【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物名:第26回廃棄物資源循環学会研究発表会 講演原稿2015 発行者:一般社団法人 廃棄物資源循環学会 発行年月日:平成27年 8月 3日 研究集会名:第26回廃棄物資源循環学会研究発表会 主催者:一般社団法人 廃棄物資源循環学会 開催日:平成27年 9月 4日 刊行物名:第37回全国都市清掃研究・事例発表会 プログラム 発行者:公益社団法人 全国都市清掃会議 発行年月日:平成27年11月27日 刊行物名:第37回全国都市清掃研究・事例発表会 講演論文集 発行者:公益社団法人 全国都市清掃会議 発行年月日:平成27年12月22日 研究集会名:第37回全国都市清掃研究・事例発表会 主催者:公益社団法人 全国都市清掃会議 開催日:平成28年 1月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収容部は、前記遮水構造を形成するための、遮水層と、該遮水層の上面側に積層された水を通過させ得る空隙を有する保護層とを有する収容部用遮水シートを備えており、
前記溝部の表面部に配された前記収容部用遮水シートの前記保護層上に、水の通過を禁止する堰部用部材を配し、且つ、
前記堰部用部材が配された前記保護層の前記空隙に、流動性を有し、且つ、硬化することによって前記空隙を塞いで水の通過を禁止する止水剤を注入することによって、前記堰部を形成する、請求項1に記載の廃棄物埋立処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、降雨量が比較的多い我が国においては、埋め立ての過程において、収容部に流入する雨水等が多く、その分、集排水管部から排出される浸出水も多くなるため、浸出水処理部による水処理の負担が多くなる。その結果、浸出水処理部で十分に処理されていない浸出水が自然環境に放出されるおそれがある。一方、浸出水処理部で十分に浸出水の処理を行おうとすれば、浸出水処理部を大型化する必要がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、浸出水を低減し得る廃棄物埋立処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題について本発明者らが鋭意研究を行ったところ、以下の知見を見出した。
すなわち、従来、収容部の底面部から複数の層に分けて順次収容する際、到達する段部の溝部に廃棄物を入れないように各層を形成し、2層目以降の各層での廃棄物の収容において、直前の層が到達した段部の溝部を埋めながら廃棄物を収容する。
しかし、溝部に部分的にでも廃棄物が埋められると、該溝部において雨水が廃棄物と接触する。この廃棄物と接触した雨水は溝部から外部環境に放出することができないため、本来であれば外部環境に放出できるはずの雨水を浸出水として処理しなければならず、その分、浸出水の量が増加してしまう。
そこで、2層目以降の各層での廃棄物の収容において、溝部での水の流れ方向上流側から下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部を段部の溝部に形成し、廃棄物を直前に形成した層上に、該層が到達した段部の溝部を埋めながら上流側から下流側に向けて敷いていき、且つ、堰部よりも上流側にて溝部で廃棄物と接触した水を前記浸出水として処理し、堰部よりも下流側にて溝部で廃棄物と接触していない水を外部環境に放出することによって、溝部での浸出水の発生を低減し得ることを見出した。
ここで、堰部を形成しても、下流側から上流側に向けて廃棄物を敷いていくと、堰部よりも下流側では水が廃棄物と接触し、堰部の上流側では、水が廃棄物に接触していなくても堰部で堰止めされた水が収容部の底面部に向かって流れるため、いずれにしても溝部内の水を浸出水として処理しなければならない。
しかし、上流側から下流側に向けて廃棄物を敷いていくことによって、堰部の上流側で廃棄物に接触した水は、堰部で堰き止められて内側に浸出水として流れ込むが、堰部の下流側には移動しない。そして、溝部における堰部よりも下流側では、雨水等が廃棄物と接触することはないため、そのまま外部環境に放出することが可能になる。このように、溝部の埋め立てが堰部の下流側まで到達するまでは、該下流側の雨水等を外部環境に放出できるため、その分、浸出水の量を低減できることを見出した。特に、溝部の延在距離が長くなればなるほど、浸出水の低減効果が大きくなることを見出だして、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
廃棄物が収容されるように地盤に形成された、遮水構造を有する収容部と、
前記収容部に収容された前記廃棄物からの浸出水を集めて排出することが可能な集排水管部とを備えた廃棄物埋立処理設備を用い、
前記収容部に前記廃棄物を収容して準好気的に前記廃棄物の処理を行う廃棄物埋立処理方法であって、
前記収容部は、上下方向に複数の段部を有し、
前記段部は、前記上下方向と交差する方向に、且つ、一方から他方に向けて水が流れるように傾斜して延びているように形成された溝部を有しており、
前記収容部への前記廃棄物の収容においては、
前記収容部の底面部から順次各段部に到達するまでをそれぞれ一の層として、複数の層に分けて前記廃棄物を下側から順次収容し、
前記複数の層のうち2層目以降の各層での前記廃棄物の収容では、
前記水の流れ方向上流側から前記下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部を前記段部の溝部に形成し、
前記廃棄物を前記直前に形成した層上に、該層が到達した段部の溝部を埋めながら前記上流側から下流側に向けて敷いていき、且つ、
前記堰部よりも前記上流側にて前記溝部で前記廃棄物と接触した水を前記浸出水として処理し、前記堰部よりも前記下流側にて前記溝部で前記廃棄物と接触していない水を外部環境に放出する廃棄物埋立処理方法である。
【0010】
ここで、「準好気的に廃棄物の処理を行う」とは、収容部に収容した廃棄物からの浸出水を集排水管部から排出すると共に、該廃棄物の微生物分解に伴った発熱によって発生した廃棄物と外部環境との温度差によって集排水管部に空気を流入させ、該集排水管部を通して廃棄物に空気を供給することによって、廃棄物の好気的分解処理を行うことを意味する。
また、浸出水とは、廃棄物と接触した水を意味する。
【0011】
かかる構成によれば、複数の層に分けて順次収容する際、2層目以降の各層での廃棄物の収容では、水の流れ方向上流側から下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部を段部の溝部に形成し、廃棄物を直前に形成した層上に、該層が到達した段部の溝部を埋めながら上流側から下流側に向けて下側から敷いていき、且つ、堰部よりも上流側にて溝部で前記廃棄物と接触した水を浸出水として処理し、堰部よりも下流側にて溝部で前記廃棄物と接触していない水を外部環境に放出することができる。これによって、堰部の上流側で廃棄物に接触した雨水等は、堰部で堰き止められて収容部の内側に流入させて浸出水として処理できる一方、堰部の下流側には移動しない。また、溝部における堰部よりも下流側では、雨水等が廃棄物と接触しないため、そのまま外部環境に放出しても、外部環境の汚染を抑制し得る。このように、溝部の埋め立てが堰部の下流側まで到達するまでは、該下流側の雨水等を外部環境に放出できるため、その分、浸出水の量を低減できる。特に、溝部の延在距離が長くなればなるほど、浸出水の低減効果が大きくなる。
従って、簡便に浸出水を低減でき、しかも、廃棄物の準好気的な埋立処理を十分に行うことが可能となる。
【0012】
上記構成の廃棄物埋立処理方法においては、
前記収容部は、前記遮水構造を形成するための、遮水層と、該遮水層の上面側に積層された水を通過させ得る空隙を有する保護層とを有する収容部用遮水シートを備えており、
前記溝部の表面部に配された前記収容部用遮水シートの前記保護層上に、水の通過を禁止する堰部用部材を配し、且つ、
前記堰部用部材が配された前記保護層の前記空隙に、流動性を有し、且つ、硬化することによって前記空隙を塞いで水の通過を禁止する止水剤を注入することによって、前記堰部を形成することが好ましい。
【0013】
ここで、遮水層と、該遮水層の上面側に積層された保護層とを有する収容部用遮水シートを用いた場合には、該収容部用遮水シートの保護層上に堰部用部材を配しても、堰部用部材と遮水層との間に存在する保護層の空隙内部を伝って廃棄物と接触した水が上流側から下流側に移動してしまうおそれがある。
