【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、インプラントを様々な個々の患者の病状および/または生体構造に適合させるために調整できる脊椎インプラントデバイスを提供することに関する。本発明の幾つかの実施形態において、インプラントは、インプラントの幅を特定の椎骨の解剖学的特徴と適合するように調整するべくインプラントの少なくとも一部分を脊柱に対して略垂直に摺動させることによって幅調整可能である。これに加えて、随意的に、および/またはこれに代えて、脊椎インプラントは、患者が台の上でうつぶせになっているときに前/後に延びる垂直軸周りでインプラントの少なくとも一部分を回転させることにより方向を調整することができる。本発明の幾つかの実施形態において、回転され得るインプラントの少なくとも一部分は、架橋結合ロッドを受け入れるため、および/または埋め込みを容易にするために使用される。随意的に、回転は、インプラントを非平行な架橋結合ロッドに取り付けるために使用される。
【0012】
本発明の例示的な実施形態において、脊椎インプラントは、人工棘突起および/または少なくとも1つの人工椎弓板のうちの少なくとも1つから構成される。本発明の一実施形態では、軟組織、例えば筋肉の付着のために、少なくとも1つの穴が人工棘突起に設けられる。
【0013】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのループが人工椎弓板の外側面に設けられる。本発明の例示的な実施形態において、少なくとも1つのループは、ネジを通すとともに、外側塊、小関節面、または椎弓根などの椎骨の一部位に対してネジを締め付けることによって脊椎インプラントを椎骨に固定するために使用される。
【0014】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、架橋結合システムと共におよび/または架橋結合システムの一部として使用されるようになっている。本発明の幾つかの例示的な実施形態では、ロッドは、統合構造または架橋結合システムのロッドである。テーパ状の反り曲がり面を備えるカムネジを使用することにより、インプラントは、反り曲がり面のテーパがロッドのサイズと適合するまでネジを回転させるだけで、それぞれの想定し得るサイズごとに異なるネジおよび/またはクランプを使用する必要なく、異なるロッドサイズ(例えば、周長)に固定され、および/または異なるロッドサイズを受け入れる。本発明の一実施形態では、「開放」位置および/または「閉塞」位置、あるいは「ロック」位置および/または「ロック解除」位置を示すために、ネジおよび/またはインプラントにマーキングが設けられる。
【0015】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、調整可能であるが、複数のサイズを成して提供される。例えば、脊椎の頸部、胸部、および腰部の間の全体サイズの違いに起因して、脊椎のこれらの3つの部分に合わせたサイズが随意的に提供され、これらのサイズは、本明細書中の他の場所に記載されるように幅を更に調整できる。本発明の幾つかの実施形態では、2つの基本的なサイズ、すなわち、胸腰部(胸部と腰部との組合せ)および頸部だけが提供される。
【0016】
本発明の更なる態様は、脊椎インプラントデバイス、および所定範囲の統合ロッドサイズと共に使用できるテーパ状の反り曲がり面を備えるカムネジのうちの少なくとも一方を含む架橋結合システムに関する。本発明の一実施形態において、脊椎インプラントには、カムネジの挿入および/または回転を内部で受け入れるための少なくとも1つのネジ穴が設けられる。作業に際して、カムネジがネジ穴内に挿入された状態では、カムネジの回転工具接続端部がネジのカム端部の反対側に位置され、それにより、担当の医療専門家が回転力を加えるために回転工具接続端部に接近することができ、一方、カム端部は、少なくとも1つの椎骨に固定される統合ロッドに近接して位置決めされる。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態では、脊椎インプラントデバイスが特定の椎骨の構造に合わせて調整可能である。随意的に、脊椎インプラントは幅を調整できる。随意的に、これに加えて、および/またはこれに代えて、脊椎インプラントは方向を調整できる。
【0018】
本発明の一実施形態において、複数の脊椎インプラントデバイスは、複数の椎骨にわたって機械的な安定性を与えるために、同じ少なくとも1つの統合ロッドに取り付けられる。随意的には、椎骨のうちの少なくとも2つが連続している。随意的には、椎骨のうちの少なくとも2つが連続していない。
