特許第6131399号(P6131399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6131399脊椎インプラント装置およびそれを埋め込み使用する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131399
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】脊椎インプラント装置およびそれを埋め込み使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
   A61F2/44
【請求項の数】21
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-544860(P2013-544860)
(86)(22)【出願日】2011年12月17日
(65)【公表番号】特表2014-505522(P2014-505522A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】US2011065694
(87)【国際公開番号】WO2012083287
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年12月17日
(31)【優先権主張番号】12/971,620
(32)【優先日】2010年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515024645
【氏名又は名称】スパイナル・ユーエスエー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エム・アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・アマローサ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・レザーマン
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−033091(JP,A)
【文献】 特表2008−520383(JP,A)
【文献】 特表2007−501076(JP,A)
【文献】 特表2010−526592(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/030307(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0249842(US,A1)
【文献】 特表2009−513287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舌状部を備える摺動部分と、
前記舌状部を受けるようになされているスロットを備える非摺動部分と
を備え、
前記舌状部が前記スロット内に摺動可能にかつ回転可能に位置決めされ
前記非摺動部分が回転楔を備える、
調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項2】
締め付けネジを内部に受けるようになされているネジ穴が前記非摺動部分に設けられる請求項1に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項3】
前記締め付けネジは、前記摺動部分および前記非摺動部分の互いに対する回転のための軸を規定する請求項2に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項4】
前記舌状部内に位置付けられた摺動トラックが前記締め付けネジを受けるようになされている請求項2に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項5】
人工棘突起を更に備える請求項1に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項6】
前記人工棘突起に位置付けされた少なくとも1つの軟組織取り付け穴を更に備える請求項5に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項7】
前記摺動部分および前記非摺動部分のうちの少なくとも一方の前方で骨ネジを、貫通して受けるようになされている少なくとも1つのループを更に備える請求項1に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項8】
前記摺動部分および前記非摺動部分のうちの少なくとも一方の前方でカムネジを、貫通して受けるようになされている少なくとも1つのカムネジブラケットを更に備える請求項1に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項9】
前記カムネジにはテーパ状の反り曲がり面が設けられる請求項8に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項10】
前記テーパ状の反り曲がり面が締め付け回転方向で大から小へと先細る請求項9に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項11】
前記テーパ状の反り曲がり面は、複数の統合ロッドの外周に対応する相手側である請求項9に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項12】
前記カムネジにはカム保持ピン溝が設けられる請求項8に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項13】
前記カム保持ピン溝には少なくとも1つのロックポイントが設けられる請求項12に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項14】
前記脊椎インプラントデバイスは、前/後軸の寸法が20.0mmから45.0mmの間であり、上/下軸の寸法が10.0mmから30.0mmの間であり、右/左軸の寸法が25.0mmから55.0mmの間である請求項1に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項15】
前記脊椎インプラントデバイスは、頸椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が20.0mmから30.0mmの間であり、上/下軸の寸法が10.0mmから20.0mmの間であり、右/左軸の寸法が25.0mmから35.0mmの間である請求項14に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項16】
前記脊椎インプラントデバイスは、胸椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が25.0mmから35.0mmであり、上/下軸の寸法が15.0mmから25.0mmであり、右/左軸の寸法が35.0mmから45.0mmである請求項14に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項17】
前記脊椎インプラントデバイスは、腰椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が35.0mmから45.0mmであり、上/下軸の寸法が20.0mmから30.0mmであり、右/左軸の寸法が45.0mmから55.0mmである請求項14に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項18】
前記脊椎インプラントデバイスは、脊椎の胸腰部と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が25.0mmから45.0mmの間であり、上/下軸の寸法が15.0mmから30.0mmの間であり、右/左軸の寸法が35.0mmから55.0mmの間である請求項14に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項19】
前記脊椎インプラントデバイスが少なくとも部分的にチタンから構成される請求項1に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項20】
前記脊椎インプラントデバイスが少なくとも部分的にステンレス鋼から構成される請求項1に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【請求項21】
