(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131401
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】薬剤及び書類資料の分納保管箱
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20170515BHJP
【FI】
A61J7/00 C
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-160806(P2013-160806)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-20041(P2015-20041A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】505227571
【氏名又は名称】国安 春子
(73)【特許権者】
【識別番号】512083182
【氏名又は名称】國安 綾子
(73)【特許権者】
【識別番号】512083193
【氏名又は名称】國安 容子
(72)【発明者】
【氏名】國安 春子
(72)【発明者】
【氏名】國安 綾子
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
実開平5−5141(JP,U)
【文献】
実開平7−42643(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3160676(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角い箱体であって、天井面と底面の全域及び左右両側面の一部領域は固定的に閉じられているが、前面と後面は壁がなく全面開口してあり、その中に、上3段・下3段の合わせて6段の引き出しが重ね組み合わせて設置され、全体が透明な素材で形成されるところの薬剤及び書類資料の分納保管箱であって、
上3段は薬剤収納庫であり、その各段は日曜日から土曜日までの一日分ずつを別々に収納保管しておく7つの部屋に仕切られてミニ薬剤保管室を成しており、
下3段は書類資料収納庫であり、その各段は書類資料保管室を成しており、これらの引き出しの内、下3段は
前面側及び後面側のどちらからも同様に引き出せるように、各段ごとにそれぞれの中央部に取っ手が設けられ、前後対称に形成されており、各段共に左右の面は、連続的一体の底板から起立した両面を成しており、
上3段は、前後の中間域において分断され、その中間域に、上3段の引き出しに対して直交的に且つ上3段を全て同じ高さで分離する器具収納庫が設置されており、各段の引き出しは、器具収納庫を挟んで背中合わせに、前面側と後面側別々のミニ薬剤保管室を成し、器具収納庫は左右側面に設けられた取っ手を持って、左右どちら側からも引き出せる様に左右対称に形成されており、
そのため、全体的な箱体の左右の閉じられた側面は、器具収納庫に当たる領域に限って、一部開口した形で形成されており、
前面側と後面側においては、共に等しく、天井面の縁中央部に一端を止め固定された細長の枠状ストッパーが下方に伸びて、最下段引き出しの上縁で留め外しできるように設置され、枠状ストッパーは留めセットされた時も、出っ張った引き出しの取っ手の上に蔽い被さることはなく、取っ手の両脇を添うように形設されて引き出しの脱落を防ぐものであり、
左右の側面においては、共に等しく、最上段縁の中央部に一端を止め固定された簡易ストッパーが、器具収納庫の上縁を留め外しできるように設置されて、器具収納庫の脱落を防ぐものであり、
また、同じ側面の最下部域において、最下段の引き出しの高さに相当する深さで、壁面から幅を持つポケットを形設し、壁面に向き合うポケット外塀は、中央部を、下から3段目の引き出しの上縁近くまで立ち昇らせ、その左右脇は低く保つ形に形成され、
天井面の中央域には、非使用時に前後いずれかに倒して収納し、使う時だけ起ち上げて使用する持ち手を設置し、持ち手を倒した時に、持ち手の厚み分だけ天井面に沈んでしまうように収納溝が設けられることを特徴とする薬剤及び書類資料の分納保管箱。
【請求項2】
上3段の引き出しは、追加の引き出しを含み、器具収納庫の高さは常に上段の引き出しの合計の高さに合致し、下3段の引き出しは、追加の引き出しを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬剤及び書類資料の分納保管箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤
