(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6131377
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】織機の伝動装置
(51)【国際特許分類】
D03C 13/00 20060101AFI20170508BHJP
D03D 49/14 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
D03C13/00 A
D03D49/14
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-228982(P2016-228982)
(22)【出願日】2016年11月25日
【審査請求日】2016年11月29日
(31)【優先権主張番号】104140096
(32)【優先日】2015年12月1日
(33)【優先権主張国】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516355380
【氏名又は名称】廣野精機股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】鄭正雄
【審査官】
田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−167044(JP,A)
【文献】
特開平09−059845(JP,A)
【文献】
特開2006−057778(JP,A)
【文献】
特開2009−068131(JP,A)
【文献】
台湾特許第323750(TW,B)
【文献】
台湾特許第334456(TW,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03C1/00−19/00
D03D29/00−51/46
F16H1/00−1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、該ケースの一側に配置されるモータと、該ケースに取り付けられる結合蓋とを備える、ベース部材と、
前記モータと接続するように組み合わされ、ボックスと、シャフトと、ウォームを備え、そのうち、ボックスの一側に組立空間が横方向に形成され、該組立空間の内部に環状の凸縁部が延設され、該ボックスの他側に組立穴が組立空間と連通するように形成され、該シャフトは、モータと連動すると共に、ボックスの長手方向と平行するようにボックスの組立空間に挿設され、該ウォームは、八条のウォームであり、ボックスの組立空間に位置するようにシャフトに環装される、ウォームギア伝動部材と、
前記組立穴からボックスに挿し込むことによりウォームギア伝動部材と連動すると共に、前記ケースの内部に差し込むように設置され、伝動軸と、回転盤と、ウォームホイールと、複数のカムを備え、そのうち、伝動軸の一端がボックスの凸縁部に挿し込まれると共に、他端がケースに挿し込まれ、該回転盤は、伝動軸における、ボックスの差し込み部分に固定環装され、且つウォームホイールの一端面に噛み合うように取り付けられ、該ウォームホイールは、ウォームに噛み合う、歯数三十二のウォームホイールであり、該複数枚のカムは、平カムであり、ケースの内部に位置するように、伝動軸におけるボックスから延び出している部分にそれぞれ間隔をおいて固定環装され、該各カムのカム曲線が4位相を有する、カム組みと、
前記カム組み及び綜絖部材と連接するように取り付けられ、複数の枢設座及び複数のアームを備え、そのうち、複数の枢設座は、ベース部材のケースの内部に位置するように位置調整可能に結合蓋に取り付けられ、該アームはそれぞれ枢設座に枢設され、一端を介して対応するカムに当接する、アーム揺動部材と、
前記ケースの上端に固定され、2枚の装着板及び複数の綜絖プレートを備え、そのうち、2枚の装着板は、間隔をおいて互いに相対するようにケースに設置され、該装着板の長手方向に沿って複数の貫通溝が形成され、該複数の綜絖プレートはそれぞれ間隔をおいて上下移動可能に2枚の装着板の間に挿設され、且つ一端を介してアームに連接され、また、該綜絖プレートの両側縁から複数の延出部が対称に凸設され、該延出部を介して装着板の貫通溝に挿設される、綜絖部材と、を有することを特徴とする、
織機の伝動装置。
【請求項2】
前記カム組みの複数のカムは、第一カムと、第二カムと、第三カムと、第四カムと、第五カムと、第六カムと、第七カムと、第八カムと、第九カムと、第十カムを備え、該各カムは、貫通穴を有し、該貫通穴の内周面に係合凹部が凹設され、該係合凹部に結合凸部が嵌合されることによって伝動軸に固定され、
そのうち、前記第一カムにおける貫通穴の内周面に第一係合凹部が凹設され、該第一カムの外周面における、第一係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに第一上昇カム曲線部、第一緩下降カム曲線部、第一下降カム曲線部、第一緩上昇カム曲線部が順に設けられ、
前記第二カムにおける貫通穴の内周面に第二係合凹部が凹設され、該第二カムの外周面における、第二係合凹部と対応する箇所から時計回りへの90度ごとに第二下降カム曲線部、第二緩上昇カム曲線部、第二上昇カム曲線部、第二緩下降カム曲線部が順に設けられ、
前記第三カムにおける貫通穴の内周面に第三係合凹部が凹設され、該第三カムの外周面における、第三係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第三上昇カム曲線部、一方の第三急下降カム曲線部、他方の第三上昇カム曲線部、他方の第三急下降カム曲線部が順に設けられ、
前記第四カムにおける貫通穴の内周面に第四係合凹部が凹設され、該第四カムの外周面における、第四係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第四急下降カム曲線部、一方の第四上昇カム曲線部、他方の第四急下降カム曲線部、他方の第四上昇カム曲線部が順に設けられ、
前記第五カムにおける貫通穴の内周面に第五係合凹部が凹設され、該第五カムの外周面における、第五係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第五緩上昇カム曲線部、一方の第五上昇カム曲線部、他方の第五緩上昇カム曲線部、他方の第五上昇カム曲線部が順に設けられ、
前記第六カムにおける貫通穴の内周面に第六係合凹部が凹設され、該第六カムの外周面における、第六係合凹部と対応する箇所から時計回りへの90度ごとに一方の第六上昇カム曲線部、一方の第六緩下降カム曲線部、他方の第六上昇カム曲線部、他方の第六緩下降カム曲線部が順に設けられ、
