(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および2で提案されるような封止具はいずれも、扁平な筒状物がカール方向に沿って全体的にサイドシールされている。このサイドシールによって、筒状物がカールし難くなって復元力に乏しいという問題がある。
そこで、本発明の目的は、自然にカールするフィルムの復元力を良好に発揮できる容器開口封止具およびそれを備える容器を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、自然にカールするフィルムの復元力を利用して容器の密閉度を向上させることができる、容器開口封止具を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、本発明の容器開口封止具を備えることによって優れた密閉度を発現できる容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための
本発明の一実施形態に係る容器開口封止具は、自然にカールする外側フィルムと、前記外側フィルムに重ねられた内側フィルムと、前記外側フィルムと前記内側フィルムとの間を少なくとも二つのシール箇所で選択的に一定の長さでシールすることによって形成され、前記シール箇所を両端として前記外側フィルムおよび前記内側フィルムによって区画されていて、容器の内容物を出し入れするための通路となる筒状部と、前記外側フィルムと前記内側フィルムとの間がシールされずに形成された非筒状部とを含み、前記筒状部を終点端、当該終点端の反対側を開始端として、前記非筒状部を含む領域において前記外側フィルムが前記内側フィルムを巻き込むようにカールしており、前記筒状部を容器の開口内周に取り付けることによって、当該容器の開口を封止可能としたことを特徴とす
る。
【0007】
この構成によれば、容器開口封止具のカールした領域に、外側フィルムおよび内側フィルム間にシールが選択的に施されていない非筒状部が含まれている。この非筒状部では筒状部とは異なり、自然カールする外側フィルムは、内側フィルムのシールによって動きの制限を受けることなく、フリーな状態となっている。したがって、非筒状部において、外側フィルムのカールの復元力を十分に発揮することができる。その結果、この容器開口封止具を容器の開口内周に取り付けた場合、当該外側フィルムの復元力を利用して、容器の密閉度を向上させることができる。
【0008】
前記容器開口封止具では、前記外側フィルムおよび前記内側フィルムは、互いに平行で重なり合う二辺を有する四角形状であり、当該二辺に沿って前記筒状部および前記非筒状部が互いに連なるように配置されており、前記外側フィルムおよび前記内側フィルムは、カールした前記外側フィルムが前記内側フィルムよりも0.5%〜3%長い状態で、前記開始端側の二隅がシールされることによって固定されてい
てもよい。
【0009】
この構成によれば、外側フィルムを内側フィルムよりも0.5%〜3%長い状態で固定することによって、外側フィルムが自然に描く相対的に大きなカール径と、その外側フィルムに巻き込まれて内側フィルムが描く、外側フィルムのカール径よりも相対的に小さなカール径との差に起因するカールの長さの差を補うことができる。これにより、外側フィルムを突っ張らせずにカールさせることができる。その結果、外側フィルムのカールの復元力をより効果的に発揮することができる。
【0010】
前記容器開口封止具では、前記外側フィルムは、前記カールの開始端側に、前記内側フィルムの端部よりも外側に引き出され、前記内側フィルムが重ねられていない延長部を含
んでいてもよい。
この構成によれば、カールの開始時に、内側フィルムが重ねられていない外側フィルムの延長部を単独でカールさせることによって勢いをつけることができる。これにより、外側フィルムと内側フィルムが重なり合った領域にカールが到達する頃には、外側フィルムの復元力を十分に高めた状態で、内側フィルムを外側フィルムで巻き込むことができる。
【0011】
前記外側フィルムは、互いに成形収縮率の異なる2層で少なくとも構成されていてもよい。
前記外側フィルムおよび前記内側フィルムは、三角形状または半円形状であり、前記筒状部は、前記三角形および前記半円の頂部が前記カールの開始端となるような位置に形成されてい
てもよい。
【0012】
この構成によれば、カールの開始端が三角形または半円の頂部であるため、カールを開始し易くすることができる。
本発明の参考形態に係る容器開口封止具は、扁平で柔軟な筒状インフレーションフィルムと、前記筒状インフレーションフィルムの一方面に重ねられた自然にカールするカールフィルムとを含み、前記カールフィルムが前記筒状インフレーションフィルムを巻き込むようにカールしており、前記カールの終点端を容器の開口内周に取り付けることによって、当該容器の開口を封止可能としたことを特徴とす
る。
【0013】
この構成によれば、容器の内容物を出し入れするための通路となる筒状部が、筒状インフレーションフィルムであり、二枚のフィルムをサイドシールすることによって筒状としたものとは異なり、その両端にサイドシールが施されていない。しかも、その筒状インフレーションフィルムが柔軟であるため、このフィルムの一方面に重ねられたカールフィルムは、比較的高い自由度でカールできる状態となっている。したがって、カールフィルムのカールの復元力を十分に発揮することができる。その結果、この容器開口封止具を容器の開口内周に取り付けた場合、当該外側フィルムの復元力を利用して、容器の密閉度を向上させることができる。
【0014】
前記参考形態に係る容器開口封止具では、前記カールフィルムは、前記筒状インフレーションフィルムの内部に挿入されており、前記カールの開始端側に、前記筒状インフレーションフィルムの端部よりも外側に引き出された延長部を含