前記脊椎インプラントデバイスが少なくとも部分的にポリエーテルエーテルケトンから構成される請求項1に記載の調整可能な脊椎インプラントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2010年12月17日に出願された米国特許出願第12/571,620号のPCT第8条(1)に基づく優先権を主張するとともに、2010年12月17日の同じ日付で米国特許商標局に対して同じ名前の発明者で出願された米国特許出願第12/571,579号に関連し、この出願の開示は参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般に、脊椎インプラントおよびそのインプラントを埋め込み使用する方法に関し、より詳細には、少なくとも棘突起に取って代わるため、および/または架橋結合として作用するための脊椎インプラント、ならびにそれに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
図1を参照すると、脊椎構造の斜視図が示されている。簡潔に述べると、脊柱100は、頸部102から始まって、胸部104、腰部106、仙骨108、そして、尾骨110で終わる5つの部分に分けられる。各主要部(頸部102、胸部104、腰部106)は、椎骨と呼ばれる個々の骨から成る。通常の脊椎形態では、7つの頸椎と、12個の胸椎と、5個の腰椎とが存在する。
【0004】
個々の椎骨は、幾つかの解剖学的特徴から成る。一般に、3つの主要部の各椎骨は同じ主要な特徴を有する。図2は胸椎200の断面図である。椎骨の本体202は、体重を支える主な領域であり、椎骨のそれぞれを分ける線維状の椎間板のための載置場所である。椎弓板208は、脊柱管、脊髄が通る椎骨の中心にある大きな開口、および脊髄神経が抜け出る神経孔を覆う。棘突起212は、人の背中に沿って下方へ手を動かすときに感じられ得る骨である。対を成す横突起204は、棘突起212に対して90度に方向付けられており、背部筋肉を付着させる。椎弓根206は、横突起204を本体202に接続する。横突起204と椎弓板208との間には上関節突起210が位置決めされる。
【0005】
多くの場合、主要な椎骨特徴のうちの1つまたは幾つかが患者の処置を達成するために除去され、例えば、椎弓切除術では、椎弓板208の少なくとも一部分が除去される。棘突起212、椎弓板208、上関節突起210、または更には横突起204の一部または全てが外科的処置で除去されるのは珍しいことではない。
【0006】
その開示が参照により本明細書に組み込まれているFallin等の特許文献1〜3は、自然椎弓板および4つの自然小関節面に取って代わる部分を備える椎骨の後部要素のための人工代替物について記載している。人工代替物は、自然棘突起および2つの自然横突起のうちの1つまたは複数に取って代わる部分を含んでもよい。必要に応じて、人工代替物が自然椎弓根に取って代わってもよい。椎骨の後部要素を置き換えるための方法も提供される。
【0007】
その開示が参照により本明細書に組み込まれているBerryの特許文献4は、1つまたは複数の切除された椎骨後部構造により残された空間内に介在するための人工デバイスについて記載している。人工デバイスは、切除された椎弓板に取って代わるための下部を有する椎弓板ブリッジと、切除された下関節突起に取って代わるために椎弓板ブリッジの下部分に接続される少なくとも1つの下小関節面置換デバイスと、切除された上関節突起に取って代わるための少なくとも1つの上小関節面置換デバイスとを備える。少なくとも1つの上小関節面置換デバイスは、少なくとも1つの下小関節面置換デバイスと関節結合する。
【0008】
その開示が参照により本明細書に組み込まれているStinson等の特許文献5は、頭椎・尾椎面関節プロテーゼおよび使用方法について記載している。頭椎プロテーゼは、頭椎の椎弓根部分をブロックすることなく椎骨の椎弓板部分に取り付けられるように適合されて構成される。幾つかの実施形態において、プロテーゼは、クランプなどの非侵襲性の支持部材と共に取り付けられる。他の実施形態では、更なる固定のために経椎弓ネジが使用されてもよい。
【0009】
その開示が参照により本明細書に組み込まれているSenegasの特許文献6は、共通の頸椎のその骨切り術後に互いに離間された2つの頸甲骨(cervical blade)に実質的に沿ってそれぞれ延びるようになされている2つのブランチと、2つのブランチを連結する硬質本体とを備える頸椎インプラントについて記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,566,345号
【特許文献2】米国特許第6,902,580号
【特許文献3】米国特許第6,419,703号
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0033434号
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0010291号
【特許文献6】国際特許出願公開第99/23963号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、インプラントを様々な個々の患者の病状および/または生体構造に適合させるために調整できる脊椎インプラントデバイスを提供することに関する。本発明の幾つかの実施形態において、インプラントは、インプラントの幅を特定の椎骨の解剖学的特徴と適合するように調整するべくインプラントの少なくとも一部分を脊柱に対して略垂直に摺動させることによって幅調整可能である。これに加えて、随意的に、および/またはこれに代えて、脊椎インプラントは、患者が台の上でうつぶせになっているときに前/後に延びる垂直軸周りでインプラントの少なくとも一部分を回転させることにより方向を調整することができる。本発明の幾つかの実施形態において、回転され得るインプラントの少なくとも一部分は、架橋結合ロッドを受け入れるため、および/または埋め込みを容易にするために使用される。随意的に、回転は、インプラントを非平行な架橋結合ロッドに取り付けるために使用される。
【0012】
本発明の例示的な実施形態において、脊椎インプラントは、人工棘突起および/または少なくとも1つの人工椎弓板のうちの少なくとも1つから構成される。本発明の一実施形態では、軟組織、例えば筋肉の付着のために、少なくとも1つの穴が人工棘突起に設けられる。
【0013】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのループが人工椎弓板の外側面に設けられる。本発明の例示的な実施形態において、少なくとも1つのループは、ネジを通すとともに、外側塊、小関節面、または椎弓根などの椎骨の一部位に対してネジを締め付けることによって脊椎インプラントを椎骨に固定するために使用される。
【0014】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、架橋結合システムと共におよび/または架橋結合システムの一部として使用されるようになっている。本発明の幾つかの例示的な実施形態では、ロッドは、統合構造または架橋結合システムのロッドである。テーパ状の反り曲がり面を備えるカムネジを使用することにより、インプラントは、反り曲がり面のテーパがロッドのサイズと適合するまでネジを回転させるだけで、それぞれの想定し得るサイズごとに異なるネジおよび/またはクランプを使用する必要なく、異なるロッドサイズ(例えば、周長)に固定され、および/または異なるロッドサイズを受け入れる。本発明の一実施形態では、「開放」位置および/または「閉塞」位置、あるいは「ロック」位置および/または「ロック解除」位置を示すために、ネジおよび/またはインプラントにマーキングが設けられる。
【0015】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、調整可能であるが、複数のサイズを成して提供される。例えば、脊椎の頸部、胸部、および腰部の間の全体サイズの違いに起因して、脊椎のこれらの3つの部分に合わせたサイズが随意的に提供され、これらのサイズは、本明細書中の他の場所に記載されるように幅を更に調整できる。本発明の幾つかの実施形態では、2つの基本的なサイズ、すなわち、胸腰部(胸部と腰部との組合せ)および頸部だけが提供される。
【0016】
本発明の更なる態様は、脊椎インプラントデバイス、および所定範囲の統合ロッドサイズと共に使用できるテーパ状の反り曲がり面を備えるカムネジのうちの少なくとも一方を含む架橋結合システムに関する。本発明の一実施形態において、脊椎インプラントには、カムネジの挿入および/または回転を内部で受け入れるための少なくとも1つのネジ穴が設けられる。作業に際して、カムネジがネジ穴内に挿入された状態では、カムネジの回転工具接続端部がネジのカム端部の反対側に位置され、それにより、担当の医療専門家が回転力を加えるために回転工具接続端部に接近することができ、一方、カム端部は、少なくとも1つの椎骨に固定される統合ロッドに近接して位置決めされる。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態では、脊椎インプラントデバイスが特定の椎骨の構造に合わせて調整可能である。随意的に、脊椎インプラントは幅を調整できる。随意的に、これに加えて、および/またはこれに代えて、脊椎インプラントは方向を調整できる。
