特許第6131334号(P6131334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6131334亜鉛系合金めっき鋼板用リン酸塩溶液及びそれを用いた亜鉛系合金めっき鋼板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131334
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】亜鉛系合金めっき鋼板用リン酸塩溶液及びそれを用いた亜鉛系合金めっき鋼板
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/42 20060101AFI20170508BHJP
   C23C 28/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   C23C22/42
   C23C28/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-551043(P2015-551043)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公表番号】特表2016-503836(P2016-503836A)
(43)【公表日】2016年2月8日
(86)【国際出願番号】KR2012011746
(87)【国際公開番号】WO2014104442
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年8月20日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0154286
(32)【優先日】2012年12月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】クァク、 ユン−ジン
(72)【発明者】
【氏名】ナム、 キュン−フン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、 ヨン−ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 テ−ヨブ
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ドン−ヨウル
(72)【発明者】
【氏名】チョ、 ソク−ウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ユン−ラ
(72)【発明者】
【氏名】オム、 ムン−ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、 ウ−ソン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、 ソク−ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、 ジェ−キュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 ホン−キュン
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101109081(CN,A)
【文献】 特開2008−291162(JP,A)
【文献】 特開2006−077077(JP,A)
【文献】 特開昭63−086875(JP,A)
【文献】 特開2009−256697(JP,A)
【文献】 特開2004−197143(JP,A)
【文献】 特開2012−077322(JP,A)
【文献】 特開2002−206176(JP,A)
【文献】 特開平03−249180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00−30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素地鋼板と、
前記素地鋼板上に形成されたZn−Mg系めっき層と、
前記めっき層上に形成されたリン酸塩皮膜と、を含み、
前記リン酸塩皮膜は、モリブデン化合物、Ca、Zn、Mn、及びリン酸塩を含み、
前記Ca及びリン酸塩はショルツァイト皮膜として存在し、前記ショルツァイト皮膜はMgを含む、亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項2】
前記Mg含量は3〜30重量%である、請求項に記載の亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項3】
前記モリブデン化合物はMoOである、請求項に記載の亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項4】
前記リン酸塩皮膜は1〜5g/mの範囲で付着され、結晶粒の大きさが1〜10μmである、請求項に記載の亜鉛系合金めっき鋼板。
【請求項5】
