(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主カメラからの映像信号を前記モニタ側に転送すると共に前記補助カメラからの映像信号を前記レコーダ側に転送するマルチプレクサを備える請求項1に記載の車両用映像表示システム。
前記ハウジングが、車両のルームミラー自体あるいはルームミラー用支持部に対して取付可能な取付部を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用映像表示システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0012】
[車両用映像表示システム]
図1は、この発明の実施の形態にかかる車両用映像表示システムを示す機能ブロック図である。同図は、車両用映像表示システムの一例として、映像表示装置のモニタとドライブレコーダとを一体化して成る車両用映像表示システムを示している。
【0013】
この車両用映像表示システム1は、車両に搭載されて映像を表示するシステムであり、(1)映像表示機能と、(2)ドライブレコーダ機能との双方を兼ね備える。
【0014】
(1)映像表示機能とは、特に、車両の後方や左右側方などの運転席から目視し難い領域の映像をカメラで取得して、運転席に設置されたモニタに表示する機能である。この機能により、運転席からの車両周囲の安全確認が容易となる。この機能は、例えば、トレーラを牽引するトラクター、貨物室を有する中型商用車、トラック・バスなどの大型車両などにおいて、特に重要である。
【0015】
(2)ドライブレコーダ機能とは、例えば、車両の周囲や車内の様子などの映像をカメラで取得して記録する機能である。この機能により、車両走行時の状況などの事後的な検証が容易となる。一般的なドライブレコーダでは、車両前方の映像を取得して記録する場合が多い。
【0016】
図1に示すように、車両用映像表示システム1は、複数の主カメラ21〜23および補助カメラ24と、映像表示ユニット3と、映像記録ユニット4と、制御ユニット5とを備える。
【0017】
複数の主カメラ21〜23および補助カメラ24は、車両に搭載されて所定の映像を取得する装置である。複数の主カメラ21〜23は、主として上記の映像表示機能を実現し、補助カメラ24は、主として上記のドライブレコーダ機能を実現する。
【0018】
例えば、
図1の構成では、第一主カメラ21、第二主カメラ22および第三主カメラ23と、1つの補助カメラ24とが設置されている。また、第一主カメラ21が、車両の後方を撮影するための後方カメラであり、例えば、車両の荷台の後部中央に設置されている。第二主カメラ22および第三主カメラ23は、車両の左右側方を撮影するための左側方カメラおよび右側方カメラであり、例えば、車両の左右のサイドミラーに設置されている。これらの主カメラ21〜23により、運転席から目視し難い領域の撮像が可能となっている。また、補助カメラ24が、車両の前方を撮影するための前方カメラであり、車体のフロント部に設置されている。この補助カメラ24により、車両走行時における運転席からの視界の撮像が可能となっている。
【0019】
映像表示ユニット3は、表示装置であり、主として上記の映像表示機能を実現する。この映像表示ユニット3は、モニタ31と、モニタコントローラ32と、マルチプレクサ33と、切替スイッチ34とを有する。モニタ31は、例えば、液晶ディスプレイであり、主として主カメラ21〜23からの映像を表示し、必要に応じて、補助カメラ24からの映像を表示する。モニタコントローラ32は、モニタ31の表示を制御する装置であり、モニタ31に接続される。マルチプレクサ33は、複数の主カメラ21〜23および補助カメラ24からの各映像をモニタコントローラ32に選択的に転送する装置(カメラセレクタ)であり、第二主カメラ22、第三主カメラ23、補助カメラ24およびモニタコントローラ32に接続される。切替スイッチ34は、第一主カメラ21とモニタコントローラ32およびマルチプレクサ33との接続を切り替えるスイッチであり、第一主カメラ21、モニタコントローラ32およびマルチプレクサ33に接続される。