前記第七カムにおける貫通穴の内周面に第七係合凹部が凹設され、該第七カムの外周面における、第七係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第七上昇カム曲線部、他方の第七上昇カム曲線部、第七緩下降カム曲線部、第七緩上昇カム曲線部が順に設けられ、
前記第八カムにおける貫通穴の内周面に第八係合凹部が凹設され、該第八カムの外周面における、第八係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第八上昇カム曲線部、第八緩下降カム曲線部、第八緩上昇カム曲線部、他方の第八上昇カム曲線部が順に設けられ、
前記第九カムにおける貫通穴の内周面に第九係合凹部が凹設され、該第九カムの外周面における、第九係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに第九緩下降カム曲線部、第九緩上昇カム曲線部、一方の第九上昇カム曲線部、他方の第九上昇カム曲線部が順に設けられ、
前記第十カムにおける貫通穴の内周面に第十係合凹部が凹設され、該第十カムの外周面における、第十係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに第十緩上昇カム曲線部、一方の第十上昇カム曲線部、他方の第十上昇カム曲線部、第十緩下降カム曲線部が順に設けられることを特徴とする請求項1に記載の織機の伝動装置。
【請求項3】
前記ベース部材の結合蓋における、ケースに面する内側面に複数の止り穴が間隔をおいて形成され、
前記アーム揺動部材は、10個の枢設座及び10本のアームを有し、
該枢設座は、少なくとも1本の固定柱及び接着軸受を有し、そのうち固定柱は、枢設座の一端から延設され、結合蓋の止り穴に挿し込まれ、該枢設座は、固定柱を介して結合蓋に固定され、該接着軸受は、枢設座の他端に取り付けられ、
前記アームはそれぞれ枢設座に枢設され、接着柱及び当接軸受を備え、該接着柱は、アームの一側面に凸設され、枢設座の接着軸受に取り付けられ、該当接軸受は、カムに当接するようにアームの一端に設けられ、該アームが当接軸受を介して対応するカムに当接し、
前記綜絖部材はそれぞれ、アームの連動部に連接する10枚の綜絖プレートを備えることを特徴とする請求項2に記載の織機の伝動装置。
【請求項4】
前記アームの他端に連動部が凹設され、該連動部に挿設穴が形成され、
前記ケースと反対する側に固定座が配置され、
前記綜絖プレートは、引き棒と、連接ブロックと、連接部と、複数のバネを備え、そのうち、引き棒の一端が綜絖プレートの一端に固定されると共に、他端が連動部の挿設穴を通過するように挿設され、該連接ブロックが連動部の内部に当接するように引き棒に固定され、該連接部は、綜絖プレートの他端に設けられ、該バネの一端が連接部に固定されると共に、他端が固定座に固定されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の織機の伝動装置。
【請求項5】
前記ケースにおける一側に内部と連通する取付穴が形成され、
前記カム組みは、取付穴からケースの内部に差し込むように設置され、スリーブと、複数の間隔リングと、2つの位置決めリングを備え、そのうち、スリーブは、伝動軸に固定環装され、
前記複数のカム及び複数の間隔リングはそれぞれスリーブに環装され、また、該間隔リングは、隣り合う2枚のカムの間に設置され、該2つの位置決めリングはそれぞれスリーブの両端に当接するように、伝動軸に環装されることを特徴とする請求項4に記載の織機の伝動装置。
【請求項6】
前記伝動軸の、凸縁部と対応する箇所に第一軸受が環装され、該伝動軸の、組立穴と対応する箇所に第二軸受が環装され、該伝動軸における第二軸受の近傍に環状突起が凸設され、該環状突起が第二軸受と当接するように取り付けられ、該伝動軸における第一軸受と第二軸受との間に介在リングが環装されることを特徴とする請求項5に記載の織機の伝動装置。
【請求項7】
前記モータの出力端にベルトが環装され、
前記ウォームギア伝動部材におけるシャフトの一端に伝動輪が取り付けられ、該伝動輪にベルトが環装されることを特徴とする請求項6に記載の織機の伝動装置。
【請求項8】
前記ベース部材は、ベースを備え、
前記ケースの底部がベースに固定され、
該ケースの他側における、取付穴と対応する位置に軸蓋が取り付けられ、
前記伝動軸の他端がケースの軸蓋に挿し込まれることを特徴とする請求項7に記載の織機の伝動装置。
【請求項9】
前記綜絖部材はさらに、2枚の装着板と、2枚のカバーと、2枚の補助板と、1つの案内座を備え、そのうち、2枚のカバーは、バネをカバーするように綜絖部材の両側から組み合わされ、該補助板は、綜絖部材の両側に配置されると共に、複数の縦溝が形成され、該案内座は、ケースの上端に設置されると共に、複数の案内穴が間隔をおいて形成され、
前記綜絖プレートの引き棒がそれぞれ案内座の案内穴に挿設されることを特徴とする請求項8に記載の織機の伝動装置。
【請求項10】
前記装着板と対応する綜絖部材の両側に2枚の案内板が配置され、該案内板の長手方向に沿って複数の案内溝が間隔をおいて形成され、
前記綜絖プレートの延出部が案内溝に挿設されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の織機の伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は織機に関し、特に綜絖部材により経緯糸の織り機能を向上させると共に、駆動カムと綜絖部材の使用寿命を延長することができる織機の伝動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
織機は、経糸と緯糸とを互いに織込む機械であり、例えば、ファスナーを加工するための織機や、狭幅の高速織機などによく見られ、その織機を用いて、ファスナーの両側のナイロン素材を生地に縫って細長状の織製品を製織するものである。
【0003】
既存の織機は、例えば、台湾実用新案公告第051775号及び、台湾特許第I323750号に開示されている。それによると、綜絖部材の上下運動は、主にカムの回転運動により揺動アームを駆動して、該揺動アームが対応する綜絖部材を上下運動させ、また、その綜絖部材には経糸が配置されており、その経糸は、緯糸が往復運動を行うことにより経糸に織り込まれ、綜絖部材の上下運動によって経糸が緯糸に連動して上下運動を行う。