前記リン酸塩皮膜はNiをさらに含む、請求項に記載の亜鉛系合金めっき鋼板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板用リン酸塩溶液及びそれを用いた亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸塩皮膜は塗装下地として用いられ、自動車用及び家電用鋼板などの製造に多く使用されている。自動車及び家電用製品などに使用されるめっき鋼板は、それ自体では塗装付着力が低いため、通常、リン酸塩処理を施して塗装付着性を向上させている。
【0003】
リン酸塩皮膜は、正極部位でめっき層が溶解され、負極部位で不溶性のリン酸塩結晶が析出されることによって形成される。しかし、リン酸塩溶液の処理工程における過度なエッチング反応によってめっき層が損傷する場合、これにより、素地鋼板中の鉄が露出してピット(pitting)現象が発生することがある。
【0004】
特許文献1には、リン酸塩溶液内に含まれた塩素(chloride)イオンがピット発生の原因となるため、ピット発生を抑制するためにリン酸塩溶液内の塩素イオンの含量を下げなければならないと開示されている。
【0005】
このようにリン酸塩溶液内の塩素イオンは、リン酸塩皮膜を形成する際にエッチング反応をさらに促進してピット発生を促すため、ピット発生を抑制するためには、リン酸塩処理溶液内の塩素イオンの濃度を最大限下げなければならないが、リン酸塩溶液の製造時に用いられる水道水や原料内には不純物の形態で塩素イオンが存在するため、塩素イオンの濃度調節は容易ではない。
【0006】
一方、リン酸塩皮膜は、耐食性が低いため、リン酸塩処理製品の保管や輸送中に製品の腐食を引き起こす可能性があり、また、多孔性(porous)のリン酸塩皮膜は、耐食性が非常に悪く、6価クロムを用いた別途のシーリング工程によりリン酸塩皮膜の耐食性を向上させる技術が開発された。しかし、環境規制により、6価クロムの使用が制限されたため、クロムシーリングによってリン酸塩皮膜の耐食性を向上させることはできなくなった。
【0007】
そのため、6価クロムを使用せずに、溶液内の塩素イオンによって発生し得るピットを効果的に抑制し、且つ耐食性を向上させることができるリン酸塩溶液の開発が急がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許4961964号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、リン酸塩皮膜処理工程中に発生するピット現象を改善し、リン酸塩皮膜の耐食性を向上させることができる亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板用リン酸塩溶液及びそれを用いた亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、Moイオン、Caイオン及びリン酸イオンを含む亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板用リン酸塩溶液を提供する。
【0011】
本発明の他の実施形態は、素地鋼板と、上記素地鋼板上に形成された亜鉛系または亜鉛合金系めっき層と、上記めっき層上に形成されたリン酸塩皮膜と、を含み、上記リン酸塩皮膜はモリブデン化合物、Ca及びリン酸塩を含む、亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、鋼板のリン酸塩処理時に発生するピット現象を防止することができ、且つリン酸塩皮膜に優れた耐食性を付与することができるリン酸塩溶液及びそれを用いた亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例による各試片のピット発生の有無、耐食性及び耐水密着性を評価するために、表面を観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の一実施形態について説明する。
【0015】
本発明は、Moイオン、Caイオン及びリン酸イオンを含む亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板用リン酸塩溶液を提供する。
【0016】
本発明のリン酸塩溶液に含まれるMoイオンはめっき層の溶解速度を下げることでピット現象を抑制することができる物質である。より詳細には、金属の腐食防止効果がある化合物であって、リン酸塩溶液内に含まれてめっき層の過度なエッチング反応を抑制してピット現象の発生を防止するとともに、リン酸塩皮膜の耐食性を向上させる。
【0017】
Moイオンは、リン酸塩溶液に添加されるモリブデン化合物から提供されることができ、上記モリブデン化合物は、Moイオンが容易に提供できるものであればその種類を特に限定せず、例えば、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸リチウム、モリブデン酸マンガン、及びモリブデン酸アンモニウムからなる群より選択される1種以上を用いることができる。
【0018】