及び書類資料の分納保管箱に関するものである。
【0002】
従来、病気や怪我などで診察を受けた場合、病気や怪我などの回復のために療薬や塗り薬などを袋に入れ、渡される場合がある。病院から渡された治療薬は3日から最高4週間分もあり、通常毎朝、昼、夕(晩)就寝前や食前、食後等など一日3回から4回服用する場合も多く、塗り薬などは数回に分けて塗布することもあるが、それらは、記載された服用方法に従って自ら管理し服用している
【0003】
病状によっては薬剤の種類は錠剤、粉末、チューブ・ジャー容器等などに入っている塗り薬や、吸入器等も一緒に渡される場合もある。
【0004】
病状が急に悪化し、救急車を要請した場合、救急隊員に病状について聞かれる場合もあるが、患者自身の病状についての資料もなく、家族や周囲の人も病状について詳しく説明出来ず対応が遅れて危険な状況に陥る場合もあった。また、同じく家族、友人、知人等の連絡先も分からない事もあり、色々と不便を感じる事もあった。
【0005】
先行技術においては、1回に服用する薬剤を、1から2週間分の朝、昼、夜分に区分け、整理するのみであり、これらは錠剤薬剤のみの保管箱が多い(特許文献1、特許文献2、参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 登録実用新案第 3015568 号公報
【特許文献2】 登録実用新案第 3032284 号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
重い病気や怪我で入院している患者は医師や看護士など管理してくれる人がおり、決められた時間に決められた薬剤と数を忘れずに服用できるが、入院の必要がない病気や怪我のある人は、病院で出された薬剤を患者自身が自宅で管理し、服用しなければならない。
【0008】
病気の人が薬剤を所定時間に服用したか否かは家族や周囲の人達は病院から渡された薬を見ただけでは容易に分からない問題があった。また、病院から渡された薬剤は、決められた種類、決められた数、決められた時間に服用しないといけないのに、飲み忘れなどによって薬の効果が低下し、病気の回復を遅れさせてしまう可能性があるばかりか、また飲んだ事を忘れたために2回服用したなどの飲み過ぎにより薬害が発生する恐れなどの問題があった。
【0009】
また、内部疾患の病気ばかりでは無く、怪我や皮膚炎など、病名によっては錠剤や粉末の薬剤だけではなく、チューブやジャー容器に入った塗り薬や、貼り薬、また呼吸器系の病気に対しては吸入器など、別々の袋にいれて渡されることもあり、保管に不便を感じていた。
【0010】
現在、家族で年間10万円以上医療費がかかった場合、医療控除が受けられる制度がある。毎回きちんと領収書を保管せずに捨てたり、しまい忘れたりして申請する機会を逃す場合もあった。
【0011】
突然具合が悪くなった時や急に状態が悪化した時など、救急車を呼ぶ場合もあるが、病状について聞かれた場合、患者自身がきちんと病状について受け答えが出来ない場合もあった。患者の容態について家族や周囲の人も病状を詳しく説明が出来ず、対応が遅れて危険な状況に陥る場合もあった。また、病状について家族等に連絡したくとも連絡先が分からず入院等の手続きなどに不便があった。
【0012】
少子化高齢社会といわれる現代において、核家族が増加し、共稼ぎも多く、近所付き合いも無く、日中は子供だけ、またお年寄りなど一人生活者も多くなっている。緊急時の場合どこに連絡すればよいのか判らない事もあり、患者自身が不安になり、寂しい思いをするばかりではなく、病気治療に関しての手続きを妨げることもあった。
【0013】
また、患者自身が薬を服用したか否か確認でき、家族や周囲の人も薬が服用しているか否か確認出来て、尚且つ、緊急時には周囲の人も病状を素早く把握出来できる様に、病名、罹りつけの病院、主治医、患者自身が服用している薬剤のお薬手帳、保険証、診察券、医療明細書、領収書、及び家族・友人・知人などの連絡先等、患者に関する全ての資料など保存できる物が必要だった。
【0014】
四角い箱型であって、天井面と底面の全域及び左右両側面の一部領域は固定的に閉じられているが、前面と後面は壁がなく全面開口してあり、その中に、上3段・下3段合わせて6段の引き出しが重ね組み合わせて設置され、全体が透明な素材で形成されるところの薬剤
及び書類資料の分納保管箱である。
【0015】
引出しは、上3段は薬剤収納庫
