(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、神経を刺激するための基材を有するマルチ電極リードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書においては、神経刺激リードのための電極構造体の様々な実施形態が開示される。
実施例1において、患者内の標的神経構造を刺激するために用いられる植え込み型刺激リード用の電極構造体は、第1軸の方向に延びる長寸法と、第1軸に概して直交して延びる短寸法とにより定義される基材を含む。また、電極は、基材に連結された複数の電極を備える。
【0005】
実施例2では、実施例1に係る電極構造体において、基材は、原位置において、植え込み型リードの遠位端に連結されるように適合される。
実施例3では、実施例1又は2に係る電極構造体において、基材は、縫合破れに抗するように構成される。
【0006】
実施例4では、実施例1〜3のいずれかに係る電極構造体において、基材要素の少なくとも一部は埋め込みメッシュを含む。
実施例5では、実施例1〜4のいずれかに係る電極構造体において、基材要素の第1面の少なくとも一部は、縫合糸の少なくとも一部を保持するように適合された一つ以上の溝を含む。
【0007】
実施例6では、実施例1〜5のいずれかに係る電極構造体において、基材は、血管の湾曲に合致するように適合された湾曲した形状を有する。
実施例7において、神経刺激リードは、近位部及び遠位部を有するリード本体と、リード本体を通って延びる第1導体と、実施例1〜6のいずれかに係る電極構造体とを備え、電極構造体はリード本体の遠位部に固定されている。
【0008】
実施例8では、実施例7に係る神経刺激リードにおいて、基材は概して矩形状の形状を有する。
実施例9では、実施例7又は8に係る神経刺激リードにおいて、基材は概して丸みを帯びた周縁部を有する。
【0009】
実施例10では、実施例7又は9に係る神経刺激リードにおいて、基材は概して楕円形状である。
実施例11では、実施例7〜10のいずれかに係る神経刺激リードにおいて、基材は、リード本体の遠位部により定義される縦軸線に概して平行な中心軸線の周りに湾曲している。
【0010】
実施例12において、神経刺激システムは、電源を備えるパルス発生器と、実施例7〜11のいずれかに係る神経刺激リードとを備え、神経刺激リードの近位部はパルス発生器に固定されている。
【0011】
実施例13では、実施例12に係る神経刺激システムにおいて、基材はメッシュを含む可撓性の材料を含む。
実施例14では、実施例13に係る神経刺激システムにおいて、メッシュは外周に近接した領域に配置される。
【0012】
実施例15では、実施例13に係る神経刺激システムにおいて、メッシュは基材の全部分にわたって均一に配置される。
実施例16では、実施例13〜15のいずれかに係る神経刺激システムにおいて、メッシュはポリエステルからなる。
【0013】
実施例17では、実施例12〜15のいずれかに係る神経刺激システムにおいて、基材は縫合糸の配置を案内する溝又は孔を含む。
実施例18では、実施例17に係る神経刺激システムにおいて、溝又は孔は、基材の少なくとも一部を横切るように延在する。
【0014】
実施例19では、実施例17又は18に係る神経刺激システムにおいて、溝又は孔は、基材の近位部及び遠位部のうちの一方、又はそれらの組み合わせを横切るように延在する。
【0015】
実施例20では、実施例12〜19のいずれかに係る神経刺激システムにおいて、基材の長寸法は、約12mm〜約16mmの範囲である。
複数の実施形態が開示されているが、本発明の例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明から、本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明は、本質的に例示であって制限的なものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】幾つかの実施形態に係る神経刺激システムの概略図。
【
図2A】幾つかの実施形態に係る
図1の神経刺激システムにおける神経刺激リードの一部を示す概略正面図。
【
図2B】幾つかの実施形態に係る
図1の神経刺激システムにおける神経刺激リードの一部を示す概略側面図。
【
図2C】幾つかの実施形態に係る