上記Caイオンは、リン酸塩であるショルツァイト(scholzite)結晶を形成させ、コーティングの緻密性を向上させることによりリン酸塩皮膜の耐食性を向上させ、耐熱性及び耐水密着性を向上させる役割をする元素である。本発明では、上記Caイオンが提供できる物質であれば何れであってもよく、その種類を限定しない。例えば、硝酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硫化カルシウム、水酸化カルシウム及び酸化カルシウムからなる群より選択される1種以上を用いることができる。
【0019】
また、本発明のリン酸塩溶液は、めっき層の塗装密着性を向上させるためにリン酸イオンを含むことが好ましく、上記リン酸イオンを提供するための物質としてはリン酸などを用いることができる。
【0020】
このように、本発明が提供するリン酸塩溶液は、MoイオンとCaイオンを含むことにより、亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板のリン酸塩処理時にめっき層が過度にエッチングされてピット現象が発生することを抑制することができ、クロムシーリングなどの別途の工程なしにリン酸塩皮膜を形成するため、環境にやさしくて経済的であり、耐食性を向上させることができる。
【0021】
一方、本発明のリン酸塩溶液は、上述した効果をより向上させるために、Moイオンが0.001〜30g/Lの範囲で、Caイオンが0.1〜3.0g/Lの範囲で、リン酸イオンが5〜40g/Lの範囲であることが好ましい。上記Moイオンの含量が0.001g/L未満ではピット現象の抑制や耐食性の向上効果が十分でなく、30g/Lを超えると、リン酸塩結晶が大きくなるという問題が発生し得る。上記Caイオンが0.1g/L未満では耐食性の向上及び耐水密着性の向上効果が十分でなく、3.0g/Lを超えると、リン酸塩結晶の大きさ及び付着量が増加し、耐水密着性が低下するという問題が発生し得る。上記リン酸イオンが5g/L未満ではリン酸塩皮膜が容易に形成されない恐れがあり、40g/Lを超えると、リン酸塩処理性及び溶液安定性に問題が発生する恐れがある。
【0022】
本発明のリン酸塩溶液は、上述した成分範囲を満たすと、優れたピット抑制効果と耐食性を確保することができるが、より好ましい効果のために、ZnイオンとMnイオンをさらに含んでもよい。上記ZnイオンとMnイオンは、それぞれ0.3〜3g/Lと0.2〜9g/Lの範囲であることが好ましい。上記Znイオンはリン酸塩結晶の主成分であって、均一なリン酸塩皮膜の形成に効果を発揮するが、0.3g/L未満添加されると、上記効果を十分に確保することができず、3g/Lを超えると、溶液安定性及びリン酸塩処理性が低下する恐れがある。上記Mnイオンはリン酸塩結晶の微細化、耐食性及び耐アルカリ性の向上効果を有するが、0.2g/L未満添加されると、上記効果を十分に確保することができず、9g/Lを超えると、溶液安定性及びリン酸塩処理性が低下する恐れがある。
【0023】
一方、Niイオンは、ピット発生を増加させる元素であるため、本発明が提供するリン酸塩溶液はNiイオンを含まないことを特徴とする。但し、耐水密着性を向上させるために、上記Niを微量含んでもよい。本発明では、上記Niイオンの含量を適切に制御してピット発生を最大限抑制し、且つ耐水密着性を向上させるために、上記Niイオンを0.5g/L以下の範囲で含ませることができる。上記Niイオンが0.5g/Lを超えると、リン酸塩皮膜にピットが発生することがあり、耐食性が容易に確保できない恐れがある。
【0024】
本発明が提供するリン酸塩溶液は、上述した組成を満たすことにより、亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板をリン酸塩処理するとき、過度なエッチング反応によってめっき層が損傷することを防止し、素地鋼板中の鉄が露出してピット現象が発生することを抑制することができる。また、鋼板に優れた水準の耐食性及び塗装後の耐水密着性を付与することができる。
【0025】
本発明は、上述したリン酸塩溶液を用いた、リン酸塩処理された亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の好ましい実施形態として、素地鋼板と、上記素地鋼板上に形成された亜鉛系または亜鉛合金系めっき層と、上記めっき層上に形成されたリン酸塩皮膜を含み、上記リン酸塩皮膜はモリブデン化合物、Ca及びリン酸を含む、亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板を提供する。
【0026】
本発明が提供する鋼板は、素地鋼板の種類を特に限定せず、当該技術分野で通常用いられるものであれば何れであってもよい。本発明の素地鋼板上に形成されるめっき層はZn系であることが好ましく、耐食性を向上させるためにMgをさらに含むZn−Mg系からなることがより好ましい。上記Mgは耐食性を向上させる重要な元素であって、めっき層内で金属間化合物を形成して腐食環境で安定した腐食生成物の形成を促進することで、めっき層の耐食性を向上させるだけでなく、めっき密着性を向上させる役割をする。上記Mg含量は3〜30重量%であることが好ましい。上記Mg含量が3重量%未満では上記効果を確保することが困難で、30重量%を超えると、めっき浴内の溶解量が多くなってスラッジ量が増加することにより、上記Mgの濃化が速くなり耐水密着性が低下する恐れがあり、さらに、上記スラッジの多量発生により生産性が低下し、製造費用が増加する。上記Mg含量が3〜20重量%の範囲であることがより好ましい。一方、上記めっき層は、めっき層の緻密性や環境へのやさしさなどを考慮して、乾式めっきで形成することが好ましい。
