特許第6131491号(P6131491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131491
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】流体濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/68 20060101AFI20170515BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 24/48 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 29/60 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 29/90 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 24/42 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 29/92 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20170515BHJP
   B01D 29/96 20060101ALI20170515BHJP
   B29B 13/10 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
   B29C47/68
   B01D29/04 510B
   B01D29/04 520Z
   B01D29/04 530A
   B01D29/36 B
   B01D29/38 510A
   B01D29/38 520A
   B01D29/42 501A
   B01D29/42 510
   B01D35/02 L
   B01D29/02 G
   B01D29/02 D
   B29B13/10
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-502133(P2015-502133)
(86)(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公表番号】特表2015-518433(P2015-518433A)
(43)【公表日】2015年7月2日
(86)【国際出願番号】EP2013000886
(87)【国際公開番号】WO2013152830
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年3月7日
(31)【優先権主張番号】102012006563.9
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515267482
【氏名又は名称】マーグ オートマティック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Maag Automatik GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ハラルド
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−500743(JP,A)
【文献】 米国特許第05308484(US,A)
【文献】 特表2006−513073(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0157402(US,A1)
【文献】 特開2009−190342(JP,A)
【文献】 特開2009−119422(JP,A)
【文献】 特開平09−225993(JP,A)
【文献】 特表平06−504721(JP,A)
【文献】 米国特許第05417856(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C47/00−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を濾過する、特に熱可塑性ポリマー溶融物を濾過する装置であって、
少なくとも一つの流体供給流路(2)と少なくとも一つの流体排出流路(3)と、少なくとも二つの互いに平行且つ間隔を空けて配置された穴(4、5)であって、それぞれ前記流体供給流路(2)と前記流体排出流路(3)と流体連通する穴(4、5)を有するハウジング(1)を備え、
前記穴(4、5)はそれぞれ、軸方向に変位可能で径方向に回転可能なボルト(6、7)を内部に液密状態で収容し、
前記ボルト(6、7)はそれぞれ、流入側と流出側を有するフィルタ部(8、9)を備え、
前記ボルト(6、7)はそれぞれ、前記フィルタ部(8、9)の流入及び流出側が前記流体供給流路(2)と前記流体排出流路(3)とそれぞれ流体連通する濾過位置である第一の位置と、前記フィルタ部(8、9)の流入側が前記ハウジング(1)内の少なくとも一つのバックフラッシュ流路(10、11)と流体連通するバックフラッシュ位置である第二の位置との間を少なくとも移動可能であって、
