特許第6131387号(P6131387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131387
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】オレフィン重合における触媒抑制の軽減
(51)【国際特許分類】
   C08F 6/12 20060101AFI20170508BHJP
   C08F 36/20 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   C08F6/12
   C08F36/20
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-521872(P2016-521872)
(86)(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公表番号】特表2016-522309(P2016-522309A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】US2014043518
(87)【国際公開番号】WO2014209813
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2015年12月22日
(31)【優先権主張番号】61/838,919
(32)【優先日】2013年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13178917.4
(32)【優先日】2013年8月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ホー スージー シー
(72)【発明者】
【氏名】キャニッチ ジョー アン エム
(72)【発明者】
【氏名】メルテンス マハテルト エム
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィシャンカール ペリアガラム エス
(72)【発明者】
【氏名】バーン パトリック エス
(72)【発明者】
【氏名】ステファニアク リサ ビー ヴイ
【審査官】 藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−135806(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0072972(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0254416(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
C08F 6/12
C08F 36/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) ポリオレフィン生成物流を用意する工程、ここで、前記ポリオレフィン生成物流は、ポリオレフィン生成物及び未反応のモノマーを含む、
(ii) 前記ポリオレフィン生成物流を水、C1-C8アルコール、及びこれらの混合物から選ばれた反応停止剤で反応停止して、反応停止されたポリオレフィン流を生成する工程、 (iii) 反応停止されたポリオレフィン流をポリオレフィン生成物及び循環流に分離する工程、及び
(iv) 循環流の少なくとも一部を吸着剤床と接触させて処理された循環流を生成する工程、ここで前記循環流は、反応停止剤、一種以上のC6-C12共役又は非共役ジエンモノマー、及び一種以上のC8-C40含酸素化合物を含み、前記吸着剤床は、反応停止剤及びC8-C40含酸素化合物を除去するための少なくとも2種の吸着剤を含さらに前記一種以上のC8-C40含酸素化合物は、(a)C6-C12非共役ジエンモノマー、(b)反応停止剤、及び(c)アルミニウムアルキル付加物又はゼオライトモレキュラーシーブの反応生成物である、
を含有することを特徴とする重合方法。
【請求項2】
吸着剤床が水を除去するための少なくとも一種の吸着剤及びC8-C40含酸素化合物を除去するための少なくとも一種の別の吸着剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一種の吸着剤が、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトA、ホージャサイト、モルデナイト、フェリエライト、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた物質を含む、無バインダーゼオライトモレキュラーシーブであり、かつ、ここでさらに少なくとも一種の別の吸着剤がアルミナ中のハイブリッドゼオライトである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
アルミナ中のハイブリッドゼオライト吸着剤がC8-C40含酸素化合物を除去する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
吸着剤床が更にアルミナ吸着剤及びシリカ吸着剤の一方又は双方を含む、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
反応停止剤が水であり、かつ含酸素化合物がC9及びC18含酸素化合物である、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
反応停止剤がCmアルコールであり、式中、mがアルコール中の炭素原子の数に等しい整数であり、かつC8-C40含酸素化合物がCm+nであり、式中、mがCmアルコールからのmであり、かつnが6から32までの整数である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
吸着剤床を150℃から290℃までの範囲の温度に加熱することにより吸着剤床を再生することを更に含む、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2種の吸着剤との循環流の滞留時間が5分から20分までの範囲内である、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2013年6月25日に出願された、米国仮特許出願第61/838,919号、及び2013年8月1日に出願された欧州特許出願第13178917.4 号(これらの開示が本明細書に参考として完全に含まれる)の優先権の利益を主張する。
本開示は重合反応器への循環流中の含酸素化合物の低減、特にジエンモノマーが存在する重合反応器への循環流中のC1-C40含酸素化合物の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
或る種の重合方法、特にオレフィン重合方法は、触媒活性を低下し得る毒に敏感であることが公知である。重合反応器に入る物質の種々の流れを処理するのに使用し得る市販の吸着剤がある。WO 2004/033507に、二重吸着剤が重合方法における循環流から不純物を除去するのに使用し得ることが開示されていた。しかしながら、本発明者らは或る種の非共役ジエンモノマーが重合反応器の成分と反応して望ましくない含酸素化合物を生成し得ることを驚くことに見い出した。そうしないと触媒を被毒するような含酸素化合物を低減又は排除することが望ましいであろう。