図1の神経刺激システムにおける神経刺激リードの一部を示す概略背面図。
【
図4】幾つかの実施形態に係る
図2A〜
図2Cの神経刺激リード用の電極構造体を示す正面図。
【
図5】幾つかの実施形態に係る
図4の電極構造体を示し、その電極構造体の内部を示す正面図。
【
図6】幾つかの実施形態に係る
図4の電極構造体を示し、その電極電構造内の埋め込みメッシュを示す正面図。
【
図7】幾つかの実施形態に係る電極構造体の代替の実施形態を示す正面図。
【
図8】幾つかの実施形態に係る電極構造体の実施形態を示し、縫合糸の配置に使用される形体を示す概略図。
【
図9】幾つかの実施形態に係る電極構造体の実施形態を示し、縫合糸の配置に使用される形体を示す概略図。
【
図10】幾つかの実施形態に係る電極構造体の実施形態を示し、縫合糸の配置に使用される形体を示す概略図。
【
図11】幾つかの実施形態に係る電極構造体の実施形態を示し、縫合糸の配置に使用される形体を示す概略図。
【
図12】幾つかの実施形態に係る電極構造体を示す上面図。
【
図13】幾つかの実施形態に係る電極構造体を示す上面図。
【0017】
本発明は様々な変更物および代替の形態に修正可能であるが、特定の実施形態が図面に例として示され、かつ以下に詳細に説明される。しかしながら、その意図は本発明を記載された特定の実施形態に限定するものではない。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に入るすべての変更物、均等物、および代替物を網羅することを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、患者の神経系の領域を刺激するためのシステム2を示す概略図である。一実施形態において、システム2は高血圧症などの心臓の異常を治療するために頚動脈洞の圧受容器を刺激するのに特に有効であることが可能である。
【0019】
図1に示されるように、システム2は、神経刺激リード18及び植え込み型パルス発生器22を含む。
図1にさらに示されるように、神経刺激リード18は、電極構造体26及びリード本体34を含む。幾つかの実施形態において、本明細書でより詳細に説明するように、神経刺激リード18及び電極構造体26は協働して刺激電極アセンブリを形成する。図示の実施形態において、神経刺激リード18は、電源又はバッテリ28を含むパルス発生器22に連結されている。さらに、電極構造体26は、患者内の植え込み位置に配置されている。一実施形態において、植え込み位置は、頚動脈洞圧受容器の選択的な刺激のために、頚動脈洞上の位置又は頚動脈洞に隣接した位置である。
【0020】
本明細書でさらに説明されるように、幾つかの実施形態において、神経刺激リード18及び電極構造体26は、植え込み過程において原位置にて互いに連結される別体の要素として設けられることが可能である。代替的に、幾つかの実施形態において、神経刺激リード18及び電極構造体26は、神経刺激リード18が電極構造体26上の電極に電気的に接続された導電体を収容することによる単一の要素であることが可能である。
【0021】
幾つかの実施形態において、リード本体34は細長く、可撓性であり、かつ生体適合性の電気絶縁材料で作られる。また、リード本体34は、コネクタ(図示せず)を介してパルス発生器22に連結された近位端38を含む。幾つかの実施形態において、リード本体34は、患者の動きを許容するために概して可撓性である。幾つかの実施形態において、リード本体34は、外科的移植のためにリード本体34を強固にするため、ガイドワイヤ又はスタイレット等のガイド部材を受容する一つ以上のガイド内腔を含むことが可能である。
【0022】
様々な実施形態によれば、神経刺激リード18は、リード本体34内において近位端38から電極構造体26に向けた方向に延びる個々のワイヤ、コイル、又はケーブルを含む複数の導体(図示せず)を含むことが可能である。複数の導体は、シリコーン、ポリウレタン、エチレンテトラフルオロエチレン、又は他の生体適合性の絶縁ポリマーなどの絶縁体により絶縁することが可能である。例示的な一実施形態において、複数の導体は、コラジアル(co−radial)デザインを有する。幾つかの実施形態において、各導体は個別に絶縁され、単一のコイルを形成するように共に並行して巻かれる。別の例示的な実施形態において、複数の導体は、同軸、非コラジアル(non−co−radial)の構成を有する。幾つかの実施形態において、個々の導体は、単一フィラーコイルの導体又はマルチフィラーコイルの導体であり得る。さらに別の実施形態において、一つ以上の導体は、それぞれがリード本体34の前述の内腔の一つに通された撚りケーブル導体である。要するに、様々な実施形態は、神経刺激リード18の特定の導体構成に限定されるものではない。