前記ボルト(6、7)はそれぞれ、前記フィルタ部(8、9)の流出側から前記ボルト(6、7)の移動によって前記穴(4、5)内に形成された貯蔵空隙(14、15)へと前記ボルト(6、7)内の洗浄流体流路(12、13)を介して流体が流れる、第三の充填位置に移動可能であり、前記ボルト(6、7)が前記第二の位置に移動すると、前記流体が前記フィルタ部(8、9)を介して、前記少なくとも一つのバックフラッシュ流路(10、11)へと再び流れ、前記ハウジング(1)から流出するよう構成された装置。
【請求項2】
前記ボルト(6、7)が前記第一の位置にあると、前記フィルタ部(8、9)の流出側は、前記洗浄流体流路(12、13)を介して、前記ボルト(6、7)の端面に配置され、前記ボルト(6、7)の一端面の周辺の一部上のみで延在する放射状の溝(16、17)を介して、及び、前記ボルト(6、7)の軸方向に延びる縦溝(18、19)を介して、前記少なくとも一つの流体排出流路(3)と連通する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ボルト(6、7)の一端面上の前記放射状溝(16、17)は、カバープレート(20、21)によってそこで覆われており、前記カバープレート(20、21)は、そこを通じて延在する貫通孔(22、23)を備え、前記第三の位置において、前記放射状溝(16、17)と前記貯蔵空隙(14、15)との間に流体連通がなされる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一の位置から前記第三の位置へと前記ボルト(6、7)が軸方向に移動することにより、前記ボルト(6、7)の端面で、濾過済みの流体のための前記貯蔵空隙(14、15)が形成され、前記軸方向の移動の全距離に亘って、前記フィルタ部(8、9)の流出側は、前記洗浄流体流路(12、13)、前記放射状溝(16、17)及び前記縦溝(18、19)を介して、前記少なくとも一つの流体排出流路(3)と連通する、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記ボルト(6、7)は、前記第一の位置から第一中間位置へと径方向の回転により移動可能であり、回転角度の大きさに応じて、前記流体排出流路(3)が前記ボルト(6、7)の壁によって、部分的に、又は完全に封止され、完全に封止された場合には、前記ボルト(6、7)の前記軸方向に延在する縦溝(18、19)は、前記少なくとも一つの流体排出流路(3)とは連通しなくなる、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記ボルト(6、7)が第二中間位置にあると、回転角度の大きさに応じて、前記流体供給流路(2)が前記ボルト(6、7)の壁によって部分的に又は完全に封止され、完全に封止された場合には、前記ボルト(6、7)の前記フィルタ部(8、9)の流入側は、前記少なくとも一つの流体供給流路(2)と連通しなくなる、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記ボルト(6、7)が、前記第二の位置と前記第一中間位置の両方に同時にあるように移動可能である、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記ボルト(6、7)が、前記第三の位置と前記第二中間位置の両方に同時にあるように移動可能である、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項9】
前記縦溝(18、19)が、前記ボルト(6、7)の軸方向の一部の長さに亘ってのみ延在する、請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタ部(8、9)がそれぞれ、少なくとも一つのバックフラッシュ流路(10、11)と流体連通可能である、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記ボルト(6、7)が出口流路(29)を備え、前記ボルトが第四の位置にあると、前記出口流路(29)が前記流体供給流路(2)と流体連通可能となり、前記出口流路には前記装置の周囲の領域への開口が有り、前記開口を通じて前記装置から流体が排出可能となる、請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジング(1)が一以上の部品、好ましくは二つの部品からなり、各ハウジング部品が、穴(4、5)、流体供給流路(2)、流体排出流路(3)、及びバックフラッシュ流路(10、11)を有し、
各ハウジング部品の穴(4、5)が前記ボルト(6、7)を収容する、請求項1〜11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記ボルト(6、7)が第五のスクリーン交換位置に移動可能であり、この位置において、前記フィルタ部(8、9)は、前記位置で前記フィルタ部(8、9)の交換が可能なように、前記ハウジング(1)の外側にあり、前記第五の位置は、前記ボルト(6、7)の端面と逆の方向にある、請求項1〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記第五の位置において前記少なくとも一つの流体供給流路(2)と前記少なくとも一つの流体排出流路(3)とが前記ボルト(6、7)の壁によって完全に封止されるような長さを、前記ボルト(6、7)が有し、そのように移動可能である、請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも一つの流体供給流路(2)の上流と前記少なくとも一つの流体排出流路(3)の下流とに、遮断弁(24、25)が設けられ、前記ボルト(6、7)が前記第五の位置にあると、前記遮断弁(24、25)によって、それぞれの流路が封止される、請求項1〜14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記装置が二つのボルト(6、7)を備え、前記ボルト(6、7)は、前記第一の位置、前記第二の位置、前記第三の位置、前記第四の位置、前記第五の位置、及び前記第一及び第二中間位置間を互いに独立して移動可能であり、対応する穴によって前記ハウジング内で保持され、
