集団の基板処理が終了する直前に、後発のB集団の基板処理が開始されたものとする。前述したように、ポッドFP2に収納されていたB集団のウエハW(B1〜B25)は25枚である。この多枚葉装置では、1回の基板処理においてm枚(図5の例では5枚)のウエハWを同時に処理できるので、25枚のB集団のウエハWに対して、(25/m)回の基板処理が実施される(小数第1位繰り上げ)。図5の例では、25/5=5回の基板処理が実施される。
【0054】
真空搬送室TMには、指示された処理予定数(25枚)を終了するまで、B集団の未処理ウエハが搬送されるので、指示された処理予定数を処理室PM2に搬送するまで、真空搬送ロボットVRは空くことはない。そして、真空搬送ロボットVRが空かない限り、処理室PM1内の処理済みのウエハA1〜A5は、搬出されない。 したがって、処理室PM2における1回の処理時間をn秒とした場合、処理室PM1内の処理済みのA集団のウエハA1〜A5は、処理室PM2における基板処理を{(25/m)−1}回実施する時間と、処理室PM2において処理済みウエハと未処理ウエハを交換する時間との合計時間、処理室PM1内に滞留することになる。すなわち、処理室PM1内の処理済みのA集団のウエハA1〜A5は、B集団のウエハB21〜B25を処理室PM2に搬送するまでの時間、滞留する。少なくとも、処理室PM2における基板処理を{(25/m)−1}回実施する時間である{(25/m)−1}n秒間、処理室PM1内に滞留する。図5の例では、少なくとも、{(25/5)−1}、つまり4n秒間、滞留することになる。
【0055】
次に、第2の課題について、図6を用いて説明する。図6の例では、ポッドFP1から取り出されたA集団のウエハW(A1〜A5)は、処理室PM1に搬送されて処理され、ポッドFP1に戻される。ポッドFP2から取り出されたB集団のウエハW(B1〜B5)は、A集団が処理室PM1に搬送された後に、処理室PM2に搬送されて処理され、ポッドFP2に戻される。
【0056】
B集団のウエハB1〜B5が基板処理中又は処理済みの状態において、基板処理装置100内におけるウエハWの配置は、図6に示すとおりである。すなわち、処理室PM2内には処理中又は処理済みのウエハB1〜B5、冷却室LM1内には処理済みのウエハA5、冷却室LM2内には済みのウエハA4が存在しており、ウエハA4,A5は、負圧状態の冷却室LM1及びLM2内に滞留している。 これは、前述したように、いずれかの冷却室LMの基板保持台LHに空きがあり、かつ、いずれかの処理室PM内に処理中又は処理済みのウエハWが存在するときは、冷却室LMにおける処理済みのウエハWの冷却処理は行うが、当該冷却室LMの大気圧戻しは行わず、当該冷却室LM内を負圧に維持するように構成されているためである。
【0057】
このように、処理室PM2内に処理中又は処理済みのウエハB1〜B5が存在しているので、冷却室LM1及びLM2内が負圧に維持されている。したがって、大気搬送ロボットARは、冷却室LM1及びLM2内のウエハA4,A5を取出すことができない。 そして、B集団のウエハの処理が終了し、処理済みのウエハが処理室PM2内から冷却室LM1及びLM2に搬入され、冷却室LM1及びLM2の基板保持台LH1及びLH2に空きがなくなると、冷却室LM1及びLM2は大気圧に戻される。そうすると、大気搬送ロボットARは、冷却室LM1及びLM2内のウエハA4,A5を取出し、ポッドFP1に戻す。 こうして、B集団のウエハの基板処理が終了し、処理済みのウエハが処理室PM2内から冷却室LM1及びLM2に搬入されるまで、A集団のウエハA4,A5は、冷却室LM1及びLM2内に滞留することになる。
【0058】
図6の例における滞留時間の具体例について説明する。この例では、先発のA集団のウエハA4,A5が冷却室LM1及びLM2に載置された直後に、後発のB集団の基板処理が開始されたものとする。 前述したように、冷却室LM1及びLM2は、後発のB集団のために負圧状態に維持される。したがって、後発のB集団の基板処理が終了し、真空搬送ロボットVRが後発のB集団のウエハを冷却室LM1及びLM2に載置し、冷却室LM1及びLM2が大気圧に戻されるまでは、A集団のウエハA4,A5は、冷却室LM1及びLM2から取出されない。
【0059】
したがって、処理室PM2における1回の処理時間をn秒とし、冷却室LM1及びLM2が負圧から大気圧に戻されるまでの時間をp秒とした場合、真空搬送ロボットVRの搬送時間を考慮しなければ、A集団のウエハA4,A5は、冷却室LM1及びLM2内に(n+p)秒間、滞留することになる。
【0060】
そこで、本発明の発明者は、前述した第1の課題又は第2の課題を解決し、基板処理装置における処理済み基板の滞留を抑制する基板搬送制御を実現した。これにより、本実施の形態では、基板の滞留を抑制しながら基板搬送を効率よく実行できるようになり、上述の基板搬送よりもスループットが向上した。尚、基板の滞留が無い改良された本実施の形態(第1実施例及び第2実施例)に関しては後述する。
【0061】
(2)装置コントローラの構成 次に、基板処理装置100を制御する装置コントローラとしての制御部10について、主に図2を用いて説明する。図2は、基板処理装置100の制御部10の構成図である。 図2に示すように、制御部10において、スイッチングハブ16を介して、操作部コントローラ11と、搬送系コントローラ13と、プロセスチャンバコントローラ14とがLAN等の通信ネットワーク31で相互に接続されるように設けられている。また、上位コンピュータ(ホスト)50が、LAN等の通信ネットワーク31により接続されている。
【0062】
制御部10は、例えば基板処理装置100の内部に設けられ、操作部コントローラ11、搬送系コントローラ13、プロセスチャンバコントローラ14等を備えることで、基板処理装置100の各部を制御するよう構成される。 操作部コントローラ11、搬送系コントローラ13、プロセスチャンバコントローラ14は、それぞれ、ハードウエア構成としては、CPU(Central Processing Unit)と各コントローラの動作プログラム等を格納する記憶部11m、13m、14mとを備えており、各CPUは、それぞれの動作プログラムに従って動作する。各記憶部11m、13m、14mはそれぞれ、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、上記CPUの動作プログラムを記憶する記憶媒体をも含む。各記憶部11m、13m、14m等の基板処理装置100の記憶部を総称して、記憶部30と呼ぶ。
【0063】
制御部10、あるいは、操作部コントローラ11や搬送系コントローラ13やプロセスチャンバコントローラ14は、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)等の一般的な汎用コンピュータとして構成されていてもよい。この場合、各種プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、USBメモリ、磁気テープ、ハードディスク、DVD等)を用いて汎用コンピュータにプログラムをインストールすることにより、各コントローラを構成することができる。
【0064】
また、上述の処理を実行するプログラムを供給するための手段は、任意に選択できる。上述のように所定の記録媒体を介して供給するほか、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給することができる。
【0065】
操作部コントローラ11は、操作部コントローラ11に接続された操作表示部11sとともに、操作者とのインタフェースであり、操作表示部11sを介して操作者による操作や指示を受け付けるよう構成される。主に、操作部コントローラ11と操作表示部11sとで操作部が構成される。操作表示部11sには、各種の操作画面や各種データ等の情報が表示される。操作表示部11sに表示されるデータは、操作部コントローラ11の記憶部11mに記憶されている。
【0066】
