特許第6131363号(P6131363)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6131363
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】リベット締結具、及びリベット締結方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/08 20060101AFI20170508BHJP
   F16B 5/04 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   F16B19/08 C
   F16B5/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-85328(P2016-85328)
(22)【出願日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年6月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515150069
【氏名又は名称】株式会社スカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】堺 哲也
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4201217(JP,B2)
【文献】 米国特許第6662612(US,B1)
【文献】 特開2008−151310(JP,A)
【文献】 米国特許第3560124(US,A)
【文献】 米国特許第3094017(US,A)
【文献】 特表昭63−500197(JP,A)
【文献】 特開平9−144726(JP,A)
【文献】 特公昭38−11210(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 17/00−19/14
F16B 5/04
B21J 15/02
B21J 15/38
B23P 11/00
B23P 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リベットとカラーとを備え、複数の板状部材の貫通孔に挿通して板状部材を締結するリベット締結具であって、リベットは、頭部と前記板状部材の貫通孔に挿通する軸部を有し、前記軸部は首側に形成したストレート部と、該ストレート部よりも先端部側に設けられ、周方向の溝が軸方向に複数形成された凹凸部と、該ストレート部と凹凸部の間、又は凹凸部の首側の山部に設けられ、先端部側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー部を有し、前記凹凸部の周方向の溝に交差するように軸方向に沿って設けた縦溝を有し、前記カラーは、前記リベットの凹凸部の周囲にかしめて取付けられるものであって、かしめる前の状態で内径が前記リベットのテーパー部の最大径よりも小さく且つテーパー部の最小径よりも大きいことにより、前記カラーを前記リベットの軸部に嵌めて首側に向けて押し込むと、前記カラーの内周が前記リベットのテーパー部に係止してカラーをリベットに仮止めできることを特徴とするリベット締結具。
【請求項2】
前記リベットの凹凸部の溝形状が、首側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー面を有する鋸刃状であることを特徴とする請求項1記載のリベット締結具。
【請求項3】
前記リベットのテーパー部は、前記ストレート部と凹凸部の間と、凹凸部の首側の山部の両方に形成してあることを特徴とする請求項1又は2記載のリベット締結具。
【請求項4】
前記リベットの頭部が皿型に形成してあることを特徴とする請求項1,2又は3記載のリベット締結具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のリベット締結具を用いて前記複数の板状部材を締結する方法において、前記リベットの軸部を前記複数の板状部材の貫通孔に挿通する工程と、突出した前記軸部に前記カラーを先端部側から挿入してカラーの内径を前記テーパー部に嵌めてリベットに仮止めする工程と、前記カラーをリベットの軸部の凹凸部に沿い、且つリベットの軸部と締結しようとする前記複数の板状部材の貫通孔との隙間に入り込むように塑性変形させる工程を有することを特徴とするリベット締結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板状部材を締結するために用いられるリベット締結具と、このリベット締結具を使用するリベット締結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ピン11とカラー12とからなり、ピン11には周方向の変形用溝16がピン11の長手方向に複数形成してあり、ピン11を2枚の板を重ねた孔に挿通し、反対側からピン11にカラー12を嵌め、カラー12を周囲からかしめて変形用溝16に沿うように塑性変形させてピン11とカラー12を一体化し、2枚の板を締結するものが記載されている。