【0018】
本発明の一実施形態において、複数の脊椎インプラントデバイスは、複数の椎骨にわたって機械的な安定性を与えるために、同じ少なくとも1つの統合ロッドに取り付けられる。随意的には、椎骨のうちの少なくとも2つが連続している。随意的には、椎骨のうちの少なくとも2つが連続していない。
【0019】
本発明の一実施形態において、デバイスは、棘突起でまたはその近傍で統合ロッドに付随するようになされている。随意的には、棘突起にあるまたはその周囲にある統合ロッドは、デバイスに取り付けられる第3の統合ロッドである。本発明の一実施形態では、例えば、ロッドを所定位置に固定するために本明細書中の他の場所に記載されるようなカムネジを棘突起に設けることによって、複数の統合ロッドサイズが受け入れられる。随意的には、ロッドをデバイスに固定するためにクランプ状の機構が使用される。随意的には、締め付けネジがロッドを固定ブラケットに押し付けて捕捉し、それによりロッドを固定する。本発明の幾つかの実施形態では、棘突起にまたはその近傍に取り付けられるロッドが、隣接するインプラント、すなわち、隣接する椎骨にあるインプラントの同じ位置に取り付けられる。随意的には、ロッドは、隣接しない椎骨上のインプラントに取り付けられる。
【0020】
本発明の更なる態様は、特定の患者の病状および/または生体構造にインプラントを適合させるべく脊椎インプラントを調整することによって脊椎インプラントを埋め込む方法に関する。随意的に、調整は、インプラントの少なくとも一部分を適合のために摺動させることを含む。随意的に、調整は、インプラントの少なくとも一部分を適合のために回転させることを含む。本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、インプラント全体を幅広くするまたは幅狭くするようにインプラントの一部分を摺動させることによって幅が調整される。本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、インプラントの少なくとも一部分をインプラントの他の部分に対して回転させることによって方向が調整される。
【0021】
本発明の一実施形態では、インプラントの摺動部分のインプラントの非摺動部分に対する摺動を制御するために、および/またはインプラントの少なくとも一部分のインプラントの他の部分に対する回転を防止するために締め付けネジが使用される。本発明の一実施形態において、摺動および/または回転の制御は、ネジが締め付けられる度合に応じて、自由な移動からロックされるまでの範囲にわたって変えることができる。本発明の一実施形態では、インプラントが椎骨に対して締め付けられる。随意的に、ネジは、インプラントを椎骨に対して直接に締め付ける。本発明の一実施形態では、ネジを外側塊、小関節面、椎弓板、および/または骨の椎弓根に配置することができる。これに加えて、随意的に、および/またはこれに代えて、インプラントが架橋結合装置に接続され、その場合、架橋結合装置が少なくとも1つの椎骨に接続される。
【0022】
本発明の更なる態様は、複数のサイズの統合ロッドのうちの少なくとも1つに対して脊椎インプラントデバイスを接続する方法に関する。本発明の一実施形態では、少なくとも1つの架橋結合ロッドが複数の椎骨に取り付けられる。随意的には、椎骨のうちの少なくとも2つが連続している。随意的には、椎骨のうちの少なくとも2つが連続していない。
【0023】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの脊椎インプラントは、摺動および/または回転を含む脊椎インプラントの調整機能を使用して、予め取り付けられた統合ロッドにわたって配置される。本発明の一実施形態では、脊椎インプラントが統合ロッドにわたって配置されるときには、脊椎インプラントに設けられるカムネジが「開放」位置にあり、その位置では、カムネジのテーパ状の反り曲がり面が未だロッドと係合されない。
【0024】
脊椎インプラントは、テーパ状の反り曲がり面がロッドと係合するようにカムネジを締め付ける(すなわち、回転させる)ことによって少なくとも1つの統合ロッドに接続される。カムネジが締め付け方向に回転されるにつれて、反り曲がり面のテーパが次第に狭くなる。したがって、ロッドと接触する反り曲がり面は、ますます小さい外周のロッドを受け入れるべく、カムネジが回転されるにつれて狭くなる。本発明の一実施形態において、カムネジは、反り曲がり面のテーパがロッドと適合してロッドがカムネジと脊椎インプラントのブラケットとの間で固定されるようになるまで回転される。随意的に、カムネジはロック位置へと回転される。
【0025】
本発明の一実施形態において、配置、締め付け、および接続は、必要に応じて、少なくとも1つの統合ロッドに取り付けられるべき脊椎インプラントの数に応じて繰り返される。
【0026】
したがって、本発明の一実施形態によれば、舌状部を備える摺動部分と、舌状部を受けるようになされているスロットを備える非摺動部分とを備え、舌状部がスロット内に摺動可能にかつ回転可能に位置決めされる、調整可能な脊椎インプラントデバイスが提供される。
【0027】
本発明の一実施形態では、締め付けネジを内部に受けるようになされているネジ穴が非摺動部分に設けられる。
【0028】
本発明の一実施形態において、締め付けネジは、摺動部分および非摺動部分の互いに対する回転のための軸を規定する。
【0029】
本発明の一実施形態では、舌状部内に位置付けされた摺動トラックが締め付けネジを受けるようになされている。
【0030】
本発明の一実施形態では、デバイスが人工棘突起を更に備える。随意的には、デバイスは、人工棘突起に位置付けされた少なくとも1つの軟組織取り付け穴を更に備える。
【0031】
本発明の一実施形態において、デバイスは、摺動部分および非摺動部分のうちの少なくとも一方の前方で骨ネジを、貫通して受けるようになされている少なくとも1つのループを更に備える。
【0032】
本発明の一実施形態において、デバイスは、摺動部分および非摺動部分のうちの少なくとも一方の前方でカムネジを、貫通して受けるようになされている少なくとも1つのカムネジブラケットを更に備える。本発明の幾つかの実施形態では、カムネジにカム保持ピン溝が設けられる。随意的には、カム保持ピン溝に少なくとも1つのロックポイントが設けられる。
【0033】
本発明の一実施形態において、カムネジにはテーパ状の反り曲がり面が設けられる。随意的には、テーパ状の反り曲がり面が締め付け回転方向で大から小へと先細る。随意的には、テーパ状の反り曲がり面は、複数の統合ロッドの外周に対応する相手側である。
【0034】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、前/後軸の寸法が20.0mmから45.0mmの間であり、上/下軸の寸法が10.0mmから30.0mmの間であり、右/左軸の寸法が25.0mmから55.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、頸椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が20.0mmから30.0mmの間であり、上/下軸の寸法が10.0mmから20.0mmの間であり、右/左軸の寸法が25.0mmから35.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、胸椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が25.0mmから35.0mmの間であり、上/下軸の寸法が15.0mmから25.0mmの間であり、右/左軸の寸法が35.0mmから45.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、腰椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が35.0mmから45.0mmの間であり、上/下軸の寸法が20.0mmから30.0mmの間であり、右/左軸の寸法が45.0mmから55.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、脊椎の胸腰部と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が25.0mmから45.0mmの間であり、上/下軸の寸法が15.0mmから30.0mmの間であり、右/左軸の寸法が35.0mmから55.0の間mmである。
【0035】
本発明の一実施形態では、インプラントが少なくとも部分的にチタンから構成される。