【0023】
幾つかの実施形態において、電極構造体26は、頚動脈洞圧受容器などの標的神経を効果的に刺激することができる、幾つかの適切な形状を有することが可能である。
図1に示される実施形態において、電極構造体26は、患者の体内に植え込まれて組み立てられた後、植え込み部位の一部又は全体を取り囲む又は取り巻くことができる概して湾曲した形状を有している。図示の実施形態において、電極構造体26は、植え込み部位の周囲を完全に包むように構成され得る。しかし、代替の実施形態において、電極構造体26は、植え込み部位の周囲の一部のみを包むように構成され得る。
【0024】
図2A〜
図2Cは、幾つかの実施形態に係る電極構造体26の概略正面図、概略側面図、概略背面図をそれぞれ示す。
図2Aに示すように、電極構造体は基材44及び一対の電極50,51を含む。幾つかの実施形態において、電極構造体26は2つの電極50,51よりも多い電極を含み得る。さらに示されるように、幾つかの実施形態において、電極構造体26は、リード本体34の遠位端42から延びるか、又は遠位端42と一体的に連結されている(
図1参照)。
【0025】
図2A〜
図2Cに示すように、基材44は、第1面52と、反対側の第2面54と、第1面52及び第2面54の間に延びる複数の側部56とを有する。また、電極構造体26は遠位部45及び近位部46を有する。
【0026】
幾つかの実施形態において、電極50,51は、基材44の第1面52上に配置され、かつ/または基材44の少なくとも一部に配置される。幾つかの実施形態において、電極50,51は、基材44の第1面52に対して平坦に配置され得る。他の実施形態において、電極50,51は、基材44の第1面52から突出し得る。幾つかの実施形態において、電極50,51は、第1面52から基材44内に凹設され得る。
【0027】
各電極50,51は、組織を刺激するために所望の部位にエネルギーを供給することが可能な任意の適切な大きさであり得る。幾つかの実施形態において、電極50,51は、ステムを備えた円盤状のキャップ形状を含む円盤形状であることが可能である。例えば、各電極50,51の頭部は、約0.5mmから3mmの間の範囲の円の直径を有し得る。円盤状の電極50,51の適切な直径は、例えば、2mmである。他の実施形態において、電極50,51は螺旋状に形成でき、可撓性のリボンから形成でき、又は円筒状に形成され得る。他の実施形態において、電極50,51は、ロッドに取り付けられた球状(ボール状)の先端部であり得る。
【0028】
幾つかの実施形態において、電極構造体26の基材44は、可撓性で電気絶縁性の材料から形成することが可能である。基材44に使用され得る適切なポリマーとしては、例えば、シリコーン、ポリウレタン、ポリシロキサンウレタン、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸PTFE(ePTFE)、延伸超高分子量ポリエチレン(eUHMWPE)、及びポリイソブチレン系ポリウレタン(PIB PU)が挙げられるが、その他も考えられる。
【0029】
電極50,51のための適切な材料としては、例えば、白金、チタン、白金系合金、又は白金イリジウムなどの導電材料が挙げられる。幾つかの実施形態において、電極50,51は、導電材料上に設けられたコーティングを含むことが可能である。適切なコーティングは、例えば、イリジウム、酸化イリジウム、白金グレー、窒化チタン、及び白金ブラックを含む。
【0030】
幾つかの実施形態において、電極50,51の露出した面の少なくとも一部は、電極50,51の表面積を増大させるための形体を含み得る。表面積を増大させる形体の例としては、例えば、溝、窪み、テクスチャリング、又は他の類似の形体を含む。
【0031】
図3A〜
図3Cは、電極構造体26の様々な例示的な構成を示す概略正面図である。
図3A〜
図3Cに示すように、電極構造体26は、概して矩形状、楕円状、又は円形であり得る。幾つかの実施形態において、電極構造体26の基材44は、厚さT、幅W、及び全長L1で定義される平坦な矩形状又は楕円状の形状を有することが可能である(