しかし、保護層に止水剤を注入することによって、注入した止水剤が硬化して空隙を埋めて塞ぐことになり、これにより、保護層を伝って廃棄物と接触した水が上流側から下流側に移動することを抑制し得る。
このように、堰部用部材を設け、保護層に止水剤を注入するだけで堰部を形成し得るため、簡便である。
【0014】
上記構成の廃棄物埋立処理方法においては、
前記収容部は、
前記遮水構造を形成するための、遮水層と、該遮水層の上面側に積層された水を通過させ得る空隙を有する保護層とを有し、前記堰部が形成される位置にて前記保護層が部分的に除去されて前記遮水層が部分的に露出している収容部用遮水シートと、
前記遮水層の露出している露出部分から前記溝部の内周に沿って前記溝部の内方に突出するように引き起こされるように、前記露出部分に連結された遮水片と、
前記遮水片を保護する保護部とを有しており、
前記保護部を除去して前記遮水片を露出させ、露出した前記遮水片を引き起こし、引き起こした前記遮水片に前記溝部の空間を遮蔽するように遮水板を連結することによって前記堰部を形成することが好ましい。
【0015】
ここで、遮水層と、該遮水層の上面側に積層された保護層とを有する収容部用遮水シートを用いた場合には、該収容部用遮水シートの保護層上に堰部用部材を配しても、堰部用部材と遮水層との間に存在する保護層の空隙内部を伝って廃棄物と接触した水が上流側から下流側に移動してしまうおそれがある。
しかし、収容部が、遮水層の露出している露出部分から溝部の内周に沿って該溝部の内方に突出するように引き起こされるように、該露出部分に連結された遮水片と、遮水片を保護する保護部とを有しており、保護部を除去して遮水片を露出させ、露出した遮水片を引き起こし、引き起こした遮水片に、溝部の空間を遮蔽するように遮水板を連結して堰部を形成することによって、水を通過し得る保護層を間に介することなく、遮水層と遮水片とを連結させ得る。また、堰部が必要になるときまでは、保護部よって遮水片を保護することができる。そして、堰部を形成する際には、保護部を除去して遮水片を露出させ、遮水片を引き起こして遮水板と連結することによって堰部を形成することができ、これにより、遮水板、遮水片及び遮水層によって水の移動を堰き止めることができる。
このように、保護部を除去して遮水片を引き起こし、該遮水片と遮水板とを連結するだけで、保護層の不織布を伝って廃棄物と接触した水が移動することを抑制しつつ、堰部を形成できるため、簡便である。しかも、堰部を形成するまでは、保護部で遮水片を保護することができるため、日射等に晒されて遮水片が劣化することを抑制し得る。
【0016】
上記構成の廃棄物埋立処理方法においては、前記各層での前記廃棄物の収容においては、前記廃棄物の外表面を被覆用遮水シートで覆うことが好ましい。
【0017】
ここで、埋め立ての過程において、浸出水の量を低減する方法として、例えば、収容部全体を屋根で覆う方法が考えられる。
しかし、この方法では、作業員が廃棄物を運搬、投棄するのに十分な高さを有する屋根を、収容部全体を覆う大きさで建設する必要があるため、その分、大がかりな建設作業が発生する。また、屋根の維持管理作業も必要となる。
また、浸出水の量を低減する別の方法として、例えば、収容部に廃棄物を収容した後、その上面を覆土で覆うことによって廃棄物に接触する雨水等を低減する方法が考えられる。
しかし、廃棄物を覆土で覆う方法では、覆土が雨水等を十分に保持できないため、該覆土を通過して廃棄物に到達する雨水等の量を十分に低減できず、その結果、浸出水を十分に低減できない。また、廃棄物の上部側の空隙に雨水等が入り込むと、通気性が妨げられるため、廃棄物内が嫌気的環境となり、その結果、廃棄物の準好気的な分解処理を十分に行うことができない。このように、廃棄物を覆土で覆うだけでは、廃棄物の準好気的な処理を十分に行うことが困難である。
しかし、廃棄物の外表面を被覆用遮水シートで覆うことによって、覆土で覆う場合よりも、埋め立ての過程において廃棄物への雨水等の流入を低減することができ、しかも、廃棄物の準好気的な分解処理を十分に行うことが可能になる。また、遮水シートで外表面を覆うだけでよいため、屋根を建設する場合よりも、作業性に優れる。
従って、簡便に浸出水をより低減でき、しかも、廃棄物の準好気的な埋立処理を十分に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上の通り、本発明によれば、浸出水を低減し得る廃棄物埋立処理方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
本実施形態の廃棄物埋立処理方法は、
廃棄物が収容されるように地盤に形成された、遮水構造を有する収容部と、
前記収容部に収容された前記廃棄物からの浸出水を集めて排出することが可能な集排水管部とを備えた廃棄物埋立処理設備を用い、
前記収容部に前記廃棄物を収容して準好気的に前記廃棄物の処理を行う廃棄物埋立処理方法であって、
前記収容部は、上下方向に複数の段部を有し、
前記段部は、前記上下方向と交差する方向に、且つ、一方から他方に向けて水が流れるように傾斜して延びているように形成された溝部を有しており、
前記収容部への前記廃棄物の収容においては、
前記収容部の底面部から順次各段部に到達するまでをそれぞれ一の層として、複数の層に分けて前記廃棄物を下側から順次収容し、
前記複数の層のうち2層目以降の各層での前記廃棄物の収容では、
前記水の流れ方向上流側から前記下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部を前記段部の溝部に形成し、
前記廃棄物を前記直前に形成した層上に、該層が到達した段部の溝部を埋めながら前記上流側から下流側に向けて敷いていき、且つ、
前記堰部よりも前記上流側にて前記溝部で前記廃棄物と接触した水を前記浸出水として処理し、前記堰部よりも前記下流側にて前記溝部で前記廃棄物と接触していない水を外部環境に放出する廃棄物埋立処理方法である。
【0022】
まず、本実施形態の廃棄物埋立処理方法で用いられる廃棄物埋立処理設備について説明する。
【0023】
図1〜
図7に示すように、廃棄物埋立処理設備1は、
廃棄物15が収容されるように地盤3に形成された、遮水構造7を有する収容部5と、
前記収容部5に収容された前記廃棄物15からの浸出水17を集めて排出することが可能な集排水管部13と、前記集排水管部13から排出された浸出水17を処理する浸出水処理部40とを備えている。
【0024】
収容部5は、廃棄物15を収容するものであり、地盤3に凹状に形成されている。収容部5は、例えば、掘削や盛土によって凹状に形成され得る。
前記収容部5は、上下方向に複数の段部9を有している。
前記段部9は、前記上下方向と交差する方向に、且つ、一方から他方に向けて水が流れるように傾斜して延びているように形成された溝部10を有している。なお、
図1〜
図7では、上記溝部10における水の流れ方向上流側が右側、下流側が左側に相当する。また、段部9は、収容部5の側面(法面)に、所定の高さごとに収容部5の底面を囲むように環状に形成されている。
【0025】
収容部5は、その表面側(廃棄物15と接する面側)に遮水構造7としての収容部用遮水シート7を有しており、これにより、収容部5に収容された廃棄物15に雨水等が接触して浸出水17が発生しても、該浸出水17が地盤3に流入することを抑制し得るようになっている。
この収容部用遮水シート7は、収容部5の底面部、側面部、段部9の表面部、及び、溝部10の表面部を覆うように配されている。
収容部5の底面部は、一方から他方に向けて傾斜するように形成されている。また、この底面部の傾斜に沿って、収容部5の内側から外側まで延び、且つ、該内側と外側とを連通させる集排水管部13が配されている。このように集排水管部13が配されていることによって、該集排水管部13が収容部5の内側から外側に向かって下方に傾斜することになり、これにより、集排水管部13に流入した浸出水17は、収容部5から外側に排出されることになる。
ここでは、集排水管部13の傾斜方向と、溝部10の傾斜方向とが同方向とされているが、これら方向が異なっていてもよい。
収容部5の段部9の溝部10には、後述するように、堰部25が形成されるようになっている。
【0026】
収容部用遮水シート7として、例えば、
図9に示すように、最も下方(底面側)から、保護マット層(保護層)7a、下部遮水シート層(遮水層)7b、保護マット層(保護層)7c、上部遮水シート層(遮水層)7d、保護マット層(保護層)7eの順に積層されて形成された5層構造のシートが挙げられる。