その他の背景文献として、米国特許第2,653,959号、同第2,943,105号、同第3,489,808号、同第3,931,350号、同第4,337,156号、同第5,245,107号、同第5,326,855号、同第5,427,689号、同第6,051,631号、同第6,111,162号、同第6,118,037号、同第6,632,766号、同第6,790,344号、同第6,987,152号、同第7,102,044号、同第7,141,630号、同第7,141,631号、同第7,326,821号、同第7,368,618号、及び同第7,576,248号;米国特許出願公開第2002/147377号、同第2004/0254416号、同第2009/0312511号、同第2010/0197989号、及び同第2011/0079145号;欧州特許出願公開第1022056A号;PCT 公開WO 2002/06188、WO 2008/010962、WO 2008/013519、及びWO 2009/010666;並びにYu G. Osokin, 47, PETROLEUM CHEMISTRY, 1-11頁(2007)、及び47, PETROLEUM CHEMISTRY, 271-82頁(2008)が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この開示は循環流を用意する工程、ここで前記循環流は一種以上のC6-C12共役又は非共役ジエンモノマー及び一種以上のC1-C40含酸素化合物を含む、前記循環流の少なくとも一部を吸着剤床と接触させて処理された循環流を生成する工程、ここで前記吸着剤床は過剰の反応停止剤(quenching agent)及び/又はC1-C40含酸素化合物を除去するための少なくとも2種の吸着剤を含む、処理された循環流を重合触媒と接触させてポリオレフィン生成物流を生成する工程、前記ポリオレフィン生成物流を水及び/又はC1-C8 アルコールから選ばれた反応停止剤で反応停止する工程、及び反応停止されたポリオレフィン流をポリオレフィン生成物及び循環流に分離する工程を含む重合方法に関する。反応停止剤が水を含む実施態様において、水を循環流から除去するのに望ましい吸着剤として、ゼオライト物質を含むモレキュラーシーブが挙げられ、また含酸素化合物、特にC8-C20含酸素化合物を除去するのに望ましい吸着剤として、アルミナ中のハイブリッドゼオライト物質、又は高純度のシリカが挙げられ、任意に別のアルミナ吸着剤が添加されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】内部標準としてのn-ヘキサデカンとともにC9含酸素化合物及びC18 含酸素化合物のガスクロマトグラムを示し、図中、ENB はエチリデンノルボルネンであり、かつVNTCは1-ビニルノルトリシクレン(ENB 異性体)である。
図2a】C9含酸素化合物の1H NMRスペクトルを示す。
図2b】C9含酸素化合物のC-H 相関NMR を示す。
図2c】C9含酸素化合物の13C NMR を示す。
図2d】C9含酸素化合物の13C DEPT NMRを示す。
図3a】C18 含酸素化合物の1H NMRスペクトルを示す。
図3b】C18 含酸素化合物のC-H 相関NMR を示す。
図3c】C18 含酸素化合物の13C NMR を示す。
図3d】C18 含酸素化合物の13C DEPT NMRを示す。
図4】例の吸着剤床の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明はポリオレフィン重合反応器に入る、流れ、好ましくは循環流からの触媒毒の低減又は排除に関する。特に、共役又は非共役ジエンモノマー、例えば、エチリデンノルボルネンを含むポリマーの製造において、本発明者らは反応生成物の反応停止及びモレキュラーシーブによる、水の如き、反応停止剤のその後の除去中に、その後に循環流中で重合反応器へと進み、触媒活性を低下する望ましくない有機含酸素化合物(アルデヒド、カルボキシレート、アルコール、ケトン、エステル、及びエーテルを含む、“含酸素化合物”)が生成することを見い出した。本発明者らは反応停止剤だけでなく、高分子量の含酸素化合物を反応器に入る循環流から除去する吸着剤、好ましくは固体吸着剤の組み合わせを見い出した。
反応器流出物、例えば、ポリオレフィン生成物流を用意し、これを水、C1-C8 アルコール(好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、及び/又はオクタノール)、及びこれらの混合物から選ばれる反応停止剤で“洗浄”又は“反応停止”して反応停止されたポリオレフィン流を生成し、次いでこれをポリオレフィン生成物及び循環流に分離することを含む重合方法が本明細書に記載される。反応停止剤、未反応のモノマー、例えば、一種以上のC6-C12ジエンモノマー(共役又は非共役)、及び一種以上のC1-C40含酸素化合物、又はC4-C30含酸素化合物を含む、循環流の少なくとも一部、好ましくは循環流の全てが、吸着剤床と接触させられて処理された循環流を生成し、次いでこれが重合触媒と接触させられてポリオレフィン生成物流を生成し、この場合、そのサイクルがその後に繰り返し得る。望ましくは、吸着剤床が過剰の反応停止剤及び/又はC1-C40含酸素化合物、又はC4-C30含酸素化合物、又はC8-C20含酸素化合物、又はC9及びC18 含酸素化合物を除去するために少なくとも2種の吸着剤を含む。
【0006】
循環流中の含酸素化合物は多くの源に由来し得る。源の特別な例として、循環流中の含酸素化合物が重合反応からのC6-C12共役又は非共役ジエンモノマー、反応停止剤、及びアルミニウムアルキル付加物の反応生成物である。例えば、酸性環境とジエンと水の組み合わせが含酸素化合物、特に、C8-C20含酸素化合物、又はC9及びC18 含酸素化合物を生成するであろう。含酸素化合物は、或る局面において、またC6-C12共役又は非共役ジエンモノマーと反応停止剤を循環流から除去するのに使用される吸着剤、例えば、ゼオライト物質との反応に由来し得る。例えば、C6-C12共役又は非共役ジエンモノマーが吸着剤、例えば、ゼオライト物質中のバインダーの酸性環境と反応して含酸素化合物を生成し得る。
循環流中の含酸素化合物は反応停止剤及び使用されるジエンの型に依存し得る。例えば、循環流がCm+n含酸素化合物を含んでもよく、式中、mは反応停止剤からの炭素原子の数であり、かつnは共役ジエンモノマー、共役モノマーの二量体、並びにエチレン及び/又はプロピレンとのオリゴマー中の炭素原子の数である。それ故、反応停止剤が水である場合、mが0であり、また反応停止剤がC1-8 アルコールである場合、mが使用されるアルコール中の炭素の数に相当して1から8までの整数である(例えば、メタノールが使用される場合、mが1であり、プロパノールが使用される場合、mが3であり、オクタノールが使用される場合、mが8である)。それ故、ジエンがエチリデンノルボルネンである場合、nが典型的には9又は18に等しい。こうして、ジエンがエチリデンノルボルネン又はENB 異性体であり、かつ水が反応停止剤として使用される場合、循環流がC9及び/又はC18 含酸素化合物を含み得る。また、ジエンがエチリデンノルボルネン又はENB 異性体であり、かつメタノールが反応停止剤として使用される場合、循環流がC10 及び/又はC19 含酸素化合物を含み得る。同様に、ジエンがエチリデンノルボルネン又はENB 異性体であり、かつプロパノールが反応停止剤として使用される場合、循環流がC12 及び/又はC21 含酸素化合物を含み得る。
【0007】
“反応停止”工程は吸着剤床とは別の容器又は反応器中で行なわれることが好ましい。この方法は当業界で公知であり、反応停止剤と反応器流出物の接触を表し、反応停止剤と反応器流出物の両方が液体状態、蒸気状態であってもよく、又は一方が液体であってもよく、かつ他方が蒸気であってもよい。この方法は流出物の温度を調節するだけでなく、重合方法を停止するのに使用され、反応器流出物中の種々の成分を分離することを更に含んでもよい。望ましくは、ポリマーがポリオレフィン生成物流から分離されて、循環流を残し、これが残留反応停止剤及び含酸素化合物を除去するために少なくとも2種の吸着剤と接触させられる。高圧セパレーターがこの工程の前に使用されて、反応停止剤及び含酸素化合物の一部を除去してもよく、反応停止剤及び含酸素化合物の残部を除去するための吸着剤床を出る。