んでいてもよい。
この構成によれば、カールの開始時に、筒状インフレーションフィルムが重ねられていないカールフィルムの延長部を単独でカールさせることによって勢いをつけることができる。これにより、カールフィルムと筒状インフレーションフィルムが重なり合った領域にカールが到達する頃には、カールフィルムの復元力を十分に高めた状態で、筒状インフレーションフィルムをカールフィルムで巻き込むことができる。
【0015】
前記参考形態に係る容器開口封止具では、前記カールフィルムは、互いに成形収縮率の異なる2層で少なくとも構成されていてもよい。
この場合
、前記カールフィルムの一方の外層が、前記筒状インフレーションフィルムに対してヒートシール可能な材料からなり、前記カールフィルムの他方の外層が、前記筒状インフレーションフィルムに対してヒートシール困難な材料からなることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、カールフィルムを筒状インフレーションフィルムの内部に挿入し、その筒状インフレーションフィルムをさらに、ヒートシール可能な材料からなる容器に挿入した後、当該容器の外側からヒートシールすることによって、筒状インフレーションフィルムとカールフィルムとの固着、および筒状インフレーションフィルムと容器との固着をヒートシール1工程で行うことができる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る容器は、
前記容器開口封止具によって開口が封止されたことを特徴とす
る。
この構成によれば、
前記容器開口封止具が取り付けられているので、優れた密閉度を発現することができる。
前記容器は
、前記カールの開始端が、その内側に配置されるように前記容器開口封止具が取り付けられていてもよいし
、前記カールの開始端が、その外側に配置されるように前記容器開口封止具が取り付けられていてもよい。
【0018】
前記容器は、プラスチックフィルムを用いて形成されたパウチであ
ってもよい。
この構成によれば、ヒートシールによって、パウチに容器開口封止具を簡単に固着することができる。
前記容器は、内部に薬剤容器を封入するための外袋であ
ってもよい。
【0019】
この構成によれば、薬剤容器を容器の内部に落とし込むことによって、容器の開口を自動的に塞ぐことができる。したがって、多忙な医療従事者にとって非常に有用である。
前記容器は、ごみ入れであ
ってもよい。
この構成によれば、ごみをごみ入れ内に落下させた後、ごみ入れの開口を簡単に密閉することができる。したがって、衛生的であり、かつ臭い漏れの少ないごみ入れを提供できる。
【0020】
前記容器は、飲料容器であ
ってもよい。
この構成によれば、たとえば、ストロー挿し込みタイプの飲料容器であれば、ストローを簡単に挿し込むことができ、しかもストローを抜くことによって、飲料容器の口部を瞬時に塞ぐことができる。したがって、衛生的な飲料容器を提供できる。
【0021】
また、ストロー挿し込みタイプでなくとも、飲料容器から飲料を出した後に口部が瞬時に塞ぐことができる構成であるので、容器内への酸素の侵入を低減でき、飲料の風味を良好に維持することができる。
前記容器は、調味料容器であ
ってもよい。
【0022】
調味料容器から調味料を出した後に口部を瞬時に塞ぐことができるので、容器内への酸素の侵入を低減できる。したがって、調味料の風味を良好に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施の形態
および参考形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<実施形態>
図1は、本発明の
一実施形態に係る容器開口封止具1の模式的な斜視図であって、紙面下段に容器開口封止具1の完成図を示し、紙面中段および上段それぞれに、当該容器開口封止具1を構成する外側フィルム2および内側フィルム3を示している。
【0025】
図1に示すように、この実施形態に係る容器開口封止具1は、外側フィルム2と、外側フィルム2に重ねられた内側フィルム3とを含み、外側フィルム2が内側フィルム3を巻き込むことによって、その一部にカールした部分を有している。
外側フィルム2は、たとえば、室温(20℃〜25℃)において強制的に巻かなくても自身の特性によって自然カールするフィルムであって、互いに成形収縮率の異なる2層で少なくとも構成されていることが好ましい。外側フィルム2は、たとえば、相対的に成形収縮率の小さい小収縮率層と、当該小収縮率層よりも内側フィルムとの接触面(内側面)側に配置され、当該小収縮率層に比べて相対的に成形収縮率の大きい大収縮率層とを少なくとも含むことが好ましい。これにより、これら2層の収縮率の差を利用して、外側フィルム2を内側に良好にカールさせることができる。より具体的には、この実施形態では、外側フィルム2は、小収縮率層の一例としての外側プラスチック層4と、大収縮率層の一例としての内側プラスチック層5との2層構造からなり、内側プラスチック層5の一方面に内側フィルム3が接している。
【0026】
外側プラスチック層4の一例としては、前述のように、内側プラスチック層5に比べて相対的に成形収縮率の小さい材料からなることが好ましく、たとえば、エチレンビニルアルコール(EVOH)、環状オレフィンコポリマー(COC)等が好ましい。一方、内側プラスチック層5の一例としては、前述のように、外側プラスチック層4に比べて相対的に成形収縮率の大きい材料からなることが好ましく、たとえば、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP))等が好ましい。
【0027】
なお、外側フィルム2は、外側プラスチック層4および内側プラスチック層5の2層構造である必要はなく、たとえば、外側プラスチック層と内側プラスチック層5との間、外側プラスチック層4の外側、および内側プラスチック層5の内側に図示しない層が設けられていてもよい。