【0020】
例えば、
図1の構成では、モニタ31が表示画面を運転席に向けて配置されている。これにより、車両走行時においても、ユーザーがモニタ31の表示画面を容易に視認できる。また、マルチプレクサ33が主カメラ21〜23(必要に応じて補助カメラ24)からの各映像をモニタコントローラ32に同時あるいは選択的に転送し、モニタコントローラ32がこれらの映像をシングルビジョンあるいはマルチビジョンでモニタ31の表示画面に表示させる。これにより、ユーザーが、主カメラ21〜23(必要に応じて補助カメラ24)からの映像をモニタ31の表示画面上で確認でき、また、マルチビジョンにて複数の主カメラ21〜23からの映像を同時に確認できる。また、切替スイッチ34がモニタコントローラ32側に接続する場合には、第一主カメラ21からの映像が直接的にモニタコントローラ32に送られてモニタ31の表示画面にシングルビジョンで表示される。一方で、切替スイッチ34がマルチプレクサ33側に接続する場合には、第一主カメラ21からの映像がマルチプレクサ33に送られ、第一主カメラ21からの映像と他の第二主カメラ22および第三主カメラ23からの映像とがモニタコントローラ32に同時に送られてモニタ31の表示画面にマルチビジョンで表示される。
【0021】
映像記録ユニット4は、記憶装置であり、主として上記のドライブレコーダ機能を実現する。この映像記録ユニット4は、レコーダ41と、外部メモリ42とを有する。レコーダ41は、映像信号を記録するための装置であり、主として補助カメラ24からの映像信号を記録し、必要に応じて、各主カメラ21〜23の映像信号も記録する。このレコーダ41は、例えば、自身でデータを記憶可能な内蔵型のハードディスクであっても良いし、外部メモリ42にデータを記憶させるためのリーダ・ライタであっても良い。外部メモリ42は、例えば、SDカード、USBメモリなどのリムーバブルメモリであっても良いし、外付けハードディスクであっても良い。
【0022】
例えば、
図1の構成では、レコーダ41がSDカード用リーダ・ライタであり、外部メモリ42がSDカードである。また、レコーダ41の作動時には、外部メモリ42がレコーダ41にデータ書き込み可能に挿入される。そして、レコーダ41が、補助カメラ24からの映像信号を外部メモリ42に直接的に記憶している。なお、レコーダ41は、書き込み専用のライタであっても良い。
【0023】
制御ユニット5は、車両用映像表示システム1の動作を統括的に制御する装置であり、中央制御部51と、ROM(Read-Only Memory)52およびRAM(Random-Access Memory)53とを有する。中央制御部51は、CPU(Central Processing Unit)であり、ROM52に記憶された各種のデータを必要に応じて参照しつつ、ROM52に記憶された各種のプログラムを読み込んで実行する。ROM52は、不揮発性メモリあるいは磁気記憶装置であり、中央制御部51での処理に用いられる各種のプログラムやデータを格納する。各種のプログラムには、例えば、映像表示ユニット3の動作を制御するための映像表示ユニット制御プログラム、映像記録ユニット4の動作を制御するための映像記録ユニット制御プログラムが含まれる。また、制御ユニット5は、車両の左右のウィンカー信号、ブレーキ信号、車速信号、エンジン回転数信号、シフトポジション信号、GPS(Global Positioning System)信号などを入出力部I/Oを介して取得し、これらの信号に基づいて、各種の制御を行い得る。
【0024】
また、車両用映像表示システム1は、リモートコントローラ61、操作スイッチ62、マイクロフォン63、スピーカ64および表示ランプ65を備える。リモートコントローラ61は、映像表示ユニット3および映像記録ユニット4を操作するための操作端末であり、例えば、赤外線通信により操作信号を送信する。操作スイッチ62は、映像表示ユニット3、映像記録ユニット4、マイクロフォン63の音量などを操作するためのスイッチである。マイクロフォン63は、車両内外の音を集音する。スピーカ64は、アラートや音声案内などを出力する。表示ランプ65は、車両用映像表示システム1の動作状況などの情報を点灯表示する。