であり、その各段は日曜日から土曜日までの一日分ずつを別々に収納保管しておく7つの部屋に仕切られてミニ薬剤保管室を成し、下3段は書類資料収納庫
であり、その各段は書類資料保管室を成すが、これらの引き出し
の内、下3段は前面側及び後面側のどちらからも引き出
すことができ、各段ごとにそれぞれの中央部に取っ手が設けられ、前後対称に形成され
ている。
【0016】
下3段
の左右の面は、連続的一体の底板から起立した両面を成
している。
上3段は、各段共に前後の中間域において分断され、その中間域に、引き出し
に対し直交的に、
引き出し3段の高さで分離する器具収納庫が設置され、各段の引き出しは、器具収納庫を挟んで背中合わせに、前面側と後面側別々のミニ薬剤保管室を成す。器具収納庫は左右側面に設けられた取っ手を持って、左右どちら側からも引き出せる様に左右対称に形成され
ている。そのため、全体的な箱体の左右の閉じられた側面は、器具収納庫に当たる領域に限って、一部開口した形で形成され
ている。
【0017】
箱体の前面側と後面側においては、共に等しく、天井面の
縁中央部に一端を止め固定された細長の枠状ストッパーが下方に伸びて、最下段引き出しの上縁で留め外しできるように設置され、枠状ストッパーは留めセットされた時も、出っ張った引き出しの取っ手の上に蔽い被さることはなく、自ずと取っ手の両脇を添うように形設されており、引き出しの脱落を防ぐ。
【0018】
箱体の左右の側面においては共に等しく、最上段縁の中央部に一端を止め固定された簡易ストッパーが、器具収納庫の上縁を留め外しできるように設置され、簡易ストッパーを解除すれば、器具収納庫は左右どちらからも引き出すことができる。また、同じ側面の最下部域において、最下段の引き出しの高さに相当する深さで、壁面から幅を持つポケットが形設され
ており、壁面に向き合うポケット外塀は、中央部を、下から3段目の引き出しの上縁近くまで立ち昇らせ、その左右脇は低く保つ形に形成され
ている。
【0019】
天井面の中央域には、非使用時に前後いずれかに倒して収納し、使う時だけ起ち上げて使用する持ち手が設置され、持ち手を倒した時に、持ち手の厚み分だけ天井面に沈んでしまうように収納溝が設けられ
ている。
以上を特徴とする薬剤
及び書類資料の分納保管箱である。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように本発明による薬剤
及び書類資料の分納保管箱の薬剤収納庫には一回服用分の薬剤が保管されるミニ薬剤保管室があり、服用すれば保管室の薬剤が空になり、服用したか否かが分かる様になっており、飲み忘れや二重の服用を未然に防ぐ事も出来る。また、箱の全体が透明素材なので、家族や周囲の人も保管室を外見からでも服用したか否かが確認出来、薬剤の服用弊害も防止することが出来る。
【0021】
薬剤収納庫の引き出しを三段以上に重ね、上段、中断、下段の各段には、縦に朝、昼、夜、の3回分(または4段の場合は、朝、昼、夜、就寝前の4回分)、薬剤収納庫の各引き出しは、7室に区分けされたミニ薬剤保管室となっており、日、月、火、水、木、金、土曜日の1週間分の薬剤が収納され、すべて合わせて1週間分の薬剤が収納できる。また、薬剤収納庫は、3段から4段重ねを前後背中合わせに作る事により2倍となり2週間分の薬剤を分別収納出来る。
【0022】
病状によっては錠剤ばかりではなく、チューブやジャー容器に入った塗り薬、貼り薬や吸入器等も別々の袋に入れて渡される場合もある。そのため保管場所も錠剤とは別々に保管してしまい、必要な時にあわてて探さねばならないが、薬剤収納庫と器具等収納庫を区分けして一体化する事により、薬剤収納庫に収納出来ないチューブやジャー容器、吸入器なども一緒に保管することが出来る。
【0023】
薬剤収納庫・器具等収納庫の下には、書類資料収納庫の引き出しも複数段に重ね分けされており、緊急時に必要な診察券、保険証、お薬手帳、診療明細書、調剤明細書、医療明細書、血圧、糖尿病などの記録帳などが収納出来る。緊急時に患者の容態について聞かれる場合があるが、周囲の人が病状について説明が出来なくとも、薬剤
及び書類資料の分納保管箱に保管されている書類を見せるだけで、患者自身の病状経過等を簡単に把握させることが出来、有効敏速な緊急処置によって大事に至らないで済む。
【0024】
書類飼料収納庫も設けてあり、病院から渡される薬剤や医療費明細書、診療明細書、領収書などの資料も、全て一つの分納保管箱に収納出来るため、毎年の医療控除の申請時にも戸惑うことがない。
【0025】
薬剤