図2A〜
図2C参照)。他の実施形態において、電極構造体26は異なる形状、例えば
図3Cに示されるように、直径及び厚さによって定義される円形の形状を有し得る。基材44が神経刺激植え込みに適した他の様々な形状を有し得ることが、当業者により考えられ得る。幾つかの実施形態において、電極構造体26を形成する材料は、均一または不均一な断面厚さを有し得る。
【0032】
図4は、幅W及び全長L1で定義される平坦な楕円形状を有する例示的な電極構造体26を示す。電極構造体26の適切な寸法は、医師がより容易に縫合できるようにし、又は別の面では、医師が電極構造体26を頚動脈洞により容易に連結できるようにする。幾つかの実施形態において、電極構造体26の寸法は、約13mm〜18mmの範囲の全長(L1)と、約8mm〜10mmの範囲の幅と、約0.01mm〜1mmの範囲の厚さとを含み得る。例えば、電極構造体26は、13mmの長さL1と、8mmの幅Wと、0.5mmの厚さTとを有し得る。
【0033】
電極構造体26の全長L1及び幅Wは、電極構造体26における縫合糸を配置するために利用可能な領域に影響を与え得る。例えば、13mmの長さL1及び8mmの幅Wを有する電極構造体26は、電極構造体26の外周から約3mm以内に縫合され得る。他の実施例において、15mmの長さ及び10mmの幅を有する電極構造体26は、電極構造体26の外周から約4mm以内に縫合され得る。
【0034】
図5は、電極構造体26を示し、一対の電極50,51を一対の導体(図示せず)に連結するように適合された基材44の内部65を示す概略図である。幾つかの実施形態において、内部65はまた、その一対の導体をリード本体の遠位端42に連結し得る。
図5に示されるように、内部65は、一対の開口部58,59と、空洞62と、各開口部58,59を空洞62に接続する一対の経路60,61とを含み得る。
【0035】
図4及び
図5に示すように、幾つかの実施形態によれば、基材44の第1面52は、電極50,51に連結するように適合された一対の開口部58,59を含み得る。幾つかの実施形態において、開口部58は、電極50を部分的に、又は完全に受容する大きさにされ得る。例えば、各開口部58,59は、電極50の少なくとも一部、例えば、電極50のステム部を受容する直径D2を有し得るか、さもなければそのような大きさにされ得る。
【0036】
電極50,51は、電極50の感知能力が隣接する電極51の影響を受けないように、適切な距離だけ互いに離間され得る。幾つかの実施形態において、第1電極50から第2電極51の間における縁部同士の間隔L2(
図4参照)、例えば、電極同士の間隔は、約1mm〜5mmの範囲である。例えば、幾つかの実施形態において、電極同士の適切な間隔L2は3mmである。
【0037】
幾つかの実施形態によれば、基材44の内部65は、複数のケーブル(図示せず)及び複数のコイルの少なくとも一方を基材44内に配置させて且つ電極50,51に連結することができるように適合された複数の経路60,61を含み得る。幾つかの実施形態において、内部65の少なくとも一部、例えば、一対の経路60,61は、基材44の第1及び第2面52,54及び複数の側部56(
図2B)の間で取り囲まれ得る。他の実施形態において、内部65の少なくとも一部は、基材44の一つ以上の外面に接続し得る。例えば、空洞62は基材44の側部56に接続し、側部56に開口を形成し得る。
【0038】
経路60,61は、第1及び第2経路60,61内のケーブルが互いに干渉しないように適切な距離だけ互いに離間されることができ、かつ適切な電極50,51に連結され得る。幾つかの実施形態において、第1経路60は、第2経路61から少なくとも0.25mmの距離だけ離間され得る。例えば、幾つかの実施形態において、第1経路60は、第2経路61から約0.5mm及び1mmの間の範囲の距離だけ離間され得る。
【0039】
幾つかの実施形態において、基材44の内部65は、導体及びリード本体の遠位端42の少なくとも一方を受容するように適合された空洞62を含み得る。空洞62は、導体と、リード導体を被覆する二管腔シース等のチューブの少なくとも一部とのうちの少なくとも一方を受容するように適合された、概して筒形状の領域であり得る。
図5に示すように、空洞62は、ケーブルを被覆するチューブの一部を基材44内に配置することを可能にする。
【0040】