前記ボルト(6、7)が前記第一の位置にあると、濾過対象の流体が濾過され、前記ボルト(6、7)が前記第二の位置にあると、濾過対象の流体は前記ボルト(6、7)の前記フィルタ部(8、9)を流れずに、その代わりに前記フィルタ部(8、9)には、前記ボルト(6、7)と関連する前記貯蔵空隙(14、15)から供給される濾過済みの流体が、濾過方向とは逆向きに流れ、
一方のボルト(6、7)と関連する前記貯蔵空隙(14、15)には、他方のボルト(6、7)による濾過の間に、前記第一の位置から前記第三の位置への、又は前記第一の位置から前記第三の位置及び中間位置への同時的な、前記一方のボルト(6、7)の軸方向の移動を通じて、濾過済みの流体が充填され、
前記一方のボルト(6、7)が前記第三の位置から、又は前記第三の位置及び第二中間位置から同時的に、前記第二の位置へ、又は前記第二の位置及び第一中間位置へ同時的に移動させられるときの前記一方のボルト(6、7)の動きを介して、このように貯蔵された流体の少なくとも一部が前記一方のボルト(6、7)の前記フィルタ部(8、9)へと供給される、請求項1〜15のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載された、流体を濾過する、特に熱可塑性ポリマー溶融物を濾過する装置であって、少なくとも一つの流体供給流路と少なくとも一つの流体排出流路と、少なくとも二つの互いに平行且つ間隔を空けて配置された穴であって、それぞれ前記流体供給流路と前記流体排出流路と流体連通する穴を有するハウジングを備え、前記穴はそれぞれ移動可能、即ち軸方向に変位可能及び/又は径方向に回転可能なボルトを内部に液密状態で収容し、前記ボルトはそれぞれ、流入側と流出側を有するフィルタ部を備え、前記ボルトはそれぞれ、前記フィルタ部の流入及び流出側が前記流体供給流路と前記流体排出流路とそれぞれ流体連通する濾過位置である第一の位置と、前記フィルタ部の流入側が前記ハウジング内の少なくとも一つのバックフラッシュ流路と流体連通するバックフラッシュ位置である第二の位置との間を少なくとも移動可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を濾過するこのような装置は、当技術分野では一般にスクリーンチェンジャーと呼ばれる。このような装置は、例えば、溶解ポリマー状の溶解プラスチック等の濾過する対象の流体から異物を濾過して除去するのに使用される。このような混入物質は、例えば再利用溶解材料内において大量に発生する可能性がある。濾過の過程で遅かれ早かれ、フィルタまたはフィルタ部が残留物によって詰まり、結果的に洗浄を行わなければならないことは明らかである。そのために、二つのフィルタ系を並列に構成するのが理想的であり、一方のフィルタ系を洗浄している間に、他方を稼働中の状態にしておくことが可能となる。例えば、流体の通常製造時の流れの方向とは逆向きに、既に濾過済みの流体を用いて、いわゆるバックフラッシュを行うことにより、洗浄が可能である。この目的のために知られている装置として、当技術分野でいわゆるバックフラッシュスクリーンチェンジャーと呼ばれる装置がある。
【0003】
特にこのような濾過装置を、薄いプラスチック膜の製造等の、流体の質量流量に関して非常に厳密な用途で用いる場合、フィルタを洗浄したり交換したりする必要がある際にも、単位時間当たりの変動が特に無いように、濾過された流体の連続的な流れを保証可能であることが望ましい。
【0004】
出願人のドイツ実用新案DE 20 2010 017 247 U1は、このような流体濾過装置を提供し、複数の部分で構成されるハウジング内に各種ボルトが巧みに配置される。幾つかのボルトは、スクリーンを保持するためのものであり、一方その他のボルトは、移動可能であり、既に濾過された流体によって充填可能な独立した空隙を作るためのものである。移動可能ボルトとスクリーン保持用ボルトをバックフラッシュ位置にして、バックフラッシュによりスクリーン表面を洗浄するのに流体が使用される。このように機能的に異なるボルトの配置を分けて採用することにより、フィルタを交換したり、個々のフィルタを洗浄したりするためのバックフラッシュ中にも、溶融物の一定の流れが維持される。
【0005】
出願人のドイツ特許DE 196 12 790 C2は、二つのフィルタが共通のボルト内に配置された、流体濾過装置を記載しており、ボルトの位置に応じて、別々の副流内でボルト内の別々の空隙を介して流体を誘導可能となる。
【0006】