【0027】
上記モリブデン化合物はMoOであることが好ましい。上記MoOは多孔性リン酸塩皮膜をシーリングすることでリン酸塩皮膜の耐食性を向上させる役割をする。
【0028】
また、上記Ca及びリン酸塩は、ショルツァイト(scholzite)(ZnCa(PO・2HO)皮膜として存在することが好ましい。上記ショルツァイト皮膜は耐食性及び耐水密着性を向上させる役割を担う。このとき、上記ショルツァイト皮膜はMgを含むことがより好ましい。このようにMgを含ませることで、耐食性と耐水密着性をより向上させることができる。上記Mgは、リン酸塩処理過程でめっき層から溶出されたものがリン酸塩結晶の形成に加わるか、リン酸塩溶液にMgを直接添加することで、上記ショルツァイト皮膜に含ませることができる。
【0029】
さらに、耐食性及び塗装後の耐水密着性などの効果をより向上させるために、上記リン酸塩皮膜は1〜5g/mの範囲で付着され、結晶粒の大きさが1〜10μmの範囲であることが好ましい。上記リン酸塩皮膜が1g/m未満では鋼板の耐食性向上効果が低下することがあり、5g/mを超えると、加工性及び塗装付着性が低下する恐れがある。また、皮膜内のリン酸塩結晶粒の大きさが1μm未満では耐食性が低下することがあり、10μmを超えると、加工性及び塗装付着性が低下する恐れがある。
【0030】
また、上記リン酸塩皮膜はZn及びMnをさらに含むことが好ましく、これにより、リン酸塩皮膜内でZn−Mn−PO系結晶を形成して、優れたピット抑制効果と耐食性を確保することができる。一方、上記リン酸塩皮膜はNiをさらに含むことが好ましく、上記Niはリン酸塩皮膜内でZn−Ni−PO系結晶を形成して耐水密着性を向上させる。
【0031】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。但し、下記実施例は、本発明をより詳細に説明するための例示であるだけで、本発明の権利範囲は限定しない。
【0032】
(実施例)
Zn−Mg合金めっき鋼板を70×150mmの大きさに切断して試片を作製し、この試片に、脱脂、水洗、表面調整、リン酸塩処理、及び水洗工程を経ることによってリン酸塩処理を施した。このとき、リン酸塩溶液としては、下記表1のような組成を有するリン酸塩溶液を使用した。上記のようにリン酸塩処理された試片に対し、ピット発生の有無、耐食性及び耐水密着性を評価した後、その結果を下記表1に示した。上記ピット発生の有無は試片の表面をSEMで観察し、耐食性は、ASTM B117による塩水噴霧試験を行い24時間経過後に腐食発生面積を比較することにより測定した。腐食の発生程度に応じて、1(不良)から10(良好)の等級に分けて評価した。耐水密着性は、40℃の水に240時間浸漬した後、クロスカット(crosscut)してからテープで剥離試験を行うことにより評価した。剥離程度に応じて、1(不良)から5(良好)の等級に分けて評価した。また、上記実験後、各試片の表面を観察した写真を図1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】
上記表1及び図1から、本発明が提案するMoイオンとCaイオンを適正の範囲で含む発明例1及び2は、ピットが発生しない上、耐水密着性も極めて優れることが分かる。特に、発明例2は、ピット発生を増加させる元素であるNiが添加されたが、Moイオン及びCaイオンも適正量含まれたため、優れた耐食性及び耐水密着性を有することが分かる。
【0035】
一方、比較例1は、MoイオンとCaイオンが添加されず、ピット発生を増加させる元素であるNiが含まれたため、ピットが発生するとともに、耐食性及び耐水密着性が低下していることが分かる。
【0036】
比較例2は、Moイオンを添加したため、ピット発生は抑制されたが、Caイオンが含まれていないため、耐食性及び耐水密着性が低いことが分かる。
【0037】
比較例3は、Caイオンを添加したため、耐食性及び耐水密着性が向上したが、Moイオンが含まれていないため、ピットが発生したことが分かる。
【0038】
比較例4は、MoイオンとCaイオンが添加されていないが、Niも添加されていないため、ピットが発生していないことが分かる。しかし、本発明が提案するMo及びCaイオンが含まれていないため、優れた耐食性及び耐水密着性を確保することが困難であった。
【0039】
比較例5は、MoイオンとCaイオンは添加されず、Niイオンが添加されたため、耐食性及び耐水密着性が向上したことが分かる。しかし、ピットを発生させる元素であるNiイオンを添加したため、ピット発生を抑制することができなかった。
【0040】
比較例6は、Niイオンは添加されたが、適正量のMoイオンが添加されたため、ピット発生が抑制されたことが分かる。しかし、Caイオンが添加されていないため、耐食性及び耐水密着性を良好に確保することが困難であることが分かる。
図1