内側フィルム3は、外側フィルム2と同様に自然カールするフィルムであってもよいし、たとえば、室温(20℃〜25℃)において自身の特性によってその形態を維持でき、自然カールしないフィルムであってもよい。
【0028】
内側フィルム3が自然カールするフィルムである場合、当該内側フィルム3は、外側フィルム2と同一のフィルム構成とし、さらに、外側フィルム2の大収縮率層(内側プラスチック層5)に内側フィルム3の小収縮率層が向かい合うように、外側フィルム2に重ねられることが好ましい。これにより、外側フィルム2と内側フィルム3を同一方向にカールさせることができるので、容器開口封止具1を良好にカールさせることができる。
【0029】
一方、内側プラスチック層5が自然カールしないフィルムである場合、当該内側フィルム3は、たとえば、ポリオレフィンの単層構造であることが好ましい。
外側フィルム2および内側フィルム3の各厚さに関して、たとえば、外側フィルム2が10μm〜100μm厚さであり、内側フィルム3が10μm〜100μm厚さである。また、外側プラスチック層4は5μm〜70μm厚さであり、内側プラスチック層5は5μm〜70μm厚さである。
【0030】
図2は、
図1の容器開口封止具1のカールを展開した図である。
図3(a)(b)は、
図2のIII−III断面における容器開口封止具1の断面図であって、
図3(a)はカールを展開した状態を示し、
図3(b)はカールした状態を示している。
次に、
図2および
図3(a)(b)を参照して、容器開口封止具1の具体的な構造を説明する。
【0031】
図2に示すように、容器開口封止具1は、外側フィルム2とそれに対向する内側フィルム3を重ね、その重なり合ったフィルムの一辺の両端の角部から一定の長さだけヒートシールすることによって、筒状部と非筒状部とを形成している。より具体的には、この実施形態では、外側フィルム2および内側フィルム3は共に四角形状であり、同じ幅Wを有している。幅Wは、たとえば、10cm〜20cmである。なお、
図2では、外側フィルム2と内側フィルム3が重なっている状態を図解し易くするために、内側フィルム3の幅を外側フィルム2の幅よりも小さく表している。
【0032】
そして、外側フィルム2および内側フィルム3の幅方向に沿う開口辺6、および当該開口辺6に直交し、互いに平行な一対の側辺7,8が一致するように、外側フィルム2に内側フィルム3が重ねられ、開口辺6の両端の角部から側辺7,8の途中の部分まで、側辺7,8に沿ってシール部9が選択的に形成されている。
シール部9は、側辺7,8それぞれから一定幅および開口辺6の角部から一定長さL1の略直線状の領域(シール箇所)において、外側フィルム2と内側フィルム3との間をヒートシールすることによって形成されている。シール部9の長さL1は、たとえば、側辺7,8の長さL2の10%〜30%であることが好ましく、この実施形態では、具体的な数値として1cm〜3cmである。
【0033】
このシール部9の形成によって、容器開口封止具1は、当該シール部9において両端がサイドシールされることによって閉じられていて(
図3(a)(b)参照)、外側フィルム2および内側フィルム3によって区画された扁平な筒状部10を有している。この筒状部10は、後述するように、外袋19の開口24の内周面に固着されることによって、薬液ボトル18を外袋19に出し入れするための通路となるものである。
【0034】
一方、側辺7,8においてシール部9が形成されていない残りの部分には、外側フィルム2と内側フィルム3との間がヒートシールされていない未シール部11がシール部9に連続するように選択的に形成されている。未シール部11の区間は、外側フィルム2および内側フィルム3が、互いにヒートシールによって動きの制限を受けることなくフリーな状態となっていて、幅方向の両端が開放された(
図3(a)(b)参照)非筒状部12となっている。非筒状部12は、側辺7,8に沿って筒状部10に連なるように配置されることとなる。
【0035】
さらにこの実施形態では、側辺7,8において非筒状部12に対してシール部9の反対側には、未シール部11に連続するように側辺7,8に沿ってシール部13が選択的に形成されている。シール部13は、シール部9と同様に、側辺7,8に沿う略直線状の領域(シール箇所)において、外側フィルム2と内側フィルム3との間をヒートシールすることによって形成されている。このシール部13は、開口辺6の反対側の二隅において内側フィルム3に外側フィルム2を固定するためのものであり、シール部9とは異なり、容器開口封止具1に一定の長さを有する筒状部を形成するものでなくてもよい。したがって、シール部13は、略直線状である必要はなく、たとえばドット状であってもよい。また、略直線状に形成される場合のシール部13の長さL3は、外側フィルム2と内側フィルム3との間を固定できれば、なるべく短い方が好適である。この実施形態では、具体的な数値として0.2cm〜0.5cmである。
【0036】
また、開口辺6側のシール部9とその反対側のシール部13で挟まれた非筒状部12において、外側フィルム2は、内側フィルム3よりも0.5%〜3%長い状態となっている。この実施形態では、具体的な数値として、非筒状部12における内側フィルム3の長さが8cm〜15cmであるのに対し、外側フィルム2の長さは、それよりも0.5%〜3%長い8.04cm〜15.45cmとなっている。この状態で外側フィルム2は、内側フィルム3の四隅に形成されたシール部9,13によって、内側フィルム3に4点止めされている。これにより、容器開口封止具1は、
図3(a)に示すように、カールを展開した状態において、内側フィルム3から離れる方向に外側フィルム2が膨らんで形成された膨出部14を非筒状部12に有している。