また、既存の織機においては、そのシャフトが、ウォームとウォームホイールの構造を介してカム軸に接続され、回転運動により緯糸を往復運動させる。このように、既存の織機は、綜絖部材の上下運動及び、緯糸が経糸に対して往復運動することによって、経緯糸を細長状の布に織製するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾実用新案公告第051775号
【特許文献2】台湾特許第I323750号
【特許文献3】台湾特許公告第I334455号
【特許文献4】中国特許公告第1099438号
【特許文献5】中国実用新案第2010201064370号
【特許文献6】韓国特許第10−0495108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既存の織機のシャフトは、四条のウォームと歯数三十二のウォームホイールとを組み合せてなり、比率1:8の伝動構造によりカム軸に接続されることから、シャフトを1000rpmで回転させた場合、カム軸が125rpmで回転する。
しかし、この構成によれば、織製品の産量を増加させるために、シャフトの回転数を2000rpmに調整しても、カム軸の回転数は250rpmにしかならないため、経緯糸の織込み動作が効率的ではない。
【0006】
また、既存の織機のカムのカム曲線は8位相を有するため、45度ごとにカムの上下運動を一回行う。すなわち、シャフトが一回転すると、綜絖部材の上下運動を八回行うことになる。
しかしながら、カムが頻繁に上下運動すると、カムが急に激しい振動を起すことから、カムが損耗しやすくなると共に、綜絖部材に巻き付けた経糸が摩擦により毛玉となったり、糸を切られたりしやすくなる。また、この構成では、シャフトの回転速度を増加させても、カム軸の回転速度が大幅に増加することはないので、織製品の産量を増加には繋がらない。
【0007】
さらに、既存の織機においては、使用者が織製品の厚さに応じて、綜絖部材の上下運動の程度を調整する必要があると共に、寸法または長さが異なるアーム構造を用いて、綜絖部材の経糸を一々異なる高さまで調整して綜絖部材の開口の程度を調整する必要があるので、操作上非常に不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る織機の伝動装置は、ケースと、該ケースの一側に配置されるモータと、該ケースに取り付けられる結合蓋とを備える、ベース部材と、前記モータと接続するように組み合わされ、ボックスと、シャフトと、ウォームを備え、そのうち、ボックスの一側に組立空間が横方向に形成され、該組立空間の内部に環状の凸縁部が延設され、該ボックスの他側に組立穴が組立空間と連通するように形成され、該シャフトは、モータと連動すると共に、ボックスの長手方向と平行するようにボックスの組立空間に挿設され、該ウォームは、八条のウォームであり、ボックスの組立空間に位置するようにシャフトに環装される、ウォームギア伝動部材と、前記組立穴からボックスに挿し込むことによりウォームギア伝動部材と連動すると共に、前記ケースの内部に差し込むように設置され、伝動軸と、回転盤と、ウォームホイールと、複数のカムを備え、そのうち、伝動軸の一端がボックスの凸縁部に挿し込まれると共に、他端がケースに挿し込まれ、該回転盤は、伝動軸における、ボックスの差し込み部分に固定環装され、且つウォームホイールの一端面に噛み合うように取り付けられ、該ウォームホイールは、ウォームに噛み合う、歯数三十二のウォームホイールであり、該複数枚のカムは、平カムであり、ケースの内部に位置するように、伝動軸におけるボックスから延び出している部分にそれぞれ間隔をおいて固定環装され、該各カムのカム曲線が4位相を有する、カム組みと、前記カム組み及び綜絖部材と連接するように取り付けられ、複数の枢設座及び複数のアームを備え、そのうち、複数の枢設座は、ベース部材のケースの内部に位置するように位置調整可能に結合蓋に取り付けられ、該アームはそれぞれ枢設座に枢設され、一端を介して対応するカムに当接する、アーム揺動部材と、前記ケースの上端に固定され、2枚の装着板及び複数の綜絖プレートを備え、そのうち、2枚の装着板は、間隔をおいて互いに相対するようにケースに設置され、該装着板の長手方向に沿って複数の貫通溝が形成され、該複数の綜絖プレートはそれぞれ間隔をおいて上下移動可能に2枚の装着板の間に挿設され、且つ一端を介してアームに連接され、また、該綜絖プレートの両側縁から複数の延出部が対称に凸設され、該延出部を介して装着板の貫通溝に挿設される、綜絖部材と、を有するものである。
【0009】
かかる織機の伝動装置において、前記カム組みの複数のカムは、第一カムと、第二カムと、第三カムと、第四カムと、第五カムと、第六カムと、第七カムと、第八カムと、第九カムと、第十カムを備え、該各カムは、貫通穴を有し、該貫通穴の内周面に係合凹部が凹設され、該係合凹部に結合凸部が嵌合されることによって伝動軸に固定され、そのうち、前記第一カムにおける貫通穴の内周面に第一係合凹部が凹設され、該第一カムの外周面における、第一係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに第一上昇カム曲線部、第一緩下降カム曲線部、第一下降カム曲線部、第一緩上昇カム曲線部が順に設けられ、前記第二カムにおける貫通穴の内周面に第二係合凹部が凹設され、該第二カムの外周面における、第二係合凹部と対応する箇所から時計回りへの90度ごとに第二下降カム曲線部、第二緩上昇カム曲線部、第二上昇カム曲線部、第二緩下降カム曲線部が順に設けられ、前記第三カムにおける貫通穴の内周面に第三係合凹部が凹設され、該第三カムの外周面における、第三係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第三上昇カム曲線部、一方の第三急下降カム曲線部、他方の第三上昇カム曲線部、他方の第三急下降カム曲線部が順に設けられ、前記第四カムにおける貫通穴の内周面に第四係合凹部が凹設され、該第四カムの外周面における、第四係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第四急下降カム曲線部、一方の第四上昇カム曲線部、他方の第四急下降カム曲線部、他方の第四上昇カム曲線部が順に設けられ、前記第五カムにおける貫通穴の内周面に第五係合凹部が凹設され、該第五カムの外周面における、第五係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