幾つかの実施形態においては、ケーブル及びシースを電極構造体26の基材44に接着するために、空洞62内に接着剤が分配され得る。また、複数のケーブル及び複数のコイルの少なくとも一方は、電極50,51にはんだ付けされるか、接着結合されるか、又は他の一般的に知られている接合技術により電極50,51に接合され得る。
【0041】
図6に示すように、幾つかの実施形態において、基材44の少なくとも一部は、埋め込みメッシュ64を含む可撓性の材料を含み得る。例えば、基材44は埋め込みメッシュ64を含むシリコーン材料を含み得る。
図6に示すように、幾つかの実施形態において、メッシュ64は、外周に近接した領域などの基材44の一部の内部に配置され得る。他の実施形態において、メッシュ64は、基材44の全部分にわたって均一に配置され得る。幾つかの実施形態において、埋め込みメッシュ64に適した材料としては、ポリエステル又は植え込み型の製品に一般的に使用される他の材料が挙げられる。メッシュは、基材が血管などの解剖学的構造物上に縫合されるときに、基材の破れを最小限にし得るか、又はその基材の破れを防止することを助け得る。
【0042】
幾つかの実施形態において、埋め込みメッシュ64は、基材44の潜在的な破れを最小限にしつつ縫合を適応させる繊維構造を含む。幾つかの実施形態において、メッシュ64は、無作為に並べられた複数の繊維を含み得る。他の実施形態において、メッシュ64は、繰り返しパターン又は繰り返し配置に配向された複数の繊維を含み得る。幾つかの実施形態において、埋め込みメッシュ64は、強固に織られた複数の繊維を含み得る。他の実施形態において、メッシュ64は、所定の繊維が一つ以上の隣接する繊維から適切な長さの間隔だけ離間した、複数の離間した繊維を含み得る。
【0043】
幾つかの実施形態において、基材44の外周は、基材44に生じる破れの伝播を最小限にするように構造的に適合され得る。
図7に示すように、代替的な実施形態の電極構造体27は、リッジ構造又はリップ構造とも述べられる、隆起した外側リム66を有する基材44により形成され得る。幾つかの実施形態において、外側リム66は、縫合時の破れを最小限にするために外周に沿って基材44の厚さを増加させ得る。
【0044】
図8〜
図11は、装置の植え込み時に縫合糸の配置を案内するように適合された基材44の溝又は貫通孔68の様々な実施形態を示す。幾つかの実施形態において、電極構造体26の基材44は、第1面52の少なくとも一部に沿って延びて窪み又は凹部とも述べられる一つ以上の溝68を含み得る。幾つかの実施形態において、一つ以上の溝68は、縫合糸を各溝68内に部分的に又は完全に固定できるように適合される。
【0045】
代替的に、幾つかの実施形態において、基材44は、その基材44内に、縫合糸を受容するように適合された貫通孔68を含み得る。例えば、1つ以上の貫通孔68が、基材44の少なくとも一部を、第1面52及び第2面54の間の領域内において第1側部56から第2側部56まで横切るように延在し得る。
【0046】
図8〜
図10に示すように、幾つかの実施形態において、一つ以上の溝又は貫通孔68は、例えば経路60,61や空洞62などの内部空洞に隣接する、基材44の少なくとも一部を横切るように延在し得る。幾つかの実施形態によれば、溝又は貫通孔68は、
図2Aに示される基材の部分、例えば近位部46、遠位部45、又は基材44の両部を横切るように延在し得る。代替的には、
図11に示すように、幾つかの実施形態において、溝又は貫通孔68は基材44における内部空洞と重なる部分を横切るように延在し得る。このような溝又は貫通孔68は、溝又は貫通孔68が基材44の内部空洞と接続しないように内部空洞に表在する平面上に延在するように、例えば、異なる平面上に延在するように適合される。縫合糸の適切な配置は、電極50,51(
図2A、
図3A〜
図3C、
図4、
図6、及び
図7)を、血管壁又は頚動脈洞圧受容器などの解剖学的な標的の近くに配置することを可能にし得る。
【0047】
図12及び
図13は、幾つかの実施形態に係る電極構造体26の上面図を示し、直線的な形状の電極構造体と、湾曲した形状の電極構造体とをそれぞれ示す。これらの図に示されるように、電極構造体26の基材44は、血管壁の湾曲した輪郭を補完する湾曲した輪郭を含むように適合され得る。例えば、
図13に示すように、基材44はC字状に形成され得る。幾つかの実施形態において、基材44の曲率直径は約5mm〜15mmの範囲であり得る。例えば、電極構造体26を約10mmの直径を有する内部頚動脈に連結するとき、電極構造体26の曲率は、約8mm〜12mmの範囲であり得る。