欧州特許明細書EP 1 778 379 B1は、特にプラスチック加工機械用の流体濾過装置及び方法を記載しており、この装置及び/又は方法も同様に、バックフラッシュ中にも一定の流速を維持することを目的としている。この装置は、フィルタ部の溶融物流路の下流に可動ボルトを追加的に備える。フィルタ部が適切な場所にあると、バックフラッシュ動作において、この可動ボルトが製造方向とは逆向きにフィルタを介して既に濾過済みの溶融物を押すことができる。この装置においても、複数の部分からなる構成とフィルタを担持するボルトと可動ボルトという別々のボルトに機能を分けたものとの組み合わせによって、洗浄中にも、溶融物の概して一定の流れを維持することが可能となる。
【0007】
欧州特許明細書EP 0 577 680 B1は、洗浄対象の流体を濾過する装置を記載しており、フィルタを担持するピストン内に配置されるのは別のピストンであり、バックフラッシュが必要な場合にはいつでも、この別のピストンが逆向きの流れの中でフィルタを介してすでに濾過済みの材料を押すことができる。ここでもフィルタを担持するピストンと追加的な可動ピストンとの機能は、別々に構成され実現されている。
【0008】
WO 98/47688公報は、粘性物用のフィルタについて記載しており、ここでも、バックフラッシュ動作において、適切に配置されたフィルタを介して溶融物流路内の追加的な可動ピストンにより、既に濾過された流体を押してフィルタを適切に洗浄することができる。この装置も、スクリーンを担持するピストンと可動ピストンとで機能を別にしている。
【発明の概要】
【0009】
従って本発明の目的は、流体を濾過する、特に熱可塑性ポリマー溶融物材料を濾過する装置を提供することであり、バックフラッシュによるフィルタの洗浄が簡単な設計手段により可能となる。本発明は特に、バックフラッシュ中に主流内での乱れや質量損失を生じること無しに、流体のバックフラッシュを可能とすることを目的とする。さらに、本発明は、可能な限り、装置の領域内に材料が集まることを防止し、故にバックフラッシュ中に発生する固化や乱れを防止することを目的とする。
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載の特徴を備えた、流体濾過装置によって達成される。本発明のその他の好適な実施態様は、下位クレームによって規定される。
【0011】
本発明に係る、流体を濾過する、特に熱可塑性ポリマー溶融物を濾過する装置は、少なくとも一つの流体供給流路と少なくとも一つの流体排出流路と、少なくとも二つの互いに平行且つ間隔を空けて配置された穴であって、それぞれ前記流体供給流路と前記流体排出流路と流体連通する穴を有するハウジングを備え、前記穴はそれぞれ、軸方向に変位可能で径方向に回転可能なボルトを内部に液密状態で収容し、前記ボルトはそれぞれ、流入側と流出側を有するフィルタ部を備え、前記ボルトはそれぞれ、前記フィルタ部の流入及び流出側が前記流体供給流路と前記流体排出流路とそれぞれ流体連通する濾過位置である第一の位置と、前記フィルタ部の流入側が前記ハウジング内の少なくとも一つのバックフラッシュ流路と流体連通するバックフラッシュ位置である第二の位置との間を少なくとも移動可能である。本発明によれば、前記ボルトはそれぞれ、前記フィルタ部の流出側から前記ボルトの移動によって前記穴内に形成された貯蔵空隙へと前記ボルト内の洗浄流体流路を介して流体が流れる、第三の充填位置に移動可能であり、前記ボルトが前記第二の位置に移動すると、前記流体が前記フィルタ部を介して、前記少なくとも一つのバックフラッシュ流路へと再び流れ、前記ハウジングから流出するよう構成される。従って、充填中(第三の位置)及びバックフラッシュ中(第二の位置)の本発明によるボルトの対応する全体的な動きの間に、貯蔵空隙が形成、拡張、及び流体で充填され(まとめて第三の位置と称する)、貯蔵空隙の大きさが減少又は最終的には消滅、及び流体が逆向きに押され(まとめて第二の位置と称する)、これに応じてシリンジのようにボルトが軸方向に前後方向に移動する。
【0012】
従って、本発明に係る装置によれば、製造時の既に濾過された流体が供給される空隙を形成する機能と、ボルトの移動によって対応する可能なバックフラッシュとを一つの要素内で組み合わせることが可能となり、これによって、同一のボルト内の対応するフィルタを介して、既に回収した流体をバックフラッシュさせることができる。更に、二つの平行なボルトを適切に配置することによって、完成したシステムによる製造工程の間に、濾過された流体の連続的な溶融流れが保証される。従って、従来技術とは違って本発明によれば、別の移動機構を更に必要とするような変位ピストンを別に設ける必要がない。そうではなくて、ボルト一つと適切に割り当てられたアクチュエータ一つの単一の配置において、スクリーン表面も収容するボルトが、濾過された流体を保持するための対応する容量を提供するだけでなく、スクリーン表面を通じたバックフラッシュ中にその流体をバックフラッシュ位置に移動させることも可能である。結果的に、装置が特に簡単な設計となり、より大きな完成した製造システム内にコンパクトかつスペースを取らない様に一体化することも可能となる。
【0013】
従って、本発明が記載及び請求する装置によれば、「位置」は、ボルトの位置に対して可変の位置という意味で理解されるべきであり、更にこの位置は、ボルトの移動を含み、対応する動きの固定された(静的な)「端点」に限定されるものではない。このことは特に第二及び第三の位置に当てはまり、これらの位置は、充填及びバックフラッシュ動作の間に、貯蔵空隙を生成、充填、貯蔵空隙内で又は貯蔵空隙から流体を圧縮、放出するための、本発明に係る対応するボルトの移動を伴う。