第五緩上昇カム曲線部、一方の第五上昇カム曲線部、他方の第五緩上昇カム曲線部、他方の第五上昇カム曲線部が順に設けられ、前記第六カムにおける貫通穴の内周面に第六係合凹部が凹設され、該第六カムの外周面における、第六係合凹部と対応する箇所から時計回りへの90度ごとに一方の第六上昇カム曲線部、一方の第六緩下降カム曲線部、他方の第六上昇カム曲線部、他方の第六緩下降カム曲線部が順に設けられ、前記第七カムにおける貫通穴の内周面に第七係合凹部が凹設され、該第七カムの外周面における、第七係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第七上昇カム曲線部、他方の第七上昇カム曲線部、第七緩下降カム曲線部、第七緩上昇カム曲線部が順に設けられ、前記第八カムにおける貫通穴の内周面に第八係合凹部が凹設され、該第八カムの外周面における、第八係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに一方の第八上昇カム曲線部、第八緩下降カム曲線部、第八緩上昇カム曲線部、他方の第八上昇カム曲線部が順に設けられ、前記第九カムにおける貫通穴の内周面に第九係合凹部が凹設され、該第九カムの外周面における、第九係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに第九緩下降カム曲線部、第九緩上昇カム曲線部、一方の第九上昇カム曲線部、他方の第九上昇カム曲線部が順に設けられ、前記第十カムにおける貫通穴の内周面に第十係合凹部が凹設され、該第十カムの外周面における、第十係合凹部と対応する箇所から時計回りへ90度ごとに第十緩上昇カム曲線部、一方の第十上昇カム曲線部、他方の第十上昇カム曲線部、第十緩下降カム曲線部が順に設けられることが好ましい。
【0010】
かかる織機の伝動装置において、前記ベース部材の結合蓋における、ケースに面する内側面に複数の止り穴が間隔をおいて形成され、前記アーム揺動部材は、10個の枢設座及び10本のアームを有し、該枢設座は、少なくとも1本の固定柱及び接着軸受を有し、そのうち固定柱は、枢設座の一端から延設され、結合蓋の止り穴に挿し込まれ、該枢設座は、固定柱を介して結合蓋に固定され、該接着軸受は、枢設座の他端に取り付けられ、前記アームはそれぞれ枢設座に枢設され、接着柱及び当接軸受を備え、該接着柱は、アームの一側面に凸設され、枢設座の接着軸受に取り付けられ、該当接軸受は、カムに当接するようにアームの一端に設けられ、該アームが当接軸受を介して対応するカムに当接し、前記綜絖部材はそれぞれ、アームの連動部に連接する10枚の綜絖プレートを備えることが好ましい。
【0011】
かかる織機の伝動装置において、前記アームの他端に連動部が凹設され、該連動部に挿設穴が形成され、前記ケースと反対する側に固定座が配置され、前記綜絖プレートは、引き棒と、連接ブロックと、連接部と、複数のバネを備え、そのうち、引き棒の一端が綜絖プレートの一端に固定されると共に、他端が連動部の挿設穴を通過するように挿設され、該連接ブロックが連動部の内部に当接するように引き棒に固定され、該連接部は、綜絖プレートの他端に設けられ、該バネの一端が連接部に固定されると共に、他端が固定座に固定されることが好ましい。
【0012】
かかる織機の伝動装置において、前記ケースにおける一側に内部と連通する取付穴が形成され、前記カム組みは、取付穴からケースの内部に差し込むように設置され、スリーブと、複数の間隔リングと、2つの位置決めリングを備え、そのうち、スリーブは、伝動軸に固定環装され、前記複数のカム及び複数の間隔リングはそれぞれスリーブに環装され、また、該間隔リングは、隣り合う2枚のカムの間に設置され、該2つの位置決めリングはそれぞれスリーブの両端に当接するように、伝動軸に環装されることが好ましい。
【0013】
かかる織機の伝動装置において、前記伝動軸の、凸縁部と対応する箇所に第一軸受が環装され、該伝動軸の、組立穴と対応する箇所に第二軸受が環装され、該伝動軸における第二軸受の近傍に環状突起が凸設され、該環状突起が第二軸受と当接するように取り付けられ、該伝動軸における第一軸受と第二軸受との間に介在リングが環装されることが好ましい。
【0014】
かかる織機の伝動装置において、前記モータの出力端にベルトが環装され、前記ウォームギア伝動部材におけるシャフトの一端に伝動輪が取り付けられ、該伝動輪にベルトが環装されることが好ましい。
【0015】
前記ベース部材は、ベースを備え、前記ケースの底部がベースに固定され、該ケースの他側における、取付穴と対応する位置に軸蓋が取り付けられ、前記伝動軸の他端がケースの軸蓋に挿し込まれることが好ましい。
【0016】
かかる織機の伝動装置において、前記綜絖部材はさらに、2枚の装着板と、2枚のカバーと、2枚の補助板と、1つの案内座を備え、そのうち、2枚のカバーは、バネをカバーするように綜絖部材の両側から組み合わされ、該補助板は、綜絖部材の両側に配置されると共に、複数の縦溝が形成され、該案内座は、ケースの上端に設置されると共に、複数の案内穴が間隔をおいて形成され、前記綜絖プレートの引き棒がそれぞれ案内座の案内穴に挿設されることが好ましい。
【0017】
かかる織機の伝動装置において、前記装着板と対応する綜絖部材の両側に2枚の案内板が配置され、該案内板の長手方向に沿って複数の案内溝が間隔をおいて形成され、前記綜絖プレートの延出部が案内溝に挿設されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る織機の伝動装置によれば、ウォームギア伝動部材における、八条のウォームがカム組みのウォームホイールに噛合されるため、伝動軸の回転速度がシャフトの回転速度と同じ速度で上昇する。
この構成によれば、アーム揺動部材のアーム及び綜絖部材における綜絖プレートの昇降回数を増加させることができることから、同時に織機の織動作も増加するので、織製品の産量を向上させることができる。
【0019】
また、カムのカム曲線が4位相を有することから、回転時の振動を緩和することができるので、カムの耗損を抑えて、綜絖プレートに巻き付けた経糸の使用寿命を延ばすことができる。
【0020】
さらに、枢設座が調整可能に結合蓋に取り付けられると共に、アームは枢設座に対して枢動することから、アームの揺動範囲を調整することができる。すなわち、アームの揺動範囲を調整することによって、綜絖プレートの昇降位置を調整できると共に、アームの揺動範囲も調整することができることから、アーム揺動部材の部材数を減らせると共に、それぞれの寸法が異なるアームを用意する必要がなく、同一寸法のアームを使えばよいので、利便性が向上する。