プロセスチャンバコントローラ14及び搬送系コントローラ13には、DeviceNet等の信号線32を通じて、処理ガスの供給や排気用バルブのオン/オフを制御するバルブデジタルI/O19、各種スイッチ(SW)等のオン/オフを制御するSWデジタルI/O18が、シーケンサ17を介してそれぞれ接続されている。また、処理室における基板処理手順を示すプロセスレシピや、基板搬送手順を示す基板搬送レシピ、及び各種プログラムが記憶される記憶部14m,13mをそれぞれ備える。
【0067】
プロセスチャンバコントローラ14は、処理室PM1,PM2内での基板処理を制御するよう構成される。具体的には、プロセスチャンバコントローラ14には、処理室PM1,PM2内の圧力を制御するオートプレッシャコントローラ(APC)等の圧力コントローラ15が、例えば信号線32を通じて接続されている。プロセスチャンバコントローラ14は、例えば上位コンピュータ50から受信し記憶部14mに記憶されたプロセスレシピに基づいて、ウエハWを処理する際の制御データ(制御指示)を、圧力コントローラ15や、処理ガスの供給・排気用バルブ、各種スイッチ、マスフローコントローラ、温度調整器等に対して出力し、処理室PM1,PM2内における基板処理の制御を行う。なお、プロセスレシピは、操作部コントローラ11を介して操作者により作成又は編集されることも可能である。
【0068】
搬送系コントローラ13は、真空搬送ロボットVRや大気搬送ロボットARを制御するロボットコントローラを含み、ウエハWの搬送制御を行うよう構成される。搬送系コントローラ13には、ロードポートLP1〜LP3に載置されたポッドFP1〜FP3を識別するキャリアIDを示すバーコード1,2,3・・・等が記憶されるキャリアID記憶部20が、例えば信号線32を通じて接続されている。 搬送系コントローラ13は、例えば上位コンピュータ50から受信し記憶部13mに記憶された基板搬送レシピに基づいて、ウエハWを搬送する際の制御データ(制御指示)を、真空搬送ロボットVRや大気搬送ロボットAR、ウエハアライナーAU、各種バルブ、スイッチ等に対して出力し、基板処理装置100内におけるウエハWの搬送制御を行う。なお、基板搬送レシピは、操作部コントローラ11を介して操作者により作成又は編集されることも可能である。
【0069】
以上の構成により、制御部10は、例えば操作表示部11sからの操作者の指示に基づき、プロセスチャンバコントローラ14の記憶部14mに記憶されているプロセスレシピを実行するもので、該プロセスレシピに従って、処理室PM1,PM2に供給する処理ガスの流量や、処理室PM1,PM2内の圧力や、処理室PM1,PM2内のウエハWの温度等が、所定の値になるように制御する。 また、制御部10は、上記プロセスレシピを実行する際に上記基板搬送レシピに従って、大気搬送ロボットARや真空搬送ロボットVRを用いて、搬送系コントローラ13の記憶部13mに記憶した基板搬送レシピを実行して、ロードポートLP1〜LP3上のポッドFP1〜FP3と、ウエハアライナーAUと、冷却室LM1,LM2と、処理室PM1,PM2との間で、ウエハWを搬送する。このとき、後述する第1実施例や第2実施例のように、ウエハWの搬送制御を行う。
【0070】
(3)基板処理工程 次に、上記の構成をもつ基板処理装置100を使用する基板処理工程を説明する。この基板処理工程は、例えば半導体装置を製造する半導体製造工程の一工程として実施される。この基板処理工程においては、基板処理装置100の各構成部を、制御部10が制御するものである。 まず、冷却室LM1,LM2の真空搬送室TM側の真空側ゲートバルブLGV1,LGV2を閉じ、大気搬送室EFEM側の大気側ゲートバルブLGA1,LGA2を開いて、真空搬送室TM内及び処理室PM1,PM2内を真空排気する。並行して、大気搬送室EFEM内には、クリーンエアを供給し、大気搬送室EFEM内が大気圧状態になるようにする。
【0071】
その後、未処理のウエハ25枚を収納した例えばポッドFP1が、工程内搬送装置によって、基板処理装置100へ搬送されて来ると、図1に示されているように、搬送されてきたポッドFP1は、例えばロードポートLP1の上に、工程内搬送装置から受け渡されて載置される。ロードポートLP1上に載置されたポッドFP1は、該ポッドFP1のID(例えばバーコード)がID読取装置(不図示)により読取られて認証される。
【0072】
続いて、制御部10は、基板処理装置100の各部を制御し、基板搬送レシピに従ってウエハWの搬送を開始する。具体的には、図1に示すように、大気搬送ロボットARが、例えばポッドFP1内の先頭のウエハWを、ポッドFP1内の所定スロットから大気搬送室EFEM内に搬送し、ウエハアライナーAU上に載置する。 ウエハアライナーAUは、載置されたウエハWを、水平面における縦横方向及び円周方向に動かして、ウエハWのノッチ位置等を調整する。ウエハアライナーAUによりウエハWの位置調整が終了した後、大気搬送ロボットARは、ウエハアライナーAU上のウエハWをピックアップする。
【0073】
次に、大気側ゲートバルブLGA1が開けられ、大気搬送ロボットARは、ウエハWを大気圧状態の冷却室LM1に搬入し、冷却室LM1内の基板保持台LH1上に移載する。この移載作業中には、真空搬送室TM側の真空側ゲートバルブLGV1は閉じられており、真空搬送室TM内の負圧は維持されている。
【0074】
ウエハWの基板保持台LH1への移載が完了すると、大気側ゲートバルブLGA1が閉じられ、冷却室LM1内が、排気装置(図示せず)によって、所定の負圧になるよう真空排気される。
【0075】
この間、冷却室LM2内へのウエハWの搬送も同時進行で行われる。すなわち、ウエハWが搬送された冷却室LM1内を真空排気して減圧している間、例えばポッドFP1内のウエハWを、上記と同様の手順により、冷却室LM2内へ搬送する。
【0076】
冷却室LM1が、予め設定された圧力値に減圧されると、真空側ゲートバルブLGV1が開かれ、真空搬送室TMの真空搬送ロボットVRが、基板保持台LH1からウエハWをピックアップして、真空搬送室TM内へ搬入する。それから、真空側ゲートバルブLGV1が閉じられ、冷却室LM1が大気圧に戻され、次のウエハWが冷却室LM1内へ搬入される。
【0077】
その後、処理室PM1の処理室ゲートバルブPGV1が開かれ、真空搬送ロボットVRが、ピックアップしていたウエハWを処理室PM1に搬入し、基板載置台ST1上に載置する。このようにして、冷却室LM1及びLM2内のウエハWの処理室PM1内への搬送が繰り返され、処理室PM1内の基板載置台ST1上に複数枚のウエハWが載置される。 その後、処理室ゲートバルブPGV1が閉じられた後、処理室PM1内に、ガス供給装置(図示せず)から処理用ガスが供給され、負圧下で所望の処理、例えば、基板上に半導体装置を形成するための基板処理がウエハWに施される。このとき、処理室PM2内においても、同一の、或いは異なる内容の基板処理が同時進行される場合がある。
【0078】
処理室PM1において基板処理が終了した後、処理室ゲートバルブPGV1が開かれ、真空搬送ロボットVRは、ウエハWを処理室PM1から搬出する。ウエハWを処理室PM1から搬出後、処理室ゲートバルブPGV1が閉じられる。次に、真空側ゲートバルブLGV1が開かれると、真空搬送ロボットVRは、処理室PM1から搬出したウエハWを、冷却室LM1へ搬入し、基板保持台LH1上に載置する。 そして、冷却室LM1がウエハで満たされると、真空側ゲートバルブLGV1が閉じられ、冷却室LM1内で処理済みのウエハWの冷却が開始される。併行して、冷却室LM1に接続された不活性ガス供給装置(図示せず)から不活性ガスが導入され、冷却室LM1内の圧力が大気圧に戻される。
【0079】
冷却室LM1において、予め設定された冷却処理時間Ctが経過し、かつ冷却室LM1内の圧力が大気圧に戻されると、大気側ゲートバルブLGA1が開かれる。続いて、大気搬送ロボットARが、基板保持台LH1から処理済みのウエハWをピックアップして大気搬送室EFEMに搬出し、大気搬送ロボットARは、処理済みのウエハWをポッドFP1に収納する。その後、大気側ゲートバルブLGA1が閉じられる。
【0080】