【0014】
本発明の好適な実施態様に係る装置によれば、前記ボルトが前記第一の位置にあると、前記フィルタ部の流出側は、前記洗浄流体流路を介して、前記ボルトの端面に配置され、前記ボルトの一端面の周辺の一部上のみで延在する放射状の溝を介して、及び、前記ボルトの軸方向に延びる縦溝を介して、前記少なくとも一つの流体排出流路と連通する。
【0015】
本発明に係る、好ましく設けられた放射状溝及び縦溝によれば、ボルトが第一の位置にある際も含めて、全ての場合において、一定の流体の流れを特に確実に保証可能となる。その結果、デッドスペースにおいて集まったり固化したりする可能性のある、溶融物の詰まりが起こらない。
【0016】
本発明の好適な実施態様によれば、前記縦溝が、前記ボルトの軸方向の一部の長さに亘ってのみ延在する。
【0017】
本発明の好適な実施態様に係る装置において、前記ボルトの一端面上の前記放射状溝は、カバープレートによってそこで覆われており、前記カバープレートは、そこを通じて延在する貫通孔を備え、特にボルトの前後方向への軸方向の変位の際に、前記放射状溝と前記貯蔵空隙との間に流体連通がなされる。
【0018】
本発明に係る好適に設けられたカバープレートによれば更に、確実に、充填の際に流体が、その場に集まることがなく、固化の傾向無しにバックフラッシュ位置において継続的にバックフラッシュ可能である。
【0019】
本発明の別の好適な実施態様に係る装置において、前記第一の位置から前記第三の位置へと前記ボルトが軸方向に移動することにより、前記ボルトの端面で、濾過済みの流体のための前記貯蔵空隙が形成され、前記軸方向の移動の全距離に亘って、前記フィルタ部の流出側は、前記洗浄流体流路、前記放射状溝及び前記縦溝を介して、前記少なくとも一つの流体排出流路と連通する。
【0020】
本発明に係るこの好適な設計によれば、特に確実に一定の流体の流れが保証され、その結果、そうでない場合には空隙やデッドスペースで起こる、流体が固化するおそれがなくなる。
【0021】
本発明の更に別の好適な実施態様に係る装置において、前記ボルトは、前記第一の位置から第一中間位置へと径方向の回転により移動可能であり、回転角度の大きさに応じて、前記流体排出流路が前記ボルトの壁によって、部分的に、又は完全に封止され、完全に封止された場合には、前記ボルトの前記軸方向に延在する縦溝は、前記少なくとも一つの流体排出流路とは連通しなくなる。
【0022】
本発明の更に別の好適な実施態様に係る装置において、前記ボルトが第二中間位置にあると、回転角度の大きさに応じて、前記流体供給流路が前記ボルトの壁によって部分的に又は完全に封止され、完全に封止された場合には、前記フィルタ部の流入側は、前記少なくとも一つの流体供給流路と連通しなくなる。
【0023】
ハウジング内の対応する開口を封止するようボルトの外側面を適切に用いることにより、特に簡単な設計によって、本発明に係る濾過装置における溶融物の流れを制御可能となる。特に、これによって、複雑な弁や封止装置を追加的に用いる必要が無く、ボルトの大きさを非常にコンパクトに維持することが可能となる。
【0024】
本発明の好適な実施態様において、前記ボルトは、前記第二の位置と前記第一中間位置との両方に同時にあるように移動可能であることが好ましい。
【0025】
本発明の更に好適な実施態様において、前記ボルトは、前記第三の位置と前記第二中間位置との両方に同時にあるように移動可能であることが好ましい。
【0026】
本発明の更に好適な実施態様において、前記ボルトは、前記第一及び第二中間位置及び/又は前記第二及び第三の位置との両方に同時にあるように移動可能であることが好ましい。
【0027】
このように、ハウジングの対応する開口を封止するようなボルトの外側面の接触によって、特に効果的に及び簡素な設計により、ボルトそのものによる封止が行われる。
【0028】
本発明の更に好適な実施態様に係る装置において、前記フィルタ部がそれぞれ、少なくとも一つのバックフラッシュ流路と関連する。
【0029】
複数の穴やバックフラッシュ流路を設けることにより、ボルトの一つのスクリーンのバックフラッシュを行っている際にも、特に簡単に連続的な溶融物の流れを実現可能となる。
【0030】
本発明の更に好適な実施態様において、前記ボルトが出口流路を備え、前記ボルトが第四の開始位置にあると、前記出口流路が前記流体供給流路と流体連通可能となり、前記出口流路には前記装置の周囲の領域への開口が有り、前記開口を通じて前記装置から流体が排出可能となる。
【0031】
好ましくは、本発明に係る装置の前記ハウジングは、一以上の部品、好ましくは二つの部品からなり、各ハウジング部品が、穴、流体供給流路、流体排出流路並びにフィルタ部、バックフラッシュ流路及び出口流路を備えたボルトを有する。
【0032】
本発明の更に好適な実施態様に係る装置において、前記ボルトが第五のスクリーン交換位置に移動可能であり、この位置において、前記フィルタ部は、前記位置で前記フィルタ部の交換が可能なように、前記ハウジングの外側にあり、前記第五の位置は、前記ボルトの端面と逆の方向にある。
【0033】