【0021】
更に、操作者が織製品の厚さに応じて、それぞれのカムの高低位置を調整すれば、綜絖プレートの開口の程度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る織機の伝動装置の斜視図である。
【
図2】本発明に係る機の伝動装置の部分分解斜視図である。
【
図3】本発明に係る織機の伝動装置におけるウォームギア伝動部材の内部を示した部分断面側面図である。
【
図4】本発明に係る織機の伝動装置におけるウォームギア伝動部材及びカム組みを示した部分正面断面図である。
【
図5】本発明に係る織機の伝動装置におけるカム組み及びアーム揺動部材を示した部分拡大斜視図である。
【
図6】本発明に係る織機の伝動装置における第一カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図7】本発明に係る織機の伝動装置における第二カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る織機の伝動装置における第三カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図9】本発明に係る織機の伝動装置における第四カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図10】本発明に係る織機の伝動装置における第五カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図11】本発明に係る織機の伝動装置における第六カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図12】本発明に係る織機の伝動装置における第七カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図13】本発明に係る織機の伝動装置における第八カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図14】本発明に係る織機の伝動装置における第九カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図15】本発明に係る織機の伝動装置における第十カムのカム曲線を示す説明図である。
【
図16】本発明に係る織機の伝動装置における綜絖部材の部分分解斜視図である。
【
図17】本発明に係る織機の伝動装置におけるアーム揺動部材及び綜絖部材を示した下面視部分斜視図である。
【
図18】
図9に示した第四カムを一回転させる過程における、カムの回転角度とカム中心から外周面までの直線距離を示す説明図である。
【
図19】
図6に示した第一カムを一回転させる過程における、カムの回転角度とカム中心から外周面までの直線距離を示す説明図である。
【
図20】既存の織機におけるカムを一回転させる過程における、回転角度とカム中心から外周面までの直線距離を示す説明図である。
【
図21】既存の織機における他のカムを一回転させる過程における、回転角度とカム中心から外周面までの直線距離を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の適切な実施の形態を詳細に説明する。
本発明に係る織機の伝動装置は、
図1及び
図2乃至
図5に示すように、以下の構成及びステップを有する。
【0024】
図1、
図2、
図5に示すように、本発明の織機の伝動装置は、ベース部材10と、ウォームギア伝動部材20と、カム組み30と、アーム揺動部材40と、綜絖部材50を有し、本実施例の織機は、横糸送り装置60及び横糸切断制御部材70によって稼働する。それらの横糸送り装置60及び横糸切断制御部材70は、緯糸を送る装置であり、綜絖部材50に巻き付けられているコイア繊維などの経糸に通すことにより、互いに織り込むことができる。
【0025】
図1、
図2、
図5に示すように、本発明に係る織機の伝動装置のベース部材10は、ケース11と、モータ12と、結合蓋13と、ベース100を備える。
そのうち、ケース11における一側に、内部と連通する取付穴110が形成されると共に、他側における、取付穴110と対応する箇所に軸蓋111が取り付けられ、該モータ12は、ケース11の一側に配置され、モータ12の出力端にベルト121が環装される。該結合蓋13は、ケース11に取り付けられ、該結合蓋13における、ケース11に面する内側面に複数の止り穴(図示せず)及び複数の固定穴131が形成される。そのうち、該複数の止り穴(図示せず)が間隔をおいて横方向に配列するように凹設され、この止り穴は、実際の需要に応じて一直線に配列したり、交替に配列したりしてもよい。また、前記複数の固定穴131は、貫通穴であり、該ベース100は、ケース11の底部を固定するように配置される。
【0026】
図2乃至
図4に示すように、前記ウォームギア伝動部材20は、モータ12と接続するように組み合わされ、ボックス21と、伝動輪22と、シャフト23と、ウォーム24を備える。
そのうち、ボックス21の一側に組立空間210が横方向に形成され、該組立空間210の内部に環状の凸縁部211が延設され、該ボックス21の他側に組立穴212が組立空間210と連通するように形成される。該伝動輪22は、シャフト23の一端に取り付けられて、ベルト121が環装され、該シャフト23は、ボックス21の長手方向と平行するようにボックス21の組立空間210に挿設され、一端を介して伝動輪22に固定されてモータ12と連動する。すなわち、ベルト121がモータ12及び伝動輪22に環装されると共に、シャフト23の一端が伝動輪22に固定されることから、シャフト23が伝動輪22を介してモータ12と連動し、該ウォーム24は八条のウォームであるので、ボックス21の組立空間210に位置するようにシャフト23に環装される。
【0027】
図3乃至
図5に示すように、前記カム組み30は、一端を組立穴212からボックス21に挿し込むことによりウォームギア伝動部材20と連動し、他端が取付穴110からケース11の内部に差し込まれることにより設置されると共に、伝動軸31と、回転盤32と、ウォームホイール33と、スリーブ34と、複数のカム35と、複数の間隔リング36と、2つの位置決めリング37を備える。