【0036】
本発明の一実施形態では、インプラントが少なくとも部分的にステンレス鋼から構成される。
【0037】
本発明の一実施形態では、インプラントが少なくとも部分的にポリエーテルエーテルケトンから構成される。
【0038】
また、本発明の例示的な実施形態によれば、複数の統合ロッドサイズと共に使用するようになされている架橋結合システムにおいて、少なくとも1つの統合ロッドと、脊椎インプラントの前部に位置付けられた少なくとも1つのブラケットを備える少なくとも1つの脊椎インプラントと、少なくとも1つのブラケットに挿通され、テーパ状の反り曲がり面を備える少なくとも1つのカムネジであって、反り曲がり面が複数の統合ロッドの複数の外周に対応する範囲にわたって先細る、少なくとも1つのカムネジとを備える架橋結合システムが更に提供される。
【0039】
本発明の一実施形態において、反り曲がり面は、カムネジとブラケットとの間で少なくとも1つの統合ロッドを選択的に捕捉するようになされている。
【0040】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの脊椎インプラントには、少なくとも1つの統合ロッドに対するカムネジの位置決めを補助するために互いに対して摺動できるとともに回転できる2つの部分が設けられる。
【0041】
本発明の一実施形態では、反り曲がり面のテーパが締め付け回転方向で狭くなる。
【0042】
本発明の一実施形態では、複数の統合ロッドの複数の外周長が3.3mmから5.0mmの範囲である。
【0043】
また、本発明の例示的な実施形態によれば、ロックカムネジであって、カム端部にある反り曲がり面と、カムネジのカム端部と反対側の回転工具接続端部の外周にわたって位置付けられた保持ピン溝とを備え、保持ピン溝には、少なくとも締め付け方向で保持ピンを通過させるようになされている少なくとも1つのロックポイントが設けられる、ロックカムネジが提供される。
【0044】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのロックポイントが保持ピン溝の幅狭部分である。
【0045】
本発明の一実施形態において、保持ピン溝における少なくとも1つのロックポイントの位置は、反り曲がり面を架橋結合ロッドの外周に適合させるために必要とされるカムネジの回転距離に関連する。
【0046】
本発明の一実施形態において、保持ピン溝には複数のロックポイントが設けられる。本発明の幾つかの実施形態において、複数のロックポイントのそれぞれは、反り曲がり面を架橋結合ロッドの外周に適合させるために必要とされる回転距離に対応する。
【0047】
また、本発明の例示的な実施形態によれば、脊椎インプラントを埋め込み部位に埋め込むための方法が提供され、この方法は、インプラントの少なくとも第1の部分を第2の部分に対して摺動させることおよび回転させることの少なくとも一方によって脊椎インプラントを埋め込み部位に合わせて調整するステップと、脊椎インプラントを埋め込み部位に固定するステップとを含む。
【0048】
本発明の一実施形態において、方法は、少なくとも1つの架橋結合ロッドをそれが埋め込み部位を横切るように締め付けるステップを更に含む。本発明の幾つかの実施形態において、方法は、インプラントを少なくとも1つの架橋結合ロッドに接続するステップを更に含む。
【0049】
本発明の一実施形態において、埋め込み部位は、椎弓根、小関節面、外側塊、および椎弓板のうちの少なくとも1つを含む。
【0050】
本発明の一実施形態において、方法は、摺動および回転のうちの少なくとも一方を選択的に制限するためにネジを締め付けるステップを更に含む。
【0051】
また、本発明の例示的な実施形態によれば、架橋結合構成の複数の架橋結合ロッドのうちの少なくとも1つに対して少なくとも1つの脊椎インプラントを接続するための方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの架橋結合ロッドを複数の椎骨に接続するステップと、少なくとも1つの架橋結合ロッドにわたって少なくとも1つの脊椎インプラントを配置するステップであって、脊椎インプラントに設けられるカムネジの反り曲がり面が開放位置を成して架橋結合ロッドに近接する、ステップと、反り曲がり面を有するテーパ状のカムネジを締め付けることにより、このカムネジが架橋結合ロッドと係合して架橋結合ロッドをカムネジと脊椎インプラントとの間で押さえ込むようにするステップとを含む。
【0052】
本発明の一実施形態において、方法は、更なる脊椎インプラントおよび架橋結合ロッドのために前記配置ステップと前記締め付けステップとを繰り返すステップを更に含む。
【0053】
本発明の一実施形態において、配置する前記ステップは、脊椎インプラントの少なくとも一部分の摺動および回転のうちの少なくとも一方を含む。
【0054】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つの連続する椎骨が接続される。
【0055】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つの連続しない椎骨が接続される。
【0056】
本発明の一実施形態において、方法は、カムネジの逆回転を妨げるべくカムネジをロックするステップを更に含む。
【0057】
これらの特徴および他の特徴ならびにそれらの利点は、以下の図面を伴う例示的な実施形態の詳細な説明を熟読することによって脊椎インプラントの当業者に容易に明らかになろう。
【0058】
ここで、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる一例として説明する。これに関し、図面に沿ってなされる説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るのかを当業者に明らかにする。図面は原寸に比例していない場合があることも理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】脊椎構造の斜視図である。
図2】腰椎の断面図である。
図3A】本発明の例示的な実施形態による、狭い形態の人工棘突起を有する摺動脊椎インプラントの斜視図である。
図3B】本発明の例示的な実施形態による、少なくとも部分的に開放する形態または幅広い形態の人工棘突起を有する摺動脊椎インプラントの斜視図である。
図4】本発明の例示的な実施形態による、人工棘突起を有する摺動脊椎インプラントの平面図である。
図5A】本発明の例示的な実施形態による、対向する構成要素が垂直軸周りで回転する脊椎インプラントの斜視図である。
図5B】本発明の例示的な実施形態による、対向する構成要素が垂直軸周りで回転する脊椎インプラントの平面図である。
図5C】本発明の例示的な実施形態による、対向する構成要素が垂直軸周りで回転できる脊椎インプラントの一部分の断面図である。
図6】本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラントシステムの少なくとも1つのロッドと接続するためのカムネジ構成を有する脊椎インプラントの分解図である。
図7A】本発明の例示的な実施形態による、架橋結合システムのロッドと接続するためのカムネジ構成を有するインプラントの斜視図である。
図7B】本発明の例示的な実施形態による、図7Cの断面図がとられる場所を示す図7Aのインプラントの側面図である。
図7C】本発明の例示的な実施形態による、図7Aのインプラントの断面図である。
図8】本発明の例示的な実施形態による、架橋結合システムのロッドと接続するためのカムネジ構成で使用されるカムネジの斜視図である。
図9A】本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラントが埋め込まれた変性された脊柱の側面図である。
図9B】本発明の例示的な実施形態による、架橋結合された脊椎インプラントが埋め込まれた変性された脊柱の側面図である。
図10A】本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラントが埋め込まれた変性された頸椎の断面図である。
図10B】本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラントが埋め込まれた変性された胸椎の断面図である。
図10C】本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラントが埋め込まれた変性された腰椎の断面図である。
図11】本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラントを埋め込む方法を示すフローチャートである。