【0037】
また、この実施形態では、外側フィルム2は、全体の長さとしても、内側フィルム3よりも長く形成されている。これにより、開口辺6を一致させてこれらのフィルム2,3が重なり合った状態において、外側フィルム2は、内側フィルム3の開口辺6とは反対側の辺15(端部)よりも外側に引き出され、内側フィルム3が重ねられていない延長部16を有している。この延長部16は、略四角形状の領域からなり、辺15に対して開口辺6の反対側に、開口辺6に平行な本発明のカールの開始端の一例としてのカール開始辺17を有している。また、延長部16の長さは、外側フィルム2の全体の長さの50%未満であることが好ましく、たとえば、外側フィルム2の長さの5%〜40%であることが好ましい。この実施形態では、具体的な数値として、外側フィルム2の全体の長さが8cm〜15cmであるのに対し、延長部16の長さは、0.4cm〜6cmとなっている。
【0038】
以上のような構成を有する容器開口封止具1は、外側フィルム2が自然カールするフィルムであることから、
図3(b)に示すように、筒状部10を終点端、カール開始辺17を開始端として、延長部16から非筒状部12へと順に外側フィルム2が内側フィルム3を巻き込むことによってカールしている。このカールによって、非筒状部12の外側フィルム2と内側フィルム3とが密着して、非筒状部12のカール終点端側とカール開始端側との間が液密的かつ気密的に閉止される。
【0039】
図4(a)〜(d)は、
図1の容器開口封止具1が取り付けられた外袋19の使用方法を順に説明するための図である。
次に、
図4(a)〜(d)を参照して、容器開口封止具1の具体的な使用方法を説明する。
図1〜
図3に示した容器開口封止具1は、たとえば
図4(a)〜(d)に示すように、内部に薬剤ボトル(薬液容器)18を封入するための外袋19の開口封止具として使用可能である。
【0040】
外袋19は、たとえば、ヒートシールによって周囲が固着された2枚のプラスチック製フィルムによって内部に収容室が区画されている。より具体的には、この実施形態では、酸素バリア性を有する略四角形状の2枚のフィルム20,21を重ね、その三辺の周縁部にヒートシールによってシール部22が形成されることによって、内部に収容室23が区画されている。一方、当該フィルム20,21においてヒートシールが施されていない残りの一辺に沿って開口24が形成されており、この開口24の内周面に容器開口封止具1が取り付けられている。
【0041】
容器開口封止具1は、カールの開始端であるカール開始辺17が収容室23内に配置されるように、カール開始辺17側を収容室23の底部に向けて挿入される。この状態で、外側フィルム2の筒状部10を一方のフィルム20の開口24の内周面に固着し、内側フィルム3の筒状部10を他方のフィルム21の開口24の内周面に固着することによって取り付けられる。この取り付け後の状態が
図4(a)に示すものである。
【0042】
そして、容器開口封止具1が取り付けられた外袋19に薬剤ボトル18を封入するには、まず、
図4(b)に示すように、開口24を広げることによって、その内周面に固着された容器開口封止具1の筒状部10を広げる。これにより形成された開口部に薬剤ボトル18(たとえば、輸液バッグ等)を先端から挿入する。そうすると、薬剤ボトル18の重さによって容器開口封止具1のカールが伸長する。その後、
図4(c)および
図4(d)に示すように、薬剤ボトル18が収容室23に収容されると、薬剤ボトル18の通過時に広げられていた容器開口封止具1は、扁平形状に戻るとほぼ同時に、カール開始辺17から再びカールしていき、最終的にそのカールが筒状部10にまで達する。これにより、外袋19の収容室18が密閉状態となる。
【0043】
以上のように、この実施形態によれば、
図3(b)に示すように、容器開口封止具1のカールした領域に、外側フィルム2および内側フィルム3間にシールが選択的に施されていない非筒状部12が含まれている。この非筒状部12では筒状部10とは異なり、自然カールする外側フィルム2および内側フィルム3は、互いにヒートシールによって動きの制限を受けることなくフリーな状態となっている。したがって、非筒状部12において、外側フィルム2および内側フィルム3のカールの復元力を十分に発揮することができる。
【0044】
また、
図3(a)に示すように、非筒状部12において、外側フィルム2が内側フィルム3よりも0.5%〜3%長い状態となっている。これにより、外側フィルム2が描く相対的に大きなカール径と、その外側フィルム2に巻き込まれて内側フィルム3が描く、外側フィルム2のカール径よりも相対的に小さなカール径との差に起因するカールの長さの差を補うことができる。そのため、外側フィルム2を突っ張らせずにカールさせることができる。その結果、外側フィルム2のカールの復元力をより効果的に発揮することができる。
【0045】
さらに、
図2および
図3(a)(b)に示すように、外側フィルム2が延長部16を有しているため、カールの開始時に延長部16を単独でカールさせることによって勢いをつけることができる。これにより、外側フィルム2と内側フィルム3が重なり合う辺15にカールが到達する頃には、外側フィルム2の復元力を十分に高めた状態で、内側フィルム3を外側フィルム2で巻き込むことができる。
【0046】
これらの結果、この容器開口封止具1が取り付けられた外袋19では、当該外側フィルム2および内側フィルム3の復元力を利用して、密閉度を向上させることができる。しかも、薬剤ボトル18を外袋19の収容室23に落とし込むことによって、外袋19の開口24を自動的に塞ぐことができる。したがって、多忙な医療従事者にとって非常に有用である。
【0047】
また、外袋19が2枚のプラスチック製のフィルム20,21からなるパウチなので、ヒートシールによって、外袋19に容器開口封止具1を簡単に固着することができる。