【0019】
本発明の一実施形態において、デバイスは、棘突起でまたはその近傍で統合ロッドに付随するようになされている。随意的には、棘突起にあるまたはその周囲にある統合ロッドは、デバイスに取り付けられる第3の統合ロッドである。本発明の一実施形態では、例えば、ロッドを所定位置に固定するために本明細書中の他の場所に記載されるようなカムネジを棘突起に設けることによって、複数の統合ロッドサイズが受け入れられる。随意的には、ロッドをデバイスに固定するためにクランプ状の機構が使用される。随意的には、締め付けネジがロッドを固定ブラケットに押し付けて捕捉し、それによりロッドを固定する。本発明の幾つかの実施形態では、棘突起にまたはその近傍に取り付けられるロッドが、隣接するインプラント、すなわち、隣接する椎骨にあるインプラントの同じ位置に取り付けられる。随意的には、ロッドは、隣接しない椎骨上のインプラントに取り付けられる。
【0020】
本発明の更なる態様は、特定の患者の病状および/または生体構造にインプラントを適合させるべく脊椎インプラントを調整することによって脊椎インプラントを埋め込む方法に関する。随意的に、調整は、インプラントの少なくとも一部分を適合のために摺動させることを含む。随意的に、調整は、インプラントの少なくとも一部分を適合のために回転させることを含む。本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、インプラント全体を幅広くするまたは幅狭くするようにインプラントの一部分を摺動させることによって幅が調整される。本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、インプラントの少なくとも一部分をインプラントの他の部分に対して回転させることによって方向が調整される。
【0021】
本発明の一実施形態では、インプラントの摺動部分のインプラントの非摺動部分に対する摺動を制御するために、および/またはインプラントの少なくとも一部分のインプラントの他の部分に対する回転を防止するために締め付けネジが使用される。本発明の一実施形態において、摺動および/または回転の制御は、ネジが締め付けられる度合に応じて、自由な移動からロックされるまでの範囲にわたって変えることができる。本発明の一実施形態では、インプラントが椎骨に対して締め付けられる。随意的に、ネジは、インプラントを椎骨に対して直接に締め付ける。本発明の一実施形態では、ネジを外側塊、小関節面、椎弓板、および/または骨の椎弓根に配置することができる。これに加えて、随意的に、および/またはこれに代えて、インプラントが架橋結合装置に接続され、その場合、架橋結合装置が少なくとも1つの椎骨に接続される。
【0022】
本発明の更なる態様は、複数のサイズの統合ロッドのうちの少なくとも1つに対して脊椎インプラントデバイスを接続する方法に関する。本発明の一実施形態では、少なくとも1つの架橋結合ロッドが複数の椎骨に取り付けられる。随意的には、椎骨のうちの少なくとも2つが連続している。随意的には、椎骨のうちの少なくとも2つが連続していない。
【0023】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの脊椎インプラントは、摺動および/または回転を含む脊椎インプラントの調整機能を使用して、予め取り付けられた統合ロッドにわたって配置される。本発明の一実施形態では、脊椎インプラントが統合ロッドにわたって配置されるときには、脊椎インプラントに設けられるカムネジが「開放」位置にあり、その位置では、カムネジのテーパ状の反り曲がり面が未だロッドと係合されない。
【0024】
脊椎インプラントは、テーパ状の反り曲がり面がロッドと係合するようにカムネジを締め付ける(すなわち、回転させる)ことによって少なくとも1つの統合ロッドに接続される。カムネジが締め付け方向に回転されるにつれて、反り曲がり面のテーパが次第に狭くなる。したがって、ロッドと接触する反り曲がり面は、ますます小さい外周のロッドを受け入れるべく、カムネジが回転されるにつれて狭くなる。本発明の一実施形態において、カムネジは、反り曲がり面のテーパがロッドと適合してロッドがカムネジと脊椎インプラントのブラケットとの間で固定されるようになるまで回転される。随意的に、カムネジはロック位置へと回転される。
【0025】
本発明の一実施形態において、配置、締め付け、および接続は、必要に応じて、少なくとも1つの統合ロッドに取り付けられるべき脊椎インプラントの数に応じて繰り返される。
【0026】