図12】本発明の例示的な実施形態による、複数の統合ロッドサイズのうちのいずれか1つに脊椎インプラントを取り付けるための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本明細書では、脊椎インプラントの例示的な実施形態について説明する。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、損傷されたおよび/または欠陥のある脊椎構造、特に棘突起および/または椎弓板を再建するために使用される。本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、脊柱100の頸部102、胸部104、腰部106、もしくは仙骨部108のうちのいずれか、幾つか、または全ての椎骨のためのプロテーゼとして使用される。加えて、あるいは、および/または随意的に、脊椎インプラントは、本発明の一実施形態では、2つ以上の椎骨を互いに連結させるための架橋結合システムにおける構成要素として使用される。
【0061】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラント300は、脊柱の頸部102、胸部104、および/または腰部106で用いるようになされている複数の形態を成して提供される。随意的には、単一の形態が胸部および腰部の両方で用いるようになされている。随意的には、形態のうちの少なくとも1つが複数のサイズを成して提供され、例えば、胸腰形態を「大型」、「中型」、および/または「小型」サイズで提供できる。本発明の一実施形態において、インプラントは、前/後軸(「深さ」)、上/下軸(「高さ」)、および/または右/左(「幅」)軸の寸法を変えることにより使用できるように寸法付けられる。例えば、本発明の一実施形態において、本明細書中に記載される脊椎インプラントは、前/後軸の寸法が20.0mmから45.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される脊椎インプラントは、上/下軸の寸法が10.0mmから30.0mmである。本発明の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される脊椎インプラントは、右/左軸の寸法が25.0mmから55.0mmの間である。これらの数字は単なる一例であり、本明細書中で与えられるサイズおよび/または寸法は必ずしも全ての実施形態に当てはまるわけではないことが理解されるべきである。
【0062】
本発明の一実施形態において、脊柱の頸部で用いるようになされている脊椎インプラントは、(デバイスが埋め込まれるときの前から後までの)深さが約20.0mmから30.0mmであり、(デバイスが埋め込まれるときの上から下までの)高さが10.0mmから20.0mmであり、右/左軸の幅が25.0から35.0mmである。
【0063】
本発明の一実施形態において、脊柱の胸部で用いるようになされている脊椎インプラントは、深さが約25.0mmから35.0mmであり、高さが15.0mmから25.0mmであり、幅が35.0mmから45.0mmである。
【0064】
本発明の幾つかの実施形態において、脊柱の腰部で用いるようになされている脊椎インプラントは、深さが約35.0mmから45.0mmであり、高さが20.0mmから30.0mmであり、幅が45.0mmから55.0mmである。
【0065】
前述したように、単一のサイズおよび/または形態は、脊柱の胸腰部と共に用いることができる。これらのサイズは、本発明の例示的な実施形態では、深さが25.0mmから45.0mmの範囲、高さが15.0mmから30.0mmの範囲、幅が35.0mmから55.0mmの範囲である。
【0066】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、例えばとりわけ図3Aおよび図3Bに関して示して説明されるように、インプラントの摺動可能部分を使用することによって幅を調整できる。随意的には、脊椎インプラントの対向する構成要素は、例えばとりわけ図4および図5A図5Cに関して示して説明されるように、インプラントの前/後軸の方向に延びる(患者がうつぶせになっているときに担当の医療従事者の視点から)垂直な軸の周りで回転できる。
【0067】
本発明の幾つかの実施形態の他の特徴は、脊椎インプラントを椎骨に対しておよび/または架橋結合構成を成すように接続するために使用される複数の交換可能な前部に関連する。ほぼ全ての図は、ループ(図3A図3B図4図5A図5B)、またはカムネジを有するブラケット(図6図7A図7C)を含む、接続のための少なくとも1つの実施形態を示す。これらの接続実施形態の一部または全てが本明細書中に記載される脊椎インプラントのうちのいずれかで用いるようになされていること、あるいは、逆もまた同様であることが理解されるべきである。
【0068】
本発明の幾つかの実施形態における図3Aおよび図3Bを参照すると、非摺動部分304および摺動部分312が、本発明の一実施形態では、椎骨200の自然椎弓板208を擬態するおよび/または自然椎弓板208に取って代わるようになされている。本発明の幾つかの例示的な実施形態において、非摺動部分304および摺動部分312は、人工棘突起302から横突起204および/または椎弓根206まで延びる自然上関節突起210とも置き換わる。本発明の一実施形態において、非摺動部分304および/または摺動部分312は、脊椎インプラント300と脊柱100内に位置付けられた脊髄および/または包膜嚢(腰部の場合)との間により大きな隙間を与えるようになされている。例えば、非摺動部分304および/または摺動部分312は、置き換えられるべき椎骨の自然部分と少なくとも同じ程度に弓状に曲げられる。随意的に、非摺動部分304および/または摺動部分312は、置き換えられるべき椎骨の自然部分よりも大きく弓状に曲げられる。
【0069】
脊椎インプラント300は、架橋結合構成を成して使用される本発明の実施形態においては、架橋結合の応力に機械的に耐えることができる生体適合性の任意の材料から構成される。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラント300は、金属、例えばチタンから構成される。本発明の幾つかの例示的な実施形態において、脊椎インプラント300は、高分子材料、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成される。本発明の一実施形態において、インプラントは、人工椎弓板の少なくとも一部分および/または棘突起としておよび/または架橋結合システムの状態で機能するのに十分に硬質な任意の生体適合性材料から構成される。
【0070】
脊椎インプラント300は様々な患者の病状および/または生体構造に適合できるように意図されており、そのため、個々の患者のニーズに適するように、より小さいデバイスサイズを持ち合わせる、かつ/または製造することが求められる。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントの少なくとも一部分は、インプラントの全体の幅(「幅」に関して前の段落[0061]で使用された幅)を調整してインプラントを様々な患者の病状および/または生体構造に適合できるようにするために、インプラントの少なくとも他の部分に対して摺動する。図3Aは、本発明の例示的な実施形態による、狭い形態を成す人工棘突起302を有する摺動脊椎インプラント300の斜視図を示している。すなわち、その最も狭い形態では、摺動部分312および非摺動部分304が互いに当接して、インプラント300において達成できる最も狭い幅の形態がもたらされる。しかしながら、図3Bは、対を成す摺動部分312および非摺動部分304の矢印316の方向での摺動機能をうまく利用することによって少なくとも部分的に「開放する」または幅広いインプラント300を示している。図4および図5A図5Cに関して以下で更に詳しく説明するように、回転するときにもインプラントの幅を調整できることが理解されるべきである。
【0071】
本発明の一実施形態において、摺動部分312は、脊椎インプラント300の全体の幅を増大させるおよび/または減少させるために脊椎インプラント300の非摺動部分304に対して摺動する。なお、「非摺動」部分は、単に命名して使用されているにすぎず、実際には、摺動部分312が静止したままで、非摺動部分304が摺動部分312へ向けて摺動し、または摺動部分312から離れるように摺動することも可能であり、あるいは、両方の摺動部分304、312が同時に摺動することも可能である。摺動によって所望の幅が達成された時点で脊椎インプラント300をロックするために締め付けネジ(図示せず)を使用できるようにする少なくとも1つのネジ穴306が脊椎インプラント300に設けられる。本発明の一実施形態において、摺動部分312には、幅調整のために非摺動部分304により形成されるスロット320内で摺動できるようになされている舌状部318が設けられる。本発明の一実施形態では、脊椎インプラント300の長さの範囲に沿って締め付けネジを受け入れるために、トラック314が摺動部分312の舌状部318に位置付けられている。