上記の基板処理工程によってポッドFP1内の全てのウエハWに所望の処理が行われ、処理済みの25枚のウエハWの全てが、ポッドFP1へ収納されると、ポッドFP1のキャップがフープドアFD1により閉じられる。キャップを閉じられたポッドFP1は、ロードポートLP1の上から次の工程へ、工程内搬送装置によって搬送される。以上の動作が繰り返されることにより、ウエハがポッド単位で25枚ずつ、順次処理されていく。
【0081】
処理室PM1での基板処理と併行して処理室PM2での基板処理を行う場合は、例えばロードポートLP2に載置されたポッドFP2内のウエハWが、ポッドFP1内のウエハWと同様の手順で、処理室PM2へ搬送されて処理され、ポッドFP2へ戻される。ポッドFP2内のウエハWは、ポッドFP1内のウエハWの1回の処理数(例えば5枚)を処理室PM1へ搬送した後に、処理室PM2へ搬送されるか、又は、ポッドFP1内のウエハWの1回の処理数(例えば5枚)の処理室PM1への搬送と併行して、処理室PM2へ搬送される。処理後にポッドFP2へ戻されるときも同様である。
【0082】
(4)本実施形態の基板搬送制御 次に、本実施形態の基板搬送制御について説明する。 まず、搬送系コントローラ13の記憶部13mやプロセスチャンバコントローラ14の記憶部14m等で構成される記憶部30について説明する。 搬送系コントローラ13の記憶部13mの例えば不揮発性領域には、大気搬送ロボットARや真空搬送ロボットVRやウエハアライナーAUや各ゲートバルブ等の動作時間が、ハードウエアパラメータとして記憶されている。このハードウエアパラメータは、操作表示部11sから操作者が設定することが可能である。
【0083】
詳しくは、ハードウエアパラメータとして、大気搬送ロボットARがロードポートLP1〜LP3上のポッドFP1〜FP3からウエハアライナーAUへ基板を搬送する時間と、ウエハアライナーAUから予備室(冷却室)LM1,LM2へ基板を搬送する時間と、ウエハアライナーAUの位置調整時間と、真空搬送ロボットVRが予備室(冷却室)LM1,LM2と処理室PM1,PM2との間で基板を搬送する時間と、フープドアFD1〜FD3の開閉動作時間と、大気側ゲートバルブLGA1,LGA2の開閉動作時間と、真空側ゲートバルブLGV1,LGV2の開閉動作時間と、処理室ゲートバルブPGV1,PGV2の開閉動作時間と、予備室(冷却室)LM1,LM2が排気により大気圧状態から所定の負圧状態に到達するまでのエバック時間(減圧時間)LEtと、予備室(冷却室)LM1,LM2が不活性ガス導入により所定の負圧状態から大気圧状態に到達するまでの大気圧復帰時間と、予備室(冷却室)LM1,LM2における冷却処理時間Ct等が記憶されている。
【0084】
(第1実施例) 次に、第1の課題を解決するための第1実施例を説明する。 第1実施例では、搬送系コントローラ13は、処理室PMで基板処理中の場合は、処理室PMにおける基板処理の残時間(レシピ残時間:RRt)と、ロードポートLP上のポッドFPからウエハWを取出し、真空搬送ロボットVRのアーム上に載置するまでの時間(アプローチ時間:LVt)とに基づき、それらの大小関係を判定し、大気搬送ロボットARがポッドFPからウエハWを取出すタイミングを決定する。例えば、レシピ残時間RRtがアプローチ時間LVt以下になると、ロードポートLP上のポッドFPからウエハWを取出し、真空搬送ロボットVRのアーム上に載置するように、大気搬送ロボットAR、各ゲートバルブ、真空搬送ロボットVR等を制御する。
【0085】
詳しくは、搬送系コントローラ13は、ハードウエアパラメータを参照して、ロードポートLP上のポッドFPからウエハWが取出され、ウエハアライナーAUを経て、真空搬送ロボットVRのアーム上に載置されるまでのアプローチ時間LVtを算出する。 また、プロセスチャンバコントローラ14は、処理室PMで基板処理中において、レシピ残時間RRtを、刻々と搬送系コントローラ13へ通知する。
【0086】
ここで、アプローチ時間LVtには、フープドアFDの開動作時間、フープドアFDからウエハアライナーAUへのウエハ搬送時間、ウエハアライナーAUでの位置調整動作時間、大気側ゲートバルブLGAの開動作時間、ウエハアライナーAUから予備室LMへのウエハ搬送時間、大気側ゲートバルブLGAの閉動作時間、予備室LMのエバック時間LEt、真空側ゲートバルブLGVの開動作時間、真空搬送ロボットVRによる予備室LMからのウエハ取出し時間、真空側ゲートバルブLGVの閉動作時間が含まれる。 なお、レシピ残時間RRtには、処理室ゲートバルブPGVの開動作時間を含めてもよい。
【0087】
例えば、搬送系コントローラ13は、複数の処理室(本実施の形態では、処理室PM1及びPM2)で基板処理を開始し、その後、ロードポートLP2上のポッドFP2から処理室PM2へ基板を搬送する際に、処理室PM2におけるレシピ残時間RRtと、ロードポートLP2上のポッドFP2からウエハWを取出し、真空搬送ロボットVRのアーム上に載置するまでのアプローチ時間LVtとに基づき、大気搬送ロボットARがポッドFP2からウエハWを取出すタイミングを決定する。
【0088】
具体的には、処理室PM2におけるレシピ残時間RRtが、アプローチ時間LVt以下になると、大気搬送ロボットARがポッドFP2からウエハWを取出すように、大気搬送ロボットAR、各ゲートバルブ等を制御する。この際、ポッドFP2にウエハWが無い場合、処理室PM2内の処理済基板の搬送が優先される。要するに、レシピ残時間RRtがゼロになったら真空搬送ロボットVR及び大気搬送ロボットARを介して、処理室PM2内の処理済基板がポッドFP2内の元の位置にそれぞれ搬送される。 あるいは、搬送系コントローラ13は、処理室PM1におけるレシピ残時間RRtが、ロードポートLP1上のポッドFP1からウエハWを取出し、真空搬送ロボットVRのアーム上に載置するまでのアプローチ時間LVt以下になると、大気搬送ロボットARがポッドFP1からウエハWを取出すように、大気搬送ロボットAR、各ゲートバルブ等を制御する。 尚、この際、ポッドFP1にウエハWが無い場合、上述した処理室PM2内の処理済基板と同様に、処理室PM1内の処理済基板の搬送が行われる。
【0089】
こうすることにより、例えば処理室PM2での基板処理終了時点で、つまり、処理室PM2内の処理済みウエハW(例えば、図5のウエハB1)と交換可能となるタイミングで、次の未処理ウエハW(例えば、図5のウエハB6)が真空搬送ロボットVRのアーム上に載置されることになる。 したがって、真空搬送ロボットVRの空き時間、つまり、真空搬送ロボットVRのアーム上にウエハWが載置されていない時間を、最大限大きくすることができるので、他方の処理室PM1内の処理済みウエハW(例えば、図5のウエハA1〜A5)を優先して搬出することが可能となる。
【0090】
こうして、第1の課題、例えば図5のように、処理室PM1内の処理済みのA集団のウエハA1〜A5が、B集団のウエハB1〜B25が処理室PM2に搬送されるまでの時間、処理室PM1内に滞留することを抑制することができる。
【0091】
なお、第1実施例において、図1の構成に代えて、処理室PM1及びPM2とロードポートLPとの間に、基板搬送ロボットRを備える基板搬送室を設け、処理室PM1及びPM2とロードポートLP上のポッドFPとの間で、基板搬送する構成とすることも可能である。この基板搬送室は、基板処理内容に応じて、大気圧搬送室又は負圧及び大気圧の切り換え可能な搬送室とする。
【0092】
