特許第6131418号(P6131418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131418
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/36 20060101AFI20170515BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20170515BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   H01F27/36 B
   H01F38/14
   H05K9/00 M
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-257233(P2012-257233)
(22)【出願日】2012年11月26日
(65)【公開番号】特開2014-107322(P2014-107322A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】川原井 貢
【審査官】 久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/129704(WO,A1)
【文献】 特開平11−207024(JP,A)
【文献】 特開2011−211337(JP,A)
【文献】 特開2003−045731(JP,A)
【文献】 特開2011−016266(JP,A)
【文献】 特開2006−101370(JP,A)
【文献】 特開2012−199504(JP,A)
【文献】 特開2009−182062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/00−1/44、3/00−3/14
H01F 17/00−19/08、27/24−27/26
H01F 27/36、30/00−38/18、38/42、41/02
H01Q 1/00−1/10、1/27−1/52、5/00−11/20
H02J 7/00、50/10−50/12
H04B 5/00−5/06
H05K 9/00
G06K 19/00−19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部および凸部をそれぞれ有する複数の磁性ピースが面状に並んで配置されてなる磁性シートと、前記磁性シートの厚み方向を巻軸方向とするコイルと、前記コイルに交流電流を通電する回路基板と、を含む電子機器であって、
前記磁性シートにおける前記磁性ピースの前記凸部が、隣接する他の前記磁性ピースの前記凹部と嵌合し、前記磁性ピースと前記他の磁性ピースとは前記凸部の突出方向に沿って互いにずれ合った位置に配置されており、
前記凸部のうち突出方向を延在方向とする端面と、前記凹部のうち凹方向を延在方向とする端面と、が互いに面接触していることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記磁性ピースの並び方向に延在する任意の線分上に位置する少なくとも一の前記磁性ピースと、前記一の磁性ピースに隣接する他の磁性ピースと、が、前記並び方向を突出方向とする前記凸部または前記並び方向を凹方向とし前記凸部と嵌合する前記凹部をそれぞれ有する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
隣接する前記磁性ピースが互いに同一形状をなしている請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記凸部の先端縁または前記凹部の最深縁の少なくとも一方が面取りされていて前記磁性シートの湾曲時に前記先端縁または前記最深縁の他方と干渉しないように構成されている請求項1からのいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
複数の前記磁性ピースを表面に被着させて固定する粘着シートを更に含む請求項1からのいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記磁性ピースの周縁を囲う可撓性の額縁部材を更に含む請求項1からのいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の磁性ピースが面状に並んで配置された磁性シート、この磁性シートを含む電子機器、および磁性シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触給電装置や放射ノイズ吸収体、通信アンテナなど種々の電子機器の薄型化や可搬性の向上の要求から、薄くて可撓性のある磁性シートが望まれている。
【0003】