“吸着剤床”は望ましくない含酸素化合物を含む物質の反応体又は循環流と接触させるのに使用される、物質、固体、液体、ゲル、又はその他の物理的形態の集合を表す。好ましくは、吸着剤床が少なくとも2種、好ましくは2種又は3種の、床中で静止又はそれ以外に固定されている吸着剤を含む。吸着剤は球形又は円筒形粒子であってもよい。吸着剤は0.5 mm又は1 mm又は2 mmから2.5 mm又は3 mm又は4 mm又は5 mm又は6 mmまでの範囲内の平均粒子サイズを有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。“少なくとも2種の吸着剤”はサイズ及び/又は化学組成並びに反応停止剤、含酸素化合物、又は更には重合方法に使用される望ましいモノマーを吸着するそれらの能力及び容量を互いに異にする2種以上、好ましくは2種又は3種の、吸着剤があることを意味する。望ましくは、吸着剤が含酸素化合物及び反応停止剤を優先的に吸着し、モノマーを床に保持されずに、又は床にわたって変換されずに床を通過させるであろう。
【0008】
吸着剤床が収容され、配置されてもよい方法の例が図4に示される。好ましくは、床 (100)を通過する導管 (105)中を流れる循環流が連続基準、又は回分式でそのようにし、或る容積の循環流が床に入り、床と接触してしばらく留まり、その後にフラッシされることを意味する。床が緊密に一緒に混合された、又は別のゾーン中の2種、又は3種、又はそれより多い吸着剤を含んでもよい。例えば、床が図4に示されるように別のゾーン中に配置された2種の吸着剤 (106)及び (108)を含んでもよい。更に、2種、又は3種、又はそれより多い吸着剤がガラス、セラミック又は金属の“フリット”又はスクリーン (110)により互いに分離されてもよいが、それ以外に互いに液連通してもよく、含酸素化合物及び反応停止剤だけでなく、重合方法からの未反応のモノマー及び重合中に使用し得る希釈剤、例えば、ヘキサン及び/又はプロパンを含んでもよい循環流が、吸着剤の一つのゾーンから別のゾーンへと連続的に流れることができることを意味する。多孔トレー (104)が吸着剤 (106)及び (108)又はその他の付加的なゾーンを含む吸着剤床 (100)を支持するのに使用されてもよく、こうして未反応のモノマー、含酸素化合物、水及び残留触媒並びに活性剤物質(例えば、以下に記載されるアルミニウムアルキル付加物)を運ぶ希釈剤が導管 (105)から、ポート弁 (114)を通って、床 (100)に間欠的又は連続的に運ばれ、吸着剤 (106)中に運ばれ、スクリーン (110)を通過され、次いで第二吸着剤 (108)中に運ばれ、次いで第二スクリーニング (110)中に運ばれ、ポート (103) を通って床 (100)から流出される。ポート弁 (114)は吸着剤床 (100)への、またその中の循環流の流れを調節することができ、またポート (103)は弁とフィットされ、流れが重力で誘導でき、又は内部で生じた圧力により誘導し得る。弁 (103)及び/又は (114)のいずれか又は両方がフィルターとフィットされて固体を捕獲し得る。最も好ましくは、吸着剤 (108)が主として含酸素化合物を除去するための吸着剤であり、かつ吸着剤 (106)が主として反応停止剤を循環流から除去するための吸着剤である。換言すれば、循環流により接触される第一ゾーンが主として反応停止剤、例えば、水を除去するための吸着剤、好ましくはモレキュラーシーブ及び/又はアルミナであり、かつ循環流により接触される第二ゾーンが好ましくは含酸素化合物を除去するための吸着剤、好ましくはハイブリッド吸着剤である。考えられるように、循環流の流れが反対方向に、即ち、ポート (103)から (114)へと行くことができ、この場合、吸着剤 (108)が主として反応停止剤のための吸着剤であり、かつ吸着剤 (106)が主として含酸素化合物のための吸着剤であることが好ましい。
【0009】
含酸素化合物及び水を含む循環流の“滞留時間”は容器又はドライヤーカラム中に含まれるような、床の寸法だけでなく、吸着剤の粒子サイズ、及び床中の流量に依存するであろう。吸着剤の嵩密度が一つの因子であり、或る実施態様において、0.40又は0.50又は0.60又は0.7g/mlから1.0 又は1.1 又は1.2 g/mlまでの範囲内であってもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。嵩密度がそれぞれの吸着剤について異なっていてもよく、例えば、ゼオライトのモレキュラーシーブの嵩密度が0.70〜1.0 g/mlの範囲内であってもよく、一方、アルミナ中のハイブリッドゼオライトの嵩密度が0.8 〜1.2 g/mlであってもよい。いずれの場合にも、循環流が5分又は8分から12分又は15分又は20分までの範囲内の、滞留時間、即ち、バルク溶液(希釈剤)が少なくとも2種の吸着剤中を流れるのに要する時間を有することが好ましく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよく、又は、吸着剤が互いに分離されている場合には、吸着剤のそれぞれとの循環流についての滞留時間が、個々に、4分又は6分から10分又は14分又は18分までの範囲内であり、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。循環流(これは典型的には80質量%から90質量%又は95質量%又は98質量%の希釈剤を含む)中の希釈剤の流量に基づいて、滞留時間が床中で0.1 又は1又は5又は10kgの希釈剤/時間から30又は40又は50kg/時間までの範囲内であり、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
【0010】
図4を再度参照して、吸着剤床 (100)が重合システム内の非反応性容器 (102)、好ましくはステンレス鋼中に収容されることが好ましく、そのシステムでは、それが含酸素化合物及び反応停止剤を部分的又は完全に除去した流出流のための導管 (105)及びポート (103)中を流れる循環流のためのポート弁 (114)と関連され、かつその弁を有する。容器がまた吸着剤を再生するのに使用される希釈剤のためのポートを有してもよく、容器が加熱されてもよく、その結果、それがその中に含まれた吸着剤を加熱する。こうして、吸着剤床が吸着剤床を150 ℃又は180 ℃から250 ℃又は290 ℃までの範囲の温度に加熱することにより再生されることが好ましく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。これは吸着剤床を熱い希釈剤洗浄にかけることにより達成されてもよく、又はこのような洗浄が床を加熱することに加えて行なわれてもよい。更に、再生方法が、更に、又はその他の方法に代えて、吸着剤床を熱い窒素でスパージすることを含んでもよい。
上記されたように、非共役ジエンモノマーが反応停止剤及び重合生成物流にしばしば見られるアルミニウムアルキル付加物と接触する場合に有害な触媒毒が特別に生成されることがわかった。“アルミニウムアルキル付加物”は、アルミニウムアルキル及び/又はアルモキサンと反応停止剤、例えば、水及び/又はメタノールの反応生成物を意味する。アルミニウムアルキルは重合反応器中の脱除剤として、かつ/又はアルモキサンであるような、活性剤として存在してもよく、これらは当業界で公知である。
【0011】