したがって、本発明の一実施形態によれば、舌状部を備える摺動部分と、舌状部を受けるようになされているスロットを備える非摺動部分とを備え、舌状部がスロット内に摺動可能にかつ回転可能に位置決めされる、調整可能な脊椎インプラントデバイスが提供される。
【0027】
本発明の一実施形態では、締め付けネジを内部に受けるようになされているネジ穴が非摺動部分に設けられる。
【0028】
本発明の一実施形態において、締め付けネジは、摺動部分および非摺動部分の互いに対する回転のための軸を規定する。
【0029】
本発明の一実施形態では、舌状部内に位置付けされた摺動トラックが締め付けネジを受けるようになされている。
【0030】
本発明の一実施形態では、デバイスが人工棘突起を更に備える。随意的には、デバイスは、人工棘突起に位置付けされた少なくとも1つの軟組織取り付け穴を更に備える。
【0031】
本発明の一実施形態において、デバイスは、摺動部分および非摺動部分のうちの少なくとも一方の前方で骨ネジを、貫通して受けるようになされている少なくとも1つのループを更に備える。
【0032】
本発明の一実施形態において、デバイスは、摺動部分および非摺動部分のうちの少なくとも一方の前方でカムネジを、貫通して受けるようになされている少なくとも1つのカムネジブラケットを更に備える。本発明の幾つかの実施形態では、カムネジにカム保持ピン溝が設けられる。随意的には、カム保持ピン溝に少なくとも1つのロックポイントが設けられる。
【0033】
本発明の一実施形態において、カムネジにはテーパ状の反り曲がり面が設けられる。随意的には、テーパ状の反り曲がり面が締め付け回転方向で大から小へと先細る。随意的には、テーパ状の反り曲がり面は、複数の統合ロッドの外周に対応する相手側である。
【0034】
本発明の一実施形態において、脊椎インプラントは、前/後軸の寸法が20.0mmから45.0mmの間であり、上/下軸の寸法が10.0mmから30.0mmの間であり、右/左軸の寸法が25.0mmから55.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、頸椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が20.0mmから30.0mmの間であり、上/下軸の寸法が10.0mmから20.0mmの間であり、右/左軸の寸法が25.0mmから35.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、胸椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が25.0mmから35.0mmの間であり、上/下軸の寸法が15.0mmから25.0mmの間であり、右/左軸の寸法が35.0mmから45.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、腰椎と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が35.0mmから45.0mmの間であり、上/下軸の寸法が20.0mmから30.0mmの間であり、右/左軸の寸法が45.0mmから55.0mmの間である。本発明の幾つかの実施形態において、脊椎インプラントは、脊椎の胸腰部と共に使用するようになされており、前/後軸の寸法が25.0mmから45.0mmの間であり、上/下軸の寸法が15.0mmから30.0mmの間であり、右/左軸の寸法が35.0mmから55.0の間mmである。
【0035】
本発明の一実施形態では、インプラントが少なくとも部分的にチタンから構成される。
【0036】
本発明の一実施形態では、インプラントが少なくとも部分的にステンレス鋼から構成される。
【0037】
本発明の一実施形態では、インプラントが少なくとも部分的にポリエーテルエーテルケトンから構成される。
【0038】
また、本発明の例示的な実施形態によれば、複数の統合ロッドサイズと共に使用するようになされている架橋結合システムにおいて、少なくとも1つの統合ロッドと、脊椎インプラントの前部に位置付けられた少なくとも1つのブラケットを備える少なくとも1つの脊椎インプラントと、少なくとも1つのブラケットに挿通され、テーパ状の反り曲がり面を備える少なくとも1つのカムネジであって、反り曲がり面が複数の統合ロッドの複数の外周に対応する範囲にわたって先細る、少なくとも1つのカムネジとを備える架橋結合システムが更に提供される。
【0039】
本発明の一実施形態において、反り曲がり面は、カムネジとブラケットとの間で少なくとも1つの統合ロッドを選択的に捕捉するようになされている。
【0040】