<実施形態の変形例>
前述の説明では、容器開口封止具1は、共に四角形状の外側フィルム2および内側フィルム3で構成されているとしたが、たとえば、共に三角形状または半円形状の外側フィルムおよび内側フィルムで構成されていてもよい。その一例を
図5および
図6に示す。
【0048】
図5は、容器開口封止具1の第1の変形例を示す図である。
図6は、
図5の容器開口封止具25の取り付け状態を示す図である。
図5および
図6において、
図1〜
図4に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付し、それらの部分については説明を省略する。
図5に示すように、容器開口封止具25は、共に正三角形状の外側フィルム26および内側フィルム27で構成されている。これらのフィルム26,27は、互いに同一の大きさで形成されている。なお、
図5および
図6では、外側フィルム26と内側フィルム27が重なっている状態を図解し易くするために、内側フィルム27を外側フィルム26よりも小さく表している。
【0049】
そして、外側フィルム2に内側フィルム3が重ねられ、一致するある一辺(開口辺28)の両端の角部から残りの二辺29,30の途中の部分まで、当該辺29,30に沿ってシール部31が選択的に形成されている。このシール部31によって、容器開口封止具25に筒状部32が形成されている。
一方、辺29,30においてシール部31が形成されていない残りの部分に、外側フィルム26と内側フィルム27との間がヒートシールされていない未シール部33がシール部31に連続するように形成されることによって、非筒状部34が形成されている。この変形例では、非筒状部34は、その開口辺28と反対側の頂部35(つまり、開口辺28の対角部)が開放されている。
【0050】
以上のような構成を有する容器開口封止具25は、筒状部32を終点端、頂部35を開始端として、非筒状部12を含む領域において外側フィルム26が内側フィルム27を巻き込むことによってカールする。
そして、
図6に示すように、容器開口封止具25は、カールの開始端である頂部35が収容室23内に配置されるように、頂部35側を収容室23の底部に向けて挿入される。この状態で、外側フィルム26の筒状部32を一方のフィルム20(
図6では図示なし)の開口24の内周面に固着し、内側フィルム27の筒状部32を他方のフィルム21(
図6では図示なし)の開口24の内周面に固着することによって取り付けられる。
【0051】
この容器開口封止具25によれば、カールの開始端が三角形の頂部35であるため、カールを開始し易くすることができる。なお、図示はしなかったが、共に半円形状の外側フィルムおよび内側フィルムを用いた場合であっても、同様の効果を発現することができる。
次に、
図7および
図8を参照して、第2の変形例について説明する。
図7は、容器開口封止具1の第2の変形例を示す図である。
図8は、
図7の容器開口封止具36の取り付け状態を示す図である。
【0052】
前述の説明では、シール部9は、開口辺6の両端の角部から側辺7,8の途中の部分まで形成されているとしたが、たとえば、
図7の容器開口封止具36のように、開口辺6の両端の角部から所定の間隔を空けた位置を開始端として形成されていてもよい。これにより、容器開口封止具36は、シール部9に対して開口辺6側に、さらに非筒状部37を有していてもよい。
【0053】
この非筒状部37は、たとえば、
図8に示すように、外袋19に容器開口封止具36を取り付ける際、外袋19の開口24の外面側に折り曲げて引っ掛けることによって、接着代として利用することができる。これにより、容器開口封止具36を、開口24の内面および外面の両側から固着できるので、外袋19と容器開口封止具36との密着度を向上させることができる。
<
第1参考形態>
図9は、本発明の
第1参考形態に係る容器開口封止具38の模式的な斜視図である。
図10(a)(b)は、
図9の容器開口封止具38の断面図であって、
図10(a)はカールを展開した状態を示し、
図10(b)はカールした状態を示している。
【0054】
図9に示すように、この
参考形態に係る容器開口封止具38は、筒状インフレーションフィルム39と、筒状インフレーションフィルム39に重ねられたカールフィルム40とを含み、カールフィルム40が筒状インフレーションフィルム39を巻き込むことによって、その一部にカールした部分を有している。
筒状インフレーションフィルム39は、たとえばプラスチック原料をインフレーション成形することによって筒状の形状で得られた1枚のフィルムを、互いに平行な一対の側辺41,42で山折りすることによって扁平にしたものである。これにより、筒状インフレーションフィルム39は、一対の側辺41,42、およびこれら辺41,42の直交し、互いに平行な一対の開口辺43,44によって区画された略四角形状の外側部45(一方面)および内側部46(他方面)を有している。筒状インフレーションフィルム39の内部空間47が、前述の筒状部10と同様に、薬液ボトル18を外袋19に出し入れするための通路となるものである。
【0055】
また、筒状インフレーションフィルム39の成形に用いられるプラスチック原料の一例としては、たとえば、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP))等が好ましい。
また、筒状インフレーションフィルム39の長さ(側辺41,42の長さ)は、たとえば、8cm〜15cmであり、幅(開放43,44の長さ)は、たとえば、10cm〜20cmである。さらに、筒状インフレーションフィルム39は、たとえば、10μm〜100μm厚さである。
【0056】