以上説明した第1実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。 (A1)処理室PM1及びPM2で基板処理を開始した後、ポッドFPから処理室PM2へ基板を搬送する際に、処理室PM2におけるレシピ残時間と、ポッドFPから基板を取出し真空搬送ロボットVRに載置するまでのアプローチ時間とに基づき、大気搬送ロボットARがポッドFPから基板を取出すタイミングを決定するので、本発明を構成しない場合と比べ、処理室PM1内の処理済み基板が滞留することを抑制できる。 (A2)処理室PM2におけるレシピ残時間がアプローチ時間以下になると、大気搬送ロボットARがポッドFPから基板を取出すので、より確実に処理室PM1内の処理済み基板が滞留することを抑制できる。また、処理室PM1内の処理済み基板が滞留することを抑制しつつ、処理室PM2における基板処理が遅れることを抑制することができる。 (A3)また、処理室PM1及びPM2で基板処理を開始した後、ポッドFPから処理室PM2へ基板を搬送する際に、処理室PM1及び処理室PM2におけるレシピ残時間と、ポッドFPから基板を取出し真空搬送ロボットVRに載置するまでのアプローチ時間とを比較し、処理室PM1におけるレシピ残時間がアプローチ時間以下になると、処理室PM1内の処理済み基板の搬送を優先させるので、より確実に処理室PM1内の処理済み基板が滞留することを抑制できる。 (A4)アプローチ時間は、少なくとも、大気搬送ロボットARがポッドFPから予備室へ基板を搬送する時間と、予備室が大気圧状態から負圧状態に到達するまでの時間と、真空搬送ロボットVRが予備室から基板を取出す時間とを含むようにしたので、予備室が介在する場合のアプローチ時間を適切に算出できる。
【0093】
(第2実施例) 次に、第2の課題を解決するための第2実施例を、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る第2実施例を説明するための図である。図3において、t0は、例えば冷却室LM1内から大気側へ冷却済みウエハWを搬出したときの、ウエハ搬出完了タイミングである。レシピ残時間RRtは、基板処理中の処理室PM、例えば処理室PM2における残りの基板処理時間である。PM搬送時間(処理済み基板搬出時間)PMtは、処理室PM2から処理済みウエハWを搬出するのに要する時間である。クーリング残時間(冷却残時間)CRtは、冷却室LM1で冷却中のウエハWの冷却が終了するまでの残時間である。LM搬送時間(冷却済み基板搬出時間)LMtは、冷却室LM1から冷却済みウエハWを搬出する時間である。エバック時間LEtは、冷却室LM1を大気圧から負圧にするのに要する時間である。 PM搬送時間PMt、LM搬送時間LMt、エバック時間LEtは、前述したハードウエアパラメータとして、記憶部30に記憶されている。
【0094】
処理搬出時間RGtは、例えば処理室PM2において基板処理を終了して処理室PM2から処理済みウエハWを搬出するまでの時間であり、レシピ残時間RRtとPM搬送時間PMtとの合計値である。PM搬送時間PMtには、処理室ゲートバルブPGVの開動作時間を含めてもよい。 冷却エバック時間CEtは、例えば冷却室LM1内の処理済みウエハWを冷却して大気側へ取出し、その後、冷却室LM1内を大気圧から負圧にするまでの時間であり、クーリング残時間CRtと、LM搬送時間LMtと、エバック時間LEtとの合計値である。LM搬送時間LMtには、大気側ゲートバルブLGAの開閉動作時間を含めてもよい。
【0095】
第2実施例では、搬送系コントローラ13は、冷却室LM1又はLM2内が大気圧状態において、処理室PMから処理済みウエハを搬出する際に、処理室PMにおけるレシピ残時間RRtと、冷却室LM1又はLM2におけるクーリング残時間CRtとに基づき、冷却室LM1又はLM2を大気圧から負圧にするよう制御する。 詳しくは、搬送系コントローラ13は、冷却室LM1又はLM2内が大気圧状態において、処理室PMから処理済みウエハを搬出する際に、処理搬出時間RGt(レシピ残時間RRtとPM搬送時間PMtとの合計値)と冷却エバック時間CEt(クーリング残時間CRtとLM搬送時間LMtとエバック時間LEtとの合計値)とに基づき、冷却室LM1又はLM2を大気圧から負圧にするよう制御する。
【0096】
例えば、搬送系コントローラ13は、図3(a)に示すように、処理搬出時間RGtが、冷却室LM1又はLM2の冷却エバック時間CEtよりも大きい場合に、冷却室LM1又はLM2内の大気圧を維持し、冷却室LM1又はLM2内から冷却済みウエハWを搬出する。この場合は、処理搬出時間RGtが冷却エバック時間CEtよりも大きいので、例えば処理室PM2において基板処理を終了して処理室PM2から処理済みウエハWを搬出するまでの間に、冷却室LM1内の処理済みウエハWを冷却して大気側へ取出し、その後、冷却室LM1内を大気圧から負圧にすることができる。つまり、処理室PM2からの処理済みウエハWの搬出を遅らせることなく、冷却室LM1内の処理済みウエハWを大気側へ取出すことが可能となる。
【0097】
また、搬送系コントローラ13は、図3(b)に示すように、冷却室LM1又はLM2内が大気圧状態において、処理搬出時間RGtが冷却エバック時間CEt以下である場合に、冷却室LM1又はLM2内から冷却済みウエハWを搬出することなく、冷却室LM1又はLM2内を大気圧から負圧にする。この場合は、処理搬出時間RGtが冷却エバック時間CEt以下なので、例えば処理室PM2において基板処理を終了して処理室PM2から処理済みウエハWを搬出するまでの間に、冷却室LM1内の処理済みウエハWを冷却して大気側へ取出し、その後、冷却室LM1内を大気圧から負圧にすることができない。つまり、冷却室LM1内の処理済みウエハWを大気側へ取出すと、処理室PM2からの処理済みウエハWの搬出を遅らせることになり、基板処理装置100の生産効率が低下する。ここで、処理室PM1についても同様なのは言うまでもない。
【0098】
詳しくは、搬送系コントローラ13は、ハードウエアパラメータを参照して、処理室PMにおけるレシピ残時間RRtと、処理室PMから処理済みウエハWを搬出するPM搬送時間PMtとを加算して、処理搬出時間RGtを算出する。前述したように、レシピ残時間RRtは、プロセスチャンバコントローラ14から刻々とリアルタイムで搬送系コントローラ13へ通知される。 また、搬送系コントローラ13は、ハードウエアパラメータを参照して、冷却室LMのクーリング残時間(冷却残時間)CRtと、冷却室LMから冷却済みウエハWを搬出するLM搬送時間LMtと、冷却室LMのエバック時間LEtとを加算して、冷却エバック時間CEtを算出する。 クーリング残時間CRtは、冷却開始時点からその時点までの経過時間を前述した冷却処理時間Ctから減算することにより算出される。クーリング残時間CRtは、搬送系コントローラ13が、刻々とリアルタイムで監視し取得している。
【0099】
例えば、搬送系コントローラ13は、冷却室LM1内が大気圧状態において、処理室PM1から処理済みウエハを搬出した後、処理室PM2から処理済みウエハを搬出する際に、処理室PM2において基板処理を終了して処理済みウエハWを搬出するまでの処理搬出時間RGtが、冷却室LM1内の処理済みウエハWを冷却して大気側へ取出した後、冷却室LM1内を大気圧から負圧にするまでの冷却エバック時間CEtよりも大きい場合に、冷却室LM1内の大気圧を維持し、冷却室LM1内から冷却済みウエハWを搬出する。 また、搬送系コントローラ13は、処理搬出時間RGtが冷却エバック時間CEt以下である場合に、冷却室LM1内から冷却済みウエハWを搬出することなく、冷却室LM1内を大気圧から負圧にする。
【0100】
第2実施例における搬送系コントローラ13の動作を、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態の第2実施例の動作フロー図である。 まず、搬送系コントローラ13は、例えば、冷却室LM1内が大気圧状態において、冷却室LM1の状態を確認し取得する(図4のステップS1)。そして、真空側、つまり真空搬送室TMと処理室PM1又はPM2内にウエハWが存在するか否かを判定する(ステップS2)。真空側にウエハWが存在しない場合(ステップS2でNo)は、冷却室LM1内を大気圧に維持する(ステップS5)。真空側にウエハWが存在する場合(ステップS2でYes)は、真空側のウエハWが処理済みであるか否かを判定する(ステップS3)。真空側のウエハWが処理済みである場合(ステップS3でYes)は、冷却室LM1内を負圧にし(ステップS6)、処理室PM1又はPM2から冷却室LM1内への処理済みウエハWの搬入に備える。
【0101】