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの脊椎インプラントには、少なくとも1つの統合ロッドに対するカムネジの位置決めを補助するために互いに対して摺動できるとともに回転できる2つの部分が設けられる。
【0041】
本発明の一実施形態では、反り曲がり面のテーパが締め付け回転方向で狭くなる。
【0042】
本発明の一実施形態では、複数の統合ロッドの複数の外周長が3.3mmから5.0mmの範囲である。
【0043】
また、本発明の例示的な実施形態によれば、ロックカムネジであって、カム端部にある反り曲がり面と、カムネジのカム端部と反対側の回転工具接続端部の外周にわたって位置付けられた保持ピン溝とを備え、保持ピン溝には、少なくとも締め付け方向で保持ピンを通過させるようになされている少なくとも1つのロックポイントが設けられる、ロックカムネジが提供される。
【0044】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのロックポイントが保持ピン溝の幅狭部分である。
【0045】
本発明の一実施形態において、保持ピン溝における少なくとも1つのロックポイントの位置は、反り曲がり面を架橋結合ロッドの外周に適合させるために必要とされるカムネジの回転距離に関連する。
【0046】
本発明の一実施形態において、保持ピン溝には複数のロックポイントが設けられる。本発明の幾つかの実施形態において、複数のロックポイントのそれぞれは、反り曲がり面を架橋結合ロッドの外周に適合させるために必要とされる回転距離に対応する。
【0047】
また、本発明の例示的な実施形態によれば、脊椎インプラントを埋め込み部位に埋め込むための方法が提供され、この方法は、インプラントの少なくとも第1の部分を第2の部分に対して摺動させることおよび回転させることの少なくとも一方によって脊椎インプラントを埋め込み部位に合わせて調整するステップと、脊椎インプラントを埋め込み部位に固定するステップとを含む。
【0048】
本発明の一実施形態において、方法は、少なくとも1つの架橋結合ロッドをそれが埋め込み部位を横切るように締め付けるステップを更に含む。本発明の幾つかの実施形態において、方法は、インプラントを少なくとも1つの架橋結合ロッドに接続するステップを更に含む。
【0049】
本発明の一実施形態において、埋め込み部位は、椎弓根、小関節面、外側塊、および椎弓板のうちの少なくとも1つを含む。
【0050】
本発明の一実施形態において、方法は、摺動および回転のうちの少なくとも一方を選択的に制限するためにネジを締め付けるステップを更に含む。
【0051】
また、本発明の例示的な実施形態によれば、架橋結合構成の複数の架橋結合ロッドのうちの少なくとも1つに対して少なくとも1つの脊椎インプラントを接続するための方法が提供され、この方法は、少なくとも1つの架橋結合ロッドを複数の椎骨に接続するステップと、少なくとも1つの架橋結合ロッドにわたって少なくとも1つの脊椎インプラントを配置するステップであって、脊椎インプラントに設けられるカムネジの反り曲がり面が開放位置を成して架橋結合ロッドに近接する、ステップと、反り曲がり面を有するテーパ状のカムネジを締め付けることにより、このカムネジが架橋結合ロッドと係合して架橋結合ロッドをカムネジと脊椎インプラントとの間で押さえ込むようにするステップとを含む。
【0052】
本発明の一実施形態において、方法は、更なる脊椎インプラントおよび架橋結合ロッドのために前記配置ステップと前記締め付けステップとを繰り返すステップを更に含む。
【0053】
本発明の一実施形態において、配置する前記ステップは、脊椎インプラントの少なくとも一部分の摺動および回転のうちの少なくとも一方を含む。
【0054】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つの連続する椎骨が接続される。
【0055】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つの連続しない椎骨が接続される。
【0056】
本発明の一実施形態において、方法は、カムネジの逆回転を妨げるべくカムネジをロックするステップを更に含む。
【0057】
これらの特徴および他の特徴ならびにそれらの利点は、以下の図面を伴う例示的な実施形態の詳細な説明を熟読することによって脊椎インプラントの当業者に容易に明らかになろう。
【0058】
ここで、添付図面を参照して、本発明の実施形態を単なる一例として説明する。これに関し、図面に沿ってなされる説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るのかを当業者に明らかにする。図面は原寸に比例していない場合があることも理解されるべきである。