カールフィルム40は、たとえば、室温(20℃〜25℃)において強制的に巻かなくても自身の特性によって自然カールするフィルムであって、互いに成形収縮率の異なる2層で少なくとも構成されていることが好ましい。つまり、カールフィルム40は、前述の実施形態における外側フィルム2および内側フィルム3と同じ材料を用いて構成されていてよい。これにより、小収縮率層と大収縮率層の2層の収縮率の差を利用して、カールフィルム40を内側に良好にカールさせることができる。
【0057】
また、カールフィルム40は、この
参考形態では、扁平な筒状インフレーションフィルム39と同一長さおよび同一幅を有する四角形状であるが、むろん、同一寸法である必要はない。
そして、容器開口封止具38は、筒状インフレーションフィルム39の各辺41〜44にカールフィルム40の各辺が一致するように、筒状インフレーションフィルム39の外側部45にカールフィルム40を貼り合わせることによって形成されている。この貼り合わせには、たとえば、接着剤等を用いることができる。
【0058】
以上のような構成を有する容器開口封止具38は、カールフィルム40が自然カールするフィルムであることから、
図10(b)に示すように、一方の開口辺43に近い端部を終点端、他方の開口辺44に近い端部を開始端として、カールフィルム40が筒状インフレーションフィルム39を内側に巻き込むことによってカールしている。このカールによって、筒状インフレーションフィルム39の外側部45と内側部46とが密着して、カール終点端側とカール開始端側との間の内部空間47が液密的かつ気密的に閉止される。
【0059】
図11(a)〜(c)は、
図9の容器開口封止具38が取り付けられた外袋19の使用方法を順に説明するための図である。
次に、
図11(a)〜(c)を参照して、容器開口封止具38の具体的な使用方法を説明する。
図9および
図10に示した容器開口封止具38は、たとえば
図11(a)〜(c)に示すように、内部に薬剤ボトル(薬液容器)18を封入するための外袋19の開口封止具として使用可能である。なお、外袋19の構成は、前述の実施形態と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0060】
容器開口封止具38は、カールの開始端である他方の開口辺44が収容室23内に配置されるように、他方の開口辺44側を収容室23の底部に向けて挿入される。この状態で、カールフィルム40の一方の開口辺43近傍の領域を一方のフィルム20の開口24の内周面に固着し、筒状インフレーションフィルム39の内側部46の一方の開口辺43近傍の領域を他方のフィルム21の開口24の内周面に固着することによって取り付けられる。この取り付け後の状態が
図11(a)に示すものである。
【0061】
そして、容器開口封止具38が取り付けられた外袋19に薬剤ボトル18を封入するには、まず、
図11(b)に示すように、開口24を広げることによって、その内周面に固着された容器開口封止具38の筒状インフレーションフィルム39の内部空間47を広げる。これにより形成された開口部に薬剤ボトル18を先端から挿入する。そうすると、薬剤ボトル18の重さによって容器開口封止具38のカールが伸長する。その後、
図11(c)に示すように、薬剤ボトル18が収容室23に収容されると、薬剤ボトル18の通過時に広げられていた容器開口封止具38は、扁平形状に戻るとほぼ同時に、他方の開口辺44から再びカールしていき、最終的にそのカールが一方の開口辺43の近傍にまで達する。これにより、外袋19の収容室18が密閉状態となる。
【0062】
以上のように、この
参考形態によれば、薬剤ボトル18を出し入れするための通路となる筒状部が、扁平な筒状インフレーションフィルム39の内部空間47であり、二枚のフィルムをサイドシールすることによって筒状としたものとは異なり、その両端にサイドシールが施されていない。しかも、その筒状インフレーションフィルム39が柔軟であるため、このフィルム39の外側部45に重ねられたカールフィルム40は、比較的高い自由度でカールできる状態となっている。したがって、カールフィルム40のカールの復元力を十分に発揮することができる。
【0063】
その結果、この容器開口封止具38が取り付けられた外袋19では、カールフィルム40の復元力を利用して、密閉度を向上させることができる。しかも、薬剤ボトル18を外袋19の収容室23に落とし込むことによって、外袋19の開口24を自動的に塞ぐことができる。したがって、多忙な医療従事者にとって非常に有用である。
<
第2参考形態>
図12は、本発明の
第2参考形態に係る容器開口封止具48の模式的な斜視図である。
図13(a)(b)は、
図12の容器開口封止具48の断面図であって、
図13(a)はカールを展開した状態を示し、
図13(b)はカールした状態を示している。
図12および
図13において、
図9および
図10に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付し、それらの部分については説明を省略する。
【0064】
前述の
第1参考形態の容器開口封止具38では、カールフィルム40は、筒状インフレーションフィルム39の外部に設けられていたが、この容器開口封止具48では、筒状インフレーションフィルム39よりも幅狭に形成され、筒状インフレーションフィルム39の内部に挿入されている。
この
参考形態に関して、カールフィルム40の構成をより具体的に説明すると、カールフィルム40は、小収縮率層の一例としての外側プラスチック層49と、大収縮率層の一例としての内側プラスチック層50との2層構造からなる。
【0065】
外側プラスチック層49の一例としては、前述のように、内側プラスチック層50に比べて相対的に成形収縮率の小さい材料からなり、かつ筒状インフレーションフィルム39に対してヒートシール困難な材料からなることが好ましい。たとえば、筒状インフレーションフィルム39がポリオレフィンである場合には、エチレンビニルアルコール(EVOH)、環状オレフィンコポリマー(COC)等が好ましい。