最下方、中間、最上方に配される保護マット層7a、7c、7eは、下部及び上部遮水シート層7b、7dを保護するためのものである。該保護マット7a、7c、7eとしては、例えば、内部に独立した気泡を有する発泡材といった、水の通過を許容しない空隙を有する材料によって形成されたものであっても、内部に連通した空隙を有する不織布といった、水を通過させ得る空隙を有するものであってもよい。保護マット7a、7c、7eとして、水を通過させ得る空隙を有するものを用いる場合には、後述するようにして堰部25を形成することが好ましい。
上記保護マット層7a、7b、7c間に配される上部及び下部遮水シート層7b、7dは、水の通過を許容しないシート層である。該上部及び下部遮水シート層7b、7dとしては、例えばゴム材料から形成されたものが挙げられる。
なお、収容部用遮水シート7は、地盤3への浸出水17の流入を抑制し得るものであればよく、特に限定されるものではない。
さらに、収容部用遮水シート7は、紫外線に対する耐久性を有する遮光シート層を備えていてもよい。かかる遮光シート層を備えることにより、日射等による収容部用遮水シート7の劣化を抑制し得る。なお、収容部用遮水シート7において、最上方に配される保護マット層7eが遮光機能を有する、すなわち、遮光シート層としての機能を兼ね備える構成を採用してもよい。
【0027】
後述する
図10、
図13に示すように、収容部用遮水シート7は、段部9及び溝部10の表面も覆っている。
また、溝部10の表面に配された収容部用遮水シート7の上面には、該収容部用遮水シート7がずれないようにこれを上方から押さえて固定するシート固定部26が配されている。該シート固定部26は、溝部10の底面側を埋めるように溝部10の全体にわたって配されており、溝部10内の水はシート固定部26の上面を通過するようになっている。シート固定部26は、例えば、コンクリートによって形成され得る。
【0028】
収容部5の底面部には、収容部5に収容された廃棄物15からの浸出水17を集めて排出することが可能な集排水管部13が備えられている。
具体的には、集排水管部13には、該集排水管部13の外側から内側に浸出水17が通過できるような孔部(不図示)が複数形成されており、該孔部を通して浸出水17が集排水管部13内に流入されるようになっている。
また、集排水管部13は、上記したように、収容部5の内側から外側まで延びるように、且つ、該内側から外側に向かって下方に傾斜するように配されている。これにより、集排水管部13に流入した浸出水17は、集排水管部13内を通って収容部5の外側に排出されるようになっている。
【0029】
また、集排水管部13としては、例えば、収容部5の底面部全体に配されるように、収容部5の内側から外側まで延びる幹線部13a、該幹線部13aから枝分かれした枝管部13bとを有するものを採用し得る。
枝管部13bは、幹線部13aから収容部5の底面部に沿って延び、さらに、側面部に沿って上方に、先端が廃棄物15の外表面よりも上方に突き出して外部環境に露出しているように延びている形状に形成されている。この枝管部13bは、廃棄物15の埋立に伴って、その廃棄物15の量に応じて、継ぎ足しによる延伸などによって長くされるようになっており、これによって、該枝管部13bの先端が常に廃棄物15の上方に露出しているようになっている。
幹線部13aから分岐している枝管部13bの数量は特に限定されない。また、枝管部13bから、さらに別の枝管部13bが分岐していてもよい。
幹線部13a、及び、枝管部13bには、複数の孔部が形成されており、この孔部を介して、浸出水17が内部に流入するようになっており、流入した浸出水17は幹線部13aの下流側端部(浸出水処理部40側の端部)から浸出水処理部40に排出されるようになっている。一方、幹線部13aの下流側端部には外部環境から空気が流入し、幹線部13aに流入した空気は、さらに各枝管部13bに流入し、各枝端部13bの先端部(幹線部13aとは反対の側の端部)から外部環境に排出されるようになっている。このとき、幹線部13a及び枝管部13bの孔部を通して廃棄物15に空気が供給されるようになっている。
集排水管部13の材質及び肉厚は、特に限定されるものではないが、収容される廃棄物15の重量等に応じて適宜設定し得る。
【0030】
なお、本実施形態の廃棄物埋立処理設備1は、集排水管部13を囲むように砕石が配されてなる砕石部を備えていてもよい。かかる砕石部により、集排水管部13の孔部が詰まることを抑制し得る。
【0031】
浸出水処理部40は、集排水管部13から排出された浸出水17を処理するものである。
浸出水処理部40としては、従来公知の水処理装置を用い得る。該浸出水処理部40で処理された処理水が外部環境に放出されるようになっている。
【0032】
次に、上記廃棄物埋立処理設備1を用いた本実施形態の廃棄物埋立処理方法について説明する。
【0033】
本実施形態の廃棄物埋立処理方法は、
上記廃棄物埋立処理設備1を用い、
前記収容部5に前記廃棄物を収容して準好気的に前記廃棄物15の処理を行う廃棄物埋立処理方法であって、
前記収容部5への前記廃棄物15の収容においては、
前記収容部5の底面部から順次各段部9に到達するまでをそれぞれ一の層16として、複数の層16(ここでは、層16a、16b、16c、16d)に分けて前記廃棄物15を下側から順次収容し、
前記複数の層16のうち2層目以降の各層16での前記廃棄物15の収容では、
前記水の流れ方向上流側から前記下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部25を前記段部9の溝部10に形成し、
前記廃棄物15を前記直前に形成した層16(ここでは、層16a、16b、16c)上に、該層16が到達した段部9の溝部10を埋めながら前記上流側から下流側に向けて敷いていき、且つ、
前記堰部25よりも前記上流側にて前記溝部10で前記廃棄物15と接触した水を前記浸出水17として処理し、前記堰部25よりも前記下流側にて前記溝部10で前記廃棄物15と接触していない水を外部環境に放出する廃棄物埋立処理方法である。
また、本実施形態の廃棄物埋立処理方法では、前記各層16での前記廃棄物15の収容においては、前記廃棄物15の外表面を被覆用遮水シート21で覆う。
【0034】
具体的には、まず、
図3及び
図4に示すように、運搬された廃棄物15を、1つ目の段部9aに到達するまで、該到達する段部9aの溝部10aに廃棄物15が入らないようにしつつ、収容部5の底面部に投入する。投入後、廃棄物15への雨水等の流入を抑制するように、廃棄物15の外表面15aを被覆用遮水シート21で覆う。より具体的には、例えば、段部廃棄物15を投入し、廃棄物15全体が段部9aに到達したとき、該廃棄物15の外表面15aを、覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21で覆うことができる。また、廃棄物15全体が段部9aに到達する前に、覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。
このように、本実施形態では、廃棄物15を投入し、該廃棄物15の外表面15a上に覆土(不図示)を配し、該覆土を介して廃棄物15の外表面15aを被覆用遮水シート21で覆う。
図5及び
図6に示すように、1層目の廃棄物15の層16aが形成されたとき、被覆用遮水シート21は、該1層目の層16aの全体を、覆土(不図示)を介して覆っている。また、被覆用遮水シート21は、廃棄物15の層16aと、1つ目の段部9aの溝部10aよりも内側の表面部とに跨ってこれらを覆っており、被覆用遮水シート21上の雨水等が溝部10aに流入するようになっている。この場合、被覆用遮水シート21上の雨水等が段部9aの溝部10aに流入するように、被覆用遮水シート21が傾斜されて配され、具体的には、外表面15aが傾斜するように廃棄物15を収容することによって、被覆用遮水シート21が傾斜されて配される。
1層目の層16aの形成においては、収容部5の底面部に上流側から下流側に向けて廃棄物15を敷いていっても、下流側から上流側に向けて廃棄物15を敷いていってもよいが、例えば、
図3及び
図4に示すように、下流側から上流側に向けて敷いていくことが好ましい。
上流側から下流側に向けて廃棄物15を敷いていくと、底面部の被覆用遮水シート7に負担がかかり、収容部用遮水シート7がずれるおそれがあるが、下流側から上流側に向けて廃棄物15を敷いていくと、かかる負担を低減し得る。
【0035】
このようにして1層目の層16aを形成した後、次に、2層目の層16bを形成すべく、廃棄物15を、直前の層16a上に収容する。