真空側のウエハWが処理済みでない場合(ステップS3でNo)は、レシピ残時間RRtがクーリング残時間CRt以下であるか否かを判定する(ステップS4)。詳しくは、レシピ残時間RRtとPMからウエハWを搬出するPM搬送時間PMtとの合計時間である処理搬出時間RGtが、クーリング残時間CRtとLMからウエハWを搬出するLM搬送時間LMtとエバック時間LEtとの合計時間である冷却エバック時間CEt以下であるか否かを判定する。 なお、PM搬送時間PMt、LM搬送時間LMt、エバック時間LEtを無視し、レシピ残時間RRtがクーリング残時間CRt以下であるか否かを判定するようにしてもよい。このようにしても、冷却室内の処理済み基板が滞留することを抑制できる。
【0102】
そして、処理搬出時間RGtが冷却エバック時間CEt以下である場合(ステップS4でYes)は、冷却室LM1内を負圧にし(ステップS6)、処理室PM1又はPM2から冷却室LM1内への処理済みウエハWの搬出に備える。また、処理搬出時間RGtが冷却エバック時間CEt以下でない場合(ステップS4でNo)は、冷却室LM1内を大気圧に維持し(ステップS5)、冷却室LM1内の処理済みウエハWを搬出可能にする。
【0103】
こうすることにより、処理搬出時間RGtが冷却エバック時間CEtよりも大きい場合は、冷却室LM1内を大気圧に維持するので、冷却室LM1内の処理済みウエハW(例えば、図6のウエハA5)を滞留させることなく搬出することができる。 また、処理搬出時間RGtが冷却エバック時間CEt以下である場合は、冷却室LM1内を負圧にするので、処理室PM1又はPM2から処理済みウエハWを待たせることなく冷却室LM1へ搬出することができる。 このようにして、処理室PM1又はPM2から冷却室LM1への処理済みウエハWの搬出遅れ(搬出待ち)を抑制できるので、基板処理装置100全体の処理時間を短縮することができる。
【0104】
以上説明した第2実施例によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。 (B1)処理室PM1及びPM2で基板処理を実施し、処理室PM1から処理済み基板を搬出した後、処理室PM2から処理済み基板を搬出する際に、処理室PM2におけるレシピ残時間と、冷却室における冷却残時間とに基づき、冷却室を大気圧から負圧にするので、冷却室内の処理室PM1からの処理済み基板が無駄に滞留し続けることを抑制できる。よって、スループットの低下を抑えられる。 (B2)レシピ残時間が冷却残時間以下になると冷却室を大気圧から負圧にするので、確実に冷却室内の処理室PM1からの処理済み基板が滞留することを抑制できる。また、冷却室内の処理済み基板が滞留することを抑制しつつ、処理室PM2から処理済み基板の搬出遅れの発生を抑制することができる。 (B3)処理室PM1及びPM2で基板処理を実施し、処理室PM1から処理済み基板を搬出した後、処理室PM2から処理済み基板を搬出する際に、処理室PM2におけるレシピ残時間と処理室PM2から処理済み基板を搬出する基板搬出時間との合計時間である処理搬出時間と、冷却室における冷却残時間と冷却室から冷却済み基板を搬出する冷却済み基板搬出時間と冷却室を大気圧から負圧にするのに要するエバック時間との合計時間である冷却エバック時間と、に基づき冷却室を大気圧から負圧にするので、より適切に、冷却室内の処理室PM1からの処理済み基板が滞留することを抑制しつつ、処理室PM2からの処理済み基板搬出遅れの発生を抑制することができる。 (B4)また、処理室PM1からの処理済基板と処理室PM2からの処理済基板が、同じ冷却室内に存在することを抑えられる。これにより、処理室PM1と処理室PM2が異なる基板処理を行っていたとしても、処理品質の低下の恐れを回避できる。
【0105】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。 前記実施形態では、ロードポートが3つで予備室(冷却室)が2つで処理室が2つで処理室内に5枚の基板が載置される場合について説明したが、これらの数に限定されるものではない。 また、前記実施形態では、ポッドFP1のウエハを処理室PM1で処理し、ポッドFP2のウエハを処理室PM2で処理するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、ポッドFP2のウエハを処理室PM1で処理することも可能であるし、ポッドFP1とポッドFP2のウエハを処理室PM1で処理することも可能である。 また、第1実施例と第2実施例は、いずれか一方のみ実施するように構成してもよいし、両方を実施するように構成してもよい。第1実施例のみ実施する場合は、予備室兼冷却室LMの冷却機能は必ずしも必要ではなく、その場合は予備室LMとして機能する。
【0106】
本発明は、半導体製造装置だけでなく、LCD製造装置のようなガラス基板を処理する装置や、他の基板処理装置にも適用できる。基板処理の処理内容は、CVD、PVD、ALD、エピタキシャル成長膜、酸化膜、窒化膜、金属含有膜等を形成する成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、拡散処理、エッチング処理、露光処理、リソグラフィ、塗布処理、モールド処理、現像処理、ダイシング処理、ワイヤボンディング処理、検査処理等であってもよい。
【0107】
(本発明の好ましい態様) 以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0108】
(付記1) 本発明の一態様によれば、 基板を処理する複数の処理室と、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器を載置する載置部と、 負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、 大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、 前記大気搬送室と前記真空搬送室とを介し、前記載置部に載置された前記収納容器から前記複数の処理室へ基板を搬送して、前記複数の処理室で基板処理を開始し、その後、前記収納容器から前記複数の処理室のうち所定の処理室へ基板を搬送する際に、前記複数の処理室における、それぞれの基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定する制御部と、を備える基板処理装置が提供される。
【0109】
(付記2) 好ましくは、負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって、前記複数の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、を備えた付記1の基板処理装置であって、 前記制御部は、前記複数の処理室のうち、所定の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記所定の処理室以外の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する基板処理装置が提供される。
【0110】
(付記3)更に、好ましくは、付記1または付記2の基板処理装置において、前記制御部は、前記所定の処理室から処理済基板を搬出する際に、前記処理済基板の搬出が終了するまで、前記大気搬送機が前記基板収納容器から未処理の基板を取出すタイミングを遅らせる基板処理装置が提供される。
【0111】
(付記4)更に、好ましくは、付記1の基板処理装置において、前記制御部は、前記レシピ残時間が前記アプローチ時間以下になると、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すように制御する基板処理装置が提供される。
【0112】
(付記5)更に、好ましくは、付記2の基板処理装置において、前記制御部は、前記レシピ残時間が前記冷却残時間以下になると、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する基板処理装置が提供される。
【0113】