オレフィン及びその他のモノマーを重合触媒と合わせる方法は当業界で公知であり、本発明は重合方法のいかなる特別な型にも限定されない。しかしながら、共役又は非共役ジエンモノマーが典型的には本発明の方法に、単独で、又はその他のモノマーとともに存在し、非共役ジエンが最も好ましい。典型的には、非共役ジエンモノマーがC6-C12非共役ジエンモノマーからなる群から選ばれ、これらは2-メチル-1,4-ペンタジエン、3-メチル-1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、ノルボルナジエン、3,3-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、6-メチル-1,4-ヘプタジエン、1-ビニルシクロヘキセン、5-メチレン -2-ノルボルネン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-オクタジエン、1,7-ノナジエン、1,8-ノナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、1,8-デカジエン、1,9-デカジエン、1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロヘキサン、ジシクロペンタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、5-アリル-2-ノルボルネン、1,10-ウンデカジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、1,11-ドデカジエン、6-ブチル -1,6-オクタジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、8-メチル-1,6-ウンデカジエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる
【0012】
C6-C12非共役ジエンモノマーが2-メチル-1,4-ペンタジエン、3-メチル-1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、ノルボルナジエン、1,7-オクタジエン、1-ビニルシクロヘキセン、1,8-ノナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,9-デカジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-アリル-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれることが更に好ましい。非共役ジエンが5-エチリデン-2-ノルボルネンであることが最も好ましい。いずれの場合にも、一種以上のエチレン又はC3-C12アルファ−オレフィンモノマーがまた重合触媒及び非共役ジエンモノマーと接触されてもよい。
上記されたように、本発明の吸着剤床が反応停止剤及び/又はC1-C40含酸素化合物を除去するために少なくとも2種の吸着剤を含む。少なくとも一種の吸着剤が用意されて少なくとも反応停止剤、例えば、水を除去し、かつ少なくとも一種のその他の吸着剤が用意されてC1-C40含酸素化合物、又はC8-C40含酸素化合物、又はC12-C30含酸素化合物を除去することが好ましい。種々の吸着剤が保持するものに重なりがあり得ることを理解して、反応停止剤、例えば、水を除去するための吸着剤がまたC1-C8 又はC9含酸素化合物を除去し得る。図4を参照して、一種の吸着剤が吸着剤 (106)であってもよく、またその他が吸着剤 (108)であってもよく、この場合、循環流が順にそれぞれと接触する。また、吸着剤 (106)及び (108)が一緒に混合でき、この場合、循環流が同時に両方と接触する。しかしながら、一種の吸着剤が他方よりも直ぐに交換を必要とするかもしれないと考えると、それらを図4に示されるように別々のゾーン中に有することがしばしば有利である。最も望ましい吸着剤は反応器からの最小量の未反応モノマー物質を吸着し、最大量の含酸素化合物及び反応停止剤、例えば、水を吸着するものである。吸着剤が水、C9含酸素化合物、及び5-エチリデン-2-ノルボルネンの存在下で生成する傾向があるC18 含酸素化合物を除去すべきであることが最も好ましい。
【0013】
少なくとも一種の吸着剤がゼオライトモレキュラーシーブであり、かつ別の吸着剤がアルミナ中のハイブリッドゼオライトであることが最も好ましい。多くの固体吸着剤が実際の吸着剤、バインダー、及びその他の物質の混合物/組み合わせであることが理解されるが、本明細書に言及される“アルミナ中のハイブリッドゼオライト”吸着剤は本明細書に記載されるような特別な品質及び記載のものである。ゼオライトモレキュラーシーブが水及び低級含酸素化合物(例えば、C1-C6 含酸素化合物)を除去するのに望ましく、一方、アルミナ中のハイブリッドゼオライトが高級含酸素化合物、例えば、C8-C40含酸素化合物、又はC12-C30 含酸素化合物、最も好ましくはC18 含酸素化合物を除去するのに望ましい。
ゼオライトモレキュラーシーブはゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトA、ホージャサイト、モルデナイト、フェリエライト、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる物質を含んでもよい。水を除去するためのゼオライトモレキュラーシーブは当業界で公知であり、例えば、BASF及びその他の製造業者から入手し得る。ゼオライトモレキュラーシーブが2又は4Åから6又は8又は10又は12Åまでの範囲内の孔サイズを有することが好ましく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
“アルミナ中のハイブリッドゼオライト”はアルミナのマトリックス中にあるゼオライトである。アルミナ中のハイブリッドゼオライトが60又は80m2/gから110 又は120 又は140 m2/gまでの範囲内の表面積を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。アルミナ中のハイブリッドゼオライトが0.30又は0.35又は0.40ml/gから0.48又は0.50又は0.54ml/gまでの範囲内の孔体積を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。有益なアルミナ中のハイブリッドゼオライトの市販の例はUOP からのゼオライトUOP AZ-300 TMである。
【0014】
或る実施態様において、吸着剤の少なくとも一種が無バインダーである。例えば、ゼオライトモレキュラーシーブが無バインダーであってもよく、かつ/又はアルミナ中のハイブリッドゼオライトが無バインダーであってもよい。無バインダーゼオライトは10質量%未満のバインダー、又は7質量%未満のバインダー、又は5質量%未満のバインダー、又は2質量%未満のバインダーを含むゼオライトであり、この場合、ゼオライトのバインダー含量がX線回折により測定される。或る実施態様において、ゼオライトが実質的にバインダーを含まず、2質量%未満のバインダーを含む。無バインダーゼオライトを使用することは循環流中の少ない含酸素化合物の生成を可能にし得る。何とならば、循環流中の未反応の共役又は非共役ジエンモノマー及び反応停止剤がゼオライト物質中のバインダーと反応して含酸素化合物を生成し得るからである。更に、含酸素化合物がゼオライト本体中の(バインダー)により実質的に生成されないという利益に加えて、無バインダーゼオライトを使用することは水/反応停止剤を除去するための物質の質量当りの増大された容量を与え得る。使用し得る無バインダーゼオライトの例はゼオケム・プルモル(登録商標)3ST 及びゼオケム・プルモル(登録商標)3STHである。
望ましくは、本発明の吸着剤床が2種より多い吸着剤を含んでもよい。或る実施態様において、吸着剤床が上記された少なくとも2種の吸着剤に加えてアルミナ吸着剤を含んでもよい。アルミナ吸着剤は焼成アルミナ、低ソーダアルミナ、反応性アルミナ、管状アルミナ、溶融アルミナ、高純度アルミナ、遷移金属置換アルミナ、シリカ/アルミナ、及びこれらの混合物から選ばれてもよい。アルミナは特に水及び/又はC1-C6 含酸素化合物を吸着するためにモレキュラーシーブとともに使用されてもよく、又はモレキュラーシーブに代えて使用し得る。有益なアルミナ吸着剤の市販例はセレクスソーブTM(BASF)である。
【0015】
ハイブリッド吸着剤に代えて、又はこのような吸着剤に加えて、床中に存在してもよい吸着剤物質の別の型は、シリカであり、その市販例はパールカットTM(BASF)である。シリカ吸着剤は溶融石英、結晶シリカ、溶融シリカ、コロイドシリカ、シリカゲル、エーロゲル、遷移金属置換シリカ、高純度シリカ、及びこれらの混合物から選ばれてもよい。