この種の技術に関し、特許文献1には、基材に貼り付けたフェライト焼結体シートを引き延ばして破断させることによりタイル状の個片に分割し、個片同士の隙間に樹脂を充填した磁性シートが開示されている。これにより、実効透磁率の値を広い範囲で制御することが可能で薄型の磁性シートが得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−233740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の磁性シートは磁性シートが撓んだときに個片間にギャップが発生して磁気特性が劣化するという問題がある。図8は特許文献1の磁性シート200の課題を示す模式図である。図8(a)は磁性シート200が平坦な状態を示し、図8(b)は磁性シート200が湾曲した状態を示している。磁性シート200は、基材210の上にタイル状の個片(磁性ピース220、221)を並べて配置したものである。図8(a)に示すように基材210が平坦なときは、隣接する磁性ピース220、221の端面230、231は互いに面接触しているか、または近接して対向している。図8(b)に示すように基材210が湾曲すると、磁性ピース220、221の境界位置で基材210が伸張し、端面230、231の間にギャップ240が生じる。より具体的には、端面230、231のうち基材210に近接する側(図中、下方)にギャップ240が生じ、端面230、231の上縁は線接触となる。このため、磁性ピース220、221の連結状態は不安定になる。
【0006】
ここで、隣接する磁性ピース220、221の間にギャップ240が生じて面接触状態が失われると、磁性シート200の磁気回路が遮断され、磁束の捕捉性が低下する。このため、特許文献1の磁性シート200は、湾曲すると不測に磁気特性が劣化するという問題がある。
【0007】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、湾曲しても磁気特性が劣化することが少ない磁性シートおよびその製造方法、ならびに磁性シートを備える電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、凹部および凸部をそれぞれ有する複数の磁性ピースが面状に並んで配置されてなる磁性シートと、前記磁性シートの厚み方向を巻軸方向とするコイルと、前記コイルに交流電流を通電する回路基板と、を含む電子機器であって、前記磁性シートにおける前記磁性ピースの前記凸部が、隣接する他の前記磁性ピースの前記凹部と嵌合し、前記磁性ピースと前記他の磁性ピースとは前記凸部の突出方向に沿って互いにずれ合った位置に配置されており、前記凸部のうち突出方向を延在方向とする端面と、前記凹部のうち凹方向を延在方向とする端面と、が互いに面接触していることを特徴とする電子機器が提供される。
【0009】
上記発明によれば、磁性シートが上記の延在方向に湾曲したとき、隣接する磁性ピース同士が面接触したまま相対回転することができるため、磁性ピースの物理的な接触が維持される。このため、少なくとも上記延在方向の湾曲に対して磁性シートの磁気特性を安定に維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、湾曲しても磁気特性が劣化することが少ない磁性シートおよびその製造方法、ならびに磁性シートを備える電子機器が提供される。これにより、磁性シートを備える電子機器の薄型化、繰り返し耐久性、ユーザビリティなどが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は第一実施形態の磁性シート100を示す平面模式図であり、(b)は(a)の拡大図である。
図2】(a)は磁性ピースの斜視図であり、(b)は凸部の近傍の拡大図である。
図3】(a)は凹部と凸部の嵌合状態を模式的に示す斜視図であり、(b)は磁性シートがX方向に湾曲した状態を模式的に示す斜視図であり、(c)は(a)の平面図である。
図4】(a)は曲げ角度を変化させた場合の第一実施形態の磁性シートの実効透磁率のシミュレーション結果のグラフであり、(b)は曲げ角度を変化させた場合の従来の磁性シートの実効透磁率のシミュレーション結果のグラフである。
図5】電子機器の一部切欠平面図である。
図6】磁性シートの製造方法における切削工程を示す平面模式図である。
図7】(a)は第二実施形態の磁性シートを示す平面模式図であり、(b)はピース群を示す説明図である。
図8】(a)は従来の磁性シートが平坦な状態を示す模式図であり、(b)は従来の磁性シートが湾曲した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0015】
本実施の形態では上下方向を規定して説明する場合があるが、これは構成要素の相対的な位置関係を説明するために便宜的に規定するものであり、本発明に係る製品の製造時や使用時の方向を限定するものではない。また、本発明でいう面または面状とは、およそ平坦と認識しうる形状を意味するものであり、幾何学的に完全な平面であることを要するものではない。
【0016】
<第一実施形態>
図1(a)は本発明の第一実施形態の磁性シート100を示す平面模式図である。図1(b)は図1(a)の拡大図である。図1(a)および(b)において、図中の左右方向をX方向、同じく上下方向をY方向と呼称する。図2(a)は磁性ピース20の斜視図である。図2(b)は磁性ピース20〜22における凸部50の近傍の拡大図である。図1各図においては、説明のため、磁性ピース20〜22にハッチングを付してある。