【0025】
また、車両用映像表示システム1は、車両の常時電源71およびアクセサリ電源72にそれぞれ接続されて車両のバッテリから電力供給を受ける。したがって、この車両用映像表示システム1は、アクセサリOFFの状態においても、常時電源71から電力供給を受けて動作できる。
【0026】
この車両用映像表示システム1では、(1)車両の所定位置に設置された3つの主カメラ21〜23が、車両の後方、左側方および右側方の映像をそれぞれ取得して、映像信号を映像表示ユニット3にそれぞれ送る。すると、映像表示ユニット3が、各主カメラ21〜23からの映像信号に基づいて、選択された1つあるいは複数の映像をモニタ31の表示画面に表示する。これにより、映像表示機能が実現されて、ユーザーが主カメラ21〜23からの映像をモニタ31の表示画面上で確認できる。なお、モニタ31における映像表示パターンの具体例については、後述する。
【0027】
また、(2)車両走行時には、補助カメラ24が車両の前方の映像を取得して、映像信号をマルチプレクサ33を介して制御ユニット5に送る。そして、制御ユニット5が、補助カメラ24からの映像信号を映像記録ユニット4に送り、映像記録ユニット4が、この映像信号を記録する。これにより、ドライブレコーダ機能が実現されて、車両走行時の状況などの事後的な検証が容易となる。
【0028】
なお、
図1の構成では、上記のように、車両用映像表示システム1が、後方カメラ、左側方カメラおよび右側方カメラから成る3つの主カメラ21〜23を備えている。しかし、これに限らず、車両用映像表示システム1が、第四の主カメラを備えても良い(図示省略)。かかる第四の主カメラとしては、例えば、車両の荷台後部に配置されて上方から車両のテール部付近を撮像するカメラ、車両の荷台内部を撮像するカメラなどが挙げられる。
【0029】
また、
図1の構成では、上記のように、補助カメラ24が、主としてドライブレコーダ機能を実現するための前方カメラとなっている。しかし、これに限らず、車両用映像表示システム1が、所定の映像を記録するための第二の補助カメラを備えても良い(図示省略)。かかる第二の補助カメラとしては、例えば、運転席や乗員席を撮像するカメラ、車両の荷台内部を撮像するカメラなどが挙げられる。
【0030】
また、
図1の構成では、上記のように、レコーダ41がリムーバブルメモリ42にデータを記憶させるためのリーダ・ライタであり、補助カメラ24からの映像信号をリムーバブルメモリ42に直接的に記憶している。かかる構成では、内蔵ハードディスクが省略されて、映像記録ユニット4が小型化および軽量化される点で好ましい。しかし、これに限らず、映像記録ユニット4が、レコーダ41として内蔵ハードディスクあるいは外付けハードディスクを有しても良い(図示省略)。
【0031】
[モニタ、レコーダおよび補助カメラの一体構造]
図2〜
図4は、
図1に記載した車両用映像表示システムの本体装置を示す説明図である。これらの図は、本体装置10の正面斜視図(
図2)、背面斜視図(
図3)および背面図(
図4)をそれぞれ示している。なお、これらの図において、一点鎖線Oは、車両のルームミラー用の支持部材の中心線を示している。
【0032】
この車両用映像表示システム1では、
図1に示すように、映像表示ユニット3、映像記録ユニット4のレコーダ41および制御ユニット5が、一体化されて1つの本体装置10を構成する。具体的には、映像表示ユニット3、映像記録ユニット4のレコーダ41(およびレコーダ41に挿入された外部メモリ42)、制御ユニット5、操作スイッチ62、マイクロフォン63、スピーカ64、表示ランプ65および入出力部I/Oが、1つのハウジング11に収容されて、本体装置10を構成している。
【0033】
また、