2種の吸着剤の少なくとも一種、好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、又はゼオライト吸着剤が固体であり、かつ50又は80又は120 又は150 又は200 又は250又は300 又は350 m2/gから400 又は500 又は600 又は800 又は1000m2/gの範囲内の表面積を有し、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。例えば、バインダーを含み、かつ約250 〜600 m2/g、又は約300 〜500 m2/g、又は約350 〜約450 m2/gの表面積を有するゼオライト吸着剤(例えば、ゼオライト吸着剤の質量を基準として、2-10質量%のゼオライトと残部のバインダー)が使用されてもよい。約80〜400 m2/g、又は約100 〜約350 m2/g、又は約120 〜約300m2/gの表面積を有する無バインダーゼオライト吸着剤(例えば、ゼオライト吸着剤の質量を基準として、10質量%未満のバインダー、又は5質量%バインダー、又は2質量%未満のバインダー)が使用されてもよい。
2種の吸着剤の少なくとも一種が固体であってもよく、0.2 又は0.4 又は0.6 ml/gから0.88又は1.0 又は1.4 又は1.6 又は2.0 ml/gまでの範囲内の平均孔体積を有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。これらの如き望ましいアルミナ又はシリカモレキュラーシーブが12又は20又は30Åから40又は50又は60又は80Åまでの範囲内の孔サイズを有してもよく、この場合、望ましい範囲はいずれかの下限からいずれかの上限までの範囲を含んでもよい。
【0016】
本明細書に記載された吸着剤は、単独で、又は好ましくは組み合わせて、全ての有機含酸素化合物を除去するが、本発明の循環流は吸着剤床との接触の前に、特にC9及びC18含酸素化合物、又はC10 及びC19 含酸素化合物の一種以上を含む。望ましくは、循環流が処理された循環流よりも50又は65質量%多いC4-C40含酸素化合物、最も好ましくはC9及びC18含酸素化合物又はC10 及びC19 含酸素化合物を有する。換言すれば、吸着剤床との接触後の循環流が10又は8又は5又は4ppm 以下のC4-C40含酸素化合物、又はC9及びC18 含酸素化合物又はC10 及びC19 含酸素化合物を含む。
本発明の特に好ましい局面において、循環流が吸着剤床と接触する場合、70又は80質量%から95又は99質量%までのC18 含酸素化合物又はC19 含酸素化合物が吸着され、10又は15又は20質量%から35又は40又は45質量%までの非共役ジエンが20℃で望ましい滞留時間後に少なくとも2種の吸着剤により吸着され、滞留時間が床中で0.1 又は1又は5又は10kg希釈剤/時間から30又は40又は50kg/時間までの範囲内であろう。また、80又は85又は90質量%から95又は99又は100 質量%までのC9含酸素化合物又はC10含酸素化合物が吸着されることが好ましい。
本発明の好ましい局面において、循環流が吸着剤床と接触する場合、70質量%から99質量%まで、又は80質量%から95質量%までのC18+m含酸素化合物が吸着され、10質量%から45質量%まで、又は15質量%から40質量%まで、又は20質量%から35質量%までの非共役ジエンが少なくとも2種の吸着剤により吸着され、この場合、mは反応停止剤中の炭素原子の数に等しい。本発明の或る局面において、80質量%から100 質量%まで、又は85質量%から99質量%まで、又は90質量%から95質量%までのC9+m含酸素化合物が吸着され、この場合、mは反応停止剤中の炭素原子の数に等しい。
重合方法、特に、循環流からの含酸素化合物及び水の除去方法、及びその方法で使用される吸着剤について本明細書に開示された種々の記述要素及び数的範囲は、本発明を記載するためにその他の記述要素及び数的範囲と組み合わせることができ、更に、所定の要素について、本明細書に記載されたいずれかの数的上限がいずれかの数的下限と組み合わせることができる。本発明の特徴が以下の非限定実施例に記載される。
【実施例】
【0017】
ガスクロマトグラフィー(GC) パーキン・エルマーTMクララス500 ガスクロマトグラフィーを使用して種々の吸着剤への選ばれた含酸素化合物及びモノマーの吸着を評価した。ガスクロマトグラフ方法を下記の表1に示す。
表1:ガスクロマトグラフ条件
【0018】
【表1】
【0019】
内部標準としてのn-ヘキサデカンとともにC9含酸素化合物及びC18 含酸素化合物の代表的なガスクロマトグラムを図1に示し、図中、ENB はエチリデンノルボルネンであり、かつVNTCは1-ビニルノルトリシクレン(ENB 異性体)である。
生成物を以下のように1H NMR及び13C NMR により特性決定した。ブルカー400 MHz アドバンスIII スペクトロメーターを使用した。サンプルを10〜15質量%の濃度で5mm のNMR 管中でクロロホルム-d(CDCl3 )に溶解し、その後にスペクトロメーターマグネットに挿入した。
13C NMR 13C NMR データを室温(20℃)で集めた。ゲーティングなしでスウェプト矩形波モジュレーションを使用する連続ブロードバンドプロトンデカップリングを用いて90度パルス、0.1 〜0.12Hzのデジタル解像を得るように調節された獲得時間、少なくとも10秒のパルス獲得遅延時間を全獲得期間中に使用した。スペクトルを時間平均で獲得して関係するシグナルを測定するのに適したシグナル対ノイズレベルを得た。データ分析の前に、CDCl3 溶媒シグナルの化学シフトを77.0 ppmにセットすることによりスペクトルを基準化した。
1H NMR 1H NMRデータを室温で集めた。45度の最大パルス幅、パルス間8秒及びシグナル平均120 過渡を使用してデータを記録した。
C9含酸素化合物の調製及び特性決定 ENB 44.6g (50 mL) 、脱イオン水100 mL及び濃HCl 2 mLの混合物を3日間にわたって撹拌しながら80℃に加熱した。HCl は水吸着性モレキュラーシーブ及び/又は特性決定し難いが、若干酸性の特徴を有する典型的なアルミニウムアルキル付加物の酸性効果を模擬するために存在する。室温に冷却した後、有機層を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液、次いで脱イオン水で洗浄した。残留C9オレフィン(ENB 及びその異性体)を最初に真空下で室温で混合物から除去した。C9含酸素化合物をケイソウ土を使用する蒸留(50℃/<1mm)により単離した。C9含酸素化合物を図2aに示されるように1H NMRにより、また図2b(C-H 相関NMR )、図2c(C-13 NMR)、及び図2d(C-13 NMR DEPT )に示されるように13C NMRにより特性決定した。
【0020】
C18 含酸素化合物の調製及び特性決定 ENB 150g及びYゼオライト(ゼオライトCBV-712 )15g の混合物を3日間にわたって撹拌しながら60℃に加熱した。室温に冷却した後、その混合物をヘキサンで希釈し、濾過した。ヘキサン及びC9オレフィン(ENB 及びVNTC)を最初に真空下で室温でその混合物から除去した。ケイソウ土を使用して残っている混合物を分離してC18 含酸素化合物27.1g を得た(140 ℃/1mm)。C18 含酸素化合物を図3aに示されるように1H NMRにより、また図3b(C-H 相関NMR )、図3c(C-13 NMR)、及び図3d(C-13 NMR DEPT )に示されるように13C NMRにより特性決定した。
吸着剤の調製 吸着剤として試験される全ての物質を窒素パージを備えたマッフル炉中で250 ℃で一夜乾燥させた。乾燥吸着剤を熱い間に炉から除去し、真空下で冷却し、次いで窒素充満ボックス内で貯蔵した。使用した吸着剤を表2に記載する。