そのうち、伝動軸31の一端がボックス21の凸縁部211に挿し込まれ、他端がボックス21から伸び出してケース11の軸蓋111に挿し込まれ、該伝動軸31における、凸縁部211と対応する箇所に第一軸受311が環装される。該伝動軸31における、組立穴212と対応する箇所に第二軸受312が環装され、該伝動軸31の第二軸受312の近傍に、環状突起313が第二軸受312と当接するように凸設され、該伝動軸31における第一軸受311と第二軸受312との間に介在リング310が環装される。
【0028】
前記回転盤32は、伝動軸31におけるボックス21から伸び出している部分に固定環装され、且つウォームホイール33の一端面に噛み合うように取り付けられ、該ウォームホイール33は、歯数三十二のウォームホイールであり、ウォーム24に噛合される。
前記スリーブ34は、伝動軸31におけるボックス21から延び出している部分に固定環装される。
前記複数枚のカム35は、平カムであり、ケース11の内部に位置するように、それぞれ間隔をおいて伝動軸31におけるボックス21から延び出している部分に固定環装される。該各カム35のカム曲線は、4位相を有し(本実施例においては、0°、90°、180°、270°の4位相である)、該複数のカム35及び複数の間隔リング36はそれぞれスリーブ34に環装され、そのうち、間隔リング36は、隣り合う2枚のカム35の間に設置される。
前記2つの位置決めリング37はそれぞれ、スリーブ34の両端に当接するように伝動軸31に環装される。
【0029】
前記複数のカム35は、第一カム351と、第二カム352と、第三カム353と、第四カム354と、第五カム355と、第六カム356と、第七カム357と、第八カム358と、第九カム359と、第十カム350を備える。
図4に示すように、該各カム35は、貫通穴を有し、該貫通穴を介して伝動軸31及びスリーブ34に環装され、該貫通穴の内周面に係合凹部が凹設され、該係合凹部に結合凸部が嵌合されることによって伝動軸31及びスリーブ34に固定される。
【0030】
図6に示すように、前記第一カム351の貫通穴の内周面に第一係合凹部3510が凹設され、該第一カム351の外周面における、第一係合凹部3510と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、第一上昇カム曲線部3511、第一緩下降カム曲線部3512、第一下降カム曲線部3513、第一緩上昇カム曲線部3514が順に設けられる。
【0031】
図7に示すように、前記第二カム352における貫通穴の内周面に第二係合凹部3520が凹設されると共に、該第二カム352の外周面における、第二係合凹部3520と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、第二下降カム曲線部3521、第二緩上昇カム曲線部3522、第二上昇カム曲線部3523、第二緩下降カム曲線部3524が順に設けられる。
【0032】
図8に示すように、前記第三カム353における貫通穴の内周面に第三係合凹部3530が凹設されると共に、該第三カム353の外周面における、第三係合凹部3530と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、一方の第三上昇カム曲線部3531、一方の第三急下降カム曲線部3532、他方の第三上昇カム曲線部3531、他方の第三急下降カム曲線部3532が順に設けられる。
【0033】
図9に示すように、前記第四カム354における貫通穴の内周面に第四係合凹部3540が凹設されると共に、該第四カム354の外周面における、第四係合凹部3540と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、一方の第四急下降カム曲線部3541、一方の第四上昇カム曲線部3542、他方の第四急下降カム曲線部3541、他方の第四上昇カム曲線部3542が順に設けられる。
【0034】
図10に示すように、前記第五カム355における貫通穴の内周面に第五係合凹部3550が凹設されると共に、該第五カム355の外周面における、第五係合凹部3550と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、一方の第五緩上昇カム曲線部3551、一方の第五上昇カム曲線部3552、他方の第五緩上昇カム曲線部3551、他方の第五上昇カム曲線部3552が順に設けられる。
【0035】
図11に示すように、前記第六カム356における貫通穴の内周面に第六係合凹部3560が凹設されると共に、該第六カム356の外周面における、第六係合凹部3560と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、一方の第六上昇カム曲線部3561、一方の第六緩下降カム曲線部3562、他方の第六上昇カム曲線部3561、他方の第六緩下降カム曲線部3562が順に設けられる。
【0036】
図12に示すように、前記第七カム357における貫通穴の内周面に第七係合凹部3570が凹設されると共に、該第七カム357の外周面における、第七係合凹部3570と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、一方の第七上昇カム曲線部3571、他方の第七上昇カム曲線部3571、第七緩下降カム曲線部3572、第七緩上昇カム曲線部3573が順に設けられる。
【0037】
図13に示すように、前記第八カム358における貫通穴の内周面に第八係合凹部3580が凹設されると共に、該第八カム358の外周面における、第八係合凹部3580と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、一方の第八上昇カム曲線部3581、第八緩下降カム曲線部3582、第八緩上昇カム曲線部3583、他方の第八上昇カム曲線部3581が順に設けられる。
【0038】
図14に示すように、前記第九カム359における貫通穴の内周面に第九係合凹部3590が凹設されると共に、該第九カム359の外周面における、第九係合凹部3590と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、第九緩下降カム曲線部3591、第九緩上昇カム曲線部3592、一方の第九上昇カム曲線部3593、他方の第九上昇カム曲線部3593が順に設けられる。
【0039】
図15に示すように、前記第十カム350における貫通穴の内周面に第十係合凹部3500が凹設されると共に、該第十カム350の外周面における、第十係合凹部3500と対応する箇所から時計回りで90度ごとに、第十緩上昇カム曲線部3501、一方の第十上昇カム曲線部3502、他方の第十上昇カム曲線部3502、第十緩下降カム曲線部3503が順に設けられる。