【0066】
一方、内側プラスチック層50の一例としては、前述のように、外側プラスチック層49に比べて相対的に成形収縮率の大きい材料からなり、かつ筒状インフレーションフィルム39に対してヒートシール可能な材料からなることが好ましい。たとえば、筒状インフレーションフィルム39がポリオレフィンである場合には、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP))等が好ましい。
【0067】
また、カールフィルム40は、筒状インフレーションフィルム39よりも長く形成されている。これにより、筒状インフレーションフィルム39のカール終点端側の開口辺43にカールフィルム40の上辺を一致させてこれらのフィルム39,40が重なり合った状態において、カールフィルム40は、筒状インフレーションフィルム39の開口辺43とは反対側の開口辺44(端部)よりも外側に引き出され、筒状インフレーションフィルム39で覆われていない延長部51を有している。この延長部51は、略四角形状の領域からなり、開口辺44に平行な本発明のカールの開始端の一例としてのカール開始辺52を有している。また、延長部51の長さは、カールフィルム40の全体の長さの50%未満であることが好ましく、たとえば、カールフィルム40の長さの5%〜40%であることが好ましい。この
参考形態では、具体的な数値として、カールフィルム40の全体の長さが8cm〜15cmであるのに対し、延長部51の長さは、0.4cm〜6cmとなっている。
【0068】
そして、容器開口封止具48は、筒状インフレーションフィルム39の開口辺43にカールフィルム40の上辺が一致するように、筒状インフレーションフィルム39の内部にカールフィルム40を挿入し、内側プラスチック層50を筒状インフレーションフィルム39の内側部46にヒートシールすることによって形成されている。
以上のような構成を有する容器開口封止具48は、カールフィルム40が自然カールするフィルムであることから、
図13(b)に示すように、一方の開口辺43に近い端部を終点端、延長部51のカール開始辺52を開始端として、カールフィルム40が筒状インフレーションフィルム39を内側に巻き込むことによってカールしている。このカールによって、筒状インフレーションフィルム39の外側部45および内側部46それぞれがカールフィルム40と密着して、カール終点端側とカール開始端側との間の内部空間47が液密的かつ気密的に閉止される。
【0069】
そして、この容器開口封止具48も、前述の
第1参考形態の容器開口封止具38と同様に、外袋19に取り付けることによって、カールフィルム40の復元力を利用して、外袋19の密閉度を向上させることができる。
また、
図12および
図13(a)(b)に示すように、カールフィルム40が延長部51を有しているため、カールの開始時に延長部51を単独でカールさせることによって勢いをつけることができる。これにより、カールフィルム40と筒状インフレーションフィルム39が重なり合う開口辺44にカールが到達する頃には、カールフィルム40の復元力を十分に高めた状態で、筒状インフレーションフィルム39をカールフィルム40で巻き込むことができる。
【0070】
さらに、カールフィルム40が、
図13(a)(b)に示すように、筒状インフレーションフィルム39に対してヒートシール困難な材料からなる外側プラスチック層49と、筒状インフレーションフィルム39に対してヒートシール可能な材料からなる内側プラスチック層50との2層構造からなる。したがって、
図14(a)〜(c)に示すように、カールフィルム40と筒状インフレーションフィルム39との固着、および筒状インフレーションフィルム39と外袋19との固着をヒートシール1工程で行うことができる。
【0071】
具体的には、まず、
図14(a)に示すように、カールフィルム40を筒状インフレーションフィルム39の内部に挿入し、その筒状インフレーションフィルム39をさらに外袋19に挿入する。
次に、
図14(b)に示すように、外袋19の外側からヒートシールを行う。このとき、カールフィルム40、筒状インフレーションフィルム39および外袋19は互いに密着することになるが、互いにヒートシールによって溶着可能な箇所のみが選択的にヒートシールされる。
図14(b)では、太線で示した界面53〜55、つまり、外袋19のフィルム21と筒状インフレーションフィルム39の内側部46との界面53、筒状インフレーションフィルム39の内側部46とカールフィルム40の内側プラスチック層50との界面54、および筒状インフレーションフィルム39の外側部45と外袋19のフィルム20との界面55が選択的にヒートシールされる。一方、外側部45と外側プラスチック層49との間には、外側プラスチック層49が筒状インフレーションフィルム39に対してヒートシール困難な材料からなることから、ヒートシールが形成されない。
【0072】
その結果、
図14(c)に示すように、筒状インフレーションフィルム39の内部空間37を閉塞させずに、筒状インフレーションフィルム39の外側部45および内側部46をそれぞれ、外袋19のフィルム20,21に固着することができる。
以上、本発明の実施形態
および参考形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
【0073】
たとえば、本発明の容器開口封止具は、前述の実施形態
および参考形態のように外袋19の密閉に用いるだけでなく、各種容器の開口を封止する用具として利用可能である。以下では、容器開口封止具1を用いた具体例を3つ挙げるが、各例において、容器開口封止具1を、容器開口封止具25,36,38,48に置き換えることは可能である。