(付記6)更に、好ましくは、付記2の基板処理装置において、前記制御部は、前記レシピ残時間と前記所定の処理室から処理済み基板を搬出するのに要する時間である処理済み基板搬出時間との合計時間である処理搬出時間と、前記冷却残時間と前記冷却室から冷却済み基板を搬出するのに要する時間である冷却済み基板搬出時間と前記冷却室を大気圧から負圧にするのに要する時間であるエバック時間との合計時間である冷却エバック時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する基板処理装置が提供される。
【0114】
(付記7)更に、好ましくは、付記6の基板処理装置において、前記制御部は、前記処理搬出時間が前記冷却エバック時間以下になると、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する制御する基板処理装置が提供される。
【0115】
(付記8)本発明の他の態様によれば、基板を処理する複数の処理室と、 負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、 大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気搬送室及び前記真空搬送室を介して前記基板を前記処理室に搬送する制御部を備えた基板処理装置で実行されるプログラムを読み取り可能な記録媒体であって、前記制御部に、前記複数の処理室で基板処理を開始した後、所定の処理室へ基板を搬送する際に、前記所定の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記基板を前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程と、 を実行させるプログラムを読み取り可能に記録する記録媒体が提供される。
【0116】
(付記9)好ましくは、前記処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、を備えた付記8の基板処理装置で実行されるプログラムを読み取り可能に記録した記録媒体であって、前記制御部に、前記所定の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記所定の処理室以外の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、 前記冷却室において、前記複数の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、 を実行させるプログラムを読み取り可能に記録する記録媒体が提供される。
【0117】
(付記10)本発明の更に他の態様によれば、大気圧下で基板が搬送される大気搬送室と、負圧下で基板が搬送される真空搬送室とを介し、前記基板を処理する複数の処理室へ前記基板を搬送する基板搬送工程と、 前記複数の処理室において、前記基板に所定の処理を実施する基板処理工程と、 前記複数の処理室で基板処理を開始した後、前記複数の処理室のうち所定の処理室へ基板を搬送する際に、前記複数の処理室における、それぞれの基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記基板を前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記基板を搬送するタイミングを決定するタイミング決定工程と、 を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0118】
(付記11) 好ましくは、付記9の半導体装置の製造方法において、前記所定の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記複数の処理室のうち所定の処理室以外の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記複数の処理室のうち所定の処理室以外の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、 前記複数の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、 を更に備える請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【0119】
(付記12) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を処理する第1及び第2の処理室と、基板を収容する1つ又は複数の収納容器を載置する載置部と、負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気搬送室と前記真空搬送室とを介し、前記載置部に載置された前記収納容器から前記第1及び第2の処理室へ基板を搬送して、前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始し、その後、前記収納容器から前記第1及び第2の処理室のうち所定の処理室へ基板を搬送する際に、前記第1及び第2の処理室における、それぞれの基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間に基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定する制御部と、 を備える基板処理装置が提供される。
【0120】
(付記13)好ましくは、前記制御部は、前記レシピ残時間が前記アプローチ時間以下になると、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すように制御する付記12の基板処理装置が提供される。
【0121】
(付記14) 好ましくは、前記アプローチ時間は、前記大気搬送機が前記収納容器から前記予備室へ基板を搬送する時間と、前記予備室が大気圧状態から負圧状態に到達するまでの時間と、前記予備室内の基板を前記真空搬送機に載置するまでの時間と、を含む付記12または付記13の基板処理装置が提供される。
【0122】
(付記15) 本発明の他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能な予備室と、前記予備室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する第1及び第2の処理室へ基板を搬送する基板搬送工程と、前記第1及び第2の処理室において、負圧下で、基板上に半導体装置を形成するための基板処理を実施する基板処理工程と、前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始した後、前記収納容器から前記第2の処理室へ基板を搬送する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程と、 を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0123】
(付記16) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能な予備室と、前記予備室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する第1及び第2の処理室へ未処理基板を搬送する未処理基板搬送工程と、 前記未処理基板搬送工程において、前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始した後、前記収納容器から前記第2の処理室へ基板を搬送する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程と、 を備える基板搬送方法が提供される。
【0124】