及び書類資料の分納保管箱の両側面の最下部域にはポッケットを設けてあり、緊急時に備え、周囲の人にもすぐ分かるように患者自身の氏名、住所、病名、通院中の病院名、主治医等の連絡先等が書いてあるメモ等を保管出来るので、緊急時には迅速に対応出来るようになっている。
また、ポケットは両側面に付いており、片方には、家族・友 人・知人等の連絡先と分けて保管することができ、家族等にも即座に連絡を取ることが出来る。そのため患者自身の容態もいち早く伝えることも可能であり、後処理もスムーズに行うことができ、患者自身が余計な心配をすることもなく、安心して治療を受けられる。
ポケット外塀の中央部は高く・両脇は低く形成してあるので、差し込んである資料紙片の背丈が高いものでも外にこぼれ落ちる心配がなく、紙片の背丈が低いものでも、手の指先が内底まで届いて簡単にとりだすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の説明に用いる主要な各面を示す斜視図
【0027】
四角い箱
体であって、天井面(1)と底面(2)の全域及び左右両側面(3a,3b)の一部領域は固定的に閉じられているが、前面(4)と後面(5)は壁がなく全面開口してあり、その中に、上3段・下3段
の合わせて6段の引き出しが重ね組み合わせて設置され、全体が透明な素材で形成され
ているところの薬剤
及び書類資料の分納保管箱である。
【0028】
引出しは、上3段は薬剤収納庫(6)
であり、その各段は日曜日から土曜日までの一日分ずつを別々に収納保管しておく7つの部屋に仕切られてミニ薬剤保管室(7)を成し、下3段は書類資料収納庫(8)であり、その各段は書類資料保管室(9)を成すが、これらの引き出し
の内、下3段は、前面(4)側及び後面(5)側のどちらからも引き出せるように、各段ごとにそれぞれの中央部に取っ手(10)が設けられ、前後対称に形成され
ている。
【0029】
下3段
の左右の面は、連続的一体の底板(11)から起立した両面を成す。
上3段は、各段共に前後の中間域において分断され、その中間域に、引き出しに対し直交的に
、引き出し3段の高さで分離する連続的一体の器具収納庫(12)が設置され、各段の引き出しは、器具収納庫(12)を挟んで背中合わせに、前面(4)側
と後面(5)側別々のミニ薬剤保管室(7)を成す。器具収納庫(12)は左右の側面(3a,3b)に設けられた取っ手(10)を持って、左右どちら側からも引き出せるように左右対称に形成され
ている。そのため、全体的な箱体の左右の閉じられた側面(3a,3b)は、器具収納庫(12)に当たる領域に限って、一部開口した形で形成され
ている。
【0030】
前面(4)側と後面(5)側においては、共に等しく、天井面(1)縁の中央部に一端を止め固定された細長の枠状ストッパー(13)が下方に伸びて、最下段引き出しの上縁で留め外しできるように設置され、枠状ストッパー(13)は留めセットされた時も、出っ張った引き出しの取っ手(10)の上に蔽い被さることはなく、取っ手(10)の両脇を添うように形設され
ており、引き出しの脱落を防ぐ。
【0031】
左右の側面(3a,3b)においては共に等しく、天井面(1)縁の中央部に一端を止め固定された簡易ストッパー(14)が、器具収納庫(12)の上縁を留め外しできるように設置され
ており、簡易ストッパー(14)を解除すれば、器具収納庫(12)は左右どちらからも引き出すことができる。また、同じ側面の最下部域において、最下段の引き出しの高さに相当する深さで、壁面から外へ約5ミリの幅を持つポケット(15)が形設され、壁面に向き合うポケット外塀(16)は、中央部を、下から3段目の引き出しの上縁近くまで立ち昇らせ、その左右脇は低く保つ形に形成され
ている。
【0032】
天井面(1)の中央域には、非使用時に前後いずれかに倒して収納し、使う時だけ起ち上げて使用する持ち手(17)が設置され、持ち手(17)を倒した時に、持ち手(17)の厚み分だけ天井面(1)に沈んでしまうように収納溝18)が設けられ
ている。
本発明は、以上のような構成であり、ほぼ全体が透明素材なので、
使用時にいちいち引き出しを引っ張り出さずとも、外から中の収納物が確認できる。
【0033】
1 天井面, 2 底面, 3a 左側面, 3b 右側面,
4 前面, 5 後面, 6 薬剤収納庫, 7 ミニ薬剤保管室,
8 書類資料収納庫, 9 書類資料保管室, 10 取っ手,
11 底板, 12 器具収納庫, 13 枠状ストッパー,
14 簡易ストッパー, 15 ポケット, 16 ポケット外塀,
17 持ち手, 18 収納溝