図2に示すように、本体装置10のハウジング11が、全体として幅広な箱型形状を有する。また、モニタ31が、ハウジング11の一方の面に表示画面を現して配置される。また、複数の操作スイッチ62および表示ランプ65が、モニタ31の表示画面の周囲に配置される。また、外部メモリ42の挿入口が、ハウジング11の幅方向の端部に配置される。また、ハウジング11が、外部メモリ42の飛び出しを防止するために、外部メモリ42の挿入口を塞ぐカバー112を有する。
【0034】
また、
図3および
図4に示すように、補助カメラ24、マイクロフォン63、スピーカ64および入力端子12が、ハウジング11の他方の面(モニタ31の表示画面を有する側に対して背面側)に配置される。入力端子12は、3台の主カメラ21〜23からの映像信号や、車両の左右のウィンカー信号、ブレーキ信号、車速信号、エンジン回転数信号、シフトポジション信号、GPS(Global Positioning System)信号などの各種信号を入力するための端子12である。また、ハウジング11が、カメラホルダ113を有し、補助カメラ24が、このカメラホルダ113に着脱可能に保持されてハウジング11に一体化される。なお、この補助カメラ24の着脱可能な保持構造については、後述する。
【0035】
また、本体装置10のハウジング11が、車両のルームミラー用支持部に対して取付可能な取付部111を有する。この取付部111は、ハウジング11に形成された取付穴であり、ルームミラー用支持部に対して螺合可能な構造を備える。これにより、本体装置10が、ルームミラーに替えて車内のルームミラー用支持部に設置できる。このとき、本体装置10が、モニタ31の表示画面を車内(好ましくは、運転席側)に向けつつ、補助カメラ24を有する側を車両前方に向けて設置される。これにより、乗員が車内からモニタ31の表示画面を視認でき、同時に、補助カメラ24が車両のフロントガラス越しに車両前方を撮影できる。
【0036】
このように、この車両用映像表示システム1では、映像表示ユニット3、映像記録ユニット4のレコーダ41および制御ユニット5が一体構造を有することにより、省スペース化が図られる。さらに、
図1に示すように、補助カメラ24が、映像表示ユニット3、映像記録ユニット4のレコーダ41および制御ユニット5と一体構造を有することにより、更なる省スペース化が図られる。
【0037】
なお、
図2の構成では、上記のように、本体装置10が車両のルームミラー用支持部に対して取付可能な取付部111を有している。かかる構成では、本体装置10のモニタ31をドライバーの視認し易い位置に簡易に配置できる点で好ましい。しかし、これに限らず、本体装置10が、車両のルームミラーに嵌合可能な嵌合部(例えば、ルームミラーを保持する爪部)を有することによりルームミラー自体に取り付けられて設置されても良いし、例えば、車両のダッシュボードの上に載せ置かれても良い(図示省略)。
【0038】
[補助カメラの着脱構造]
図5は、
図1に記載した補助カメラの着脱構造を示す説明図である。
図6は、
図1に記載した補助カメラを示す斜視図である。これらの図において、
図5は、補助カメラ24を本体装置10から取り外したときの様子を示し、
図6は、単体の補助カメラ24を示している。
【0039】
この車両用映像表示システム1では、
図3〜
図6に示すように、補助カメラ24が、本体装置10に対して着脱可能な構造を有する。
【0040】
すなわち、
図3および
図4の構成では、補助カメラ24が、本体装置10のハウジング11に装着されて一体化されている。このとき、補助カメラ24が、ハウジング11に対してネジ止めされて固定されている。そして、補助カメラ24が、本体装置10と共に車両のルームミラー用支持部(中心軸O)に取り付けられている。これにより、例えば、独立した補助カメラをルームミラーの近傍に配置する構成と比較して、省スペース化できる。なお、補助カメラ24とハウジング11との固定手段は、上記のネジ止めに限らず、例えば、ハウジング11が補助カメラ24を保持する爪部を有することにより補助カメラ24を保持する構造などにより実現されても良い。
【0041】
一方、
図5および