【0048】
電極構造体26は、2つ以上の電極50,51(
図2A、
図3A〜
図3C、
図4、
図6、及び
図7)を血管、例えば頚動脈洞に近接して位置付ける連結手段としての役目を果たす。2つ以上の電極50,51を有する電極構造体26に連結された神経刺激リード18を含む頚動脈洞刺激システムは、シミュレートされるべき領域の改良された識別を提供し得る。少なくとも2つの電極50,51を有する電極構造体26は、刺激のための一つより多いベクトルを可能にし得る。少なくとも2つの電極50,51を有する電極構造体26は、不必要な外来の刺激に対する閾値を増加させることによって、より大きなエネルギーの送達を可能にし得る。
【0049】
<例1>
本発明は、以下の例により具体的に記載されるが、本発明の範囲内において多数の変更および変形が当業者にとっては明らかであるため、以下の例は例示としてのみ意図される。
【0050】
電極構造体の試作品のサンプルが、人体モデル及び死体の頚動脈洞血管を用いた前臨床研究に基づき、適切な長さL1を決定するために評価された。
異なる全長L1を有する4つの試験グループのための電極構造体の試作品サンプルが作成された。各試験グループは、3つのサンプルサイズを有する。この研究の試作品は、3Dプリンターを使用して作成され、標準的な3Dプリンティング材料により作られた。
【0051】
グループA1〜A4を含む4つの試験グループは、異なる体長L1を有するように作成された。以下の表1に示すように、各試験グループのサンプルの全長L1は、第1及び第2電極の縁部同士の間の距離L2と、各電極の縁部と本体部の外周の縁部との間における縦軸線X1(
図4参照)に沿った距離L3とを変化させることにより調整された。全てのサンプルにおける定数として前提とされる寸法は、2mmの電極直径D1である。
【0052】
【表1】
各サンプルは、獣医によって人の死体の頚動脈洞に縫合され(
図14参照)、技術者によって主観的に評価された。グループA1及びA3は、人間の頚動脈洞の縫合に適合する適切な長さL1を有していると評価された。その一方、グループA2及びA4は、大きすぎる長さL1を有し、頚動脈洞の縫合に適合しないと評価された。この研究の結果は、電極構造体の適切な長さは約12mm〜13mmの範囲であることを示唆している。
【0053】
<例2>
本発明は、以下の例により具体的に記載されるが、本発明の範囲内において多数の変更および変形が当業者にとっては明らかであるため、以下の例は例示としてのみ意図される。
【0054】
電極構造体本体の試作品のサンプルが、人体モデル及び死体の頚動脈洞血管を用いた前臨床研究に基づき、適切な寸法を決定するために評価された。
グループB1〜B3を含む3つの試験グループのサンプルが、シリコーン材料を用いて作成された。3つのサンプルサイズが、各試験グループに用いられた。
【0055】
表2及び
図15に示すように、試験グループB1〜B3は、異なる体長L1及び幅Wを有するように作成された。各試験グループのサンプルの全長L1は、第1及び第2電極の縁部同士の間の距離L2と、各電極の縁部と本体部の外周の縁部との間における縦軸線X1(
図4参照)に沿った距離L3とを変化させることにより調整された。全ての試験グループのサンプルにおける定数として、2mmの電極直径D1が前提とされた。
【0056】
【表2】
各サンプルは、外科医によって人の死体の頚動脈洞に縫合され、外科医および技術者によって主観的に評価された。グループB1は、人間の頚動脈洞への血管縫合に適していると評価された。しかし、グループB2及びB3は、大きすぎて頚動脈洞縫合に不適当であると評価された。これらの結果に基づくと、約12mmの長さと、約8mmの幅とを有する電極構造体本体が、人間の頚動脈洞を標的とする電極構造体本体の適切な寸法であろう。
【0057】
本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び追加が前述の例示的な実施形態に対して行うことが可能である。例えば、上述の実施形態は特定の特徴を参照するが、本発明の範囲は、異なる特徴の組み合わせを有する実施形態と、記載された特徴の全てを含まない実施形態とを含む。従って、本発明の範囲は、その全ての均等物と共に、特許請求の範囲に属する全ての代替物、修正物、および変形物を包含することを意図する。