たとえば、
図15(a)に示すように、開放型のごみ箱56の口部57に、カールの開始端が内側になるように容器開口封止具1を取り付ければ、
図15(b)に示すように、ごみ58をごみ箱56内に落下させた後、
図15(c)に示すように、ごみ箱56の口部57を簡単に密閉することができる。したがって、衛生的であり、かつ臭い漏れの少ないごみ箱56を提供できる。
【0074】
また、たとえば、
図16(a)に示すように、ストロー挿し込みタイプの飲料パック59に、カールの開始端が内側になるように容器開口封止具1をストロー差し込み口として取り付ければ、
図16(b)に示すようにストロー60を簡単に挿し込むことができ、しかも、
図16(c)に示すようにストロー60を抜くことによって、飲料パック59の口部を瞬時に塞ぐことができる。したがって、衛生的な飲料パック59を提供できる。
【0075】
また、ストロー挿し込みタイプでなくとも、飲料容器から飲料を出した後に口部が瞬時に塞ぐことができる構成であるので、容器内への酸素の侵入を低減でき、飲料の風味を良好に維持することができる。
また、たとえば、
図17(a)に示すように、調味料パック61にカールの開始端が外側になるように容器開口封止具1を注出口として取り付ければ、
図17(b)に示すように調味料パック61容器から調味料を出した後、
図17(c)に示すように、口部を瞬時に塞ぐことができる。その結果、調味料パック61内への酸素の侵入を低減でき、調味料の風味を良好に維持することができる。
【0076】
また、
前述の実施形態において、筒状部10は一つしか設けられていなかったが、複数設けられていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【実施例】
【0077】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
(1)実施例1および比較例1
実施例1および比較例1は、前述
の実施形態の効果を実証するために行ったものである。
【0078】
まず、実施例1として、エチレンビニルアルコール共重合体層(10μm)とポリエチレン層(30μm)とからなる幅15cm、長さ10cmの四角形状のフィルムを、同じ向きに2枚重ね、向かい合う辺の角部を長さ1.5cmシールし、筒状部を形成した。当該筒状部を、ポリエチレン製の袋の開口にシール固着し、筒状部に対向する辺を開始端としてフィルムを自然カールさせ、最終の外袋とした。
【0079】
得られた外袋の開口部に250mLの薬液ボトルを挿入すると、薬液ボトルの重さによってフィルムのカールが伸長し、薬液ボトルが外袋内に落下した。その後すぐにフィルムは元のカール形状に戻り、外袋を押しても内部のエアは漏れなかった。
一方、比較例1として、同様のフィルムを2枚重ね、向かい合う辺を全てシールして全体を筒状とした後、自然カールさせた。そして、このカールしたフィルムを、同様のポリエチレン製の袋の開口にシール固着し、最終の外袋とした。
【0080】
得られた外袋の開口部に250mLの薬液ボトルを挿入すると、薬液ボトルの重さによってフィルムのカールが伸長し、薬液ボトルが外袋内に落下した。しかし、フィルムのカールは、元に戻らなかったケースが5割ほど見受けられた。
(2)
参考例1および比較例2
参考例1および比較例2は、前述の
第1参考形態の効果を実証するために行ったものである。
【0081】
まず、
参考例1として、エチレンビニルアルコール共重合体層(10μm)とポリエチレン層(30μm)とからなるフィルムのポリエチレン層側に、厚さ20μmのポリオレフィン製のインフレーションフィルムを積層し、幅15cmの筒状フィルムを得た。これを長さ10cmに裁断し、その一端をポリエチレン製の袋の開口にシール固着した後、筒状フィルムを自然カールさせ、最終の外袋とした。
【0082】
得られた外袋の開口部に250mLの薬液ボトルを挿入すると、薬液ボトルの重さによって筒状フィルムのカールが伸長し、薬液ボトルが外袋内に落下した。その後すぐに筒状フィルムは元のカール形状に戻り、外袋を押しても内部のエアは漏れなかった。
一方、比較例2として、上記筒状フィルムの両端を2mm幅でサイドシールしたものを用い、同様に最終の外袋とした。
【0083】
得られた外袋の開口部に250mLの薬液ボトルを挿入すると、薬液ボトルの重さによって筒状フィルムのカールが伸長し、薬液ボトルが外袋内に落下した。しかし、筒状フィルムのカールは、元に戻らなかったケースが5割ほど見受けられた。
(3)
参考例2および比較例3
参考例2および比較例3は、前述の
第2参考形態の効果を実証するために行ったものである。
【0084】
まず、
参考例2として、エチレンビニルアルコール共重合体層(10μm)とポリエチレン層(30μm)とからなるフィルム(幅13cm、長さ11cm)を、厚さ20μmのポリオレフィン製のインフレーションフィルム(幅15cm、長さ10cm)内に挿入し、幅15cmの筒状フィルムを得た。その一端をポリエチレン製の袋の開口にシール固着した後、筒状フィルムを自然カールさせ、最終の外袋とした。
【0085】
得られた外袋の開口部に250mLの薬液ボトルを挿入すると、薬液ボトルの重さによって筒状フィルムのカールが伸長し、薬液ボトルが外袋内に落下した。その後すぐに筒状フィルムは元のカール形状に戻り、外袋を押しても内部のエアは漏れなかった。
一方、比較例3として、上記筒状フィルムの両端を2mm幅でサイドシールしたものを用い、同様に最終の外袋とした。
【0086】
得られた外袋の開口部に250mLの薬液ボトルを挿入すると、薬液ボトルの重さによって筒状フィルムのカールが伸長し、薬液ボトルが外袋内に落下した。しかし、筒状フィルムのカールは、元に戻らなかったケースが5割ほど見受けられた。