【0040】
図5、
図16、
図17に示すように、前記アーム揺動部材40は、カム組み30及び綜絖部材50と連接するように取り付けられると共に、複数の枢設座41及び複数のアーム42を備える。
そのうち、複数の枢設座41は、ベース部材10におけるケース11の内部に位置するように位置調整可能に結合蓋13に取り付けられ、少なくとも1本の固定柱411及び接着軸受412を有し、該固定柱411は、枢設座41の一端に延設され、且つ結合蓋13の止り穴に挿し込まれる。これによれば、枢設座41は固定柱411を介して結合蓋13に固定され、該接着軸受412は、枢設座41の他端に取り付けられる。尚、本実施例においては、枢設座41の固定柱411の末端が結合蓋13の固定穴131に対応し、ボルトなどのファスナーにより、結合蓋13の固定穴131を通って枢設座41の固定柱411に締め付けて、枢設座41を結合蓋13に固定する。
【0041】
前記アーム42はそれぞれ枢設座41に枢設され、一端を介して対応するカム35に当接し、また、接着柱421と、当接軸受422と、連動部423を備える。該接着柱421は、アーム42の一側面に凸設されると共に、枢設座41の接着軸受412に取り付けられ、該当接軸受422は、対応するカム35に当接するようにアーム42の一端に設けられ、該連動部423は、アーム42の他端に凹設されると共に、挿設穴が形成される。この構成によれば、前記アーム42が当接軸受422を介して、対応するカム35に当接する。
尚、本実施例においては、前記アーム揺動部材40が、10個の枢設座41及び10本のアーム42を有し、その10本のアーム42はそれぞれ、対応する枢設座41に枢設されると共に、第一カム351、第二カム352、第三カム353、第四カム354、第五カム355、第六カム356、第七カム357、第八カム358、第九カム359、第十カム350に当接する。
【0042】
図1、
図16、
図17に示すように、前記綜絖部材50は、ケース11の上端に固定され、2枚の装着板51と、複数の綜絖プレート52と、2枚の案内板53と、1つの固定座54と、2枚のカバー55と、2枚の補助板56と、1つの案内座500を有する。
そのうち、2枚の装着板51は、間隔をおいて互いに相対するようにケース11に設置されると共に、該装着板51の長手方向に沿って複数の貫通溝511が形成され、前記複数の綜絖プレート52はそれぞれ、間隔をおいて上下移動可能に2枚の装着板51の間に挿設されると共に、複数の延出部521と、引き棒522と、連接ブロック523と、連接部524と、複数のバネ525を備える。尚、本実施例においては、前記綜絖部材50が、アーム42及び回転盤32に対応するように配置され、それぞれの一端がアーム42の連動部423に連接する10枚の綜絖プレート52を備える。
【0043】
前記複数の延出部521は、綜絖プレート52の両側縁から対称に延出するように凸設されるものであり、装着板51の貫通溝511に挿設される。前記引き棒522の一端が綜絖プレート52の一端に固定されると共に、他端が連動部423の挿設穴を通過するように挿設され、前記連接ブロック523が連動部423の内部に当接するように引き棒522に固定され、前記連接部524は、両側に延出するように綜絖プレート52の他端に設けられ、前記バネ525の一端が連接部524に固定される。
【0044】
前記2枚の案内板53は、装着板51と対応するように綜絖部材50の両側に配置され、案内板53の長手方向に沿って複数の案内溝531が間隔をおいて形成され、前記綜絖プレート52の延出部521が案内溝531に挿設される。
前記固定座54は、綜絖部材50における、ケース11と反対する側に配置され、前記バネ525の他端が固定座54に固定され、前記2枚のカバー55は、バネ525をカバーするように綜絖部材50の両側から組み合わされる。また、前記補助板56は、綜絖部材50の両側に配置され、上下方向に沿って複数の縦溝が形成され、前記連接部524の両端がそれぞれ2枚の補助板56の縦溝に挿設される。
前記案内座500は、ケース11の上端に設置され、複数の案内穴5000が間隔をおいて形成される。尚、本実施例の案内座500には、10個の案内穴5000が形成され、前記綜絖プレート52の引き棒522がそれぞれ案内座500の案内穴5000に挿設される。
【0045】
図5、
図16、
図17に示すように、複数のカム35がそれぞれ回転して上昇カム曲線部によりアーム42の一端の当接軸受422に当接すると、該アーム42の一端が持ち上がると共に、他端の連動部423が下がる。この時、連動部423が連接ブロック523に固定されることから、連接ブロック523が引き棒522を介して綜絖プレート52を、バネ525の付勢力に抵抗するように下方へ引き、複数のカム35が回転し続けて上昇カム曲線部がアーム42から離間すると、綜絖プレート52が解放されて引き棒522の付勢力により復位する。
【0046】
前記装着板51の貫通溝511及び案内板53の案内溝531は、綜絖プレート52の上下移動を案内する構造であるため、綜絖プレート52が貫通溝511及び案内溝531に沿って安定して上下移動することができる。
【0047】
図18に示すように、本発明の第四カム354は4位相を備えるため、第二カム352が一回転するうちに、第二カム352が90度ごとに一回の上昇または下降を行う。これに対し、
図20に示すように、既存の織機のカムでは、(上下運動、すなわち、一回上昇してから一回下降するとの動作を繰り返す上下運動を行う)8位相を備えることから、カムが45度ごとに上昇または下降する。このように、カムの昇降の頻度が高く、且つ激しい振動を起すことから、カムが相当な振動を受け、カムが耗損したり、綜絖プレート52に巻回された経糸が切れやすいといった欠点がある。
また、
図18に示した上昇距離Hは、カムの中心から外周面までの最大距離と最小距離との差であり、すなわち、アーム42における当接軸受422の最も低位置と高位置との距離である。
【0048】
図19に示すように、本発明における第一カム351の回転において、0度から180度までは、アーム42を高位置に保持し、第一カム351が270度まで回転すると、アーム42が低位置に達し、90度ごとに一回の上昇または下降を行う。尚、
図21に示すように、従来の織機のカムでは、(三回上昇して一回下降する上下運動を行う)45度ごとに一回の上昇または下降を行うので、カムが激しい振動を起す。