特許文献1記載のものは、変形用溝16が周方向の溝であるため、ピン11とカラー12とが中心軸回りに相対回転し、緩みが生ずることがあった。また、カラー12をピン11に挿入した後、カラー12をピン11にかしめる前に、カラー12又はピン11が自重で落下することがあり、作業性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−296620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、締結力を高められ、且つ締結作業の作業性を向上できるリベット締結具と、このリベット締結具を用いるリベット締結方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるリベット締結具は、リベットとカラーとを備え、複数の板状部材の貫通孔に挿通して板状部材を締結するリベット締結具であって、リベットは、頭部と前記板状部材の貫通孔に挿通する軸部を有し、前記軸部は首側に形成したストレート部と、該ストレート部よりも先端部側に設けられ、周方向の溝が軸方向に複数形成された凹凸部と、該ストレート部と凹凸部の間、又は凹凸部の首側の山部に設けられ、先端部側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー部を有し、前記凹凸部の周方向の溝に交差するように軸方向に沿って設けた縦溝を有し、前記カラーは、前記リベットの凹凸部の周囲にかしめて取付けられるものであって、かしめる前の状態で内径が前記リベットのテーパー部の最大径よりも小さく且つテーパー部の最小径よりも大きいことにより、前記カラーを前記リベットの軸部に嵌めて首側に向けて押し込むと、前記カラーの内周が前記リベットのテーパー部に係止してカラーをリベットに仮止めできることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明によるリベット締結具は、請求項1記載の発明の構成に加え、前記リベットの凹凸部の溝形状が、首側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー面を有する鋸刃状であることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明によるリベット締結具は、請求項1又は2記載の発明の構成に加え、前記リベットのテーパー部は、前記ストレート部と凹凸部の間と、凹凸部の首側の山部の両方に形成してあることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明によるリベット締結具は、請求項1,2又は3記載の発明の構成に加え、前記リベットの頭部が皿型に形成してあることを特徴とする。
【0009】
請求項記載の発明によるリベット締結方法は、請求項1〜4のいずれかに記載のリベット締結具を用いて前記複数の板状部材を締結する方法において、前記リベットの軸部を前記複数の板状部材の貫通孔に挿通する工程と、突出した前記軸部に前記カラーを先端部側から挿入してカラーの内径を前記テーパー部に嵌めてリベットに仮止めする工程と、前記カラーをリベットの軸部の凹凸部に沿い、且つリベットの軸部と締結しようとする前記複数の板状部材の貫通孔との隙間に入り込むように塑性変形させる工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によるリベット締結具は、カラーをリベットの軸部の凹凸部に嵌めて周囲からかしめると、凹凸部の周方向の溝にカラーが入り込むことで、リベットとカラーの軸方向の移動が阻止されると共に、凹凸部の周囲に軸方向に沿って設けた縦溝にカラーが入り込むことで、リベットとカラーの中心軸周りの回転が規制されるため、締結力を高められる。また、リベットのストレート部と凹凸部の間、又は凹凸部の首側の山部に、先端部側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー部を有し、カラーは内径がリベットのテーパー部の最大径よりも小さく且つテーパー部の最小径よりも大きいため、カラーをリベットの軸部に嵌めて首側に向けて押し込むと、カラーの内周をテーパー部に係止させてカラーを仮止めできるので、締結作業の作業性を向上できる。