(付記17) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能な予備室と、前記予備室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する第1及び第2の処理室へ基板を搬送する基板搬送工程と、 前記第1及び第2の処理室において、負圧下で、基板上に半導体装置を形成するための基板処理を実施する基板処理工程と、 前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始した後、前記収納容器から前記第2の処理室へ基板を搬送する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程と、 を備えるプログラム、又は前記プログラムを格納する記憶媒体が提供される。
【0125】
(付記18) 本発明の更に他の態様によれば、 負圧下で基板を処理する第1及び第2の処理室と、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器と、 前記第1及び第2の処理室と隣接し、負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、 前記収納容器と隣接し、大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、 前記真空搬送室と前記大気搬送室とに隣接し、負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって、前記第1及び第2の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、 前記大気搬送室と前記冷却室と前記真空搬送室とを介し、前記収納容器から前記第1及び第2の処理室へ基板を搬送して、前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始し、その後、前記第1の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記第2の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する制御部と、 を備える基板処理装置が提供される。
【0126】
(付記19) 好ましくは、付記18の基板処理装置によれば、前記制御部は、前記レシピ残時間が前記冷却残時間以下になると、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する基板処理装置が提供される。
【0127】
(付記20) 好ましくは、付記18の基板処理装置によれば、 前記制御部は、前記レシピ残時間と前記第2の処理室から処理済み基板を搬出するのに要する時間である処理済み基板搬出時間との合計時間である処理搬出時間と、前記冷却残時間と前記冷却室から冷却済み基板を搬出するのに要する時間である冷却済み基板搬出時間と前記冷却室を大気圧から負圧にするのに要する時間であるエバック時間との合計時間である冷却エバック時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する基板処理装置が提供される。
【0128】
(付記21) 好ましくは、付記20の基板処理装置によれば、 前記制御部は、前記処理搬出時間が前記冷却エバック時間以下になると、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する基板処理装置が提供される。
【0129】
(付記22) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって第1及び第2の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、前記冷却室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する前記第1及び第2の処理室へ基板を搬送する基板搬送工程と、 前記第1及び第2の処理室において、負圧下で、基板上に半導体装置を形成するための基板処理を実施する基板処理工程と、 前記第1の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記第2の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、 前記冷却室において、前記第1及び第2の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、 を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0130】
(付記23) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって第1及び第2の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、前記冷却室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する前記第1及び第2の処理室へ、未処理基板を搬送する未処理基板搬送工程と、 前記第1及び第2の処理室から処理済み基板を、前記真空搬送室を介して前記冷却室へ搬送する処理済み基板搬送工程と、 前記冷却室から冷却済み基板を、前記大気圧搬送室を介して前記収納容器へ搬送する冷却済み基板搬送工程と、 前記処理済み基板搬送工程において、前記第1の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記第2の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、 を備える基板搬送方法が提供される。
【0131】
(付記24) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって第1及び第2の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、前記冷却室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する前記第1及び第2の処理室へ基板を搬送する基板搬送工程と、 前記第1及び第2の処理室において、負圧下で、基板上に半導体装置を形成するための基板処理を実施する基板処理工程と、 前記第1の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記第2の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、 前記冷却室において、前記第1及び第2の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、 を備えるプログラム、又は前記プログラムを格納する記憶媒体が提供される。
【0132】
(付記25) 本発明の更に他の態様によれば、 負圧下で基板を処理する第1及び第2の処理室と、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器と、 前記第1及び第2の処理室と隣接し、負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室と、 前記収納容器と隣接し、大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、 前記真空搬送室と前記大気搬送室とに隣接し、負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって、前記第1及び第2の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、 前記大気搬送室と前記冷却室と前記真空搬送室とを介し、前記収納容器から前記第1及び第2の処理室へ基板を搬送して、前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始し、その後、前記収納容器から前記第2の処理室へ基板を搬送する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定するとともに、前記第1の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記第2の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記レシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にするよう制御する制御部と、 を備える基板処理装置が提供される。