【0017】
はじめに、本実施形態の磁性シート100の概要について説明する。
磁性シート100は、複数の磁性ピース20、21が面状に並んで配置されてなり、以下の(A)および(B)の条件を共に満たすことを特徴とする。
(A)隣接する磁性ピース20の端面30と磁性ピース21の端面31とは互いに面接触している。
(B)隣接する磁性ピース20と21とは、この面接触している端面30、31の延在方向(図1各図ではX方向)に沿って互いにずれ合った位置に配置されている。
【0018】
磁性ピース20と21は、図1(a)の左右方向(X方向)に隣接している。本実施形態の磁性シート100においては、さらに、磁性ピース20と22とが図1(a)の上下方向(Y方向)に隣接している。すなわち、磁性ピース20〜22は、直交する二方向に亘って、上記の(A)および(B)の条件を共に満たしている。
【0019】
次に、本実施形態の磁性シート100について詳細に説明する。
磁性シート100は、全体にシート状をなし、その少なくとも一部が磁性ピース20〜22により構成された電子部品である。磁性シート100の平面視形状は特に限定されず、円形でも矩形(正方形を含む)でもよい。本実施形態の磁性シート100の平面視形状は矩形状であり、四つの辺80〜83はX方向またはY方向に延在している。
【0020】
磁性ピース20〜22は、個片状に成形されたフェライト焼結体である。一例として、その比透磁率(μ)は100以上2000以下である。磁性ピース20〜22のヤング率は、一例として、1×10[N/mm]以上である。磁性ピース20〜22の曲げ剛性は、磁性シート100の全体の曲げ剛性よりも顕著に(たとえば100倍以上)高い。磁性ピース20〜22の表面には保護層を設けてもよい。また、隣接する磁性ピース20〜22同士の間には無機または有機のフィラーを充填してもよい。フィラーとしては、磁性体粉末、または磁性体粉末を混練した樹脂材料を例示することができる。なお、本実施形態において磁性ピースの端面同士が面接触しているとは、当該端面の素地または保護層同士が平面的かつ物理的に接触している状態のほか、フィラーを介在して端面同士が物理的に接続されている状態を含む。
【0021】
磁性シート100は、複数の磁性ピース20〜22を表面に被着させて固定する粘着シート10を備えている。粘着シート10は磁性シート100の基材である。粘着シート10には、ポリオレフィンまたはポリエステルなどの樹脂材料に磁性粉末を混合した磁性フィルムを用いることができる。粘着シート10のヤング率は磁性ピース20〜22のヤング率よりも低く、その10%未満が好ましい。粘着シート10の厚み寸法は特に限定されないが、磁性シート100の柔軟性を高める観点から磁性ピース20〜22の厚み寸法よりも小さいことが好ましく、その50未満がより好ましい。粘着シート10の表面には粘着加工が施されており磁性ピース20〜22を貼着可能である。
【0022】
磁性シート100は、磁性ピース20〜22の周縁を囲う可撓性の額縁部材60を備えている。額縁部材60には、ゴムなどの軟質樹脂材料を用いることができる。額縁部材60のヤング率は磁性ピース20〜22のヤング率よりも低い。額縁部材60を設けることにより、磁性ピース20〜22のX方向またはY方向の位置ずれを抑制し、また磁性ピース20〜22を物理的に保護することができる。額縁部材60は、磁性ピース20〜22の配置領域の全周を隙間無く囲うことが好ましいが、これに限られない。磁性ピース20〜22を保持しうるかぎり、額縁部材60を間欠的に設けてもよい。
【0023】
本実施形態の磁性ピース20〜22は互いに同一形状をなしている。同一形状とは、寸法および形態が実質的に同一であることをいう。磁性ピース20〜22は平坦な板状をなし、中央部42、凹部40および凸部50を備えている。凸部50は中央部42の両側(図2(a)ではX方向)に突出形成されている。磁性ピース20〜22は、凸部50と直交する方向に突出する延出部44を備えている。凹部40は、X方向に並ぶ一対の延出部44の間隙である。Y方向に突出する延出部44の突出長さは、X方向に突出する凸部50の突出長さと等しい。中央部42を中心としてY方向の両側に一対の延出部44がH字状にそれぞれ突出形成されている。したがって、磁性ピース20〜22は、合計二対の延出部44を備えている。
【0024】
本実施形態において、凸部50の突出方向がX方向を向いている磁性ピースを第一の磁性ピース20と呼称する。そして、凸部50の突出方向がY方向を向いている磁性ピースを第二の磁性ピース21と呼称する。ただし、第一の磁性ピース20を基準として、その凸部50と嵌合する凹部40をもつピースを第二の磁性ピース21といい、当該第一の磁性ピース20の凹部40と嵌合する凸部50をもつピースを第三の磁性ピース22と呼んで便宜上区別する場合がある。
【0025】
磁性ピース20〜22は、凹部40および凸部50をそれぞれ有している。磁性ピース20の凸部50は、隣接する他の磁性ピース21、22の凹部40と嵌合する。凸部50のうち突出方向を延在方向とする端面30と、凹部40のうち凹方向(Y方向)を延在方向とする端面32と、は互いに面接触している。本実施形態において、磁性ピースの端面とは、磁性ピースの外面のうち磁性シートの厚み方向に延在する立面であり、言い換えると磁性ピースの周面の一部領域をいう。端面は平坦面でもよく、凸部50の先端縁51のように面取り加工が施されるなどして形成された曲面でもよい。