【0011】
請求項2記載の発明によるリベット締結具は、リベットの凹凸部の溝形状が、首側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー面を有する鋸刃状であることで、カラーをかしめて塑性変形したときにカラーをリベットの首側に向かって押し付ける力が作用するため、締結力がより一層向上する。
【0012】
請求項3記載の発明によるリベット締結具は、リベットのストレート部と凹凸部の間と、凹凸部の首側の山部の両方にテーパー部が形成してあるので、締結しようとする板状部材の厚みが通常より厚く、あるいは締結する板状部材間に隙間が形成されて、ストレート部と凹凸部の間のテーパー部にカラーを係止できなかったとしても、凹凸部の首側の山部に形成したテーパー部にカラーを係止して仮止めできる。
【0013】
請求項4記載の発明によるリベット締結具は、リベットの頭部が皿型に形成してあることで、頭部が締結しようとする板状部材の座ぐり穴に密着して移動不能に保持されるため、より強固な締結構造となる。
【0014】
請求項記載の発明によるリベット締結方法は、カラーをかしめる前にカラーをリベットの軸部に仮止めすることで、カラー又はリベットが抜け落ちることがなく、締結作業の作業性がよい。また、カラーをリベットの軸部の凹凸部に沿い、且つリベットの軸部と締結しようとする板状部材の貫通孔との隙間に入り込むように塑性変形させることで、緩みやがたつきの生じない強固な締結が行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明の第1実施形態に係るリベット締結具のリベットの正面図、(b)は同リベットの側面図、(c)は同リベットの底面図である。
図2】第1実施形態に係るリベット締結具の使用状態を示す縦断面図であって、カラーをかしめる前の状態を示す。
図3】第1実施形態に係るリベット締結具の使用状態を示す縦断面図であって、カラーをかしめた後の状態を示す。
図4図3のA方向矢視図である。
図5】本発明のリベット締結具のカラーをかしめる際に用いられるかしめ工具の斜視図である。
図6】同かしめ工具の使用状態を示す正面図であって、カラーをかしめる前の状態を示す。
図7】同かしめ工具の使用状態を示す正面図であって、カラーをかしめた後の状態を示す。
図8】(a)は本発明の第2実施形態に係るリベット締結具のリベットの正面図、(b)は同リベットの側面図、(c)は同リベットの底面図である。
図9】第2実施形態に係るリベット締結具の使用状態を示す縦断面図であって、カラーをかしめる前の状態を示す。
図10】第2実施形態に係るリベット締結具の使用状態を示す縦断面図であって、カラーをかしめた後の状態を示す。
図11】第3実施形態に係るリベット締結具の使用状態を示す縦断面図であって、カラーをかしめる前の状態を示す。
図12】第3実施形態に係るリベット締結具の使用状態を示す縦断面図であって、カラーをかしめた後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜4は、本発明のリベット締結具の第1実施形態を示している。本リベット締結具は、図2,3に示すように、複数の板状部材12a,12bを締結するために用いられるものであって、リベット1とカラー2とから成る。
【0017】
リベット1は、図1に示すように、頭部3と軸部4を有している。頭部3は、皿型に形成してある。軸部4は、首21側に形成されたストレート部5と、ストレート部5の先に設けられ、先端部24側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー部6と、テーパー部6の先に設けられ、周方向の溝7,7,…が軸方向に複数形成された凹凸部8を有している。凹凸部8の周方向の溝7は、半円形の断面形状で軸部4の周囲に環状に連続して形成してある。さらに凹凸部8には、周方向の溝7,7,…に交差するように軸方向に沿って設けた縦溝9,9が形成してある。縦溝9,9は、断面形状が略三角形で、周方向の溝7,7,…と略同じ溝深さを有し、複数の周方向の溝7,7,…に跨って形成してある。縦溝9,9は、軸部の対向する位置に2本形成してある。
【0018】
カラー2は、リベット1の軸部4の凹凸部8に嵌め、外周面からかしめて取付けられるものであって、図2に示すように、円筒状に形成してある。カラー2の内径dは、リベット1のテーパー部6の最大径Dよりも小さく且つテーパー部6の最小径よりも大きくなっている。
リベット1は、鉄やステンレス等の高強度の金属で形成してあり、カラー2はそれよりも軟らかい金属、例えばアルミニウムで形成してある。
【0019】