【0072】
本発明の幾つかの実施形態では、摺動調整可能なインプラント300を手動で調整できる。本発明の一実施形態において、摺動部分312および/または非摺動部分304の互いに対する摺動動作は、自由な摺動から、完全に締め付けられるときに摺動部分がインプラントの非摺動部分に対して摺動するのを阻止する締め付けネジによってロックされるまで、所定の範囲にわたって制御できる。随意的には、インプラントの精密および/または正確な調整のために少なくとも摺動部分312が区分される。例えば、摺動部分312には、予め選択された位置ナンバーおよび/または実距離測定表示がマーキングされる。本発明の一実施形態において、摺動部分312の摺動は、棘突起302(または棘突起が通常ある場所)と椎弓板との交差部の近傍または交差部に位置付けられる。本発明の幾つかの実施形態において、摺動部分312は、インプラント300の後側で棘突起302に位置付けられる。
【0073】
ネジ穴306およびトラック314は、本発明の例示的な実施形態による、人工棘突起302を有する摺動脊椎インプラント300の平面図である図4において更に明確に見られる。本発明の一実施形態において、人工棘突起302には、軟組織、例えば筋肉の付着のための少なくとも1つの穴308が位置付けられる。本発明の一実施形態では、椎弓根ネジおよび/または外側塊ネジを貫通して受けるようになされている少なくとも1つのループ310が脊椎インプラント300に設けられる。随意的には、少なくとも1つのループ310は、本出願と同じ日に出願されたSpring Screw Apparatus and Methods of Using sameと題される関連出願に記載されるスプリングネジと共に使用するようになされている。本発明の幾つかの実施形態では、少なくとも1つのループ310が脊椎インプラント300の(解剖学的に言って)前部に位置付けられる。本発明の一実施形態では、位置決めループ310が前方で脊椎インプラント300を脊柱にループ310を介して取り付けることができるようにする。
【0074】
図4には、非摺動部分304に位置付けられた回転楔402の少なくとも一部も見える。回転楔402については、図5A図5Cに関して更に詳しく図示して説明する。非摺動部分304は、回転楔402により、摺動部分312および非摺動部分304の互いに対する回転を許容するようになされている。
【0075】
図5Aは、本発明の例示的な実施形態による、対向する構成要素304、312が垂直軸502周りで回転する脊椎インプラント300の斜視図である。本発明の一実施形態では、インプラント300が前述したような幅だけでなく方向も調整でき、それにより、インプラント300には、患者間および/または椎骨間での脊椎構造変化に対応するべく少なくとも垂直軸502周りでの第2段階の動作(第1段階の動作は調整可能な幅である)が与えられる。ネジまたはピンは、名目上は、ネジ穴306内に挿入されて、その周りで回転が生じる垂直軸502を機械的に規定する。使用時、ネジまたはピンは、例えば、ねじ込んで構成要素304、312間の接続を締め付けることにより、および/または最終的にこれらの2つの構成要素間の相対的な動きを妨げることにより、幅および/または回転に関してインプラント300の形態を固定するためにも使用される。随意的に、固定は、永久的ではなく、例えば幅および/または回転を後日に調整する必要がある場合には一時的である。
【0076】
図5Bは、本発明の例示的な実施形態による、対向する構成要素304、312が垂直軸502周りで回転する脊椎インプラントの平面図である。垂直軸502周りの回転は、回転動作の矢印504により示される更なる自由度をインプラント300に与える。本発明の一実施形態では、インプラント300を回転させることにより、インプラントを、非対称な椎骨に、例えば椎骨の一部の切除がインプラント300のための非対称な埋め込み部位をもたらす場所に埋め込むことができるのが分かる。
【0077】
図5Cは、本発明の例示的な実施形態による、対向する構成要素304、312が垂直軸502周りで回転できる脊椎インプラント300の回転楔402の断面図である。本発明の一実施形態では、回転楔402が非摺動部分304の一部である。楔402には、摺動部分312が非摺動部分304に対して回転できる最大回転角度を設定する傾斜面506が設けられる。本発明の一実施形態では、最大回転角度が最大で90度である。随意的には、最大回転角度が最大で30度である。本発明の一実施形態では、ベースとなる非回転形態をインプラント300に与えるために非傾斜面508が非摺動部分304に設けられる。
【0078】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラントシステムの少なくとも1つのロッド602と接続するためのカムネジ構成を有する脊椎インプラント600の分解図である。本明細書中の他の場所に記載されるように、脊椎インプラント300、600は、脊柱の切除部分、変性部分、および/または損傷部分の代わりを果たすためのプロテーゼとして使用される。これに加えておよび/または随意的におよび/またはこれに代えて、本明細書中に記載される脊椎インプラントは、2つ以上の椎骨を互いに機械的に連結させることによって脊椎の少なくとも一部分を安定させるための架橋結合システムの少なくとも一部として使用される。本発明の一実施形態では、名目的作業においてネジ穴606内に回転可能に位置決めされる少なくとも1つのカムネジ604がインプラント600に設けられる。ネジ穴606およびカムネジ604は、ネジ穴606内でのカムネジ604の回転を許容するが、カムネジ604のカム端部608がネジ穴606を通過するのを防止するように相対的に寸法付けられる。本発明の一実施形態では、カムネジ604の回転工具接続端部612がネジ穴606を通過するのを防止するため、および/またはカムネジ構成にロック機構を与えるために、カム保持ピン610が使用される。カムネジ構成については図7A図7Cおよび図8に関して更に詳しく説明する。
【0079】
本発明の一実施形態において、インプラント300、600は、棘突起でまたはその近傍で統合ロッドに付随するようになされている。随意的には、棘突起302にあるまたはその周囲にある統合ロッドは、デバイスに取り付けられる第3の統合ロッドである。本発明の一実施形態では、例えば、ロッドを所定位置に固定するために本明細書中の他の場所に記載されるようなカムネジを棘突起302に設けることによって、複数の統合ロッドサイズが受け入れられる。随意的には、ロッドをデバイスに固定するためにクランプ状の機構が使用される。随意的には、締め付けネジがロッドを固定ブラケットに押し付けて捕捉し、それによりロッドを固定する。本発明の幾つかの実施形態では、棘突起にまたはその近傍に取り付けられるロッドが、隣接するインプラント、すなわち、隣接する椎骨にあるインプラントの同じ位置に取り付けられる。随意的には、ロッドは、隣接しない椎骨上のインプラントに取り付けられる。
【0080】
図7Aは、本発明の例示的な実施形態による、架橋結合システムのロッド602と接続するためのカムネジ構成を有するインプラント600の斜視図である。カムネジ構成は、本発明の実施形態によれば、ネジ604の動作範囲にわたってサイズが次第に(動作方向に応じて)減少する/増大する反り曲がり面702をカムネジ604のカム端部608に設けることによって複数の異なるサイズの(例えば、周長が異なる)ロッド602にインプラント600を接続できるようにすることを特徴とする。ネジ604は、反り曲がり面702の最も大きい部分から始まって、ロッド602がカムネジ604とインプラント600のブラケット部分708との間に捕捉されてインプラント600に強固に接続されるまで締め付けられ、それにより、反り曲がり面702の最大部分程度から反り曲がり面702の最小部分程度にまで及ぶロッド602をインプラント600と共に使用できる。随意的には、ロッドが時計回り方向に締め付けられる。本発明の幾つかの実施形態では、使用されるべきロッド602をインプラント600に適切に固定するために、ネジ604をどの程度回転させる必要があるのかを担当の医療専門家に対して示すために、サイズマーキングがインプラント600および/またはネジ604に設けられる。
【0081】