図7に示すように、この収容では、上流側から下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部25を1つ目の段部9aの溝部10aに形成し、被覆用遮水シート21を順次捲りつつ、廃棄物15を直前に形成した層16a上に、該層16aが到達した段部9aの溝部10aを埋めながら上流側から下流側に向けて敷いていき、且つ、堰部25よりも上流側にて溝部10aで廃棄物15と接触した水を浸出水17として処理し、堰部25よりも下流側にて溝部10aで廃棄物15と接触していない水を外部環境に放出する。
被覆用遮水シート21を捲るときには、作業スペースを設け、該スペースの下流側まで捲り、且つ、該スペースの下流側に土を盛って区画堰60を形成し、該区画堰60の上面に被覆用遮水シート21の上流側端部が位置するように、該被覆用遮水シート21を捲る。すなわち、直前の層16a上の被覆用遮水シート21を上流側から捲り、このように捲る際、盛土によって上流側と下流側とを区画する区画堰60を形成し、該区画堰60上に被覆用遮水シート21の最上流側の端部が位置するように、該被覆用シート21を捲る。
また、廃棄物15を敷いていくときには、次の2つ目の段部9bの高さに到達するまで、該到達する段部9bの溝部10bに廃棄物15が入らないようにしつつ、廃棄物15を順次収容する。また、廃棄物15を覆土で覆う。
さらに、収容した廃棄物15の外表面15aを、上記と同様、覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21で覆う。
例えば、図示はしないが、廃棄物15全体が段部9bに到達したとき、該廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆っても、廃棄物15全体が段部9bに到達する前に、該廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。
廃棄物15全体が段部9bに到達する前に被覆用遮水シート21で覆う場合には、図示はしないが、例えば、2層目の層16bをさらに複数の層(小分け層)に分けて敷いていき、各小分け層を敷いたとき、該各小分け層を構成する廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。この場合において、次の小分け層を形成すべく廃棄物15を敷いていくときには、被覆用遮水シート21を捲り、上流側と下流側とを区画する区画堰を形成し、該区画堰上に被覆用遮水シート21の最上流側の端部が位置するように、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。この場合、上流側では、直前の小分け層用の被覆用遮水シート21が捲られて直前の層が露出され、次の小分け層を形成する廃棄物15の外表面15aが次の小分け層用の被覆用遮水シート21で覆われ、下流側では、直前の小分け層用の被覆用遮水シート21が残っており、当該被覆用遮水シート21の最上流側の端部が区画堰上に位置することになる。また、最後(最上)の小分け層が形成されたとき、廃棄物15の外表面15aが段部9bに到達することになる。
また、上記の他、廃棄物15を投入した都度、その外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。
この被覆用遮水シート21としては、1層目の層16aを覆う被覆用シート21とは別途のシートを用いても、同じシートを適宜広げて用いてもよい。
2層目の層16bが形成されたとき、被覆用遮水シート21は、覆土(不図示)を介して該2層目の層16bの全体を覆っている。また、被覆用遮水シート21は、廃棄物15の層16bと、2つ目の段部9bの溝部10bよりも内側の表面部とに跨ってこれらを覆っており、被覆用遮水シート21上の雨水等が該段部9bの溝部10bに流入するようになっている。この場合、被覆用遮水シート21上の雨水等が段部9bの溝部10bに流入するように、被覆用遮水シート21が傾斜されて配され、具体的には、外表面15aが傾斜するように廃棄物15を収容することによって、被覆用遮水シート21が傾斜されて配される。
【0036】
このようにして2層目の層16bを形成した後、次に、3層目の層16cを形成すべく、廃棄物15を、直前の層16b上に収容する。
この収容では、上流側から下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部25を2つ目の段部9bの溝部10bに形成し、被覆用遮水シート21を順次捲りつつ、廃棄物15を直前に形成した層16b上に、該層16bが到達した段部9bの溝部10bを埋めながら上流側から下流側に向けて敷いていき、且つ、堰部25よりも上流側にて溝部10bで廃棄物15と接触した水を浸出水17として処理し、堰部25よりも下流側にて溝部10bで廃棄物15と接触していない水を外部環境に放出する。
2層目の層の形成と同様、被覆用遮水シート21を捲るときには、作業スペースを設け、該スペースの下流側まで捲り、且つ、該スペースの下流側に土を盛って区画堰60を形成し、該区画堰の上面に被覆用遮水シート21の上流側端部が位置するように、該被覆用遮水シート21を捲る。すなわち、直前の層16b上の被覆用遮水シート21を上流側から捲り、このように捲る際、盛土によって上流側と下流側とを区画する区画堰60を形成し、該区画堰60上に被覆用遮水シート21の最上流側の端部が位置するように、該被覆用シート21を捲る。
また、廃棄物15を敷いていくときには、次の3つ目の段部9cの高さに到達するまで、該到達する段部9cの溝部10cに廃棄物15が入らないようにしつつ、廃棄物15を収容する。
さらに、収容した廃棄物15の外表面15aを、上記と同様、覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21で覆う。
例えば、図示はしないが、廃棄物15全体が段部9cに到達したとき、該廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆っても、廃棄物15全体が段部9cに到達する前に、該廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。
廃棄物15全体が段部9cに到達する前に被覆用遮水シート21で覆う場合には、図示はしないが、例えば、3層目の層16cをさらに複数の層(小分け層)に分けて敷いていき、各小分け層を敷いたとき、該各小分け層を構成する廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。この場合において、次の小分け層を形成すべく廃棄物15を敷いていくときには、上記と同様、被覆用遮水シート21を捲り、上流側と下流側とを区画する区画堰を形成し、該区画堰上に被覆用遮水シート21の最上流側の端部が位置するように、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。この場合、上流側では、直前の小分け層用の被覆用遮水シート21が捲られて直前の層が露出され、次の小分け層を形成する廃棄物15の外表面15aが次の小分け層用の被覆用遮水シート21で覆われ、下流側では、直前の小分け層用の被覆用遮水シート21が残っており、当該被覆用遮水シート21の最上流側の端部が区画堰上に位置することになる。また、最後(最上)の小分け層が形成されたとき、廃棄物15の外表面15aが段部9cに到達することになる。
また、上記の他、廃棄物15を投入した都度、その外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。
この被覆用遮水シート21としては、2層目の層16bを覆う被覆用シート21とは別途のシートを用いても、同じシートを適宜広げて用いてもよい。
3層目の層16cが形成されたとき、被覆用遮水シート21は、覆土(不図示)を介して該3層目の層16cの全体を覆っている。また、被覆用遮水シート21は、廃棄物15の層16cと、3つ目の段部9cの溝部10cよりも内側の表面部とに跨ってこれらを覆っており、被覆用遮水シート21上の雨水等が該段部9cの溝部10cに流入するようになっている。この場合、被覆用遮水シート21上の雨水等が段部9cの溝部10cに流入するように、被覆用遮水シート21が傾斜されて配され、具体的には、外表面15aが傾斜するように廃棄物15を収容することによって、被覆用遮水シート21が傾斜されて配される。
【0037】
このようにして3層目の層16cを形成した後、次に、4層目の層16dを形成すべく、廃棄物15を、直前の層16c上に収容する。