図5〜7は、カラー2をかしめる際に用いられるかしめ工具13を示している。このかしめ工具13は、図5,6に示すように、金属製の筒体25の先端部に周方向に複数のスリット14を形成して拡開したカラー噛み込み部15を有し、筒体25は円筒状のスリーブ16に保持してあり、筒体25の末端部が油圧シリンダー17のケース17aにボルト26で固定してある。スリーブ16は、連結部27が側方に突出して設けてあり、連結部27に油圧シリンダー17のロッド17bが連結してある。本かしめ工具13は、図6に示すように、カラー噛み込み部15内にカラー2を挿入した後、図7に示すように、油圧シリンダー17のロッド17bを突き出させることでスリーブ16がカラー噛み込み部15に向けて摺動し、それに伴ってカラー噛み込み部15が収縮し、するとカラー2の外周面がカラー噛み込み部15の内側の円錐状の傾斜面15aによって押されるため、カラー2は締結しようとする板状部材12bに押し付けられつつ周囲からかしめられて塑性変形される。
【0020】
次に、本リベット締結具により2つの板状部材12a,12bを締結する手順を説明する。締結する板状部材12a,12bには、予めリベット1の軸部4を挿通する貫通孔18を設け、一方の板状部材12aにリベット1の頭部3を収容する座ぐり穴19を設けておく。
まず、リベット1の軸部4を重ねた板状部材12a,12bの貫通孔18に挿通し、頭部3を板状部材12aの座ぐり穴19に収容する。このとき、図2に示すように、リベット1の軸部4のテーパー部6の先端部24側が、二枚目の板状部材12bの貫通孔18より突出している。
次に、貫通孔18から突き出たリベット1の軸部4にカラー2を嵌める。このとき、カラー2の内径dがリベット1のテーパー部6の最大径Dよりも小さく且つテーパー部6の最小径よりも大きいために、カラー2をリベット1の首21側に向けて押し込むと、カラー2の内周がテーパー部6に係止して、カラー2を仮止めすることができる。これにより手を離してもカラー2又はリベット1が抜け落ちない。この仮止めした状態では、カラー2と部材12bとの間に僅かな隙間22が形成されている。
その後、先に説明したようにかしめ工具13のカラー噛み込み部15内にカラー2を挿入し、油圧シリンダー17によりスリーブ16をカラー噛み込み部15に向けて摺動させることで、カラー2を板状部材12bに押し付けながら外周からかしめる。
すると、図3に示すように、カラー2の内周部が塑性変形し、リベット1の軸部4の凹凸部8の周方向の複数の溝7,7,…にカラー2の内周部が入り込み、尚且つ図4に示すように、凹凸部8の周囲に軸方向に沿って設けた縦溝9,9にカラー2の内周部が塑性変形により入り込み、リベット1の軸部4とカラー2とが一体化する。また、カラー2と板状部材12bとの間の隙間22が無くなってカラー2が板状部材12bに圧着し、さらに、カラー2の上端部がリベット1の軸部4と板状部材12bの貫通孔18との隙間に入り込む(図3中の符号23を付した部分)。また、リベット1の頭部3は部材12aの座ぐり穴19に嵌合し、移動不能に保持される。これにより板状部材12a,12bがリベット1及びカラー2と結合し、強固に締結される。
【0021】
以上に述べたように本リベット締結具は、カラー2をリベット1の軸部4の凹凸部8に嵌めて外周からかしめると、凹凸部8の周方向の溝7,7,…にカラー2が入り込むことで、リベット1とカラー2の軸方向の移動が阻止されると共に、凹凸部8の周囲に軸方向に沿って設けた縦溝9,9にカラー2が入り込むことで、リベット1とカラー2の中心軸周りの回転が規制されるため、締結力を高められる。さらに、カラー2が板状部材12bと圧着すると共に、リベット1の軸部4と板状部材12bの貫通孔18との隙間にカラー2が入り込むことで、部材12bのがたつきが防がれ、且つリベット1の皿型の頭部3が部材12aの座ぐり穴19に嵌合することで、部材12aのがたつきが防がれるので、締結力をより一層高められる。
また、カラー2の内径dがリベット1のテーパー部6の最大径Dよりも小さく且つテーパー部6の最小径よりも大きいことで、カラー2をリベット1の軸部4に嵌めたときに、カラー2の内周をテーパー部6に係止させてカラー2を仮止めできるので、締結作業の作業性を向上できる。板状部材12a,12bに対して締結箇所は複数あるのが通常であり、締結作業の手順としては、まず全ての締結箇所にリベット1を挿入し、次に各リベット1に順次カラー2を嵌め、最後に各カラー2を順次かしめる。カラー2をかしめようとしたときに、カラー2又はリベット1が抜け落ちていると、作業を中断せざるを得ず、効率が悪いが、本締結具は上述のようにカラー2をリベット1に仮止めできるので、作業を連続して効率よく行える。