表2:吸着剤の性質
【0021】
【表2】
【0022】
実施例1:室温で30分にわたるC9含酸素化合物及びC18 含酸素化合物の吸着
既知の量のENB (エチリデンノルボルネン)、C9含酸素化合物、C18 含酸素化合物、及びn-ヘキサデカンを無水イソヘキサンに添加することにより含酸素化合物溶液を調製した。実施例で使用したENB をアルドリッチ・ケミカル社から購入し、又はJX日本化学テキサス社から得た。無水イソヘキサンをアルドリッチから購入し、更に3Aモレキュラーシーブで乾燥させた。その溶液をGCにより分析して前吸着クロマトグラムを得た。
吸着剤を含む乾燥ガラスバイアルに乾燥イソヘキサン中の910ppmのC9含酸素化合物、910ppmのC18 含酸素化合物、及び760ppmのヘキサデカンを含む含酸素化合物溶液を添加した。そのバイアルを窒素雰囲気下でキャップし、その混合物を室温で30分撹拌した。その溶液をGCにより分析して後吸着クロマトグラムを作成した。前吸着クロマトグラム及び後吸着クロマトグラムを比較し、吸着されたC9及びC18 含酸素化合物の%を計算し、表3に記録した。
表3:室温で30分にわたる含酸素化合物の吸着
【0023】
【表3】
【0024】
実施例2:室温で4時間にわたっての多量の含酸素化合物の吸着
既知の量のENB 、C9含酸素化合物、C18 含酸素化合物及びn-ヘキサデカンを無水イソヘキサンに添加することにより含酸素化合物溶液を調製した。無水イソヘキサンをアルドリッチから購入し、更に3Aモレキュラーシーブで乾燥させた。その溶液をGCにより分析した。
特定量の吸着剤を含む乾燥ガラスバイアルに乾燥イソヘキサン中の910ppmのC9含酸素化合物、910ppmのC18 含酸素化合物及び760ppmのヘキサデカンを含む既知の量の含酸素化合物溶液を添加した。そのバイアルを窒素雰囲気下でキャップし、その混合物を室温で4時間撹拌した。その溶液をGCにより分析し、吸着剤との接触前の溶液と比較し、そのデータが表4中にある。
表4:4時間にわたっての含酸素化合物の吸着
【0025】
【表4】
【0026】
実施例3:室温で24時間にわたってのENB の存在下でのC9含酸素化合物及びC18 含酸素化合物の吸着
既知の量のENB 、C9含酸素化合物、C18 含酸素化合物、及びn-ヘキサデカンを無水イソヘキサンに添加することにより含酸素化合物溶液を調製した。無水イソヘキサンをアルドリッチから購入し、更に3Aモレキュラーシーブで乾燥させた。その溶液をGCにより分析した。
特定量の吸着剤を含む乾燥ガラスバイアルに乾燥イソヘキサン中の5369 ppmのENB、4394 ppmのC9含酸素化合物、1744 ppmのC18 含酸素化合物、及び5270 ppmのヘキサデカンを含む既知の量の含酸素化合物溶液を添加した。そのバイアルを窒素雰囲気下でキャップし、その混合物を室温で24時間撹拌した。その溶液をGCにより分析し、表5に示されるように、吸着剤との接触前の溶液と比較した。
表5:24時間にわたっての含酸素化合物の吸着
【0027】
【表5】
【0028】
実施例4:室温で24時間にわたるENB の存在下でのC9含酸素化合物及びC18 含酸素化合物の吸着
既知の量のENB 、C9含酸素化合物、C18 含酸素化合物、及びn-ヘキサデカンを無水イソヘキサンに添加することにより含酸素化合物溶液を調製した。無水イソヘキサンをアルドリッチから購入し、更に3Aモレキュラーシーブで乾燥させた。その溶液をGCにより分析した。
特定量の吸着剤を含む乾燥ガラスバイアルに乾燥イソヘキサン中の3468 ppmのENB、1592 ppmのC9含酸素化合物、851ppmのC18 含酸素化合物、及び1586 ppmのヘキサデカンを含む既知の量の含酸素化合物溶液を添加した。そのバイアルを窒素雰囲気下でキャップし、その混合物を室温で24時間撹拌した。その溶液をGCにより分析し、表6に示されるように、吸着剤との接触前の溶液と比較した。
表6:24時間にわたっての含酸素化合物の吸着
【0029】
【表6】
【0030】
実施例5:3Aモレキュラーシーブ上の異性化、オリゴマー化及び水和
実施例5を行なって水の除去についての異なる3Aモレキュラーシーブの有効性を示した。使用した最初の3種のモレキュラーシーブ(グレース・ダビソン・シロビード(登録商標)562CS 、ゼオケムZ3-01 、及びゼオケムZ3-02 )は球形の形態の“バインダー”を含んでいた。使用したその他の2種のモレキュラーシーブ(ゼオケム・プルモル(登録商標)3ST 及び3STH)は粉末形態で提供され、無バインダーであり、かつゼオライトのみを含んでいた。溶液を無水イソヘキサンへの既知の量のENB (約5000 ppm)及びn-ヘキサデカン(約600ppm)の添加により調製した。無水イソヘキサンをアルドリッチから購入し、使用前に3Aモレキュラーシーブで更に乾燥させた。溶液をGCにより分析したところ、ENB 及びn-ヘキサデカンに加えて約4ppmのVNTCを含んでいた。3Aモレキュラーシーブ10 gを含む乾燥ガラスバイアルにENB 溶液及び水1gを添加した。そのバイアルを窒素雰囲気下でキャップし、その混合物を室温で24時間撹拌した。その溶液をGCにより分析し、モレキュラーシーブ及び水との接触前の溶液と比較し、そのデータが表7にある。
表7
【0031】
【表7】
【0032】
普通の3A/4A/13X モレキュラーシーブは使用される方法及びバインダーに応じて異なる量の酸性度を有し得る。含酸素化合物がENB と反応停止剤(例えば、水又はメタノール)の酸触媒反応から直ぐに生成し得るので、最小の酸性度を有する吸着剤が循環流中の過剰の反応停止剤の除去に好ましい。
今、本発明の方法の種々の特徴を記載したので、下記の実施態様が本明細書に番号付きの実施態様で開示される。
【0033】
実施態様A:
(i) 循環流を用意する工程、ここで、前記循環流は反応停止剤、一種以上のC6-C12共役又は非共役ジエンモノマー及び一種以上のC1-C40含酸素化合物を含む、
(ii) 循環流の少なくとも一部を吸着剤床と接触させて処理された循環流を生成する工程、ここで前記吸着剤床は吸着剤及び/又はC1-C40含酸素化合物を除去するための少なくとも2種の吸着剤を含む、
(iii) 処理された循環流を重合触媒と接触させてポリオレフィン生成物流を生成する工程、
(iv) 前記ポリオレフィン生成物流を水、C1-C8 アルコール、及びこれらの混合物から選ばれた反応停止剤で反応停止する工程、及び
(v) 反応停止されたポリオレフィン流をポリオレフィン生成物及び循環流に分離する工程を含む重合方法。
実施態様B:
(i) ポリオレフィン生成物流を用意する工程、ここで、前記ポリオレフィン生成物流は、ポリオレフィン生成物及び未反応のモノマーを含む、
(ii) 前記ポリオレフィン生成物流を水、C1-C8 アルコール(好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、及び/又はオクタノール)、及びこれらの混合物から選ばれた反応停止剤で反応停止して、反応停止されたポリオレフィン流を生成する工程、
(iii) 反応停止されたポリオレフィン流をポリオレフィン生成物及び循環流に分離する工程、及び
(iv) 循環流の少なくとも一部を吸着剤床と接触させて処理された循環流を生成する工程、ここで前記循環流は、反応停止剤、一種以上のC6-C12共役又は非共役ジエンモノマー、及び一種以上のC1-C40含酸素化合物を含み、前記吸着剤床は、反応停止剤及び/又はC1-C40含酸素化合物を除去するための少なくとも2種の吸着剤を含むことを特徴とする重合方法。
【0034】
実施態様C:方法が(v) 処理された循環流を重合触媒と接触させてポリオレフィン生成物を生成することを更に含む、実施態様Bの方法。
実施態様D:吸着剤床を約150 ℃から約290 ℃までの範囲の温度に加熱することにより吸着剤床を再生することを更に含む、実施態様AからCのいずれか一つの方法。