この収容では、上流側から下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部25を3つ目の段部9cの溝部10cに形成し、被覆用遮水シート21を順次捲りつつ、廃棄物15を直前に形成した層16c上に、該層16cが到達した段部9cの溝部10cを埋めながら上流側から下流側に向けて敷いていき、且つ、堰部25よりも上流側にて溝部10cで廃棄物15と接触した水を浸出水17として処理し、堰部25よりも下流側にて溝部10cで廃棄物15と接触していない水を外部環境に放出する。
3層目の層の形成と同様、被覆用遮水シート21を捲るときには、作業スペースを設け、該スペースの下流側まで捲り、且つ、該スペースの下流側に土を盛って区画堰60を形成し、該区画堰の上面に被覆用遮水シート21の上流側端部が位置するように、該被覆用遮水シート21を捲る。すなわち、直前の層16c上の被覆用遮水シート21を上流側から捲り、このように捲る際、盛土によって上流側と下流側とを区画する区画堰60を形成し、該区画堰60上に被覆用遮水シート21の最上流側の端部が位置するように、該被覆用シート21を捲る。
また、廃棄物15を敷いていくときには、収容部5の上端部(開口端部)の高さに到達するまで、廃棄物15を順次収容する。
さらに、収容した廃棄物15の外表面15aを、上記と同様、覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21で覆う。
例えば、図示はしないが、廃棄物15全体が収容部5の上端部に到達したとき、該廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆っても、廃棄物15全体が収容部5の上端部に到達する前に、該廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。
廃棄物15全体が段部9dに到達する前に被覆用遮水シート21で覆う場合には、図示はしないが、例えば、4層目の層16dをさらに複数の層(小分け層)に分けて敷いていき、各小分け層を敷いたとき、該各小分け層を構成する廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。この場合において、次の小分け層を形成すべく廃棄物15を敷いていくときには、上記と同様、被覆用遮水シート21を捲り、上流側と下流側とを区画する区画堰を形成し、該区画堰上に被覆用遮水シート21の最上流側の端部が位置するように、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。この場合、上流側では、直前の小分け層用の被覆用遮水シート21が捲られて直前の層が露出され、次の小分け層を形成する廃棄物15の外表面15aが次の小分け層用の被覆用遮水シート21で覆われ、下流側では、直前の小分け層用の被覆用遮水シート21が残っており、当該被覆用遮水シート21の最上流側の端部が区画堰上に位置することになる。また、最後(最上)の小分け層が形成されたとき、廃棄物15の外表面15aが収容部5の上端部に到達することになる。
また、上記の他、廃棄物15を投入した都度、その外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。
この被覆用遮水シート21としては、3層目の層16cを覆う被覆用シート21とは別途のシートを用いても、同じシートを適宜広げて用いてもよい。
4層目の層16dが形成されたとき、被覆用遮水シート21は、覆土(不図示)を介して該4層目の層16dの全体を覆っている。また、被覆用遮水シート21は、廃棄物15の層16dと、収容部5の最上部(開口端部)とに跨ってこれらを覆っている。この場合、被覆用遮水シート21を傾斜しているように配し、傾斜している被覆用遮水シート21の下方側端部に不図示の集水ピットを配し、被覆用遮水シート21上の雨水等を集水ピットに送り、該集水ピットから不図示のポンプ等によって外部環境に放出する。この被覆用遮水シート21は、具体的には、外表面15aが傾斜するように廃棄物15を収容することによって、傾斜されて配される。
【0038】
そして、収容部5の最上部(開口端部)まで廃棄物15が到達し、廃棄物15の最上の層16dが形成されて該廃棄物15の収容が完了した後、覆土(不図示)を介して廃棄物15の外表面15aを被覆用遮水シート21で覆ったまま、または、覆土(不図示)を残しつつ被覆用遮水シート21を除去して、外表面15a上に、例えばアスファルト等によって舗装を施してもよい。この場合、廃棄物15の収容が完了してから舗装までの間に比較的時間がかかるような場合には、舗装までの間、収容が完了するまでの間に用いていた被覆用遮水シート21よりも耐久性の高い被覆用遮水シート21を用い、該遮水シートで覆土(不図示)を介して廃棄物15の外表面15aを覆ってもよい。
【0039】
なお、各層16の形成において、上記したように各段部9または収容部5の最上部に到達するまでの間で廃棄物15を収容していく際には、廃棄物15の外表面15aが傾斜しているように廃棄物15を収容し、その上を、覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21で覆い、傾斜している被覆用遮水シート21の下方側端部に不図示の集水ピットを配し、被覆用遮水シート21上の雨水等を集水ピットに送り、該集水ピットから不図示のポンプ等によって外部環境に放出してもよい。これにより、被覆用遮水シート21が段部9の溝部10と繋がっていない場合であっても、被覆用遮水シート21上の雨水等を廃棄物15と接触させることなく外部環境に放出することができる。
【0040】
また、各溝部10において、形成する堰部25の数量は、上流側から下流側への水の移動を堰止めるように2つ以上であればよく、特に限定されるものではない。この数量は、適宜設定し得る。
また、5つ目以降の廃棄物15の層を形成する場合には、2層目〜4層目の層16b〜16dの形成と同様にして、各相当する段部9の溝部10に堰部25を形成し、廃棄物15を敷いていけばよい。
【0041】
上記したように、複数の層16に分けて順次収容する際、2層目以降の各層16での廃棄物15の収容では、水の流れ方向上流側から下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部25を段部9の溝部10に形成し、廃棄物15を直前に形成した層16上に、該層16が到達した段部9の溝部10を埋めながら上流側から下流側に向けて敷いていき、且つ、堰部25よりも上流側にて溝部9で廃棄物15と接触した水を浸出水17として処理し、堰部25よりも下流側にて溝部9で廃棄物15と接触していない水を外部環境に放出することができる。これによって、
図8に示すように、堰部25の上流側で廃棄物15に接触した雨水等は、堰部25で堰き止められて収容部5の内側に流入させて浸出水17として処理できる一方、堰部25の下流側には移動しない。また、溝部9における堰部25よりも下流側では、雨水等が廃棄物15と接触しないため、そのまま外部環境に放出しても、外部環境の汚染を抑制し得る。このように、溝部9の埋め立てが堰部25の下流側まで到達するまでは、該下流側の雨水等を外部環境に放出できるため、その分、浸出水17の量を低減できる。特に、溝部10の延在距離が長くなればなるほど、浸出水17の低減効果が大きくなる。
また、屋根を建設する場合よりも、作業性に優れる。
従って、簡便に浸出水17を低減でき、しかも、廃棄物15の準好気的な埋立処理を十分に行うことが可能となる。
【0042】
堰部25の下流側の溝部10内の水は、溝部10の下流側(
図1〜6の左側)端部において配管51を通って集水ピット53に流入し、該集水ピットから自然環境に放出するようになっている。また、堰部25よりも下流側まで溝部10に廃棄物15が埋められた場合には、溝部10から上記配管への水の移動を遮断し、該下流側で廃棄物15と接触した水が溝部10よりも内側に、すなわち、収容部5の底面部側に向かって流出するようになっている。
【0043】
また、上記の通り、本実施形態の廃棄物埋立処理方法においては、各層16での廃棄物15の収容においては、廃棄物15の外表面15aを、覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21で覆う。
【0044】
ここで、浸出水17の量を低減する方法として、例えば、収容部5全体を屋根で覆う方法が考えられる。
しかし、この方法では、作業員が廃棄物15を運搬、投棄するのに十分な高さを有する屋根を、収容部5全体を覆う大きさで建設する必要があるため、その分、大がかりな建設作業が発生する。また、屋根の維持管理作業も必要となる。
また、浸出水17の量を低減する別の方法として、例えば、収容部5に廃棄物15を収容した後、その上面を覆土で覆うことによって廃棄物15に接触する雨水等を低減する方法が考えられる。