リベット1の頭部3が皿型に形成してあり、締結される板状部材12a,12bから頭部3が飛び出さないため、締結箇所が目立たず、外観が良い。
【0022】
図8〜10は、本発明の締結具の第2実施形態を示している。本実施形態の締結具は、図8に示すように、リベット1の軸部4の凹凸部8の周方向の溝7の形状が、首21側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー面10を有する鋸刃状となっている。さらに本実施形態のリベット1は、軸部4にストレート部5から連続して形成したテーパー部6に加え、凹凸部8の首21側から1番目と2番目の山部8aにも、先端部24側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー部11が形成してある。
【0023】
図9は、カラー2をリベット1の軸部4に嵌めて仮止めした状態を示している。本実施形態の締結具は、同図に示すように、軸部4のストレート部5から連続して形成したテーパー部6にカラー2の内周を係止してカラー2を仮止めできる他、締結しようとする板状部材12a,12bの厚みが厚く、あるいは締結する板状部材12a,12b間に隙間が形成されて、同テーパー部6が2枚目の板状部材12bから突出しないときには、凹凸部8の山部8aに形成したテーパー部11にカラー2の内周を係止し、カラー2を仮止めすることができる。
図10は、カラー2をかしめた後の状態を示している。リベット1の凹凸部8の周方向の溝7の形状が、首21側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー面10を有する鋸刃状であることで、カラー2をかしめたときに、図中に矢印20で示すように、カラー2が内側に塑性変形しリベット1の首21側に向かって押し付ける力が作用するため、板状部材12a,12bの締結力がより一層向上する。
【0024】
図11,12は、本発明の締結具の第3実施形態を示している。本実施形態の締結具は、図11に示すように、リベット1の軸部4が、ストレート部5の先にすぐ凹凸部8が設けてあり、凹凸部8の首21側から1,2,3番目の山部8aに、先端部24側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー部11が形成してあり、カラー2はこのテーパー部11に係止して仮止めできるようになっている。凹凸部8は、締結しようとする板状部材12bの貫通孔18内まで侵入している。
カラー2をかしめると、図11に示すように、リベット1の凹凸部8が板状部材12bの貫通孔18内まで侵入していることで、カラー2のリベット1の軸部4と板状部材12bの貫通孔18との隙間に入り込む部分23を多くできるので、締結力が向上する。
【0025】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。リベットの頭部の形状、凹凸部の周方向の溝の形状や本数、縦溝の形状や本数、長さ等は、適宜変更することができる。リベットとカラーの材質は、適宜変更することができる。本リベット締結具の用途は特に限定されず、複数の板状部材を締結するための締結具として、広く用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 リベット
2 カラー
3 頭部
4 軸部
5 ストレート部
6 テーパー部
7 周方向の溝
8 凹凸部
9 縦溝
10 テーパー面
11 テーパー部
12a,12b 板状部材
13 かしめ工具
15 カラー噛み込み部
16 スリーブ
【要約】      (修正有)
【課題】締結力を高められ、且つ締結作業の作業性を向上できるリベット締結具の提供。
【解決手段】リベット1とカラーとを備え、複数の板状部材の貫通孔に挿通して板状部材を締結するリベット締結具であって、リベット1は、頭部3と前記板状部材の貫通孔に挿通する軸部4を有し、前記軸部4は首21側に形成したストレート部5と、該ストレート部5よりも先端部24側に設けられ、周方向の溝7,7,…が軸方向に複数形成された凹凸部8と、該ストレート部5と凹凸部8の間、又は凹凸部8の首21側の山部8aに設けられ、先端部24側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー部6を有し、前記凹凸部8の周方向の溝7,7,…に交差するように軸方向に沿って設けた縦溝9,9を有し、前記カラー2は、前記リベット1の凹凸部8の周囲に取付けられるものであって、前記カラー2の内径を前記テーパー部6に嵌めることでカラー2をリベット1に仮止めできる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12