図7Cは、本発明の例示的な実施形態による、架橋結合システムのロッド602と接続するためのカムネジ構成を有する図7Bに示される断面からとられるインプラント600の断面図である。カムネジ604に対する統合ロッド602の位置が更に詳しく見え、この場合、反り曲がり面702がロッド602の相手側として作用する。また、本発明の一実施形態では保持ピン溝704内に少なくとも部分的に位置付けられたカム保持ピン610も更に詳しく示される。保持ピン溝704およびカム保持ピン610は、端部612がネジ穴606を通過するのを機械的に防止するという機能およびカムネジ構成に対してロック機能を与えるという機能のうちの少なくとも一方を与えるようになされている。本明細書の一実施形態では、カム保持ピン610は剛性である。本発明の一実施形態では、保持ピン溝704が回転工具接続端部612の外周にわたって延びる。
【0082】
本発明の一実施形態において、カム保持ピンには、カムネジが自由に回転できるが依然としてネジ穴606を通過しないように、カムネジとの間に隙間が設けられる。
【0083】
ロック機構機能は、ロックポイント706を伴って保持ピン溝704を適合させることにより与えられ、ロックポイント706は、カムネジ604が意図的に回転される際に保持ピン610がロックポイント706に衝突してそれを乗り越えるように寸法付けられて形成されており、それにより、ロックポイント706の他方側でカムネジ604の逆回転が妨げられると、意図的な逆回転力がカムネジ604に加えられない。
【0084】
本発明の一実施形態では、カム保持ピンがカム保持溝と接続するように位置決めされる。随意的に、保持ピン溝704には、該溝704に連続的に配置される複数のロックポイントが設けられる。これに加えておよび/または随意的に、ロックポイントは、市販のロッドサイズおよび/または一般に使用されるロッドサイズに対応するべく少なくとも1つのロックポイントがサイズごとに設けられるように保持ピン溝704に位置付けられる。本発明の一実施形態では、カムネジ604が回転されると、カムネジが繰り返し「ロックし」、その場合、最終的なロックを含めて反り曲がり面702のサイズがロッドサイズと適合するときまで、逆回転が妨げられ、また、そのロッドサイズと適合するように保持ピン溝に配置されるロックポイントが乗り越えられる。
【0085】
本発明の一実施形態では、カム保持ピン610は柔軟である。随意的に、カム保持ピン610は、ゴム、ステンレス鋼、または高分子、例えばPEEKから構成される。本発明の幾つかの実施形態では、高分子が生体分解性である。随意的には、高分子は非生体分解性である。
【0086】
なお、本発明の一実施形態では、患者の脊椎に取り付けられる際に完全には平行でない統合ロッドを、幅適合機能および/または方向適合機能を有する本明細書中に記載されるインプラントと共に依然として使用できる。非平行ロッドは、脊椎を上方または下方に移動させる際に設定角度で互いの距離を増大させ、または減少させる。本明細書中に記載されるインプラントの幅調整可能機能および/または方向調整可能機能を使用することにより、非平行ロッドを受け入れるように設計された複数の個別の専用インプラントを有するのではなく、単一のインプラントモデルを使用できる。
【0087】
また、本明細書中に記載される脊椎インプラント300、600は、本発明の一実施形態では、個々の脊椎分節間のサイズ差にも対応する。例えば、頸椎内のサイズのばらつきにも対応できる。インプラント600のその形態に関連する特徴は、架橋結合時にその略三角形状が脊髄および/または包膜嚢への衝突の危険を減らすという点である。これは、衝突の危険がある真っ直ぐな既存の架橋結合とは対照的である。したがって、従来の架橋結合を常に使用できるとは限らない。なお、本明細書中に記載される他の脊椎インプラントも三角形状を有することに留意されたい。
【0088】
図8は、本発明の例示的な実施形態による、架橋結合システムのロッド602と接続するためのカムネジ構成で使用されるカムネジ604の斜視図である。カムネジの反り曲がり面702および保持ピン溝704が更に詳しく示されており、この図では、保持ピン溝704がロックポイント706を何ら示していない。随意的には、ロックポイント706が使用されない。
【0089】
本発明の一実施形態において、カムネジの反り曲がり面702は、例えば3.3mmから5.0mmの範囲の一般に使用されるロッドサイズと接続するようになされている。しかしながら、カムネジが、反り曲がりによって、架橋結合システムのために使用できるほぼ任意のロッドサイズと適合するように構成され得ることが理解されるべきである。
【0090】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラント300、600は、例えば本出願と同じ日に出願されたSpring Screw Apparatus and Methods of Using sameと題される関連出願に記載されるスプリングネジと共に使用されるようになされている。脊椎インプラント300には少なくとも1つのループ310の周囲にフランジが設けられ、このフランジは、ネジに位置決めされるスプリングの相手側としての役目を果たして、スプリングネジが締め付けられる際にインプラント300が椎骨に対して締まるように、フランジの面内でスプリングをロックする。
【0091】
図9Aは、本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラント300、600が埋め込まれた損傷した脊柱100の斜視図である。本発明の幾つかの例示的な実施形態では、図9Bに示されるように、また、本明細書中に記載されるように、連続した椎骨上の複数の脊椎インプラント300、600を架橋結合できるのが分かる。
【0092】
図10Aは、本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラント300が埋め込まれた改質された頸椎1002の断面図である。図示の例示的な実施形態において、インプラント300は、下関節突起1010で椎骨1002に取り付けられており、椎弓板人工装具として機能する。以下の図10Aおよび図10B図10Cに関して、患者の病状に応じて椎骨の異なる部分を交換する必要があり、したがって、それに応じてインプラント300が取り付けられることが理解されるべきである。例えば、本発明の一実施形態では、インプラント300が椎弓根で椎骨に取り付けられる。本発明の幾つかの実施形態では、インプラント300が、部分的椎弓切除術の後に、小関節面、すなわち、椎弓板の左側にあるものに取り付けられる。本発明の幾つかの実施形態において、インプラントの一方側は、インプラントの他方側とは異なる解剖学的部分または同じ解剖学的部分にある異なる対応する位置に取り付けられる。
【0093】
図10Bは、本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラント300が埋め込まれた改質された胸椎1004の断面図である。
【0094】
図10Cは、本発明の例示的な実施形態による、脊椎インプラント300が埋め込まれた改質された腰椎1006の断面図である。
【0095】
図11は、本発明の例示的な実施形態による、埋め込み部位に脊椎インプラント300、600を埋め込む方法を示すフローチャート1100である。本発明の一実施形態において、脊椎インプラント300、600は、埋め込み処置の作業を行っているまたは補助しているいずれかの担当医療専門家によって、埋め込み部位にある特定の椎骨構造および/または複数の椎骨にわたる架橋結合構成で用いる特定の椎骨構造に適合するように調整される(1102)。本発明の一実施形態において、脊椎インプラント300、600は、インプラントの所望の長さおよび/または方向が達成されるようにインプラントの少なくとも一部分をインプラントの他の部分に対して回転させる(1104)および/または摺動させる(1106)ことによって調整される。本発明の一実施形態において、摺動および/または回転の制御は、ネジが締め付けられる度合に応じて自由な移動からロックされるまでの範囲にわたって選択的に変えられる。
【0096】
本発明の一実施形態において、ネジは、ループ306に通されて、締め付け位置で椎骨200にねじ込まれることにより、脊椎インプラント300、600を固定する(1108)。本発明の一実施形態では、ネジを外側塊、小関節面、椎弓板、および/または骨の椎弓根に配置できる。
【0097】
本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラント300は、架橋結合システムに接続されおよび/または架橋結合システムの構成要素であり、それにより、インプラントが少なくとも1つのロッド602に接続され、当該ロッドは、このロッドが埋め込み部位を横切るように、少なくとも1つの椎骨に接続される。本発明の一実施形態では、少なくとも1つの架橋結合ロッドが脊椎に締め付けられ(1110)、その後、少なくとも1つの脊椎インプラントがロッドに接続される(1112)。あるいは、インプラントが最初にロッドに接続され、その後、ロッドが脊椎に対して締め付けられる。
【0098】