しかし、廃棄物15を覆土で覆う方法では、覆土が雨水等を十分に保持できないため、該覆土を通過して廃棄物15に到達する雨水等の量を十分に低減できず、その結果、浸出水17を十分に低減できない。また、廃棄物15の上部側の空隙に雨水等が入り込むと、通気性が妨げられるため、廃棄物15内が嫌気的環境となり、その結果、廃棄物15の準好気的な分解処理を十分に行うことができない。このように、廃棄物15を覆土で覆うだけでは、廃棄物15の準好気的な処理を十分に行うことが困難である。
しかし、廃棄物15の外表面を被覆用遮水シートで覆うことによって、覆土で覆う場合よりも、埋め立ての過程において廃棄物15への雨水等の流入を低減することができ、しかも、廃棄物15の準好気的な分解処理を十分に行うことが可能になる。また、被覆用遮水シート21で外表面15aを覆うだけでよいため、屋根を建設する場合よりも、作業性に優れる。
従って、簡便に浸出水17をより低減でき、しかも、廃棄物15の準好気的な埋立処理を十分に行うことが可能となる。
【0045】
前記被覆用遮水シート21は、雨水等が廃棄物15に接触することを抑制するためのものである。この被覆用遮水シート21で覆われた領域では、廃棄物15に雨水等が接触することが抑制されるため、その分、浸出水17の発生が抑制され得る。
被覆用遮水シート21上の雨水等は、不図示の配管を通って外部環境に放出されるようになっている。
また、廃棄物15の高さが段部9に到達し、被覆用遮水シート21が段部9における溝部10よりも内側まで覆っている場合には、被覆用遮水シート21上の雨水等は、段部9の溝部10に流入し、上記の通り、溝部10の下流側端部から配管51を通って集水ピット53に送られた後、外部環境に放出されるようになっている。この場合、被覆用遮水シート21上の雨水等が段部9の溝部10に流入するように、被覆用遮水シート21が傾斜されて配され、具体的には、外表面15aが傾斜するように廃棄物15を収容することによって、被覆用遮水シート21が傾斜されて配される。
さらに、段部9の溝部10に上方から流入した雨水等も、上記同様、集水ピット53に送られるようになっている。
また、被覆用遮水シート21上の雨水等、及び、溝部10に流入した雨水等を、直接外部環境に放出してもよい。
このように、被覆用遮水シート21上の雨水等、及び、溝部10に流入した雨水等は、廃棄物15と接触することなく、外部環境に放出されるようになっている。
なお、溝部10の下流側から排出される雨水等に廃棄物15からの汚水源が混入する前に、該溝部10の下流側端部と上記配管51との連結が封鎖されるようになっている。
また、各層16の形成において、各段部9または収容部5の最上部に到達するまでの間で廃棄物15を収容していく際には、前述のように、廃棄物15の外表面15aが傾斜しているように廃棄物15を収容し、その上を、覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21で覆い、傾斜している被覆用遮水シート21の下方側端部に配された不図示の集水ピットに、被覆用遮水シート21上の雨水等を送り、送られた雨水等を該集水ピットから不図示のポンプによって外部環境に放出してもよい。
【0046】
被覆用遮水シート21としては、廃棄物15に雨水等が接触することを抑制し得るものであればよく、特に限定されるものではない。例えばビニール製のシート等が挙げられる。その他、例えば、収容部用遮水シート7と同様のシートを用いてもよい。
【0047】
ここで、通常、収容部用遮水シート7は、収容部5に収容された廃棄物15の重量がかかるうえに、被覆用遮水シート21よりも長期間設置される。
よって、収容部用遮水シート7の方が被覆用遮水シート21よりも耐候性が高く構成されていることによって、より確実に収容部5から地盤3への浸出水17の流入を抑制し得る。
このような収容部用遮水シート7及び被覆用遮水シート21の態様としては、例えば、収容部用遮水シート7が、上記のような5層構造のシートであり、被覆用遮水シート21が、上記5層構造のうち保護マット層を有さず、且つ、上部及び下部遮水シート層のいずれか一方を有する1層構造の遮水シートであるような態様が挙げられる。
【0048】
被覆用遮水シート21が廃棄物15を覆う範囲は、特に限定されるものではないが、廃棄物15の外表面15a(の面積)の半分以上が好ましく、外表面15aの全体を覆うことがより好ましい。
【0049】
また、被覆用遮水シート21が風雨等によって捲れたりしないように、被覆用遮水シート21を廃棄物15に対して固定することが好ましい。
固定方法としては、特に限定されないが、例えば、被覆用遮水シート21に載置することによって被覆用遮水シート21を前記外表面15aに対して固定する固定用部材(不図示)を用いて、被覆用遮水シート21を、覆土(不図示)を介して外表面15aに対して固定することが挙げられる。
このような固定用部材によって外表面15aに被覆用遮水シート21を固定することによって、より確実に、外表面15aを被覆用遮水シート21で覆うことが可能となる。
【0050】
かかる固定用部材としては、例えば、廃棄物15に対して被覆用遮水シート21を押えるように構成された長尺状の押え部と、該押え部から突出して廃棄物に突き刺されるように構成された釘状のピン部とを備えているものを用い得る。
これにより、長尺状の押え部の範囲で被覆用遮水シートを連続して押えることができ、その範囲で部分的に被覆用遮水シート21が捲れることを抑制し得る。
また、固定用部材としては、土嚢を用い得ることもでき、さらに、該土嚢と、上記した押さえ部とピン部とを備えたものとを併用して用いることもできる。
【0051】
次に、上記の通り、堰部25を形成する態様について説明する。
【0052】
例えば、堰部25の形成する態様としては、
図10、
図11に示すように、
収容部5が、遮水構造を形成するための、遮水層(上部遮水シート)7dと、該遮水層の上面側に積層された水を通過させ得る空隙を有する保護層(保護マット層)7eとを有する収容部用遮水シート7を備えており、
溝部10の表面部に配された収容部用遮水シート7の保護層7e上に、水の通過を禁止する堰部用部材28(ここではシート固定部26と遮蔽用部材27)を配し、且つ、
堰部用部材28が配された保護層7eの空隙に、流動性を有し、且つ、硬化することによって前記空隙を塞いで水の通過を禁止する止水剤29を注入することによって堰部25を形成する態様が挙げられる。
【0053】
ここで、遮水層7dと、該遮水層7dの上面側に積層された、水を通過させ得る空隙を有する保護層7eとを備えた収容部用遮水シート7を用いた場合には、シート固定部26と遮蔽用部材27とで堰部用部材28を保護層7e上に形成しても、堰部用部材(すなわちシート固定部26)28と遮水層7dとの間に存在する保護層7eの空隙内部を伝って廃棄物と接触した雨水(浸出水)が上流側から下流側に移動してしまうおそれがある。
しかし、保護層7eに止水剤29を注入することによって、止水剤29が空隙を埋めて塞ぐことになり(止水層が形成され)、これにより、保護層7eを伝って廃棄物と接触した雨水が上流側から下流側に移動することを抑制し得る。
このように、堰部用部材28を設け、保護層7eに止水剤29を注入するだけで堰部25を形成し得るため、簡便である。
また、収容部用遮水シート7上にシート固定部26を配した場合には、保護層7eを部分的に除去し、露出した遮水層7d上に直接、堰部用部材28を形成しようとしても、そのためにはシート固定部26を部分的に破壊しなければならず、手間である。しかし、上記のように、止水剤29を注入することによって、シート固定部26を除去する手間が省ける。
【0054】
上記止水剤29としては、例えば、水と接触する前は流動性を有する液状または半固体状であり、且つ、水と接触して硬化することによって空隙を埋めて塞ぐものが挙げられ、このような1液型の止水剤として、例えば、1液型のポリウレタン樹脂系の止水剤が挙げられる。該1液型のポリウレタン樹脂系止水剤としては、例えばハイセル(登録商標)OH(東邦化学社製)といった市販品等が挙げられる。
また、他の止水剤としては、例えば、主剤と硬化剤との2つの液体とを有し、これら2液が別々に注入され、空隙内で混合されて硬化することによって、空隙を埋めて塞ぐものが挙げられる。このような2液型の止水剤として、例えば、主剤と硬化剤とを2液とする2液型のポリウレタン樹脂系の止水剤が挙げられる。
また、遮蔽用部材27及び堰部用部材28としては、例えば、コンクリートによって形成されたものが挙げられる。
【0055】
また、例えば、堰部25を形成する別の態様としては、
図12、
図13に示すように、
収容部5が、