【0026】
第一の磁性ピース20は、延在方向が互いに交差する第一の端面30および第二の端面32を有している。本実施形態では、第一の端面30はX方向に延在し、第二の端面32はこれと直交するY方向に延在している。第一の磁性ピース20における第二の端面32は、第二の磁性ピース21における端面31に対応している。また、第一の磁性ピース20における第一の端面30は、第三の磁性ピース22における端面33に対応している。
図1(b)に示すように、第一の磁性ピース20の第一の端面30は、隣接する第二の磁性ピース21の端面31と互いに面接触している。そして第一の磁性ピース20および第二の磁性ピース21は、第一の端面30の延在方向(X方向)に沿って互いにずれ合った位置に配置されている。またさらに、第一の磁性ピース20の第二の端面32は、隣接する第三の磁性ピース22の端面33と互いに面接触している。そして第一の磁性ピース20および第三の磁性ピース22は、第二の端面32の延在方向(Y方向)に沿って互いにずれ合った位置に配置されている。
これにより、第一の磁性ピース20と第二の磁性ピース21、さらに第一の磁性ピース20と第三の磁性ピース22は、それぞれ、上記の(A)および(B)の条件を満たす。
【0027】
本実施形態の磁性ピース20〜22は、隣接する他の1つの磁性ピースに対して、X方向に延在する端面およびY方向に延在する端面の両方で対向している。
【0028】
本実施形態によれば、磁性シート100がX方向に湾曲した場合も、Y方向に湾曲した場合も、隣接する磁性ピース20〜22の端面30〜33が互いに面接触した状態を維持するため磁気特性が安定する。ここで、磁性シート100がX方向に湾曲するとは、後述する図3(b)にて示すように、X方向の一方側が他方側よりも持ち上がるようにして湾曲することをいう。言い換えると、Y方向を折り目または曲げ軸として磁性シート100を湾曲させることをいう。なお、本発明においては湾曲と屈曲とを区別しない。
【0029】
本実施形態において、隣接する磁性ピース20〜22同士が所定の方向に互いにずれ合っているとは、当該隣接する磁性ピース20〜22の重心が当該所定の方向に異なる位置にあることをいう。より具体的は、X方向に隣接する磁性ピース20と21のX方向の重心位置は互いに異なる。そして、Y方向に隣接する磁性ピース20と22のY方向の重心位置は互いに異なっている。
【0030】
図2(a)に示すように、凸部50の先端縁51または凹部40の最深縁41の少なくとも一方が面取りされている。これにより、磁性シート100は、湾曲時にこの先端縁51または最深縁41の一方と他方とが干渉しないように構成されている。ここで、凸部50の先端縁51と凹部40の最深縁41とが干渉しないとは、両者が互いに接触しないか、または実質的に摩擦なく滑らかに摺動する。具体的には、図2(b)に示すように本実施形態では凸部50の先端縁51が厚み方向に弧状に面取り(R面取り)されている。そして、磁性シート100が平坦な状態で凸部50の先端縁51と凹部40の最深縁41とは非接触である。これにより、先端縁51が最深縁41に干渉しないだけでなく、磁性シート100が湾曲したときに先端縁51が粘着シート10(図3(b)を参照)を損傷することがない。
【0031】
本実施形態の磁性ピース20〜22においては、凹部40の両側に位置する延出部44の先端縁45にも面取り(R面取り)が施されている。これにより、磁性シート100が湾曲したときに、延出部44の先端縁45は、隣接する他の磁性ピースに干渉しない。
【0032】
なお、凸部50の先端縁51に連なる端面30は平坦に形成されており、凸部50の幅方向(すなわちY方向)には面取りされていない(図2(b)を参照)。これにより、磁性ピース20の凸部50の側面にあたる端面30の略全体が、磁性ピース21の凹部40の内面にあたる端面31に対して面接触する。
【0033】
図3(a)は凹部40と凸部50の嵌合状態を模式的に示す斜視図である。同図は磁性シート100が平坦な状態を示している。延出部44は一部図示省略してある。図3(b)は磁性シート100がX方向に湾曲した状態を模式的に示す斜視図である。粘着シート10はX方向の一方側(同図の場合、右側)が持ち上がるようにして湾曲している。図3(c)は、図3(a)の平面図である。
【0034】
図3(a)および(c)に示す平坦状態で、凸部50の両側の端面30は、凹部40の両側の端面31に対して面接触する。すなわち、凸部50と凹部40の幅方向(Y方向)の寸法は等しい。また、延出部44の先端縁45は磁性ピース20に対して非接触であり、凸部50の先端縁51は凹部40の最深縁41に対して非接触である。
【0035】