実施態様E:吸着剤床を再生の前及び/又は後に熱い希釈剤洗浄にかけることを更に含む、実施態様AからDのいずれか一つの方法。
実施態様F:吸着剤床を再生の前及び/又は後に熱い窒素でスパージすることを更に含む、実施態様AからEのいずれか一つの方法。
実施態様G:エチレン又はC3-C12アルファ−オレフィンモノマーの一種以上をまた重合触媒及び非共役ジエンモノマーと接触させる、実施態様AからFのいずれか一つの方法。
実施態様H:一種以上のC6-C12非共役ジエンモノマーが2-メチル-1,4-ペンタジエン、3-メチル-1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、ノルボルナジエン、3,3-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、6-メチル-1,4-ヘプタジエン、1-ビニルシクロヘキセン、5-メチレン -2-ノルボルネン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-オクタジエン、1,7-ノナジエン、1,8-ノナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、1,8-デカジエン、1,9-デカジエン、1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロヘキサン、ジシクロペンタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、5-アリル-2-ノルボルネン、1,10-ウンデカジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、1,11-ドデカジエン、6-ブチル -1,6-オクタジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、8-メチル-1,6-ウンデカジエン、及びこれらの組み合わせから選ばれる、実施態様AからGのいずれか一つの方法。
【0035】
実施態様I:反応停止剤が水を含む、実施態様AからHのいずれか一つの方法。
実施態様J:反応停止剤がメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、又はこれらの混合物を含む、実施態様AからIのいずれか一つの方法。
実施態様K:吸着剤床が反応停止剤を除去するための少なくとも一種の吸着剤及びC1-C40含酸素化合物を除去するための少なくとも一種の吸着剤を含む、実施態様A又はJのいずれか一つの方法。
実施態様L:2種の吸着剤の少なくとも一種が固体であり、かつ50又は80又は120 又は150 又は200 又は250又は300 又は350 m2/gから400 又は500 又は600 又は800 又は1000m2/gまでの範囲内の表面積を有する、実施態様AからKのいずれか一つの方法。
実施態様M:2種の吸着剤の少なくとも一種が固体であり、かつ約250 〜約600 m2/g、又は約300 〜約500 m2/g、又は約350 〜約450 m2/gの表面積を有する、実施態様AからLのいずれか一つの方法。
実施態様N:2種の吸着剤の少なくとも一種が固体であり、かつ約80〜約400 m2/g、又は約100 〜約350 m2/g、又は約120 〜約300 m2/gの表面積を有する、実施態様AからMのいずれか一つの方法。
【0036】
実施態様O:2種の吸着剤の少なくとも一種が固体であり、かつ0.2 又は0.4 又は0.6ml/gから0.88又は1.0 又は1.4 又は1.6 又は2.0 ml/gまでの範囲内の平均孔体積を有する、実施態様AからNのいずれか一つの方法。
実施態様P:少なくとも一種の吸着剤がゼオライトモレキュラーシーブであり、かつ少なくとも一種の吸着剤がアルミナ中のハイブリッドゼオライトである、実施態様AからOのいずれか一つの方法。
実施態様Q:ゼオライトモレキュラーシーブがゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトA、ホージャサイト、モルデナイト、フェリエライト、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた物質を含む、実施態様Pの方法。
実施態様R:アルミナ中のハイブリッドゼオライトが60又は80m2/gから110 又は120 又は140 m2/gまでの範囲内の表面積及び0.30又は0.35又は0.40ml/gから0.48又は0.50又は0.54ml/gまでの範囲内の孔体積を有する、実施態様P又はQの方法。
実施態様S:ゼオライトモレキュラーシーブが無バインダーである、実施態様PからRのいずれか一つの方法。
実施態様T:ゼオライトモレキュラーシーブが10質量%未満のバインダーを含む、実施態様Sの方法。
実施態様U:アルミナ中のハイブリッドゼオライト吸着剤がC8-C40含酸素化合物、C8-C30含酸素化合物、C12-C40含酸素化合物、及びC12-C30含酸素化合物から選ばれた含酸素化合物を除去する、実施態様PからTのいずれか一つの方法。
実施態様V:アルミナ吸着剤を更に含む、実施態様PからUのいずれか一つの方法。
【0037】
実施態様W:アルミナ吸着剤が焼成アルミナ、低ソーダアルミナ、反応性アルミナ、管状アルミナ、溶融アルミナ、高純度アルミナ、遷移金属置換アルミナ、シリカ/アルミナ、及びこれらの混合物から選ばれる、実施態様Vの方法。
実施態様X:吸着剤床が少なくとも一種のシリカ吸着剤を更に含む、実施態様PからWのいずれか一つの方法。
実施態様Y:シリカ吸着剤が溶融石英、結晶シリカ、溶融シリカ、コロイドシリカ、シリカゲル、エーロゲル、遷移金属置換シリカ、高純度シリカ、及びこれらの混合物から選ばれる、実施態様Xの方法。
実施態様Z:C1-C40含酸素化合物がC1-C30含酸素化合物、C4-C40含酸素化合物、及びC4-C30含酸素化合物、C8-C40含酸素化合物、C8-C30含酸素化合物、C12-C30含酸素化合物、及びC12-C40含酸素化合物から選ばれる、実施態様AからYのいずれか一つの方法。
実施態様AA:含酸素化合物がC9及びC18含酸素化合物又はC10 及びC19 含酸素化合物である、実施態様AからZのいずれか一つの方法。
実施態様AB:循環流が吸着剤床との接触前にC9及びC18含酸素化合物又はC10 及びC19 含酸素化合物の一種以上を含む、実施態様AからAAのいずれか一つの方法。
実施態様AC:反応停止剤がCmアルコールであり、式中、mがアルコール中の炭素原子の数に等しい整数であり、かつC1-C40含酸素化合物がCm+nであり、式中、mがCmアルコールからのmであり、かつnが6から32までの整数である、実施態様AからABのいずれか一つの方法。
【0038】
実施態様AD:循環流が処理された循環流より50質量%多いC1-C40含酸素化合物を有する、実施態様AからACのいずれか一つの方法。
実施態様AE:循環流が処理された循環流より65質量%多いC4-C40含酸素化合物を有する、実施態様AからADのいずれか一つの方法。
実施態様AF:循環流が、吸着剤床との接触後に、10 ppm以下のC4-C40含酸素化合物を含む、実施態様AからAEのいずれか一つの方法。
実施態様AG:循環流が吸着剤床と接触する場合、70質量%から99質量%まで、又は80質量%から95質量%までのC18+m含酸素化合物を吸着し、10質量%から45質量%まで、又は15質量%から40質量%まで、又は20質量%から35質量%までの非共役ジエンを少なくとも2種の吸着剤により吸着し、この場合、mが反応停止剤中の炭素原子の数に等しい、実施態様AからAFのいずれか一つの方法。
実施態様AH:80質量%から100 質量%まで、又は85質量%から99質量%まで、又は90質量%から95質量%までのC9+m含酸素化合物を吸着し、この場合、mが反応停止剤中の炭素原子の数に等しい、実施態様AからAGのいずれか一つの方法。