遮水構造を形成するための、遮水層(上部遮水シート)7dと、該遮水層7dの上面側に積層された水を通過させ得る空隙を有する保護層(保護マット層)7eとを有し、堰部25が形成される位置にて保護層7eが部分的に除去されて遮水層7dが部分的に露出している収容部用遮水シート7と、
遮水層7dの露出している部分(露出部分)から溝部10の内周に沿って該溝部10の内方に突出するように引き起こされるように、該遮水層7dの露出部分に連結された遮水片30と、
遮水片30を保護する保護部31とを有しており、
図14に示すように、保護部31を除去して遮水片30を露出させ、
図15、
図16に示すように、露出した遮水片30を引き起こして、
図17、
図18に示すように、引き起こした遮水片30に、溝部10の空間を遮蔽するように遮水板32を連結することによって堰部25を形成することが好ましい。
【0056】
ここで、遮水層7dと、該遮水層7dの上面側に積層された、水を通過させ得る空隙を有する保護層7eとを備えた収容部用遮水シート7を用いた場合には、シート固定部26と遮蔽用部材27とで堰部用部材28を保護層7e上に形成しても、堰部用部材(すなわちシート固定部26)28と遮水層7dとの間に存在する保護層7eの空隙内部を伝って廃棄物と接触した雨水(浸出水)が上流側から下流側に移動してしまうおそれがある。
しかし、収容部5が、遮水層7dの露出部分から溝部10の内周に沿って該溝部10の内方に突出するように引き起こされるように、該露出部分に連結された遮水片30と、遮水片30を保護する保護部31とを有しており、保護部31を除去して遮水片30を露出させ、露出した遮水片30を引き起こし、引き起こした遮水片30に、溝部10の空間を遮蔽するように遮水板32を連結して堰部25を形成することによって、水を通過し得る保護層7eを間に介することなく、遮水層7dと遮水片30とを連結させ得る。また、堰部25が必要になるときまでは、保護部31よって遮水片30を保護することができる。そして、堰部25を形成する際には、保護部31を除去して遮水片30を露出させ、遮水片30を引き起こして露出させた遮水片30を遮水板32と連結することによって堰部25を形成することができ、これにより、遮水板32、遮水片30及び遮水層7dによって水の移動を堰き止めることができる。
このように、保護部31を除去して遮水片30を引き起こし、該遮水片30と遮水板32とを連結するだけで、保護層7eの空隙を伝って廃棄物と接触した雨水が移動することを抑制しつつ、堰部25を形成できるため、簡便である。しかも、堰部25を形成するまでは、保護部7eで遮水片30を保護することができるため、日射等に晒されて遮水片が劣化することを抑制し得る。
ここで、収容部用遮水シート7上にシート固定部26を配した場合には、保護層7eを部分的に除去し、露出した遮水層7d上に遮水板32を連結しようとしても、そのためにはシート固定部26を部分的に破壊しなければならず、手間である。一方、予めシート固定部26を部分的に除去していても、保護層7eが遮水層7dを覆っていると、該保護層7eを部分的に除去しなければならず、手間である。しかし、シート固定部26を部分的に除去しておけば、堰部25を形成するためにシート固定部26を除去する手間が省ける。また、保護層7eを部分的に除去しておけば、堰部25を形成するために保護層7eを除去する手間が省ける。
【0057】
遮水片32としては、例えば、遮水層7dと同じ形成材料から形成されたものが挙げられる。
【0058】
具体的には、
図13に示すように、溝部10内のシート固定部26が、遮水片30が配される空間が形成されるように、溝部10の延在方向(
図13の左右方向)に所定の長さだけ、該延在方向と垂直な方向全体にわたって部分的に除去されて分断されている。より具体的には、溝部10に2つの板状の型枠部31aを所定の間隔を空けて設置し、これらの間の空間を残してコンクリートを流し込むことによって、分断されたシート固定部26が形成されている。上記空間では、収容部用遮水シート7が露出している。
また、上記空間では、収容部用遮水シート7の保護層7eが部分的に除去されており、これにより、遮水層7dが露出されている(
図14参照)。また、分断された各保護層7eの分断側の端部は、上記空間内に突出している。また、分断された各保護層7e間に、凹部が形成されている。
【0059】
遮水片30は、上記凹部に配されており、遮水層7dの露出部分から溝部10の内周に沿って該溝部10の内方に突出するように引き起こされるように、該露出部分に連結されている。
より具体的には、遮水片30は、上記幅方向全体にわたって遮水層7dと接着された第1の部分30aと、引き起こされて内方に突出するように該第1の部分30aから延在している第2の部分30bとを有しており、該第2の部分30bが引き起こされて、遮水板32と連結されるようになっている(
図14、
図15、
図16参照)。
【0060】
遮水板32は、遮水片30と連結されて、該遮水片30と共に溝部10内の水の通過を禁止するためのものである。
遮水板32としては、遮水層7d及び遮水片30と同じ形成材料から形成されたものが挙げられる。
【0061】
保護部31は、上記した型枠部31aと、遮水片30を覆いつつ、分断された各保護層7eの端部の底面側同士に架け渡されるようにして載置された保護用シート31bと、該保護用シート31bの上方から上記空間を埋めるように砂が収容されて形成された砂部31cと、該砂部31cの上面を覆うコンクリート構造体等の覆い部31dとを有している。
【0062】
そして、堰部25を形成するには、まず、
図14に示すように、覆い部31dを除去し、砂部31cを除去し、保護用シート31bを除去して遮水片30を露出させる。また、型枠部31aも除去する。次いで、
図15、
図16に示すように、露出した遮水片30の第2の部分30bを引き起こし、
図17、
図18に示すように、引き起こした第2の部分30bと遮水板32とを連結する。
【0063】
なお、遮水片30の第2の部分30bを引き起こす際、溝部10の底面側と側面側との境界付近で第2の部分30bが撓む場合には、撓みによって生じた不要部分を除去して遮水板32と貼り合わせて連結したり、遮水板32と貼り合わせて連結した後、撓みによて生じた隙間をコーキング剤等で塞げばよい。
【0064】
また、
図17、
図18に示すように、遮水片30に遮水板32を連結した後、これらを、コンクリート構造体によって形成された遮水板用固定部33によって覆う。かかる遮水板用固定部33で覆うことによって、より確実に遮水片30及び遮水板33による堰き止め機能を発揮させ得る。具体的には、遮水片30と遮水板32とを連結した後、上記空間にコンクリートを投入して硬化してコンクリート構造体とすることによって、遮水板用固定部33を形成し得る。
【0065】
以上の通り、本実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更することができる。
【0066】
例えば、上記実施形態では、廃棄物15の外表面15aに覆土(不図示)を介して被覆用遮水シート21を覆う態様を示したが、本発明においては、廃棄物15の外表面15a上に覆土を介することなく被覆用遮水シート21で外表面15aを覆ってもよい。
また、1層目の層16aを形成する際にも、2層目以降の層16a〜16dを形成する場合と同様に、さらに複数の層(小分け層)に分けて敷いていき、各小分け層を敷いたとき、該各小分け層を構成する廃棄物15の外表面15aを、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。この場合においても、次の小分け層を形成すべく廃棄物15を敷いていくときには、被覆用遮水シート21を捲り、捲った側の端部の位置に区画堰を形成し、該区画堰上に被覆用遮水シート21の上記捲った側の端部が載置されるように、覆土を介して被覆用遮水シート21で覆ってもよい。この場合、直前の小分け層用の被覆用遮水シート21が捲られて直前の層が露出された側では、次の小分け層を形成する廃棄物15の外表面15aが次の小分け層用の被覆用遮水シート21で覆われ、直前の小分け層用の被覆用遮水シート21が残った側では、当該被覆用遮水シート21の捲られた側の端部が区画堰上に位置することになる。また、この場合においても、被覆用遮水シート21を傾斜させて、該被覆用遮水シート21上の雨水を集水ピットに流入させてもよい。
【0067】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
以下のようにして、廃棄物の外表面を被覆用遮水シートで覆うこと(シートキャッピング)による準好気的な処理機能への影響を調べた。
図19に示すような上面視の形状を有する収容部、