平坦状態から、磁性ピース20が磁性ピース21に対してY方向を軸として相対的に回動したのが図3(b)の湾曲状態である。湾曲状態で、端面30と31との面接触は維持されている。すなわち、凸部50と凹部40とは面接触したままヒンジ揺動する。磁性ピース21と20との為す角を曲げ角度θとする。磁性ピース20と21とは、互いに対向する面(先端縁51および最深縁41)に垂直な接触面(端面30、31)を有している。これにより、磁性ピース20と21が当該端面30、31の面内で相対回動するように磁性シート100が湾曲した場合に、磁性ピース20と21の面接触状態を維持することができる。
【0036】
平坦状態における端面30と31の接触面積は、湾曲状態における接触面積よりも小さくてもよい。一般に磁性ピース20と22との接触面積は磁性シート100の磁気特性のボトルネックではない。このため、磁性ピース20と22とが面接触状態を維持しているかぎり、その接触面積が小さくとも、磁性シート100の磁気特性は有意に劣化しない。
【0037】
図4(a)は、図3(b)に示す湾曲状態において曲げ角度θを0度から45度まで変化させた場合の磁性シート100の実効透磁率μを示すシミュレーション結果のグラフである。曲げ角度θ=0度の状態は、図3(a)に示す平坦状態に相当する。図4(b)は、図8(b)に示す湾曲状態において曲げ角度θを0度から45度まで変化させた場合の、従来の磁性シート200の実効透磁率μのシミュレーション結果のグラフである。凹部40および凸部50の有無を除き、磁性ピース20、21と磁性ピース220、221の寸法および比透磁率の条件は共通とした。また、粘着シート10および基材210は無視した。
【0038】
図3(a)に示す本実施形態の磁性シート100は、磁性ピース20の凸部50の先端縁51や磁性ピース21の延出部44の先端縁45が面取り加工されているため、曲げ角度θ=0度における実効透磁率μは約900であり、従来の磁性シート200における実効透磁率μ(約1050)よりも僅かに低い。従来の磁性シート200は、図8(a)に示すように磁性ピース220、221の略全面で基材210を覆っているためである。
【0039】
これに対し、曲げ角度θを0度から大きくすると、従来の磁性シート200は実効透磁率μが急落する。具体的には、θ=10度で約250、θ=30度で約100まで低下する。平坦状態を基準にすると、従来の磁性シート200は、θ=10度で約24%、θ=30度で約10%まで低下する。
【0040】
一方、本実施形態の磁性シート100では、曲げ角度θを0度から大きくしていっても実効透磁率μの低下は緩やかである。具体的には、θ=10度で約820、θ=30度でも約550の実効透磁率μが維持されることが分かる。平坦状態を基準にすると、本実施形態の磁性シート100は、θ=10度で約91%、θ=30度で約61%の実効透磁率μが残存する。
【0041】
このように、本実施形態の磁性シート100においては、磁性ピース20〜22が互いに面接触したままヒンジ揺動することで、磁気特性を大きく劣化させることなく磁性シート100を湾曲させることができることが分かった。このため、磁性シート100の磁気特性を維持したまま柔軟性を高めることが可能である。
【0042】
図1(a)に戻り、第一の磁性ピース20は隙間無く千鳥状に配置されている。ここで、磁性ピース20〜22の並び方向(X方向およびY方向)に延在する任意の線分L1、L2・・・(二点鎖線で図示)を仮想する。この線分L1、L2は、磁性シート100の辺80〜83に対して任意の位置で直交する線分である。本実施形態の磁性シート100は、線分L1、L2上に位置する少なくとも一の磁性ピース20と、この一の磁性ピース20に隣接する他の磁性ピース21または22と、が上記(A)および(B)の条件を共に満たしている。このため、本実施形態の磁性シート100は、X方向またはY方向のいずれの位置を折り目として湾曲させたときも、第一の磁性ピース20と第二または第三の磁性ピース21、22とが面接触を維持することができる。特に本実施形態の磁性シート100は、X方向およびY方向の複合的な湾曲も含め、磁性シート100があらゆる方向に湾曲したときも、隣接する磁性ピース20〜22同士が全体的に面接触した状態を維持することができる。
【0043】
磁性シート100のうち周縁に位置する磁性ピース20〜22の外周縁は平坦に形成されているとよい。このため、周縁の磁性ピース20〜22に関しては凸部50を除去するとよい。また、額縁部材60に向かって開口する凹部40には、矩形の補充ピース24を任意で配置してもよい。補充ピース24には、磁性ピース20〜22から切除した凸部50を用いてもよい。
【0044】
<電子機器>
図5は本実施形態の磁性シート100を含む電子機器120の一部切欠平面図である。電子機器120の表層の保護シート130の一部を切り欠いて図示してある。保護シート130の破断線を一点鎖線で示す。
【0045】
電子機器120は、磁性シート100と、この磁性シート100の厚み方向を巻軸方向とするコイル140と、コイル140に交流電流を通電する回路基板150と、を含む。本実施形態の電子機器120は非接触給電装置である。
【0046】
磁性シート100の表面には、複数のコイル140が一層または多層に配列されている。本実施形態の電子機器120においては、コイル140は磁性シート100の表面に固定されている。回路基板150は、給電端子152と、この給電端子152とコイル140とを接続する配線154とを備えている。