図12は、本発明の例示的な実施形態による、複数の異なるサイズの架橋結合ロッドに脊椎インプラント600を取り付けることができるようにするための方法を示すフローチャート1200である。本発明の一実施形態では、統合ロッド602が少なくとも1つの椎骨に対して締め付けられる(1202)。本発明の一実施形態では、締め付け(1202)が既知の方法論のうちのいずれか1つにより行われる。少なくとも1つの脊椎インプラント600は、ブラケット708がこのブラケット708とカムネジ604との間でロッド602を受けるようにロッド602にわたって配置される(1204)。本発明の一実施形態において、少なくとも1つの脊椎インプラントは、摺動および/または回転を含む脊椎インプラントの調整機能を使用して予め取り付けられた架橋結合ロッドにわたって配置される(1204)。本発明の一実施形態では、脊椎インプラントが架橋結合ロッドにわたって配置される(1204)ときには、脊椎インプラントに設けられるカムネジ604が「開放」位置にあり、その位置では、カムネジ604の反り曲がり面702が未だロッド602と係合されない。
【0099】
本発明の一実施形態において、インプラント600の配置(1204)は、本明細書中の他の場所に記載されるように、摺動によってインプラント600の幅を調整すること、および/または回転によってインプラントの方向を調整することを含む。
【0100】
本発明の一実施形態において、カムネジ604は、カムネジ604とブラケット部分708との間でロッドを押さえ込むことによりロッド602が脊椎インプラント600に強固に接続される(1208)まで締め付けられる(1206)。随意的に、接続(1208)は、カムネジ604が締め付けられる(1206)際にカムネジ604の逆回転を防止して(「ロックポイント」を定める)逆駆動力を意図的に加えさせない保持ピン溝704の突起をカム保持ピン610が乗り越えるように少なくとも1つのロック位置をカムネジ604に設けることによって強化される。随意的に、ロック位置は、特定の架橋結合ロッドサイズ、例えば、広く使用されるおよび/または商業的に容易に入手できる架橋結合ロッドサイズに対応するようになされている。本発明の幾つかの実施形態では、複数のロック位置がカムネジ604の保持ピン溝704に設けられる場合には、カムネジ604が、接続される(1208)べき架橋結合ロッドに最も近いおよび/または架橋結合ロッドのために特に配置されたロック位置へと締め付けられる(1206)。したがって、本発明の幾つかの実施形態において、締め付け(1206)は、最良の適合のために適切に配置されたロックポイントに達するべく少なくとも1つのロックポイントを乗り越えることを含む。架橋結合構成で用いるためにインプラントを椎骨に取り付けるプロセスは、本発明の例示的な実施形態では、幾つの椎骨が互いに架橋結合されるべきかに応じて繰り返される(1210)。
【0101】
他に規定されなければ、本明細書中で使用される全ての技術用語および/または科学用語は、本発明が関連する技術の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと同様または等価な方法および材料を本発明の実施形態の実施または検査において使用できるが、以下では、例示的な方法および/または材料について説明する。矛盾する場合には、定義を含む特許明細書が支配する。また、材料、方法、および例は、単なる例示であり、必ずしも限定しようとするものではない。
【0102】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」という用語、およびそれらの同根語は、「含むがそれに限定されない」ことを意味する。この用語は、「から成る」および「から本質的に成る」という用語を包含する。
【0103】
「から本質的に成る」という語句は、組成または方法が更なる原材料および/またはステップを含んでもよいことを意味する。ただし、更なる原材料および/またはステップが特許請求の範囲に記載された組成または方法の基本的で新規な特徴を実質的に変えない場合に限る。
【0104】
本明細書中で使用される単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈が明らかに他のことを述べていなければ複数形を含む。例えば、「1つの化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、その混合を含めて複数の化合物を含んでもよい。
【0105】
この出願の全体にわたって、この発明の様々な実施形態が範囲型式で与えられてもよい。範囲型式の記述は、単に便宜および簡潔さのためであり、本発明の範囲の確固たる限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記述は、全ての想定し得る部分的範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、1から6などの範囲の記述は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの部分的範囲、およびその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、6を具体的に開示したと見なされるべきである。これは、その範囲の大きさにかかわらず適用される。
【0106】
本明細書中で数値範囲が示されるときはいつでも、示された範囲内の任意の挙げられた数値(分数または整数)を含むことが意図されている。第1の指示数字と第2の指示数字との「間の範囲の/間を範囲とする」という語句、および第1の指示数字「から」第2の指示数字「まで」の「範囲の/範囲を成す」という語句は、本明細書中では置き換え可能に使用されるとともに、第1および第2の指示数字、ならびにその数字間の全ての分数および整数を含むように意図される。
【0107】
本明細書中で使用される用語「方法」とは、化学、薬理学、生物学、生化学、および医療技術の専門家による既知の、または態様、手段、技術、および手続きから容易に開発される態様、手段、技術、および手続きを含むがこれらに限定されない、所定の課題を達成するための態様、手段、技術、および手続きのことである。
【0108】
本明細書中で使用される用語「処置」は、状態の進行を廃止する、実質的に抑制する、遅らせる、または逆転させる、状態の臨床症状または審美的症状を実質的に改善する、または状態の臨床症状または審美的症状の発現を実質的に防止することを含む。
【0109】
明確にするために別々の実施形態の文脈に記載される本発明の特定の特徴が単一の実施形態で組み合わせて与えられてもよいことが分かる。逆に、簡単にするために単一の実施形態の文脈に記載される本発明の様々な特徴が、別々に、または任意の適した部分的組合せで、または本発明の任意の他の記載された実施形態に適するように与えられてもよい。様々な実施形態の文脈に記載される特定の特徴は、これらの実施形態がそれらの要素を伴わないと作用しない場合を除き、これらの実施形態の本質的特徴と見なされるべきではない。
【0110】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの置き換え、改良、および変形が当業者に明らかであることは言うまでもない。したがって、添付の特許請求項の思想および広い範囲内に入るそのような全ての代替形態、改良形態、および変形形態を包含することが意図される。
【0111】
本明細書で言及された全ての公報、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の公報、特許、または特許出願が参照により本明細書に組み込まれるべく具体的にかつ個別に示唆されるかのように同じ程度まで、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。また、本明細書中での任意の文献の言及または特定は、そのような文献が本発明の従来技術として利用できるという自白と解釈されるべきではない。節の見出しが使用される限りにおいて、それらの見出しは、必ずしも限定的に解釈されるべきではない。
【0112】
脊椎インプラントに精通している者であれば分かるように、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の思想および範囲から逸脱することなく、本発明の前述した好ましい実施形態に対して多くの改変および置き換えを行うことができる。
【符号の説明】
【0113】
300 脊椎インプラント
304 非摺動部分
306 ネジ穴
310 ループ
312 摺動部分
314 トラック
318 舌状部
320 スロット
600 脊椎インプラント
602 ロッド
604 カムネジ
606 ネジ穴
608 カム端部
610 カム保持ピン
612 回転工具接続端部
702 反り曲がり面
704 保持ピン溝
706 ロックポイント
708 ブラケット
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12