実施態様AI:少なくとも2種の吸着剤との循環流の滞留時間が5又は8分から12又は15又は20分までの範囲内であり、又は吸着剤のそれぞれとの循環流の滞留時間が、個々に、4又は6分から10又は14又は18分までの範囲内である、実施態様AからAHのいずれか一つの方法。
実施態様AJ:含酸素化合物がC6-C12非共役ジエンモノマー、反応停止剤、及びアルミニウムアルキル付加物及び/又はゼオライトモレキュラーシーブの反応生成物である、実施態様AからAIのいずれか一つの方法。
実施態様AK:循環流が最初に水を除去するために用意された少なくとも一種の吸着剤と接触し、続いて水を除去された循環流がC8又はC12 又はC30 又はC40 含酸素化合物を除去するために用意された少なくとも一種の別の吸着剤と接触する、実施態様AからAJのいずれか一つの方法。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕(i) ポリオレフィン生成物流を用意する工程、ここで、前記ポリオレフィン生成物流は、ポリオレフィン生成物及び未反応のモノマーを含む、
(ii) 前記ポリオレフィン生成物流を水、C1-C8 アルコール、及びこれらの混合物から選ばれた反応停止剤で反応停止して、反応停止されたポリオレフィン流を生成する工程、
(iii) 反応停止されたポリオレフィン流をポリオレフィン生成物及び循環流に分離する工程、及び
(iv) 循環流の少なくとも一部を吸着剤床と接触させて処理された循環流を生成する工程、ここで前記循環流は、反応停止剤、一種以上のC6-C12共役又は非共役ジエンモノマー、及び一種以上のC1-C40含酸素化合物を含み、前記吸着剤床は、反応停止剤及び/又はC1-C40含酸素化合物を除去するための少なくとも2種の吸着剤を含むことを特徴とする重合方法。
〔2〕吸着剤床が水を除去するための少なくとも一種の吸着剤及びC8-C40含酸素化合物を除去するための少なくとも一種のその他の吸着剤を含む、前記〔1〕記載の方法。
〔3〕少なくとも一種の吸着剤がゼオライトモレキュラーシーブであり、かつ少なくとも一種の吸着剤がアルミナ中のハイブリッドゼオライトである、前記〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕アルミナ中のハイブリッドゼオライト吸着剤がC8-C40含酸素化合物を除去する、前記〔3〕記載の方法。
〔5〕吸着剤床が更にアルミナ吸着剤を含む、前記〔3〕又は〔4〕記載の方法。
〔6〕吸着剤床が更に少なくとも一種のシリカ吸着剤を含む、前記〔3〕から〔5〕のいずれか1項記載の方法。
〔7〕ゼオライトモレキュラーシーブがゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトA、ホージャサイト、モルデナイト、フェリエライト、及びこれらの混合物からなる群から選ばれた物質を含む、前記〔3〕から〔6〕のいずれか1項記載の方法。
〔8〕ゼオライトモレキュラーシーブが無バインダーである、前記〔3〕から〔7〕のいずれか1項記載の方法。
〔9〕一種以上のC6-C12非共役ジエンモノマーが2-メチル-1,4-ペンタジエン、3-メチル-1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘプタジエン、1,6-ヘプタジエン、ノルボルナジエン、3,3-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、6-メチル-1,4-ヘプタジエン、1-ビニルシクロヘキセン、5-メチレン -2-ノルボルネン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-オクタジエン、1,7-ノナジエン、1,8-ノナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、1,8-デカジエン、1,9-デカジエン、1,4-ジビニルシクロヘキサン、1,3-ジビニルシクロヘキサン、ジシクロペンタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、5-アリル-2-ノルボルネン、1,10-ウンデカジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、1,11-ドデカジエン、6-ブチル -1,6-オクタジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、8-メチル-1,6-ウンデカジエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、前記〔1〕から〔8〕のいずれか1項記載の方法。
〔10〕循環流が吸着剤床との接触前に、C9及びC18 含酸素化合物の一種以上を含む、前記〔1〕から〔9〕のいずれか1項記載の方法。
〔11〕循環流が処理された循環流より50質量%多いC4-C40含酸素化合物を有する、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項記載の方法。
〔12〕循環流が処理された循環流より65質量%多いC4-C40含酸素化合物を有する、前記〔1〕から〔11〕のいずれか1項記載の方法。
〔13〕反応停止剤が水であり、かつ含酸素化合物がC9及びC18 含酸素化合物である、前記〔1〕から〔12〕のいずれか1項記載の方法。
〔14〕反応停止剤がCmアルコールであり、式中、mがアルコール中の炭素原子の数に等しい整数であり、かつC1-C40含酸素化合物がCm+nであり、式中、mがCmアルコールからのmであり、かつnが6から32までの整数である、前記〔1〕記載の方法。
〔15〕循環流が、吸着剤床との接触後に、10 ppm以下のC4-C40含酸素化合物を含む、前記〔1〕から〔14〕のいずれか1項記載の方法。
〔16〕吸着剤床を約150 ℃から約290 ℃までの範囲の温度に加熱することにより吸着剤床を再生することを更に含む、前記〔1〕から〔15〕のいずれか1項記載の方法。
〔17〕吸着剤床を再生の前及び/又は後に熱い希釈剤洗浄にかけることを更に含む、前記〔1〕から〔16〕のいずれか1項記載の方法。
〔18〕吸着剤床を再生の前及び/又は後に熱い窒素でスパージすることを更に含む、前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項記載の方法。
〔19〕循環流が吸着剤床と接触する場合に、70質量%から99質量%までのC18含酸素化合物を吸着し、10質量%から45質量%までの非共役ジエンを少なくとも2種の吸着剤により吸着する、前記〔1〕から〔18〕のいずれか1項記載の方法。
〔20〕吸着剤の少なくとも一種がアルミナ中のハイブリッドゼオライトであり、かつ60m2/gから140m2/gまでの範囲内の表面積及び0.30ml/gから0.54ml/gまでの範囲内の孔体積を有する、前記〔1〕から〔19〕のいずれか1項記載の方法。
〔21〕少なくとも2種の吸着剤との循環流の滞留時間が5分から20分までの範囲内である、前記〔1〕から〔20〕のいずれか1項記載の方法。
〔22〕吸着剤のそれぞれとの循環流の滞留時間が、個々に、4分から18分までの範囲内である、前記〔1〕から〔21〕のいずれか1項記載の方法。
〔23〕含酸素化合物がC6-C12非共役ジエンモノマー、反応停止剤、及びアルミニウムアルキル付加物又はゼオライトモレキュラーシーブの反応生成物である、前記〔1〕から〔22〕のいずれか1項記載の方法。
〔24〕反応停止剤が水であり、循環流が用意された少なくとも一種の吸着剤と最初に接触して水を除去し、続いて水を除去された循環流が用意された少なくとも一種のその他の吸着剤と接触してC8-C40含酸素化合物を除去する、前記〔1〕から〔23〕のいずれか1項記載の方法。
【符号の説明】
【0039】
100−吸着剤床
103−ポート
104−多孔トレー
105−導管
106、108−吸着剤
110−スクリーン
114−ポート弁
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4