【0047】
給電端子152を外部電源(図示せず)に接続してコイル140に交流電流を通電することでコイル140には交番磁界が発生する。コイル140は送電コイルである。ここで、コイル140が発する磁束を磁性シート100が捕捉および増幅する。電子機器120の表面に受電コイルを含む被充電機器(図示せず)を載置すると、当該被充電機器は無接点充電される。
【0048】
本実施形態に代えて、磁性シート100の表面に沿ってコイル140を駆動する駆動機構(図示せず)を設け、コイル140を磁性シート100に対して非固定に設置してもよい。駆動機構を制御して、被充電機器の載置場所にコイル140を移動させ、電子機器120の全体ではなく局所的に交番磁界を発生させてもよい。
【0049】
本実施形態の磁性シート100は、上記に例示した非接触給電装置のほか、放射ノイズ吸収体、通信アンテナ、スピーカーなど、各種の電子機器に用いることができる。
【0050】
<製造方法>
以下、磁性シート100の製造方法(以下、本方法という場合がある。)を説明する。図6は本方法における切削工程を示す平面模式図である。本方法においては、第二の磁性ピース21と第三の磁性ピース22とを区別しない。図6においては、説明のため、磁性ピース20、21にハッチングを付してある。
【0051】
はじめに、本方法の概要について説明する。
本方法は、複数の磁性ピース20、21が面状に並んで配置されてなる磁性シート100の製造方法である。本方法は、ピース作成工程、配置工程および切削工程を含む。ピース作成工程は、複数の磁性ピース20、21を作成する工程である。配置工程は、複数の磁性ピース20、21を、端面30、31同士が面接触するとともにこれらの端面30〜33の延在方向に沿って互いにずれ合った位置に配置する工程である。切削工程は、磁性ピース20〜22を切削して磁性シート100の周縁部を作成する工程である。
【0052】
以下、本方法をより具体的に説明する。本方法においては、ピース作成工程、配置工程および切削工程を実行する順番やタイミングは任意である。複数の工程の順番は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の工程の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
【0053】
ピース作成工程では、磁性グリーンシートの焼成後にプレス機械や金型を用いてこれを切断し、同一形状の磁性ピース20、21を多数作成する。磁性グリーンシートは、磁性粉体をバインダ樹脂中に分散させて延伸した未焼成のシートである。ピース作成工程では、個片上に切断された磁性ピース20、21の凸部50の先端縁51および延出部44の先端縁45を研磨により面取り加工する。
【0054】
配置工程では、図6に示すように、粘着シート10の上面に、磁性ピース20と21との向きが縦横に互い違いになるように並べて配置するとともに、凹部40と凸部50とを嵌合させる。粘着シート10の上面には粘着加工が施されており、磁性ピース20、21は粘着シート10に対して剥離可能に被着する。磁性シート100に所望の形状および寸法に予め切断された枚葉の粘着シート10に磁性ピース20、21を配置してもよい。または、ロールシートなどの長尺の粘着シート10を用意し、その上に磁性ピース20、21の配置領域を複数箇所に亘って多面づけで形成し、後記の切削工程で所望の形状および寸法に切り出して磁性シート100を作成してもよい。
【0055】
切削工程では、ダイサーを用いて、カットラインCLにて粘着シート10および磁性ピース20、21を切断する。磁性ピース20、21の凸部50が切断される。その後、切断された凸部50を粘着シート10から剥離し、補充ピース24として凹部40の内部に配置する(図1(a)を参照)。このようにして磁性ピース20、21の配列領域を矩形に成形する。さらに、磁性ピース20、21の外周を縁取るように溶融樹脂を供給し、これを硬化させて額縁部材60を作成する。
【0056】
以上により、本実施形態の磁性シート100が作成される。上記の製造方法は、磁性ピースを作成するピース作成工程において、焼成された磁性グリーンシートを切削して磁性ピースを個別に作成した後に、磁性ピースを配置する配置工程において、個別に作成された上記の磁性ピースを配列するものである。その変形例として、ピース作成工程において、未焼成の磁性グリーンシートを、磁性ピース20、21に対応する形状に切削した後に、この切削された磁性グリーンシートを焼成して磁性ピース20、21を作成してもよい。
【0057】
また、ピース作成工程と配置工程を同時に実行してもよい。すなわち、焼成された板状の磁性体を切削して上記(A)および(B)の条件を共に満たすように複数の磁性ピース20、21を作成することにより、ピース作成工程と配置工程とを同時に実施してもよい。ここで、ピース作成工程と配置工程とを同時に実施するとは、両工程の実施タイミングの少なくとも一部が時間的に重複していることをいう。
【0058】
<第二実施形態>