この結果、第五の位置において、スクリーンの交換が必要な場合には、装置全体を完全に分解する必要なく、この作業を簡単に行うことができる。特に、スクリーンを交換する際、ボルトの封止端面領域をハウジングの穴から完全に外す必要がない。但し、何らかの物理的条件下で、濾過装置の反対側の端部において、フィルタを交換するために利用できる空間が十分でない場合には、端面でのスクリーン交換が有利な場合もある。このような場合には、カバープレートを外した後に端面から引き出せるようにしたボルトによって、第五の位置を実現することも可能である。
【0034】
特に好適な実施態様において、前記第五の位置において前記少なくとも一つの流体供給流路と前記少なくとも一つの流体排出流路とが前記ボルトの壁によって完全に封止されるような長さを、前記ボルトが有し、そのように移動可能である。
【0035】
本発明に係る装置の好適な実施態様において、前記少なくとも一つの流体供給流路の上流と前記少なくとも一つの流体排出流路の下流とに、遮断弁が設けられ、前記ボルトが前記第五の位置にあると、前記遮断弁によって、それぞれの流路が封止される。
【0036】
本発明の好適な、特に簡単な好ましい実施態様において、ボルトの開始位置、即ち、上述の第四の位置と、上述の第五のスクリーン交換位置とが同一であるようボルトを設計する。
【0037】
ボルトをできるだけコンパクトな構造にするために、スクリーン交換の際に、ハウジング内の対応する開口を覆う封止用ボルト表面がないにも関わらず、上述の遮断弁を備えた実施態様は比較的簡単な方法で溶融物の流れを遮断することが可能である。これにより、ボルトの軸方向の長さが短くなり、完成したシステムの特定の物理的条件下で有利となりうる。
【0038】
本発明の好適な実施態様において、前記装置が二つのボルトを備え、前記ボルトは、前記第一の位置、前記第二の位置、前記第三の位置、前記第四の位置、前記第五の位置、及び前記第一及び第二中間位置間を互いに独立して移動可能であり、対応する穴によって前記ハウジング内で保持され、前記ボルトが前記第一の位置にあると、濾過対象の流体が濾過され、前記ボルトが前記第二の位置にあると、濾過対象の流体は前記ボルトの前記フィルタ部を流れずに、その代わりに前記フィルタ部には、前記ボルトと関連する前記貯蔵空隙から供給される濾過済みの流体が、濾過方向とは逆向きに流れ、一方のボルトと関連する前記貯蔵空隙には、他方のボルトによる濾過の間に、前記第一の位置から前記第三の位置への、又は前記第一の位置から前記第三の位置及び中間位置への同時的な、前記一方のボルトの軸方向の移動を通じて、濾過済みの流体が充填され、前記一方のボルトが前記第三の位置から、又は前記第三の位置及び第二中間位置から同時的に、前記第二の位置へ、又は前記第二の位置及び第一中間位置へ同時的に移動させられる際に、前記一方のボルトの動きを介して、このように貯蔵された流体の少なくとも一部が前記一方のボルトの前記フィルタ部へと供給される。この結果、本発明に係るそれぞれのボルトを適切に断続的に移動させることにより、完全な装置の動作が交互に連続的に行われる。
【0039】
このように、簡単な設計を用いて以上説明したような方法により、本発明によれば、濾過済みの溶融物の製造時の流れを大幅に変えることなく、一定の製造動作が可能となり、同時に個々のフィルタ素子をバックフラッシュにより適切に洗浄することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施態様の例について、より詳しく説明及び記載するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
図1図1は、本発明の第一の好適な実施態様に係る、濾過装置の斜視平面図である。
図2図2は、図1に示した本発明の好適な実施態様に係る装置を詳細に示す、一部切り取り概略図である。
図3図3は、本発明の第二の好適な実施態様に係る、濾過装置の斜視平面図である。
図4図4は、図3に示した本発明の好適な実施態様に係る装置を詳細に示す、一部切り取り概略図である。
図5図5は、本発明の別の好適な実施態様に係る装置を詳細に示す、切り取り概略図である。
図6図6は、図5に示した本発明の好適な実施態様の断面図である。
図7A図7Aのa、a’は、本発明の装置を示す、一部切り取り概略図であり、各種動作状態において、溶融物の出口側から見た図、及び溶融物の入り口側から見た図である。
図7B図7Bのb、b’は、本発明の装置を示す、一部切り取り概略図であり、各種動作状態において、溶融物の出口側から見た図、及び溶融物の入り口側から見た図である。
図7C図7Cのc、c’は、本発明の装置を示す、一部切り取り概略図であり、各種動作状態において、溶融物の出口側から見た図、及び溶融物の入り口側から見た図である。
図7D図7Dのd、d’は、本発明の装置を示す、一部切り取り概略図であり、各種動作状態において、溶融物の出口側から見た図、及び溶融物の入り口側から見た図である。
図7E図7Eのe、e’は、本発明の装置を示す、一部切り取り概略図であり、各種動作状態において、溶融物の出口側から見た図、及び溶融物の入り口側から見た図である。
図7F図7Fのf、f’は、本発明の装置を示す、一部切り取り概略図であり、各種動作状態において、溶融物の出口側から見た図、及び溶融物の入り口側から見た図である。
図7G図7Gのg、g’は、本発明の装置を示す、一部切り取り概略図であり、各種動作状態において、溶融物の出口側から見た図、及び溶融物の入り口側から見た図である。