図6の構成では、補助カメラ24が、本体装置10のハウジング11から取り外されて離脱している。ハウジング11に対する補助カメラ24の着脱は、固定用のネジの着脱により、容易にできる。また、
図5および
図6に示すように、単体の補助カメラ24は、本体装置10の全体と比較して、非常に小さくコンパクトな形状を有し、場所を選ばず任意の位置に設置できるように構成されている。
【0042】
このように、補助カメラ24を着脱可能な構造とすることにより、補助カメラ24を本体装置10に対して異なる位置に設置できる。補助カメラ24の設置位置は、特に限定がないが、例えば、車両のダッシュボードの上などが想定される。例えば、車両のルームミラーの位置がワイパーの払拭領域の範囲外にある場合には、補助カメラ24を本体装置10と共に車両のルームミラー用支持部に取り付けたとしても、補助カメラ24の視界が不良である場合がある。そこで、補助カメラ24を本体装置10から取り外してワイパーの払拭領域の範囲内に設置することにより、適正な映像を得られる。
【0043】
また、上記の構成では、
図5に示すように、本体装置10のハウジング11が、カメラホルダ113を有する。このカメラホルダ113は、ハウジング11に形成された凹部であり、補助カメラ24を嵌め込み可能な大きさおよび深さを有する。このように、カメラホルダ113を凹部とすることにより、補助カメラ24がカメラホルダ113に嵌め込まれて一体化されたときに(
図3参照)、本体装置10全体をコンパクト化できる。
【0044】
また、上記の構成では、
図5に示すように、カメラホルダ113が、ハウジング11の中心位置(
図5では、ルームミラー用支持部に対する取付部111)から一方向に偏った位置に配置される。このため、補助カメラ24が本体装置10に装着されて本体装置10がルームミラーの位置に設置されたときに、補助カメラ24が、ルームミラーの中心軸Oから外れた位置に配置される。すると、本体装置10を水平方向に回転させてモニタ31の表示画面を運転席側に向けたときに、補助カメラ24と車両のフロントガラスとの接触を防止できる。なお、上記の構成では、運転席を右側に有する車両を適用対象とする場合には、カメラホルダ113がハウジング11の中心位置に対して右側に偏って配置され(
図5参照)、逆に、運転席を左側に有する車両を適用対象とする場合には、カメラホルダ113がハウジング11の中心位置に対して左側に偏って配置される(図示省略)。
【0045】
また、上記の構成では、
図5に示すように、補助カメラ24が、本体装置10に対してケーブル114を介して電気的に接続されている。このケーブル114の長さは、補助カメラ24の設置位置と本体装置10の設置位置との関係に応じて、適宜選択できることが好ましい。具体的には、例えば、本体装置10(ハウジング11)が、ケーブル114を巻き取りおよび巻き出し可能なケーブル機構を有する構成(図示省略)が挙げられる。このようなケーブル機構としては、例えば、バネ機構によりケーブルを自動巻取りできる公知のケーブル機構が採用され得る。また、例えば、補助カメラ24と本体装置10とが、着脱可能なケーブル114を介して接続される構成が挙げられる。これにより、相互に異なる長さを有する複数のケーブル114を適宜選択できる。
【0046】
[映像表示パターンの具体例]
図7〜
図10は、
図1に記載した車両用映像表示システムの作用を示す説明図である。これらの図は、3つの主カメラ21〜23により取得した映像をモニタ31に表示するときの映像表示パターンをそれぞれ示している。
【0047】
この車両用映像表示システム1は、上記のように、車両に搭載されて映像を取得する3台の主カメラ21〜23を備える(
図1参照)。そして、3つの主カメラ21〜23が車両の後方、左側方および右側方の映像をそれぞれ撮像し、映像表示ユニット3が、各主カメラ21〜23からの映像信号に基づいて、所定の映像をシングルビジョンあるいはマルチビジョンでモニタ31の表示画面に表示させる。これにより、映像表示機能が実現されて、ユーザーが主カメラ21〜23からの映像をモニタ31の表示画面上で確認できる。
【0048】