図7(a)は本実施形態の磁性シート100を示す平面模式図であり、図7(b)はピース群70を示す説明図である。本実施形態の磁性シート100は、その磁性ピース20〜22が長辺34と短辺35をもつ矩形状をなしている点と、隣接する磁性ピース20〜22が長辺34の方向を交差させて配置されている点で第一実施形態と相違する。説明のため、図7(a)の一部の磁性ピース20〜22にハッチングを付してある。
【0059】
磁性ピース20〜22は所定の厚みをもつ矩形の板材からなる。磁性ピース20〜22の側周面は、長辺34に対応する長側面と短辺35に対応する短側面とで構成されている。以下、長辺34に対応する長側面を本実施形態の端面30と呼称し、短辺35に対応する短側面を端面31と呼称する。
【0060】
すると、本実施形態の磁性シート100は、複数の磁性ピース20、21が面状に並んで配置されてなり、以下の(A)および(B)の条件を共に満たす点で第一実施形態と共通することとなる。
(A)隣接する磁性ピース20の端面30と磁性ピース21の端面31とは互いに面接触している。
(B)隣接する磁性ピース20と21とは、この面接触している端面30、31の延在方向(図7各図ではX方向)に沿って互いにずれ合った位置に配置されている。
【0061】
これにより、面接触している端面30、31の延在方向(X方向)に磁性シート100が湾曲しても、この湾曲は端面30、31の面内で発生することになるため、磁性ピース20と21との面接触が維持される。このため、磁性シート100が当該方向に湾曲しても磁気特性は有意に劣化しない。
【0062】
図7(a)に示す第二の磁性ピース21の重心は、第一の磁性ピース20の重心に対して、X方向にもY方向にも異なる位置にある。すなわち、第一の磁性ピース20と第二の磁性ピース21とはX方向にもY方向にも互いにずれ合った位置に配置されている。同様に、第一の磁性ピース20と第三の磁性ピース22とは、X方向にもY方向にも互いにずれ合った位置に配置されている。なお、第二の磁性ピース21と第三の磁性ピース22の形状および配置の向きは共通であり、両者は便宜上区別するものである。
【0063】
第二実施形態は以下の点でも第一実施形態と共通する。
まず、磁性ピース20(第一の磁性ピース)は、延在方向が互いに交差する第一および第二の端面30、31を有している。
また、第一の端面30は、隣接する磁性ピース21(第二の磁性ピース)の端面31と互いに面接触しているとともに、第一の磁性ピース20および第二の磁性ピース21は、第一の磁性ピース20における第一の端面30の延在方向(X方向)に沿って互いにずれ合った位置に配置されている。
さらに、第一の磁性ピース20の第二の端面31は、隣接する第三の磁性ピース22の端面30と互いに面接触しているとともに、第一の磁性ピース20および第三の磁性ピース22は、第一の磁性ピース20における第二の端面32の延在方向(Y方向)に沿って互いにずれ合った位置に配置されている。
【0064】
このため、第二実施形態の磁性シート100もまた、X方向およびY方向、ならびにX方向とY方向の複合方向のいずれの湾曲に対しても、磁性ピース20〜22が互いに面接触した状態を維持することができる。
【0065】
本実施形態の磁性シート100では、隣接する磁性ピースの少なくとも一方(たとえば磁性ピース20)を基準として、当該磁性ピースの端面の一部領域を、隣接する他の磁性ピース(たとばえ磁性ピース21)と部分的に共有している。言い換えると、磁性シート100の平面視形状において、互いに隣接する磁性ピース20、21は、所定の方向に延在する稜線を共有し、そしてこれらの磁性ピース20、21は、当該稜線に直交する方向に互いにずれ合っている。
【0066】
図7(b)に示すピース群70は、複数(図示は4つ)の磁性ピース20、21からなるクラスターである。図7(a)に示す本実施形態の磁性シート100は、このピース群70を互いに同一の向きに並べて配置してなる。
本実施形態の磁性シート100を製造するにあたっては、予めピース群70を作成しておくことで、これを同一の向きで粘着シート10に隙間無く並べていくだけで容易に磁性シート100を作成することができる。ピース群70を構成する磁性ピース20、21を、容易に破断可能に仮留めした状態で、ピース群70を粘着シート10に並べて配置してもよい。
【0067】
本発明の磁性シートの各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0068】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)複数の磁性ピースが面状に並んで配置されてなり、以下の(A)および(B)の条件を共に満たすことを特徴とする磁性シート;
(A)隣接する前記磁性ピースの端面同士が互いに面接触している、
(B)隣接する前記磁性ピースは、面接触している前記端面の延在方向に沿って互いにずれ合った位置に配置されている。