図1に示すような集排水管部及び浸出水処理部を有する廃棄物埋立設備(埋立容量47万m
3)を施工した。収容部には、5mごとに段部を設けた。集排水管部として、ポリエチレン製であって、円筒状の幹線部(φ600mm)と円筒状の枝管部(φ150mm)とを有し、枝管部が幹線部から分岐して収容部の底面部に沿って延び、さらに側面部に沿って上方に、先端が廃棄物の外表面よりも上方に突き出して外部環境に露出しているように延びている形状に形成された管を用いた。また、枝管部は、少なくとも
図19に示す地点B〜Hにおいて廃棄物よりも上方に突き出しているように設置した。この廃棄物埋立設備の収容部に廃棄物を段部ごとに順次投入し、覆土を設置して埋め立てを行い、シートキャッピングを施さなかった場合と、シートキャッピングを施した場合とで浸出水の発生状況等を調べた。
具体的には、2005年12月(2006年8月にデータ測定開始)から2015年7月まで順次、収容部に廃棄物を収容して、埋め立てを行った。
この期間のうち、2008年1月から2008年7月までの6ヵ月間、及び、2009年1月から2010年1月までの1年間、収容された廃棄物の外表面(外部環境と接する面)の地点A〜地点Hのうち、所定の箇所を、覆土を介して被覆用遮水シートで覆った。
【0069】
・ガスの発生等の測定
2006年8月から2015年7月まで、廃棄物からのガスの発生、廃棄物の表面(外表面)温度、月積算降雨量をモニタリングし、各月の平均値を得た。
ガスモニタリングは、
図19のB〜Hの7箇所にそれぞれ位置する枝管部の先端から放出されるガスの種類及び濃度を、ガスモニター(ポータブルガスモニター GX−2012、理研計器株式会社製)によって測定した。
また、この各7箇所の枝管部の先端において、温度計(防水型中心温度計AD−5625、株式会社エー・アンド・デー社製)を用いて表面温度を測定した。
さらに、転倒ます式雨量計(WB0011−00−00、横河電子機器株式会社製)によって、上記各7箇所での積算降雨量を測定した。
B地点での結果を
図20及び
図21に示し、E地点及びF地点での結果を
図22及び
図23に示す。
【0070】
図20及び
図21は、B地点での結果である。
図20及び
図21に示すように、2008年1月から6ヵ月間、及び、2009年1月から1年間、B地点の廃棄物の外表面を、覆土を介して遮水シートで覆った。
この各期間に、月間300mmを超える降水があったが、嫌気的処理によって発生するガスである硫化水素及びメタンガスの発生は認められなかった。一方、酸素ガス濃度は21%であり、廃棄物中に集排水管部を通して外部環境から十分な空気が流入されていることがわかった。
一方、全期間を通して、表面温度については、初期は30℃〜5℃と外気の影響を受けているが、徐々に最小温度が上昇し、図示はしないが、2013年以降は18℃〜33℃程度とさらに上昇傾向にあった。このことから、廃棄物内の好気化が進んでいるものと推察される。
【0071】
一方、シートキャッピングを行っていない期間のうち、2007年7月、及び、図示はしないが2010年7月は、硫化水素ガスがそれぞれ45ppm、15ppmに上昇していた。この時期の月間降雨量は750mm〜800mmである。
このことから、降水量の多い時期には、埋め立てした廃棄物の外表面側(上側)部分の間隙が雨水等で充填されて飽和状態となり、その結果、通気障害を起こし、一時的に廃棄物内が嫌気的な環境状態になったものと推察される。
【0072】
ここで、従来、シートキャッピングされている部分は通気性が阻害されて嫌気的環境になると従来懸念されていた。
しかし、上記結果より、本実施例によれば、シートキャッピングを施すことによって、埋め立てされた廃棄物の外表面側部分の水が排除されて廃棄物中に流入せず、且つ、集排水管部から空気が供給されることによって、廃棄物内が好気的環境状態に保たれ得ることがわかった。よって、シートキャッピングは準好気的な分解機能を阻害せず、むしろ有利に働くものと推察される。
【0073】
図22及び
図23は、E地点及びF地点での結果である。
図22に示すように、E地点では、2009年1月から1年間、シートキャッピングを施した。その結果、上記B地点と同様、シートキャッピングを施した期間では、降雨が多い時期であっても、硫化水素の発生が抑制された。
一方、
図23に示すように、F地点では、シートキャッピングを一切行わなかった。その結果、硫化水素ガス濃度が上昇するとともに、酸素ガス濃度が低下する傾向にあった。この理由としては、上記と同様、降雨量が多い時期には廃棄物の外表面側部分の空隙に雨水等が充満し、廃棄物内が嫌気的環境状態となったことによるものと考えられる。
【0074】
・空気流入量の測定
集排水管部への空気流入量を、集排水管部(幹線部)の下流側末端部(A地点)において、
図24に示すように、集排水管部内の9箇所について風速計(アネモマスター風速計、MODEL:6004、日本カノマックス社製)を用いて風速及び風量を測定した。測定は2011年8月から開始し、現在まで継続して実施した。また、集排水管部内にカメラを挿入し、目視確認を行った。
結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示すように、風速は0.10〜2.40m/sであり、集排水管部の上下方向中心より上部側の風速の方が下部側よりも大きく、管部の底部側がやや風速が小さい傾向が伺えた。風量は平均風速に円筒状の集排水管部(幹線部、内径600mm)内部の断面積を乗じて求め、8.6〜28.4m
3/分(0.51〜1.67m
3/秒)と計算された。また、表には示さないが、2014年12月以降の1年間は風速1.5m/秒以上、風量25m
3/分を保っていた。
別途、廃棄物として生ごみを用いて実施した実験では、準好気的な埋立処理での空気流入量の最大値は、廃棄物1m
3あたり1.5L/分であった。本実施例では、生ごみを埋立処理したものではないが、2014年時点の埋立廃棄物量(約410000m
3)で空気量を除してみると0.07L/分/m
3となる。これは、実験値の約5%ではあるが、埋立廃棄物の質(実施例では熱灼原料が多いこと)から考えて、本実施例では準好気的な分解処理が十分に行われているものと推察される。
【0077】
また、表1より、廃棄物の埋め立てが進むにつれて、時間換算で1600〜1700m
3の空気が集排水管部から供給されるようになることが分かった。よって、通気、通水機能は良好に機能していると判断し得る。定期的に集排水管部内の清掃を行うことによって、より確実に廃棄物内を準好気的環境に保ち得ることがわかった。
【0078】
さらに、従来、シートキャッピングによる廃棄物内の嫌気化が懸念されたが、上記に示すように、シートキャッピングした部分では嫌気化が回避され得ることが分かった。むしろ、本実施例のように降水量が多い地域においては、シートキャッピングしない部分から硫化水素ガスの発生が認められた。これは、降水により、収容された廃棄物の外表面側部分の間隙が雨水等で充満して飽和状態となって嫌気化し、硫化水素ガス等が発生したものと推察される。
【0079】
ここで、特に年間降雨量が2000mm/年を超えるような地域においては施設規模が大きくなると同時に、近年のゲリラ豪雨等により、未処理浸出水の流出事故リスクがあるため、屋根を有する設備を建設するケースも考えられる。
また、本実施例の廃棄物埋立設備は、年降水量が全国平均の1700mmに対して2460mmと40%以上も多い高降雨量地域であるため、その分、浸出水の量も多くなる。
このような状況下、多降水量地域においてシートキャッピングを用いた埋立方法は、低コストで安全な浸出水の管理が可能である。さらに、シートキャッピングは、雨水排除機能のみならず、埋め立てした廃棄物の通気性が維持されるため、準好気的な埋立処理を十分に行い得る。
【0080】
以上のように本発明の実施形態及び実施例について説明を行なったが、各実施形態及び実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態及び実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】 廃棄物を収容して準好気的に前記廃棄物の処理を行う廃棄物埋立処理方法であって、収容部への廃棄物の収容において、収容部の底面部から各段部に廃棄物が到達するまでをそれぞれ一の層として、収容部に廃棄物を複数の層に分けて下側から順次収容し、複数の層のうち2層目以降の各層での廃棄物の収容では、水の流れ方向上流側から下流側への水の移動を堰き止めることが可能な堰部を溝部に形成し、廃棄物を直前に形成した廃棄物の層上に、溝部を埋めながら上流側から下流側に向けて敷いていく、廃棄物埋立処理方法。