ここで、車両用映像表示システム1は、(a)手動モード、(b)ウィンカー連動モードおよび(c)リモコンボタン優先モードから成る3種類のモードにより、モニタ31の映像表示パターンを変更できる。この映像表示パターンの設定変更は、ユーザーが操作スイッチ62を操作してモードを選択することにより行われる。
【0049】
(a)手動モードでは、ユーザーが、リモートコントローラ61の操作により、モニタ31に表示させる映像を3つの主カメラ21〜23の映像から任意に選択できる。具体的には、リモートコントローラ61からの操作信号がマルチプレクサ33に入力され、マルチプレクサ33が、この操作信号に基づいて3つの主カメラ21〜23からの映像信号を択一的に選択してモニタコントローラ32に転送する。そして、モニタコントローラ32が、選択された映像信号をモニタ31に入力して、モニタ31が、この映像信号を表示画面に出力する。このとき、モニタ31の表示画面がシングルビジョンに設定され、選択された1つのカメラ21(22、23)からの映像のみがモニタ31に表示される(図示省略)。
【0050】
(b)ウィンカー連動モードでは、モニタ31の表示映像が、ウィンカー操作やバックギア操作などに連動して自動的に切り替わる。具体的には、制御ユニット5が、ウィンカー信号およびシフトポジション信号を車両の各種センサから取得し、これらの信号に基づいて、所定の映像選択信号をマルチプレクサ33に入力する。すると、マルチプレクサ33が、この映像選択信号に基づいて3つの主カメラ21〜23からの映像信号のうちの1つ或いは複数を選択して、モニタコントローラ32に転送する。そして、モニタコントローラ32が、選択された映像信号をモニタ31に入力して、モニタ31が、この映像信号を表示画面に出力する。このとき、選択された映像信号が1つの場合には、モニタコントローラ32が、モニタ31の表示画面をシングルビジョンに設定して、この映像信号の映像をモニタ31に表示させる(
図10参照)。一方、選択された映像信号が複数ある場合には、モニタコントローラ32が、モニタ31の表示画面をマルチビジョンに設定して、これらの映像信号の映像をモニタ31に同時に表示させる(
図7〜
図9参照)。
【0051】
例えば、車両の前進走行時には、
図7に示すように、表示画面が3画面のマルチビジョンに設定されて、3つの主カメラ21〜23からの映像がモニタ31の表示画面に同時に表示される。これにより、モニタ31の表示画面が車両のバックミラーおよび左右のサイドミラーとして機能し、ユーザーがモニタ31の表示画面を視認することにより車両の周囲の様子を確認できる。
【0052】
また、左ウィンカーが操作されると、
図8に示すように、表示画面が2画面のマルチビジョンに設定されて、第一主カメラ21による後方の映像と第二主カメラ22による左側方の映像とがモニタ31の表示画面に同時に表示される。このとき、第三主カメラ23による右側方の映像が省略されることにより、左側方の映像が大きく映し出される。これにより、ユーザーが、ウィンカーの操作方向の映像を容易に視認できる。
【0053】
また、右ウィンカーが操作されると、
図9に示すように、表示画面が2画面のマルチビジョンに設定されて、第一主カメラ21による後方の映像と第三主カメラ23による右側方の映像とがモニタ31の表示画面に同時に表示される。このとき、第二主カメラ22による左側方の映像が省略されることにより、右側方の映像が大きく映し出される。これにより、ユーザーが、ウィンカーの操作方向の映像を容易に視認できる。
【0054】
また、後進時にシフト操作が行われてシフトポジションがバックギアとなると、
図10に示すように、モニタ31の表示画面がシングルビジョンに設定されて、第一主カメラ21による車両後方の映像のみがモニタ31の表示画面に表示される。これにより、ユーザーが、車両後方の映像を容易に視認できる。また、このとき、車両の荷台後部に配置されて上方から車両のテール部付近を撮像する第四の主カメラ(図示省略)が併用され、この第四の主カメラからの映像と第一主カメラ21からの映像とが、マルチビジョンによりモニタ31の表示画面に表示されても良い。これにより、ユーザーが、車両後方の映像をさらに容易に視認できる。