図8図8のa、a’は、本発明の別の好適な実施態様を示す、出口側及び入口側から見た、一部切り取り概略図である。
【0041】
図において、同じ要素は同じ参照文字で表すが、明確にする目的で、一部の図において参照文字が省略されている。本発明の好適な実施態様に係る、個々に記載された要素は、当業者にはよく知られた方法で任意に組み合わせ可能である。以下に示す実施態様は、それぞれの組み合わせに関して制限されない。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明の第一の好適な実施態様に係る、流体濾過装置の斜視平面図である。図示した装置は特に、熱可塑性溶解ポリマーを濾過する機能を有し、ボルト6、7を備えたハウジング1を備え、ボルト6、7は、ハウジング1内での穴4、5(図1において上穴4は見えていない)内で移動可能、即ち、液密状態で軸方向に変位可能及び/又は径方向に回転可能である。各ボルト6、7は、流入側と流出側とを備えた、少なくとも一つのフィルタ部8、9(図1において上フィルタ部8は見えていない)を備える。図1は、下ボルト7が第五のスクリーン交換位置にある状態を示している。図1に示した本発明の装置の実施態様によれば、カバープレートを外した後に、但し、上ボルトに関してはカバープレートが示されており、ハウジング上に取り付けられているが(取り付けられたカバープレート28)、ハウジング1の相対する端のそれぞれのアクチュエータ26、27によって、ボルトをハウジングから押出し、スクリーンをボルト端から交換可能とする。
【0043】
図2は、図1に示した本発明の装置を詳細に示す概略断面図であり、即ち第五のスクリーン交換位置にある、下ボルト7を示しており、アクチュエータ端から遠ざかる方向にハウジングの端面から押し出されている。図2に示す上ボルト6は、第二のバックフラッシュ位置にある。図2はさらに、少なくとも下ボルト7の出口流路29を示しており、この出口流路29を通じて、図示した位置にあるボルト7は、流体供給流路2と流体連通可能となり、装置の表面領域に通じる開口を有し、例えば適合しない流体を、開始時等に装置から排出することが可能となる。ボルト6の回転位置により、対応する上ボルト6の出口流路は図2では見えていない。
【0044】
図3は、本発明の第二の好適な実施態様に係る、流体濾過装置の斜視平面図である。図3に示す本発明の装置の実施態様によれば、図1に示した本発明の実施態様とは違って、ボルト6、7は、アクチュエータ26、27に向かう方向にスクリーン交換位置へとハウジング1から押し出されるようになっている。つまり、図3によれば、本発明に係る図示された装置は、この場合、第五のフィルタ変更位置が、端面ではなくボルト7がアクチュエータ27の方向にハウジングから押し出されることよって達成されるよう構成される。
【0045】
図1及び3に示すボルト6、7をそれぞれ移動させるアクチュエータ26、27は、油圧シリンダーであることが好ましく、この油圧シリンダーは、適切なリンク機構によって本発明のボルトに接続され、記載した軸方向及び径方向へのボルトの移動と共に対応する滑り移動及び回転移動を可能とする。このような油圧シリンダーの基本的な用法は、当業者にはよく知られていることであるので、これについてさらに詳しく説明はしない。
【0046】
図4は、図3に示した本発明の装置を詳細に示す概略断面図であり、即ちスクリーン交換位置にある下ボルト7を示しており、アクチュエータ側へとハウジングから押し出されている。ボルト7同様、ボルト6は、流体供給流路2の(および(図1〜5では見えていないが)流体排出流路3の)穴が、対応するボルトが第五のスクリーン交換位置にあるときに、ボルト壁によって封止可能となるような軸方向の長さを有する。図4において、図示した上ボルト6は、第一の動作位置にある。
【0047】
図5図4との違いは、図示したボルト6及び7が短いことだけであり、この結果、ボルト壁によって流体供給流路2又は流体排出流路3の液密な封止ができなくなる。つまり、図5に示した実施態様では、追加的な封止素子を使用する必要がある。
【0048】
図6に、このような封止素子の概略断面図を示す。図6は、ハウジング1の断面図であり、その中に穴4、5が配置されており、さらにその中でボルト6、7が液密状態で軸方向に移動可能及び径方向に回転可能である。ただし、ボルトは図5では示されていない。フィルタ交換の場合に流体の流れが遮断されるように、即ち、一方又は両方のボルトが第五の位置にある場合に、回転スライド弁形状の遮断弁24、25が流体供給流路2及び流体排出流路3の上流に設けられる。ボルトが第五の位置にあると、この遮断弁24、25によってそれぞれの流路2、3が遮断される。
【0049】
図7A’〜7Gは、本発明の好適な形態に係る、ハウジング1のボルト6、7の一つの位置を概略的に示す図であり、それぞれ流体出口側から見た図(図7A〜7Gのa〜g)及び流体入口側から見た図(図7A〜7Gのa’〜g’)である。
【0050】