(2)第一の前記磁性ピースは、延在方向が互いに交差する第一および第二の端面を有しており、前記第一の端面が、隣接する第二の前記磁性ピースの端面と互いに面接触しているとともに、前記第一および第二の磁性ピースは前記第一の端面の延在方向に沿って互いにずれ合った位置に配置されており、前記第二の端面が、隣接する第三の前記磁性ピースの端面と互いに面接触しているとともに、前記第一および第三の磁性ピースは前記第二の端面の延在方向に沿って互いにずれ合った位置に配置されている上記(1)に記載の磁性シート。
(3)前記磁性ピースの並び方向に延在する任意の線分上に位置する少なくとも一の前記磁性ピースと、前記一の磁性ピースに隣接する他の磁性ピースと、が上記(A)および(B)の条件を共に満たすことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の磁性シート。
(4)隣接する前記磁性ピースが互いに同一形状をなしている上記(1)から(3)のいずれかに記載の磁性シート。
(5)前記磁性ピースが凹部および凸部を有し、前記凸部は、隣接する他の磁性ピースの前記凹部と嵌合し、前記凸部のうち突出方向を延在方向とする端面と、前記凹部のうち凹方向を延在方向とする端面と、が互いに面接触している上記(1)から(4)のいずれかに記載の磁性シート。
(6)前記凸部の先端縁または前記凹部の最深縁の少なくとも一方が面取りされていて前記磁性シートの湾曲時に前記先端縁または前記最深縁の他方と干渉しないように構成されている上記(5)に記載の磁性シート。
(7)複数の前記磁性ピースを表面に被着させて固定する粘着シートを更に含む上記(1)から(6)のいずれかに記載の磁性シート。
(8)前記磁性ピースの周縁を囲う可撓性の額縁部材を更に含む上記(1)から(7)のいずれかに記載の磁性シート。
(9)上記(1)から(8)のいずれかに記載の磁性シートと、前記磁性シートの厚み方向を巻軸方向とするコイルと、前記コイルに交流電流を通電する回路基板と、を含む電子機器。
(10)複数の磁性ピースが面状に並んで配置されてなる磁性シートの製造方法であって、互いに同一形状の複数の前記磁性ピースを作成する工程と、複数の前記磁性ピースを、端面同士が面接触するとともに前記端面の延在方向に沿って互いにずれ合った位置に配置する工程と、前記磁性ピースを切削して前記磁性シートの周縁部を作成する工程と、を含む磁性シートの製造方法。
(11)前記磁性ピースが長辺と短辺をもつ矩形状をなし、隣接する前記磁性ピースが前記長辺の方向を交差させて配置されている上記(1)から(4)のいずれかに記載の磁性シート。
(12)複数の磁性ピースからなるピース群を互いに同一の向きに並べて配置してなる上記(11)に記載の磁性シート。
(13)前記磁性ピースを作成する工程において、焼成された磁性グリーンシートを切削して前記磁性ピースを個別に作成した後に、前記磁性ピースを配置する工程において、個別に作成された前記磁性ピースを配置することを特徴とする上記(10)に記載の磁性シートの製造方法。
(14)前記磁性ピースを作成する工程において、未焼成の磁性グリーンシートを前記磁性ピースに対応する形状に切削した後に、切削された前記磁性グリーンシートを焼成して前記磁性ピースを作成することを特徴とする上記(10)に記載の磁性シートの製造方法。
(15)焼成された板状の磁性体を切削して上記(A)および(B)の条件を共に満たすように複数の前記磁性ピースを作成することにより、前記磁性ピースを作成する前記工程と前記磁性ピースを配置する前記工程とを同時に実施することを特徴とする上記(10)に記載の磁性シートの製造方法。
また、上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(16)第一、第二および第三の磁性ピースを含む複数の磁性ピースが面状に並んで配置されてなる磁性シートと、前記磁性シートの厚み方向を巻軸方向とするコイルと、前記コイルに交流電流を通電する回路基板と、を含む電子機器であって、
前記磁性シートにおける前記第一の磁性ピースは、延在方向が互いに交差する第一および第二の端面を有しており、
前記第一の端面が、前記第一の磁性ピースに隣接する前記第二の磁性ピースの端面と互いに面接触しているとともに、前記第一の磁性ピースおよび前記第二の磁性ピースは前記第一の端面の延在方向に沿って互いにずれ合った位置に配置されており、
前記第二の端面が、前記第一の磁性ピースに隣接する前記第三の磁性ピースの端面と互いに面接触しているとともに、前記第一の磁性ピースおよび前記第三の磁性ピースは前記第二の端面の延在方向に沿って互いにずれ合った位置に配置されている
ことを特徴とする電子機器。
【符号の説明】
【0069】
10:粘着シート、20〜22:磁性ピース、24:補充ピース、30〜33:端面、34:長辺、35:短辺、40:凹部、41:最深縁、42:中央部、44:延出部、45:先端縁、50:凸部、51:先端縁、60:額縁部材、70:ピース群、80〜83:辺、100:磁性シート、120:電子機器、130:保護シート、140:コイル、150:回路基板、152:給電端子、154:配線、200:磁性シート、210:基材、220,221:磁性ピース、230,231:端面、240:ギャップ、θ:曲げ角度、μ:実効透磁率、CL:カットライン、L1,L2:線分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8