【0055】
このように、モニタ31の映像表示パターンがウィンカー操作やバックギア操作などに連動して自動的に切り替わることにより、ユーザーの操作負担が軽減される。
【0056】
(c)リモコンボタン優先モードでは、上記した(a)手動モードと(b)ウィンカー連動モードが同時に運用され、且つ、(a)手動モードが優先的に用いられる。このため、リモートコントローラ61の操作がない場合には、(b)ウィンカー連動モードにより、モニタ31の表示映像が自動的に切り替わる。また、リモートコントローラ61の操作が行われた場合には、上記のように、リモートコントローラ61からの操作信号に基づいてモニタ31の表示映像が選択される。これにより、ユーザーのニーズに即した運用が行われる。
【0057】
[効果]
以上説明したように、この車両用映像表示システム1は、車両に搭載されて確認用の映像を取得する主カメラ21(
図1では、車両後方を撮影する第一主カメラ21)と、主カメラ21からの映像信号を出力するモニタ31と、車両に搭載されて記録用の映像を取得する補助カメラ24と、補助カメラ24からの映像信号を記録するレコーダ41と、モニタ31およびレコーダ41を収容する単一のハウジング11とを備える(
図1参照)。
【0058】
かかる構成では、モニタ31およびレコーダ41が単一のハウジング11に収容されるので、モニタを有する映像表示装置とレコーダを有する映像記録装置とが相互に独立したハウジングに収容される構成(図示省略)と比較して、省スペース化を実現できる利点がある。
【0059】
また、かかる構成では、システムの電源ラインや信号ラインを一部で共用化できるので、ハーネスの本数を低減できる利点がある。また、相互に独立した映像表示装置および映像記録装置を有する構成と比較して、システムの取付工程を低減できる利点がある。また、モニタ31およびレコーダ41を操作するためのリモートコントローラ61を共用できる利点がある。
【0060】
また、この車両用映像表示システム1では、主カメラ21からの映像信号をモニタ31側に転送すると共に補助カメラ24からの映像信号をレコーダ41側に転送するマルチプレクサ33を備える(
図1参照)。かかる構成では、モニタ31側(
図1では、映像表示ユニット3)とレコーダ41側(
図1では、映像記録ユニット4)とで、マルチプレクサ33を共用できる。これにより、システムの部品点数を低減できる利点がある。
【0061】
また、この車両用映像表示システム1では、レコーダ41が、リムーバブルメモリである外部メモリ42に対して映像信号を記録するライタである(
図1参照)。かかる構成では、レコーダ41が、外部メモリ42に対して直接的に映像信号を記録するので、例えば、ハウジング11に収容される記録用の内蔵ハードディスクを省略できる。これにより、本体装置10の構成が簡素化および小型化されて、本体装置10の設置が容易となる利点がある。
【0062】
また、この車両用映像表示システム1では、ハウジング11が、車両のルームミラー自体あるいはルームミラー用支持部に対して取付可能な取付部111を有する(
図2参照)。かかる構成では、ハウジング11を車両のルームミラーに対して或いはルームミラーに替えて設置できる。これにより、モニタ31の視認性が向上する利点がある。
【0063】
また、この車両用映像表示システム1では、補助カメラ24とハウジング11とが、一体構造を有する(
図1および
図3参照)。これにより、例えば、独立した補助カメラをルームミラーの近傍に配置する構成と比較して、システムを省スペース化できる利点がある。
【0064】
また、この車両用映像表示システム1では、補助カメラ24が、ハウジング11の中心位置から一方向に偏った位置に配置される(
図4参照)。かかる構成では、ハウジング11がルームミラーの位置に設置されたときに、補助カメラ24が、ルームミラーの中心軸Oから外れた位置に配置される。すると、ハウジング11を水平方向に回転させてモニタ31の表示画面を運転席側に向けたときに、補助カメラ24と車両のフロントガラスとの接触を防止できる利点がある。