図7A〜7Gは、本発明に係る流体濾過装置を示しており、この装置は特に、熱可塑性溶解ポリマーを濾過するのに適している。間隔を空けて配置された穴4、5を備えたハウジングにおいて、流体供給流路2と流体排出流路3とは、これらの互いに平行な穴と関連し、これらの穴と流体連通する。本実施態様によると、ハウジング1は、一つの部品で構成される。ただし、原理的には、ハウジングの部品それぞれが別々の穴を備え、それに応じて複数の部品で構成されるハウジングとして実現することも可能である。穴4、5はそれぞれ、ボルト6、7を収容し、これらのボルトは、穴内において液密状態で軸方向に変位可能及び径方向に回転可能である。ボルトの移動は、アクチュエータ26、27(例えば図1又は図3を参照)により達成可能である。ボルト6、7は、濾過対象の流体が流入する入口側と、濾過された流体がフィルタ部を経て流出可能となる出口側とを備えたフィルタ部8、9をそれぞれ有する。図7Aに示すように、下ボルト7は、濾過位置である第一の位置にあり、フィルタ部9が、流体流路2と入口側で、流体流路3と出口側で流体連通する。図7Aに示すように、上ボルト6は、第二のバックフラッシュ位置の端位置にあり、上ボルト6のフィルタ部8は、関連するバックフラッシュ流路10と入口側で流体連通する。図において、バックフラッシュ動作がすでに完了している。
【0051】
図7Bは、濾過位置である第一の位置にある両ボルト6、7を示しており、ボルトのフィルタ部8、9の流出側は、洗浄流体流路12、13を介して、ボルト6、7の端面に配置され、ボルトの一端面の周辺の一部上のみで延在する放射状の溝16、17を介して、及び、ボルト6、7の軸方向に延びる縦溝18、19を介して、流体排出流路3と連通する。図7A〜7Gにおけるシーケンスの図に示す本発明の装置の実施態様によれば、ボルト6、7の端面の放射状の溝16、17は、カバープレート20、21によってそこで覆われており、このカバープレート20、21は、そこを通じて延在する貫通孔22、23を備える。次に示すボルト6、7の第三の位置において、この貫通孔により、放射状溝と貯蔵空隙14、16との間の流体連通が可能となる。
【0052】
図7A〜7Gに示されるシーケンスのうち図7Cにおいて、上ボルト6は、第一の位置から第一中間位置へと径方向の回転により変位しており、この結果、回転角度の大きさに応じて、関連する流体排出流路3がボルト6の壁によって、部分的に、又は図7Cに示すように完全に封止される。この結果、このように完全に封止された場合には、ボルト6の軸方向に延在する縦溝18は、ボルトの流体排出流路3とは流体連通しなくなる。
【0053】
図7Dに示すように、ボルト6は、軸方向に変位移動して、第三の充填位置にあり、ボルト6の洗浄流体流路12を介して、フィルタ部8の流出側から穴3内でのボルト6の移動によって形成された貯蔵空隙14へと、流体が流れる(下ボルト6の対応する貯蔵空隙15は、図示されていない)。このボルト6の移動は、矢印により図示される。
【0054】
ボルト6、7の移動状態は、いずれの場合においても、図の対応する矢印によって視覚化されている。
【0055】
図7Eに示す位置に上ボルト6があると、上ボルト6の第三の位置での移動に応じて行われた充填動作が終了し、形成された貯蔵空隙14にフィルタ部8の流出側からの流体が充填されている。図7Eに示すように、ボルト6は、第二中間位置に回転しており、その回転角度の大きさに応じて、ボルト6が部分的に、又は図7Eに示すようにボルトの壁によって流体供給流路2を完全に封止すると、ボルト6のフィルタ部8の流入側は、関連する流体供給流路2と連通しなくなる。すると、ボルト6のフィルタ部8のバックフラッシュが行われる。図7Fを参照すると、穴4内でのボルト6の新たな後退によって、流体が貯蔵空隙14からフィルタ部8の流出側に戻り、フィルタ部8を介してその流入側に押し出され、ボルト6と関連するバックフラッシュ流路10に流入することにより、ハウジング1から流出可能となることがわかる。ボルト6は、第二のバックフラッシュ位置にあり、フィルタ部8は、少なくともバックフラッシュ流路10と流入側で流体連通し、ボルト6がそれに応じてさらに軸方向に移動する。
【0056】
図7Gは、第二の位置にあるボルト6の移動の終了を示しており、対応するボルトが第一の位置の方向に戻っており、フィルタ部8の流入側と、関連するバックフラッシュ流路10とがすでに流体連通状態にあることを示す図7Gによりこの状態が示されている。
【0057】
図7A〜7Gに示した流れと同様に、図8は、本発明に係る装置の実施態様の流れを示す概略図である。図8のa、a’に示す実施態様は、ボルト6、7の端面にある放射状の溝16、17を覆うカバープレート20、21が図8のa、a’にはないという点で、図7A〜7Gに流れを示した実施態様と異なる。
【0058】
本発明の装置によれば、フィルタ部を担持するボルトを用いるだけで、つまりこのボルトが対応する動きをするだけで、バックフラッシュする流体を得ることができ、これによって、ボルト自身の動きによってボルトのフィルタ部を介してバックフラッシュが可能となる。従って、本発明によれば、幾つかの追加的なボルトや追加的な流体結合を用いた従来技術の手の込んだ解決法を用いる必要がない。つまり、本発明の装置は、確実にバックフラッシュを行うための簡単でコンパクトな設計を可能とし、対応する濾過装置の洗浄が可能となる。従って、本発明の装置によれば、構造的に非常に複雑な設計を用いずに簡単な設計の濾過装置が提供され、信頼性があり、操作がしやすく、バックフラッシュによって迅速に洗浄が行われる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8