【0049】
本発明におけるウォーム24は八条のウォームであり、ウォームホイール33に歯数32のウォームホイールを有する、比率1:4の伝動構造である。この構成によれば、回転盤32の回転数が1000rpmから2000rpmに上昇すると、伝動軸31の回転数が250rpmから500rpmに上昇して、シャフト23が一回転するごとに、カム35及びアーム42によって綜絖プレート52が一回昇降し、一回の織り動作を行う。つまり、伝動軸31の回転速度が、シャフト23の回転速度に伴って上がると、綜絖プレート52の昇降回数が増加することから、単位時間内における綜絖プレート52の動作が多くなるので、織機の生産能力が向上する。
【0050】
既存の織機は、四条のウォームと歯数三十二のウォームホイールとを組み合せてなり、比率1:8の伝動構造であることから、シャフトが1000rpmで回転すると、カム軸が125rpmで回転するが、本発明の回転数が250rpmになるカムと比べてかなり低い。尚、この構成の場合、シャフトの回転数を2000rpmまで高くしても、カムの回転数は250rpmにしか上昇しない。また、既存の織機は、8位相のカムを使うことから、回転数を高めると、カムがより激しく振動して、カムの耗損及び経糸が切れやすくなる。
【0051】
これに対し、本発明に係る織機の伝動装置は、カム35が4位相のカム曲線を備えることから、カム35が一回転するごとに、綜絖プレート52が4回の昇降動作を行う。すなわち、縦糸と横糸とが4回の織り動作を行うことができる。尚、操作者は、織製品の厚さに応じて、それぞれのカム35の高低位置を調整し、綜絖プレート52の開口程度を調整することができる。
また、既存の8位相のカムを備える織機によると、シャフトが一回転すると、8回の織り動作を行うことができるが、全てのカムの高低位置を一致にして調整するため、綜絖部材のそれぞれの開口の程度をいちいち調整する必要がある。
【0052】
本発明に係る織機の伝動装置では、ウォームギア伝動部材20における八条のウォーム24が、カム組み30のウォームホイール33に噛合するため、伝動軸31の回転速度がシャフト23の回転速度と一致するように上昇する。この構成によれば、アーム揺動部材40のアーム42及び綜絖部材50における綜絖プレート52の昇降回数の増加に伴い、織機の織動作も増加するので、織製品の生産能力が向上する。
また、カム35のカム曲線が4位相を有することから、回転時の振動を緩和することができるので、カム35の耗損を抑え、綜絖プレート52に巻回された経糸の使用寿命を延ばすことができる。
さらに、枢設座41が調整可能に結合蓋13に取り付けられると共に、アーム42が枢設座41に対して枢動することから、アーム42の揺動範囲を調整することができる。すなわち、アーム42の揺動範囲を調整することによって、綜絖プレート52の昇降位置を調整することができることから、部材の数量を減らすことができると共に、複数の寸法が異なるアームを用意する必要もないので、利便性が向上する。
【符号の説明】
【0053】
10 ベース部材
11 ケース
110 取付穴
111 軸蓋
12 モータ
121 ベルト
13 結合蓋
131 固定穴
100 ベース
20 ウォームギア伝動部材
21 ボックス
210 組立空間
211 凸縁部
212 組立穴
22 伝動輪
23 シャフト
24 ウォーム
30 カム組み
31 伝動軸
310 介在リング
311 第一軸受
312 第二軸受
313 環状突起
32 回転盤
33 ウォームホイール
34 スリーブ
35 カム
351 第一カム
3510 第一係合凹部
3511 第一上昇カム曲線部
3512 第一緩下降カム曲線部
3513 第一下降カム曲線部
3514 第一緩上昇カム曲線部
352 第二カム
3520 第二係合凹部
3521 第二下降カム曲線部
3522 第二緩上昇カム曲線部
3523 第二上昇カム曲線部
3524 第二緩下降カム曲線部
353 第三カム
3530 第三係合凹部
3531 第三上昇カム曲線部
3532 第三急下降カム曲線部
354 第四カム
3540 第四係合凹部
3541 第四急下降カム曲線部
3542 第四上昇カム曲線部
355 第五カム
3550 第五係合凹部
3551 第五緩上昇カム曲線部
3552 第五上昇カム曲線部
356 第六カム
3560 第六係合凹部
3561 第六上昇カム曲線部
3562 第六緩下降カム曲線部
357 第七カム
3570 第七係合凹部
3571 第七上昇カム曲線部
3572 第七緩下降カム曲線部
3573 第七緩上昇カム曲線部
358 第八カム
3580 第八係合凹部
3581 第八上昇カム曲線部
3582 第八緩下降カム曲線部
3583 第八緩上昇カム曲線部
359 第九カム
3590 第九係合凹部
3591 第九緩下降カム曲線部
3592 第九緩上昇カム曲線部
3593 第九上昇カム曲線部
350 第十カム
3500 第十係合凹部
3501 第十緩上昇カム曲線部
3502 第十上昇カム曲線部
3503 第十緩下降カム曲線部
36 間隔リング
37 位置決めリング
40 アーム揺動部材
41 枢設座
411 固定柱
412 接着軸受
42 アーム
421 接着柱
422 当接軸受
423 連動部
50 綜絖部材
51 装着板
511 貫通溝
52 綜絖プレート
521 延出部
522 引き棒
523 連接ブロック
524 連接部
525 バネ
53 案内板
531 案内溝
54 固定座
55 カバー
56 補助板
500 案内座
5000 案内穴
60 横糸送り装置
70 横糸切断制御部材
H 上昇距離
R カム中心から外周面までの直線距離
θ カムの回転角度
【要約】
【課題】特に綜絖部材により経緯糸の織り機能を向上させると共に、駆動カムと綜絖部材の使用寿命を延長することができる織機の伝動装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る織機の伝動装置は、ウォームギア伝動部材における、八条のウォームがカム組みのウォームホイールに噛合されることによって、伝動軸の回転速度がシャフトの回転速度と同じ速度で上昇する。それによれば、アーム揺動部材のアーム及び綜絖部材における綜絖プレートの昇降回数を増加させることができることから、同時に織機の織動作も増加するので、織製品の産量を向上させることができる。また、カムのカム曲線が4位相を有することから、回転時の振動を緩和することができるので、カムの耗損を抑えて、綜絖プレートに巻き付けた経糸の使用寿命を延ばすことができる。
【選択図】
図1