【0065】
また、この車両用映像表示システム1では、補助カメラ24とハウジング11とが、着脱可能な一体構造を有する。かかる構成では、補助カメラ24をハウジング11に対して異なる位置に設置できるので、補助カメラ24の設置位置の自由度が拡張される。例えば、トラック・バス用途において補助カメラ24をダッシュボード上に設置できる利点がある。また、ハウジング11の設置位置(例えば、ルームミラーの位置)がワイパーの払拭範囲外にあるときに、補助カメラ24をハウジング11から取り外してワイパーの払拭範囲内に配置できる利点がある。
【0066】
また、この車両用映像表示システム1では、車両に搭載されて確認用の映像を取得する主カメラ21と、主カメラ21からの映像信号を出力するモニタ31と、車両に搭載されて記録用の映像を取得する補助カメラ24と、補助カメラ24からの映像信号を記録するレコーダ41とを備える(
図1参照)。また、補助カメラ24とモニタ31のハウジング11とが着脱可能な一体構造を有する(
図5参照)。
【0067】
かかる構成では、補助カメラ24とハウジング11とが着脱可能な一体構造を有するので、補助カメラ24をハウジング11に対して異なる位置に設置できる。これにより、補助カメラ24の設置位置の自由度が拡張される利点がある。例えば、トラック・バス用途において補助カメラ24をダッシュボード上に設置できる利点がある。また、ハウジング11の設置位置(例えば、ルームミラーの位置)がワイパーの払拭範囲外にあるときに、補助カメラ24をハウジング11から取り外してワイパーの払拭範囲内に配置できる利点がある。
【0068】
また、この車両用映像表示システム1では、ハウジング11が、補助カメラ24を着脱可能に保持するカメラホルダ113を有する(
図5参照)。これにより、補助カメラ24をハウジング11に対して着脱可能に設置できる利点がある。
【0069】
また、この車両用映像表示システム1では、カメラホルダ113が、ハウジング11に形成された凹部である(
図5参照)。かかる構成では、補助カメラ24を凹部であるカメラホルダ113に嵌め込むことにより、本体装置10をコンパクト化できる利点がある(
図3参照)。
【0070】
また、この車両用映像表示システム1では、補助カメラ24が、ケーブル114を介してハウジング11側(
図1では、映像表示ユニット3)に電気的に接続されると共に(
図5参照)、ハウジング11が、ケーブル114を巻き取りおよび巻き出し可能なケーブル機構(図示省略)を有する。かかる構成では、ケーブル114をハウジング11から巻き取りおよび巻き出しすることにより、ケーブル114の長さを補助カメラ24の設置位置に応じて柔軟に変更できる利点がある。
【0071】
また、この車両用映像表示システム1では、補助カメラ24が、着脱可能なケーブル114を介してハウジング11側(
図1では、映像表示ユニット3)に電気的に接続される(
図5参照)。かかる構成では、相互に異なる長さを有する複数のケーブル114を準備して、適切な長さを有するケーブル114を補助カメラ24の設置位置に応じて選択できる利点がある。
【0072】
また、この車両用映像表示システム1では、補助カメラ24が、ハウジング11の中心位置から一方向に偏った位置に配置される(
図4参照)。かかる構成では、補助カメラ24がハウジング11に装着されてハウジング11がルームミラーの位置に設置されたときに、補助カメラ24が、ルームミラーの中心軸Oから外れた位置に配置される。すると、本体装置10を水平方向に回転させてモニタ31の表示画面を運転席側に向けたときに、補助カメラ24と車両のフロントガラスとの接触を防止できる。
【0073】
また、この車両用映像表示システム1では、車両に搭載されて映像を取得する複数の主カメラ21〜23を備える(
図1参照)。また、モニタ31が、複数の主カメラ21〜23からの映像信号をマルチビジョンで出力する(
図7参照)。これにより、ユーザーが複数の主カメラ21〜23からの映像を1つのモニタ31で確認できる利点がある。