【0133】
(付記26) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって第1及び第2の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、前記冷却室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する前記第1及び第2の処理室へ基板を搬送する基板搬送工程と、 前記第1及び第2の処理室において、負圧下で、基板上に半導体装置を形成するための基板処理を実施する基板処理工程と、 前記冷却室において、前記第1及び第2の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、 前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始した後、前記収納容器から前記第2の処理室へ基板を搬送する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程と、 前記第1の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記第2の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記レシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、 を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0134】
(付記27) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって第1及び第2の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、前記冷却室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する前記第1及び第2の処理室へ、未処理基板を搬送する未処理基板搬送工程と、 前記第1及び第2の処理室から処理済み基板を、前記真空搬送室を介して前記冷却室へ搬送する処理済み基板搬送工程と、 前記冷却室から冷却済み基板を、前記大気圧搬送室を介して前記収納容器へ搬送する冷却済み基板搬送工程と、 前記未処理基板搬送工程において、前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始した後、前記収納容器から前記第2の処理室へ未処理基板を搬送する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から未処理基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程と、 前記処理済み基板搬送工程において、前記第1の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記第2の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記レシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、 を備える基板搬送方法が提供される。
【0135】
(付記28) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器から、前記収納容器と隣接し大気圧下で基板を搬送する大気搬送機を有する大気搬送室と、前記大気圧搬送室と隣接し負圧状態と大気圧状態とを切り換え可能であって第1及び第2の処理室から搬送された処理済み基板を冷却する冷却室と、前記冷却室と隣接し負圧下で基板を搬送する真空搬送機を有する真空搬送室とを介し、前記真空搬送室と隣接し負圧下で基板を処理する前記第1及び第2の処理室へ基板を搬送する基板搬送工程と、 前記第1及び第2の処理室において、負圧下で、基板上に半導体装置を形成するための基板処理を実施する基板処理工程と、 前記冷却室において、前記第1及び第2の処理室から搬出された処理済み基板を冷却する基板冷却工程と、 前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始した後、前記収納容器から前記第2の処理室へ基板を搬送する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記真空搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記大気搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定するタイミング決定工程と、 前記第1の処理室から処理済み基板を搬出した後、前記第2の処理室から処理済み基板を搬出する際に、前記レシピ残時間と、前記冷却室における基板冷却の残時間である冷却残時間とに基づき、前記冷却室を大気圧から負圧にする冷却室減圧工程と、 を備えるプログラム、又は前記プログラムを格納する記憶媒体が提供される。
【0136】
(付記29) 本発明の更に他の態様によれば、 基板を処理する第1及び第2の処理室と、 基板を収容する1つ又は複数の収納容器と、 前記第1及び第2の処理室と前記収納容器との間で基板を搬送する基板搬送機を有する基板搬送室と、 前記収納容器から前記第1及び第2の処理室へ基板を搬送して、前記第1及び第2の処理室で基板処理を開始し、その後、前記収納容器から前記第2の処理室へ基板を搬送する際に、前記第2の処理室における基板処理の残時間であるレシピ残時間と、前記収納容器から基板を取出し前記基板搬送機に載置するまでの時間であるアプローチ時間とに基づき、前記基板搬送機が前記収納容器から基板を取出すタイミングを決定する制御部と、 を備える基板処理装置が提供される。
【0137】
この出願は、2013年4月10日に出願された日本出願特願2013−082121を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0138】
例えば半導体ウエハ等の基板を処理する基板処理装置に係り、特に、1つの処理室内で1枚又は数枚程度の基板処理を行う基板処理装置における基板の搬送制御技術一般に適用できる。
【符号の説明】
【0139】
10…制御部(コントローラ)、11…操作部コントローラ、11s…操作表示部、11m…記憶部、13…搬送系コントローラ、13m…記憶部、14…プロセスチャンバコントローラ、14m…記憶部、15…圧力コントローラ、16…スイッチングハブ、17…シーケンサ、18…SWデジタルI/O、19…バルブデジタルI/O、20…キャリアID記憶部、21…通信部、30…記憶部、31…ネットワーク、32…信号線、50…上位コンピュータ、100…基板処理装置、AU…ウエハアライナー、AR…大気搬送ロボット(大気搬送機)、EFEM…大気搬送室、FD1〜FD3…フープドア、FP1〜FP3…フープ(収納容器)、LGA1,LGA2…大気側ゲートバルブ、LGV1,LGV2…真空側ゲートバルブ、LH1,LH2…基板保持台、LM1,LM2…予備室兼冷却室、LP1〜LP3…ロードポート(収納容器載置部)、PGV1,PGV2…処理室ゲートバルブ、PM1〜PM2…処理室、ST1,ST2…基板載置台、TM…真空搬送室、VR…真空搬送ロボット(真空搬送機)、W…ウエハ(基板)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6